JP4541068B2 - 磁性合金粒子の分散液 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録に特に適した磁性合金粒子の集合体に関する。
高密度磁気記録媒体では、記録密度の上昇のために記録単位のサイズ低下が必要であるが、従来のスパッタ薄膜を用いた媒体では、熱ゆらぎや結晶粒子サイズの微細化やバラツ
キ等の問題から高記録密度化の限界に近づいている。このようなことから、最近、高密度磁気記録媒体として、熱ゆらぎの問題がなく、高い異方性を有し且つ大きな保磁力を示す
FePt系の磁性金属ナノ粒子が注目されている。
このような磁性金属ナノ粒子に関して、特許文献1および非特許文献1には、鉄ペンタカルボニルの熱分解反応と、白金(II)アセチルアセトナートの多価アルコールによる還
元作用を同時に行わせることにより、単分散状態のFePt合金粒子を生成する方法が記
載されている。
これらの方法で得られるFePt粒子の結晶構造は不規則相のfcc(面心立方晶)構造であるため、ナノオーダーの粒子では常温において超常磁性を示す。したがって強磁性
粒子として使用する場合は、この不規則相を熱処理によりL10規則相(fct(面心正方
晶)構造)に結晶構造転移させる必要がある。
この熱処理は、不規則相から規則相への結晶構造転移温度(Tt)以上で処理する必要があり、一般に500℃以上の高温で行う。この場合、熱による粒子同士の合体による巨
大化が起って粒度分布の分布幅が広がると、粒子は単磁区と多磁区構造に混在するようになって高密度磁気記録媒体には適さなくなる。したがって、粒子合成直後の粒径を保存し
たまま、強磁性を有するFePt粒子を得るためには、粒子同士の合体を防止する保護剤で粒子を被覆することや、何らかの方法によりTtを低下させ、熱処理温度がより低温で
実施できるようにすることが有効である。
非特許文献2には、ポリオール法によるFePt粒子合成の際に、ポリオールとしてテトラエチレングリコール(TEG)を使用し、白金及び鉄アセチルアセトネートを300℃で還元すると、合成されたままで、fct構造を有するFePtナノ粒子が得られたと記載されている。
特許第3258295号公報(特開2000-54012号公報) SCIENCE VOL.287, 17 MARCH, 2000, p.1989-1992 Japanese Journal of Applied Physics, Vol.42, No.4A, 1April, 2003, P.L350-352
特許文献1および非特許文献1の方法 (これらの文献に記載の方法を以下にIBM法と略称することがある) で得られるFePt粒子は、反応直後のものは磁性を持たないfc
c(面心立方晶)構造であり、そのままでは磁気記録媒体用途の磁性粒子として利用することはできない。このため、fct結晶構造転移温度(Tt)以上に加熱処理して、強磁
性を発現するfct(面心正方晶)構造に転移させる必要がある。そのさい、IBM法で得られるFePt粒子の結晶構造転移温度は450℃程度であるから、fct構造に転移
するには450℃以上の温度での熱処理が必要である。
しかし、このFePt粒子の集合体(粉体)をそのまま450℃以上の温度に加熱すると、金属粒子同士が合体して巨大化してしまい、fct構造が得られたとしても、高密度
記録媒体の用途に適したナノ粒子形態とはならないし、粒子同士の合体が一様に進行しないのが普通であるから、粒径分布が発生し、これに伴って磁気特性に大きな分布を生じて
、実用上の問題となる。
加熱によって粒子同士が合体して巨大化するのを防止するには、各粒子が互いに所定の間隔をあけて位置決めされた状態で, 例えば基板上に各粒子を所定位置に固定した状態で
, あるいは粒子同士の焼結を防止するための何等かの障壁を設けた状態で、該熱処理を行うことが必要である。しかし、このような熱処理を実現するには、粒子の規則的な配置を
行うための精密技術が必要である。
またIBM法では、例えばFe=50 at.%、Pt=50 at.%のFePt粒子を作成する場合でも、Fe原料をモル量で2倍以上仕込まなければ作成できないといったように
、粒子の組成制御が難しい。粒子間で組成のバラツキがないようにするには、どうすべき
かについて未知であった。
FePt合金では、強磁性体相のfct規則構造はPt量が35〜55 at.%の範囲内の場合に限られる。したがって、粒子の集合体の平均的な組成ではこの範囲のPt量であ
っても、個々の粒子について見た場合に、この範囲を外れる組成の粒子が存在していると、その粒子が前記のように熱処理されても、その粒子はfct規則構造にならない。また
、仮に各粒子のPt量が35〜55 at.%であっても、粒子間でその組成が変化している
と、磁気特性も変化するので磁気記録媒体としては適さない。
さらに、IBM法において、fcc構造の粒子を基板上に固定した状態で焼結を起こさずに熱処理ができたとしても、得られるfct構造の粒子の磁化容易軸を1方向に配向さ
せることは非常に困難である。なぜなら、基板上でfct構造に相転移した各粒子は基板に固定されているので磁場配向しようにも動きがとれないし、またfct構造になる温度
はFePt粒子のキューリー温度より高いため、磁場中での熱処理を実施しても磁化容易
軸を1方向にすることはできないからである。
そもそも磁性体は磁化容易軸の方向で最も保磁力が大きく観察される。微粒子磁性体を基板上に配列させる場合、磁化容易軸を1方向に配向させたときが微粒子磁性体のポテン
シャルを最も引き出すことができ、また配向させた媒体の保磁力も最大に成り得る。逆に、磁化容易軸をランダムに配向させたときにその媒体の保磁力が最も低くなる。このよう
なランダム配向の媒体を或る方向からみると、その方向に磁化容易軸が向いている粒子がいても、最も保磁力の小さい磁化困難軸が向いている粒子もいるので、保磁力分布(SF
D値)が最も悪化する状態であると言える。保磁力が下がりSFD値が悪化することが高密度磁気記録に不利であることは良く知られている(例えば「記録・メモリ材料ハンドブ
ック」逢坂逢坂哲彌・山崎陽太郎・石原宏編参照)。したがって、fcc構造の粒子を基板に配置してから熱処理を実施するという手法自体が、高密度磁気記録媒体の用途には適
性を持たないとも言い得る。fct構造を有しながら磁場中で配向できる自由度を有した孤立したFePt粒子の集合体の開発こそが、高密度磁気記録媒体の開発には必要とされ
る所以である。
非特許文献2には、合成されたまま状態でfct構造をもつFePtナノ粒子が得られる可能性が示された。しかし、該文献に記載された方法で得られたFePtナノ粒子粉末
は、TEGを用いて300℃で合成する方法のものでも、室温における保磁力Hcは370エルステッド(Oe )に過ぎない。このFePtナノ粒子粉末は、同じくTEG(テト
ラエチレングリコール)を用いて260℃で合成したものに比べると、fct構造を有することが確認されているが、それでも、室温での保磁力Hcが370Oe 程度では、実際
の磁気記録用に適用するには難がある。
また、非特許文献2には、合成されたまま状態でfct構造をもつFePtナノ粒子が得られたとされているが、個々の粒子が均一の組成を有しているとは限らない。実際のと
ころ、非特許文献2では、溶媒兼還元剤であるポリオールに、粒子の原料となる金属塩を溶解させ、その溶液を所定の温度まで一定速度で昇温し、昇温後は所定の温度で保持する
ことによってFePt粒子を析出させたとされている。この方法では、結晶核の生成は経時的に連続して起きると予想されるので、各結晶の発生した時期により、反応溶液中の金
属イオンのイオン構成比が相違することになり、合成される粒子の各々の径や、粒子内の結晶の大きさにバラツキを生ずることは不可避であり、結果として、個々の粒子の組成も
相互に異なる結果とならざるを得ない。したがって、たとえfct構造を有していても、粒子の個々は、粉体全体の合金組成(平均組成)よりもPt成分が多かったり少なかった
りして(個々の粒子の組成に分布が現れ、その分布がブロードになって)、粒子によっては磁性をもったり、もたなかったり、磁性をもっても強かったり、弱かったりすることに
なる。
磁気記録の場合に磁性をもたない粒子が混じっていると、貴重なデータが記録されないことが起きる。また通常の磁気記録での書き込みヘッドでは、ある磁気特性の磁性体に対
して書き込みができるように調整されているから、磁性が強かった弱かったりしても、情
報がうまく記録されない現象がおきる。
したがって、本発明の課題は、このような問題を解決することにあり、とくに非特許文献2に示されたFePtナノ粒子の製法をさらに改善し、実際の磁気記録用材料に適した
組成分布の少ないfct構造のFePt系ナノ粒子からなる磁性材料を得ることにある。
本発明者は、結晶性が良好で組成分布が少く且つ粒子同士が所定の粒子間隔をもって互いに分散した流動可能なfct構造含有のナノ粒子の集合体を得ることに成功した。すな
わち、本発明によれば、TをFeとCoの1種または2種、MをPtとPdの1種または2種としたとき、式〔TX1-X〕におけるXが0.3以上で0.7以下の範囲となる組
