JP4538155B2 - ガスセンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、酸素センサ、HCセンサ、NOxセンサなど、測定対象となるガス中の被検出成分を検出するためのガスセンサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば車載用エンジンの排気ガス濃度を検出するガスセンサとして、固体電解質部材の両面に電極層が形成された筒状ないし板状の検出素子を、筒状のケーシングの内側に配置した構造のものが知られている。このようなガスセンサにおいては、検出素子の電極層に電気的に接続されるリード線をケーシングから外部に取り出すための構造として、検出素子の後端部側に個別のリード線挿通孔が形成されたセパレータを配置させ、リード線挿通孔に各リード線を通すように構成されることが多い。なお、このようにセパレータを使用することにより、リード線同士の短絡の防止を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リード線における短絡防止と断線防止とを図る観点から、リード線の芯線先端部(多くの場合、検出素子の電極層に導通する導電部材との接続部を含む)を上記セパレータのリード線挿通孔内に収納することが望ましい。しかしながら、リード線は撓みやすく折れ曲がりやすいので、リード線がセパレータのリード線挿通孔の入口部を通じて挿通されるにあたり、リード線挿通孔の入口部に引っ掛かって挿通孔内に入れなかったり、導電部材との接続部が離れてしまったりする場合がある。このようにして、一旦断線や短絡が発生するとその修復(修理)は容易ではない。したがって従来は、リード線や接続部が引っ掛かったりすることのないように、リード線径、接続部の径方向の最大幅に比して十分大きな径のリード線挿通孔を形成しなければならなかった。ところが、リード線挿通孔全体の径を大きくするとセパレータの肉厚が薄くなって強度が低下するので、路面からの跳ね石の衝撃やエンジンの振動等がケーシングを介してセパレータに伝達されたときに、セパレータの割れ、欠け等を生じやすくなる。その結果、リード線や導電部材の短絡、断線が発生したり、ガスセンサが作動不良又は作動不能状態に陥ったりすると、ガスセンサの耐久性(寿命)が著しく低下するおそれがある。
【0004】
そこで、本発明の課題は、リード線ないしリード線と検出素子の電極層に導通する導電部材との接続部がリード線挿通孔の入口部に引っ掛かったりすることなく、スムーズにかつ確実にセパレータのリード線挿通孔内に収納され、耐久性(寿命)にも優れたガスセンサ構造と、その製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記課題を解決するために、本発明にかかるガスセンサは、
前方側が測定対象となるガスに向けられる軸状の検出素子と、
前記検出素子の径方向外側を取り囲む筒状の外筒部材と、
前記検出素子よりも後方側において前記外筒部材の内側に配置され、前記検出素子の電気的出力を外部に取り出すリード線を挿通するためのリード線挿通孔が軸線方向に貫通して形成されるセパレータとを備え、
前記リード線挿通孔は、軸線方向前方の開口に向かうにしたがって連続的に断面拡大する拡径部を有するとともに、
前記検出素子に形成される電極層と導通する導電部材の後方端部と、前記リード線の中心側に位置し外側を外被で覆われた芯線の前方端部とを接続し、外側から加締めて一体化した接続端子が、前記リード線挿通孔内に位置し、
前記拡径部の最大径をD1、その最小径をD2とし、前記接続端子における径方向最大幅をw、前記リード線の外径をdとしたとき、(D1−D2)>(w−d)の関係を満足することを特徴とする。
【0006】
