JP4539375B2 - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機が搭載された車両の駆動力制御装置に関し、特に、車両発進用の変速ギヤ段が実現できない場合における車両の駆動力制御装置に関する。
通常、自動変速機においては、複数の摩擦係合要素を選択的に締結させて所望の変速ギヤ段を形成するように制御が行なわれる。特開2000−65203号公報(特許文献1)は、これらの摩擦係合要素の作動液圧を検知する圧力スイッチを設けて、これら圧力スイッチの状態の組み合わせから自動変速機のインターロックを検知してインターロック対策を行なう技術を開示する。この特許文献1においては、発進時に用いられる第1速での摩擦係合要素に関わるソレノイドや直動バルブに故障が生じるとその摩擦係合要素の締結に関係しない第2速を強制的に選択して、車両が走行不要な状態に陥ることを回避することが開示されている。
特開2000−65203号公報
しかしながら、発進時の変速ギヤ段が第1速ではなく、それよりもハイギヤ(ギヤ比が小さい)側のギヤ段(第2速等)を用いると、通常の第1速発進に比較して車両の駆動力(クリープ力)が低下することから、運転者に違和感を与えてしまう。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、発進時の変速ギヤ段が所望の変速ギヤ段を形成できない場合であっても、運転者に違和感を与えない車両の駆動力制御装置を提供することである。
第1の発明に係る車両の駆動力制御装置は、複数の摩擦係合要素が選択的に係合させられることによってギヤ比の異なる複数の前進ギヤ段が形成される自動変速機が搭載された車両の駆動力を制御する。この駆動力制御装置は、発進時の前進ギヤ段として、第1速段を形成することができるか否かを検知するための検知手段と、検知手段により、第1速段を形成できないことが検知された場合には、第1速段よりもハイギヤ側の前進ギヤ段を形成するための変速制御手段と、発進時の前進ギヤ段として、第1速段よりもハイギヤ比の前進ギヤ段が形成された場合には、車両の駆動力が増大するように駆動力を制御するための駆動力制御手段とを含む。
第1の発明によると、車両の発進時において通常使用される第1速段が油圧回路の故障等で形成できないことが検知手段により検知されると、変速制御手段は第1速段よりもハイギヤ側の前進ギヤ段を形成する。このとき、ハイギヤ側のたとえば第2速発進となるので、駆動力制御手段は、車両の駆動力を増大させて、第1速段が形成されて車両が発進した場合と同じ程度の駆動力を車両に発生させる。このようにすると、運転者がハイギヤ側の前進ギヤ段が使用されたことによる駆動力不足を感じることを回避できる。その結果、発進時の変速ギヤ段が所望の変速ギヤ段を形成できない場合であっても、運転者に違和感を与えない車両の駆動力制御装置を提供することができる。
第2の発明に係る車両の駆動力制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、駆動力制御手段は、車両に搭載された動力源の出力回転数を調整することにより、駆動力を制御するための手段を含む。
第2の発明によると、車両に搭載された動力源の一例であるエンジンの回転数を上昇させることによりエンジンの出力トルクを増大させて、駆動力を制御することができる。
第3の発明に係る車両の駆動力制御装置は、第1または2の発明の構成に加えて、検知手段により第1速段を形成することができることが検知されても、予め定められた変速条件に基づく第1速段への変速判断が行なわれるまでは、第1速段への変速を禁止するための禁止手段をさらに含む。
第3の発明によると、車両の発進時に第1速段が形成できなくて第1速段よりもハイギヤ側の前進ギヤ段が形成されるとともに駆動力制御が行なわれているときに、油圧回路の故障から復旧しても第1速段への変速を禁止して、たとえば第2速発進を継続する。このようにすると、駆動力制御が行なわれているときに第1速ギヤ段への変速を行なうと、急に駆動力が大きくなり過ぎ、運転者が違和感を感じる。このため、禁止手段により第1速段への変速を禁止しておいて、駆動力の急な変化を防止する。
第4の発明に係る車両の駆動力制御装置においては、第3の発明の構成に加えて、駆動力制御手段は、禁止手段により第1速段への変速が禁止されている場合においては、継続して車両の駆動力が増大するように駆動力を制御するための手段を含む。
第4の発明によると、禁止手段により第1速段への変速を禁止して第2速発進されているときに駆動力制御手段による駆動力制御を継続して、車両の駆動力が急に変化しないようにできる。