成比でTとMを含有し、TとM以外の金属元素が(T+M)に対する原子百分比で30 at.%以下(0 at.%を含む)、残部が製造上の不可避的不純物からなる磁性合金の粒子の
集合体であって、
A.面心正方晶の割合が10〜100%であり、
B.TEM観察により測定される平均粒径(DTEM) が5〜30nmの範囲にあり、
C.X線回折から導かれるX線結晶粒径(Dx)が4nm以上であり、
D.前記DTEMをもつ各粒子が互いに間隔をあけて分散した状態にあり、そしてE.下記(1) 式を満たす粒子が100個のうち95個以上であり且つ下記(2) 式を満たしているこ
と、
を特徴とする磁性合金粒子の集合体を提供する。
0.90Xav≦X1,2,・・・X100≦1.10Xav ・・・(1)
1,2,・・・X100の標準偏差σ≦20% ・・・(2)
ただし、Xavは前記の組成式〔TX1-X〕のXの値について、粒子の集合体として実測された値 (粒子集合体の平均組成におけるXの値) を表し、X1,2,・・・X100は、当
該集合体のTEM―EDX測定において、測定視野内に粒子が1000個以上入っている状態で任意に選んだ100個の粒子Xnについて、それらの粒子個々に測定された該組成
式のXの値を表す。
本発明に従う磁性合金の各粒子は、好ましくは少なくとも1nm以上の間隔をあけて分散した状態にあり、この状態で流動性を有することができる。特に各粒子の表面に界面活
性剤が被着しているのが好ましい。本発明に従う磁性合金粒子の集合体はX線結晶粒径(
Dx)が6nm以上で保磁力Hc1000Oe 以上を示す。
TとM以外の金属元素としては本発明の合金を製造する過程で使用した結晶核誘発剤から由来するN成分として、Au、Ru、Rh、OsおよびIrの群から選ばれる少なくと
も1種であるか、またはfct結晶構造転移温度(Tt)を低下させるのに機能するZ成分としてAg、Cu、Sb、BiおよびPbの群から選ばれる少なくとも1種であること
ができる。
本発明の好ましい態様を、本発明で特定する事項ごとに以下に具体的に説明する。
〔磁性合金の成分組成〕
本発明の磁性合金粒子の集合体(以下、磁性粉と呼ぶことがある)は、少なくともFe
および/またはCoと、Ptおよび/またはPdを含む磁性合金からなる。
本合金は、TをFeとCoの1種または2種、MをPtとPdの1種または2種としたとき、式〔TX1-X〕におけるXが0.3〜0.7の範囲となる組成比でTとMを含有
し、残部は、TとM以外の金属元素と製造上の不可避的不純物とからなる。TとM以外の金属元素は(T+M)に対する原子百分比で30 at.%以下(0 at.%を含む)である。
式〔TX1-X〕のXの値については、面心正方晶を形成する組成としてはX=0. 5が理想的である。しかし、X:0. 3〜0. 7の範囲でも面心正方晶を10〜100%の
範囲で有する金属組織を得ることができる。TとM以外の金属元素は、相転移に影響を与える金属元素(Z成分という)と、結晶核誘発剤として使用する金属元素(N成分という
)とがあり、これらZ成分とN成分の合計量が(T+M)に対する原子百分率で30 at.%(0 at.%を含む)以下の量で含有することができる。場合によっては20 at.%以下
、さらには10 at.%以下であってもよく、0 at.%の場合もある。
Z成分において相転移に影響を与えるとは、ポリオール法によるFePt粒子合成の際にfcc構造からfct構造への結晶構造転移温度(Tt) を低下させる作用を有するこ
とを意味する。具体的には、そのZ塩を添加しておくと、金属に還元されたさいにそのZ金属が結晶粒界または粒界に偏析して、前記の作用を示すようなものである。このような
作用を有する金属元素としてはAg、Cu、Sb、Bi、Pbなどがある。Z成分に関しては、その塩がポリオールで還元されることが重要である。Z成分の含有量はTとMの合
計量に対して30 at.%未満であるのがよい。Z/(T+M)の原子百分比が30 at.%以上であると、Z成分が多くなりすぎてfct構造の発現を阻害するため、磁気特性の急
激な悪化が起きるので好ましくない。なお、Z成分は必須ではなく、Z成分無添加でもf
ct構造が得られる場合には、Z成分は含有しなくてもよい。
N成分は、本合金製造時に用いた結晶核誘発剤由来のT、M、Z以外の残留金属元素である。N成分の含有量はTとMの合計量に対して20 at.%未満であるのがよい。N/(
T+M)の原子百分比が20 at.%以上であると、N成分が多くなりすぎてfct構造の発現を阻害するため、磁気特性の急激な悪化が起きるので好ましくない。本合金製造時に
用いることができる結晶核誘発剤は、T、M、Zの金属元素と同じ金属の塩の場合もある。この場合のN成分はT、M、Z成分のどれかと一致することになるから、T、M、Z以
外のN成分は合金組成には含まれないことになる。しかし、結晶核誘発剤の金属成分がT、M、Zの金属元素と同じ場合は、後述のように、主構成元素であるT、M成分や、結晶
構造転移温度低減元素であるZ成分とは、それらの金属塩とは異なる金属塩が結晶核誘発剤として用いられる。本発明の合金製造時に不可避的に混入する不純物等については、特
性に大きな影響を与えない限りその含有が許容される。許容される不純物の含有量は5重
量%以下、好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。
本発明に従う磁性粉は非常に微粒子であっても、各粒子の合金組成が非常に均斉である点に特徴がある。以下に、本発明の合金粒子の特徴を具体的に説明するが、説明を簡便に
するためにT=Fe、M=Ptである場合のFePt粒子を例として説明する。しかし、Feに代えてCoを、或いはCoに代えてPdを用いた合金の場合も全く同様であり、F
ePt粒子はあくまで例示である。
FePt粒子の1個1個の組成分析はTEM−EDX(TEM−EDSとも呼ばれる)で実施することができる。TEM(透過電子顕微鏡)においてナノブローブ電子線を用い
たエネルギー分散型X線分光法(EDX)は測定範囲を1〜2nmに絞ることができる。このため、測定対象とするFePtナノ粒子が個々に分散して互いに離れた位置にあれば
各粒子ごとの組成分析が可能である。このようTEM−EDXの測定装置として、例えば日立社製透過電子顕微鏡(Transmisson Electron Microscope :HF−2000:加速電
圧200kV)やTEM―EDX(NORAN Instruments社製 VANTAGE)がある。なお、これまでTEM−EDSとして使用されている用語も本明細書ではTEM−E
DXに含まれるものとして取り扱う。
本発明に従う磁性粉の粉末として平均組成は、粉末を酸により完全に溶解したものをICP測定に供することによって得られる。TEM−EDXの測定において、視野内に存在
する全粒子(1000個以上)について測定された個々の組成を平均した値を平均組成と
することもできる。
本発明によると、粉末としての平均組成と各粒子の個々の組成との間に式(1) と式(2)
の関係を実質上満足したFePtナノ粒子粉末を提供する。
0.90Xav≦X1,2,・・・X100≦1.10Xav ・・・(1)
1,2,・・・X100の標準偏差σ≦20% ・・・(2)
avは、組成式〔TX1-X〕のXの値について、粉体として実測された値 (粒子集合体の平均組成におけるXの値) であり、X1,2,・・・X100は、当該粉体のTEM―ED
X測定において、測定視野内に粒子が1000個以上入っている状態で任意に選んだ100個の粒子について測定された個々のXの値を表す。(1) 式を実質上満足することは、1
00個の個々の粒子のX成分が、集合体(粉体)のX成分の平均値に対して±10%の範囲内に収まっていることを意味している。ただし100個のうち5個以下の粒子がこの条
件を外れても磁気記録用等の用途において許容できる。このことを「(1) 式を満たす粒子が100個のうち95個以上である」と定義している。(2) 式を満たすことは、該100
個の個々の粒子のX成分値のバラツキの程度を表す標準偏差σが20%の範囲に収まって
いることを意味している。
図1にFeとPtの二元系平衡状態図を示した。図1に見られるように、組成が異なるとfcc→fct構造への転移温度が変化することがわかる。したがって、粒子個々の組
成が異なっていると、同一の温度で熱処理を実施しても、ある粒子はfct構造へ相変化するが、ある粒子は相変化しない(或いは部分的にしか相変化しない)といった現象が起
き、粒子ごとに磁気特性が異なることになる。最悪の場合は、粉体の平均組成ではPtが35〜55at% の範囲(図1のFePtの範囲)にあっても、或る粒子ではPtの含有量
がこの範囲を外れることもあり得る。この場合には、いくら熱をかけてもその粒子はfct構造に相変化しなくなる。磁気記録用途では、このような粒子ごとの磁気特性の変動は
、書き込み不良やデータの消失がおきるため、致命的な問題となる。
最近のハードディスクでは、磁気記録の高密度化に伴って、記録ビットの寸法が、トラック方向も含め、極端に微小化している。この微小化は、今日では薄膜磁気記録媒体を構
成する結晶粒の寸法に近づいている。例えば、記録ビットの占有面積は10Gbit/in2では0.063μm2、50Gbit/in2では0.013μm2、100Gbit/in2では0.
