JP4297018B2 - 車両用自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の変速制御装置 Download PDF

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本発明は、車両用自動変速機の変速制御装置に関し、特に、惰性走行(コースト)時のダウンシフト制御に関するものである。
一方の摩擦係合装置の解放と他方の摩擦係合装置の係合とが同時に制御される所謂クラッチツウクラッチ変速が実行される形式の自動変速機を備えた車両がよく知られている。例えば、特許文献1に記載された車両がそれである。この特許文献1には、車両走行状態が駆動輪側から駆動力源側例えばエンジン側へ動力が伝達される被駆動状態(エンジンブレーキ状態)となるパワーオフ走行時すなわち惰性走行時おける上記クラッチツウクラッチ変速によるダウンシフトが開示されている。
特開平10−250415号公報 特開平9−42436号公報
一般的に、上述した惰性走行時にダウンシフトが実行されると、エンジン回転速度を高く保つことができてフューエルカットの作動期間が長くなり燃費向上に効果的である。反面、ダウンシフトが実行されると、エンジン回転速度が段階的に高くされてエンジンブレーキによる減速度が段階的に増加させられるので、減速度の段階的な変化が発生してユーザに違和感を感じさせる可能性があった。この減速度の段階的な変化による違和感は、変速時間が短い程一定時間当たりの減速度変化が大きくなることからより顕著に出る傾向がある。そこで、クラッチツウクラッチ変速中においてダウンシフトに関係する摩擦係合装置の過渡係合圧を制御し変速時間を長くするなどして減速度の段階的な変化による違和感を抑制することが考えられる。
しかしながら、変速時間を長くするとダウンシフトに関係する摩擦係合装置が半係合状態(スリップ係合状態)とされる時間が長くなり、例えばこのダウンシフト中にアクセルオンにより駆動力源の動力が駆動輪側へ伝達される駆動状態とされるとその摩擦係合装置が不必要な滑りや係合ショック等が発生する可能性があった。また、ダウンシフトに伴う減速度の増加は必ず発生するため減速度の絶対的な変化自体は減少しない。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、複数の摩擦係合装置が選択的に係合、解放されることにより、変速比が異なる複数の変速段が成立させられる車両用自動変速機において、惰性走行(コースト)時のダウンシフトに伴う減速度の増加を抑制してダウンシフト前後の減速度の段階的な変化による違和感を抑制する変速制御装置を提供することにある。
すなわち、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、複数の摩擦係合装置が選択的に係合、解放されることにより、変速比が異なる複数の変速段が成立させられる車両用自動変速機の変速制御装置であって、(a) 車両惰性走行時に、前記自動変速機のダウンシフトが開始されることを所定時間前に判定するダウンシフト開始予測手段と、(b) そのダウンシフト開始予測手段により前記ダウンシフトが開始されることが前記所定時間前に判定された場合には、そのダウンシフト前の変速段を成立させる摩擦係合装置が係合している状態に加えて前記複数の摩擦係合装置のうちそのダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置に対して、実際にダウンシフトが開始されるまでの間伝達トルクを徐々に発生させるように係合圧を漸増し且つ実際にダウンシフトが開始されると所定時間内に速やかに解放されるようにその係合圧を低下する惰性走行時変速制御手段とを、含むことにある。
このようにすれば、複数の摩擦係合装置が選択的に係合、解放されることにより、変速比が異なる複数の変速段が成立させられる車両用自動変速機において、車両惰性走行時にダウンシフト開始予測手段によりダウンシフトが開始されることが所定時間前に判定された場合には、そのダウンシフト前の変速段を成立させる摩擦係合装置が係合している状態に加えて前記複数の摩擦係合装置のうちそのダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置に対して、惰性走行時変速制御手段により実際にダウンシフトが開始されるまでの間伝達トルクを徐々に発生させるように係合圧が漸増され且つ実際にダウンシフトが開始されると所定時間内に速やかに解放されるようにその係合圧が低下させられるので、前記ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置が徐々に伝達トルク容量を発生させられることによる自動変速機の出力回転部材の回転負荷所謂自動変速機内のタイアップ(以下、内部タイアップと表す)が徐々に発生させられる。よって、この内部タイアップによりダウンシフトが開始される所定時間前から減速度が徐々に増加させられると、惰性走行(コースト)時の実際のダウンシフトに伴う減速度の増加が抑制されてダウンシフト前後の減速度の段階的な変化による違和感が抑制される。また、この惰性走行時変速制御手段による制御作動においては、前記ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置が用いられるため、ダウンシフト完了後にはこの摩擦係合装置は解放されており、徐々に伝達トルク容量を発生することすなわちスリップ係合状態とされたことによる発熱も速やかに冷めるので、この摩擦係合装置の耐久性低下が抑制される。
ここで、好適には、請求項2にかかる発明では、前記ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置は、ダウンシフト後の変速段よりも低速側の変速段の成立に用いられるものである。このようにすれば、ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置の係合および解放と、前記ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置の解放とのタイミングがずれたとしても、そのダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置の係合(スリップ係合)による自動変速機の回転要素の回転速度変化は実際のダウンシフトと同じダウンシフト側とされる。よって、ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置がダウンシフト前の変速段よりも高速側の変速段の成立に用いられるものであってその摩擦係合装置の係合(スリップ係合)による自動変速機の回転要素の回転速度変化がアップシフト側とされる場合に比較して、自動変速機の回転要素の回転速度がより速やかにダウンシフト完了後の状態とされる。また、自動変速機の回転要素の回転速度変化がアップシフト側とされると自動変速機の入力回転部材の回転速度低下に伴うイナーシャトルクの発生により減速度が減少してすなわちタイアップによる減速度の増加が抑制されるので、ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置がダウンシフト前の変速段よりも高速側の変速段の成立に用いられるものである場合に比較して、ダウンシフトに伴う減速度の増加がより容易に抑制される。
また、好適には、請求項3にかかる発明では、前記惰性走行時変速制御手段は、前記ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置に対して、ダウンシフトが終了される変速期間内に解放されるように係合圧を低下するものである。このようにすれば、ダウンシフト完了後に引き続きダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置の係合(スリップ係合)による内部タイアップが発生することが防止される。