第5の発明に係る車両の駆動力制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、動力源は、エンジンであって、自動変速機は、トルクコンバータと変速機構とを含む。駆動力制御手段は、自動変速機からの出力トルクが、第1速段よりもハイギヤ比の前進ギヤ段が形成された場合であっても、第1速段が形成された場合と同じになるように、トルクコンバータから自動変速機へ入力されるトルクを増大するようにエンジンのトルクを上昇させるための手段を含む。
第5の発明によると、エンジンからの出力トルクを増大させて、トルクコンバータから自動変速機へ入力されるトルクを増大させる。このとき、自動変速機からの出力トルクが、第1速段よりもハイギヤ比の前進ギヤ段が形成された場合であっても、第1速段が形成された場合と同じになるように増大させる。このようにすると、第1速段により発進した場合であっても、第1速段よりもハイギヤ側の第2速段により発進した場合であっても、同じ駆動力を発生させることができる。
第6の発明に係る車両の駆動力制御装置においては、第5の発明の構成に加えて、駆動力制御手段は、エンジンの回転数を増大させるための手段を含む。
第6の発明によると、エンジンの回転数を増大させてエンジンからの出力トルクを増大させて、第1速段よりもハイギヤ側の第2速段により発進した場合であっても、第1速段により発進した場合と同じ駆動力を発生させることができる。
第7の発明に係る車両の駆動力制御装置においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、駆動力制御手段は、車両のクリープ力が増大するように制御するための手段を含む。
第7の発明によると、発進時に車両に発生するクリープ力が増大するので、たとえば、登坂路における車両のずり下がりを防止できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本実施の形態に係る駆動力制御装置を含む自動変速システムについて説明する。なお、以下の説明においては、この車両の駆動源をエンジンであるとして説明するが、エンジンのみではないエンジンおよびモータで駆動源が構成されてもよいし、モータのみ(ただし自動変速機を有する)であってもよい。
このシステムは、自動変速機10と、油圧制御回路98と、ECU(Electronic Control Unit)90とを含む。自動変速機10は、油圧制御回路98により所望の動力伝達状
態になるように制御される。具体的には、油圧制御回路98に設けられるリニアソレノイドバルブSL(1)〜SL(6)は、自動変速機10に設けられる複数の摩擦係合要素の作動油圧を調圧する。リニアソレノイドバルブSL(1)〜SL(6)は、ECU90から出力される出力指令値に基づいて、その動作が制御される。また、ECU90は、プログラムを実行することにより、本実施の形態に係る駆動力制御装置を実現する。
図1に示すように、アクセルポジションセンサ52は、アクセルペダル50の操作量Accを検出する。アクセルポジションセンサ52は、アクセル操作量Accを表わす信号をECU90に出力する。運転者は、運転者の出力要求量に応じてアクセルペダル50の踏み込み量を操作する。アクセルペダル50は、アクセル操作部材に相当する。アクセル操作量Accは出力要求量に相当する。
エンジン回転速度センサ58は、検出されるエンジン(図示せず)の回転速度NEをECU90に出力する。吸入空気量センサ60は、検出される吸入空気量Qを表わす信号をECU90に出力する。吸入空気温度センサ62は、検出される吸入吸気の温度T(A)を表わす信号をECU90に出力する。
アイドルスイッチ付スロットルポジションセンサ64は、エンジンの電子スロットル弁の全閉状態(アイドル状態)およびその開度θ(TH)を検出する。スロットルポジションセンサ64は、検出されるスロットル開度θ(TH)を表わす信号をECU90に出力する。
車速センサ66は、車速V(出力軸の回転速度N(OUT)に対応)を検出する。車速センサ66は、検出される車速Vを表わす信号をECU90に出力する。冷却水温センサ68は、検出されるエンジンの冷却水温T(W)を表わす信号をECU90に出力する。
ブレーキスイッチ70は、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無を検出する。ブレーキスイッチ70は、フットブレーキの操作の有無を示す信号をECU90に出力する。