0063μm2となり、磁性膜の平均結晶粒径を15nmとすると、1ビットに含まれる結晶粒の数はそれぞれ、278個、56個、28個程度になる(「記録・メモリ材料ハン
ドブック」、逢坂哲彌・山崎陽太郎・石原宏編参照)。このように磁気記録が高密度化されてゆく程、粒子1つ1つの特性の均一性が重要になる。例えば100Gbit/in2で考え
ると、28個の磁性粒子のうち1個の粒子が非磁性であると、その記録ビットの信号出力は3.6%小さくなってしまう。かりに28個中3個の磁性粒子が非磁性であると出力が
10.7%も低下してしまう。このような出力の変動は、データのエラーレートの上昇、書き込み不良やデータの消失などが起き、高記録密度磁気記録媒体にとっては好ましくな
い。
FePt粒子の場合、FeとPtの比で考えるとFeが45〜65at%(Ptでは35〜55at%)以外では、強磁性を発現するfct 構造にならない。このため、個々の粒
子の磁気特性を均一にするには、まず、個々の粒子の組成がこの範囲で均一なければならないが、その組成がたとえfct構造を発現する範囲内であっても、実際には個々の粒子
のfct 構造の割合が異なることもある。個々の粒子のfct 構造割合が異なっていると、個々の粒子の磁気特性にバラツキを生じてしまう。また仮に、すべての粒子がfct 構造単相
になっていたとしても、FeとPtの含有割合、いわゆる組成が異なると、結晶磁気異方性定数や飽和磁化等の磁気特性が必ず異なってくる。結局、どのような場合を想定しても
、個々の粒子の組成のバラツキは、個々の磁気特性のバラツキにつながる。よって、個々の粒子の組成を均一にすることは、高記録密度磁気記録用には必須の要件であると言える
。だが、FePtナノ粒子において個々の粒子の組成が均一な合金粒子を得るのは従来の技術では極めて困難である。本発明によれば、ポリオール法でFePtナノ粒子の合金を
合成する場合に結晶核誘発剤を用いて適正に還元反応を制御すると、これが実現できることが判明し、前記の(1) 式を実質上満足し且つ(2) 式を満たすFePtナノ粒子粉末が提
供される。
〔磁性合金の組織〕
本発明の磁性合金は、面心正方晶(fct構造:L10規則相)の割合が10%以上100%以下である。一般に、金属組織中における或る金属相の割合(その結晶構造の割合)
は、X線回折のピーク強度の比較によって行われる場合が多い。しかし、本発明が対象とするFePt合金などでは、fcc構造(面心立方晶)とfct構造(面心正方晶)のX
線回折パターンが殆ど同じであり、またfct構造のみから得られる(001)と(110)の反射は強度が非常に弱いので、これらのピークだけで定量化を行うことは困難であ
る。しかし、メスバウワー分光法で計測されるFePt合金についての強磁性構造の割合を解析することによって、そのfct構造の割合を算出することができる。本発明におい
ては、FePt粒子のfct構造の割合については、Fe原子のメスバウアー分光測定による強磁性構造の割合の解析によって、すなわち、Fe原子のメスバウアー分光測定によ
る磁気秩序下にあるFe原子の個数割合を求めることによって、これをfct構造の割合
とする。
fct構造すなわち面心正方晶の割合(容積%)が10vol.%未満では磁気異方性が小さくなり、磁気記録材料として必要な保磁力および熱安定性が得られない。ある磁気記録
装置の書き込みヘッドの書き込み磁界では、あまり保磁力が高い磁気記録材料では、書き込み不可能の場合がある。このようなときは、fct構造の割合を調整してこの書き込み
ができかつ十分な保磁力を示すようにすればよい。熱アシスト磁気記録にように、いったん媒体をキュリー点以上にしてから書き込む磁気記録方式では、fct構造が100vol.
%であっても問題ない。強力な永久磁石用途にはfct構造が100%である方がよい。本発明の磁性粉の面心正方晶(fct)の割合は体積割合で10〜100%、好ましくは
20〜100%、さらに好ましくは40〜100%、場合によっては50〜100%、更には60〜100%であるので、そして、各粒子においてfctの割合のバラツキも少な
いので、このような要求を十分に満足することができる。
〔粒径〕
本発明の磁性粉は、透過電子顕微鏡(TEM)観察による1次粒子の粒径の平均値(DTEM) が30nm以下、好ましくは20nm以下である。1次粒子はそれ以上には分けら
れない最小単位の粒子を言う。本発明に従って合成されたfct構造をもつFePt粒子粉末は、該合金粒子が合成され且つ粉末として回収された段階では、1次粒子の粒子間に
静磁場作用が働くことから、多数の1次粒子が群をなして存在することが多い。すなわち、多数の1次粒子が集まって一つの群をなし、この群の多数が分散した状態に成りやすい
。多数の1次粒子からなる一つの群を2次粒子と言う。この2次粒子の粒径は合成反応の条件によって様々であるが、約100μm程度になる場合もある。しかし、このような2
次粒子が形成されていても、全体として流動性を有する粉体を構成している。
本発明者は、合成直後の2次粒子が存在するFePt粒子粉末に対して、適正な界面活性剤等の分散剤の存在下での適正な分散処理を施すと、一次粒子が互いに所定の間隔をあ
けて分散した状態とすることができることを見い出した。この方法の詳細は後述する。TEM観察での平均粒径の測定にあたっては、この方法で分散させた状態で測定すれば、1
次粒子の平均粒径を正確に計測できる。
FePt粒子粉末を磁気記録に用いる場合、その粒子の粒径が記録密度と密接に関係する。一般に、粒径が小さいほど、記録密度を高めることができる。本発明に従うFePt
粒子粉末はTEM観察による1次粒子の粒径の平均値(DTEM) が30nm以下で、好ま
しくは5nm以上であり、この点でも磁気記録用に適する。
〔X線結晶粒径(Dx)〕
本発明の磁性粉は、結晶粒子径Dが4.0nm以上、好ましくは5.0nm以上、さらに好ましくは6.0nm以上である。FePt粒子の結晶粒径はX線回折結果から Scher
rer の式より求めることができる。このため、FePt粒子の結晶粒子径を本明細書では
X線結晶粒径(Dx)と呼ぶ。その求め方は、次のとおりである。
Scherrer の式は、次の一般式で表現される。
D=K・λ/β COSθ
式中、K:Scherrer定数、D:結晶粒子径、λ:測定X線波長、β:X線回折で得られた
ピークの半価幅、θ:回折線のブラッグ角をそれぞれ表す。
後記実施例では、Kは0.94の値を採用し、X線の管球はCuを用いた。このため前式は次
のように書き換えられる。
D=0.94×1.5405/β COSθ
この式でDを求める場合, FePt系の合金粒子のピークについては41°付近に観察される(111) のものを採用できる。他の成分系の合金粒子については、近接するピークと分
離可能な十分に大きなピークを採用すればよい。
FePt粒子の磁気異方性の起源は結晶構造に由来し、一般に、結晶磁気異方性といわれる。この結晶磁気異方性の強さ、磁化の安定性は、その粒子の結晶性、結晶粒子径の大
きさによって決まる。FePt粒子におけるfct構造時の磁化の安定性に関しては、X線結晶粒径(Dx)が小さすぎると、熱によるスピンの擾乱の効果が顕著になり出し、磁
化を持たない状態の超常磁性になる。そのため、X線結晶粒径(Dx)は、或る一定以上
の大きさを有することが必要である。
本発明者は本発明のFePt粒子のX線結晶粒径(Dx)が制御可能であることを見い出し、さらにX線結晶粒径(Dx)と磁気特性との関係を調らべた結果、X線結晶粒径(
Dx)が4.0nm以上、好ましくは5.0nm以上、さらに好ましくは、6.0nm以上とすることによって、良好な磁気特性を有するFePt粒子粉末が得られることがわか
った。
詳細は実施例に示すが、図3に見られるように、FePt粒子のX線結晶粒径(Dx)が4.0nmより大きくなると、それにつれて保磁力が高くなり、また図4に示されるよ
うに、X線結晶粒径(Dx)が4.0nmより大きくなると、それにつれて飽和磁化値(σs)も高くなることがわかった。本発明はこの知見事実に基いてFePt粒子粉末のX
線結晶粒径(Dx)を4.0nm以上と規定する。
〔磁気特性〕
本発明によるFePt粒子粉末はfct構造を有し且つ粒子個々の組成と組織にバラツキがなく、しかもX線結晶粒径(Dx)が4.0nm以上を有することから、室温での保
磁力Hcが100Oe 以上、好ましくは1000Oe 以上、さらに好ましくは1500Oe 以上を有する。磁気記録用途においては、保磁力Hcは1000Oe 以上であるのが好
適である。
飽和磁化量σsについては、20emu/g 以上、好ましくは30emu/g 以上、さらに好ましくは40emu/g 以上を有する。磁気記録用の磁性粉では飽和磁化量σsが30emu/g 未
満では書き込んだ情報が弱すぎて高感度ヘッドでも読み取りができない場合がある。本発
明に従うFePt粒子粉末はX線結晶粒径(Dx)が3nm以上になると飽和磁化量σs
が30emu/g 以上になる。
永久磁石や磁性流体でも、磁性粉の磁力が弱すぎるとモーターの駆動力が弱くなったり軸シールの耐圧が小さくなる。本発明の磁性粉は20emu/g 以上のσs値を有することか
