JP4540579B2 - 蛍光強度算出方法及び蛍光強度算出装置 - Google Patents
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Description
このような補正として、例えば下記特許文献1に開示される蛍光値補正方法が挙げられる。
このため、同時に計測される識別可能な蛍光の種類は、光電変換器の配置数に応じて制限されるといった問題が生じる。
なお、標識サンプルとは、例えば、蛍光色素により標識された細胞やマイクロビーズである。
また、前記検出センサの個数をm個、前記蛍光色素の種類をn種類としたとき、2・m≧n+1を満足することが好ましい。
その際、前記補正変換行列の作成において、前記補正変換行列を作成するために前記第1のキャリブレーションにより求められる前記ゲイン定数を用いる際、各検出センサの検出値から得られるゲイン定数を、これらのゲイン定数のうち最大となるゲイン定数で規格化して用いることが好ましい。
また、前記第2のキャリブレーションにおいて、前記緩和時定数及びゲイン定数を求めるときに用いられる検出値は、前記検出センサで検出された信号波形のcos成分及びsin成分の振幅値であり、この位相情報を含む検出値は前記標識サンプルの1つ1つに対して収集され、これら複数の標識サンプルの検出値から代表値を抽出して前記第2のキャリブレーションに用いることが好ましい。
図1は、本発明の強度変調したレーザ光による蛍光強度検出装置を用いたフローサイトメータ10の概略構成図である。
管路30の出口には、回収容器32が設けられている。フローサイトメータ10には、レーザ光の照射により短時間内に標識サンプル12中の特定の細胞等の生体物質を分離するためのセル・ソータを配置して別々の回収容器に分離するように構成することもできる。
レーザ光を出射する光源として例えば半導体レーザが用いられ、例えば5〜100mW程度の出力でレーザ光が出射される。一方、レーザ光の強度を変調する周波数(変調周波数)は、その周期が蛍光緩和時間に比べてやや長い、例えば10〜100MHzである。
なお、本発明においては、1つのレーザ光の他に、波長の異なる3つのレーザ光、例えばλ1=405nm、λ2=533nmおよびλ3=650nm等のレーザ光を同時に出射させるように構成してもよい。この場合、ダイクロイックミラーを用いて、3つのレーザ光を1つの光束にまとめて照射するとよい。また、レーザ光の照射により蛍光がR,G,Bのうちどのレーザ光に反応したものであるかを識別することができるように、各レーザ光に互いに直交する符号化系列の信号情報を含ませるとよい。詳細は、本願出願人の出願である特願2005−37399号に詳細に記載されている。
図2は、受光部26の一例の概略の構成を示す概略構成図である。
レンズ系26aは、受光部26に入射した蛍光を光電変換器27a〜27cの受光面に集束させるように構成されている。
信号生成部40は、レーザ光の強度を所定の周波数で変調(振幅変調)するための変調信号を生成する部分である。
具体的には、信号生成部40は、発振器46、パワースプリッタ48及びアンプ50,52を有し、生成される変調信号を、レーザ光源部22に供給するとともに、信号処理部42に供給する部分である。信号処理部42に変調信号を供給するのは、後述するように、光電変換機27a〜27cから出力される蛍光信号の位相差検出のための参照信号として用いるためである。なお、変調信号は、所定の周波数の正弦波信号であり、10〜50MHzの範囲の周波数に設定される。
分析装置80は、本発明の蛍光強度算出装置に対応しており、後述する蛍光強度算出方法を実施する。
分析装置80は、コンピュータ上で所定のプログラムを起動させることにより構成される装置であり、CPU82、メモリ84、入出力ポート86の他に、ソフトウェアを起動することによって形成される第1キャリブレーションユニット88、第2キャリブレーションユニット90及び強度算出ユニット92を有する。また、分析装置80にはディスプレイ94が接続されている。
メモリ84は、コンピュータ上で実行することにより、第1キャリブレーションユニット88、第2キャリブレーションユニット90及び強度算出ユニット92を形成するプログラムを格納したROMと、第1キャリブレーションユニット88、第2キャリブレーションユニット90及び強度算出ユニット92により算出された処理結果や入出力ポート86から供給されたデータを記憶するRAMと、を備えている。