レバーポジションセンサ74は、シフトレバー72のレバーポジション(操作位置)P(SH)を検出する。レバーポジションセンサ74は、検出されるレバーポジションP(SH)を表わす信号をECU90に出力する。
タービン回転速度センサ76は、タービン回転速度NT(=入力軸の回転速度N(IN))を検出する。タービン回転速度センサ76は、検出されるタービン回転速度NTを表わす信号をECU90に出力する。
AT油温センサ78は、油圧制御回路98内の作動油の温度であるAT油温T(OIL)を検出する。AT油温センサ78は、検出されるAT油温T(OIL)を表わす信号をECU90に出力する。
アップシフトスイッチ80は、アップシフトスイッチ80に変速レンジアップの指令が入力されると、指令R(UP)を表わす信号をECU90に出力する。ダウンシフトスイッチ82は、ダウンシフトスイッチ82に変速レンジダウンの指令が入力されると、指令R(DN)を表わす信号をECU90に出力する。
図2に示すように、この自動変速機10は、車両の前後方向(縦置き)に搭載するFR車両に好適に用いられ、後述するようにギヤ比(変速比)の異なる8つの前進ギヤ段とギヤ比の異なる2つの後進ギヤ段とが形成される。自動変速機10には、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成される第1変速部14と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置16およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体として構成される第2変速部20とが同軸線上に設けられる。入力軸22の回転は、変速して出力軸24から出力される。入力軸22は、入力部材に相当するもので、本実施の形態において、走行用の動力源であるエンジン30によって回転駆動されるトルクコンバータ32のタービン軸である。出力軸24は、出力部材に相当するもので、本実施の形態において、プロペラシャフトや差動歯車装置を介して左右の駆動輪を回転駆動させる。
第1変速部14を構成する第1遊星歯車装置12は、サンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1の3つの回転要素を含む。サンギヤS1は、トランスミッションケース(以下、単にケースと記載する。)26に回転不能に固定されている。リングギヤR1は、キャリアCA1が入力軸22に一体的に連結されて回転駆動されることにより、減速出力部材として機能し、入力軸22の回転を減速して出力する。
第2変速部20を構成する第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18の一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成される。具体的には、第1回転要素RM1は、第2遊星歯車装置16のサンギヤS2によって構成される。第2回転要素RM2は、第2遊星歯車装置16のキャリアCA2および第3遊星歯車装置18のキャリアCA3が互いに連結されて構成される。第3回転要素RM3は、第2遊星歯車装置16のリングギヤR2および第3遊星歯車装置18のリングギヤR3が互いに連結されて構成される。第4回転要素RM4は、第3遊星歯車装置18のサンギヤS3によって構成される。
第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18において、キャリアCA2およびキャリアCA3が共通の部材にて構成される。さらに、第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18において、リングギヤR2およびリングギヤR3が共通の部材にて構成される。そして、第2遊星歯車装置16のピニオンギヤは、第3遊星歯車装置18の第2ピニオンギヤを兼ねている。
第1回転要素RM1(サンギヤS2)は、第1ブレーキB1によって選択的にケース26に連結されて回転停止させられる。第2回転要素RM2(キャリアCA2,CA3)は、第2ブレーキB2によって選択的にケース26に連結されて回転停止させられる。第4回転要素RM4(サンギヤS3)は、第1クラッチC1を介して選択的に減速出力部材である第1遊星歯車装置12のリングギヤR1に連結される。第2回転要素RM2(キャリアCA2,CA3)は、第2クラッチC2を介して選択的に入力軸22に連結される。第1回転要素RM1(サンギヤS2)は、第3クラッチC3を介して選択的に減速出力部材であるリングギヤR1に連結される。さらに、第1回転要素RM1は、第4クラッチC4を介して選択的に第1遊星歯車装置12のキャリアCA1すなわち入力軸22に連結される。第3回転要素RM3(リングギヤR2,R3)は、出力軸24に一体的に連結されて回転する。なお、第2回転要素RM2(キャリアCA2,CA3)とケース26との間には、第2回転要素RM2の正回転(入力軸22と同じ回転方向)を許容しつつ逆回転を阻止する一方向クラッチF1が第2ブレーキB2と並列に設けられている。
