JP4534446B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、流量制御弁及び内燃機関に関する。
一般に、自動車等の車両に搭載される内燃機関にとって、燃焼室周辺の温度が所定温度に達していない状態(冷間状態)での機関運転は、燃焼室に供給される燃料が十分に霧化されないこと等の不具合を生じさせ、排気特性(エミッション)や燃費性能を悪化させてしまう場合がある。
そこで、内燃機関が運転中に発する熱を蓄えておき、蓄えた熱を冷間状態にある機関に供給して内燃機関の温度を上昇させる蓄熱装置を備えた内燃機関が知られている。
このような蓄熱装置においては、機関運転中に内燃機関から高温の熱媒体を回収することにより、蓄熱装置内に高温の熱媒体を貯留するものであるが、熱媒体の回収時には蓄熱装置内には低温の熱媒体が貯留されているため、高温の熱媒体を蓄熱装置内に回収する場合、それと同時に、低温の熱媒体が蓄熱装置から内燃機関へ排出されてしまう。機関運転中に、低温の熱媒体が内燃機関に流入すると、急激に内燃機関内の冷却水の温度が低下してしまうこととなり、これに伴って例えば、ヒータ能力が低下したり、燃料の蒸発特性が悪化したり、アイドル回転数が上がってしまったり、といった悪影響が生じてしまうこととなる。
そこで、機関運転中に実施される熱媒体の回収時には、蓄熱装置から排出される低温の冷却水の量を調整することが提案されている。
熱媒体の量を調整するためには、例えば、蓄熱装置と内燃機関とを連通する熱媒体の流路に流量調整弁(例えば、特許文献1参照)を設けることが考えられる。
特開平1−145472号公報 特開平8−21542号公報 特開平10−169806号公報 実開平6−1949号公報 特開平8−178093号公報
しかしながら、従来の流量調整弁においては、流体の通路に対する弁体の通孔の開口度を変化させることにより流量を調整するため、開度制御が複雑であり、また、コストアップの要因となる虞がある。
本発明は、上記したような事情に鑑みてなされたものであり、コストアップを招くことなく簡単な制御で、流路を流れる流体の流量を調整することができる技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、弁箱の開通口の開口面積よりも小さい開口面積を有する開口部を弁体に設け、該開口部を選択的に弁箱の開通口に開口させることにより、該連通口に流入する、または、該連通口から流出する流体の流量を調整するものである。
本発明は、具体的には、
前記循環路のうち前記蓄熱装置に連通する流路と、前記暖房用熱交換器に連通する流路と、内燃機関に連通する流路との間の接続部分に、
第1乃至第3の連通口を有する弁箱と、前記弁箱内で回動可能な、前記弁箱内で回動することにより前記弁箱の各連通口と対向し得る部分に各連通口の開口面積より小さい開口面積を有する絞り開口部が設けられており、当該絞り開口部を前記第1の連通口に対向させた場合に前記第2の連通口に対向する部分と前記第3の連通口に対向する部分とに、それぞれ、前記絞り開口部と連通する、前記絞り開口部の開口面積よりも大きな開口面積を有する全開開口部が設けられている弁体とを備え、前記弁箱の前記第1の連通口、前記第2の連通口、前記第3の連通口が、それぞれ、前記蓄熱装置に連通する流路、前記暖房用熱交換器に連通する流路、内燃機関に連通する流路に接続された流量調節弁が、設けられていることを特徴とする。
このように構成することにより、開口部を選択的(択一的)に切り替えることで、流量を調整することができるので、流量調整(制御)を簡単な操作(制御)で行うことが可能となる。また、必要な流量に応じた開口面積を有する開口部を弁体に設ければよいので、構成が複雑化することもない。
ここで、弁体に設けられる開口部は2つあれば流量を調整することができる(例えば、全開用と絞り用との2つ)が、開口面積が異なる複数の開口部を弁体に設け、これらの開口部を選択的に弁箱の連通口に開口させることにより、細かい流量の調整を行うことができる。また、弁体が切り替えられる場合に、連通口に開口する開口部が所望の位置でとまりやすくする(位置決めしやすくする)ために、例えば、弁体と弁箱とを係止(係合、位置決め)させるための手段(例えば、凹凸など)を設けてもよい。これにより、弁箱に対して弁体を所望の位置で保持する(とどめる)効果も得られる。