ここで、好適には、前記車両用自動変速機は、複数組の遊星歯車装置の回転要素が油圧式摩擦係合装置によって選択的に連結されることによりギヤ段が切換られる遊星歯車式多段変速機により構成される。上記車両用自動変速機の車両に対する搭載姿勢は、変速機の軸線が車両の幅方向となるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型でも、変速機の軸線が車両の前後方向となるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両などの縦置き型でも良い。また、上記車両用自動変速機は、複数のギヤ段が択一的に達成されるものであればよく、例えば、前進4段、前進5段、前進6段、前進7段、前進8段等の種々の多段式自動変速機が使用され得る。
また、好適には、上記油圧式摩擦係合装置としては、油圧アクチュエータによって係合させられる多板式、単板式のクラッチやブレーキ、或いはベルト式のブレーキが広く用いられる。この油圧式摩擦係合装置を係合させるための作動油を供給するオイルポンプは、例えば走行用の動力源により駆動されて作動油を吐出するものでも良いが、走行用動力源とは別に配設された専用の電動モータなどで駆動されるものでも良い。
また、好適には、上記油圧式摩擦係合装置を含む油圧制御回路は、例えばリニアソレノイドバルブの出力油圧を直接油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)に供給することが応答性の点で望ましいが、その出力油圧によりコントロールバルブを制御して、そのコントロールバルブから油圧アクチュエータに作動油を供給するように構成することもできる。
また、好適には、上記複数のリニアソレノイドバルブは、例えば複数の油圧式摩擦係合装置の各々に対応して1つずつ設けられるが、同時に係合したり係合、解放制御したりすることがない複数の油圧式摩擦係合装置が存在する場合には、それ等に共通のリニアソレノイドバルブを設けることもできるなど、種々の態様が可能である。また、必ずしも全ての油圧式摩擦係合装置の油圧制御をリニアソレノイドバルブで行う必要はなく、一部の油圧制御をON−OFFソレノイドバルブのデューティ制御など、リニアソレノイドバルブ以外の調圧手段で行っても良い。
また、好適には、上記車両用自動変速機の入力回転部材には、流体伝動装置或いは直結クラッチ等を介して走行用駆動力源が作動的に連結される。この流体伝動装置としては、ロックアップクラッチ付トルクコンバータやフルードカップリングが用いられる。また、上記走行用駆動力源としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジンが用いられる。さらに、補助的な走行用駆動力源として、電動機等がエンジンから駆動輪の間の動力伝達経路に上記エンジンに加えて用いられても良い。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1の(a) は、本発明が適用された車両用自動変速機(以下、自動変速機と表す)10の構成を説明する骨子図であり、(b) は複数の変速段を成立させる際の係合要素の作動を説明する作動表である。この自動変速機10は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース(以下、ケースと表す)26内において、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置16およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体として構成されている第2変速部20とを共通の軸心上に有し、入力軸22の回転を変速して出力軸24から出力する。入力軸22は入力回転部材に相当するものであり、本実施例では走行用の動力源であるエンジン30によって回転駆動されるトルクコンバータ32のタービン軸である。出力軸24は出力回転部材に相当するものであり、例えば図示しない差動歯車装置(終減速機)や一対の車軸等を順次介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、この自動変速機10はその軸心に対して略対称的に構成されており、図1(a) の骨子図においてはその軸心の下半分が省略されている。
上記第1遊星歯車装置12は、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP1、そのピニオンギヤP1を自転および公転可能に支持するキャリヤCA1、ピニオンギヤP1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備え、サンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1によって3つの回転要素が構成されている。キャリヤCA1は入力軸22に連結されて回転駆動され、サンギヤS1は回転不能にケース26に一体的に固定されている。リングギヤR1は中間出力部材として機能し、入力軸22に対して減速回転させられて、回転を第2変速部20へ伝達する。本実施例では、入力軸22の回転をそのままの速度で第2変速部20へ伝達する経路が、予め定められた一定の変速比(=1.0)で回転を伝達する第1中間出力経路PA1であり、第1中間出力経路PA1には、入力軸22から第1遊星歯車装置12を経ることなく第2変速部20へ回転を伝達する直結経路PA1aと、入力軸22から第1遊星歯車装置12のキャリヤCA1を経て第2変速部20へ回転を伝達する間接経路PA1bとがある。また、入力軸22からキャリヤCA1、そのキャリヤCA1に配設されたピニオンギヤP1、およびリングギヤR1を経て第2変速部20へ伝達する経路が、第1中間出力経路PA1よりも大きい変速比(>1.0)で入力軸22の回転を変速(減速)して伝達する第2中間出力経路PA2である。
前記第2遊星歯車装置16は、サンギヤS2、ピニオンギヤP2、そのピニオンギヤP2を自転および公転可能に支持するキャリヤCA2、ピニオンギヤP2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えている。また、前記第3遊星歯車装置18は、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP2およびP3、そのピニオンギヤP2およびP3を自転および公転可能に支持するキャリヤCA3、ピニオンギヤP2およびP3を介してサンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えている。
上記第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18では、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されている。具体的には、第2遊星歯車装置16のサンギヤS2によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置16のキャリヤCA2および第3遊星歯車装置のキャリヤCA3が互いに一体的に連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置16のリングギヤR2および第3遊星歯車装置18のリングギヤR3が互いに一体的に連結されて第3回転要素RM3が構成され、第3遊星歯車装置18のサンギヤS3によって第4回転要素RM4が構成されている。この第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18は、キャリアCA2およびCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2およびR3が共通の部材にて構成されており、且つ第2遊星歯車装置16のピニオンギヤP2が第3遊星歯車装置18の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
