JP4365380B2 - Fret検出方法および装置 - Google Patents

Fret検出方法および装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4365380B2
JP4365380B2 JP2006065742A JP2006065742A JP4365380B2 JP 4365380 B2 JP4365380 B2 JP 4365380B2 JP 2006065742 A JP2006065742 A JP 2006065742A JP 2006065742 A JP2006065742 A JP 2006065742A JP 4365380 B2 JP4365380 B2 JP 4365380B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluorescence
molecule
fret
information
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006065742A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007240424A5 (ja
JP2007240424A (ja
Inventor
成幸 中田
憲明 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Mitsui E&S Holdings Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Mitsui E&S Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd, Mitsui E&S Holdings Co Ltd filed Critical Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Priority to JP2006065742A priority Critical patent/JP4365380B2/ja
Publication of JP2007240424A publication Critical patent/JP2007240424A/ja
Publication of JP2007240424A5 publication Critical patent/JP2007240424A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4365380B2 publication Critical patent/JP4365380B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、レーザ光の照射によって励起された第1分子が発する蛍光が励起光として第2分子を励起し、第1分子のエネルギーが第2分子のエネルギーに移動するFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー移動)を、この励起された第2分子が発する蛍光、および第1分子が発する蛍光を受光することによって検出する方法及び装置に関する。具体的には、蛍光分子であるドナー分子と蛍光分子であるアクセプタ分子との対に関して、両分子の相互作用を蛍光によって検出するFRET検出技術に関する。
現在、医療、創薬、食品産業におけるポストゲノム関連技術として、タンパク質の機能解析が重要となっている。特に、細胞の作用を解析するために、生細胞における生体物質であるタンパク質と、他のタンパク質や低分子化合物との間の相互作用(結合、分離)の研究が必要である。
このようなタンパク質の他のタンパク質や低分子化合物との間の相互作用について、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)現象を利用して解析することが最近行われている。すなわち、数ナノメータの領域での分子間の相互作用を蛍光を用いて検出する。このようなFRET現象を利用した検出は、主に顕微鏡システムを用いて行われる。
例えば、下記特許文献1は、FRETを用いた一分子蛍光解析を開示している。この文献では、FRET現象を用いて、受光した蛍光に基づいて蛍光相関分析法又は蛍光強度分布解析を行う蛍光分光分析方法が提案されている。
特開2005−207823号公報
しかし、この方法では、短時間にFRETの検出を行うことのできる細胞等のサンプル数は、せいぜい数十個程度に限られており、多くの細胞を解析対象として短時間に統計的に解析することは難しい。また従来は、蛍光強度のみの計測であり、この蛍光強度は細胞に付着させる蛍光たんぱくの標識量の影響を受けて変化するため、測定した蛍光情報の不確定要素を完全に排除することはできず、FRETの発生の程度を定量的に検出することが困難であるといった問題もあった。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、ドナー分子及びアクセプタ分子を含むサンプルについて、蛍光たんぱくの標識量や、ドナー分子からの蛍光の蛍光波長の広がりと、アクセプタ分子からの蛍光の蛍光波長の広がりなどに起因する、蛍光検出情報の不確定要素を除外して、定量的にFRETの発生の程度(例えばFRET効率)を測定することを可能とするFRET検出方法および装置を提供する。
上記目的を達成するために、本発明は、第1分子および第2分子で標識された測定対象サンプルにレーザ光を照射し、このとき測定対象サンプルが発する蛍光を受光することによって、第1分子のエネルギーが第2分子に移動するFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)を検出するFRET検出方法であって、レーザ光の強度を所定の周波数で時間変調して前記測定対象サンプルに照射し、このときの前記測定対象サンプルの発する蛍光を受光波長帯域の異なる複数の検出センサで受光することにより、前記測定対象サンプルの蛍光の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集するステップと、予め記憶手段に記憶されている情報であって、前記測定対象サンプルの前記蛍光のうち前記第1分子が発する第1分子蛍光成分の、前記受光波長帯域における蛍光強度の比を表す第1の強度比率と前記レーザ光の時間変調に対する前記第1分子蛍光成分の位相情報と、前記蛍光のうち前記第2分子が発する第2分子蛍光成分の、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を表す第2の強度比率と前記レーザ光の時間変調に対する前記第2分子蛍光成分の位相情報と、レーザ光によって励起された第1分子が発する蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたとき定義される寿命であって前記FRETが発生しない状態における前記第1分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命と、を少なくとも含むキャリブレーション情報を読み出して取得するステップと、各検出センサから収集された前記検出値から、前記受光波長帯域毎に、前記測定対象サンプルの蛍光の蛍光強度情報および位相情報を求めて、求めた前記蛍光強度情報および前記位相情報と、前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の前記位相情報と、前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の前記位相情報と、を用いて、レーザ光によって励起された第1分子が発する蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたとき定義される前記第1分子蛍光成分のFRET蛍光寿命を求めるステップと、前記第1分子蛍光成分のFRET蛍光寿命と、前記第1分子蛍光成分の前記非FRET蛍光寿命との比を用いてFRET発生情報を求めるステップと、を有することを特徴とするFRET検出方法を提供する。
なお、前記FRET発生情報を求めるステップでは、前記非FRET蛍光寿命をτd、前記FRET蛍光寿命をτd *とするとき、前記FRET発生情報として、1−(τd */τd)で表されるFRET効率Etを求めればよい。
また、前記検出値を収集するステップでは、複数の前記測定対象サンプルに前記レーザ光を照射し、前記センサにて複数の前記測定対象サンプルそれぞれについて前記検出値を収集し、前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、各検出値に基づいて、前記測定対象サンプルそれぞれの蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた複数の蛍光強度情報および位相情報から前記FRET蛍光寿命を求めることが好ましい。
また、前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、前記受光波長帯域毎に前記検出値から求めた前記蛍光強度および位相情報をベクトルで表し、このベクトル前記第1の強度比率および前記第2の強度比率とを、前記受光波長帯域毎に用いて、FRETが生じた状態における前記第1分子蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報と、前記第2分子蛍光成分のうちFRETが生じることで発するFRET成分の蛍光強度情報および位相情報とを求め、求めた情報を用いて、前記FRET蛍光寿命を求めることが好ましい。
また、前記受光波長帯域は、前記第1分子蛍光成分の蛍光強度が最大となるピーク波長を中心とした第1波長帯域と、前記第2分子蛍光成分の蛍光強度が最大となるピーク波長を中心とした第2波長帯域とを有し、前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、前記第1波長帯域の前記検出センサにて収集される検出値によって表される第1波長帯域における前記ベクトルと前記第2の強度比率とを少なくとも用いて、前記FRETが生じた状態における前記第1分子蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を求め、前記第2波長帯域の前記検出センサにより収集される検出値によって表される第2波長帯域における前記ベクトルと前記第1の強度比率とを少なくとも用いて、前記FRET成分の蛍光強度情報および位相情報を求めることが好ましい。
また、前記記憶手段には、前記第2分子蛍光成分のうち前記レーザ光によって第2分子が直接励起されることで発生する直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報があらかじめ記憶されており、前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、前記記憶手段に記憶されている前記直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を呼び出して、直接励起蛍光成分の情報ベクトルで表し、前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、前記直接励起蛍光成分の前記ベクトル、前記第2波長帯域における前記ベクトルとを少なくとも用いて、前記FRETが生じた状態における前記第2分子蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を求めることが好ましい。
また、前記記憶手段には、前記第2分子蛍光成分のうち前記レーザ光によって第2分子が直接励起されることで発生する直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報があらかじめ記憶されており、前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、前記第2分子蛍光成分のうち、前記レーザ光によって第2分子が直接励起されることで発生する直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を呼び出して前記直接励起蛍光成分ベクトルで表し、前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、前記第1分子蛍光成分のFRET寿命を前記キャリブレーション情報を用いて求めるのに加えて、前記第2波長帯域における前記ベクトル前記第1の強度比率とを少なくとも用いて前記FRET成分の位相情報を求め、求めた前記FRET成分の位相情報と前記直接励起蛍光成分の前記ベクトルとを用いて、前記FRETが生じた状態における前記第2分子蛍光成分のFRET蛍光寿命と、前記FRETが生じない状態における前記第2分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命とを求め、前記第2分子蛍光成分のFRET蛍光寿命と、前記第2分子蛍光成分の前記非FRET蛍光寿命とを用いて、前記第1分子蛍光成分のFRET蛍光寿命を求めることが好ましい。
また、前記測定対象サンプルは、前記レーザ光によって励起されて自家蛍光を発する自家蛍光サンプル体に、前記第1分子および前記第2分子で標識されたサンプルであって、
前記記憶手段には、前記自家蛍光サンプル体に前記レーザ光を照射することにより発する前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域毎の蛍光強度情報および位相情報が予め記憶されており、前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、前記記憶手段に記憶されている、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を呼び出して前記自家蛍光サンプル体の蛍光をベクトルで表し、前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、前記受光波長帯域毎の前記測定対象サンプルの前記ベクトルそれぞれから、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の前記ベクトルを減算し、この減算で得られたベクトルを用いて、前記FRET蛍光寿命を求めることが好ましい。
また、前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、自家蛍光キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、前記自家蛍光キャリブレーションでは、前記自家蛍光サンプル体を測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶することが好ましい。
また、前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、non−FRETキャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、前記non−FRETキャリブレーションでは、前記第1分子および前記第2分子がサンプルに付着されて、FRETが生じない処理がなされたnon−FRETサンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記non−FRETサンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報と、前記記憶手段に予め記憶された前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の位相情報、前記記憶手段に予め記憶された前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の位相情報とを用いて、レーザ光によって第2分子が直接励起される直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶することが好ましい。
また、前記non−FRETサンプルは、前記レーザ光によって励起されて自家蛍光を発する自家蛍光サンプル体に、前記第1分子および前記第2分子で標識されたサンプルであって、前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、自家蛍光キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、前記自家蛍光キャリブレーションは、前記non−FRETキャリブレーションに先がけて行われるキャリブレーションであって、前記自家蛍光サンプル体を測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶し、前記non−FRETキャリブレーションでは、前記non−FRETサンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報をベクトルで表したnon−FRETサンプルベクトルから、前記自家蛍光キャリブレーションで求められた前記自家蛍光の情報をベクトルで表した自家蛍光ベクトルを減算し、この減算で得られたベクトルと、前記記憶手段に予め記憶された前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の位相情報と、前記記憶手段に予め記憶された前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の位相情報とを用いて前記直接励起蛍光成分ベクトルを導出し、導出した結果を前記記憶手段に記憶することが好ましい。
また、前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、第1分子キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、前記第1分子キャリブレーションでは、前記第1分子のみで標識された第1分子サンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、前記第1の強度比率として、前記第1分子サンプルの、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を求め、求めた前記第1の強度比率と求めた前記位相情報を前記記憶手段に記憶することが好ましい。
また、前記第1分子サンプルは、前記レーザ光によって励起されて自家蛍光を発する自家蛍光サンプル体に、前記第1分子で標識されたサンプルであって、前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、自家蛍光キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、前記自家蛍光キャリブレーションは、前記第1分子キャリブレーションに先がけて行われるキャリブレーションであって、前記自家蛍光サンプル体を測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域毎に蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶し、前記第1分子キャリブレーションでは、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報をベクトルで表した第1分子サンプルベクトルから、前記自家蛍光キャリブレーションで求められた前記自家蛍光サンプル体の蛍光の情報をベクトルで表した自家蛍光ベクトルを減算し、この減算で得られたベクトルを用いて、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶することが好ましい。
また、前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、第2分子キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、前記第2分子キャリブレーションでは、前記第2分子のみで標識された第2分子サンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、前記第2の強度比率として、前記第2分子サンプルの、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を求め、求めた前記第2の強度比率および求めた前記位相情報を前記記憶手段に記憶することが好ましい。
また、前記第2分子サンプルは、前記レーザ光によって励起されて自家蛍光を発する自家蛍光サンプル体に、前記第2分子で標識されたサンプルであって、前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、自家蛍光キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、前記自家蛍光キャリブレーションは、前記第2分子キャリブレーションに先がけて行われるキャリブレーションであって、前記自家蛍光サンプル体を測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域毎に蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶し、前記第2分子キャリブレーションでは、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報をベクトルで表した第2分子サンプルベクトルから、前記自家蛍光サンプル体キャリブレーションで求められた前記自家蛍光サンプルの蛍光の情報をベクトルで表した自家蛍光ベクトルを減算し、この減算で得られたベクトルを用いて、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶することが好ましい。
本発明は、また、第1分子および第2分子で標識された測定対象サンプルにレーザ光を照射し、このとき測定対象サンプルが発する蛍光を受光することによって、第1分子のエネルギーが第2分子に移動するFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)を検出するFRET検出装置であって、レーザ光の強度を所定の周波数で時間変調して前記測定対象サンプルについて照射し、このときの前記測定対象サンプルの蛍光を受光波長帯域の異なる複数の検出センサで受光することにより、前記測定対象サンプルの蛍光の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を取得する検出情報取得部と、前記測定対象サンプルの前記蛍光のうち前記第1分子が発する第1分子蛍光成分の、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を表す第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の位相情報と、前記第2分子が発する第2分子蛍光成分の、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を表す第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の位相情報と、レーザ光によって励起された第1分子が発する蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときに定義される寿命であって、前記FRETが発生しない状態における前記第1分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命と、を少なくとも含むキャリブレーション情報を予め記憶しておく記憶手段と、前記検出情報取得部が取得した前記検出値から、前記受光波長帯域それぞれについて、前記測定対象サンプルの蛍光の蛍光強度情報および位相情報を求めて、求めた前記蛍光強度情報および前記位相情報と、前記記憶手段から読み出した前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の前記位相情報と、前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の前記位相情報と、を用いて、レーザ光によって励起された第1分子が発する蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときに定義される前記第1分子蛍光成分のFRET蛍光寿命を求めるFRET蛍光寿命算出部と、前記第1分子蛍光成分のFRET蛍光寿命と、前記第1分子蛍光成分の前記非FRET蛍光寿命との比を用いて表されるFRET発生情報を求めるFRET発生情報算出部と、を有することを特徴とするFRET検出装置を、併せて提供する。
なお、前記FRET蛍光寿命算出部では、前記検出値それぞれから求めた前記蛍光強度および位相情報をベクトルで表し、それぞれのベクトル前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の前記位相情報、前記第2分子蛍光成分の前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の前記位相情報とを用いて、FRETが生じた状態における前記第1分子蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報と、前記第2分子蛍光成分のうちFRETが生じることで発するFRET成分の蛍光強度情報および位相情報とを求め、求めたこれらの情報を用いて、前記FRET蛍光寿命を求めることが好ましい。
また、前記センサの各受光波長帯域は、前記第1分子蛍光成分の蛍光強度が最大となるピーク波長を中心とした第1波長帯域と、前記第2分子蛍光成分の蛍光強度が最大となるピーク波長を中心とした第2波長帯域であり、前記FRET蛍光寿命算出部では、前記第1波長帯域の検出センサによる前記検出値から求められる第1波長帯域におけるベクトルと、前記第2の強度比率とを少なくとも用いて、前記FRETが生じた状態における前記第1分子蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を求め、前記第2波長帯域の前記検出センサによる前記検出値によって表される第2波長帯域におけるベクトルと、前記第1の強度比率とを少なくとも用いて、前記FRET成分の蛍光強度情報および位相情報を求めることが好ましい。
また、前記FRET検出装置は、さらに、自家蛍光キャリブレーション部を有し、前記自家蛍光キャリブレーション部は、前記レーザ光によって励起されて自家蛍光を発する自家蛍光を測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、前記検出センサそれぞれから、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集し、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求めて、前記記憶手段に記憶し、前記FRET蛍光寿命算出部では、前記受光波長帯域の前記測定対象サンプルの蛍光の情報をベクトルで表し、このベクトルから、前記自家蛍光サンプル体の前記蛍光強度情報および前記位相情報を表したベクトルを減算し、減算して得られたベクトルを用いて、前記FRET蛍光寿命を求めることが好ましい。
また、前記FRET検出装置は、さらに、non−FRETキャリブレーション部を有し、前記non−FRETキャリブレーション部は、前記第1分子および前記第2分子がサンプルに付着されて、FRETが生じない処理がなされたnon−FRETサンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集した際、前記non−FRETサンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた蛍光強度情報および位相情報と、前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の前記位相情報前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の前記位相情報とを用いて、前記レーザ光によって第2分子が直接励起されることで発生する直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を求め、これらの情報をベクトルで表した直接励起蛍光成分ベクトルを導出し、この導出結果を前記記憶手段に記憶し、前記FRET蛍光寿命算出部は、前記直接励起蛍光成分ベクトルを用いて前記FRET蛍光寿命を求めることが好ましい。
また、前記FRET検出装置は、さらに、第1分子キャリブレーション部を有し、前記第1分子キャリブレーション部は、前記第1分子のみで標識された第1分子サンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集した際、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、前記第1の強度比率として、前記第1分子サンプルの、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を求め、求めた前記第1の強度比率及び求めた前記第1分子サンプルの蛍光の前記位相情報を前記記憶手段に記憶することが好ましい。
