JP4537225B2 - 可撓止水継手およびその施工方法 - Google Patents

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Description

この発明は、可撓止水継手およびその施工方法に関し、コンクリートを打ち継いで構築される、水路、水処理施設、海洋護岸、トンネル、共同溝などのコンクリート構造体の継手部の止水および相対変位を可能とする可撓止水継手の施工における準備作業を簡素化できるようにしたものである。
コンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体である水路や水槽あるいは共同溝等の地中に構築される暗渠などの壁部分の継手部には、内外を止水するとともにその両側のコンクリート構造体の温度変化等に起因する壁部分の伸縮等を許容する必要があり、止水板などの可撓止水継手が介設されている。
このようなコンクリート構造体の継手部に介設する可撓止水継手としては、例えば特許文献1に開示された止水板1があり、図10(a)に示すように、中空部2の両端に複数本の係止凸条部3を備えて構成され、それぞれの端部の係止凸条部3を打設されるコンクリート内に埋設して固定するようにしている。
また、共同溝などのコンクリート構造体用の可撓止水継手として、例えば特許文献2に開示された可撓ゴム継手6があり、図11(a)に示すように、略逆U字状の湾曲部7と、湾曲部7の両開口端間を一体的に接続して、湾曲部7を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部8とを備えて構成され、同図(b)に示すように、フランジ部8に取り付けたアンカーボルト9を打設するコンクリート内に埋設して固定するようにしている。
特開平9−105166号公報 特開2002−167789号公報
ところが、このような特許文献1や特許文献2の可撓止水部材1,6では、コンクリートの打設前に、可撓止水部材1,6を所定の位置に保持する必要があり、特許文献1の止水板1の場合には、図10(b)に示すように、先行のコンクリート側の係止凸状部3を補強用の鉄筋4に吊り下げるようにするとともに、後でコンクリートに埋設される係止凸状部3を板材などの保持材5で保持する必要があり、コンクリート打設前の準備作業が大変であり、手間と時間がかかるという問題がある。
また、特許文献2の可撓ゴム継手6では、図11(b)に示すように、フランジ部8にアンカーボルト9を取り付けた状態でアンカーボルト9と鉄筋4とを継手10を介して溶接するとともに、一対のフランジ部8の外側に間隔保持材11を取り付けて角度を保持できるようにしており、この場合もコンクリート打設前の準備作業が大変であり、手間と時間がかかるという問題がある。
この発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、コンクリートを打ち継いで構造体を構築する場合のコンクリート打設前の準備作業を簡単かつ短時間に行うことができる可撓止水継手およびその施工方法を提供しようとするものである。
上記課題を解決するためこの発明の請求項1記載の可撓止水継手は、コンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に設けられて内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手であって、前記コンクリート構造体の前記継手部の一方に設けられた固定用溝部に挿入固定される挿入固定部と、前記コンクリート構造体の前記継手部の他方の打設によって埋設固定される打設固定部と、一端部に前記挿入固定部が連結されるとともに、他端部に前記打設固定部が連結され止水および相対変位を可能とする伸縮部とを備え、前記挿入固定部は、内外中間部にスリット部を有するとともに、内外面それぞれに前記固定用溝部に接着される板状体が取り付けられ、前記打設固定部は、固定強度を高める突起部を有してなることを特徴とするものである。
この可撓止水継手によれば、コンクリート構造体の継手部の一方には、コンクリートの打設によって埋設固定せずに固定用溝部を型成形しておき、継手の一端部の挿入固定部を固定用溝部に挿入して接着固定するようにしており、打設前の準備作業を簡単かつ短時間にできるようにしている。そして、挿入固定部の内外中間部にスリット部を設けるとともに、内外面に設けた金属プレート、硬質樹脂板などの板状体で固定用溝部への挿入を円滑にできるようにし、接着強度を確保できるようにしている。