ら、これらの用途にも好適である。生体分子標識剤やDDSではσsが20emu/g 未満では生体外からの検出が困難になる。本発明の磁性粉はそのようなことがなく、これらの用
途にも好適に適用できる。
本発明に従う磁性粉の角形比SQ(残留磁化/飽和磁化)は0.30以上、好ましくは0.40以上である。また本発明に従う磁性粉のSFDは1.1以下、好ましくは1.0
以下である。このようにSQが大きくSFDが小さいことは粒子個々の磁気特性にバラツキが少ないことを意味している。このことは、とくに高密度磁気記録のための磁性材料と
しての適性を有する。
〔製造法〕
本発明の磁性粉は、T成分とM成分を含む金属塩を、沸点が150℃以上の多価アルコールおよび/またはこれらの誘導体からなる液に固形分が残存しない状態にまで溶解し、
その溶液を不活性ガス雰囲気下で150℃以上の温度で該金属塩を該多価アルコールおよび/またはこれらの誘導体で還元し、この還元によって該合金の微粒子を合成する方法(
ポリオール法)において、次のような特徴的な手段 (a), (b), (c)および (d)を単独また
は複合して採用することによって有利に製造できる。
(a).前記の還元反応を大気圧より高い圧力に維持する(実施例1〜3)。
(b).還元温度に至るまでの昇温速度(厳密には50〜150に至るまでの平均昇温速を0
.2℃/分以上20℃/分以下の範囲に制御する(実施例1〜3)。
(c).還元反応を該合金の結晶核誘発剤の存在下で進行させる(実施例4)。
(d).合成されたFePt粒子粉末を界面活性剤またはカップリング剤で表面処理し、個々
の粒子が所定の間隔をあけて分散した集合体にする(実施例5〜10)。
これらの手段 (a)〜(d) を以下に説明するが、その前提となるポリオール法についてま
ず説明する。
〔ポリオール法〕
ポリオール法は、T成分とM成分を含む金属塩をポリオールに溶解し、そのポリオールでT成分とM成分の金属に還元することによって、〔TX1-X〕の合金粒子を得ること
を要旨とする(Xは0.3〜0.7の範囲)。本発明で使用する多価アルコールとしては、エチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールが好ま
しい。しかし、これに限らず、沸点が150℃以上の多価アルコールまたはその誘導体であれば、本発明で使用できる。また150℃以上の多価アルコールまたはその誘導体は1
種のみでなく2種以上を混合して使用することもできる。
多価アルコール中に溶存させる金属の原料は金属錯体であることが好ましく、さらに好ましくはアセチルアセトナート錯体がよい。FePt粒子の場合は、FeおよびPtは、
鉄(III) アセチルアセトナートおよび白金 (II) アセチルアセトナートによって供給するのがよい。実際には、これらの鉄(III) アセチルアセトナートおよび白金 (II) アセチル
アセトナートを多価アルコールに完全に溶解したあと、その溶液を150℃以上の温度、好ましくは270℃以上の温度に不活性ガス雰囲気下に還流状態で昇温して還元反応を進
行させる。昇温前に金属塩が完全に溶解しないで固形分が残存していると、合成される個
々の粒子内外において組成や金属組織がバラツク原因となるので好ましくない。
この合成反応においては、その反応速度を適正に制御することが重要である。そのための方法として溶媒中の金属濃度の調整も重要である。すなわち金属原料の濃度を抑えるこ
とにより、生成する金属の過飽和度を低下させ、核発生および粒子成長の速度を低下させることができる。ポリオールと金属塩中に含まれる全ての金属イオンのモル比、すなわち
、ポリオール/全金属イオンのモル比が例えば100以上であるのがよい。
先に述べたfcc構造からfct構造への結晶構造転移温度(Tt) を低下させる作用を有する成分(Z成分)を当該合金に含有させたい場合には、ポリオールで還元可能なZ
成分の塩をこのポリオール法を実施する当該溶液中に溶解させておくのがよい。これにより、Z塩の金属塩もポリオールでZ金属に還元され、その金属成分が〔TX1-X〕合金
の粒界に偏析して(Tt) を低下させる作用を供する。このため、面心正方晶の割合が低いFePt粒子粉末をポリオール法で製造したあと、熱処理によって面心正方晶の割合を
高める場合には、Z塩の添加は有益である。しかし、十分量のfct構造をもつFePt粒子粉末がポリオール法での還元だけで合成できる場合には、このZ塩の添加は必ずしも
必要ではない。
〔前記手段 (a):加圧還元について〕
非特許文献2では大気圧下での還元反応によって保磁力370Oe のFePt粒子粉末が得られている。本発明者は、ポリオール法による還元反応を大気圧を超える圧力に保持
して該金属塩を該多価アルコールおよび/またはこれらの誘導体で還元すると、一層高い保磁力、例えば500Oe 以上のFePt粒子を製造できることを見い出した。大気圧を
超える圧力とは、大気圧よりも5Pa以上高い圧力である。好ましくは大気圧よりも10Pa以上、さらに好ましくは100Pa以上の圧力である。大気圧より高くしてもその差
圧が5Pa未満では500Oe 以上の保磁力を有するFePt粒子粉末を安定して得ることが困難でなる。他方、あまり高圧にして、例えば大気圧より10000Pa以上高い圧
力にすると、保磁力の向上効果が飽和に近づく共に、反応装置の耐圧構造を厳重にしなければならなくなり、経済的ではない。したがって、大気圧との差圧が10000Pa以内
、好ましくは5000Pa以内の圧力に収めるのがよい。そのさいの反応温度は270℃以上とするのが好ましく、これにより、fct構造を10vol.%以上有するFePt粒子
粉末を安定して製造することができる。しかし、反応温度があまり高くなると溶媒の蒸発
が激しくなるので、400℃以下、好ましくは350℃以下とするのがよい。
合成反応で得られるFePt粒子の異方性磁界Hkは、反応時間によっても変化する。一般に、反応時間の増加に伴ってHkが増加する。このため、充分大きなHkを得るため
には反応時間は1時間以上、好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3. 5時間以上と
するのがよい。この反応時間の間、前記の加圧状態に維持するのが好ましい。
〔前記手段 (b):昇温速度について〕
本発明者は、前記のポリオール法による還元反応において、還元温度に至るまでの昇温速度を操作すると、合成された合金粒子のX線結晶粒径(Dx)が変化することがわかっ
た。そして、合成された合金粒子粉末の磁気特性はそのX線結晶粒径(Dx)に大きく依存することが明らかとなった。具体的には、X線結晶粒径(Dx)が4nm以上のFeP
tナノ粒子粉末を得るには、前記の圧力および温度条件において、昇温速度を0.2〜20℃/分の範囲、好ましくは1〜20℃/分の範囲で調節するのがよく、この範囲を外れ
る昇温速度を採用した場合には、X線結晶粒径(Dx)が4nm以上のものを安定して得ることが困難となる。また、昇温速度が0.2℃/分より遅いと生産性の観点からも好まし
くない。ここで、本発明で言う昇温速度とは厳密には50℃から150℃に至るまでの平均昇温速度(℃/分)である。実際には、最終目標とする反応温度に近づいた時点では、
例えば最終目標温度より20℃ほど低い温度付近にまで達したら、実際の温度が目標の反応温度を超えてしまわないように、昇温速度を落としてゆっくりと目標温度まで昇温する
のが好ましい。
〔前記手段 (c):結晶核誘発剤について〕
本発明者は、前記のポリオール法による還元反応を結晶核誘発剤を用いて行わせると、合成された合金粒子の1個1個の組成にバラツキがなくなり、個々の粒子間の組成や組織
さらには磁気特性の変動を抑制できることを見い出した。すなわち結晶核誘発剤の使用の有無が粒子間組成のバラツキ低減のためのキーポイントになることを突き止めることがで
きた。
本発明で使用する結晶核誘発剤は、前記したように金属成分Nの塩である。N成分はT成分またはM成分と一致してもよいし、一致しなくてもよい。一致する場合には、その塩
は一致しないようにする。すなわち、還元に供する合金原料のT成分またはM成分の金属塩とは種類の異なる金属塩(ただし、多価アルコールに溶解可能な塩)を結晶核誘発剤と
して用いる。一致しない場合には、そのN成分としては例えばAu、Ag、Ru、Rh、Pd、Os、Ir等が挙げられ、その塩としては多価アルコール溶解可能な塩を用いる。
結晶核誘発剤の使用量は、NがTまたはMと異なる場合にはN/(T+M)の原子百分比が0.01〜20 at.%の範囲で使用するのがよい。NがTまたはMと一致する場合に
は、TとMが式〔TX1-X〕におけるXが0.3以上で0.7以下となる範囲内の量で使用するが、結晶核誘発剤中のTまたはMは合金原料中のT+Mに対して0.01 at.%
以上、20 at.%以下であるのがよい。結晶核誘発剤の使用量が0.01at% 未満では粒子個々の組成のバラツキ低減や反応の再現性改善に効果が見られず、また20at% を超え
る添加では、結晶成長を阻害するなどの害の方が大きく現れるようになるので好ましくな