また、前記FRET検出装置は、さらに、第2分子キャリブレーション部を有し、前記第2分子キャリブレーション部は、前記第2分子のみで標識された第2分子サンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集した際、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、前記第2の強度比率として、前記第2分子サンプルの、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を求め、求めた前記第2の強度比率及び求めた前記第2分子サンプルの蛍光の前記位相情報を前記記憶手段に記憶することが好ましい。
本発明のFRET検出方法および装置によれば、例えば、細胞に、蛍光たんぱくであるドナー分子及びアクセプタ分子が付着された測定対象サンプルについて、蛍光たんぱくの標識量や、ドナー分子からの蛍光の波長帯域とアクセプタ分子からの蛍光の波長帯域との重なりなどに起因する、蛍光検出情報の不確定要素を除外して、定量的にFRETの発生の程度(例えばFRET効率)を測定することができる。
以下、本発明のFRET検出方法および装置について、フローサイトメータを基に詳細に説明する。
図1は、本発明のFRET検出装置を用いたフローサイトメータ10の概略構成図である。
フローサイトメータ10は、特定の細胞等の受容体サンプル(以下細胞とする)に、ドナー分子およびアクセプタ分子が化学的結合又は物理的結合により付着して標識されたFRET検出対象サンプル12(以降、FRETサンプル12とする)にレーザ光を照射し、このFRETサンプル12から発する蛍光の蛍光信号を検出して信号処理する信号処理装置20と、信号処理装置20で得られた処理結果からFRETサンプル12の分析を行なう分析装置(コンピュータ)80とを有する。サンプルは、レーザ光の照射に対して自家蛍光するようになっている。このような自家蛍光は計測のノイズ成分となり、本来ならば発生しないことが望ましい。ただし、細胞等にレーザ光が照射された場合など、ある程度は発生してしまうものである。
本発明の一実施形態であるフローサイトメータ10は、測定溶液中に混濁された状態で用意された複数のFRETサンプルについて、FRETサンプルにレーザを照射した際に発する蛍光の蛍光成分(後述するドナー波長帯域の蛍光成分と、アクセプタ波長帯域の蛍光成分)それぞれの蛍光寿命(蛍光緩和時定数)の変化をFRETサンプル1つ1つについて検出し、FRETサンプルにおけるFRETの発生の程度を表すFRET効率を算出する装置である。
信号処理装置20は、レーザ光源部22と、受光部24,26と、レーザ光源部22からのレーザ光を所定の周波数で強度変調させる制御部、及びFRETサンプル12からの蛍光信号を処理する処理部を有する制御・処理部28と、高速流を形成するシース液とともにFRETサンプル12を流してフローセルを形成する管路30と、を有する。
管路30の出口には、回収容器32が設けられている。フローサイトメータ10には、レーザ光の照射により短時間内にFRETサンプル12中の特定の細胞等の生体物質を分離するためのセル・ソータを配置して別々の回収容器に分離するように構成することもできる。
レーザ光源部22はドナー分子を励起するためのレーザ光を出射する光源である。例えば、ドナー分子としてCFP(Cyan Fluorescent Protein)を用い、アクセプタ分子としてYFP(Yellow Fluorescent Protein)を用いる場合、ドナー分子が主に励起される波長である、波長405〜440nmのレーザ光が用いられる。レーザ光源部22は、このような、ドナー分子を励起するための波長のレーザ光を、所定の周波数で強度変調して出射する部分である。
ここで、FRETの発生について簡単に説明する。図2は、ドナー分子のエネルギー吸収と蛍光及びアクセプタ分子の吸収と蛍光のスペクトルの例を示す図である。図3は、FRETの発生を判り易く説明した説明図である。
図2では、ドナー分子がCFP(Cyan Fluorescent Protein)、アクセプタ分子がYFP(Yellow Fluorescent Protein)であるときのエネルギーの吸収、蛍光放射の特性を示している。図2中、曲線A1はCFPのエネルギー吸収スペクトルを、曲線A2はCFPの蛍光放射スペクトルを、曲線B1はYFPのエネルギー吸収スペクトルを、曲線B2はYFPの蛍光放射スペクトルをそれぞれ示す。図2中、斜線の部分は、CFPが放射した蛍光をYFPがエネルギー吸収して、FRETが生じる波長帯域を示す。
一般に、FRETでは、ドナー分子がレーザ光により励起され、その一部分が蛍光を放射し、一部のエネルギーはクローン相互作用によりアクセプタ分子へ流れる。このエネルギー移動は、2nm以下の極めて至近距離によって生じるものであり、このエネルギー移動が、分子の相互作用(結合)を表す。したがって、エネルギー移動が起きることで、アクセプタ分子が励起されてアクセプタ分子から蛍光が放射される。このとき、図2に示すように、ドナー分子の蛍光放射波長帯域と、アクセプタ分子のエネルギー吸収の波長帯域とが一部分で重なっていることが、FRETの発生において必要である。
一般的に、同一分子では、蛍光放射エネルギーがよほど大きくない限り、エネルギー吸収のピーク波長と蛍光放射のピーク波長とは近接している。図2に示すように、ドナー分子であるCFP(Cyan Fluorescent Protein)、アクセプタ分子であるYFP(Yellow Fluorescent Protein)についてもこれはいえる。FRETの発生のために、ドナー分子の蛍光放射波長帯域と、アクセプタ分子のエネルギー吸収の波長帯域とが一部分で重なっていることが必要であるので、当然、図2に示す曲線A1、A2、B1、B2それぞれのピーク波長は、狭い波長帯域に集中して存在し、波長スペクトルの一部分は、それぞれ重なっている。このため、レーザ光源部22から、ドナー分子を励起するためのレーザ光(例えば周波数fで変調されたレーザ光)を出射した場合、このレーザ光によって、ドナー分子のみでなくアクセプタ分子も直接励起されて蛍光を発する(図3参照)。
フローサイトメータ10では、レーザ光源部22からレーザ光が照射されることで、FRETサンプル12からは、測定しようとするFRETサンプル12中の細胞の自家蛍光(図3においては図示せず)、及びFRETサンプル12中のドナー分子が励起されて発する蛍光、アクセプタ分子が励起されて発する蛍光、アクセプタ分子から発せられるFRET蛍光がそれぞれ発せられる。
受光部24は、管路30を挟んでレーザ光源部22と対向するように配置されており、測定点を通過するFRETサンプル12によってレーザ光が前方散乱することにより、FRETサンプル12が測定点を通過する旨の検出信号を出力する光電変換器を備える。この受光部24から出力される信号は、制御・処理部28に供給され、制御・処理部28においてFRETサンプル12が管路30中の測定点を通過するタイミングを知らせるトリガ信号として用いられる。
一方、受光部26は、レーザ光源部22から出射されるレーザ光の出射方向に対して直交方向であって、かつ管路30中のFRETサンプル12の移動方向に対して直交方向に配置されており、測定点にて照射されたFRETサンプル12が発する蛍光を受光するフォトマルチプライヤ(光電子倍増管)やアバランシュフォトダイオード等の光電変換器を備える。
図4は、受光部26の一例の概略の構成を示す概略構成図である。図4に示す受光部26は、FRETサンプル12からの蛍光の蛍光信号を集束させるレンズ系26aと、ダイクロイックミラー26b1,26b2と、バンドパスフィルタ26c1、26c2と、光電子倍増管やアバランシュフォトダイオード等の光電変換器27a、27bと、を有する。レンズ系26aは、受光部26に入射した蛍光を光電変換器27aおよび27bの受光面に集束させるように構成されている。
ダイクロイックミラー26b1,26b2は、所定の範囲の波長帯域の蛍光を反射させて、それ以外は透過させるミラーである。バンドパスフィルタ26c1、26c2でフィルタリングして光電変換器27aおよび27bで所定の波長帯域の蛍光を取り込むように、ダイクロイックミラー26b1,26b2の反射波長帯域および透過波長帯域が設定されている。
バンドパスフィルタ26c1、26c2は、各光電変換器27aおよび27bの各受光面の前面に設けられ、所定の波長帯域の蛍光のみが透過するフィルタである。透過する蛍光の波長帯域は、蛍光の波長帯域に対応して設定されており、互いに異なる波長帯域となっている。
ドナー分子としてCFP(Cyan Fluorescent Protein)、アクセプタ分子としてYFP(Yellow Fluorescent Protein)を用いた場合、ドナー分子の蛍光である図2の曲線A2で示す蛍光と、アクセプタ分子の蛍光である図2の曲線B2で示す蛍光とを、それぞれ計測できるの波長帯域が設定される。例えば、ドナー分子からの蛍光(ドナー蛍光)を主に透過するための波長帯域(ドナー波長帯域)として、図2の矢印Aで示す波長帯域が設定され、アクセプタ分子からの蛍光(アクセプタ蛍光)を主に透過するための波長帯域(アクセプタ波長帯域)として、図2の矢印Bで示す波長帯域が設定される。
ここで、上述のように、実際のドナー蛍光の波長帯域とアクセプタ蛍光の波長帯域とは重なっており、透過されたドナー波長帯域の光(蛍光)には、アクセプタ蛍光の成分も漏れこんでくる。同様に、アクセプタ波長帯域には、ドナー蛍光の成分も漏れこんでくる。このような漏れ込みは、FRETを発生させる条件(ドナー分子の蛍光放射波長帯域と、アクセプタ分子のエネルギー吸収の波長帯域とが一部分で重なっていること)に伴い、必然的に生じるものともいえる。従来、このような漏れこみの成分は、FRETの発生を計測・評価する上での不確定因子となり、計測・評価の精度を低下させていた。本願では、計測結果から、このような漏れ込み成分の影響も考慮し、高精度にFRETを計測・評価することを特徴の1つとしている。
光電変換器27aおよび27bは、例えば光電子倍増管を備えたセンサを備え、光電面で受光した光を電気信号に変換するセンサである。受光部26では、光電変換器27aがドナー波長帯域の光を受光し、光電変換器27bが、アクセプタ波長帯域の光を受光するよう構成されている。
図5は、レーザ光源部22からレーザ光を照射することで、管路30を流れるFRETサンプル12から発する蛍光の成分と、各蛍光成分の光電変換器27aおよび27bの受光面への入射について説明する概略図である。FRETサンプル12は、自家蛍光を発する細胞に、ドナー分子であるCFP(Cyan Fluorescent Protein)、アクセプタ分子であるYFP(Yellow Fluorescent Protein)とが付着された細胞である。レーザ光源部22からからレーザ光が出射されると、管路30を流れるFRETサンプル12からは、FRETサンプル12中のドナー分子がレーザによって直接励起されて発する蛍光fd、アクセプタ分子がレーザ光によって直接励起されて発する蛍光fa、FRETサンプル12中の細胞の自己発光の蛍光fs、そして、アクセプタ分子から発せられるFRET蛍光ffがそれぞれ発せられる。各蛍光は、ミラーおよびフィルタによって、ドナー波長帯域の成分とアクセプタ波長帯域の成分とに分けられ、光電変換器27aおよび27bに、それぞれ入射する。ここで、FRET蛍光ffについは、レーザによって直接励起されて発する他の蛍光に比べて小さく、ドナー波長帯域への漏れ込みの成分については十分に小さいと仮定することができる。
光電変換器27aで受光する光には、図5に示すR1〜R3のルートの蛍光が含まれ、光電変換器27bで受光する光には、図5に示すR4〜R7のルートの蛍光が含まれている。フローサイトメータ10の以下に説明する各部における処理は、光電変換器27aで受光する光(ドナー波長帯域の蛍光)、および光電変換器27bで受光する光(アクセプタ波長帯域の蛍光)それぞれについて成される。
光電変換器27aおよび光電変換器27bでは、信号情報を持った光信号として受光されるので、光電変換器27aおよび光電変換器27bから出力される電気信号は位相差の信号情報を持った蛍光信号となる。この蛍光信号は、制御・処理部28に供給され増幅器で増幅されて、分析装置80に送られる。
制御・処理部28は、図6に示すように、信号生成部40と、信号処理部42と、コントローラ44と、を有して構成される。信号生成部40及びコントローラ44は、所定の周波数の変調信号を生成する光源制御部を形成する。
信号生成部40は、レーザ光の強度を所定の周波数で変調(振幅変調)するための変調信号を生成する部分である。
具体的には、信号生成部40は、発振器46、パワースプリッタ48及びアンプ50,52を有し、生成される変調信号を、レーザ光源部22に供給するとともに、信号処理部42に供給する部分である。信号処理部42に変調信号を供給するのは、後述するように、光電変換器27aおよび27bから出力される蛍光信号の位相差検出のための参照信号として用いるためである。なお、変調信号は、所定の周波数の正弦波信号であり、10〜100MHzの範囲の周波数に設定される。
信号処理部42は、光電変換器27aおよび27bから出力される蛍光信号を用いて、レーザ光の照射によりFRETサンプル12が発する蛍光の位相遅れに関する情報(位相差)を抽出する部分である。信号処理部42は、光電変換器27aおよび27bから出力される蛍光信号を増幅するアンプ54aおよび54bと、増幅された蛍光信号のそれぞれを信号生成部40から供給された正弦波信号である変調信号を分配するパワースプリッタ(不図示)、及び増幅された蛍光信号を上記変調信号に合成するIQミキサ(不図示)を有する位相差検出器56を有して構成される。
位相差検出器56に設けられる図示されないIQミキサは、光電変換器27aおよび27bから供給される蛍光信号を、信号生成部40から供給される変調信号を参照信号として合成するために、光電変換器27aおよび27bの別に設けられている。具体的には、IQミキサのそれぞれは、参照信号を蛍光信号(RF信号)と乗算して、蛍光信号のcos成分(実数部)と高周波成分を含む処理信号を算出するとともに、参照信号の位相を90度シフトさせた信号を蛍光信号と乗算して、蛍光信号のsin成分(虚数部)と高周波成分を含む処理信号を算出する。このcos成分を含む処理信号及びsin成分を含む処理信号は、コントローラ44に供給される。
コントローラ44は、信号生成部40に所定の周波数の正弦波信号を生成させるように制御するとともに、信号処理部42にて求められた蛍光信号のcos成分及びsin成分を含む処理信号から、高周波成分を取り除いて蛍光信号のcos成分及びsin成分を求める部分である。
具体的には、コントローラ44は、各部分の動作制御のための指示を与えるとともに、フローサイトメータ10の全動作を管理するシステム制御器60と、信号処理部42で演算されたcos成分、sin成分に高周波成分が加算された処理信号から高周波成分を取り除くローパスフィルタ62と、高周波成分の取り除かれたcos成分、sin成分の処理信号を増幅するアンプ64と、増幅された処理信号をサンプリングするA/D変換器66と、を有する。A/D変換器66では、高周波成分の取り除かれたcos成分、sin成分の処理信号がサンプリングされて、分析装置80に供給される。