図3に、第1変速部14および第2変速部20の各回転要素の回転速度を直線で表わすことができる共線図を示す。図3において、下の横線は、回転速度「0」を示す。上の横線は、回転速度「1.0」すなわち入力軸22と同じ回転速度であることを示す。第1変速部14の各縦線は、左側から順番にサンギヤS1、リングギヤR1、キャリアCA1を表わす。それらの間隔は、第1遊星歯車装置12のギヤ比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1に応じて定められる。第2変速部20の4本の縦線は、左端から右端に向かって順番に第1回転要素RM1(サンギヤS2)、第2回転要素RM2(キャリアCA2,CA3)、第3回転要素RM3(リングギヤR2,R3)、第4回転要素RM4(サンギヤS3)を表わす。それらの間隔は、第2遊星歯車装置16のギヤ比ρ2および第3遊星歯車装置18のギヤ比ρ3に応じて定められる。
図3に示す共線図から明らかなように、第1クラッチC1および第2ブレーキB2が係合させられると、第4回転要素RM4が減速出力部材であるリングギヤR1と一体的に減速回転させられる。さらに、第2回転要素RM2が回転停止させられ、出力軸24に連結された第3回転要素RM3は、「1st」で示す回転速度で回転させられる。すなわち、最も大きい変速比(=入力軸22の回転速度N(IN)/出力軸24の回転速度N(OUT))の第1変速段「1st」が成立させられる。
第1クラッチC1および第1ブレーキB1が係合させられると、第4回転要素RM4がリングギヤR1と一体的に減速回転させられる。さらに、第1回転要素RM1が回転停止させられ、第3回転要素RM3は、「2nd」で示す回転速度で回転させられる。すなわち、第1変速段「1st」よりも変速比が小さい第2変速段「2nd」が成立させられる。
第1クラッチC1および第3クラッチC3が係合させられると、第2変速部20は、リングギヤR1と一体的に減速回転させられ、第3回転要素RM3は、「3rd」で示す回転速度(リングギヤR1と同じ回転速度)で回転させられる。すなわち、第2変速段「2nd」よりも変速比が小さい第3変速段「3rd」が成立させられる。
第1クラッチC1および第4クラッチC4が係合させられると、第4回転要素RM4がリングギヤR1と一体的に減速回転させられる。さらに、第1回転要素RM1が入力軸22と一体的に回転させられ、第3回転要素RM3は、「4th」で示す回転速度で回転させられる。すなわち、第3変速段「3rd」よりも変速比が小さい第4変速段「4th」が成立させられる。
第1クラッチC1および第2クラッチC2が係合させられると、第4回転要素RM4がリングギヤR1と一体的に減速回転させられる。さらに、第2回転要素RM2が入力軸22と一体的に回転させられ、第3回転要素RM3は、「5th」で示す回転速度で回転させられる。すなわち、第4変速段「4th」よりも変速比が小さい第5変速段「5th」が成立させられる。
第2クラッチC2および第4クラッチC4が係合させられると、第2変速部20が入力軸22と一体的に回転させられ、第3回転要素RM3は、「6th」で示す回転速度(入力軸22と同じ回転速度)で回転させられる。すなわち、第5変速段「5th」よりも変速比が小さい第6変速段「6th」が成立させられる。この第6変速段「6th」の変速比は1である。
第2クラッチC2および第3クラッチC3が係合させられると、第2回転要素RM2が入力軸22と一体的に回転させられる。さらに、第1回転要素RM1がリングギヤR1と一体的に減速回転させられ、第3回転要素RM3は、「7th」で示す回転速度で回転させられる。すなわち、第6変速段「6th」よりも変速比が小さい第7変速段「7th」が成立させられる。
第2クラッチC2および第1ブレーキB1が係合させられると、第2回転要素RM2が入力軸22と一体的に回転させられる。さらに、第1回転要素RM1が回転停止させられ、第3回転要素RM3は、「8th」で示す回転速度で回転させられる。すなわち、第7変速段「7th」よりも変速比が小さい第8変速段「8th」が成立させられる。