い。
結晶核誘発剤の使用にあたっては、多価アルコール類にT成分とM成分を溶解した原料溶液に対して結晶核誘発剤を添加するのが実際的である。その添加タイミングとしては、
原料溶液の温度が150℃以下であることが望ましい。150℃を超えていると、例えばFePt粒子の主原料としての鉄(III) アセチルアセトナートおよび白金 (II) アセチル
アセトナートの一部が還元されて金属の結晶核がすでに発生している可能性があり、その状態で結晶核誘発剤を添加することは2次結晶核を誘発し、その結果、粒子個々の組成の
均一性等の粒子の均質化には寄与しない。
結晶核誘発剤はポリオール法による還元反応によって還元され易いことが望ましい。代表的には、結晶核誘発剤中の金属成分(N成分)の金属イオンの標準電極電位がAg以上
の値を有するものであるのが好ましい。その代表的なN成分例として、Au、Ag、Ru、Rh、Pd、Os、IrまたはPtなどが挙げられる。多価アルコール類にT成分とM
成分を溶解した原料溶液にさらに結晶核誘発剤を溶解させ、この液をN2、Ar、He等の不活性ガスの雰囲気下で150℃以上、好ましくは270℃以上にまで昇温するさいに
、結晶核誘発剤としてのN成分の金属イオンが、150℃以下好ましくは100℃以下で液中のポリオールによって金属に還元されることが望ましい。このため、結晶核誘発剤を
金属塩として添加する場合は、150℃以下の温度で当該ポリオールによってで還元されるような金属塩を選ぶ必要がある。Au、Ag、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptら
の塩化物、硝酸塩、硫酸塩等はこのような条件で還元されやすいので本発明の結晶核誘発剤として好適である。塩化物としては、例えば塩化金、塩化パラジウム、塩化白金酸が挙
げられる。
150℃以下では還元され難い金属塩であっても、それをポリオールに溶解して150℃を超える温度でいったん金属に還元し、この還元された金属を結晶核として懸濁したポ
リオールを結晶核誘発剤として使用することもできる。この場合も、T成分とM成分を溶
解した原料溶液に対しては、150℃以下の温度で添加するのが望ましい。
いずれにしても、T成分とM成分を溶解した原料溶液に対して結晶核誘発剤を添加するさいには、還元が起きないような低温で添加して完全に溶解させるか、還元が起きる温度
で添加する場合には一挙に添加するのがよい。連続的な添加や回分的な添加など時間をかけて添加する方法は好ましくない。なぜなら、その添加時の温度にもよるが、先に添加し
た結晶核誘発剤から発生した結晶核の成長と、後に添加した結晶核誘発剤からの新たな核
発生とが併存して、粒子個々の組成のバラツキを起こす原因になるからである。
このように、結晶核誘発剤を適正に使用すると、合成されるFePt粒子は粒子個々の間での組成の分布がシャープになり、均一組成の粒子からなるFePt粒子粉末を製造す
ることができる。すなわち、結晶核誘発剤の使用により、均一な核結晶の発生の時期を制御することができ、その結果、生成される粒子の組成分布、磁気特性、結晶粒径、粒子径
などの諸特性の分布がシャープになり、均一な粒子を作成できることがわかった。
結晶核誘発剤の導入により、粒子個々の間の組成の均一性が改善された明確な理由については必ずしも明確ではないが、およそ次のように考えられる。結晶核誘発剤が存在しな
い場合は、昇温工程中での核発生段階と結晶成長段階との分離ができていないため、核結晶が一度発生したあとも、2 次核の発生等が起き、その結果、粒子径や結晶粒径の分布が
ブロードになる。また、結晶核誘発剤が存在しない場合には、FePt粒子では還元されやすいPtが単独で還元されてFeとうまく合金化されずにいるか、または組成がずれた
合金が合成されるのではないかと考えられる。これに対して、結晶核誘発剤を導入すると、昇温工程中での核発生段階と結晶成長段階が分離される結果、一定の粒径や結晶粒径の
ものが生成すると同時に、ほぼ同時に発生した無数の核からFeとPtの一定組成の合金
が成長するものと考えられる。
〔前記手段 (d):分散体について〕
本発明者は、ポリオール法で合成された合金粒子の集合体を1次粒子の状態に分散させ
るのに有益な方法を見い出した。この方法の要旨は、
粒径の平均値が30nm以下である合金粒子(P)の群と、互いに相分離する液体状の有機媒体(A)および有機媒体(B)と、そして、界面活性剤として機能する有機媒体(
C)とが合体した合体物を準備する工程:
この合体物を強制攪拌または振とうすることにより、前記粒子(P)の表面に有機媒体
(C)が付着した粒子(CP)が懸濁した懸濁液を形成する工程:
この懸濁液を静置若しくは遠心分離することにより、前記の粒子(CP)の懸濁量が相対的に少ない有機媒体(A)が主成分の相(A相)と、前記の粒子(CP)の懸濁量が相
対的に多い有機媒体(B)が主成分の相(B相)に相分離する工程:
この相分離した状態から、前記のB相を回収する工程:および
得られたB相から必要に応じて有機媒体(B)を所望の量だけ乾燥する工程:からなる。この方法によると、各粒子が互いに間隔をあけて単分散した金属磁性粒子(FePt粒
子)の集合体を得ることができる。
本方法に用いる有機媒体(A)と有機媒体(B)とは互いに相分離するものである。有機媒体(A)としてはポリオールプロセスによってfct構造含有のFePtナノ粒子(
P)を直接合成した場合の反応後の液であることができ、この場合には、反応後の液中にFePtナノ粒子の群が存在する。この反応後の液は一般に各種の成分を含む。本発明者
の経験によると、このような反応後の液をTG−DTAで熱減量を計測したところ、400℃まで昇温しても20%程度の残物が測定された。このような高沸点な成分を含む溶液
はその後の取り扱いが困難である。また金属イオンなどの不純物を多く含むと高密度磁気記録用の磁性材料としての利用が困難となるが、このような高沸点成分や金属イオン等は
、前記の製造法によるとB相側に移動する量が少なくなるので、該反応後の液を有利に使
用できる。
有機媒体(A)として、このようなアルコール系の有機液体である場合には、有機媒体(B)としては水の溶解度が1wt%未満でかつ沸点が200℃未満である有機液体を使用
するのがよい。このような有機媒体(B)としてはヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルムなどが挙げられる。この有機媒体(B)は最終的に
加熱および/または減圧により、乾燥させることが容易であり且つ水の溶解度が低いので
媒体(B)中の不純物を水で洗浄することが可能となる。
本方法で用いる有機媒体(C)は界面活性剤であり、金属粒子表面に吸着しやすいN原子を有するアミン基、アミド基、およびアゾ基を有する有機化合物からなる界面活性剤、
さらにはチオール基またはカルボキシル基のいずれかを構造中に含有する有機化合物から
なる界面活性剤が好適に用いられる。
前記の方法において、回収されたB相は、各粒子の表面に界面活性剤(C)が所定の厚みで被着した状態のものであり、Cが被着した粒子(CP)は界面活性剤の溶媒親和性や
静電的反発力の効果により、粒子同士で反作用を受けて(B)液中で分散する。理想的には(B)液を蒸発除去すると、界面活性剤(C)が立体障害となって粒子同士が接するこ
とが妨げられ、各粒子の表面に存在する界面活性剤(C)によって所定の間隔を保って各粒子が分散した状態のFePtナノ粒子の集合体が得られる。このものを再び有機媒体(
B)に添加すれば、粒子同士が反作用を受けて液中で分散する懸濁状態に復元させること
もできる。
このように該粒子の単分散は各粒子の表面に界面活性剤が被着していることによって実現でき、FePt粒子は好ましくは互いに1nm以上の間隔をあけて分散媒中に分散する
。FePt粒子の分散媒中の濃度は1.0×10-5vol.%以上40vol.%以下であるのが好ましい。分散媒としては、水の溶解度が1wt%未満で沸点が200℃以下の有機液体(
B)と界面活性剤(C)とで構成されるのが好ましい。そのさい、動的光散乱法によってFePt粒子の平均粒径を測定すると、30nm以下、好ましくは10nm以下である。
別法として、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等のカップリング剤をFePt粒子粒子表面に被着させることにより、各粒子が
互いに間隔をあけて分散した状態で流動性を有するFePt粒子の集合体を製造することができるし、場合によっては、各粒子が互いに間隔をあけて分散した状態でその位置が固
定されたFePt粒子の集合体とすることもできる。
カップリング剤を粒子表面に吸着させた状態で例えば加水分解を行わせると金属粒子表面にSi酸化物層、Ti酸化物層、Al酸化物層を形成することができる。このような酸
化物層を表面に有すると、熱処理しても粒子間の焼結が防止される。このため、fct構造に相変態させる熱処理を施すさいにも粒子間の焼結が防止され、各粒子が互いに間隔あ
けて分散したfct構造の粒子からなる集合体を得ることができる。
〔熱処理〕