入出力ポート86は、コントローラ44から供給される蛍光信号のcos成分(実数部)、sin成分(虚数部)の検出値の入力を受け入れるとともに、第1キャリブレーションユニット88、第2キャリブレーションユニット90及び強度算出ユニット92で作成された処理結果の値やスキャッタグラム等の情報をディスプレイ94に出力するために用いられる。
ディスプレイ94は、第1キャリブレーションユニット88、第2キャリブレーションユニット90及び強度算出ユニット92で求められた蛍光緩和時定数やゲイン定数等の処理結果の値やスキャッタグラム等のグラフを表示する。
すなわち、強度算出ユニット92は、レーザ光を照射した標識サンプルの蛍光がいずれも1次遅れ系の緩和応答であるとしたときの伝達関数のパラメータ(ゲイン定数、蛍光緩和時定数)を用いて補正変換行列の行列要素を設定して補正変換行列の行列要素を求めることにより、補正変換行列を作成する。次に、コントローラ44から供給された各検出センサから収集されたcos成分及びsin成分の検出値(位相情報を含む検出値)の組をベクトルとし、このベクトルに先に作成された補正変換行列から作成された逆行列を作用させて標識サンプルが発する蛍光の蛍光強度を算出する。強度算出ユニットの処理の詳細については、後述する。
なお、標識サンプル12は、異なる種類の蛍光色素が細胞やマイクロビーズ等のサンプルへ付着することにより、標識された標識サンプルであるが、このときの標識サンプルの種類をn種類とし、光電検出器の個数をm個としたとき、2・m≧n+1を満足するようにm、nが設定されている。
すなわち、第2キャリブレーションユニット90は、1種類の蛍光色素のみを用いて標識された標識サンプル(1種類の蛍光色素が付着した自家蛍光を発するマイクロビーズ等のサンプル)を準備し、この標識サンプルを測定対象物として、所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、位相情報を含む検出値を各検出センサから収集し、これらの検出値から、選択した標識サンプルの蛍光色素が発する蛍光の蛍光緩和時定数及びゲイン定数を算出する。そして、標識サンプル中の蛍光色素の種類を順次変えながら、標識サンプルの蛍光色素が発するすべての蛍光の緩和時定数及びゲイン定数を算出し、算出した緩和時定数及びゲイン定数をメモリ84に記憶する。詳細の説明は後述する。
また、上記伝達関数の値の算出の際、第2キャリブレーションユニット90で算出された蛍光緩和時定数及びゲイン定数を用いるのは、n個の蛍光色素から発する蛍光を同時に計測するとき、蛍光強度を精度良く求めるためである。
すなわち、強度算出ユニット92は、メモリ84に記憶されて既知となった、自家蛍光の蛍光緩和時定数及びゲイン定数と、メモリ84に記憶されて既知となった蛍光色素の蛍光緩和時定数及びゲイン定数とを用いて、補正変換行列を作成し、これを用いて蛍光強度を求める。詳細の説明は省略する。
以上が分析装置80の構成である。
まず、n種類の標識サンプルが準備される(ステップS10)。n種類の標識サンプルとは、n種類の蛍光色素がマイクロビーズ等のサンプルに付着して標識されたものをいい、測定溶液中に混濁されているものをいう。標識サンプルの溶液はシース液を用いて管路30内にてフローセルを形成する。このフローセルに所定の周波数で強度変調したレーザ光を照射して蛍光の計測が行われる(ステップS20)。
計測により得られた蛍光信号は、信号処理部42の位相差検出器56にて、蛍光信号のcos成分及びsin成分を含む処理信号が取り出される。この処理信号は、コントローラ44において、ローパスフィルタ62により高周波信号が除去されて、蛍光信号のcos成分及びsin成分がAD変換されて検出値として求められる。
ディスプレイ94にスキャッタグラムが表示されるとともに、光電変換器毎に検出されたcos成分及びsin成分の検出値をベクトル成分とするベクトルにまとめ、このベクトルに後述する補正変換行列から作られた逆行列を作用させる(ステップS50)。逆行列をベクトルに作用させることで、各標識サンプルの発する蛍光におけるゲイン定数が求められ、このゲイン定数が蛍光強度の比率のベクトルとして求められる。
こうして求められた蛍光強度の比率と蛍光緩和時定数がディスプレイ94に表示される(ステップS50)。
標識サンプルの発する蛍光が1次遅れ系の緩和過程であるとしたとき、各光電変換器で出力される検出値(cos成分、sin成分)は、標識サンプルが発するn種類の蛍光色素からの蛍光及び1種類の自家蛍光の各1次遅れ系の伝達関数を加算して下記式(1)、(2)のように表される。