上記本発明によれば、セパレータに形成されるリード線挿通孔は、軸線方向前方の開口に向かうにしたがって連続的に断面拡大する拡径部を有するので、この拡径部を挿入ガイドとして、検出素子の電気的出力を外部に取り出すリード線をスムーズにリード線挿通孔に案内・収納することができる。これにより、リード線に断線や短絡が発生しにくくなり、ガスセンサが作動不良又は作動不能状態に陥ることなく、ガスセンサの耐久性(寿命)を低下させることがない。しかも、リード線径に比してさほど大きな径のリード線挿通孔を形成しなくてもよく、かつリード線挿通孔全体の径を大きくしなくてもよいので、セパレータの強度を低下させずにすむ。
【0007】
なお、ここで拡径部は、軸線を含む断面において直線状に拡径する場合と、同じく曲線状に拡径する場合とを含む。
【0008】
また、リード線挿通孔における拡径部は、セパレータの軸線方向中間部よりもリード線の入口側である前方側にのみ形成されていれば、リード線の十分な案内作用を果たすことができる。しかも、セパレータの軸線方向全長にわたって拡径部を形成する必要がないので、セパレータの薄肉化に伴う強度低下を防止できる。
【0009】
さらに、リード線挿通孔に上記拡径部を設けることにより、検出素子に形成される電極層と導通する導電部材の後方端部と、リード線の中心側に位置し外側を外被で覆われた芯線の前方端部とを、直接又は他部材を介して間接的に接続する接続部を、リード線挿通孔内にスムーズにかつ確実に位置させることが可能となるので、リード線や導電部材の位置ずれはますます小さくなり、それらの断線や短絡が一層発生しにくくなる。
【0010】
導電部材の後方端部とリード線の芯線の前方端部との接続部が、例えば導電部材とリード線の芯線とを外側から加締めて一体化する接続端子により構成される場合には、拡径部の最大径をD1、その最小径をD2とし、接続端子における径方向最大幅をw、リード線の外径をdとしたとき、拡径部の形状として、(D1−D2)>(w−d)の関係を満足することが望ましい。この場合、拡径部の最大径D1が接続端子における径方向最大幅wよりも大きく形成することが容易にできるので、接続部(接続端子)が拡径部ひいてはリード線挿通孔に無理なくスムーズに案内収納される。このことは、拡径部の最小径D2(リード線挿通孔のストレート部の直径)=リード線の外径dと仮定した場合に容易に理解される。
【0011】
そして、拡径部は、自身の後方側基部に、段階的に断面縮小する段差部を有していると、セパレータをアルミナ等のセラミック粉末にて一体プレス成形するときに、この段差部に対して十分な成形圧を付与することができ、拡径部を有するリード線挿通孔が形成された均一な成形体を得やすい。
【0012】
さらに本発明の外筒部材が、径方向において一重に構成されるときは、ガスセンサの小型化(小径化)・軽量化に有効である。
【0013】
ここで、セパレータには外周面から突出するセパレータ側支持部を形成する一方、外筒部材には内周面から突出する外筒側支持部を形成し、セパレータ側支持部を外筒側支持部が直接または他部材を介して間接的に支持することができる。セパレータを保持するにあたり、セパレータの外側を外筒部材以外の別のカバー部材を用いて覆う必要がないので、センサの部品点数の削減、それに伴うセンサ構造の簡素化・コンパクト化が図れ、さらには低コスト化にも寄与することができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明にかかるガスセンサの製造方法は、
前方側が測定対象となるガスに向けられる軸状の検出素子に形成された電極層と導通する導電部材の後方端部と、セパレータの軸線方向に貫通して形成されるリード線挿通孔に挿通され、前記検出素子の電気的出力を外部に取り出すリード線の芯線の前方端部とを接続し、外側から加締めて一体化した接続端子を形成した後、
前記検出素子の径方向外側を取り囲む筒状の外筒部材の内側に前記セパレータを挿入するとき、前記リード線挿通孔に形成され、かつ該セパレータの挿入方向前方側の開口に向かうにしたがって連続的に断面拡大する拡径部を通じて、前記接続端子及び前記リード線が前記リード線挿通孔に挿入されるとともに、
前記拡径部の最大径をD1、その最小径をD2とし、前記接続端子における径方向最大幅をw、前記リード線の外径をdとしたとき、(D1−D2)>(w−d)の関係を満足していることを特徴とする。
【0015】