分析装置80は、蛍光信号のcos成分(実数部)、sin成分(虚数部)の処理信号値(検出値)から、各蛍光の成分の蛍光強度情報や位相情報、蛍光寿命(蛍光緩和時定数)、FRET効率などを算出する装置である。例えば、光電変換器27aによる検出値から、ドナー波長帯域の蛍光強度Pdと位相θd(計測値)を求め、光電変換器27bによる検出値から、アクセプタ波長帯域での蛍光強度Paと位相θa(計測値)を求める。分析装置80は、本発明のFRET検出装置に対応しており、後述するFRET検出方法を実施する。
図7は、分析装置80の概略構成図である。
分析装置80は、コンピュータ上で所定のプログラムを起動させることにより構成される装置であり、CPU82、メモリ84、入出力ポート86の他に、ソフトウェアを起動することによって形成される第1キャリブレーションユニット88、第2キャリブレーションユニット90、第3キャリブレーションユニット92、第4キャリブレーションユニット94、蛍光緩和時定数算出ユニット96、およびFRET効率算出ユニット98を有する。また、分析装置80にはディスプレイ94が接続されている。
CPU82は、コンピュータに設けられた演算プロセサであり、第1キャリブレーションユニット88、第2キャリブレーションユニット90、第3キャリブレーションユニット92、第4キャリブレーションユニット94、蛍光緩和時定数算出ユニット96、およびFRET効率算出ユニット98の各種計算を実質的に実行する。
メモリ84は、コンピュータ上で実行することにより、第1キャリブレーションユニット88〜第4キャリブレーションユニット94、蛍光緩和時定数算出ユニット96、およびFRET効率算出ユニット98を形成するプログラムを格納したROMと、これらのユニットにより算出された処理結果や入出力ポート86から供給されたデータを記憶するRAMと、を備えている。
入出力ポート86は、コントローラ44から供給される蛍光信号のcos成分(実数部)、sin成分(虚数部)の検出値の入力を受け入れるとともに、各ユニットで作成された処理結果の値やスキャッタグラム等の情報をディスプレイ94に出力するために用いられる。ディスプレイ94は、各ユニットで求められた、蛍光の振幅情報や位相差の情報、蛍光緩和時定数やFRET効率等の処理結果の値やスキャッタグラム等のグラフを表示する。
蛍光緩和時定数算出ユニット96は、コントローラ44から供給されたcos成分及びsin成分の検出値から、光電変換器27aおよび27bそれぞれで受光した蛍光の蛍光強度情報および位相情報(位相差の情報)を求める。そして、この蛍光強度情報および位相情報と、メモリ84に予め記憶されている後述のキャリブレーション情報とを用いて、ドナー分子蛍光成分のFRET蛍光寿命や、アクセプタ分子蛍光成分のFRET蛍光寿命、アクセプタ分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命などを求める。ドナー分子蛍光成分のFRET蛍光寿命とは、FRETが生じた場合の、ドナー分子がレーザによって励起されて発する蛍光成分の蛍光寿命のことである。アクセプタ分子蛍光成分のFRET蛍光寿命とは、FRETが生じた場合の、アクセプタ分子がレーザによって励起されて発する蛍光成分の蛍光寿命のことである。また、アクセプタ分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命とは、FRETが生じない場合の、アクセプタ分子がレーザによって励起されて発する蛍光成分の蛍光寿命のことである。各蛍光寿命は、レーザ光を照射したFRETサンプル12の蛍光成分がいずれも1次遅れ系の緩和応答であるとしたときの蛍光緩和時定数で表される。蛍光緩和時定数算出ユニット96の詳細は、後述する。
FRET効率算出ユニット98は、蛍光緩和時定数算出ユニット96で求められた、ドナー分子蛍光成分のFRET蛍光寿命と、キャリブレーション情報に含まれる、ドナー分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命との比を用いて表されるFRET効率を求める。ドナー分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命とは、FRETが生じない場合の、ドナー分子がレーザによって励起されて発する蛍光成分の蛍光寿命のことである。または、蛍光緩和時定数算出ユニット96で求められた、アクセプタ分子蛍光成分のFRET蛍光寿命、アクセプタ分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命などを用い、FRET効率とは異なる値を算出してもよい。FRET効率算出ユニット98の詳細は、後述する。
ここで、本願のFRET検出方法の原理について説明しておく。上述のように、ドナー分子とアクセプタ分子とを有するFRETサンプルに、主にドナー分子を励起するためのレーザを照射してFRETが発生した際に、標識サンプルからは図5に示される各蛍光(fd、ff、fa、fs)が照射される。
まず、T=0の理想的なパルス光源でFRETサンプルを励起した場合の、無輻射過程を含んだ蛍光発光モデルを考えると、インパルス応答(単位体積から放射される光子の数(蛍光強度))は、以下の式(1)で表せる。蛍光分子が光を吸収し、その電子が励起状態に遷移するのにわずか10-15secしかかからず、その後、分子内緩和過程により10-13〜10-11secで、第一励起状態まで落ちる。下記式(1)に示すモデルでのように、これらの吸収、分子内緩和過程のダイナミクスは無視し、第一励起状態からの発光遷移過程のみを対象とすることができる。
Figure 0004365380
ここで、
N(t):励起状態にある単位体積中の蛍光分子数(励起状態密度関数)
0:時刻0で励起状態にある単位体積中の蛍光分子数
f:発光遷移の速度定数(単位時間に発光遷移する分子数の に対する割合)
nf:無輻射遷移の速度定数(単位時間に無輻射遷移する分子数の に対する割合)
τ0≡1/kf:無輻射過程がないと仮定したときの励起状態の寿命(自然寿命)
τ≡1/(kf+knf):蛍光緩和時定数(蛍光緩和時定数)
である。
ここでN0は、蛍光分子のモル吸光係数、モル濃度に依存する量であり、蛍光分子の標識量(細胞に対する、ドナー分子やアクセプタ分子の付着量や状態)が変わると変化する。また、kf,knfは、蛍光分子の量子収率φと以下の式(2)関係で示される。
Figure 0004365380
インパルス応答が式(1)で表現される系の微分方程式は、レーザの入射パワーをu(t)とすると、以下で表現される。
Figure 0004365380
このような蛍光分子からの蛍光発光のインパルスモデルに基づき、図5で示すFRET発生時に発生する各蛍光成分に対応する、蛍光発光過程のダイナミクスモデルを考える。ドナー分子とアクセプタ分子とを有するFRETサンプルにおいてFRETが生じた場合、ドナー分子においては、発光遷移、無輻射遷移、励起エネルギー移動が競合して進む。ドナー分子のドナー波長帯域での蛍光成分(図5中の経路R1に対応)のモデルは、下記式(4)および(5)で表すことができる。
Figure 0004365380
一方、アクセプタ分子においては、励起エネルギー移動で励起された蛍光分子が追加励起される。アクセプタ分子のアクセプタ波長帯域での蛍光成分(図5中の経路R4と経路R7とに対応)のモデルは、下記式(6)および下記式(7)で表すことができる。
Figure 0004365380
ここで、Nd(t)およびNd(t)は、それぞれドナー分子のN(t)およびアクセプタ分子のN(t)、kdおよびkaは、それぞれドナー分子の(kf+knf)およびアクセプタ分子の(kf+knf)、kdfおよびkafは、それぞれドナー分子のkfおよびアクセプタ分子のkf、Nd0およびNa0は、それぞれドナー分子のN0およびアクセプタ分子のN0、ktはドナー分子からアクセプタ分子へのエネルギー移動速度定数である。なお、式(7)中のktNd(t)の項が、FRETによるアクセプタ分子からの蛍光成分であり、図5中の経路R7の蛍光成分に対応している。
また、ドナー分子のアクセプタ波長帯域での蛍光成分(図5中の経路R5に対応)のモデルは、下記式(8)および(9)で表すことができる。また、アクセプタ分子のドナー波長帯域での蛍光成分(図5中の経路R2に対応)のモデルは、下記式(10)および下記式(11)で表すことができる。なお、一般に、ドナー分子、アクセプタ分子の蛍光のダイナミクスは、波長帯域が変わっても変化しないことも考えられるが、ここではより一般的に異なるダイナミクスをもつと仮定している。
Figure 0004365380
ここで、Nda(t)およびNad(t)は、それぞれドナー分子のアクセプタ波長帯域でのN(t)およびアクセプタ分子のドナー波長帯域でのN(t)、kdaおよびkadは、それぞれドナー分子のアクセプタ波長帯域での(kf+knf)およびアクセプタ分子のドナー波長帯域での(kf+knf)、kdafおよびkadfは、それぞれドナー分子のアクセプタ波長帯域でのkfおよびアクセプタ分子のドナー波長帯域でのkf、Nda0およびNad0は、それぞれドナー分子のアクセプタ波長帯域でのN0およびアクセプタ分子のドナー波長帯域でのN0、である。
また、細胞の自家蛍光のドナー波長帯域での蛍光成分(図5中の経路R3に対応)のモデルは、下記式(12)および下記式(13)で表すことができ、また、細胞の自家蛍光のアクセプタ波長帯域での蛍光成分(図5中の経路R6に対応)のモデルは、下記式(14)および下記式(15)で表すことができる。なお、細胞から発せられる自家蛍光には、複数種類の分子からの寄与が考えられ、単一種の蛍光モデルと異なることも考えられるが、一般的に光は強くないこともあり、下記式(12)〜式(15)では、それらの総和の特性を一次で近似している。
Figure 0004365380
上記式(4)〜(15)に対してラプラス変換を施し、ドナー波長帯域およびアクセプタ波長帯域毎にまとめると、ドナー波長帯域の蛍光Fdonorについては式(16)で表され、アクセプタ波長帯域の蛍光Faccepterについては式(17)で表される。
Figure 0004365380
ここで、
τd *:FRET発生時のドナー分子の蛍光緩和時定数=1/(kd+kt
(kt=0(非FRET時)、τd *=τd=1/kd
τa:アクセプタ分子の蛍光緩和時定数=1/ka
τad:アクセプタ分子のドナー波長帯域での蛍光緩和時定数=1/kad
τda:ドナー分子のアクセプタ波長帯域での蛍光緩和時定数=1/kda
τbd:細胞の自家蛍光のドナー波長帯域での蛍光緩和時定数=1/kbd
τba:細胞の自家蛍光のアクセプタ波長帯域での蛍光緩和時定数=1/kbaである。
図8は、式(16)、(17)で表される、FRET発生時の蛍光発光のダイナミクスについて表したモデルである。FRETサンプル12からは、図8で表されるW1〜W7の過程を経て発せられるそれぞれの蛍光成分が発せられると考えることができる。本願発明では、このようなモデルで表される、W1〜W7の過程で発せられた各蛍光成分が、図4に示す、光電変換器27aおよび27bに入射する蛍光成分(R1〜R7)それぞれに対応すると考えることができる。
装置10では、レーザ光源部22から周波数変調したレーザ光の出力を高速で正弦波に変化(変調)させてサンプルに照射し、サンプルから放射された蛍光強度信号を高速に処理して、振幅(蛍光強度情報)と位相(位相情報)を一細胞毎に検出する。すなわち、式(16)および式(17)の伝達関数の周波数応答特性を検出する。レーザのパワーu(t)に角周波数ωMの正弦波を与えたときの蛍光信号を測定すると、蛍光信号は同じ角周波数をもつ正弦波で放射される。入力信号と出力信号の振幅の比および位相差は、式(16)および式(17)のs=jωMとしたときの、複素平面上のベクトルの総和として、以下の式(18)および式(19)のように表現することができる。
Figure 0004365380
なお、式(18)の第1項が図8におけるW1に対応し、第2項が図8におけるW2、第3項が図8におけるW3に対応し、また、式(19)の第1項が図8におけるW7(FRET成分)に対応し、第2項が図8におけるW4、第3項が図8におけるW5、第4項が図8におけるW6、にそれぞれ対応していることはいうまでもない。
従来は、FRET発生時のドナー分子の蛍光緩和時定数τd *、または、FRET発生時のアクセプタ分子の等価蛍光緩和時定数τa *(=tanθ7/ωM)を定量的に求めることは困難であった。τd *やτa *をそれぞれ求めることができれば、FRETの発生を高精度に検出することができる。上記の関係からわかるように、P1、θ1がわかればτd *が求まり、上記P7、θ7が求めればτa *を求めることができる。
ここで、ドナー波長帯域での蛍光(図8におけるW1〜W3を含む)の蛍光強度Pdonorと位相θdonor、とすると、式(18)は、下記式(20)のように変形できる。式(20)から判断できるように、P1およびθ1は、ドナー波長帯域での蛍光(図8におけるW1〜W3を含む)の強度Pdonorと位相θdonor、P2/P4、P4、P3およびθ3がわかれば、求めることができる。
Figure 0004365380
また、アクセプタ波長帯域での蛍光(図8におけるW4〜W7を含む)の強度をPacceptorとし、位相をθacceptorとすると、式(19)は、下記式(21)のように変形できる。式(21)から判断できるように、P7およびθ7は、アクセプタ波長帯域での蛍光の強度Pacceptor、位相θacceptor、P5/P1、P1、P6およびθ6がわかれば、求めることができる。
Figure 0004365380
分析装置80の蛍光緩和時定数算出ユニット96では、まず、上記cos成分およびsin成分から、ドナー分子とアクセプタ分子とが付着された標識サンプルに上記レーザ光を照射した際の、ドナー波長帯域での蛍光(図5におけるR1〜R3を含む)の蛍光強度Pdと位相θd、およびアクセプタ波長帯域での蛍光(図5におけるR4〜R7を含む)の蛍光強度Paと位相θaを求める。計測値であるPdは上記Pdonorに、θdはθdonorに対応し、同じくPaはPacceptorに、θaはθacceptorに対応する。分析装置80のメモリ84には、後述する第1キャリブレーションユニット88〜第4キャリブレーションユニット94において算出された、上記のP2/P4、P3およびθ3、P6およびθ6、P4、に対応する値が記憶されており、これらの値を用いて、P1およびθ1、あるいはP7およびθ7を求めて、τd *、τa *やτa、すなわち、ドナー分子蛍光成分のFRET蛍光寿命や、アクセプタ分子蛍光成分のFRET蛍光寿命、アクセプタ分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命などを求める。この際、式(20)や式(21)に示されるように、蛍光緩和時定数算出ユニット96では、各値で表されたベクトルを用いた処理(ベクトル減算など)が、逐次行なわれる。