上記第1回転要素RM1(サンギヤS2)は、第1ブレーキB1を介してケース26に選択的に連結されて回転停止され、第3クラッチC3を介して中間出力部材である第1遊星歯車装置12のリングギヤR1(すなわち第2中間出力経路PA2)に選択的に連結され、さらに第4クラッチC4を介して第1遊星歯車装置12のキャリヤCA1(すなわち第1中間出力経路PA1の間接経路PA1b)に選択的に連結されている。第2回転要素RM2(キャリヤCA2およびCA3)は、第2ブレーキB2を介してケース26に選択的に連結されて回転停止させられるとともに、第2クラッチC2を介して入力軸22(すなわち第1中間出力経路PA1の直結経路PA1a)に選択的に連結されている。第3回転要素RM3(リングギヤR2およびR3)は、出力軸24に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。第4回転要素RM4(サンギヤS3)は、第1クラッチC1を介してリングギヤR1に連結されている。なお、第2回転要素RM2とケース26との間には、第2回転要素RM2の正回転(入力軸22と同じ回転方向)を許容しつつ逆回転を阻止する一方向クラッチF1が第2ブレーキB2と並列に設けられている。
図2は、上記第1変速部14および第2変速部20の各回転要素の回転速度を直線で表すことができる共線図であり、下の横線が回転速度「0」を示し、上の横線が回転速度「1.0」すなわち入力軸22と同じ回転速度を示している。また、第1変速部14の各縦線は、左側から順番にサンギヤS1、リングギヤR1、キャリヤCA1を表しており、それ等の間隔は第1遊星歯車装置12のギヤ比ρ1(=サンギヤS1の歯数/リングギヤR1の歯数)に応じて定められる。第2変速部20の4本の縦線は、左側から右端へ向かって順番に第1回転要素RM1(サンギヤS2)、第2回転要素RM2(キャリヤCA2およびキャリヤCA3)、第3回転要素RM3(リングギヤR2およびリングギヤR3)、第4回転要素RM4(サンギヤS3)を表しており、それ等の間隔は第2遊星歯車装置16のギヤ比ρ2および第3遊星歯車装置18のギヤ比ρ3に応じて定められる。
そして、この図2に示す共線図から明らかなように、第1クラッチC1および第2ブレーキB2が係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が回転停止させられると、出力軸24に連結された第3回転要素RM3は「1st」で示す回転速度で回転させられ、最も大きい変速比(=入力軸22の回転速度/出力軸24の回転速度)の第1変速段「1st」が成立させられる。
第1クラッチC1および第1ブレーキB1が係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられるとともに、第1回転要素RM1が回転停止させられると、第3回転要素RM3は「2nd」で示す回転速度で回転させられ、第1変速段「1st」よりも変速比が小さい第2変速段「2nd」が成立させられる。
第1クラッチC1および第3クラッチC3が係合させられて、第4回転要素RM4および第1回転要素RM1が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられて第2変速部20が一体回転させられると、第3回転要素RM3は「3rd」で示す回転速度で回転させられ、第2変速段「2nd」よりも変速比が小さい第3変速段「3rd」が成立させられる。
第1クラッチC1および第4クラッチC4が係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられるとともに、第1回転要素RM1が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「4th」で示す回転速度で回転させられ、第3変速段「3rd」よりも変速比が小さい第4変速段「4th」が成立させられる。
第1クラッチC1および第2クラッチC2係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「5th」で示す回転速度で回転させられ、第4変速段「4th」よりも変速比が小さい第5変速段「5th」が成立させられる。
第2クラッチC2および第4クラッチC4が係合させられて、第2変速部20が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「6th」で示す回転速度すなわち入力軸22と同じ回転速度で回転させられ、第5変速段「5th」よりも変速比が小さい第6変速段「6th」が成立させられる。この第6変速段「6th」の変速比は1である。
第2クラッチC2および第3クラッチC3が係合させられて、第1回転要素RM1が第1変速部14を介して入力軸22に対して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が入力軸22と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「7th」で示す回転速度で回転させられ、第6変速段「6th」よりも変速比が小さい第7変速段「7th」が成立させられる。
第2クラッチC2および第1ブレーキB1が係合させられて、第2回転要素RM2が入力軸22と一体回転させられるとともに、第1回転要素RM1が回転停止させられると、第3回転要素RM3は「8th」で示す回転速度で回転させられ、第7変速段「7th」よりも変速比が小さい第8変速段「8th」が成立させられる。
また、第3クラッチC3および第2ブレーキB2が係合させられると、第1回転要素RM1が第1変速部14を介して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が回転停止させられて、第3回転要素RM3は「Rev1」で示す回転速度で逆回転させられ、逆回転方向で変速比が最も大きい第1後進変速段「Rev1」が成立させられる。第4クラッチC4および第2ブレーキB2が係合させられると、第1回転要素RM1が入力軸22と一体回転させられるとともに、第2回転要素RM2が回転停止させられ、第3回転要素RM3は「Rev2」で示す回転速度で逆回転させられ、第1後進変速段「Rev1」よりも変速比が小さい第2後進変速段「Rev2」が成立させられる。第1後進変速段「Rev1」、第2後進変速段「Rev2」は、それぞれ逆回転方向の第1変速段、第2変速段に相当する。
図1に戻り、図1の(b) の作動表は、上記各変速段を成立させる際のクラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2の作動状態を説明する図表であり、「○」は係合状態を、「(○)」はエンジンブレーキ時のみ係合状態を、空欄は解放状態をそれぞれ表している。第1変速段「1st」を成立させるブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)には必ずしもブレーキB2を係合させる必要は無い。また、各変速段の変速比は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、および第3遊星歯車装置18の各ギヤ比ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