上記本発明によれば、導電部材の後方端部とリード線の芯線の前方端部とを予め接続して接続部を形成しておき、その後に外筒部材の内側にセパレータを挿入する際、この接続部とセパレータとの位置関係が作業者から見えにくい状況であっても、接続部がリード線挿通孔に形成される拡径部を挿入ガイドとしてスムーズにリード線挿通孔内に案内・収納される。したがって、接続部における短絡や断線が発生しにくくなり、製品歩留まりの向上に寄与する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づき説明する。図1は本発明のガスセンサの一実施例たる空燃比センサの内部構造を示す。この空燃比センサ100(ガスセンサ)は、内燃機関の排出ガス中の成分またはその濃度を検出するための板状を呈する検出素子2を、該検出素子2と同一形状のヒータ素子3と接着してヒータ付き検出素子20に形成し、円筒状のアルミナ等の耐熱セラミック製絶縁ホルダ4内に固着してなる。なお、以下の説明において、検出素子2の測定対象となるガスに向かう側(後述するプロテクタ9装着側)を「前方側」、これと反対方向に向かう側を「後方側」と称する。
【0017】
検出素子2は、例えばジルコニア(ZrO2 )製の帯板状セラミック基板の一端に、酸素濃度基準電極と酸素濃度検出電極とを白金ペーストの厚膜印刷により付着させたとき、酸素の濃淡により両極間のジルコニアに電流が流れる原理を利用している。また、セラミック基板には酸素ポンプ用電極が、酸素濃度基準電極及び酸素濃度検出電極のいずれかと酸素ポンプ用電極の+極及び−極のいずれかとを共用する形で印刷形成されているので、セラミック基板にはこれら3極と接続された合計3本のリードパターン(電極層)が印刷されている(図示省略)。そして、各リードパターンには高温導電性金属(例えば白金−白金ロジウム合金)製の素子側電極線101(導電部材)が接続され、素子側電極線101には各々素子側電極リード102(導電部材)がスポット溶接又はレーザー溶接されている。
【0018】
ヒータ素子3は、例えばアルミナ(Al2O3)製の帯板状セラミック基板に白金ペーストを厚膜印刷することにより、ヒータ発熱パターンおよびこれに接続する2本(+極及び−極)のリードパターン(電極層)を形成し(図示省略)、その上に別のセラミック基板を積層し、一体焼成する。各リードパターンに高温導電性金属(例えば白金−白金ロジウム合金)製のヒータ側電極線105を接続させ、さらにヒータ側電極線105に各々ヒータ側電極リード106をスポット溶接してなる。
【0019】
検出素子2およびヒータ素子3は重ねて接着されて、四角柱状のヒータ付き検出素子20に形成されるとともに、ヒータ付き検出素子20の中間よりやや前端側には、四角軸穴を有する円柱状のセラミック(例えばアルミナ)製第一絶縁碍管51がアルミナ等のセラミックよりなる接合層52を介して外嵌されている。一方、ヒータ付き検出素子20の後端部には、断面コの字形状を有するセラミック(例えばアルミナ)製第二絶縁碍管53が、第二絶縁碍管53と検出素子2との接合面及び検出素子2とヒータ素子3との接合面にそれぞれ形成され、アルミナ等のセラミックよりなる接合層54を介して外嵌されている。
【0020】
絶縁ホルダ4は、外側の前端部41に径大の鍔部42が設けられた円筒状を有し、内側の前部に内周縁43が形成され、後部にテーパー部44が設けられている。ヒータ付き検出素子20は、前端側から絶縁ホルダ4内に差し込まれ、第一絶縁碍管51が内周縁43に係合して同軸的に配されている。
【0021】
ヒータ付き検出素子20の外周面と絶縁ホルダ4の内周面との隙間40には、ガラスとセラミックとの混合物からなり絶縁ホルダ4とヒータ付き検出素子20との間を充填する前方側の第一充填層45aと、素子側電極線101,ヒータ側電極線105の少なくとも一部、ヒータ付き検出素子20の後端部及び絶縁ホルダ4との間を封着する後方側の第二充填層45bとが設けられている。さらに、第二充填層45bの後方側に形成される絶縁ホルダ4内部空間には、素子側及びヒータ側電極線101,105と、素子側及びヒータ側電極リード102,106とを封着するガラス充填層46が形成されている。第一充填層45aと第二充填層45bとによって、ヒータ付き検出素子20(検出素子2)を絶縁ホルダ4に対して同軸状に傾きなく保持できる。また、素子側及びヒータ側電極線101,105と、素子側及びヒータ側電極リード102,106とがガラス充填層46により封着されるので、後述する素子側及びヒータ側リード線104,108等との接続の際にこれらが引張られて断線や短絡することが防止される。