FRET効率算出ユニット98では、ドナー波長帯域におけるドナー分子の蛍光成分(FRETが発生しない状態での、図4における経路R1に対応)の蛍光緩和時定数τdとを用いて、下記式(22)に規定されるFRET効率Etを求める。なお、この蛍光緩和時定数τdは、例えば後述の第2キャリブレーションユニット90や第4キャリブレーションユニット94によって予め求められて、メモリ84に記憶されている。
Figure 0004365380
ドナー分子の蛍光緩和時定数は、FRETの程度が大きいほど、すなわちドナー分子からアクセプタ分子へのエネルギーの移動が大きいほど短くなる。このようなFRET効率Etは、ドナー分子からアクセプタ分子へのエネルギーの移動の程度(FRETの程度)を表している。
また、例えば、以下の式(23)に適用することで、FRET発生時における蛍光緩和時定数を、ドナー波長帯域およびアクセプタ波長帯域の双方から多角的に検討することができる。また、本願発明では、アクセプタ分子の波長帯域における測定結果からも、FRETを定量的に測定することができる。なお、この蛍光緩和時定数τaは、例えば後述の第3キャリブレーションユニット92や第4キャリブレーションユニット94によって予め求められて、メモリ84に記憶されている値を用いてもよい。
Figure 0004365380
次に、第1キャリブレーションユニット88〜第4キャリブレーションユニット94それぞれについて説明する。第1キャリブレーションユニット88は、蛍光色素が付着しておらず細胞等の自家蛍光を発するサンプルからなるものを無標識サンプルというとき、この無標識サンプルが発する自家蛍光の蛍光強度情報および位相の情報を求める。第1キャリブレーションユニット88は、無標識サンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、位相情報を含む検出値を各光電変換器から収集し、これらの検出値から蛍光強度情報および位相の情報を求める。
具体的には、第1キャリブレーション部88では、図9に示すように、無標識サンプルにレーザ光を照射し、細胞自体が発する蛍光について、ドナー波長帯域およびアクセプタ波長帯域での蛍光強度情報および位相情報を求める。ここで、細胞自体が発する蛍光については、ドナー分子やアクセプタ分子などの標識による影響を受けないと仮定することができる。すなわち、第1キャリブレーション部88で得られた、ドナー波長帯域における自家蛍光の蛍光強度の計測値Pmd1、ドナー波長帯域における自家蛍光の位相の計測値θmd1、は、図5で示されるR3で示される蛍光成分を表す情報であり、アクセプタ波長帯域における自家蛍光の蛍光強度の計測値Pma1、アクセプタ波長帯域における自家蛍光の位相差の計測値θma1は、図5で示されるR6で示される蛍光成分を表す情報であるとすることができる。このような計測値は、図8に示すFRET発生過程のモデルに直接用いることができ、下記式(24)および式(25)の関係が成り立つ。このように求められた、P3およびθ3、P6およびθ6は、メモリ84に記憶される。
Figure 0004365380
第2キャリブレーションユニット90は、ドナー蛍光色素のみを有するドナー標識サンプルについて、このドナー標識サンプルが発する蛍光の蛍光強度および位相を求める。さらに、求めたドナー標識サンプルの蛍光強度および位相の情報と、第1キャリブレーションユニットで求められた、無標識サンプルの蛍光強度および位相(P3およびθ3、P6およびθ6)を用いて、特に、ドナー標識サンプルが発する蛍光のうち、ドナー波長帯域の蛍光成分の蛍光強度に対する、アクセプタ波長帯域の蛍光成分の蛍光強度の比(ドナー蛍光漏れこみ率)を求めておく。
具体的には、第2キャリブレーション部90では、図10に示すようにドナー標識サンプルにレーザ光を照射し、ドナー分子が発する蛍光、および細胞自体が発する蛍光について、ドナー波長帯域およびアクセプタ波長帯域での蛍光強度および位相を求める。ここで、第2キャリブレーション部90で得られた、ドナー波長帯域における蛍光の蛍光強度の計測値Pmd2、ドナー波長帯域における蛍光の位相差の計測値θmd2、アクセプタ波長帯域における蛍光の蛍光強度の計測値Pma2、アクセプタ波長帯域における蛍光の位相差の計測値θma2とする。そして、ドナー標識サンプルのドナー分子が発する蛍光(図10中のR1’で示す)のドナー波長帯域での蛍光強度をP1’、同じくこの蛍光の位相をθ1’、ドナー標識サンプルのアクセプタ分子が発する蛍光(図10中のR5’で示す)のドナー波長帯域での蛍光強度をP5’、同じくこの蛍光の位相をθ5’とすると、下記式(26)および式(27)の関係が成り立つ。上述したように、自家蛍光の成分については、第1キャリブレーションで求めた値をそのまま用いることができる。
Figure 0004365380
第2キャリブレーションユニット90では、メモリ84から、第1キャリブレーションユニット88で求めておいたP3およびθ3、P6およびθ6を呼び出し、式(26)および式(27)の関係を用いて、P1’およびθ1’、P5’およびθ5’を求める。第2キャリブレーションユニット90では、これらの結果より、FRET発生が生じない場合の、ドナー分子のドナー波長帯域における蛍光緩和時定数τd、ドナー分子のアクセプタ波長帯域における蛍光緩和時定数τdaを求めておくこともできる。
上述したように、FRET発生の際には、ドナー分子では、発光遷移、無輻射遷移、励起エネルギー移動が競合して進む。また、標識量が異なれば蛍光強度も異なるため、P1’およびθ1’、P5’およびθ5’については、図5で示されるR1やR5で示される蛍光成分を表す情報であるとすることはできず、このような計測値は、図8に示すFRET発生過程のモデルに直接用いることができない。ただし、ドナー分子の蛍光のドナー波長帯域における蛍光強度と、ドナー分子の蛍光のアクセプタ波長帯域における蛍光強度の比P5’/P1'(ドナー蛍光の漏れ込み率)については、サンプルが異なっても一定であると仮定することができる。すなわち、式(20)および式(21)におけるP5とP1の比P5/P1=P5’/P1'として表すことができる。第2キャリブレーションユニット90で求められたP5’/P1'(以降、P5/P1で示す)は、メモリ84に記憶される。なお、この際、P1’およびθ1’、P5’およびθ5’FRET発生が生じない場合の、ドナー分子のドナー波長帯域における蛍光緩和時定数τd、ドナー分子のアクセプタ波長帯域における蛍光緩和時定数τdaの値なども併せて記憶しておく。
第3キャリブレーションユニット92は、アクセプタ蛍光色素のみを有するドナー標識サンプルについて、このドナー標識サンプルが発する蛍光の蛍光強度および位相を求める。さらに、求めたドナー標識サンプルの蛍光強度および位相の情報と、第1キャリブレーションユニットで求められた、無標識サンプルの蛍光強度および位相(P3およびθ3、P6およびθ6)を用いて、特に、アクセプタ標識サンプルが発する蛍光のうち、アクセプタ波長帯域の蛍光成分の蛍光強度に対する、ドナー波長帯域の蛍光成分の蛍光強度の比(アクセプタ蛍光漏れこみ率)を求めておく。
具体的には、第3キャリブレーション部92では、図11に示すように、アクセプタ標識サンプルにレーザ光を照射し、アクセプタ分子が発する蛍光、および細胞自体が発する蛍光について、ドナー波長帯域およびアクセプタ波長帯域での蛍光強度および位相を求める。第3キャリブレーション部90で得られた、ドナー波長帯域における蛍光の蛍光強度の計測値Pmd3、ドナー波長帯域における蛍光の位相差の計測値θmd3、アクセプタ波長帯域における蛍光の蛍光強度の計測値Pma3、アクセプタ波長帯域における蛍光の位相差の計測値θma3とする。そして、アクセプタ標識サンプルのアクセプタ分子が発する蛍光(図11中のR2’で示す)のドナー波長帯域での蛍光強度をP2’、同じくこの蛍光の位相をθ2’、アクセプタ標識サンプルのアクセプタ分子が発する蛍光(図11中のR4’で示す)のドナー波長帯域での蛍光強度をP4’、同じくこの蛍光の位相をθ4’とすると、下記式(28)および式(29)の関係が成り立つ。上述したように、自家蛍光の成分については、第1キャリブレーションで求めた値をそのまま用いることができる。
Figure 0004365380
第3キャリブレーションユニット92では、メモリ84から、第1キャリブレーションユニット88で求めておいたP3およびθ3、P6およびθ6を呼び出し、式(30)および式(31)の関係を用いて、P2’およびθ2’、P4’およびθ4’を求める。第3キャリブレーションユニット92では、これらの結果より、FRET発生が生じない場合のアクセプタ分子の蛍光緩和時定数τa、アクセプタ分子のドナー波長帯域における蛍光緩和時定数τdaを求めておくこともできる。上述したように、標識量が異なれば蛍光強度も異なるため、P2’およびθ2’、P4’およびθ4’については、図8に示すFRET発生時のモデルに適用することはできない。ただし、アクセプタ分子の蛍光のアクセプタ波長帯域における蛍光強度と、アクセプタ分子の蛍光のドナー波長帯域における蛍光強度の比P2’/P4'(ドナー蛍光の漏れ込み率)については、サンプルが異なっても一定であると仮定することができる。すなわち、式(20)および式(21)におけるP2とP4の比P2/P4=P2’/P4'として表すことができる。第3キャリブレーションユニット90で求められたP2’/P4'(以降、P2/P4で示す)は、メモリ84に記憶される。なお、この際、P2’およびθ2’、P4’およびθ4’FRET発生が生じない場合の、アクセプタ分子のアクセプタ波長帯域における蛍光緩和時定数τa、アクセプタ分子のドナー波長帯域における蛍光緩和時定数τdaの値も併せて記憶しておく。
第4キャリブレーションユニット94は、ドナー蛍光分子およびアクセプタ蛍光分子の双方を有し、タンパク室の構造変化や結合に対しての不活性因子を導入するなどして、FRETが発生しないように調整処理したnon−FRETサンプルについて、このnon−FRETサンプルが発する蛍光の蛍光強度および位相の情報を求める。さらに、求めたnon−FRETの蛍光強度および位相の情報と、第1キャリブレーションユニットで求められた、無標識サンプルの蛍光強度および位相(P3およびθ3、P6およびθ6)、第2キャリブレーションユニット90で求めたドナー蛍光の漏れ込み率(P5/P1)、第3キャリブレーションユニット92でも求めたアクセプタ蛍光の漏れ込み率(P2/P4)を用いて、特に、アクセプタ標識サンプルがレーザによって直接励起されて発する蛍光の蛍光強度および位相を求めておく。
具体的には、第4キャリブレーションユニット94では、図12に示すようにnon−FRETサンプルにレーザ光を照射し、non−FRETサンプルの、ドナー分子およびアクセプタ分子それぞれが発する蛍光、および細胞自体が発する蛍光について、ドナー波長帯域およびアクセプタ波長帯域での蛍光強度および位相を求める。第4キャリブレーションユニット94で得られた、ドナー波長帯域における蛍光の蛍光強度の計測値Pmd4、ドナー波長帯域における蛍光の位相差の計測値θmd4、アクセプタ波長帯域における蛍光の蛍光強度の計測値Pma4、アクセプタ波長帯域における蛍光の位相差の計測値θma4とし、non−FRETサンプルのドナー分子が発する蛍光のドナー波長帯域での蛍光(図12中のR1”で示す)の蛍光強度をP1”、同じくこの蛍光の位相をθ1”、non−FRETサンプルのアクセプタ分子が発する蛍光のドナー波長帯域での蛍光(図12中のR2”で示す)の蛍光強度をP2”、同じくこの蛍光の位相をθ2”、non−FRETサンプルのアクセプタ分子が発する蛍光のドナー波長帯域での蛍光(図12中のR5”で示す)の蛍光強度をP5”、同じくこの蛍光の位相をθ5”、non−FRETサンプルのアクセプタ分子が発する蛍光のアクセプタ波長帯域での蛍光(図12中のR4”で示す)の蛍光強度をP4”、同じくこの蛍光の位相をθ4”、とすると、下記式(30)および式(31)の関係が成り立つ。上述したように、自家蛍光の成分については、第1キャリブレーションで求めた値をそのまま用いることができる。
Figure 0004365380
式(31)におけるP5”/P1”は、上述のように、第2キャリブレーションユニット90で求めたドナー蛍光の漏れ込み率(P5/P1)を、そのまま用いることができる(ドナー蛍光の漏れ込み率については、標識量が変わっても変わらないので)。同様に、P2”/P4”は、上述のように、第3キャリブレーションユニット92で求めたアクセプタ蛍光の漏れ込み率(P2/P4)を、そのまま用いることができる。第4キャリブレーションユニット92では、メモリ84から、第1キャリブレーションユニット88で求めておいたP3およびθ3、P6およびθ6を呼び出し、また、第2キャリブレーションユニット92で求めたP5/P1、第3キャリブレーションユニット94で求めたP2/P4を呼び出し、式(30)および式(31)の関係を用いて、特に、P4”およびθ4”を求める。なお、θ2”は第3キャリブレーションユニットで求めたθ2’を、およびθ5”は第2キャリブレーションユニットで求めたθ5’を、それぞれ求めればよい。
4”およびθ4”は、サンプルにドナー分子とアクセプタ分子が付着された状態における、アクセプタ標識サンプルがレーザによって直接励起されて発する蛍光の蛍光強度および位相である。式(21)を見てもわかるように、FRETが発生した場合でも、アクセプタ分子については、FRET蛍光はこの直接励起の項に追加されるのみである。アクセプタ標識サンプルがレーザによって直接励起されて発する蛍光の蛍光強度および位相については、FRETを測定するサンプルと標識量が同等の(アクセプタ分子およびドナー分子の双方が細胞に付着された状態の)non−FRET細胞での計測結果(P4”およびθ4”)を、そのまま用いることができる(P4”=P4およびθ4”=θ4として用いることができる)。なお、式(30)および(31)は互いに干渉しているが、P5”/P1”やP2”/P4”の値が0〜1であるので、例えば逐次代入法などを用いて収束させることができ、簡単に求めることができる。
蛍光緩和時定数算出ユニット96は、このように、第1キャリブレーションユニット88〜第4キャリブレーションユニット94で算出されてメモリ84に記憶された各情報(P2/P4、P3およびθ3、P6およびθ6、P4などの値)と、FRETサンプル12についての計測値であるPdnonorおよびθdonor、同じくPaccepterおよびθaccepter、上記式(20)および式(21)を用いて、τd *やτa *を求める。そして、FRET効率算出ユニット98が、FRET効率Et等を求める。
このようなフローサイトメータ10では、図13に示すような処理が行われて、FRET効率が算出される。各処理の詳細については、上述の通りである。まず、FRETサンプルが準備される(ステップS10)。この際、複数のFRETサンプルが測定溶液中に混濁された状態で用意され、このFRETサンプルの溶液はシース液を用いて管路30内にてフローセルを形成する。このフローセルに所定の周波数で強度変調したレーザ光を照射して蛍光の計測が行われる(ステップS20)。