このように本実施例の自動変速機10は、変速比が異なる2つの中間出力経路PA1、PA2を有する第1変速部14および2組の遊星歯車装置16、18を有する第2変速部20により、4つのクラッチC1〜C4および2つのブレーキB1、B2の係合切換えで前進8速の変速ギヤ段が達成されるため、小型に構成され、車両への搭載性が向上する。また、図1の(b) の作動表から明らかなように、クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2の何れか2つを掴み替えるだけで各変速段の変速を行うことができる。また、上記クラッチC1〜C4、およびブレーキB1、B2(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBと表す)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置である。
図3は、図1の自動変速機10などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン30の出力制御や自動変速機10の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や変速制御用等に分けて構成される。
図3において、アクセルペダル50の操作量Accがアクセル操作量センサ52により検出されるとともに、そのアクセル操作量Accを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。アクセルペダル50は、運転者の出力要求量に応じて大きく踏み込み操作されるものであることからアクセル操作部材に相当し、アクセル操作量Accは出力要求量に相当する。
また、エンジン30の回転速度Nを検出するためのエンジン回転速度センサ58、エンジン30の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ60、吸入空気の温度Tを検出するための吸入空気温度センサ62、エンジン30の電子スロットル弁の全閉状態(アイドル状態)およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチ付スロットル弁開度センサ64、車速V(出力軸24の回転速度NOUTに対応)を検出するための車速センサ66、エンジン30の冷却水温Tを検出するための冷却水温センサ68、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ70、シフトレバー72のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ74、タービン回転速度N(=入力軸22の回転速度NIN)を検出するためのタービン回転速度センサ76、油圧制御回路98内の作動油の温度であるAT油温TOILを検出するためのAT油温センサ78、車両の加速度(減速度)Gを検出するための加速度センサ80などが設けられており、それらのセンサやスイッチなどから、エンジン回転速度N、吸入空気量Q、吸入空気温度T、スロットル弁開度θTH、車速V、エンジン冷却水温T、ブレーキ操作の有無、シフトレバー72のレバーポジションPSH、タービン回転速度N、AT油温TOIL、車両の加速度(減速度)Gなどを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。
上記シフトレバー72は例えば運転席の近傍に配設され、図4に示すように、5つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D」、または「S」へ手動操作されるようになっている。「P」ポジションは自動変速機10内の動力伝達経路を解放し且つメカニカルパーキング機構によって機械的に出力軸24の回転を阻止(ロック)するための駐車位置であり、「R」ポジションは自動変速機10の出力軸24の回転方向を逆回転とするための後進走行位置であり、「N」ポジションは自動変速機10内の動力伝達経路を解放するための動力伝達遮断位置であり、「D」ポジションは自動変速機10の第1速乃至第8速の変速を許容する変速範囲(Dレンジ)で自動変速制御を実行させる前進走行位置であり、「S」ポジションは変速可能な高速側の変速段が異なる複数の変速レンジ或いは異なる複数の変速段を切り換えることにより手動変速が可能な前進走行位置である。この「S」ポジションにおいては、シフトレバー72の操作毎に変速範囲或いは変速段をアップ側にシフトさせるための「+」ポジション、シフトレバー72の操作毎に変速範囲或いは変速段をダウン側にシフトさせるための「−」ポジションが備えられている。前記レバーポジションセンサ74はシフトレバー72がどのレバーポジション(操作位置)PSHに位置しているかを検出する。
また、前記油圧制御回路98には、例えば上記シフトレバー72にケーブルやリンクなどを介して連結されたマニュアルバルブが備えられ、シフトレバー72の操作に伴ってそのマニュアルバルブが機械的に作動させられることにより油圧制御回路98内の油圧回路が切り換えられる。例えば、「D」ポジションおよび「S」ポジションでは前進油圧Pが出力されて前進用回路が機械的に成立させられ、前進変速段である第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」で変速しながら前進走行することが可能となる。電子制御装置90は、シフトレバー72が「D」ポジションへ操作された場合は、そのことをレバーポジションセンサ74の信号から判断して自動変速モードを成立させ、第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」の総ての前進変速段を用いて変速制御を行う。
上記電子制御装置90は、例えば図5に示す車速Vおよびアクセル操作量Accをパラメータとして予め記憶された関係(マップ、変速線図)から実際の車速Vおよびアクセル操作量Accに基づいて変速判断を行い、その判断した変速段が得られるように変速制御を行う変速制御手段110(図7参照)を機能的に備えており、例えば車速Vが低くなったりアクセル操作量Accが大きくなったりするに従って変速比が大きい低速側の変速段が成立させられる。この変速制御においては、その変速判断された変速段が成立させられるように変速用の油圧制御回路98内のリニアソレノイドバルブSL1〜SL6の励磁、非励磁や電流制御が実行されてクラッチCやブレーキBの係合、解放状態が切り換えられるとともに変速過程の過渡油圧などが制御される。すなわち、前記リニアソレノイドバルブSL1〜SL6の励磁、非励磁をそれぞれ制御することによりクラッチCおよびブレーキBの係合、解放状態を切り換えて第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」の何れかの前進変速段を成立させる。なお、スロットル弁開度θTHや吸入空気量Q、路面勾配などに基づいて変速制御を行うなど、種々の態様が可能である。
上記図5の変速線図において、実線はアップシフトが判断されるための変速線(アップシフト線)であり、破線はダウンシフトが判断されるための変速線(ダウンシフト線)である。また、この図5の変速線図における変速線は、実際のアクセル操作量Acc(%)を示す横線上において実際の車速Vが線を横切ったか否かすなわち変速線上の変速を実行すべき値(変速点車速)Vを越えたか否かを判断するためのものであり、上記値Vすなわち変速点車速の連なりとして予め記憶されていることにもなる。なお、図5の変速線図は自動変速機10で変速が実行される第1変速段乃至第8変速段のうちで第1変速段乃至第6変速段における変速線が例示されている。
図6は、油圧制御回路98のうちリニアソレノイドバルブSL1〜SL6に関する部分を示す回路図で、クラッチC1〜C4、およびブレーキB1、B2の各油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)34、36、38、40、42、44には、油圧供給装置46から出力されたライン油圧PLがそれぞれリニアソレノイドバルブSL1〜SL6により調圧されて供給されるようになっている。油圧供給装置46は、前記エンジン30によって回転駆動される機械式のオイルポンプ48(図1参照)や、ライン油圧PLを調圧するレギュレータバルブ等を備えており、エンジン負荷等に応じてライン油圧PLを制御するようになっている。リニアソレノイドバルブSL1〜SL6は、基本的には何れも同じ構成で、電子制御装置90(図3参照)により独立に励磁、非励磁され、各油圧アクチュエータ34〜44の油圧が独立に調圧制御されるようになっている。そして、自動変速機10の変速制御においては、例えば変速に関与するクラッチCやブレーキBの解放と係合とが同時に制御される所謂クラッチ・ツウ・クラッチ変速が実行される。例えば、図1(b) の係合作動表に示すように5速→4速のダウンシフトでは、クラッチC2が解放されると共にクラッチC4が係合され、変速ショックを抑制するようにクラッチC2の解放過渡油圧とクラッチC4の係合過渡油圧とが適切に制御される。