一方、第2ブレーキB2および第3クラッチC3が係合させられると、第2回転要素RM2が回転停止させられる。さらに、第1回転要素RM1がリングギヤR1と一体的に減速回転させられ、第3回転要素RM3は、「Rev1」で示す回転速度で逆回転させられる。すなわち、第1後進変速段「Rev1」が成立させられる。
第2ブレーキB2および第4クラッチC4が係合させられると、第2回転要素RM2が回転停止させられる。さらに、第1回転要素RM1が入力軸22と一体的に回転させられ、第3回転要素RM3は、「Rev2」で示す回転速度で逆回転させられる。すなわち、第2後進変速段「Rev2」が成立させられる。
図4に示す作動表は、上述の各ギヤ段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2の作動状態との関係をまとめたものである。作動表において、「○」は係合、「(○)」はエンジンブレーキ時のみ係合を表わしている。第1ギヤ段「1st」を成立させる第2ブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)には必ずしも第2ブレーキB2を係合させる必要は無い。また、各ギヤ段の変速比は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、および第3遊星歯車装置18の各ギヤ比ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
上述のクラッチC1〜C4、およびブレーキB1,B2(以下、特に区別しない場合は単にクラッチCおよびブレーキBと記載する。)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式の摩擦係合要素である。クラッチCおよびブレーキBは、油圧制御回路98のリニアソレノイドバルブSL1〜SL6の励磁、非励磁や電流制御により、係合、解放状態が切り換えられる。さらに、クラッチCおよびブレーキBにおいては、係合、解放時の過渡油圧などが制御される。
図5を参照して、シフトレバー72およびレバーポジション(操作位置)について説明する。図5に示すように、このシフトレバー72は、レバーポジションとしてパーキングポジション(Pポジション)、後進走行ポジション(Rポジション)、ニュートラルポジション(Nポジション)、前進走行ポジション(Dポジション)および手動(マニュアル)変速ポジション(Mポジション)を有する。またMポジションには、アップシフトスイッチ80に連動した「+ポジション」とダウンシフトスイッチ82に連動した「−ポジション」とがある。
Mポジションにおいては、シフトレバー72を「+ポジション」か「−ポジション」に操作することにより、変速レンジの選択を可能としているが、ギヤ段(ギヤ比)の選択を可能としてもよい。この実施の形態においては、Mポジションでシフトレバー72を1回「+」側か「−」側に操作することにより、8レンジ(8速、7速、6速、5速、4速、3速、2速、1速を使用)、7レンジ(8速以外を使用)、6レンジ(8速および7速以外を使用)、5レンジ(5速、4速、3速、2速、1速を使用)、4レンジ(4速、3速、2速、1速を使用)、3レンジ(3速、2速、1速を使用)、2レンジ(2速、1速を使用)、Lレンジ(1速を使用)が、順番に切り換わる。なお、ギヤ段を選択する例としては、Mポジションでシフトレバー72を1回「+」側か「−」側に操作することにより、8速(8th)、7速(7th)、6速(6th)、5速(5th)、4速(4th)、3速(3rd)、2速(2nd)、1速(1st)が、順番に切り換わる。なお、本発明は、このようなMポジションのいずれの形態でも適用できるばかりか、Mポジションの有無に関わらず適用することができる。
図6を参照して、本実施の形態に係る駆動力制御装置であるECU90で実行される、プログラムの制御構造について説明する。ここで、本実施の形態では、前進走行ポジション(DポジションやMポジション)において第1速(1st)発進する際に、図4に示す1stが形成できないで2ndが形成された場合である。なお、このフローチャートで表わされるプログラムは、エンジン30が駆動している状態においては、予め定められた時間間隔で繰り返し行なわれる。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ECU90は、1stギヤ発進要求がされたか否かを判断する。Dポジションにおいては通常は1st発進となる。また、Mポジションにおいても通常は1st発進となる。1stギヤ発進要求がされると(S100にてYES)、処理はS200へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、この処理は終了する。