蛍光の計測は、FRETサンプル12が管路30中の測定点を通過するタイミングを知らせる、受光部24の生成するトリガ信号に応じて、波長帯域がそれぞれ異なる光電変換器27aおよび27bによる計測が開始される。計測により得られた蛍光信号は、信号処理部42の位相差検出器56にて、蛍光信号のcos成分及びsin成分を含む処理信号が取り出される。この処理信号は、コントローラ44において、ローパスフィルタ62により高周波信号が除去されて、蛍光信号のcos成分及びsin成分がAD変換されて求められる。
求められたcos成分及びsin成分は分析装置80に供給され、計測情報(各FRETサンプルの、ドナー受光波長帯域における蛍光強度情報および位相情報、アクセプタ波長帯域における蛍光強度および位相情報)が求められる。そして、所定の計測時間内に求められた、ドナー受光波長帯域の蛍光強度情報と、アクセプタ受光波長帯域における蛍光強度情報を用いてスキャッタグラム(2次元相関図)がディスプレイ94に表示される(ステップS30)。
次に、FRETが発生したサンプルを特定するために、ディスプレイ94に表示されたスキャッタグラムにおいて、FRETが発生したサンプルの蛍光領域のサンプル集団が選択される。この選択は、オペレータによるマウス等の入力操作系を用いて行われてもよいし、例えばCPU82によって自動的に選択してもよい。選択されたサンプル集団の領域に含まれるFRETサンプルの蛍光強度情報や位相情報の代表値(例えば平均値、重心値、頻度ピーク値)が求められる(ステップS40)。この代表値を、上述のPdおよびθd、Paおよびθaとして用いる。
次に分析装置80のメモリ84から、第1キャリブレーションユニット88〜第4キャリブレーションユニット94によって予め算出されて記憶された各キャリブレーション情報(第1キャリブレーション情報〜第4キャリブレーション情報)を読み出す(ステップS50)。
そして、上述のPdおよびθd、Paおよびθaと、各キャリブレーション情報を用いて、P1およびθ1、あるいはP7およびθ7を求めて、τd *、τa *やτa、すなわち、ドナー分子蛍光成分のFRET蛍光寿命や、アクセプタ分子蛍光成分のFRET蛍光寿命、アクセプタ分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命などを求める。この際、式(20)や式(21)に示されるように、蛍光緩和時定数算出ユニット96では、各値で表されたベクトルを用いた処理(ベクトル減算など)が、逐次行なわれる(ステップS60)。
そして、ドナー波長帯域におけるドナー分子の蛍光成分(FRETが発生しない状態での、図4における経路R1に対応)の蛍光緩和時定数τdとを用いて、例えば、FRET効率Etを求める(ステップS70)。
図14は、フローサイトメータ10で行なわれる第1のキャリブレーションのフローチャート図である。第1のキャリブレーションでは、まず、無標識サンプルが準備される(ステップS110)。
次に、無標識サンプルについてフローサイトメータで計測が行われる(ステップS120)。フローサイトメータによる計測(ステップS120)及びスキャッタグラムのディスプレイ表示(ステップS130)、無標識サンプルの蛍光領域のサンプル集団の選択(ステップS140)は、図13に示すステップS20〜ステップS40と同様の処理であるので説明は省略する。第1キャリブレーションでは、このステップS140において抽出された代表値を、上記Pmd1、θmd1およびPma1、θma1とする。そして、この計測情報の代表値Pmd1、θmd1およびPma1、θma1を、無標識サンプルにレーザ光を照射し、細胞自体が発する蛍光についての、ドナー波長帯域およびアクセプタ波長帯域での蛍光強度情報P3、P6および位相情報θ3、θ6を表す第1キャリブレーション情報として、メモリ84に記憶する(ステップS150)。なお、第1キャリブレーションで求められる各種情報(第1キャリブレーション情報)と、第1キャリブレーションにおける処理の詳細は、先に述べたとおりである。
図15は、フローサイトメータ10で行なわれる第2のキャリブレーションのフローチャート図である。第1のキャリブレーションでは、まず、ドナー標識サンプルが準備される(ステップS210)。
次に、ドナー標識サンプルについてフローサイトメータで計測が行われる(ステップS120)。フローサイトメータによる計測(ステップS220)及びスキャッタグラムのディスプレイ表示(ステップS230)、ドナー標識サンプルの蛍光領域のサンプル集団の選択(ステップS240)は、図13に示すステップS20〜ステップS40と同様の処理であるので説明は省略する。第2キャリブレーションでは、このステップS240において抽出された代表値を、上記Pmd2、θmd2およびPma2、θma2とする。次に、第1キャリブレーションユニットで求められた、第1キャリブレーション情報をメモリ84から読み出す(ステップS250)。そして、Pmd2、θmd2およびPma2、θma2と、第1キャリブレーション情報を用いて、特に、ドナー標識サンプルが発する蛍光のうち、ドナー波長帯域の蛍光成分の蛍光強度に対する、アクセプタ蛍光波長帯域の蛍光成分の蛍光強度の比(ドナー蛍光漏れこみ率)を表すP5/P1を含む、第2キャリブレーション情報を算出する(ステップS260)。この際、上述のように、FRET発生が生じない場合の、ドナー分子のドナー波長帯域における蛍光緩和時定数τd、ドナー分子のアクセプタ波長帯域における蛍光緩和時定数τdaなども求めておく(第2キャリブレーション情報に含まれる)。この第2キャリブレーション情報を、メモリ84に記憶する(ステップS270)。なお、第2キャリブレーションで求められる各種情報(第2キャリブレーション情報)と、第2キャリブレーションにおける処理の詳細は、先に述べたとおりである。
図16は、フローサイトメータ10で行なわれる第3のキャリブレーションのフローチャート図である。第3キャリブレーションでは、まず、アクセプタ標識サンプルが準備される(ステップS310)。
次に、アクセプタ標識サンプルについてフローサイトメータで計測が行われる(ステップS320)。フローサイトメータによる計測(ステップ320)及びスキャッタグラムのディスプレイ表示(ステップS330)、アクセプタ標識サンプルの蛍光領域のサンプル集団の選択(ステップS340)は、図13に示すステップS20〜ステップS40と同様の処理であるので説明は省略する。第3キャリブレーションでは、このステップS340において抽出された代表値を、上記Pmd3、θmd3およびPma3、θma3とする。次に、第1キャリブレーションユニットで求められた、第1キャリブレーション情報をメモリ84から読み出す(ステップS350)。そして、Pmd3、θmd3およびPma3、θma3と、第1キャリブレーション情報を用いて、特に、アクセプタ標識サンプルが発する蛍光のうち、アクセプタ波長帯域の蛍光成分の蛍光強度に対する、ドナー波長帯域の蛍光成分の蛍光強度の比(ドナー蛍光漏れこみ率)を表すP2/P4を含む、第2キャリブレーション情報を算出する(ステップS260)。この際、上述のように、FRET発生が生じない場合の、アクセプタ分子のアクセプタ波長帯域における蛍光緩和時定数τa、アクセプタ分子のドナー波長帯域における蛍光緩和時定数τdaなども求めておく(第3キャリブレーション情報に含まれる)。この第3キャリブレーション情報を、メモリ84に記憶する(ステップS370)。なお、第3キャリブレーションで求められる各種情報(第3キャリブレーション情報)と、第3キャリブレーションにおける処理の詳細は、先に述べたとおりである。
図17は、フローサイトメータ10で行なわれる第4のキャリブレーションのフローチャート図である。第4キャリブレーションでは、まず、non−FRETサンプルが準備される(ステップS410)。
次に、non−FRETサンプルについてフローサイトメータで計測が行われる(ステップS420)。フローサイトメータによる計測(ステップ420)及びスキャッタグラムのディスプレイ表示(ステップS430)、アクセプタ標識サンプルの蛍光領域のサンプル集団の選択(ステップS440)は、図13に示すステップS20〜ステップS40と同様の処理であるので説明は省略する。第4キャリブレーションでは、このステップS440において抽出された代表値を、上記Pmd4、θmd4およびPma4、θma4とする。次に、第1〜第3キャリブレーションユニットで求められた、第1〜第3キャリブレーション情報をメモリ84から読み出す(ステップS450)。そして、Pmd4、θmd4およびPma4、θma4と、第1〜第3キャリブレーション情報を用いて、特に、アクセプタ標識サンプルがレーザによって直接励起されて発する蛍光の蛍光強度P4および位相θ4を表す情報を含む、第4キャリブレーション情報を算出する(ステップS460)。そして、求められた第4キャリブレーション情報は、メモリ84に記憶する(ステップS470)。第1〜第4キャリブレーションで求められた各キャリブレーション情報は、図13に示すフローチャートで示される、FRETサンプルを用いたFRETの検出に用いられる。なお、第4キャリブレーションで求められる各種情報(第4キャリブレーション情報)と、第4キャリブレーションにおける処理の詳細は、先に述べたとおりである。
以上のように、本発明では、特に、FRETを測定する対象の標識量が変化しない、ドナー分子蛍光漏れ込み率(P5/P1)や、アクセプタ蛍光漏れ込み率(P2/P4)を、FRET標識サンプルとは標識量が異なるサンプル(ドナー標識サンプルやアクセプタ標識サンプル)を用いて予め求めておき、このような漏れ込み率の情報を用いてFRETサンプルの計測情報を処理することで、FRETサンプルの蛍光寿命を高精度に求めることができる。また、FRETが発生しないように処理されたnon−FRETサンプルを用いて、アクセプタ分子がレーザ光によって直接励起されて生じる蛍光の成分を予め求めておき、このような情報を用いてFRETサンプルの計測情報を処理することで、FRETサンプルの蛍光寿命をより高精度に求めることができる。また、ドナー分子やアクセプタ分子が付着される細胞そのものからの自家蛍光の成分を除去することで、FRETサンプルの蛍光寿命をより高精度に求めることができる。
なお、上述の実施形態では、ドナー蛍光分子およびアクセプタ蛍光分子の双方を有し、タンパク質の構造変化や結合に対しての不活性因子を導入するなどして、FRETが発生しないように調整処理したnon−FRETサンプルについて、このnon−FRETサンプルが発する蛍光の蛍光強度および位相の情報を求めることで、特に、アクセプタ標識サンプルがレーザによって直接励起されて発する蛍光成分の蛍光強度および位相を求めている。例えば、アクセプタ分子で標識されたサンプルに、異なる2つの波長のレーザ光を照射し、各レーザ光それぞれによってアクセプタ分子が励起されて蛍光が発せられる場合、1つの波長帯域で測定される各レーザ光それぞれからの蛍光成分それぞれの比は、サンプルの標識量によらず一定であると仮定できる。すなわち、アクセプタ標識サンプルについての、この2つのレーザ光からの蛍光成分の比に対する、FRET標識サンプルについての、この2つのレーザ光からの蛍光成分の比の変化量は、FRET成分によるものであると仮定できる。アクセプタ標識サンプルについての、この2つのレーザ光からの蛍光成分の比を求めておけば、FRET標識サンプルについて、この2つのレーザ光からの蛍光成分の比を求めることで、アクセプタ標識サンプルがレーザによって直接励起されて発する蛍光成分の蛍光強度情報や位相情報を求めることができるといえる。本願では、このような手法によって、アクセプタ標識サンプルがレーザによって直接励起されて発する蛍光成分の蛍光強度情報や位相情報を求めてもよい。なお、2つのレーザ光からの蛍光成分を独立に検出する手段としては、本願出願人による先の出願である特願2005−37399号明細書や特願2006−054347号明細書に記載の手段を用いればよい。
以上、本発明のFRET検出方法及びFRET検出装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明のFRET検出装置を用いたフローサイトメータの概略構成図である。 ドナー分子のエネルギー吸収と蛍光及びアクセプタ分子の吸収と蛍光のスペクトルの例を示す図である。 FRETの発生を説明する摸式図である。 図1に示すフローサイトメータの受光部の一例を示す概略構成図である。 図1に示すフローサイトメータにおいて、FRETサンプルから発する蛍光の成分と、各蛍光成分の光電変換器への入射について説明する図である。 図1に示すフローサイトメータの制御・処理部の一例を示す概略構成図である。 図1に示すフローサイトメータの分析装置の一例を示す概略構成図である。 FRET発生時の蛍光発光のダイナミクスについて表したモデル図である。 図1に示すフローサイトメータにおいて、無標識サンプルから発する蛍光の成分と、各蛍光成分の光電変換器への入射について説明する図である。 図1に示すフローサイトメータにおいて、ドナー標識サンプルから発する蛍光の成分と、各蛍光成分の光電変換器への入射について説明する図である。 図1に示すフローサイトメータにおいて、アクセプタ標識サンプルから発する蛍光の成分と、各蛍光成分の光電変換器への入射について説明する図である。 図1に示すフローサイトメータにおいて、non−FRET標識サンプルから発する蛍光の成分と、各蛍光成分の光電変換器への入射について説明する図である。 図1に示すフローサイトメータにおいて行なわれるFRET検出方法のフローチャート図である。 図1に示すフローサイトメータにおいて行なわれる第1キャリブレーションのフローチャート図である。 図1に示すフローサイトメータにおいて行なわれる第2キャリブレーションのフローチャート図である。 図1に示すフローサイトメータにおいて行なわれる第3キャリブレーションのフローチャート図である。 図1に示すフローサイトメータにおいて行なわれる第4キャリブレーションのフローチャート図である。
符号の説明
10 フローサイトメータ
12 FRETサンプル
20 信号処理装置
22 レーザ光源部
24,26 受光部
26a レンズ系
26c1,26c2, バンドパスフィルタ
27a、27b 光電変換器
28 制御・処理部
30 管路
32 回収容器
40 信号生成部
42 信号処理部
44 コントローラ
46 発振器
48 パワースプリッタ
50,52,54a,54b 増幅器
56 位相差検出器
60 システム制御器
62 ローパスフィルタ
66 A/D変換器
80 分析装置
82 CPU
84 メモリ
86 入出力ポート
88 第1キャリブレーションユニット
90 第2キャリブレーションユニット
92 第3キャリブレーションユニット
94 第4キャリブレーションユニット
96 蛍光緩和時定数算出ユニット
98 FRET効率算出ユニット