ところで、車両走行状態が駆動輪側からエンジン30側へ動力が伝達される被駆動状態(エンジンブレーキ状態)となるアクセルオフとなるパワーオフ走行時すなわち惰性走行時おいてダウンシフトが実行されると、自動変速機10の変速段に切換えに伴って変速比γが段階的に大きくされてエンジン回転速度Nが段階的に高くされる。そうすると、エンジンブレーキ効果も段階的に大きくされて車両減速度Gが段階的に増加されるので、この減速度Gの段階的な変化よりユーザに違和感を感じさせる可能性があった。本実施例では、惰性走行時のダウンシフトに伴うこの違和感を抑制するために、実際のダウンシフトに先だって予め減速度Gを漸増させ実際のダウンシフトに伴う減速度Gの段階的な増加を抑制する(図10参照)。以下に、その減速度Gの段階的な増加を抑制する制御作動について、具体的に説明する。
図7は、前記電子制御装置90の制御機能の要部すなわち惰性走行時のダウンシフトに伴う減速度Gの段階的な増加を抑制する制御作動(以下、惰性走行時減速度制御作動と表す)を説明する機能ブロック線図である。図7において、変速制御手段110は、例えば図5に示す予め記憶された変速線図から実際の車速Vおよびアクセル操作量Accに基づいて変速判断を実行し、判断された変速を実行させるための変速出力を油圧制御回路98に対して行うことにより、自動変速機16のギヤ段を自動的に切り換える。例えば、自動変速機10の変速段が第5変速段とされているときの惰性走行時において、変速制御手段110は実際の車速Vがアクセル操作量Accが零における5速→4速ダウンシフトを実行すべき変速点車速V5−4を越えたと判断した場合には、クラッチC2を解放開始させ、その係合トルクがある程度維持されているときにクラッチC4の係合を開始させてその係合トルクを発生させ、この状態で第5変速段の変速比γから第4変速段の変速比γへ移行させつつ、クラッチC2の解放とクラッチC4の係合とを完了させる指令を油圧制御回路98に出力する。
上記変速制御手段110は、電子制御装置90に供給されるアクセル操作量Accの信号が零とされる車両惰性走行時に、後述するダウンシフト開始予測手段112により変速制御手段110自身による実際のダウンシフトが開始されることが予め記憶された所定時間T前に判定された場合には、前記複数のクラッチCおよびブレーキBのうちダウンシフト前後の変速段の成立に用いられるクラッチC或いはブレーキBとは異なる他のクラッチC或いはブレーキBのいずれか一つまたは2以上の係合要素に対して、後述するダウンシフト開始前判定手段118によりダウンシフト開始前であると判定される間すなわち実際にダウンシフトが開始されるまでの間伝達トルク容量T3Eを徐々に発生させるように係合油圧PINを漸増させる指令を油圧制御回路98に出力し、且つ上記ダウンシフト開始前判定手段118によりダウンシフト開始前でないと判定されるとすなわち実際にダウンシフトが開始されると所定時間T内に速やかに解放されるように係合油圧PINを低下させる指令を油圧制御回路98に出力する惰性走行時変速制御手段としても機能する。
ここで、本実施例においては、前記ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられるクラッチC或いはブレーキBであって、ダウンシフトに関与(関係)するクラッチCやブレーキBすなわちクラッチツウクラッチ変速の際に解放或いは係合されるクラッチC或いはブレーキBを第1、2係合要素と表す。また、前記複数のクラッチCおよびブレーキBのうちダウンシフト前後の変速段の成立に用いられるクラッチC或いはブレーキBとは異なる他のクラッチC或いはブレーキBを第3係合要素と表す。
前記変速制御手段110は、実際にダウンシフトを実行する前に前記第3係合要素に対して伝達トルク容量T3Eを徐々に発生させることすなわち第3係合要素をスリップ係合状態とすることにより自動変速機10の出力軸24の回転負荷を徐々に発生させる。すなわち、クラッチツウクラッチ変速過程中に解放制御および係合制御される一対の係合装置の重複的係合が大きい場合に発生する良く知られたタイアップと同様に、変速制御手段110は実際にダウンシフトを実行する前に前記第3係合要素をダウンシフト開始所定時間T前にスリップ係合状態とすることにより自動変速機10内のタイアップ(以下、内部タイアップと表す)を徐々に発生させトルクダウンを開始させる。このように、ダウンシフトが開始される所定時間T前から内部タイアップが徐々に発生させられることにより減速度Gが予め徐々に増加させられると、実際のダウンシフトに伴う減速度Gの増加は小さくされる。
この内部タイアップによる減速度Gの増加量は、第3係合要素の伝達トルク容量(係合トルク)T3Eすなわちこの第3係合要素の伝達トルク容量T3Eを発生させるために予め実験的に求められた第3係合要素の係合油圧PIN、前記所定時間T、および前記所定時間Tによって専ら決められる。例えば、変速制御手段110は、実際のダウンシフトが開始される前の所定時間Tにおいて PIN(n)=PIN(n-1)+ΔPUP に従って第3係合要素の係合油圧PINを漸増させ、実際にダウンシフトが開始されると PIN(n)=PIN(n-1)−ΔPDW に従って第3係合要素の係合油圧PINを所定時間T内に速やかに低下させて、内部タイアップにより減速度Gを増加させる。
上記ΔPUP、ΔPDW、所定時間T、および所定時間Tは、実際のダウンシフト開始時点における減速度Gがダウンシフト後の減速度Gに対して違和感の発生が抑制される値となり、ΔPUPに対して大きくされたΔPDWによって所定時間Tより早く(T<T)且つ実際のダウンシフトが開始されてからそのダウンシフトが終了される変速期間T内(T<=T)に係合圧PIN(n)が低下されて第3係合要素が解放されるように、減速度Gおよび自動変速機10の変速段をパラメータとして予め実験等により求められて記憶された関係から実際の減速度G例えば電子制御装置90に供給される車速V信号の変化量(=dV/dt)或いは加速度センサ80からの車両加速度G信号、および実際の自動変速機10の変速段に基づいて決定される。
また、本実施例の惰性走行時減速度制御作動においては、前記内部タイアップを発生させるために前記第3係合要素が用いられるためダウンシフト完了後にはこの第3係合要素は既に解放されており、スリップ係合状態とされたことによる発熱も速やかに冷めるので、この第3係合要素の耐久性低下が抑制される。但し、第3係合要素のスリップ係合状態による発熱が一時的にその第3係合要素の許容発熱量Q3E を超えることは第3係合要素の耐久性低下の要因となる。
そこで、第3係合要素発熱量判定手段120は、ダウンシフト開始前判定手段118によりダウンシフト開始前であると判定される間であって変速制御手段110により伝達トルク容量T3Eが徐々に発生させられるように係合油圧PINを漸増させる指令が油圧制御回路98に出力されている場合には、第3係合要素の実際の発熱量Q3Eを推定し、その推定発熱量Q3Eが第3係合要素の許容発熱量Q3E を超えたか否かを判定する。例えば、第3係合要素発熱量判定手段120は、第3係合要素の推定発熱量Q3Eとして第3係合要素の伝達トルク容量T3Eと第3係合要素のスリップ量すなわち第3係合要素自身の相対回転速度NS3Eとの積(第3係合要素の仕事率)の積分値(=C×∫(T3E×NS3E)dt;Cは定数)を算出する。上記伝達トルク容量T3Eは、第3係合要素の係合油圧PIN(n)と第3係合要素の伝達トルク容量T3Eとの予め実験的に求められた関係から実際の第3係合要素の係合油圧PIN(n)に基づいて算出される。上記第3係合要素自身の相対回転速度NS3Eは、各変速段毎に予め求められて記憶されている値である。また、上記第3係合要素の許容発熱量Q3E は、クラッチC或いはブレーキB毎に予め実験的に求められて記憶されている値である。