【0022】
第一充填層45a、第二充填層45b及びガラス充填層46に使用されるガラスは、ホウケイ酸ガラス、ホウ酸亜鉛ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸亜鉛ガラス等が好適であり、両充填層45a,45bに使用されるセラミック主材料としては、滑石が好適である。なお、第一充填層45aは、第二充填層45bよりガラス含有率が低く設定してある。
【0023】
主体金具1は、前端に後記するプロテクタ9が嵌着される径小筒部11、中間に排気路に設けたネジ穴に螺着するためのネジ部12及び工具係合部13、後端に熱加締めにより絶縁ホルダ4を主体金具1内に保持するとともに、外筒部材6を主体金具1に同軸的に連結するための連結筒部14を有する。
【0024】
主体金具1のネジ部12と工具係合部13との間の外周面は径小に形成されてガスケット15が外嵌されており、一方、径小筒部11の外周面には、外部筒91と内部筒93との二重構造を有し、それぞれの前端面と周面とに複数の通気孔92,94が貫通形態で形成された円筒キャップ状プロテクタ9が嵌着されている。主体金具1の内側は、ネジ部12の内側に位置し、絶縁ホルダ4の先端部が遊嵌された小径部16、絶縁ホルダ4の鍔部42が嵌め込まれた中径部17、及び連結筒部14の内側を形成する大径部18となっている。小径部16と中径部17との間は、絶縁ホルダ4の鍔部42の前端面に係合する係合段19が設けられ、この係合段19と鍔部42との間に板パッキン47が嵌め込まれている。さらに、大径部18と絶縁ホルダ4との間の空間には、前方側に滑石リング48、後方側にメタルスリーブ49がそれぞれ配置されている。
【0025】
ところで、主体金具1に対するヒータ付き検出素子20、絶縁ホルダ4及びプロテクタ9の固定は次のようになされる。まず、第二絶縁碍管53のコの字内面にアルミナ等が配合された接合層材料(接合層54に相当)を挟んで検出素子2の後端部を載置し、さらに接合層材料を挟んでヒータ素子3の後端部を重ね合わせて乾燥する。そして、乾燥が終了すると、接合層54を介して検出素子2とヒータ素子3とが接着・一体化され、四角柱状のヒータ付き検出素子20が形成される。続いて、第一絶縁碍管51の四角軸穴にヒータ付き検出素子20を挿入し、第一絶縁碍管51の内側にアルミナ等が配合された接合層材料(接合層52に相当)を注入して、乾燥・加熱溶着させ、ヒータ付き検出素子20を完成させる。
【0026】
次に、絶縁ホルダ4内にヒータ付き検出素子20を挿入し、第一絶縁碍管51を絶縁ホルダ4の内周縁43に係合させ同軸的に保持する。そして、隙間40に所定の割合でガラス粉末とセラミック粉末とを混合した充填層材料を二層(第一充填層45aと第二充填層45bに相当)に分けて詰め、さらにその後方にガラス粉末の充填層材料(ガラス充填層46に相当)を充填し、これを加熱炉内で約800℃で約1時間加熱してガラスを溶融または軟化させ、ガラスシールを行なう。
【0027】
また、主体金具1の径小筒部11に対してプロテクタ9の後端部を外側から嵌合し、周方向に所定の間隔(例えば90°間隔)で複数箇所(例えば4ヵ所)の溶接(例えば抵抗溶接)W1を行い、主体金具1とプロテクタ9とを固定する。さらに、ヒータ付き検出素子20が組み込まれた絶縁ホルダ4を主体金具1の内側に挿入し、主体金具1の係合段19にて板パッキン47を挟む形で、絶縁ホルダ4の鍔部42を支持させる。最後に、主体金具1の大径部18と絶縁ホルダ4との間の空間に、前方側に滑石リング48、後方側にメタルスリーブ49をそれぞれ挿入し、主体金具1の連結筒部14を熱加締めする。このようにして、主体金具1に対するヒータ付き検出素子20、絶縁ホルダ4及びプロテクタ9の固定が完成する。