ポリオール法によって合成されたFePt粒子粉末がfcc構造主体の場合には、磁気記録に適用しようとするさいには、Tt温度以上での熱処理を施すことによってfct構
造主体のFePt粒子粉末に相変態させることが必要となる。本発明者は、合成されたFePt粒子粉末を前記のように分散させ、この状態で熱処理を施すと、熱処理後でも分散
した状態の集合体が得られることを見い出した。すなわち、ポリオール法による還元反応ではfct構造の割合が比較的少ないか、或いはfcc構造のFePt粒子粉末を製造し
、これを前記のように分散させた状態で熱処理を施こすことにより、各粒子が互いに間隔をあけて分散したfct構造主体の粒子の集合体を製造することができる。この熱処理は
、合成されたFePt粒子粉末を基板などの表面上で分散させた状態で行うことも可能である。これによって、基板上にfct構造の各粒子が所定の間隔をあけて配置された状態
のものを得ることもできる。
この熱処理は、先述のZ成分を含有したFePt粒子の場合には、その熱処理温度を低下させることができる。このため、ポリオール法によって合成されるFePt粒子粉末の
fct構造の割合が低い場合、或いはfcc構造の場合には、Z成分を含有したFePt
粒子を合成するのが有利になる。
このようにして、本発明によれば、高密度磁気記録媒体を構成するのに好適なFePt粒子粉末を提供することができる。このFePt粒子粉末は、このような磁気記録用材料
のみならず、ナノスケール・エレクトロニクス、永久磁石材料、生体分子標識剤、薬剤キ
ャリアなどにも好適に用いることができる。
〔実施例1〕
テトラエチレングリコール(沸点:327℃)2 00mLに、鉄(III) アセチルアセトナート=1.37m mol/Lと白金 (II) アセチルアセトナートを1.21m mol/L添
加し、鉄(III) アセチルアセトナートと白金 (II) アセチルアセトナートの固形分が存在しなくなるまで溶解した。この溶液を還流器のついた容器に移してオイルバスに載せ、容
器内に不活性ガスとして窒素ガスを400mL/minの流量で吹込みながら、該溶液を160rpmの回転速度で撹拌しつつ加熱し、300℃の温度で5時間の還流を行って、
反応を終了した。そのさい、昇温速度は15℃/min とした。また該容器のガス排出口に圧力調節弁付きの排気管を取付けておき、その調節弁の開度を調節することによって、容
器内の圧力を大気圧よりも3100Paだけ高い圧力に反応のあいだ一定に維持した。
反応終了後の液に3倍量のメタノールを添加したうえで遠心分離器にかけ、その後、上澄み液を取り除いた。上澄み液を除いたあとの残留分(粒子粉末)に再びメタノール10
0mLを添加して超音波洗浄槽に装填し、この超音波洗浄槽で該粒子粉末を分散させた。得られた分散液を遠心分離器にかけたあと上澄み液を取り除いた。得られた残留分(粒子
粉末)に対し、前記同様のメタノールを加えて超音波洗浄槽および遠心分離器で処理する洗浄操作を、さらに2回繰り返した。最後に上澄み液を分別して得られたFePtナノ粒
子粉末含有物を、透過電子顕微鏡(TEM)、X線回折(XRD)、組成分析および磁気測定(VSM)に供した。TEM観察にさいしては、FePt粒子粒子粉末含有物をヘキ
サン中に入れ、界面活性剤としてオレイン酸とオレイルアミンを添加したうえ、超音波分
散処理して得られた分散液の状態で測定に供した。
その結果、透過電子顕微鏡(TEM)から観測された1次粒子の平均粒径は8.4nmであった。X線回折の結果、超格子反射(001)と(110)に対応する回折ピークが
現れ、面心正方晶の存在が確認された。X線結晶粒径(Dx)は9.6nmであった。組
成分析の結果は、原子比でFe:Pt=52:48であった。
図2に、本例で得られたFePtナノ粒子粉末のヒステレシスループを示したが、図1に見られるように、保磁力Hc=2485Oe 、飽和磁化量σs=52emu/g 、角形比=
0.620、SFD=0.860であった。また、Fe原子のメスバウアー分光測定によ
るfct構造の割合は58%であった。
〔実施例2〕
昇温速度を12℃/min とした以外は実施例1を繰り返した。その結果、透過電子顕微鏡(TEM)から観測された1次粒子の平均粒径は8.2nmであった。X線回折では超
格子反射(001)と(110)に対応する回折ピークが現れ、面心正方晶の存在が確認された。X線結晶粒径(Dx)は8.4nmであった。組成分析では原子比でFe:Pt
=52:48であった。磁気測定の結果、保磁力Hc=2336Oe 、飽和磁化量σs=54emu/g 、角形比=0.620、SFD=0.880であった。また、Fe原子のメス
バウアー分光測定によるfct構造の割合は56%であった。
〔実施例3〕
昇温速度を2℃/min とした以外は実施例1を繰り返した。その結果、透過電子顕微鏡(TEM)から観測された1次粒子の平均粒径は7.9nmであった。X線回折では超格
子反射(001)と(110)に対応する回折ピークが現れ、面心正方晶の存在が確認された。X線結晶粒径(Dx)は6.2nmであった。組成分析では原子比でFe:Pt=
52:48であった。磁気測定の結果、保磁力Hc=1340Oe 、飽和磁化量σs=47emu/g 、角形比=0.490、SFD=1.08であった。また、Fe原子のメスバウ
アー分光測定によるfct構造の割合は32%であった。
〔比較例1〕
昇温速度を0.1℃/min した以外は実施例1を繰り返した。その結果、透過電子顕微鏡(TEM)から観測された1次粒子の平均粒径は6.8nmであった。X線結晶粒径(
Dx)は2.5nmであった。組成分析では原子比でFe:Pt=52:48であった。磁気測定の結果、保磁力Hc=2Oe 、飽和磁化量σs=14.9emu/g 、角形比=0.
003であった。Fe原子のメスバウアー分光測定によるfct構造の割合は0%であっ
た。
〔比較例2〕
テトラエチレングリコール(沸点:327℃)100mLに、鉄(III) アセチルアセトナート=2.539m mol/Lと白金 (II) アセチルアセトナートを1.269m mol/
L添加し、鉄(III) アセチルアセトナートと白金 (II) アセチルアセトナートの固形分が存在しなくなるまで溶解した。この溶液を還流器のついた容器に移してオイルバスに載せ
、容器内に不活性ガスとして窒素ガスを400mL/minの流量で吹込みながら、該溶液を160rpmの回転速度で撹拌しつつ加熱し、300℃の温度で3時間半の還流を行
って、反応を終了した。そのさい、昇温速度は10℃/min とした。容器内の圧力調整は
実施せず、大気圧と同じとした。
得られた反応生成物を実施例1と同様の方法で処理して測定に供した結果、透過電子顕微鏡(TEM)から観測された1次粒子の平均粒径は7.5nmであった。X線回折では
、超格子反射(001)と(110)に対応する回折ピークが現れ、面心正方晶の存在が確認された。X線結晶粒径(Dx)は3.7nmであった。TEM−EDXによる組成分
析では、FeとPtの組成比は、原子比でFe:Pt=55:45であった。磁気測定では、保磁力Hc=370Oe 、飽和磁化量σs=40emu/g 、角形比=0.25、SFD
=1.10であった。また、本例で得られたFePtナノ粒子粉末をメスバウアー分光測定に供したところ、Fe原子のメスバウアー分光測定によるfct構造の割合は38%で
あった。
〔図3〜図6〕について
図3〜図5において、前記の実施例1〜3および比較例1〜2のものに加え、さらに同じ使用原料のもとで反応条件(特に昇温速度)を変えて得られた数多くのFePtナノ粒
子粉末含有物について、X線結晶粒径(Dx)と磁気特性の関係を整理して示した。これらの結果から、FePtナノ粒子粉末の磁気特性はX線結晶粒径(Dx)と密接な相関を
有することがわかる。特に、図3からは、X線結晶粒径(Dx)が4.0nmより大きくなると、それにつれて保磁力が高くなることがわかる。図4からもX線結晶粒径(Dx)
が4.0nmより大きくなると、それにつれて飽和磁化値(σs)も高くなることがわかる。図5からはX線結晶粒径(Dx)とSFDについての相関は必ずしも明確ではないが
、6nm以上のX線結晶粒径(Dx)を有することによって、保磁力分布(SFD)が1
以下の安定した値に落ち着くことを示している。
磁気記録用材料としては、保磁力Hcは1000Oe 以上であることが好適であるが、本発明の実施例1〜3で得られたFePt粒子粉末はこの範囲内であるのに対し、比較例
1や2のものではこの範囲から外れている。図3からX線結晶粒径(Dx)が5.5nm以上で保磁力Hcは1000Oe 以上となり、6.0以上では安定して1000Oe 以上
となることがわかる。
同様に、磁気記録用材料としては、飽和磁化量σsは30emu/g 以上であることが好適であるが、本発明の実施例で得られたFePt粒子粉末はこの範囲内であるのに対し、比
較例1のものではこの範囲から外れている。図4から、およそX線結晶粒径(Dx)が3.0nm以上で飽和磁化量σsは30emu/g 以上となり、4.0以上では安定して30em
u/g 以上となることがわかる。