変速制御手段110は、第3係合要素発熱量判定手段120により推定発熱量Q3Eが第3係合要素の許容発熱量Q3E を超えていないと判定された場合には、 PIN(n)=PIN(n-1)+ΔPUP に従って継続して第3係合要素の係合油圧PINを漸増させる。反対に、変速制御手段110は、第3係合要素発熱量判定手段120により推定発熱量Q3Eが第3係合要素の許容発熱量Q3E を超えたと判定された場合には、上記第3係合要素の係合油圧PINの漸増を中断し PIN(n)=PIN(n-1)−ΔPDW2 に従って第3係合要素の係合油圧PINを漸減させる指令を油圧制御回路98に出力する。上記ΔPDW2は、可及的速やかに第3係合要素の推定発熱量Q3Eが第3係合要素の許容発熱量Q3E より低下させられるように予め実験的に求められて記憶されている値である。
前記ダウンシフト開始予測手段112は、車両惰性走行時に、前記変速制御手段110により自動変速機10の実際のダウンシフトが開始されることを予め記憶された前記所定時間T前に判定する。具体的には、ダウンシフト開始予測手段112は、車両惰性走行時に、変速制御手段110により判断されている変速段が成立するように油圧制御回路98に指令が出力され、且つ実際の車速Vと、実際の車速変化量(=dV/dt)と所定時間Tとの積との合計車速(=V+(dV/dt)×T)が、現在の変速段からのダウンシフトが判断されるアクセル操作量Accが零における変速点車速Vより低下したか否かを判定することにより、変速制御手段110による自動変速機10のダウンシフトが開始されることを予め記憶された所定時間T前に判定する。
制御中判定手段114は、惰性走行時減速度制御作動が実行中であるか否かを表す制御中フラグFが、実行中である場合に設定される「ON」であるか或いは実行中でない場合に設定される「OFF」であるかを判定する。
前記ダウンシフト開始前判定手段118は、上記制御中判定手段114により制御中フラグFが「ON」であると判定された場合には、変速制御手段110によるダウンシフト開始前であるか否かを判定する。例えば、ダウンシフト開始前判定手段118は、ダウンシフト後の変速段を成立させるために係合されるクラッチC或いはブレーキBの係合油圧Pがトルク容量(係合トルク)Tを生じるために予め実験的に定められて記憶された係合油圧P を未だ超えていないか否かにより変速制御手段110によるダウンシフト開始前であるか否かを判定する。
第3係合要素油圧判定手段122は、ダウンシフト開始前判定手段118により変速制御手段110によるダウンシフト開始前でないすなわち変速制御手段110によるダウンシフト開始後であると判定され、且つ第3係合要素の係合油圧PINが略零以下とされたか否かを判定する。
制御開始・終了設定手段116は、車両惰性走行時に、前記ダウンシフト開始予測手段112により変速制御手段110によるダウンシフトが開始されることが予め記憶された所定時間T前に判定された場合であり、且つ前記制御中判定手段114により制御中フラグFが「OFF」であると判定された場合には、惰性走行時減速度制御作動が開始されるための初期設定をするために、その制御中フラグFを「ON」に設定すると共に、第3係合要素の係合油圧PINを零に設定する。
また、上記制御開始・終了設定手段116は、第3係合要素油圧判定手段122により第3係合要素の係合油圧PINが略零以下とされたことが判定された場合には、惰性走行時減速度制御作動が終了されるための終了設定をするために、その制御中フラグFを「OFF」に設定すると共に、第3係合要素の係合油圧PINを零に設定する。
図8は、自動変速機10の各変速段にて実行されるダウンシフト毎の前記第1、2係合要素と第3係合要素とを説明する図表である。図8において、「解放」はダウンシフト時に解放される係合要素を、「係合」はダウンシフト時に係合される係合要素をそれぞれ表しており、これら「解放」と「係合」とで表した係合要素が第1、2係合要素である。また、「入力」はダウンシフトには関係しないがダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる係合要素を表している。そして、「○」、「△」、および「(○)」はダウンシフト前後の変速段の成立に用いられず、係合により内部タイアップを発生可能な係合要素をそれぞれ表しており、これら「○」、「△」、および「(○)」で表した係合要素が第3係合要素である。
図8において、4→3ダウンシフトを例にすれば、クラッチC1およびクラッチC4の係合により第4変速段が成立している状態からクラッチC4の解放とクラッチC3の係合が実行されてクラッチC1およびクラッチC3の係合により第3変速段が成立することを示している。また、クラッチC2、ブレーキB1、或いはブレーキB2の係合(スリップ係合)により内部タイアップが発生させられ得ることを示している。但し、ブレーキB2は第1変速段を成立させるときに用いられる係合要素であるので、このブレーキB2を用いた内部タイアップによる減速度の増加はクラッチC2或いはブレーキB1を用いた場合に比較して非常に大きくなる。そのため、ブレーキB2を用いた内部タイアップは実行し難いので、本実施例ではクラッチC2およびブレーキB1と区別するためにブレーキB2には括弧を付して表した。4→3ダウンシフト以外のダウンシフトについても同様に括弧を付して表した。
図8において「○」で表した第3係合要素は、ダウンシフト後の変速段に対して更なるダウンシフトを引き起こす係合要素すなわち「入力」で表した係合要素とでダウンシフト後の変速段に対して更なる低速側の変速段を成立させ得る係合要素である。例えば、4→3ダウンシフトにおいて第4変速段中に「○」で表したブレーキB1を係合することは4→2ダウンシフトを引き起こす可能性があることを示している。また、「△」で表した第3係合要素は、ダウンシフト前の変速段に対してアップシフトを引き起こす係合要素すなわち「入力」で表した係合要素とでダウンシフト前の変速段に対して高速側の変速段を成立させ得る係合要素である。例えば、4→3ダウンシフトにおいて第4変速段中に「△」で表したクラッチC2を係合することは4→5アップシフトを引き起こす可能性があることを示している。
そうすると、本実施例の惰性走行時減速度制御作動において、第1、2係合要素の係合および解放と第3係合要素の解放とのタイミングがずれた場合例えば上記「係合」で表した係合要素の係合時期が第3係合要素の解放時期に対して相対的に遅くなった場合のエンジン回転速度Nや自動変速機10の回転要素の回転速度は、その第3係合要素が上記「○」である場合にはダウンシフト側に変化し、その第3係合要素が上記「△」である場合にはアップシフト側に変化することになる。このように第1、2係合要素の係合および解放と第3係合要素の解放とのタイミングがずれた場合、本実施例においてはタイアップ後に実施される変速はダウンシフトであるため、第3係合要素が「○」である方が「△」である場合に比較してエンジン回転速度Nや自動変速機10の回転要素の回転速度がより速やかにダウンシフト完了後の状態とされる。
また、第3係合要素に上記「△」の係合要素を用いた場合のように、エンジン回転速度Nや自動変速機10の回転要素の回転速度が一旦アップシフト側に変化すると、例えばエンジン回転速度Nの低下等に伴うイナーシャトルクの発生により減速度が減少されるすなわちタイアップによる減速度の増加が抑制されるため、第3係合要素が「△」である方が「○」である場合に比較してダウンシフトに伴う減速度の増加がより大きくされる。