また、τ0は自家蛍光を発するサンプルが自家蛍光を発するときの蛍光緩和時定数である。又、κ0j(j=1〜m)は、前記サンプルが自家蛍光を発するときの自家蛍光が、j番目の光電変換器において検出されるときのゲイン定数であって、m個の光電変換器で検出されるゲイン定数のうち最大のゲイン定数で規格化されたものをいう。
これらの値は、後述する第1のキャリブレーション(図6に示す処理)及び第2のキャリブレーション(図7に示す処理)によって算出されてメモリ84に記憶されたものである。なお、ωMは、レーザ光の変調周波数に2πを乗算した角周波数である。
したがって、式(1)、(2)から下記式(3)のように補正変換行列Mを用いて方程式が表される。ここで、補正変換行列Mの行列要素は、例えば1行1列の行列要素は、κ11/(1+(τ1・ωM)2)である。
このように伝達関数の値が行列要素となる補正変換行列Mが作成される。
こうして求められた式(3)中の右辺のベクトルXには、既知数であるτi(i=1〜n)、τ0が含まれるので、これらの値が代入されて、算出されたベクトルXからαi(i=1〜n)、α0が算出される。
最後に、各蛍光の蛍光緩和時定数τi、τ0及びゲイン定数αi、α0がディスプレイ94に表示される。ゲイン定数αi、α0は、各蛍光の蛍光強度を表す。
以下、第1のキャリブレーションについて説明する。
無標識サンプルとは、レーザ光の照射により自家蛍光する1種類のサンプルの溶液をいう。このようなサンプルとして、抗体等が結合可能なウィスカが設けられたマイクロビーズや細胞等の受容体サンプルが挙げられる。
フローサイトメータによる計測(ステップS110)及びスキャッタグラムのディスプレイ表示(ステップS120)は、図5に示すステップS20、ステップS30と同様の処理であるので説明は省略する。
次に、無標識サンプルが発する自家蛍光を特定するために、ディスプレイ94に表示されたスキャッタグラムにおいて、無標識サンプルの蛍光領域のサンプル集団が選択される(ステップS130)。この選択は、オペレータによるマウス等の入力操作系を用いて行われ、選択されたサンプル集団の領域に含まれる無標識サンプルのcos成分及びsin成分、あるいは蛍光信号の振幅及び位相差の代表値(例えば平均値、重心値、頻度ピーク値)が求められる(ステップS140)。
次に求められた代表値を用いて、この代表値と蛍光緩和時定数及びゲイン定数との間の関係を規定した下記式(4)〜(7)を用いて蛍光緩和時定数及びゲイン定数が求められる(ステップS150)。
自家蛍光の蛍光緩和時定数τ0及び自家蛍光のゲイン定数α0jは、式(4)〜(7)のいずれか2つを用いて算出される。
こうして算出された無標識サンプルの蛍光緩和時定数及びゲイン定数は、メモリ84に記憶される(ステップS150)。
第1キャリブレーションは以上のように行われる。
図7に示す第2のキャリブレーションでは、まず、n種類の標識サンプルのうち、1種類の蛍光色素が付着した標識サンプルが準備される(ステップS200)。ここで、1種類の標識サンプルとは、マイクロビーズ等の自己発光する1種類のサンプルに、1種類の蛍光色素が付着されたものをいう。
次に、フローサイトメータ10により蛍光の計測が行われ(ステップS210)、計測結果がスキャッタグラムに表示され(ステップS220)、スキャッタグラムから1種類の標識サンプルにおけるサンプル集団が選択される。
サンプル集団の選択は、1種類の標識サンプル中のサンプルが発する自家蛍光を特定するために行われる。具体的には、ディスプレイ94に表示されたスキャッタグラムにおいて、1種類の標識サンプルの蛍光領域のサンプル集団が選択される。この選択は、オペレータによるマウス等の入力操作系を用いて行われ、選択されたサンプル集団の領域に含まれる標識サンプルの発する蛍光のcos成分及びsin成分、あるいは蛍光信号の振幅及び位相差の代表値(例えば平均値、重心値、頻度ピーク値)が求められる(ステップS240)。
式(8)によって算出された蛍光緩和時定数τiは、図5に示す処理フローにおいて式(3)中の補正変換行列の行列要素の値の算出に用いるために、メモリ84に記憶される。さらに、この蛍光緩和時定数τiを用いて、式(9)からα0maxが算出される。α0maxは、第2キャリブレーションにおいて自家蛍光を発するサンプルが自家蛍光するときの蛍光の最大ゲイン定数である。このα0maxを式(10)に代入することにより、αi[1]を算出することができる。αi[1]は、蛍光色素が発する蛍光のうち、振幅値が最大となる光電変換器の番号において受光した蛍光のゲイン定数である。