SFDについは磁気記録用には、1.10以下であることが好適であるが、本発明の実施例で得られたFePt粒子粉末はこの範囲内であるのに対し、比較例1や2のものでは
この範囲から外れている。図5から、およそX線結晶粒径(Dx)が5.0nm以上でS
FDは1.10以下となることがわかる。
図6は、前記の実施例1と同じ使用原料のもとで同様にしてFePt粒子粉末含有物質を製造した場合に、FeとPtの仕込み比(実施例1では50:50 at.%)変えて得ら
れたFePt粒子粉末含有物について、反応時の昇温速度がそれらのX線結晶粒径(Dx)にどのように影響するかを調べた結果をプロットしたものである。図6の結果から、仕
込み比が異なっても昇温速度が高いとX線結晶粒径(Dx)が大きくなることがわかる。また、Fe仕込み量が低いほど、X線結晶粒径(Dx)が大きくなる傾向にある。仕込み
比が同等である場合には昇温速度が高いほどX線結晶粒径(Dx)は大きくなり、X線結
晶粒径(Dx)は昇温速度と密接な相関を有することがわかる。
〔実施例4〕
テトラエチレングリコール(沸点:327℃)2 00mLに、鉄(III) アセチルアセトナート=1.37m mol/Lと白金 (II) アセチルアセトナートを1.21m mol/Lを
添加し、鉄(III) アセチルアセトナートと白金 (II) アセチルアセトナートの固形分が存在しなくなるまで溶解した。その後、結晶核誘発剤として、H2PtCl6・6H2Oを
0.0005m mol(結晶核誘発剤/全添加金属=1 at.%に相当)添加した。この溶液を還流器のついた容器に移してオイルバスに載せ、容器内に不活性ガスとして窒素ガスを
400mL/minの流量で吹込みながら、該溶液を160rpmの回転速度で撹拌しつつ加熱し、300℃の温度で5時間の還流を行って、反応を終了した。そのさい、昇温速
度は10℃/min とした。また反応の間, 実施例1と同様の方法により、容器内の圧力を
大気圧よりも3170Paだけ高い圧力に維持した。
得られた反応生成物を実施例1と同様の方法で処理して測定に供した結果、透過電子顕微鏡(TEM)から観測された1次粒子の平均粒径は8.4nmであった。X線回折では
fct構造に由来する超格子反射(001)と(110)に対応する回折ピークが現れ、面心正方晶の存在が確認された。X線結晶粒径(Dx)は9.5nmであった。Fe原子
のメスバウワー分光測定によるfct構造の割合の解析結果、fct構造の体積割合は5
9%であった。
TEM―EDS測定において、測定視野内に存在する1000個以上の粒子について測定した平均組成は原子比でFe:Pt=52:48であった。すなわち、Xav=52.0
at.%であった。また、そのうち任意に選んだ100個の粒子についての個々の組成分析
の結果、標準偏差σは10%であり、下記の(1) 式を満足しない粒子は2個であった。
0.90Xav≦X1,2,・・・X100≦1.10Xav ・・・(1)
磁気測定では、保磁力=1915Oe 、飽和磁化量σs =54emu/g 、SQ=0.60
、SFD=0.91であった。
〔比較例3〕
本例は特許文献1および非特許文献1を参考にして試験を行ったものである。 還流器付きのセパラブルフラスコにおいて20mLのジオクチルエーテル(dioctylether)に、
1,2 ヘキサデカンジオール(1,2 hexadecanediol) を1.5mmol と、Pt(acac)2を0.5mmol 添加し、ガラス攪拌羽根で攪拌しながらN2ガスバブリングを行った。ついで
100℃に加熱して30分保持した後、オレイン酸0.5mmol とオレイルアミン0.5mmol 添加し、さらにFe(Co)5を1mmol 添加した。次いで297℃まで昇温して3
0分間の還流を行い、その後は室温まで冷却し、エタノール40mL添加したうえ遠心分離を行い、得られたFePt粒子粉末含有物質をヘキサンに分散させ、実施例1と同様の
測定に供した。
その結果、TEM観察による粒径は3.7nmであり、X線回折の結果ではfct構造に由来する超格子反射(001)と(110)に対応する回折ピークは観察されず、fc
c構造に由来するピークのみであり、メスバウワー測定でのfct構造の割合は0%であった。X線結晶粒径(Dx)は2.1nmであった。 また、実施例4と同様のTEM―
EDS測定において、測定視野内に存在する1000個以上の粒子について測定した平均組成は原子比でFe:Pt=50.5:49.5であった。すなわち、Xav=50.5 a
t.%であった。また、そのうち任意に選んだ100個の粒子についての個々の組成分析の結果、標準偏差σは22%であり、前記の(1) 式を満足しない粒子は9個であった。磁気
測定では、保磁力=2Oe 、飽和磁化量σs =0.02emu/g であった。
〔比較例4〕
結晶核誘発剤を添加しなかった以外は実施例1を繰り返した。得られたFePt粒子粉末含有物質を実施例1と同様の測定に供した。その結果、透過電子顕微鏡(TEM)から
観測された1次粒子の平均粒径は8.4nmであり、X線結晶粒径(Dx)は5.3nmであった。X線回折ではfct構造に由来する超格子反射(001)と(110)に対応
する回折ピークはごく僅かに観測される程度であり、Fe原子のメスバウワー分光測定に
よるfct構造の割合の解析結果、fct構造の体積割合は16%であった。
TEM―EDS測定において、測定視野内に存在する1000個以上の粒子について測定した平均組成は原子比でFe:Pt=51.8:48.2であった。すなわち、Xav
51.8 at.%であった。また、そのうち任意に選んだ100個の粒子についての個々の組成分析の結果、標準偏差σは21%であり、前記(1) 式を満足しない粒子は6個であっ
た。磁気測定では、保磁力=182Oe 、飽和磁化量σs =39emu/g 、SQ=0.17
、SFD=1.09であった。
〔比較例5〕
前記の比較例2(非特許文献2を参考にした例)で得られたFePt粒子粉末含有物質について、実施例4と同様のTEM―EDS測定において、測定視野内に存在する100
0個以上の粒子について測定した平均組成は、原子比でFe:Pt=55.1:44.9であった。すなわち、Xav=55.1 at.%であった。また、そのうち任意に選んだ10
0個の粒子についての個々の組成分析の結果、標準偏差σは16%であり、前記(1) 式を
満足しない粒子は6個であった。
〔図7〜図10について〕
上記の実施例4を同一条件で3バッチ実施し、さらに、実施例4とは結晶核誘発剤の添加量だけを変化させたものを3バッチ実施し、さらに比較例4を同一条件で17バッチ実施
し、得られた各FePt粒子粉末含有物質の特性を、結晶核誘発剤の使用の有無および添加量との関係で整理して、図7〜図10に総括して示した。これらの図から明らかなよう
に、結晶核誘発剤が無添加では磁気特性にバラツキが発生するのに対し、結晶核誘発剤用いると、バラツキが少なくなり、安定した磁気特性を示すことがわかる。すなわち、個々
の粒子の間での組成分布は結晶核誘発剤の使用によって著しくシャープになることが明ら
かである。
〔実施例5〕
テトラエチレングリコール100mlに鉄(III) アセチルアセトナートと白金(II)アセチルアセトナートをそれぞれ0.13mmol添加した。この液に窒素ガスを400ml
/minの流量で吹込みながら160rpmで撹拌し続けると共に、320℃で還流を行いながら3.5時間反応を行わせた。これによりFePtの微粒子が析出した懸濁液を得
た。FePt微粒子は互いに凝集した状態にあった。この懸濁液は、テトラエチレングリコール(TEG)を主成分とする有機媒体(A)中に、FePtナノ粒子(P)の群が互
いに接触し合って(凝集状態で)存在した状態にある。この懸濁液を(A+P)液と記す
得られた懸濁液の(A+P)液に、界面活性剤として(有機媒体Cとして)オレイン酸とオレイルアミンを、液中の全金属量に対してそれぞれ4倍のモル濃度となる量で添加し
、80℃で1時間攪拌を行なったのち、振動数5Hz、振動距離2cmで10時間の振と
うを行なった。これにより(A+P+C)の懸濁液を得た。
他方、シクロヘキサン(有機媒体B)100mlに対して、オレイン酸とオレイルアミン(有機媒体C)を前記の懸濁液の場合と同量で添加し、攪拌して完全に溶解させ、これ
により(B+C)の液を得た。
前記の(A+P+C)の液35mlと前記の(B+C)の液35mlとを一つの容器に入れ、振動数5Hz、振動距離2cmで10時間振とうを行なった。得られた混合液を静
置し次いで遠心分離することにより、A液を主成分とするA相と、B液を主成分とするB相の2相に相分離させ、A相とB相に分別した。分別したB相の液にはFePt微粒子が
多く懸濁しているのが観測される。
次に、このB相の液35mlと純水35mlとを一つの容器に入れ、振動数5Hz、振動距離2cmで10時間振とうを行なった。得られた液を静置し、次いで遠心分離するこ
とにより、水を主成分とするW相と、B液を主成分とするB’相の2相に分離させ、W相
とB’相を分別した。B’相にはFePt微粒子が懸濁しているのが観測される。
得られたB’相を透過電子顕微鏡(TEM)で観測した。観測に当たってはB’相を基板に塗布したうえB’相を自然乾燥させた。TEM観察による粒径の平均値は5.2nm
、標準偏差が1.0nm、平均粒子間隔は3.3nmであった。また粒径の幾何平均値は5.1nm、幾何標準偏差は1.2であった。その状態を図11のTEM写真に示した。
図11に見られるように、各粒子は上記のほぼ等しい間隔をもって分散しながら2次元的に広がりをもつ単層膜を形成していることがわかる。このことから、各粒子表面には界面
活性剤が均一に被着されており、立体障害効果をもたらしていることがわかる。
このB’相の粒子濃度は7.85×10-4wt%であり、このFePtナノ粒子の集合体とシクロヘキサンおよび界面活性剤の合計が99.5wt%であった。したがって、それ
以外の他の不純物は0.5wt%以下である。また動的光散乱法による平均粒径は5nmで
あった。
このものをEDXよる組成分析したところ、Fe:Pt=59:41のFePt粒子であった。またこの粒子をFeメスバウアー分光測定にかけたところ、室温でL10規則相の
強磁性秩序に対応する吸収スペクトルが観測され、フィッティングにより求めたL10規則相の割合は52vol.%であった。そして、SQUIDによる保磁力Hcと飽和磁化σsを
測定したところ、Hcが125kA/m、σsが51Am2/kgであり、DSC測定に
よる結晶構造転移開始温度Ttは300℃であった。
〔実施例6〕
シクロヘキサン側に添加した界面活性剤(有機媒体C)を、すべて(A+P+C)の懸濁液の側に移し変えて添加した以外は、実施例5を繰り返した。すなわち、実施例5と同
じ方法で、(A+P+2C)の懸濁液を製造した。この(A+P+2C)の液35mlとシクロヘキサン(有機媒体B)35mlとを一つの容器に入れ、振動数3Hz、振動距離
10cmで10時間振とうを行ない、以後は、実施例5と同じ処理を繰り返して、B’相
を得た。得られたB’相は実施例5のものと殆んど変わらないものであった。
〔実施例7〕
80℃で1時間の攪拌を付与しなかった以外は実施例5と同様にして(A+P+C)の懸濁液を得た。この(A+P+C)の懸濁液に、実施例5と同様にして(B+C)の液を
添加し、以後は、実施例5と同様の処理を繰り返し、B’相を得た。得られたB’相は実
施例5のものと殆んど変わらないものであった。
〔実施例8〕
シクロヘキサン側に添加した界面活性剤(有機媒体C)を、すべて(A+P+C)の懸濁液の側に移し変えて添加し、且つ80℃で1時間の攪拌を付与しなかった以外は、実施
例5と同様にして(A+P+2C)の懸濁液を製造した。この(A+P+2C)の液35mlとシクロヘキサン(有機媒体B)35mlとを一つの容器に入れ、振動数3Hz、振
動距離10cmで10時間振とうを行ない、以後は、実施例5と同じ処理を繰り返して、
B’相を得た。得られたB’相は実施例5のものと殆んど変わらないものであった。
〔実施例9〕
実施例5と同じ製法で得た懸濁液の(A+P)液に、実施例5と同様にオレイン酸とオレイルアミン(有機媒体C)を、液中の全金属量に対してそれぞれ4倍のモル濃度となる
量で添加し、振動数3Hz、振動距離10cmで5時間の振とうを行なった。次いで、超音波を1時間照射し、さらに、振動数3Hz、振動距離10cmで5時間の振とうを行な
って、(A+P+C)の懸濁液を得た。この(A+P+C)の懸濁液に、実施例5と同様にして(B+C)を添加し、以後は、実施例5と同じ処理を繰り返してB’相を得た。得
られたB’相は実施例5のものと殆んど変わらないものであった。
〔実施例10〕
シクロヘキサン側に添加した界面活性剤(有機媒体C)を、すべて(A+P+C)の懸濁液の側に移し変えて添加した以外は実施例9と同様にして、超音波照射後の(A+P+
2C)の懸濁液を得た。この(A+P+2C)の液35mlとシクロヘキサン(有機媒体B)35mlとを一つの容器に入れ、振動数3Hz、振動距離10cmで10時間振とう
を行ない、以後は、実施例5と同じ処理を繰り返して、B’相を得た。得られたB’相は
実施例5のものと殆んど変わらないものであった。
〔比較例6〕
テトラエチレングリコール100mlに, 鉄(III) アセチルアセトナートと白金(II)
アセチルアセトナートをそれぞれ0.13mmol添加した。この液に窒素ガスを400ml/minの流量で吹込みながら160rpmで撹拌し続けると共に、320℃で還流
を行いながら3.5時間反応を行わせた。これによりFePtの微粒子が析出した懸濁液
を得た。
得られた混濁液100mLに対しメタノール400gを添加し、5 号ビンに分取し、日立工機株式会社製の小型冷却遠心機(ローター型式RT3S3 )を用いて、3000rpmで
2時間分離操作を実施し、上澄みと沈殿物を得た。
上澄みは廃棄した後、該5号ビンに、30mLのメタノールをいれ、超音波洗浄機で30分かけて分散させ、この間、スプーンで底をこするなどし、底に付着した沈殿物がなく
なることを確認した。得られた混濁液を前記と同じ遠心分離機で3000rpmで30分間処理し、上澄みと沈殿物を得た。この操作をさらにもう1 回繰り返して、FePt粒子
の沈殿物を得た。このようにして得られたFePt粒子の集合体のTEM写真を図12に示した。図12に見られるように、このFePt粒子激しく凝集していることがわかる。
〔比較例7〕
テトラエチレングリコール100mlに鉄(III) アセチルアセトナートと白金(II)アセチルアセトナートをそれぞれ0.13mmol添加した。この液に窒素ガスを400ml
/minの流量で吹込みながら160rpmで撹拌し続けると共に、320℃で還流を行いながら3.5時間反応を行わせた。これによりFePtの微粒子が析出した懸濁液を得
た。FePt微粒子は互いに凝集した状態にあった。
得られた混濁液をそのまま、5 号ビンに分取し、日立工機株式会社製の小型冷却遠心機(ローター型式RT3S3 )を使用して、3000rpmで2時間分離操作を実施したが、ほ
とんど、沈殿物は得られなかった。
Fe−Ptの二元系平衡状態図である。 本発明に従う磁性粉の磁気特性(ヒステレシテループ)の例を示す図である。 本発明に従う磁性粉のX線結晶粒径(Dx)と保磁力との関係を示す図である。 本発明に従う磁性粉のX線結晶粒径(Dx)と飽和磁化値との関係を示す図である。 本発明に従う磁性粉のX線結晶粒径(Dx)とSFDとの関係を示す図である。 FeとPtの仕込み比を変えた場合の反応時の昇温速度とX線結晶粒径(Dx)の関係を示す図である。 FePt粒子粉末の保磁力(Hc)に及ぼす結晶核誘発剤の影響を示す図である。 FePt粒子粉末の飽和磁化量(σs)に及ぼす結晶核誘発剤の影響を示す図である。 FePt粒子粉末のSFDに及ぼす結晶核誘発剤の影響を示す図である。 FePt粒子粉末のX線結晶粒径(Dx)に及ぼす結晶核誘発剤の影響を示す図である。 本発明に従うFePtナノ粒子の集合体の例を示す電子顕微鏡(TEM)写真(30万倍)である。 比較例に従うFePtナノ粒子の集合体の例を示す電子顕微鏡(TEM)写真(30万倍)である。

Claims (3)

  1. FeとPtからなり、Fe X Pt 1-X とするとき、Xが0.3以上で0.7以下の範囲となる組成比でFeとPtを含有し、残部が製造上の不可避的不純物からなる磁性合金の粒子の分散液であって、該磁性合金粒子は
    A.面心正方晶の割合が10〜100%であり、
    B.TEM観察により測定される磁性合金粒子の平均粒径(DTEM)が5〜30nmの範囲にあり、
    C.磁性合金粒子のX線回折から導かれるX線結晶粒径(DX)が4nm以上であり、
    D.前記DTEMの各粒子が互いに間隔をあけて分散した状態にあり、
    E.下記の(1)式を満たす粒子が100個のうち95個以上であり、且つ下記の(2)式を満たしているともに
    F.該磁性粒子の保磁力は1000Oe以上であり
    G.水の溶解度が1wt%未満でかつ沸点が200℃未満である有機媒体に分散されている
    ことを特徴とする磁性合金粒子の分散液
    0.90Xav≦X1、X2、・・・X100≦1.10Xav・・・(1)
    1、X2、・・・X100の標準偏差σ≦20% ・・・(2)
    ただし、Xavは前記の組成式〔Fe X Pt 1-X 〕のXの値について、粉末として実測された値(粉末の平均組成におけるXの値)を表し、X1、X2、・・・X100は、当該粒子のTEM−EDX測定において、測定視野内に粒子が1000個以上入っている状態で任意に選んだ100個の粒子Xnについて、それらの粒子個々に測定された該組成式のXの値を表す。
  2. 各粒子の表面に界面活性剤が被着している請求項1に記載の磁性合金粒子の分散液
  3. 粒子と粒子の間に、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤またはアルミネートカップリング剤の少なくとも1種のカップリング剤が配位している請求項1に記載の磁性合金粒子の分散液
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