よって、本実施例の制御作動における第1、2係合要素および第3係合要素の係合、解放作動等のばらつきを考慮すると、第3係合要素として「○」で表したダウンシフトを引き起こす係合要素を用いる方が「△」で表したアップシフトを引き起こす係合要素を用いる場合に比較して有利である。
図9は、前記電子制御装置90の制御作動の要部すなわち惰性走行時減速度制御作動を説明するフローチャートであって、5→4ダウンシフトの場合である。このフローチャートは、所定の周期で繰り返し実行される。また、図10は、図9のフローチャートに示す制御作動の一例であって、5→4ダウンシフトおよび4→3ダウンシフト時の場合の制御作動を説明するタイムチャートであって、実線が本実施例であり破線が従来例である。
図9において、前記ダウンシフト開始予測手段112に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、車両惰性走行時に、前記変速制御手段110により自動変速機10の変速段として第5変速段が判断されてその第5変速段が成立するように油圧制御回路98に指令が出力され、且つ変速制御手段110による自動変速機10の5→4ダウンシフトが開始される所定時間T前に惰性走行時減速度制御作動が開始されるために、実際の車速Vと、実際の車速変化量(=dV/dt)と所定時間Tとの積との合計車速(=V+(dV/dt)×T)が、アクセル操作量Accが零における5→4ダウンシフトが判断される変速点車速V5−4より低下したか否かが判定される。
上記S1の判断が肯定される場合は前記制御中判定手段114に対応するS2において、惰性走行時減速度制御作動が実行中であるか否かを表す制御中フラグFが「OFF」であるか否かが判定される。このS2の判断が肯定される場合は前記制御開始・終了設定手段116に対応するS3において、惰性走行時減速度制御作動が開始されるための初期設定のために、上記制御中フラグFが「ON」に設定されると共に、第3係合要素例えばクラッチC3或いはブレーキB1の係合油圧PINが零に設定される。上記S2およびS3は惰性走行時減速度制御作動の開始処理ルーチンでもある。
図10のt時点は、自動変速機10の5→4ダウンシフトが開始されることが所定時間T前に判定され、惰性走行時減速度制御作動が開始される初期設定がなされたことを示している。
前記S1の判断が否定されるか或いは上記S2の判断が否定される場合は、或いは上記S3に続いて前記制御中判定手段114に対応するS4において、上記制御中フラグFが「ON」であるか否かが判定される。このS4の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は前記ダウンシフト開始前判定手段118に対応するS5において、変速制御手段110による5→4ダウンシフト開始前であるか否かが判定される。例えば、ダウンシフト後の第4変速段を成立させるために係合されるクラッチC4係合油圧PKC4がトルク容量(係合トルク)TKC4を生じるために予め実験的に定められて記憶された係合油圧PKC4 を未だ超えていないか否かにより判定される。
上記S5の判断が肯定される場合は前記第3係合要素発熱量判定手段120に対応するS7において、第3係合要素(クラッチC3或いはブレーキB1)の実際の発熱量Q3Eが推定され、その推定発熱量Q3Eが第3係合要素の許容発熱量Q3E を超えたか否かが判定される。このS7の判断が否定される場合は変速制御手段(惰性走行時変速制御手段)110に対応するS8において、第3係合要素がスリップ係合状態とされて自動変速機10の内部タイアップが徐々に発生させられるように、第3係合要素の係合油圧PINを PIN(n)=PIN(n-1)+ΔPUP に従って漸増させる指令が油圧制御回路98に出力される(図10のt時点乃至t時点)。
反対に、上記S7の判断が肯定される場合は同じく変速制御手段110に対応するS9において、可及的速やかに第3係合要素の推定発熱量Q3Eが第3係合要素の許容発熱量Q3E より低下させられるように、上記第3係合要素の係合油圧PINの漸増を中断し、第3係合要素の係合油圧PINを PIN(n)=PIN(n-1)−ΔPDW2 に従って漸減させる指令が油圧制御回路98に出力される。
前記S5の判断が否定される場合は同じく変速制御手段110に対応するS6において、第3係合要素が所定時間T内に速やかに解放されるように、第3係合要素の係合油圧PINを PIN(n)=PIN(n-1)−ΔPDW に従って低下させる指令が油圧制御回路98に出力される(図10のt時点乃至t時点)。
前記S6、S8、或いはS9に続いて前記第3係合要素油圧判定手段122に対応するS10において、前記S5にて変速制御手段110による5→4ダウンシフト開始前でないすなわち変速制御手段110による5→4ダウンシフト開始後であると判定され、且つ第3係合要素の係合油圧PINが略零以下とされたか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は制御開始・終了設定手段116に対応するS11において、惰性走行時減速度制御作動が終了されるための終了設定のために、前記制御中フラグFが「OFF」に設定されると共に、第3係合要素の係合油圧PINが零に設定される。上記S10およびS11は惰性走行時減速度制御作動の終了処理ルーチンでもある。
図10のt時点は、前記変速期間T(図10のt時点乃至t時点)内となるように決定された所定時間T内に惰性走行時減速度制御作動が終了されてその終了設定がなされたことを示している。図10の実線に示すように、惰性走行時減速度制御作動が実行されると減速度Gは、図10のt時点乃至t時点においては第3係合要素のスリップ係合によるタイアップに伴って減速度Gまで漸増させられ、さらに5→4ダウンシフトに伴って減速度Gから減速度Gに段階的に増加させられる。また、図10の破線に示すように、惰性走行時減速度制御作動が実行されないと減速度Gは5→4ダウンシフトに伴って減速度Gから減速度Gに段階的に増加させられる。このように、本実施例における5→4ダウンシフトに伴う減速度Gの段階的な増加(=G−G;減速度落差)は、従来例における5→4ダウンシフトに伴う減速度Gの段階的な増加(=G−G;減速度落差)に比較して抑制される。図10に示すようにt時点にて開始される4→3ダウンシフトにおいても同様に、本実施例における4→3ダウンシフトに伴う減速度Gの段階的な増加ΔGは、従来例における4→3ダウンシフトに伴う減速度の段階的な増加ΔGに比較して抑制される。
上述のように、本実施例によれば、ダウンシフト開始予測手段112により惰性走行時にダウンシフトが開始されることが所定時間T前に判定された場合には、変速制御手段(惰性走行時変速制御手段)110により第3係合要素に対して、実際にダウンシフトが開始されるまでの間伝達トルクを徐々に発生させるように係合圧PINが漸増され且つ実際にダウンシフトが開始されると所定時間T内に速やかに解放されるように係合圧PINが低下させられるので、第3係合要素が徐々に伝達トルク容量を発生させられることにより自動変速機10の内部タイアップが徐々に発生させられる。よって、この内部タイアップによりダウンシフトが開始される所定時間T前から減速度Gが徐々に増加させられるので、惰性走行時の実際のダウンシフトに伴う減速度Gの段階的な増加が抑制されてダウンシフト前後の減速度の段階的な変化による違和感が抑制される。
また、本実施例によれば、この惰性走行時変速制御手段による制御作動においては、内部タイアップを発生させるために第3係合要素が用いられるため、ダウンシフト完了後にはこの第3係合要素は既に解放されておりスリップ係合状態とされたことによる発熱も速やかに冷めるので、この第3係合要素の耐久性低下が抑制される。