同様に、下記式(11)を用いて式(11)中のj番目の光電変換器で受光した蛍光のゲイン定数αijを算出する。
判定の結果、すべての種類の標識サンプルが準備されておらず、蛍光のパラメータが算出されていない場合、ステップS200に戻り、ステップS200〜ステップS250を繰り返す。
こうして、各種類毎の標識サンプルにおける蛍光の計測から、各蛍光色素毎の蛍光緩和時定数及びゲイン定数がそれぞれ算出され、メモリ84に記憶される。
こうしてメモリ84に記憶された蛍光緩和時定数及びゲイン定数は、図5に示された処理中のステップS40における補正変換行列の作成に用いられる。
以上が、第2のキャリブレーションの説明である。
第2のキャリブレーションで算出されたゲイン定数αij(i=1〜n,j=1〜m)は、これらのゲイン定数のうち、iを固定しjを変えたとき最大値となるゲイン定数max(αij)で規格化することにより、式(3)中の補正変換行列中で用いるκijを得ることができる。さらに、規格化されたκijは、図5に示す処理フローにおいて式(3)中の補正変換行列の行列要素の値の算出に用いるためにメモリ84に記憶される。
また、n種類の標識サンプルに対して図5に示す処理を行う前に、無標識サンプル及び各種類ごとの標識サンプルを用いて蛍光緩和時定数及びゲイン定数を算出する第1のキャリブレーション及び第2のキャリブレーションを行なうので、図5に示す処理の際、蛍光強度を精度良く求めることができる。
12 標識サンプル
20 信号処理装置
22 レーザ光源部
24,26 受光部
26a レンズ系
26c1,26c2,26c3 バンドパスフィルタ
27a〜27c 光電変換器
28 制御・処理部
30 管路
32 回収容器
40 信号生成部
42 信号処理部
44 コントローラ
46 発振器
48 パワースプリッタ
50,52,54a,54b,54c,64 増幅器
56 位相差検出器
60 システム制御器
62 ローパスフィルタ
66 A/D変換器
80 分析装置
82 CPU
84 メモリ
86 入出力ポート
88 第1キャリブレーションユニット
90 第2キャリブレーションユニット
92 強度算出ユニット
Claims (14)
- 複数の蛍光色素により標識された標識サンプルにレーザ光を照射することによって発する蛍光の検出値から各蛍光強度を求める蛍光強度算出方法であって、
レーザ光の強度を所定の周波数で時間変調して標識サンプルに照射し、このときの標識サンプルの蛍光を受光波長帯域の異なる複数の検出センサで受光することにより、位相情報を含む検出値を各検出センサから収集するステップと、
レーザ光を照射した標識サンプルの各蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときの伝達関数のパラメータを用いて補正変換行列の行列要素を設定して前記補正変換行列を作成するステップと、
各検出センサから収集された前記位相情報を含む検出値の組をベクトルとし、このベクトルに前記補正変換行列から作成される逆行列を作用させて標識サンプルから発する蛍光の蛍光強度を求めるステップと、を有することを特徴とする蛍光強度算出方法。 - 前記標識サンプルは、互いに異なる種類の蛍光色素が、レーザ光の照射により自家蛍光を発するサンプルへ付着することにより、異なる複数の種類を有し、
前記標識サンプルへのレーザ光の照射により、前記蛍光色素のうち少なくとも1種類の蛍光色素から発する蛍光と前記サンプルから発する自家蛍光とは、波長スペクトラムが波長領域で部分的に互いに重なっている請求項1に記載の蛍光強度算出方法。 - 前記検出センサの個数をm個、前記蛍光色素の種類をn種類としたとき、2・m≧n+1を満足する請求項2に記載の蛍光強度算出方法。
- 前記補正変換行列を作成するステップでは、蛍光色素が付着しておらず、前記自家蛍光を発するサンプルからなるものを無標識サンプルというとき、この無標識サンプルについて、前記自家蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときの蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求める第1のキャリブレーションが行われ、
この第1のキャリブレーションでは、前記無標識サンプルを測定対象物として前記所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、位相情報を含む検出値を各検出センサから収集し、これらの検出値から前記無標識サンプルの発する前記自家蛍光の蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求め、
この第1のキャリブレーションにより求められた蛍光緩和時定数及びゲイン定数を用いて前記補正変換行列を作成する請求項2又は3に記載の蛍光強度算出方法。 - 前記補正変換行列の作成において、前記補正変換行列を作成するために前記第1のキャリブレーションにより求められる前記ゲイン定数を用いる際、各検出センサの検出値から得られるゲイン定数を、これらのゲイン定数のうち最大となるゲイン定数で規格化して用いる請求項4に記載の蛍光強度算出方法。
- 前記第1のキャリブレーションにおいて、前記蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求めるときに用いられる検出値は、前記検出センサで検出された信号波形のcos成分及びsin成分の振幅値であり、この位相情報を含む検出値は、前記標識サンプルの1つ1つに対して収集され、これら複数の検出値から代表値を抽出して前記第1のキャリブレーションに用いる請求項4又は5に記載の蛍光強度算出方法。
- 前記補正変換行列を作成するステップでは、前記標識サンプルの種類すべてについて、前記蛍光色素が発する蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときの蛍光緩和時定数及びゲイン定数を、前記標識サンプルの種類の別に求める第2のキャリブレーションが行われ、
この第2のキャリブレーションでは、前記蛍光色素のうちの1種類が前記自家蛍光を発するサンプルに付着した標識サンプルを測定対象物として、前記所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、位相情報を含む検出値を各検出センサから収集し、これらの検出値から、この標識サンプルの蛍光色素が発する蛍光の蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求め、この蛍光緩和時定数及びゲイン定数を、前記自家蛍光を発するサンプルに付着させる蛍光色素の種類を変えながら、前記標識サンプルに含まれるすべての蛍光色素の発する蛍光の蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求め、
この第2のキャリブレーションにより求められた前記標識サンプルにおける蛍光緩和時定数及びゲイン定数を用いて前記補正変換行列を作成する請求項2〜5のいずれか1項に記載の蛍光強度算出方法。 - 前記標識サンプルの蛍光色素が発する蛍光毎の蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求める際、前記蛍光色素が付着しておらず、前記自家蛍光を発するサンプルからなるものを無標識サンプルというとき、この無標識サンプルについて、前記自家蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときの蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求める第1のキャリブレーションが行われ、
この第1のキャリブレーションでは、前記無標識サンプルを測定対象物として前記所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、位相情報を含む検出値を各検出センサから収集し、これらの検出値から前記無標識サンプルの発する蛍光の蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求め、この第1のキャリブレーションにより求められた蛍光緩和時定数及びゲイン定数を用いて、前記第2のキャリブレーションにおいて、前記標識サンプルの蛍光色素が発する蛍光毎の蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求める請求項7に記載の蛍光強度算出方法。 - 前記補正変換行列の作成において、前記補正変換行列を作成するために前記第2のキャリブレーションにより求められる前記ゲイン定数を用いる際、各標識サンプルの蛍光色素が発する蛍光毎に、各検出センサの検出値から得られるゲイン定数を、これらのゲイン定数のうち最大となるゲイン定数で規格化して用いる請求項7又は8に記載の蛍光強度算出方法。