S200にて、ECU90は、1stギヤ段のフェール判定が検知されているか否かを判断する。このフェール判定の方法については様々な方法があり、本発明はいずれの方法であってもよい。1stギヤ段のフェール判定が検知されていると(S200にてYES)、処理はS400へ移される。もしそうでないと(S200にてNO)、処理はS300へ移される。
S300にて、ECU90は、1stギヤ段で車両を発進させる。
S400にて、ECU90は、トルク上昇処理を実行する。このとき、ECU90は、自動変速機10から出力される駆動力が1stギヤ時と同じになるようにトルクコンバータ32の出力トルクを上昇させるためにトルクコンバータ32におけるトルク変化(増幅)分を考慮して、エンジン30における発生トルクを上昇させる。エンジン30においては、エンジン回転数−トルク特性曲線から、上昇させるトルクに対応する回転数までエンジン30の回転数を上昇させることになる。
S500にて、ECU90は、1stギヤ段よりもハイギヤ側の2ndギヤ段で車両を発進させる。
S600にて、ECU90は、1stギヤ段のフェール判定解除が検知されているか否かを判断する。1stギヤ段のフェール判定解除が検知されていると(S600にてYES)、処理はS700へ移される。もしそうでないと(S600にてNO)、処理はS600へ戻される。
S700にて、ECU90は、他のギヤ段への変速が完了したか否かを判断する。これは、車両の発進後に車速が上昇して、たとえば予め定められた変速線マップ(車速と出力要求量(アクセル開度)とのマップであってアップシフト変速線とダウンシフト変速線とが規定されているマップ)に基づいてアップシフト変速線を越えると他のギヤ段への変速指令が出力され、所望の摩擦係合要素の解放および係合が実行されて他のギヤ段が形成される。他のギヤ段への変速が完了すると(S700にてYES)、処理はS800へ移される。もしそうでないと(S700にてNO)、処理はS700へ戻される。
S800にて、ECU90は、トルク上昇処理を解除する。すなわち、1st以外のハイギヤ側の変速ギヤ段である2nd発進時に1stギヤ段のフェール判定解除が検知されても、継続してトルク上昇処理が行なわれ、駆動力の急変を防止する。
以上のような構造およびフローチャートにおける、本実施の形態に係る駆動力制御装置であるECU90により制御される車両の動作について説明する。
車両が停止している状態から発進する場合であって、変速ポジションがDポジションが選択されている場合やMポジションの1stが選択されている場合には、1stのギヤ段での発進が要求される(S100にてYES)。ところが、油圧制御回路98の異常等により1stギヤ段のフェール判定が検知されると(S200にてYES)、エンジン30の回転数を上昇させてエンジンのトルク上昇処理が行なわれる(S400)。このとき、2ndギヤ段が形成された場合において自動変速機10から出力される駆動力(トルク)が、1stギヤ段が形成された場合において自動変速機10から出力される駆動力(トルク)と同じになるように、トルクコンバータ32に入力されるエンジントルクが制御される。
このようにエンジン30のトルクを上昇させて、1stギヤ段よりもハイギヤ側である2ndギヤ段で車両が発進される。このときの状態を図7に示す。図7に示すように、1stギヤ段による車両の発進ができないで、2ndギヤ段により車両が発進される場合、矢印で示すように車両の駆動力を上昇させるようにエンジン30が制御される。このようにすると、車両発進時に1stギヤ段が実現できないでハイギヤ側の2ndギヤ段が実現されている場合に、車両発進時に運転者が感じるアクセル開度に対する駆動力が小さ過ぎるという違和感を低減させることができる。特に、登坂路においては、車両発進時のクリープ力が小さ過ぎるという違和感を低減させることができる。
このような状態で車両が発進しているときに、1stギヤ段のフェール判定解除が検知されても(S600にてYES)、他のギヤ段への変速が完了するまでは(S700にてYES)、トルク上昇処理を継続して行なう。このようにすると、1stギヤ段のフェール判定解除が検知されたからといって、直ちに1stギヤ段へ変速すると、ローギヤ側に切り換わり駆動力が急に大きくなり過ぎる。他のギヤ段への変速が完了するまではトルク上昇処理を継続して行なうので、このような駆動力の急変による違和感を運転者が感じることを防止できる。