【0028】
さて、主体金具1の後端部には、筒状のステンレス製外筒部材6の前端側に形成された開口部が、外側から嵌合・固定されている。すなわち、外筒部材6は、全長にわたり径方向において一重に構成され、ヒータ付き検出素子20よりも後方に配置されるセラミックセパレータ7(セパレータ)を外側から覆う状態で、主体金具1の連結筒部14に対し後方外側からほぼ同軸的に連結される筒状形態をなしており、空燃比センサ100の小径化並びに軽量化が図られている。また、この外筒部材6の後端側開口部は、フッ素ゴム等で構成され、かつセラミックセパレータ7の後方側に位置するグロメット8を弾性的にキャップ状に嵌入することにより、封止されている。
【0029】
セラミックセパレータ7の軸線方向中間部の外周面には、全周にわたり外向きに一体的に突出する形態で、フランジ状のセパレータ側支持部72が形成されている。一方、外筒部材6には内周面から内向きに突出する外筒側支持部62が周方向に所定の間隔(例えば90°間隔)で複数箇所(例えば4ヵ所)形成されている。そして、セパレータ側支持部72を外筒側支持部62に支持することにより、センサ構造の簡素化・コンパクト化を図っている。なお、セパレータ側支持部72と外筒側支持部62との当接面は、前方側(セラミックセパレータ7の挿入方向下手側)ほど縮径する傾斜面に形成されているので、セラミックセパレータ7の挿入が容易で、かつ外筒側支持部62によるセパレータ側支持部72の支持が確実になされる。また、外筒側支持部62については、周方向に所定の間隔で断続的に設ける他に、周方向全体にわたって内向きに突出する形態で設けてもよい。
【0030】
検出素子2の電気的出力を外部に取り出す3本の素子側リード線104と、ヒータ素子3に通電する2本のヒータ側リード線108とを挿通するために、セラミックセパレータ7に計5個のセパレータ側リード線挿通孔71(リード線挿通孔)が軸線方向に貫通して形成されるとともに、グロメット8にも計5個のグロメット側リード線挿通孔81が軸線方向に貫通して形成されている。
【0031】
3個の素子側接続端子103及び2個のヒータ側接続端子107(接続端子)が、各素子側リード線104及び各ヒータ側リード線108の中心側に位置し外側が外被104a,108aで覆われた芯線104b,108bの前方端部と加締められており、この接続端子103,107が各素子側電極リード102、各ヒータ側電極リード106と接続(溶接)されて、素子側接続部109、ヒータ側接続部110(接続部)が形成される。そして、これら素子側接続部109とヒータ側接続部110とはいずれもセパレータ側リード線挿通孔71内に1個ずつ収納・位置しているので、断線や短絡が発生しにくい。
【0032】
図2に示すように、セパレータ側リード線挿通孔71には、セラミックセパレータ7の軸線を含む断面において、軸線方向中間部よりも前方側にかけて、軸線方向前方の開口に向かうにしたがって直線状に断面拡大する拡径部73が形成されている。また、セパレータ側リード線挿通孔71の拡径部73(詳細には後述する段差部77)から後方部は断面積ほぼ一定のストレート部74に形成されている。なお、後端面から前方へ向けて形成された窪み部75は、グロメット8前端部の熱による膨張分を逃がすために設けられている。
【0033】
したがって、拡径部73を挿入ガイドとして、素子側リード線104及びヒータ側リード線108をスムーズにそれぞれのセパレータ側リード線挿通孔71に案内・収納することができるので、素子側及びヒータ側リード線104,108に断線や短絡が発生しにくくなる。
【0034】