また、本実施例によれば、前記第3係合要素としてダウンシフト後の変速段よりも低速側の変速段の成立に用いられる係合要素(図8の「○」)が用いられる場合には、第1、2係合要素の係合および解放と第3係合要素の解放とのタイミングがずれたとしても、エンジン回転速度Nや自動変速機10の回転要素の回転速度は第3係合要素の係合(スリップ係合)により実際のダウンシフトと同じダウンシフト側に変化させられる。よって、前記第3係合要素としてダウンシフト前の変速段よりも高速側の変速段の成立に用いられる係合要素(図8の「△」)が用いられてエンジン回転速度Nや自動変速機10の回転要素の回転速度がその第3係合要素の係合(スリップ係合)によりアップシフト側に変化させられる場合に比較して、エンジン回転速度Nや自動変速機10の回転要素の回転速度がより速やかにダウンシフト完了後の状態とされる。
また、エンジン回転速度Nがその第3係合要素の係合(スリップ係合)によりアップシフト側に変化させられるとエンジン回転速度Nの低下等に伴うイナーシャトルクの発生によりタイアップによる減速度の増加が抑制されるので、前記第3係合要素としてダウンシフト前の変速段よりも高速側の変速段の成立に用いられる係合要素(図8の「△」)が用いられる場合に比較して、ダウンシフトに伴う減速度の増加がより容易に抑制される。
また、本実施例によれば、変速制御手段110は、前記第3係合要素に対して、ダウンシフトが終了される変速期間T内に解放されるように係合圧PINを低下するので、ダウンシフト完了後に引き続き第3係合要素の係合(スリップ係合)による内部タイアップが発生することが防止される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例において、変速制御手段110は一つまたは2以上の第3係合要素を用いてタイアップを発生させたが、第3係合要素として複数種類の係合要素を用いることが可能な場合には、第3係合要素としてその複数種類のうちで予め決められた1つを用いても良いし、2以上を略同時に用いても良いし、その第3係合要素のスリップ係合に伴う熱負荷等を考慮してその複数種類を使い分けても良い。例えば、図8に示すように8→7ダウンシフトにおいては第3係合要素としてクラッチC1とクラッチC4とが用いられ得るので、第3係合要素としてクラッチC1とクラッチC4とのうちで予め決められた1つが用いられても良いし、クラッチC1とクラッチC4とが略同時に用いられても良いし、クラッチC1とクラッチC4とが交互に用いられても良い。
また、前述の実施例では、第3係合要素はダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる係合要素とは異なる係合要素であったが、第1、2係合要素が用いられてもよい。例えば、第3係合要素としてダウンシフト時に係合される係合要素(図8に示す「係合」)が用いられてもよい。この場合には、ダウンシフト時に係合される係合要素を通常のダウンシフト時より早く係合させてタイアップを発生させる。
また、前述の実施例では、ダウンシフト開始前判定手段118(図9のステップS5)は、変速制御手段110によるダウンシフト開始前であるか否かを、ダウンシフト後の変速段を成立させるために係合されるクラッチC或いはブレーキBの係合油圧Pがトルク容量(係合トルク)Tを生じるために予め実験的に定められて記憶された係合油圧P を未だ超えていないか否かにより判定したが、必ずしもこの判定方法でなくても良く、例えば実際の車速Vがアクセル操作量Accが零における変速点車速Vより低下したことに基づいて変速制御手段110により現在の変速段からのダウンシフトが未だ判断されていないことにより判定しても良い。
また、前述の実施例では、ダウンシフト開始予測手段112(図9のステップS1)は、実際の車速Vと、実際の車速変化量(=dV/dt)と所定時間Tとの積との合計車速(=V+(dV/dt)×T)が、現在の変速段からのダウンシフトが判断されるアクセル操作量Accが零における変速点車速Vより低下したか否かを判定することにより、変速制御手段110により自動変速機10の実際のダウンシフトが開始されることを所定時間T前に判定したが、必ずしもこの判定方法でなくても良く、例えば実際の車速変化量と所定時間Tとの積(=(dV/dt)×T)が、変速点車速Vと実際の車速Vとの差(=V−V)より低下したか否かを判定しても良い。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が適用された車両用自動変速機を説明する図であって、(a) は骨子図を、(b) は複数の変速段を成立させる際の油圧式摩擦係合装置の作動を説明する図である。 図1の車両用自動変速機において、変速段毎に各回転要素の回転速度を直接で表すことができる共線図である。 図1の自動変速機を制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。 図3のシフトレバーの操作位置を説明する図である。 図3の電子制御装置の変速制御において用いられる変速線図の一例を示す図である。 図3の油圧制御回路の要部を示す回路図である。 図3の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 自動変速機の各変速段にて実行されるダウンシフト毎の第1、2係合要素と第3係合要素とを説明する図表である。 図3の電子制御装置の制御作動の要部すなわち惰性走行時のダウンシフトに伴う減速度の段階的な増加を抑制する制御作動を説明するフローチャートである。 図9のフローチャートに示す制御作動の一例であって、5→4ダウンシフトおよび4→3ダウンシフト時の場合の制御作動を説明するタイムチャートである。
符号の説明
10:自動変速機
90:電子制御装置(変速制御装置)
110:変速制御手段(惰性走行時変速制御手段)
112:ダウンシフト開始予測手段
C1〜C4:クラッチ(摩擦係合装置)
B1、B2:ブレーキ(摩擦係合装置)

Claims (4)

  1. 複数の摩擦係合装置が選択的に係合、解放されることにより、変速比が異なる複数の変速段が成立させられる車両用自動変速機の変速制御装置であって、
    車両惰性走行時に、前記自動変速機のダウンシフトが開始されることを所定時間前に判定するダウンシフト開始予測手段と、
    該ダウンシフト開始予測手段により前記ダウンシフトが開始されることが前記所定時間前に判定された場合には、該ダウンシフト前の変速段を成立させる摩擦係合装置が係合している状態に加えて前記複数の摩擦係合装置のうちダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置に対して、実際にダウンシフトが開始されるまでの間伝達トルクを徐々に発生させるように係合圧を漸増し且つ実際にダウンシフトが開始されると所定時間内に速やかに解放されるように係合圧を低下する惰性走行時変速制御手段と
    を、含むことを特徴とする車両用自動変速機の変速制御装置。
  2. 前記ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置は、ダウンシフト後の変速段よりも低速側の変速段の成立に用いられるものである請求項1の車両用自動変速機の変速制御装置。
  3. 前記惰性走行時変速制御手段は、前記ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置に対して、ダウンシフトが終了される変速期間内に解放されるように係合圧を低下するものである請求項1または2の車両用自動変速機の変速制御装置。
  4. 前記ダウンシフト前後の変速段の成立に用いられる摩擦係合装置とは異なる摩擦係合装置の係合圧は、該摩擦係合装置の発熱量が予め設定された許容値を超えないように制御されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の車両用自動変速機の変速制御装置。
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