以上のようにして、車両の発進時に通常使用される前進走行ギヤ段である1stギヤ段が油圧制御回路の故障等で形成できない場合には、ハイギヤ側(2ndギヤ段)での車両の発進が行なわれる。このような場合、実際に設定される前進走行段のギヤ比がハイ側であることが判断されるとエンジンの駆動力が上昇される。これにより、運転者が意図するクリープ力を含む駆動力(前進走行段の1stギヤ段に対応)に、より近い駆動力(クリープ力)を発生させることができ運転者の違和感を少なくすることができる。その結果、発進時の変速ギヤ段が所望の変速ギヤ段を形成できない場合であっても、運転者に違和感を与えない車両の駆動力制御装置を提供することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態における自動変速機を制御するために車両に設けられた制御ブロック図である。 本発明の実施の形態における自動変速機の骨子図である。 自動変速機の各回転要素の回転速度を表わす共線図である。 本発明の実施の形態の自動変速機における複数の変速段を成立させる係合要素を示す作動表である。 本発明の実施の形態の自動変速機のシフトレバーを示す図である。 本発明の実施の形態に係るECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態におけるアクセル開度と駆動力との関係を示す図である。
符号の説明
10 自動変速機、12 第1遊星歯車装置、14 第1変速部、16 第2遊星歯車装置、18 第3遊星歯車装置、20 第2変速部、22 入力軸、24 出力軸、26 トランスミッションケース、30 エンジン、32 トルクコンバータ、50 アクセルペダル、52 アクセルポジションセンサ、58 エンジン回転速度センサ、60 吸入空気量センサ、62 吸入空気温度センサ、64 スロットルポジションセンサ、66 車速センサ、68 冷却水温センサ、70 ブレーキスイッチ、72 シフトレバー、74 レバーポジションセンサ、76 タービン回転速度センサ、78 AT油温センサ、80 アップシフトスイッチ、82 ダウンシフトスイッチ、90 ECU、98 油圧制御回路。

Claims (6)

  1. 複数の摩擦係合要素が選択的に係合させられることによってギヤ比の異なる複数の前進ギヤ段が形成される自動変速機が搭載された車両の駆動力制御装置であって、
    発進時の前進ギヤ段として、第1速段を形成することができるか否かを検知するための検知手段と、
    前記検知手段により、前記第1速段を形成できないことが検知された場合には、前記第1速段よりもハイギヤ側の前進ギヤ段を形成するための変速制御手段と、
    発進時の前進ギヤ段として、前記第1速段よりもハイギヤ比の前進ギヤ段が形成された場合には、前記車両の駆動力が増大するように駆動力を制御するための駆動力制御手段と
    前記検知手段により前記第1速段を形成することができることが検知されても、予め定められた変速条件に基づく前記第1速段への変速判断が行なわれるまでは、前記第1速段への変速を禁止するための禁止手段とを含む、車両の駆動力制御装置。
  2. 前記駆動力制御手段は、前記車両に搭載された動力源の出力回転数を調整することにより、前記駆動力を制御するための手段を含む、請求項1に記載の車両の駆動力制御装置。
  3. 前記駆動力制御手段は、前記禁止手段により前記第1速段への変速が禁止されている場合においては、継続して前記車両の駆動力が増大するように駆動力を制御するための手段を含む、請求項に記載の車両の駆動力制御装置。
  4. 前記動力源は、エンジンであって、
    前記自動変速機は、トルクコンバータと変速機構とを含み、
    前記駆動力制御手段は、前記自動変速機からの出力トルクが、前記第1速段よりもハイギヤ比の前進ギヤ段が形成された場合であっても、前記第1速段が形成された場合と同じになるように、前記トルクコンバータから自動変速機へ入力されるトルクを増大するように前記エンジンのトルクを上昇させるための手段を含む、請求項2または3に記載の車両の駆動力制御装置。
  5. 前記駆動力制御手段は、前記エンジンの回転数を増大させるための手段を含む、請求項に記載の車両の駆動力制御装置。
  6. 前記駆動力制御手段は、前記車両のクリープ力が増大するように制御するための手段を含む、請求項1〜のいずれかに記載の車両の駆動力制御装置。
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