ここで、図2(b)に示すように拡径部73の最大径をD1、その最小径をD2とし、素子側接続端子103(又はヒータ側接続端子107)における径方向最大幅(ここでは最大加締め幅に相当)をw、素子側リード線104(又はヒータ側リード線108)の外径をdとすると、拡径部73の形状として、(D1−D2)>(w−d)の関係を満足するように設定されている。それにより、接続部109,110(接続端子103,107)が拡径部73ひいてはセパレータ側リード線挿通孔71に無理なくスムーズに案内収納される。なお、拡径部73の拡開角度θは、拡径部73の前方側入口での接続部109,110の引っ掛かりを防止するために、120°以下(例えば60°)に形成するのが望ましい。
【0035】
拡径部73は、図2(b)のような直線状の他、図2(c)に示すように軸線を含む断面において曲線状に拡径する形状に形成してもよい。この場合、拡径部73の拡開角度θは、拡径の開始位置と終了位置とを結ぶ直線のなす角度で表わされる。
【0036】
さらに、図2(d)に示すように、拡径部73の後方側基部には断面積ほぼ一定の延長部76を形成し、延長部76は段階的に断面縮小する段差部77を介して上記ストレート部74に連結されており、拡径部73の後方側延長線Lが段差部77と交差しないように構成してもよい。セラミックセパレータ7をアルミナ等のセラミック粉末にて加圧一体プレス成形する場合、拡径部73の後方側基部に、段階的に断面縮小する段差部77を形成すると、セラミックセパレータ成形体7’の段差部77に対して、下部パンチLPと上部パンチUPとによる成形圧を十分に付与することができ、拡径部73を有するリード線挿通孔71が形成された均一な成形体7’を得やすい。また、拡径部73の後方側延長線Lが段差部77と交差しないように構成すると、延長部76及び段差部77にバリが出にくい。なお、図中Pはプレスピンである。
【0037】
次に、ヒータ付き検出素子20、絶縁ホルダ4及びプロテクタ9が組み込まれた主体金具1に対して、外筒部材6、セラミックセパレータ7、グロメット8等の組付工程について、図3及び4を用いて概略説明する。
【0038】
各素子側電極リード102及び各ヒータ側電極リード106の後方端部と、各素子側リード線104及び各ヒータ側リード線108の中心側に位置する芯線104b,108bの前方端部とを接続する素子側接続部109及びヒータ側接続部110(接続部)を、素子側接続端子103及びヒータ側接続端子107(接続端子)によりそれぞれ外側から加締めとスポット溶接を施して形成する(図3(a))。なお、本実施形態では、素子側接続部109及びヒータ側接続部110が素子側接続端子103及びヒータ側接続端子107により加締められるにあたり、素子側リード線104及びヒータ側リード線108の芯線104b,108bのみが加締めに供され、各接続端子の径方向最大幅wを縮小させることができるものであるが、芯線104b,108bとともに外被104a、108aも加締めに供されてもよい。
【0039】
主体金具1の連結筒部14(図1参照)を外筒部材6の前端部に圧入する。セラミックセパレータ7の拡径部73から接続部109,110をセパレータ側リード線挿通孔71に挿入しつつ、外筒部材6にセパレータ7を挿入して、外筒側支持部62でセパレータ側支持部72を受け止め支持する。外筒部材6の後端側開口部に、グロメット8を嵌入して封止する(図3(b))。外筒部材6にセラミックセパレータ7を挿入する際、接続部109,110とセラミックセパレータ7との位置関係が作業者から見えにくくなるが、接続部109,110が拡径部73を挿入ガイドとしてスムーズにセパレータ側リード線挿通孔71内に案内・収納される。したがって、接続部109,110における短絡や断線が発生しにくくなる。
【0040】
外筒部材6の後端部において、グロメット8を前方側に押さえながら、グロメット8と外筒部材6の後端部とを外側から加締めてグロメット加締部61を形成する(図4(a))。最後に外筒部材6の前端部において、レーザー光源Lから発射されるYAG(イットリウム、アルミニウム、ガーネット)レーザービームLBを外筒部材6の前端部と主体金具1の連結筒部14(図1参照)との重ね合わせ部に向けて略水平方向に全周にわたって照射し、レーザー溶接部W2を形成する(図4(b))。以上により、空燃比センサ100の組み立てが完了する。
【0041】