また、この発明の請求項2記載の可撓止水継手は、請求項1記載の構成に加え、前記挿入固定部の前記スリット部に連通させて接着剤注入路を設けてなることを特徴とするものである。
この可撓止水継手によれば、挿入固定部のスリット部に連通させて設けた接着剤注入路から接着剤を注入して固定用溝部に接着でき、接着剤の充填を容易にできるようにしている。
さらに、この発明の請求項3記載の可撓止水継手は、請求項1記載の構成に加え、前記挿入固定部の前記スリット部に接着剤を挟持させてなることを特徴とするものである。
この可撓止水継手によれば、挿入固定部のスリット部に予め接着剤を挟み込んでおくことで、固定用溝部への挿入によって接着剤を押し出すようにでき、現場での接着作業も一層簡単にできるようになる。
また、この発明の請求項4記載の可撓止水継手は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記挿入固定部の基端部に、前記継手部の端面に当接接着される当接接着部を設けてなることを特徴とするものである。
この可撓止水継手によれば、挿入固定部の基端部に設けた当接接着部を継手部の端面に当接接着することで、一層強固に固定できるようにしている。
さらに、この発明の請求項5記載の可撓止水継手は、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加え、前記板状体を、前記挿入固定部より突出させて設けたことを特徴とするものである。
この可撓止水継手によれば、金属プレート、硬質樹脂板などの板状体を挿入固定部より突出させることで、板状体を接着剤の充填空間である固定用溝部内に突き出させて接着強度を向上するようにしている。
また、この発明の請求項6記載の可撓止水継手は、請求項1〜5のいずれかに記載の構成に加え、前記伸縮部は、板状伸縮部あるいは前記一端部側へ湾曲した湾曲部を備える板状伸縮部で構成されてなることを特徴とするものである。
この可撓止水継手によれば、伸縮部は、板状伸縮部あるいは一端部側へ湾曲した湾曲部を備える板状伸縮部で構成してあり、先に打設したコンクリートの端面に(外側用)目地材を介し、あるいは直接板状伸縮部を当てるようにし、止水および相対変位を可能とするようにしている。
さらに、この発明の請求項7記載の可撓止水継手は、請求項1〜5のいずれかに記載の構成に加え、前記伸縮部を、中空状に形成してなることを特徴とするものである。
この可撓止水継手によれば、伸縮部に中空状を形成するようにしており、これまでの止水板と同様の止水性能および相対変位を確保しながらコンクリート打設前の準備作業を簡単かつ短時間にできるようにしている。
また、この発明の請求項8記載の可撓止水継手は、請求項1〜7のいずれかに記載の構成に加え、前記打設固定部は、前記コンクリート構造体の前記継手部の他方の端面および側面に接着される端面固定部および側面シール部を備える一方、この側面シール部の内側にブチルシートを設けてなることを特徴とするものである。
この可撓止水継手によれば、打設固定部を、コンクリート構造体の継手部の他方の端面および側面に接着される端面固定部および側面シール部を備え、この側面シール部の内側にブチルシートを設けて構成してあり、後で打設されるコンクリートの端面に端面固定部を、側面に側面シール部とその内側のブチルシートをそれぞれ一体化させるようにし、打設固定部の埋設固定を強固にし、止水および相対変位を可能とするようにしている。
また、この発明の請求項9記載の可撓止水継手の施工方法は、コンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部の内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手を施工するに際し、前記コンクリート構造体の前記継手部の一方に溝型枠を用いて固定用溝部を形成した後、この固定用溝部に前記請求項1〜8のいずれかに記載の可撓止水継手の前記挿入固定部を挿入・接着し、次いで当該可撓止水継手より少なくとも内側の継手部の端面に内側用目地材を部分接着したのち、前記コンクリート構造体の前記継手部の他方を打設構築して前記打設固定部を埋設固定するようにしたことを特徴とするものである。
この可撓止水継手の施工方法によれば、可撓止水継手を施工するに際し、先に打設するコンクリート構造体の継手部に溝型枠を用いて固定用溝部を形成しておき、この固定用溝部に可撓止水継手の挿入固定部を挿入・接着することで、一方側の施工ができ、次いで可撓止水継手より少なくとも内側の継手部の端面に内側用目地材を部分接着したのち、後で打設するコンクリート構造体の他方の継手部に打設固定部を埋設固定することで継手部への施工ができ、これまでの打設前の準備作業に比べ大幅に簡素化し、短時間に準備を完了できるようになる。