Claims (22)

  1. 第1分子および第2分子で標識された測定対象サンプルにレーザ光を照射し、このとき測定対象サンプルが発する蛍光を受光することによって、第1分子のエネルギーが第2分子に移動するFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)を検出するFRET検出方法であって、
    レーザ光の強度を所定の周波数で時間変調して前記測定対象サンプルに照射し、このときの前記測定対象サンプルの発する蛍光を受光波長帯域の異なる複数の検出センサで受光することにより、前記測定対象サンプルの蛍光の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集するステップと、
    予め記憶手段に記憶されている情報であって、前記測定対象サンプルの前記蛍光のうち前記第1分子が発する第1分子蛍光成分の、前記受光波長帯域における蛍光強度の比を表す第1の強度比率と前記レーザ光の時間変調に対する前記第1分子蛍光成分の位相情報と、前記蛍光のうち前記第2分子が発する第2分子蛍光成分の、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を表す第2の強度比率と前記レーザ光の時間変調に対する前記第2分子蛍光成分の位相情報と、レーザ光によって励起された第1分子が発する蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたとき定義される寿命であって前記FRETが発生しない状態における前記第1分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命と、を少なくとも含むキャリブレーション情報を読み出して取得するステップと、
    各検出センサから収集された前記検出値から、前記受光波長帯域毎に、前記測定対象サンプルの蛍光の蛍光強度情報および位相情報を求めて、求めた前記蛍光強度情報および前記位相情報と、前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の前記位相情報と、前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の前記位相情報と、を用いて、レーザ光によって励起された第1分子が発する蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたとき定義される前記第1分子蛍光成分のFRET蛍光寿命を求めるステップと、
    前記第1分子蛍光成分のFRET蛍光寿命と、前記第1分子蛍光成分の前記非FRET蛍光寿命との比を用いてFRET発生情報を求めるステップと、を有することを特徴とするFRET検出方法。
  2. 前記FRET発生情報を求めるステップでは、前記非FRET蛍光寿命をτd、前記FRET蛍光寿命をτd *とするとき
    前記FRET発生情報として、1−(τd */τd)で表されるFRET効率Etを求める請求項1に記載のFRET検出方法。
  3. 前記検出値を収集するステップでは、複数の前記測定対象サンプルに前記レーザ光を照射し、前記センサにて複数の前記測定対象サンプルそれぞれについて前記検出値を収集し、
    前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、各検出値に基づいて、前記測定対象サンプルそれぞれの蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた複数の蛍光強度情報および位相情報から前記FRET蛍光寿命を求める請求項1または2に記載のFRET検出方法。
  4. 前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、前記受光波長帯域毎に前記検出値から求めた前記蛍光強度および位相情報をベクトルで表し、このベクトル前記第1の強度比率および前記第2の強度比率とを、前記受光波長帯域毎に用いて、FRETが生じた状態における前記第1分子蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報と、前記第2分子蛍光成分のうちFRETが生じることで発するFRET成分の蛍光強度情報および位相情報とを求め、求めた情報を用いて、前記FRET蛍光寿命を求める請求項1〜3のいずれかに記載のFRET検出方法。
  5. 前記受光波長帯域は、前記第1分子蛍光成分の蛍光強度が最大となるピーク波長を中心とした第1波長帯域と、前記第2分子蛍光成分の蛍光強度が最大となるピーク波長を中心とした第2波長帯域とを有し
    前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、
    前記第1波長帯域の前記検出センサにて収集される検出値によって表される第1波長帯域における前記ベクトルと前記第2の強度比率とを少なくとも用いて、前記FRETが生じた状態における前記第1分子蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を求め、
    前記第2波長帯域の前記検出センサにより収集される検出値によって表される第2波長帯域における前記ベクトルと前記第1の強度比率とを少なくとも用いて、前記FRET成分の蛍光強度情報および位相情報を求める請求項4に記載のFRET検出方法。
  6. 前記記憶手段には、前記第2分子蛍光成分のうち前記レーザ光によって第2分子が直接励起されることで発生する直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報があらかじめ記憶されており、
    前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、前記記憶手段に記憶されている前記直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を呼び出して、直接励起蛍光成分の情報ベクトルで表し
    前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、前記直接励起蛍光成分の前記ベクトル、前記第2波長帯域における前記ベクトルとを少なくとも用いて、前記FRETが生じた状態における前記第2分子蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を求める請求項5に記載のFRET検出方法。
  7. 前記記憶手段には、前記第2分子蛍光成分のうち前記レーザ光によって第2分子が直接励起されることで発生する直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報があらかじめ記憶されており、
    前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、前記第2分子蛍光成分のうち、前記レーザ光によって第2分子が直接励起されることで発生する直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を呼び出して前記直接励起蛍光成分ベクトルで表し
    前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、前記第1分子蛍光成分のFRET寿命を前記キャリブレーション情報を用いて求めるのに加えて、前記第2波長帯域における前記ベクトル前記第1の強度比率とを少なくとも用いて前記FRET成分の位相情報を求め、
    求めた前記FRET成分の位相情報と前記直接励起蛍光成分の前記ベクトルとを用いて、前記FRETが生じた状態における前記第2分子蛍光成分のFRET蛍光寿命と、前記FRETが生じない状態における前記第2分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命とを求め、
    前記第2分子蛍光成分のFRET蛍光寿命と、前記第2分子蛍光成分の前記非FRET蛍光寿命とを用いて、前記第1分子蛍光成分のFRET蛍光寿命を求める請求項5に記載のFRET検出方法。
  8. 前記測定対象サンプルは、前記レーザ光によって励起されて自家蛍光を発する自家蛍光サンプル体に、前記第1分子および前記第2分子で標識されたサンプルであって、
    前記記憶手段には、前記自家蛍光サンプル体に前記レーザ光を照射することにより発する前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域毎の蛍光強度情報および位相情報が予め記憶されており、
    前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、前記記憶手段に記憶されている、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を呼び出して前記自家蛍光サンプル体の蛍光をベクトルで表し
    前記FRET蛍光寿命を求めるステップでは、前記受光波長帯域毎の前記測定対象サンプルの前記ベクトルそれぞれから、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の前記ベクトルを減算し、この減算で得られたベクトルを用いて、前記FRET蛍光寿命を求める請求項4〜7のいずれかに記載のFRET検出方法。
  9. 前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、自家蛍光キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、
    前記自家蛍光キャリブレーションでは、
    前記自家蛍光サンプル体を測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶する請求項8に記載のFRET検出方法。
  10. 前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、non−FRETキャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、
    前記non−FRETキャリブレーションでは、
    前記第1分子および前記第2分子がサンプルに付着されて、FRETが生じない処理がなされたnon−FRETサンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記non−FRETサンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、
    求めた前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報と、前記記憶手段に予め記憶された前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の位相情報、前記記憶手段に予め記憶された前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の位相情報とを用いて、レーザ光によって第2分子が直接励起される直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶する請求項1〜9のいずれかに記載のFRET検出方法。
  11. 前記non−FRETサンプルは、前記レーザ光によって励起されて自家蛍光を発する自家蛍光サンプル体に、前記第1分子および前記第2分子で標識されたサンプルであって、
    前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、自家蛍光キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、
    前記自家蛍光キャリブレーションは、前記non−FRETキャリブレーションに先がけて行われるキャリブレーションであって、前記自家蛍光サンプル体を測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶し、
    前記non−FRETキャリブレーションでは、前記non−FRETサンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報をベクトルで表したnon−FRETサンプルベクトルから、前記自家蛍光キャリブレーションで求められた前記自家蛍光の情報をベクトルで表した自家蛍光ベクトルを減算し、この減算で得られたベクトルと、前記記憶手段に予め記憶された前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の位相情報と、前記記憶手段に予め記憶された前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の位相情報とを用いて前記直接励起蛍光成分ベクトルを導出し、導出した結果を前記記憶手段に記憶する請求項10に記載のFRET検出方法。
  12. 前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、第1分子キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、
    前記第1分子キャリブレーションでは、
    前記第1分子のみで標識された第1分子サンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、
    前記第1の強度比率として、前記第1分子サンプルの、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を求め、
    求めた前記第1の強度比率と求めた前記位相情報を前記記憶手段に記憶する請求項1〜11のいずれかに記載のFRET検出方法。
  13. 前記第1分子サンプルは、前記レーザ光によって励起されて自家蛍光を発する自家蛍光サンプル体に、前記第1分子で標識されたサンプルであって、
    前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、自家蛍光キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、
    前記自家蛍光キャリブレーションは、前記第1分子キャリブレーションに先がけて行われるキャリブレーションであって、前記自家蛍光サンプル体を測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域毎に蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶し、
    前記第1分子キャリブレーションでは、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報をベクトルで表した第1分子サンプルベクトルから、前記自家蛍光キャリブレーションで求められた前記自家蛍光サンプル体の蛍光の情報をベクトルで表した自家蛍光ベクトルを減算し、この減算で得られたベクトルを用いて、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶する請求項12に記載のFRET検出方法。
  14. 前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、第2分子キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、
    前記第2分子キャリブレーションでは、
    前記第2分子のみで標識された第2分子サンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、
    前記第2の強度比率として、前記第2分子サンプルの、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を求め、
    求めた前記第2の強度比率および求めた前記位相情報を前記記憶手段に記憶する請求項1〜13のいずれかに記載のFRET検出方法。
  15. 前記第2分子サンプルは、前記レーザ光によって励起されて自家蛍光を発する自家蛍光サンプル体に、前記第2分子で標識されたサンプルであって、
    前記キャリブレーション情報を取得するステップでは、自家蛍光キャリブレーションによって得られた情報を前記記憶手段から呼び出して取得し、
    前記自家蛍光キャリブレーションは、前記第2分子キャリブレーションに先がけて行われるキャリブレーションであって、前記自家蛍光サンプル体を測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域毎に蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集して、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶し、
    前記第2分子キャリブレーションでは、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報をベクトルで表した第2分子サンプルベクトルから、前記自家蛍光サンプル体キャリブレーションで求められた前記自家蛍光サンプルの蛍光の情報をベクトルで表した自家蛍光ベクトルを減算し、この減算で得られたベクトルを用いて、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた情報を前記記憶手段に記憶する請求項14に記載のFRET検出方法。
  16. 第1分子および第2分子で標識された測定対象サンプルにレーザ光を照射し、このとき測定対象サンプルが発する蛍光を受光することによって、第1分子のエネルギーが第2分子に移動するFRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)を検出するFRET検出装置であって、
    レーザ光の強度を所定の周波数で時間変調して前記測定対象サンプルについて照射し、このときの前記測定対象サンプルの蛍光を受光波長帯域の異なる複数の検出センサで受光することにより、前記測定対象サンプルの蛍光の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を取得する検出情報取得部と、
    前記測定対象サンプルの前記蛍光のうち前記第1分子が発する第1分子蛍光成分の、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を表す第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の位相情報と、前記第2分子が発する第2分子蛍光成分の、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を表す第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の位相情報と、レーザ光によって励起された第1分子が発する蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときに定義される寿命であって、前記FRETが発生しない状態における前記第1分子蛍光成分の非FRET蛍光寿命と、を少なくとも含むキャリブレーション情報を予め記憶しておく記憶手段と、
    前記検出情報取得部が取得した前記検出値から、前記受光波長帯域それぞれについて、前記測定対象サンプルの蛍光の蛍光強度情報および位相情報を求めて、求めた前記蛍光強度情報および前記位相情報と、前記記憶手段から読み出した前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の前記位相情報と、前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の前記位相情報と、を用いて、レーザ光によって励起された第1分子が発する蛍光が1次遅れ系の緩和応答であるとしたときに定義される前記第1分子蛍光成分のFRET蛍光寿命を求めるFRET蛍光寿命算出部と、
    前記第1分子蛍光成分のFRET蛍光寿命と、前記第1分子蛍光成分の前記非FRET蛍光寿命との比を用いて表されるFRET発生情報を求めるFRET発生情報算出部と、を有することを特徴とするFRET検出装置。
  17. 前記FRET蛍光寿命算出部では、前記検出値それぞれから求めた前記蛍光強度および位相情報をベクトルで表し、それぞれのベクトル前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の前記位相情報、前記第2分子蛍光成分の前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の前記位相情報とを用いて、FRETが生じた状態における前記第1分子蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報と、前記第2分子蛍光成分のうちFRETが生じることで発するFRET成分の蛍光強度情報および位相情報とを求め、求めたこれらの情報を用いて、前記FRET蛍光寿命を求める請求項16に記載のFRET検出装置。
  18. 前記センサの各受光波長帯域は、前記第1分子蛍光成分の蛍光強度が最大となるピーク波長を中心とした第1波長帯域と、前記第2分子蛍光成分の蛍光強度が最大となるピーク波長を中心とした第2波長帯域であり、
    前記FRET蛍光寿命算出部では、
    前記第1波長帯域の検出センサによる前記検出値から求められる第1波長帯域におけるベクトルと、前記第2の強度比率とを少なくとも用いて、前記FRETが生じた状態における前記第1分子蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を求め、
    前記第2波長帯域の前記検出センサによる前記検出値によって表される第2波長帯域におけるベクトルと、前記第1の強度比率とを少なくとも用いて、前記FRET成分の蛍光強度情報および位相情報を求める請求項16または17に記載のFRET検出装置。
  19. 前記FRET検出装置は、さらに、自家蛍光キャリブレーション部を有し、
    前記自家蛍光キャリブレーション部は、前記レーザ光によって励起されて自家蛍光を発する自家蛍光を測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、前記検出センサそれぞれから、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集し、前記自家蛍光サンプル体の蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求めて、前記記憶手段に記憶し
    前記FRET蛍光寿命算出部では、前記受光波長帯域の前記測定対象サンプルの蛍光の情報をベクトルで表し、このベクトルから、前記自家蛍光サンプル体の前記蛍光強度情報および前記位相情報を表したベクトルを減算し、減算して得られたベクトルを用いて、前記FRET蛍光寿命を求める請求項16〜18のいずれかに記載のFRET検出装置。
  20. 前記FRET検出装置は、さらに、non−FRETキャリブレーション部を有し、
    前記non−FRETキャリブレーション部は、
    前記第1分子および前記第2分子がサンプルに付着されて、FRETが生じない処理がなされたnon−FRETサンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集した際、
    前記non−FRETサンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、求めた蛍光強度情報および位相情報と、前記第1の強度比率と、前記第1分子蛍光成分の前記位相情報前記第2の強度比率と、前記第2分子蛍光成分の前記位相情報とを用いて、前記レーザ光によって第2分子が直接励起されることで発生する直接励起蛍光成分の蛍光強度情報および位相情報を求め、これらの情報をベクトルで表した直接励起蛍光成分ベクトルを導出し、この導出結果を前記記憶手段に記憶し
    前記FRET蛍光寿命算出部は、前記直接励起蛍光成分ベクトルを用いて前記FRET蛍光寿命を求める請求項16〜19のいずれかに記載のFRET検出装置。
  21. 前記FRET検出装置は、さらに、第1分子キャリブレーション部を有し、
    前記第1分子キャリブレーション部は、
    前記第1分子のみで標識された第1分子サンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集した際、
    前記第1分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、前記第1の強度比率として、前記第1分子サンプルの、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を求め、求めた前記第1の強度比率及び求めた前記第1分子サンプルの蛍光の前記位相情報を前記記憶手段に記憶する請求項16〜20のいずれかに記載のFRET検出装置。
  22. 前記FRET検出装置は、さらに、第2分子キャリブレーション部を有し、
    前記第2分子キャリブレーション部は、
    前記第2分子のみで標識された第2分子サンプルを測定対象物として所定の周波数で時間変調したレーザ光を照射することにより、各検出センサから、前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を含む検出値を収集した際、
    前記第2分子サンプルの蛍光の、前記受光波長帯域の蛍光強度情報および位相情報を求め、前記第2の強度比率として、前記第2分子サンプルの、前記受光波長帯域の蛍光強度の比を求め、求めた前記第2の強度比率及び求めた前記第2分子サンプルの蛍光の前記位相情報を前記記憶手段に記憶する請求項16〜21のいずれかに記載のFRET検出装置。
JP2006065742A 2006-03-10 2006-03-10 Fret検出方法および装置 Expired - Fee Related JP4365380B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006065742A JP4365380B2 (ja) 2006-03-10 2006-03-10 Fret検出方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006065742A JP4365380B2 (ja) 2006-03-10 2006-03-10 Fret検出方法および装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2007240424A JP2007240424A (ja) 2007-09-20
JP2007240424A5 JP2007240424A5 (ja) 2009-09-03
JP4365380B2 true JP4365380B2 (ja) 2009-11-18