そして、前記循環路のうち前記蓄熱装置に連通する流路と、前記暖房用熱交換器に連通する流路と、内燃機関に連通する流路とに連通するように、上記記載の流量制御弁を設けることにより、例えば、内燃機関運転中に実施される高温の熱媒体の回収時に、蓄熱装置から内燃機関に流入する熱媒体の流量を流量制御弁により絞ることができるので、蓄熱装置内の低温の冷却水が内燃機関内に流入することを抑制することができる。したがって、蓄熱装置内の低温の冷却水が内燃機関内に流入することにより生じる、ヒータ能力の低下や、燃料の蒸発特性の悪化や、アイドル回転数の上昇といった悪影響を抑制することが可能となる。
本発明によれば、コストアップを招くことなく簡単な制御で、流路を流れる流体の流量を調整することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態に係る内燃機関を図面に基づいて説明する。該内燃機関においては、本発明の実施の形態に係る流量制御弁を適用したものである。なお、本発明の実施の形態に係る流量制御弁は、内燃機関に好適に適用されるものであるが、内燃機関に限らず、流体の流量を調整する場合に好適に適用することができる。
図1は、本実施の形態に係る内燃機関とその熱媒体の循環系(流路)の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、軽油を燃料とする圧縮着火式の内燃機関(ディーゼル機関)又はガソリンを燃料とする火花点火式の内燃機関(ガソリン機関)であり、自動車に搭載される機関である。
内燃機関1には、本実施の形態に係る熱媒体としての冷却水を流通させるためのエンジン冷却水路2が形成さている。エンジン冷却水路2の一端は冷却水通路3(3a、3b、3c、3d)の一端と接続されている。エンジン冷却水路2の他端は、内燃機関1の機関出力軸(クランクシャフト)の回転トルクを駆動源とする機械式ウォーターポンプ9の吐出口に接続されている。機械式ウォーターポンプ9の吸込口は冷却水通路3の他端と接続されている。
冷却水通路3の途中には、車室内暖房用の暖房用熱交換器を構成するヒータコア6が配置されている。冷却水通路3において、エンジン冷却水路2との接続部とヒータコア6との間に位置する部位には第1バイパス水路4aが接続されている。第1バイパス水路4aは、蓄熱容器5の第1冷却水出入口5aに接続されている。
一方、冷却水通路3において、機械式ウォーターポンプ9の吸込口とヒータコア6との間に位置する部位には第2バイパス水路4bが接続されている。第2バイパス水路4bは、蓄熱容器5の第2冷却水出入口5bに接続されている。また、第2バイパス水路4bの途中には電動ウォーターポンプ8が設置されている。
蓄熱容器5は、冷却水が持つ熱を蓄熱しつつ冷却水を貯留する容器であり、第1冷却水出入口5aまたは第2冷却水出入口5bから新規の冷却水が流入すると、それと入れ代わりにこの蓄熱容器5内に貯留されている冷却水を第2冷却水出入口5bまたは第1冷却水出入口5aから排出するよう構成されている。
電動ウォーターポンプ8は、バッテリ31を駆動源とするウォーターポンプであり、冷却水を蓄熱容器5の第2冷却水出入口5bの方へ圧送する。
第1バイパス水路4aにおける蓄熱容器5の第1冷却水出入口5aの近傍には、この第1バイパス水路4a内を流れ蓄熱容器5内に出入する冷却水の温度に対応した電気信号を出力する第1水温センサ10が設けられている。また、エンジン冷却水路2には、このエンジン冷却水路2内を流れる冷却水の温度に対応した電気信号を出力する第2水温センサ11が設けられている。
ここで、冷却水通路3においては、説明の便宜上、第1バイパス水路4aとの接続部とエンジン冷却水路2との間の部位を第1冷却水通路3aと称し、第1バイパス水路4aとの接続部とヒータコア6との間の部位を第2冷却水通路3bと称する。また、冷却水通路3において、第2バイパス水路4bとの接続部とヒータコア6との間の部位を第3冷却水通路3cと称し、第2バイパス水路4bとの接続部と機械式ウォーターポンプ9との間の部位を第4冷却水通路3dと称する。
第3冷却水通路3cと第4冷却水通路3dと第2バイパス水路4bとの接続部には三方弁20が設けられている。
三方弁20は、本実施の形態の特徴的な構成であり、以下に詳しく説明する。図2は三方弁20の縦断面を示す概略図であり、図3は三方弁20の横断面を示す概略図である。図3(a)は三方弁20を構成する弁体(回転子)22の概略図であり、同図(b)〜(g)は弁箱21に対して(すなわち、冷却水通路に対して)弁体22が選択的にとる状態(位置)をそれぞれ示す図である。なお、図2は、図3(b)に示すA−A断面を示すものである。
三方弁20は、弁箱21と、弁体22と、を備えるものである。弁箱21には、連通口21a,21b,21cが設けられており、連通口21a,21b,21cは、それぞれ第2バイパス水路4b,第4冷却水通路3d,第3冷却水通路3cと接続されている。
弁体22は、図2に示すように回動軸23により弁箱21内で回動可能に設けられており、弁体22には、図3(a)に示すように、複数の開口部22a,22b,22c,22d,22eと、遮断部22fとが軸まわりに所定角度(60度)おきに設けられている。そして、開口部22b,22c,22d,22eの開口面積は、連通口21a,21b,21cの開口面積と略同じであり、これは、これらの開口部の1つが連通口21a,21b,21cの1つに開口する場合、開口部が開口した連通口に接続されている冷却水通路を全開状態とすることを意味するものである。さらに、本実施の形態においては、開口部22aの開口面積は、連通口21a,21b,21cの開口面積よりも小さく設定されている。すなわち、開口部22aは、絞りの機能を有するものである。なお、開口部22a,22b,22c,22d,22eは、弁体22内において、全ての開口部が連通するように設けられている。
そして、弁体22は、弁箱21内で回動することにより、弁箱21の連通口21aに対して、選択的に、開口部22a,22b,22c,22d,22eのうちいずれか1つが開口する位置をとるか、または、遮断部22fが遮断する位置をとる。これに伴い、弁箱21の連通口21b,21cに対しても、それぞれ選択的に、1つの開口部が開口する位置をとるか、または、遮断部22fが遮断する位置をとる。弁体22が弁箱21に対して選択的にとる状態(位置)を図3(b)〜(g)にしたがって以下に説明する。
図3(b)に示す弁体22は、開口部22bが連通口21aに開口し、開口部22dが連通口21bに開口し、遮断部22fが連通口21cを遮断する第1の位置をとっている。この場合、第3冷却水通路3cが遮断され、第2バイパス水路4bと第4冷却水通路3
dとが連通する。
図3(c)に示す弁体22は、開口部22aが連通口21aに開口し、開口部22cが連通口21bに開口し、開口部22eが連通口21cに開口する第2の位置をとっている。この場合、第2バイパス水路4bと第4冷却水通路3dと第3冷却水通路3cとが連通するが、連通口21aに開口する開口部22aが絞りの働きをするため、第2バイパス水路4bに流入する(または、第2バイパス水路4bから流出する)流量が絞られることとなる。
図3(d)に示す弁体22は、開口部22bが連通口21bに開口し、開口部22dが連通口21cに開口し、遮断部22fが連通口21aを遮断する第3の位置をとっている。この場合、第2バイパス水路4bが遮断され、第4冷却水通路3dと第3冷却水通路3cとが連通する。
図3(e)に示す弁体22は、開口部22aが連通口21bに開口し、開口部22cが連通口21cに開口し、開口部22eが連通口21aに開口する第4の位置をとっている。この場合、第2バイパス水路4bと第4冷却水通路3dと第3冷却水通路3cとが連通するが、連通口21bに開口する開口部22aが絞りの働きをするため、第4冷却水通路3dに流入する(または、第4冷却水通路3dから流出する)流量が絞られることとなる。
図3(f)に示す弁体22は、開口部22bが連通口21cに開口し、開口部22dが連通口21aに開口し、遮断部22fが連通口21bを遮断する第5の位置をとっている。この場合、第4冷却水通路3dが遮断され、第3冷却水通路3cと第2バイパス水路4bとが連通する。
図3(g)に示す弁体22は、開口部22aが連通口21cに開口し、開口部22cが連通口21aに開口し、開口部22eが連通口21bに開口する第6の位置をとっている。この場合、第2バイパス水路4bと第4冷却水通路3dと第3冷却水通路3cとが連通するが、連通口21cに開口する開口部22aが絞りの働きをするため、第3冷却水通路3cに流入する(または、第3冷却水通路3cから流出する)流量が絞られることとなる。
このように、三方弁20は、3つの連通口21a,21b,21cのうちいずれか1つを絞る位置か、または、3つの連通口21a,21b,21cのうちいずれか1つを遮断する位置をとり得る。そして、このような位置をとることにより、連通口21a,21b,21cの連通状態、すなわち、冷却水通路(流路)を流れる冷却水の流路の切り替え(冷却水の循環回路)や流量を変更(制御)することができる。
このように構成された冷却水循環系には、当該冷却水循環系における冷却水の循環を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)30が併設されている。
ECU30には、前述した第1水温センサ10や、第2水温センサ11などが電気的に接続され、それらの出力信号がECU30へ入力されるようになっている。
更に、ECU30は、バッテリ31や、電動ウォーターポンプ8、三方弁20と電気的に接続され、ECU30が、バッテリ31からの電動ウォーターポンプ8への電力供給や三方弁20を制御している。そして、ECU30は、これらを制御することで当該冷却水循環系における冷却水の循環回路を切り換えている。
次に、本実施の形態に係る冷却水循環系での冷却水の循環について説明する。冷却水の循環(冷却水の流れの状態)は、基本的には、ECU30により制御される三方弁20や、機械式ウォーターポンプ9や、電動ウォーターポンプ8の動作によって制御される。
まず、内燃機関1の予熱制御(プレヒート)時の冷却水の循環について説明する。図4は、内燃機関1の予熱制御時の冷却水の循環回路を示す図である。図4における一点鎖線の矢印は冷却水の流れを示す。なお、ここでは、予め蓄熱容器5内に高温の冷却水が貯蔵されているものとする。
ECU30は、内燃機関1の始動に先立つ特定の動作(トリガー)を検出することにより、プレヒートを実行する。ここで、トリガーとしては、ある程度必然性のある事象であれば、運転者等の行為に起因する人為的なものであっても、人為的なものでなくてもよい。
ECU30は、トリガーを検出すると、予熱制御を実行すべく、三方弁20及び電動ウォーターポンプ8を制御する。すなわち、三方弁20は、ECU30によって図3(b)に示す第1の位置に弁体22が制御される。したがって、第3冷却水通路3cが遮断され、且つ、第2バイパス水路4bと第4冷却水通路3dとが連通される。そして、電動ウォーターポンプ8は、バッテリ31から電力を供給されることにより作動する。
この場合、機械式ウォーターポンプ9が作動せずに電動ウォーターポンプ8のみが作動するため、電動ウォーターポンプ8によって冷却水が圧送されて、図4において一点鎖線の矢印で示すような循環回路が形成される。すなわち、電動ウォーターポンプ8→第2冷却水出入口5b→蓄熱容器5→第1冷却水出入口5a→第1バイパス水路4a→第1冷却水通路3a→エンジン冷却水路2→機械式ウォーターポンプ9→第4冷却水通路3d→三方弁20→第2バイパス水路4b→電動ウォーターポンプ8の順に冷却水が循環する循環回路が形成される。
このような循環回路が成立すると、電動ウォーターポンプ8によって圧送された冷却水が第2冷却水出入口5bを介して蓄熱容器5内に流入し、それと入れ代わりに蓄熱容器5内に貯蔵されていた高温の冷却水が蓄熱容器5から排出される。蓄熱容器5から排出された高温の冷却水は、第1冷却水出入口5a、第1バイパス水路4a及び第1冷却水通路3aを介して、内燃機関1内のエンジン冷却水路2に流入する。
このように、蓄熱容器5に貯蔵されていた高温の冷却水がエンジン冷却水路2へ流入すると、それと入れ代わりに、エンジン冷却水路2に滞留していた低温の冷却水がエンジン冷却水路2から第4冷却水通路3dへ押し出されることになる。
この結果、内燃機関1では、蓄熱容器5から供給された高温の冷却水の熱がエンジン冷却水路2の壁面へ伝達され、それにより内燃機関1が予熱される。
次に、内燃機関1が運転されているときの冷却水の循環について図5に基づき説明する。図5は、内燃機関1が運転されているときの冷却水の循環回路を示す図である。図5における一点鎖線の矢印は冷却水の流れを示す。
内燃機関1が運転状態にあるときには、ECU30は、弁体22が図3(d)に示す第3の位置をとるように三方弁20を制御するとともに、電動ウォーターポンプ8を停止状態に維持する。これにより、第2バイパス水路4bが遮断され、且つ、第3冷却水通路3cと第4冷却水通路3dとが連通される。
この場合、内燃機関1の作動に連動して機械式ウォーターポンプ9が作動し、機械式ウォーターポンプ9によって冷却水は圧送される。
このため、図5に示すように、機械式ウォーターポンプ9→エンジン冷却水路2→第1冷却水通路3a→第2冷却水通路3b→ヒータコア6→第3冷却水通路3c→三方弁20→第4冷却水通路3d→機械式ウォーターポンプ9の順で冷却水が流れる循環回路が成立する。すなわち、内燃機関1とヒータコア6とを経由する循環回路が成立する。
このような循環回路により、エンジン冷却水路2を流通する冷却水は、内燃機関1によって加熱されるため温度が上昇し、その熱量によってヒータコア6を昇温させることができる。
次に、内燃機関1の運転中において、蓄熱容器5内に高温の冷却水を回収する場合について説明する。図6は、内燃機関1の運転中に高温の冷却水を蓄熱容器5に回収するときの冷却水の循環回路を示す図である。図6における一点鎖線の矢印は冷却水の流れを示す。
内燃機関1が運転状態にあるときには、上述したように、弁体22が図3(d)に示す第3の位置をとるように制御されることにより、第2バイパス水路4bが遮断され、且つ、第3冷却水通路3cと第4冷却水通路3dとが連通されている。また、電動ウォーターポンプ8は停止状態に維持され、機械式ウォーターポンプ9は作動している。このようにして、内燃機関1の運転中、冷却水はエンジン冷却水路2と冷却水通路3とを循環しつつ内燃機関1によって加熱されている。
そして、第2水温センサ11によって検出される、エンジン冷却水路2内を流れる冷却水の温度が所定温度以上となった場合、ECU30は、第3冷却水通路3cと第4冷却水通路3dと第2バイパス水路4bとを連通させるべく、三方弁20を制御する。すなわち、弁体22が図3(c)に示す第2の位置をとるように制御される。なお、内燃機関1の運転中においては、電動ウォーターポンプ8を作動させることはない。
この場合、内燃機関1から流出した高温の冷却水は、機械式ウォーターポンプ9→エンジン冷却水路2→第1冷却水通路3a→第1バイパス水路4a→第1冷却水出入口5a→蓄熱容器5の順で流れることにより、蓄熱容器5に貯蔵されることになる。
このような循環回路では、冷却水がエンジン冷却水路2を流通する際に、内燃機関1によって加熱されるため冷却水の温度が上昇し、内燃機関1から高温の冷却水が流出することになり、高温となった冷却水を回収して蓄熱容器5に貯蔵することができるものである。
しかしながら、このとき、内燃機関1の予熱制御時に蓄熱容器5内に貯留された低温の冷却水が、蓄熱容器5の第2冷却水出入口5bから流出することとなる。そして、蓄熱容器5から流出した低温の冷却水は、蓄熱容器5→第2冷却水出入口5b→電動ウォーターポンプ8→第2バイパス水路4b→三方弁20→第4冷却水通路3d→機械式ウォーターポンプ9の順で流れることにより、エンジン冷却水路2に流入する。
このようにして、内燃機関1の運転中に、低温の冷却水が蓄熱容器5からエンジン冷却水路2に流入することとなるが、本実施の形態においては、図3に示したような絞り機能を有した三方弁20を用いており、弁体22が図3(c)に示す第2の位置をとることにより、第2バイパス水路4bから三方弁20に流入する流量が絞られることとなる。
図7は、第2水温センサ11によって検出された、エンジン冷却水路2内を流れる冷却水の温度を示す図である。図7において、縦軸は温度を示しており、横軸は経過時間を示すもので、点線は高温の冷却水の回収開始時間を示している。また、aは回収をしない場合の温度を示しており、bは本実施の形態に係る三方弁20を用いることにより回収を行った場合の温度を示しており、cは従来の方法により回収を行った場合の温度を示すものである。なお、従来の方法として、流路を絞ることなく、第3冷却水通路3cと第4冷却水通路3dと第2バイパス水路4bとを全開にして連通させた方法を用いた。
図7に示すように、従来の方法(図7に示すc)では、冷却水の温度が低下してしまっていたが、本実施の形態に係る三方弁20を用いた場合(図7に示すb)には、冷却水の温度が低下するようなことはないことがわかる。
したがって、本実施の形態に係る三方弁20を用いることにより、蓄熱容器5からエンジン冷却水路2に流入する冷却水の流量を絞る(抑える)ことができるので、内燃機関1の運転中であって、蓄熱容器5に高温の冷却水を回収する場合に、低温の冷却水がエンジン冷却水路2に流入することにより生じる、ヒータ能力の低下や、燃料の蒸発特性の悪化や、アイドル回転数の上昇といった悪影響を抑制することが可能となる。
さらに、本実施の形態の三方弁20においては、弁箱21の連通口に対して、弁体22の開口部を選択的に開口させているので、連通口の外周部に設けられた密封部材に対して、常に、開口部の外周部を密接させることができるようになる。ここで、密封部材とは、連通口の外周部に設けられ、該連通口の外周部と、該連通口に開口している開口部の外周部との間を密封して、該連通口と該開口部との間からの冷却水の漏れを防止するもので、図2において符号24で示している。
本実施の形態によれば、密封部材全体を常に密接させた状態とすることができるので、従来のように開口部に対向するような部分をなくすことができ、密封部材が冷却水の流れにさらされることもないので、密封性や密封部材の耐久性の向上を図ることが可能となる。
次に、他の実施の形態に係る流量制御弁について説明する。
図8は、他の実施の形態に係る三方弁を示す概略断面図である。図3に示す三方弁20では、弁体22に設けられた開口部や遮断部は軸まわりに60度おきに設けられていた。これに対して、図8に示す三方弁40においては、軸まわりに45度おきに開口部や遮断部を弁体に設けた場合を示すものである。図8(a)は三方弁40を構成する弁体(回転子)42の概略図であり、同図(b)〜(e)は流路に対して弁体42が選択的にとる状態(位置)の一部を示す図である。以下に、三方弁40について説明する。
三方弁40は、弁箱41と、弁体42と、を備えるものである。弁箱41には、連通口41a,41b,41cが設けられており、連通口41a,41b,41cは、それぞれ第2バイパス水路4b,第4冷却水通路3d,第3冷却水通路3cと接続されている。
弁体42は、弁箱41内で回動可能に設けられており、弁体42には、図8(a)に示すように、複数の開口部42a,42b,42c,42d,42e,42f,42gと、遮断部42hとが軸まわりに所定角度(45度)おきに設けられている。そして、開口部42b,42c,42d,42e,42f,42gの開口面積は、上述した弁体22の開口部22b〜22eと同様に、連通口41a,41b,41cの開口面積と略同じである。開口部42aの開口面積は、弁体22の開口部22aと同様に連通口41a,41b,
41cの開口面積よりも小さく設定され、絞りの機能を有する。なお、開口部42a,42b,42c,42d,42e,42f,42gは、弁体42内において、全ての開口部が連通するように設けられている。
そして、弁体42は、弁箱41内で回動することにより、弁箱41の連通口41aに対して、選択的に、開口部42a,42b,42c,42d,42e,42f,42gのうちいずれか1つが開口する位置をとるか、または、遮断部42hが遮断する位置をとる。これに伴い、弁箱41の連通口41b,41cに対しても、それぞれ選択的に、1つの開口部が開口する位置をとるか、または、遮断部42hが遮断する位置をとる。
弁体42は弁箱41に対して図8に示すような位置をとることにより、連通口41a,41b,41cの連通状態を変更している。三方弁40では、三方弁20と同様に、3つの連通口41a,41b,41cのうちいずれか1つを絞る位置と(連通口41aを絞る場合を図8(c)に示している)、3つの連通口41a,41b,41cのうちいずれか1つを遮断する位置と(連通口41bを遮断する場合を図8(b)に示し、連通口41aを遮断する場合を図8(e)に示している)をとり、さらに、図8(d)に示すように3つの連通口41a,41b,41cを全開として連通させる(全方向に対して全開とする)位置をとるものである。このように、三方弁40では、三方弁20の機能に加えて、3つの連通口を全開とする機能を有するものである。
上述した三方弁20,40に設けられた弁体22,42は、例えば、二方弁の弁体としても好適に適用することができる。
この場合には、図2に示した弁箱21の連通口21a,21b,21cのうち連通口21cが無い状態、すなわち、連通口21a,21bに相当する2つの連通口のみで構成されることとなる。図9に、2つの連通口を有する二方弁を示す。図9において、連通口の符号は、便宜的に、図3に示した連通口と同じ符号を用いている。
図9(a)は、連通口21aと連通口21bとが全開状態で連通している場合を示している。図9(b)は、連通口21a側が開口部22aにより絞られることにより、流量が調整される場合を示している。図9(c)は、遮断部22fが連通口21aを遮断している場合を示している。
このように、二方弁においても、弁体22が図9(a)〜(c)に示した3つの位置を選択的にとるように弁体22を制御することにより、連通口21aに流入する、または、連通口21aから流出する流量を制御することができる。したがって、密封性や密封部材の耐久性の悪化を招くことなく、簡単な制御で流量を制御することができる。
上述した弁体22,42においては、図に示したように、円柱状や球状などの形状をなす弁体の外周側から中心側に向かって孔が形成されることにより開口部が構成され、これらの孔が弁体の内部で連通するものであったが、弁体の構成はこれに限るものではなく、例えば、弁体が円板状に構成され、円板状の弁体を貫通するように開口部が設けられていてもよい。
図10は、円板状の弁体を有する流量制御弁を示す概略図である。図11(a)は、図10に示す流量制御弁を構成する円板状の弁体を示す概略図であり、図11(b)は、図10に示す連通口21a,21b,21cの接続部21dを示す図であって図11(a)に示す弁体が開口する連通口を示す概略図であり、図11(c)は、弁体が連通口に開口する状態を示す概略図である。なお、図11(c)においては、弁体22と接続部21dとが重なった状態を弁体22側から見た斜視図となっている。円板状の弁体においても、
図11(a)に示すように、弁体の軸まわりに60度おきに開口部や遮断部が設けられている。円板状の弁体の軸まわりの開口部や遮断部の配置は図3に示した弁体の配置と同様であり、また、開口部と連通口との関係も、図3に示した弁体と連通口との関係と同様となるため、図10,11において、連通口や開口部などの符号は、便宜的に、図3に示した連通口や開口部などと同じ符号を用いている。
この場合でも、図11(a)に示す円板状の弁体22を回動させることにより、連通口に対して、選択的に、1つの開口部が開口する位置をとるか、または、遮断部が遮断する位置をとる。なお、図10,11に示す流量制御弁においては、連通口21a,21b,21cは、弁体22の同じ側から弁箱21に接続しており、弁体22を通った流体は、弁箱21内の連通部21eで連通するように設けられている。
図12は、円板状の弁体を用いた二方弁を示す概略図である。図12において、連通口と弁体の符号は、便宜的に、図10,11に示した連通口や弁体と同じ符号を用いている。この場合でも、図9に示した二方弁と同様の効果を得ることができる。
また、図12においては、弁体を挟むようにして連通口を設け、連通口21aに対してのみ開口または遮断するように弁体22を設けている(連通口21b側は開放状態としている)。このように構成することにより、弁体の開口部を、それぞれ開口面積が異なる複数の開口部とする(図11(a)において開口部22a〜22eの開口面積をそれぞれ異なるように設ける)ことができ、より細かい流量の制御ができる。
また、図12に示す構成に加えて、さらに、連通口21bに対してのみ開口または遮断する弁体を設ける、すなわち、連通口と弁体とを組として設ける(1つの連通口に対して開口する弁体を1つ設ける)ことにより、より細かい流量の制御ができる。
本実施の形態に係る内燃機関の冷却水循環系を示す概略図。 本実施の形態に係る流量制御弁の縦断面を示す概略図。 本実施の形態に係る流量制御弁の横断面を示す概略図。 本実施の形態に係る内燃機関の予熱制御(プレヒート)時の冷却水循環系を示す概略図。 本実施の形態に係る内燃機関が運転状態にある時の冷却水循環系を示す概略図。 本実施の形態に係る内燃機関の運転中に高温の冷却水を蓄熱装置に回収するときの冷却水循環系を示す概略図。 内燃機関内を流れる冷却水の温度を示す図。 他の実施の形態に係る流量制御弁を示す概略図。 他の実施の形態に係る流量制御弁を示す概略図。 他の実施の形態に係る流量制御弁を示す概略図。 他の実施の形態に係る流量制御弁を示す概略図。 他の実施の形態に係る流量制御弁を示す概略図。
符号の説明
1 内燃機関
2 エンジン冷却水路
3 冷却水通路
3a 第1冷却水通路
3b 第2冷却水通路
3c 第3冷却水通路
3d 第4冷却水通路
4a 第1バイパス水路
4b 第2バイパス水路
5 蓄熱容器
5a 第1冷却水出入口
5b 第2冷却水出入口
6 ヒータコア
7 三方弁
8 電動ウォーターポンプ
9 機械式ウォーターポンプ
10 第1水温センサ
11 第2水温センサ
20,40 三方弁
21,41 弁箱
21a,21b,21c 連通口
21d 接続部
21e 連通部
22,42 弁体
22a,22b,22c,22d,22e 開口部
22f 遮断部
23 回動軸
24 密封部材
30 ECU
31 バッテリ
41a,41b,41c 連通口
42a,42b,42c,42d,42e,42f,42g 開口部
42h 遮断部

Claims (5)

  1. 熱媒体が持つ熱を蓄熱する蓄熱装置と、車室内へ送られる空気を加熱する暖房用熱交換器と、に接続されて前記蓄熱装置と前記暖房用熱交換器と内燃機関との間で熱媒体を循環させる循環路を備えた内燃機関において、
    前記循環路のうち前記蓄熱装置に連通する流路と、前記暖房用熱交換器に連通する流路と、内燃機関に連通する流路との間の接続部分に、
    第1乃至第3の連通口を有する弁箱と、前記弁箱内で回動可能な、前記弁箱内で回動することにより前記弁箱の各連通口と対向し得る部分に各連通口の開口面積より小さい開口面積を有する絞り開口部が設けられており、当該絞り開口部を前記第1の連通口に対向させた場合に前記第2の連通口に対向する部分と前記第3の連通口に対向する部分とに、それぞれ、前記絞り開口部と連通する、前記絞り開口部の開口面積よりも大きな開口面積を有する全開開口部が設けられている弁体とを備え、前記弁箱の前記第1の連通口、前記第2の連通口、前記第3の連通口が、それぞれ、前記蓄熱装置に連通する流路、前記暖房用熱交換器に連通する流路、内燃機関に連通する流路に接続された流量調節弁が、設けられている
    ことを特徴とする内燃機関。
  2. 前記内燃機関からの熱媒体により前記蓄熱装置に熱を蓄えさせる場合に、前記弁体の前記絞り開口部が前記弁箱の前記第1の連通口に対向するように前記流量調節弁を制御する制御手段を、さらに備える
    ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関。
  3. 前記流量調節弁の前記弁体が、
    前記弁体の開口部が設けられていない所定の部分を前記弁箱の前記第2の連通口に対向させると、当該部分によって前記第2の連通口が遮断され、前記絞り開口部を介さない形で前記弁箱の前記第1の連通口と前記第3の連通口とが連通することになる形状を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記弁箱と前記弁体とを密封するための密封部材が、前記弁箱の各開口部の外周、前記弁箱の各連通口の外周のいずれか一方に設けられている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関。
  5. 前記弁体の回動方向の軸まわりに、前記絞り開口部と、複数の前記全開開口部と、対向した連通口を遮断するための遮断部とが、所定角度おきに設けられている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関。
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