- 前記第2のキャリブレーションにおいて、前記緩和時定数及びゲイン定数を求めるときに用いられる検出値は、前記検出センサで検出された信号波形のcos成分及びsin成分の振幅値であり、この位相情報を含む検出値は前記標識サンプルの1つ1つに対して収集され、これら複数の標識サンプルの検出値から代表値を抽出して前記第2のキャリブレーションに用いる請求項7〜9のいずれか1項に記載の蛍光強度算出方法。
- 複数の蛍光色素により標識された標識サンプルにレーザ光を照射することによって発する複数の標識サンプルの蛍光の検出値から各蛍光強度を求める蛍光強度算出装置であって、
レーザ光の強度を所定の周波数で時間変調して標識サンプルに照射し、このときの標識サンプルの蛍光を受光波長帯域の異なる複数の検出センサで受光することにより、位相情報を含む検出値を各検出センサから収集する入力手段と、
レーザ光を照射した標識サンプルの各蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときの伝達関数のパラメータを用いて補正変換行列の行列要素を設定して前記補正変換行列を作成する行列作成手段と、
各検出センサから収集された前記位相情報を含む検出値の組をベクトルとし、このベクトルに前記補正変換行列から作成される逆行列を作用させて標識サンプルの各々が発する蛍光の蛍光強度を求める強度算出手段と、を有することを特徴とする蛍光強度算出装置。 - 前記標識サンプルは、互いに異なる種類の蛍光色素が、レーザ光の照射により自家蛍光を発するサンプルへ付着することにより、異なる複数の種類を有し、
前記標識サンプルへのレーザ光の照射により、前記蛍光色素のうち少なくとも1種類の蛍光色素から発する蛍光と前記サンプルから発する自家蛍光とは、波長スペクトラムが波長領域で部分的に互いに重なっている請求項11に記載の蛍光強度算出装置。 - 蛍光色素が付着しておらず、前記自家蛍光を発するサンプルからなるものを無標識サンプルというとき、この無標識サンプルについて、前記自家蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときの蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求める第1のキャリブレーション手段を有し、
この第1のキャリブレーション手段は、前記無標識サンプルを測定対象物として前記所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、位相情報を含む検出値を各検出センサから収集し、これらの検出値から前記無標識サンプルの発する前記自家蛍光の蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求め、
前記行列作成手段は、この第1のキャリブレーション手段で求められた蛍光緩和時定数及びゲイン定数を用いて前記補正変換行列を作成する請求項12に記載の蛍光強度算出装置。 - 前記標識サンプルの種類すべてについて、前記蛍光色素が発する蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときの蛍光緩和時定数及びゲイン定数を、前記標識サンプルの種類の別に求める第2のキャリブレーション手段を有し、
この第2のキャリブレーション手段は、前記蛍光色素のうちの1種類が前記自家蛍光を発するサンプルに付着した標識サンプルを測定対象物として、前記所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、位相情報を含む検出値を各検出センサから収集し、これらの検出値から、この標識サンプルの蛍光色素が発する蛍光の蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求め、この蛍光緩和時定数及びゲイン定数を、前記自家蛍光を発するサンプルに付着させる蛍光色素の種類を変えながら、前記標識サンプルに含まれるすべての蛍光色素の発する蛍光の蛍光緩和時定数及びゲイン定数を求め、
前記行列作成手段は、この第2のキャリブレーション手段で求められた前記標識サンプルにおける蛍光緩和時定数及びゲイン定数を用いて前記補正変換行列を作成する請求項11又は12に記載の蛍光強度算出装置。
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