以上の実施例においては板状の検出素子についてのみ説明したが、本発明は筒状の検出素子にも適用できる。また、以上説明した本発明のセンサの構造は、空燃比センサ(UEGO)以外のガスセンサ、例えば酸素センサ、HCセンサ、NOxセンサなどにも同様に適用することができる。さらに、セラミックセパレータ7のセパレータ側支持部72は、外筒部材6の外筒側支持部62において直接でなく他部材を介して間接的に支持されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスセンサの一実施例たる空燃比センサの縦断面図。
【図2】(a)はセラミックセパレータの平面図、(b)は(a)のY−Y断面図、(c)及び(d)はセラミックセパレータの変形例を示す断面図。
【図3】空燃比センサの組付工程を示す説明図。
【図4】図3に続く工程説明図。
【符号の説明】
100 空燃比センサ(ガスセンサ)
2 検出素子
6 外筒部材
62 外筒側支持部
7 セラミックセパレータ(セパレータ)
71 セパレータ側リード線挿通孔(リード線挿通孔)
72 セパレータ側支持部
73 拡径部
77 段差部
101 素子側電極線(導電部材)
102 素子側電極リード(導電部材)
103 素子側接続端子(接続端子)
104 素子側リード線(リード線)
104a外被
104b芯線
109 素子側接続部(接続部)
Claims (6)
- 前方側が測定対象となるガスに向けられる軸状の検出素子と、
前記検出素子の径方向外側を取り囲む筒状の外筒部材と、
前記検出素子よりも後方側において前記外筒部材の内側に配置され、前記検出素子の電気的出力を外部に取り出すリード線を挿通するためのリード線挿通孔が軸線方向に貫通して形成されるセパレータとを備え、
前記リード線挿通孔は、軸線方向前方の開口に向かうにしたがって連続的に断面拡大する拡径部を有するとともに、
前記検出素子に形成される電極層と導通する導電部材の後方端部と、前記リード線の中心側に位置し外側を外被で覆われた芯線の前方端部とを接続し、外側から加締めて一体化した接続端子が、前記リード線挿通孔内に位置し、
前記拡径部の最大径をD1、その最小径をD2とし、前記接続端子における径方向最大幅をw、前記リード線の外径をdとしたとき、(D1−D2)>(w−d)の関係を満足することを特徴とするガスセンサ。 - 前記拡径部は、前記セパレータの軸線方向中間部よりも前方側にのみ形成されている請求項1記載のガスセンサ。
- 前記拡径部は、後方側基部に段階的に断面縮小する段差部を有している請求項1又は2に記載のガスセンサ。
- 前記外筒部材は、径方向において一重に構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載のガスセンサ。
- 前記セパレータには外周面から突出するセパレータ側支持部が形成される一方、前記外筒部材には内周面から突出する外筒側支持部が形成され、該セパレータ側支持部が該外筒側支持部に直接または他部材を介して間接的に支持されている請求項1ないし4のいずれかに記載のガスセンサ。
- 前方側が測定対象となるガスに向けられる軸状の検出素子に形成された電極層と導通する導電部材の後方端部と、セパレータの軸線方向に貫通して形成されるリード線挿通孔に挿通され、前記検出素子の電気的出力を外部に取り出すリード線の芯線の前方端部とを接続し、外側から加締めて一体化した接続端子を形成した後、
前記検出素子の径方向外側を取り囲む筒状の外筒部材の内側に前記セパレータを挿入するとき、前記リード線挿通孔に形成され、かつ該セパレータの挿入方向前方側の開口に向かうにしたがって連続的に断面拡大する拡径部を通じて、前記接続端子及び前記リード線が前記リード線挿通孔に挿入されるとともに、
前記拡径部の最大径をD1、その最小径をD2とし、前記接続端子における径方向最大幅をw、前記リード線の外径をdとしたとき、(D1−D2)>(w−d)の関係を満足していることを特徴とするガスセンサの製造方法。
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