さらに、この発明の請求項10記載の可撓止水継手の施工方法は、請求項9に記載の構成に加え、前記固定用溝部に前記可撓止水継手の前記挿入固定部を挿入・接着したのち、当該可撓止水継手の前記伸縮部を当該挿入固定部の外側の前記継手部に部分接着、若しくは当該挿入固定部の外側の前記継手部に接着した外側用目地材に部分接着するとともに、当該挿入固定部の内側に当該継手部の目地間隔より厚い中央用目地材を部分接着して施工するようにしたことを特徴とするものである。
この可撓止水継手の施工方法によれば、固定用溝部に前記可撓止水継手の前記挿入固定部を挿入・接着したのち、当該可撓止水継手の前記伸縮部を当該挿入固定部の外側の前記継手部に部分接着、若しくは当該挿入固定部の外側の前記継手部に接着した外側用目地材に部分接着するとともに、当該挿入固定部の内側に当該継手部の目地間隔より厚い中央用目地材を部分接着して施工するようにしており、外側用目地材および中央用目地材を介在させることで、止水性の向上と相対変位による継手の損傷などを防止するようにしている。
この発明の請求項1記載の可撓止水継手によれば、コンクリート構造体の継手部の一方には、コンクリートの打設によって埋設固定せずに固定用溝部を型成形しておき、継手の一端部に形成した挿入固定部を固定用溝部に挿入して接着固定するようにしたので、打設後に固定用溝に挿入すれば良く、打設前の準備作業を大幅に簡素化し、短時間に施工することができる。そして、挿入固定部の内外中間部にスリット部を設けるとともに、内外面に金属プレート、硬質樹脂板などの板状体を設けたので、固定用溝部への挿入を円滑に行うことができるとともに、金属プレートなどの板状体を介在させることで、接着強度を確保することができる。
また、この発明の請求項2記載の可撓止水継手によれば、挿入固定部のスリット部に連通させて接着剤注入路を設けたので、接着剤注入路から接着剤を注入して固定用溝部に接着でき、接着剤の充填を簡単に行うことができる。
さらに、この発明の請求項3記載の可撓止水継手によれば、挿入固定部のスリット部に予め接着剤を挟み込んでおくようにしたので、固定用溝部への挿入によって挟んである接着剤を押し出すようにでき、現場での接着作業も一層簡単に行うことができる。
また、この発明の請求項4記載の可撓止水継手によれば、挿入固定部の基端部に設けた当接接着部を継手部の端面に当接接着するようにしたので、挿入固定部を一層強固に固定することができる。
さらに、この発明の請求項5記載の可撓止水継手によれば、金属プレート、硬質樹脂板などの板状体を挿入固定部より突出させたので、金属プレートなどの板状体を接着剤の充填空間である固定用溝部内に突き出させて接着強度を向上することができる。
また、この発明の請求項6記載の可撓止水継手によれば、伸縮部は、板状伸縮部あるいは一端部側へ湾曲した湾曲部を備える板状伸縮部で構成したので、先に打設したコンクリートの端面に目地材を介し、あるいは直接板状伸縮部を当てることができ、止水および相対変位を可能にすることができる。
さらに、この発明の請求項7記載の可撓止水継手によれば、伸縮部に中空状を形成するようにしたので、これまでの止水板と同様の止水性能および相対変位を可能としながらコンクリート打設前の準備作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
また、この発明の請求項8記載の可撓止水継手によれば、打設固定部を、コンクリート構造体の継手部の他方の端面および側面に接着される端面固定部および側面シール部を備え、この側面シール部の内側にブチルシートを設けて構成したので、後で打設されるコンクリートの端面に端面固定部を、側面に側面シール部とその内側のブチルシートをそれぞれ一体化させることができ、打設固定部の埋設固定を強固にできるとともに、止水および相対変位を可能にすることができる。
また、この発明の請求項9記載の可撓止水継手の施工方法によれば、可撓止水継手を施工するに際し、先に打設するコンクリート構造体の継手部に溝型枠を用いて固定用溝部を形成しておき、この固定用溝部に可撓止水継手の挿入固定部を挿入・接着するようにしたので、一方側の施工が簡単かつ短時間にでき、次いで可撓止水継手より少なくとも内側の継手部の端面に内側用目地材を部分接着したのち、後で打設するコンクリート構造体の他方の継手部に打設固定部を埋設固定するようにしたので、他方の継手部への施工が簡単にでき、これまでの打設前の準備作業に比べ大幅に簡素化し、短時間に準備を完了することができる。
さらに、この発明の請求項10記載の可撓止水継手の施工方法によれば、固定用溝部に前記可撓止水継手の前記挿入固定部を挿入・接着したのち、当該可撓止水継手の前記伸縮部を当該挿入固定部の外側の前記継手部に部分接着、若しくは当該挿入固定部の外側の前記継手部に接着した外側用目地材に部分接着するとともに、当該挿入固定部の内側に当該継手部の目地間隔より厚い中央用目地材を部分接着して施工するようにしたので、外側用目地材および中央用目地材を介在させることで、止水性の向上と変位のための空間とクッション性で相対変位による継手の損傷などを防止することができる。
以下、この発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図3はこの発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかり、図1はこの発明の可撓止水継手が適用されるコンクリート構造体の概略斜視図、図2は可撓止水継手の施工後の取付状態の横断面図、図3はそれぞれ可撓止水継手の部分横断面図である。
この可撓止水継手20は、コンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体12,13の継手部14を止水するとともに、継手部14の両側のコンクリート構造体12,13の相対変位を可能とするものである。
コンクリート構造体の一例である共同溝では、断面形状が矩形で所定長さの函体12,13が継手部14で連結されて構成されており、開削工法によって均しコンクリート15の上面に現場打ちによって所定長さ毎(函体毎)に継手部14を介設して打ち継がれて構築され、完成後は所定深さの地中に埋め戻されるものである。
このようなコンクリート構造体12、13の継手部14に設けられる可撓止水継手20は、先に打設される先行コンクリート構造体12へは、コンクリートの打設によって埋設固定せずに固定用溝部16を型成形しておき、先行コンクリート構造体12の打設後にこの固定用溝部16を利用して接着剤によって取り付けるようにし、後に打設する後行コンクリート構造体13へは、これまでと同様に、コンクリートの打設によって埋設固定することで取り付けるようにするものである。
この可撓止水継手20は、先行コンクリート構造体12の固定用溝部16に挿入固定される挿入固定部21と、後行コンクリート構造体13の打設によって埋設固定される打設固定部22と、挿入固定部21とくびれ部23を介して一端部が連結されるとともに、他端部に打設固定部22が連結され止水および相対変位を可能とする伸縮部24とを備えて構成され、ゴムや合成樹脂などの可撓性素材によって横断面方向には一体的に形成され、長手方向には、分割されたものを継手部14の形状に合わせて工場や現場で環状などに形成される。
なお、挿入固定部21と伸縮部24とを直接連結し、くびれ部23を省略することも可能である。
そして、この可撓止水継手20では、挿入固定部21は、図3(a)に示すように、継手部14の固定用溝部16の形状に対応する形状とされ、例えば固定用溝部16が横断面が前方が狭い台形状とされることから、挿入固定部21の横断面形状も前方が狭い台形状とされ、基端部に固定用溝部16の開口部に当接させる当接接着部21aが外側に突き出して形成してあり、当設接着部21aを固定用溝部16の開口部表面である継手部14の端面14a(コンクリート構造体12の端面でもある。)に当てた時に挿入固定部21の先端が固定用溝部16の底部とは隙間が形成されるようにしてある。
そして、この挿入固定部21には、継手部14の内外面に配置される台形側面の両側に板状体としてステンレス板などの金属プレート21bがそれぞれ可撓性素材と加硫接着などで接着され、先端部が可撓性素材より前方に突き出すとともに、内側に曲げられて先細となるように取り付けてある。
この金属プレート21bは、例えば1mm厚とされ、これにより、ゴムなどの可撓性素材だけの場合に比べ、固定用溝部16への挿入時の摩擦を低減して挿入を容易とするとともに、金属プレート21bを介在させることで、可撓性素材とコンクリートを直接接着する場合に比べ、接着強度を向上する。
すなわち、可撓性素材と金属プレート21bは加硫接着などで強固に接着でき、金属プレート21bと固定用溝部16のコンクリートも接着剤で強固に接着できることで、接着強度を高めることができるとともに、さらに金属プレート21bの先端を可撓性素材から突き出すようにして一層接着強度を高めている。
したがって、板状体としては、金属プレートに限らず、挿入固定部21の保形と強度およびコンクリートとの接着性を有すれば良く、硬質樹脂板などを用いることもできる。
さらに、この挿入固定部21には、中間部(継手部14の内外方向の中間部)に前方が開口したスリット部21cが設けてあり、スリット部21cは先端からの平行部と、その後端の横断面が円形の円形部とを備えた形状としてある。
このスリット部21cにより、挿入固定部21の弾性変形代を大きくして固定用溝部16への挿入を容易とするとともに、接着剤を充填することで接着強度の向上を図る。
また、このスリット部21cに連通させて伸縮部24から貫通する接着剤注入路25が設けてあり、長手方向に所定間隔、例えば300〜500mmピッチで形成しておき、この接着剤注入路25を利用して、施工の際には、外部から接着剤を注入して挿入固定部21を継手部14の固定用溝部16に接着固定できるようにしてある。
なお、図3(b)に示す挿入固定部21Aのように、予め接着剤を挟み込むようにし、固定用溝部15への挿入によって押し出すようにしても良く、この場合には、挿入固定部21Aの形状を、挿入固定部21でのスリット部21cの平行部を押し広げて三角形状として内外の金属プレート21bが平行となるように形成し、この三角形状のスリット部を接着剤の挟持部21dとすることで、予め接着剤を挟み込んでおくことができる。
この挟持部21dへの接着剤の挟み込みは、施工前に現場で行うなど施工時に挟み込んであれば、どの時点で挟み込んでも良い。
この挿入固定部21,21Aの接着には、例えばエポキシ系樹脂接着剤が用いられる。
次に、後で打設される後行コンクリート構造体13の打設によって埋設固定される可撓止水継手20の打設固定部22は、固定強度を高めるとともに、伸び変形時における引き抜き強度を高める突起部22aを有しており、例えばこの可撓止水継手20では、コンクリート構造体13の外周部と継手部14の端面14b(コンクリート構造体13の端面でもある。)に当てられる横断面形状がL字状に形成された側面シール部22bと端面固定部22cを備え、側面シール部22bの先端部内側に突き出して突起部22aが形成してある。
この突起部22aには、図2中に拡大して示すように、コンクリート打設時の空気抜きのため、継手部14の軸方向に貫通する空気抜き孔22eが形成され、例えば直径が5mm程度の孔を所定ピッチで形成する。
さらに、打設固定部22には、側面シ−ル部22bの内側にブチルシート22dが設けてあり、側面シール部22bにその粘着力で接着され、コンクリート構造体13と打設固定部22との間の止水性を確保するようにしている。
この可撓性止水継手20では、伸縮部24の一端部は、打設固定部22の端面固定部22cを延長するように連続させて厚さが一定の板状伸縮部24aが一体に形成され、伸縮部24の他端部は、板状伸縮部24aの端部に直交して前方に突き出すように挿入固定部21が配置され、内外面が窪んで肉厚の薄いくびれ部23を介して一体に形成してある。
このくびれ部23を介して挿入固定部21と伸縮部24を設けることで、伸縮部24の板状伸縮部24aが変形した場合に変形抵抗を低減し、変形を容易とするとともに、挿入固定部21に大きな引き抜き力が加わらないようにする。
このように構成した可撓止水継手20のコンクリート構造体12,13の継手部14への施工方法について、図4および図5により説明する。
まず、先にコンクリートを打設する先行コンクリート構造体12を構築するため型枠を均しコンクリート15上に組み立て、継手部14の端面14aを形成する妻型枠に固定用溝部16用の溝型枠を設置したのち、先行コンクリートを打設する。
そして、養生後、型枠を脱型し、継手部14の端面14aに固定用溝部16を形成し、その内部を清掃する(図4(a)参照)。
次に、図4(b)に示すように、先行のコンクリート構造体12の端面である継手部14の端面14aの固定用溝部16より外側部分にゴムやスポンジなどの外側用目地材26を接着剤で接着して固定する。この外側用目地材26により可撓止水継手20の圧縮変形時の変形抵抗の減少および損傷防止を図るようにする。
こののち、可撓止水継手20の挿入固定部21を固定用溝部16に挿入し、打設固定部22の端面固定部22cおよびこれに連続する伸縮部24の板状伸縮部24aを外側用目地材26に長手方向に所々接着する部分接着で所定状態に保持する。
さらに、挿入固定部21のスリット部21cに連通する接着剤注入路25から接着剤を注入する。
なお、可撓止水継手20として挿入固定部21Aを備えたものを用いる場合には、挿入固定部21Aを固定用溝部16に挿入し、予め挟持部21dに挟み込んである接着剤を押し出すようにする。
これにより、一方の継手部14である先行コンクリート構造体12の固定用溝部16に可撓止水継手20の挿入固定部21,21Aを接着固定することができ、従来の先行コンクリートの打設前に鉄筋などに埋設される固定部を吊り下げるようにするなどの準備作業に比べ、固定用溝部16を型成形するだけで良く、簡単かつ短時間に準備作業を行うことができる。
そして、可撓止水継手20の内側に伸縮部24の厚さより厚い中央用目地材27および目地間隔に応じた薄い内側用目地材28をそれぞれ継手部14の端面14aに部分接着してその状態を保持できるようにする。この中央用目地材27を設けることで、可撓止水継手20が継手部14の間隔が開いて伸び変形した状態から継手部14の間隔が狭くなって元に戻る場合に、伸びて長くなった状態の伸縮部24aが直接コンクリート表面にぶつかることを防止する変形スペースの確保およびクッション材として機能させる。また、内側用目地材28は、継手部14のコンクリートの膨張時のクッション材として用いるものである。
さらに、後行のコンクリート構造体13の構築に必要な型枠を組み立てた後、後行のコンクリートを打設する。このコンクリートの打設の際、突起部22aの内側に空気が溜まることがあっても空気抜き孔22eによって外部に排出することができる。
こののち、型枠を脱型することで継手部14への可撓止水継手20の取り付け施工が完了する(図5(a)参照)。
なお、継手部14の底部を除く側面および天面には、防水シート29を取り付け雨水などの浸入を防止する。この防水シート29は、コンクリート構造体12,13の継手部14の接続が完了した後、地下構造物とする場合には土砂などで埋め戻されるが、このとき、土砂などが継手部14に浸入し、可撓止水継手20に外力が加わるなどの不具合が生じる恐れを防止するために用いるものである。
このような可撓止水継手20およびその施工方法によれば、例えばコンクリート構造体12,13の継手部14の間隔が開くように相対変位する場合には、図5(b)に示すように、可撓止水継手20の挿入固定部21が先行コンクリート構造体12の固定用溝部16に接着固定されるとともに、打設固定部22が後行コンクリート構造体13に打設によって固定された状態とされて伸縮部24の板状伸縮部24aがくびれ部23の後方から変形し、相対変位を許容した状態で止水性を保持することができる。
そして、この相対変位の際、可撓止水継手20のくびれ部23によって、伸縮部24の変形の影響が直接挿入固定部21に及ばず、引き抜き力を低減できるとともに、伸縮部24の変形代を大きくすることができる。
さらに、このような可撓止水継手20およびその施工方法によれば、先行コンクリート構造体12への可撓止水継手20の取り付けが、先行コンクリートの打設後、固定用溝部16に挿入して接着固定すれば良く、打設前に鉄筋などに吊り下げるように準備する場合に比べ、準備作業を大幅に減少でき、簡単かつ短時間に施工することができる。
そして、可撓止水継手20の挿入固定部21に板状体として金属プレート21bを設けるようにしたので、固定用溝部16に可撓性素材を直接接着固定する場合に比べ、可撓性素材との接着強度を高めることができるとともに、固定用溝部16との接着強度を高めることができ、挿入固定部21を強固に固定して引き抜き強度を高めることができる。
さらに、可撓止水継手20の打設固定部22は、先行のコンクリート構造体12に部分接着するなどで保持することができ、後行のコンクリートの打設前の準備も短時間に行うことができる。
次に、この発明の可撓止水継手の他の一実施の形態について、図6および図7により説明するが、すでに説明した上記実施の型態と同一部分には同一記号を記し、重複する説明は省略する。
この可撓止水継手30は、図6(a),(b)に示すように、挿入固定部21および打設固定部22は、すでに説明した可撓止水継手20と同一の構成で、伸縮部31の形状が異なるものである。
この可撓止水継手30の伸縮部31は、板状伸縮部31aと一端部側であるくびれ部23側へ突き出すように湾曲した湾曲部31bとを備えて構成され、挿入固定部21の基端部のくびれ部23に板状伸縮部31aが継手部14の端面14a,14bと平行に配置されて連続し、この板状伸縮部31aにくびれ部23側へ突き出すように湾曲した湾曲部31bを介して継手部14の端面14a,14bと平行な打設固定部22の端面固定部22cが連続しており、挿入固定部21を固定用溝部16に挿入固定した状態で、湾曲部31bより外側の板状伸縮部31aおよび打設固定部22の端面固定部22cが先行コンクリート12の端面である継手部14の端面14aに当接する形状としてある。
なお、他の構成はすでに説明した可撓止水部材20と同一であり、挿入固定部として、接着剤を予め挟持部21dに挟み込む挿入固定部21Aを備えたものであっても良い。
また、施工方法も、図7(a)に示すように、外側用目地材を省略する以外、すでに説明した可撓止水継手と同様にして施工することができる。
このような可撓止水継手30によれば、施工に際して外側用目地材26を用いることなく、先行コンクリート構造体12である継手部14の端面14aに直接板状伸縮部31aを部分接着して保持するようにすれば良く、施工を一層簡素化して短時間に施工することができる。
また、伸縮部31に湾曲部31bを設けてあるので、図7(b)に示すように、変形代を大きくすることができ、外側用目地材を用いる場合と同様の相対変位の吸収能力を確保することができる。
次に、この発明の可撓止水継手を止水板に適用した他の一実施の形態について、図8および図9により説明するが、すでに説明した上記2つの実施の形態と同一部分には、同一記号を記し、重複する説明は省略する。
この止水板で構成する可撓止水継手40、40Aでは、コンクリート構造体としての壁中央部に両端部が取り付けられて止水するものであり、接着剤を挟持部21dに挟み込む形式の挿入固定部21Aと、後行コンクリートに打設によって固定される打設固定部22と、中空部41aを備える伸縮部41とが略一直線上に配置されて構成される。
すなわち、この可撓止水継手40,40Aでは、伸縮部41が一直線上に配置されることから接着剤注入路を形成して後から接着剤を挿入することができないため、予め挿入固定部21aの挟持部21dに接着剤を挟み込むようにしている。
そして、可撓止水継手40では、中空部41aが略五角形状とされ、打設固定部22に2条の突起部22aが形成されて構成してあり、可撓止水継手40Aでは、中空部41aが円形とされ、打設固定部22に円形の突起部22aが外側端部に形成して構成してある。
このような止水板で構成した可撓止水継手40,40Aでも、先行のコンクリート構造体12に固定用溝部16を型成形した後、挿入固定部21Aを挿入して接着固定するようにして施工する。
そして、継手の端面に外側用目地材26および内側用目地材28を取り付けて、これまでと同様に、後行コンクリート構造体13を打設構築し、打設固定部22をコンクリート内に埋設して固定することで、施工が完了する。
このような止水板で構成した可撓止水継手40,40Aによれば、挿入固定部21Aの固定を、予め先行コンクリート構造体12に形成した固定用溝部16に挿入して接着すれば良く、鉄筋を利用して吊り下げる従来の打設前の準備作業に比べ、大幅に工数を減らすことができ、短時間に施工することができる。
この発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかる可撓止水継手が適用されるコンクリート構造体の概略斜視図である。 この発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかる図1のA−A断面である可撓止水継手の施工後の取付状態の横断面図である。 この発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかるそれぞれ可撓止水継手の部分横断面図である。 この発明の可撓止水継手の施工方法の一実施の形態にかかる固定用溝部の横断面図および可撓止水継手の取付工程の横断面図である。 この発明の可撓止水継手の施工方法の一実施の形態にかかる施工完了後および変形した状態を説明する横断面図である。 この発明の可撓止水継手の他の一実施の形態にかかるそれぞれ可撓止水継手の部分横断面図である。 この発明の可撓止水継手の施工方法の他の一実施の形態にかかる施工完了後および変形した状態を説明する横断面図である。 この発明の可撓止水継手のさらに他の一実施の形態にかかる横断面図および施工完了後の状態を説明する横断面図である。 この発明の可撓止水継手の他の一実施の形態にかかる横断面図および施工完了後の状態を説明する横断面図である。 従来の止水板の横断面図およびその施工方法の説明図である。 従来の可撓止水継手の正面図およびその施工方法の説明図である。
符号の説明
12 コンクリート構造体
13 コンクリート構造体
14 継手部
15 均しコンクリート
16 固定用溝部
20 可撓止水継手
21 挿入固定部
21a 当接接着部
21b 金属プレート(板状体)
21c スリット部
21d 挟持部
22 打設固定部
22a 突起部
22b 側面シール部
22c 端面固定部
22d ブチルシート
22e 空気抜き孔
23 くびれ部
24 伸縮部
24a 板状伸縮部
25 接着剤注入路
26 外側用目地材
27 中央用目地材
28 内側用目地材
29 防水シート
30 可撓止水継手
31 伸縮部
31a 板状伸縮部
31b 湾曲部
40 可撓止水継手
40A 可撓止水継手
41 伸縮部
41a 中空部

Claims (10)

  1. コンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に設けられて内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手であって、
    前記コンクリート構造体の前記継手部の一方に設けられた固定用溝部に挿入固定される挿入固定部と、
    前記コンクリート構造体の前記継手部の他方の打設によって埋設固定される打設固定部と、
    一端部に前記挿入固定部が連結されるとともに、他端部に前記打設固定部が連結され止水および相対変位を可能とする伸縮部とを備え、
    前記挿入固定部は、内外中間部にスリット部を有するとともに、内外面それぞれに前記固定用溝部に接着される板状体が取り付けられ、
    前記打設固定部は、固定強度を高める突起部を有してなることを特徴とする可撓止水継手。
  2. 前記挿入固定部の前記スリット部に連通させて接着剤注入路を設けてなることを特徴とする請求項1記載の可撓止水継手。
  3. 前記挿入固定部の前記スリット部に接着剤を挟持させてなることを特徴とする請求項1記載の可撓止水継手。
  4. 前記挿入固定部の基端部に、前記継手部の端面に当接接着される当接接着部を設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可撓止水継手。
  5. 前記板状体を、前記挿入固定部より突出させて設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の可撓止水継手。
  6. 前記伸縮部は、板状伸縮部あるいは前記一端部側へ湾曲した湾曲部を備える板状伸縮部で構成されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の可撓止水継手。
  7. 前記伸縮部を、中空状に形成してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の可撓止水継手。
  8. 前記打設固定部は、前記コンクリート構造体の前記継手部の他方の端面および側面に接着される端面固定部および側面シール部を備える一方、この側面シール部の内側にブチルシートを設けてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の可撓止水継手。
  9. コンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部の内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手を施工するに際し、
    前記コンクリート構造体の前記継手部の一方に溝型枠を用いて固定用溝部を形成した後、
    この固定用溝部に前記請求項1〜8のいずれかに記載の可撓止水継手の前記挿入固定部を挿入・接着し、
    次いで当該可撓止水継手より少なくとも内側の継手部の端面に内側用目地材を部分接着したのち、
    前記コンクリート構造体の前記継手部の他方を打設構築して前記打設固定部を埋設固定するようにしたことを特徴とする可撓止水継手の施工方法。
  10. 前記固定用溝部に前記可撓止水継手の前記挿入固定部を挿入・接着したのち、
    当該可撓止水継手の伸縮部を当該挿入固定部の外側の前記継手部に部分接着、若しくは当該挿入固定部の外側の前記継手部に接着した外側用目地材に部分接着するとともに、当該挿入固定部の内側に当該継手部の目地間隔より厚い中央用目地材を部分接着して施工するようにしたことを特徴とする請求項9記載の可撓止水継手の施工方法。
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