Family

ID=38586101

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006065742A Expired - Fee Related JP4365380B2 (ja) 2006-03-10 2006-03-10 Fret検出方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4365380B2 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101236449B1 (ko) 2008-09-19 2013-02-22 미쯔이 죠센 가부시키가이샤 강도 변조한 레이저광에 의한 형광 검출 장치 및 형광 검출 방법
US8330124B2 (en) 2008-09-19 2012-12-11 Mitsui Engineering & Shipbuilding Co., Ltd. Fluorescence detection device using intensity-modulated laser light and fluorescence detection method
US20110266462A1 (en) * 2009-01-09 2011-11-03 Mitsui Engineering & Shipbuilding Co., Ltd Fluorescence detecting device and fluorescence detecting method
JP4523673B1 (ja) * 2009-01-22 2010-08-11 三井造船株式会社 蛍光検出装置及び蛍光検出方法
EP2390652A1 (en) * 2009-01-23 2011-11-30 Mitsui Engineering & Shipbuilding Co., Ltd. Fluorescence detection device and fluorescence detection method
EP2397841A1 (en) * 2009-02-10 2011-12-21 Mitsui Engineering & Shipbuilding Co., Ltd. Fluorescence detection device and fluorescence detection method
JP4564567B2 (ja) 2009-02-13 2010-10-20 三井造船株式会社 蛍光検出装置及び蛍光検出方法
JP4564566B2 (ja) 2009-02-13 2010-10-20 三井造船株式会社 蛍光検出装置及び蛍光検出方法
EP2442094A1 (en) 2009-06-12 2012-04-18 Mitsui Engineering & Shipbuilding Co., Ltd. Fluorescence detection device and fluorescence detection method
EP2485040A1 (en) * 2009-09-29 2012-08-08 Mitsui Engineering & Shipbuilding Co., Ltd. Method and device for fret measurement
EP2527819A1 (en) * 2010-01-21 2012-11-28 Mitsui Engineering & Shipbuilding Co., Ltd. Method for detection of fluorescence, process for production of fluorescent beads, and fluorescent beads
JP4866964B2 (ja) * 2010-05-12 2012-02-01 三井造船株式会社 Fret測定方法及びfret測定装置
US20150044763A1 (en) * 2012-03-22 2015-02-12 Mitsui Engineering & Shipbuilding Co., Ltd. Fret measurement device and fret measurement method
US9291563B2 (en) 2012-03-22 2016-03-22 Mitsui Engineering & Shipbuilding FRET measurement device and FRET measurement method
JP6762703B2 (ja) * 2015-11-10 2020-09-30 京都府公立大学法人 腫瘍部位の判別のための方法、腫瘍部位の判別装置
CN105842210B (zh) * 2016-03-23 2018-08-24 南昌大学 基于生物量子点和Au NPs荧光共振能量转移的凝血酶检测方法
CN109073536B (zh) 2016-05-06 2021-08-06 索尼公司 信息处理装置、信息处理方法、程序以及信息处理系统
CN106442455B (zh) * 2016-11-23 2019-01-08 华南师范大学 一种基于双通道荧光强度同时探测的荧光共振能量转移效率的快速测量方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007240424A (ja) 2007-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4365380B2 (ja) Fret検出方法および装置
KR101152615B1 (ko) 형광공명에너지이동 검출 방법 및 장치
KR101200397B1 (ko) 형광 검출 장치 및 형광 검출 방법
JP4709947B2 (ja) Fret測定方法及び装置
JP4365439B2 (ja) 蛍光検出方法及び蛍光検出装置
JP4523673B1 (ja) 蛍光検出装置及び蛍光検出方法
JP4866964B2 (ja) Fret測定方法及びfret測定装置
JP4540751B1 (ja) 蛍光検出装置及び蛍光検出方法
KR101152614B1 (ko) 형광 공명 에너지 이동 검출 방법 및 장치
JP4540579B2 (ja) 蛍光強度算出方法及び蛍光強度算出装置
JP6083731B2 (ja) Fret型バイオプローブ及びfret計測方法
JP5443404B2 (ja) 蛍光検出装置、蛍光検出装置の診断方法、および蛍光検出方法
JP4365379B2 (ja) Fret検出方法及び装置
JP5324487B2 (ja) 蛍光検出用較正装置、蛍光検出用較正方法、および蛍光検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080402

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20080916

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20081003

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20081003

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080916

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090717

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20090717

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20090730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090811

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090820

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120828

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130828

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140828

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees