JP4530945B2 - 揮発性有機化合物の回収プロセス - Google Patents
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Description
1)水分および揮発性有機化合物を含む空気から、選択的に揮発性有機化合物を吸着し、水分を含む空気を系外に放出する吸着工程(A)と、
2)再生工程(E)にある他の吸着塔からの再生ガスを用いて、優先的に水分をパージし、吸着剤の加熱再生処理を行う再生工程(B)と、
3)他の吸着塔の再生工程(F)にある間、再生ガスの流通を停止し、該再生ガスを迂回させる待機工程(C)と、
4)再生ガスを循環的に用いて再生工程(B)よりも高い温度状態で選択的に揮発性有機化合物をパージし、吸着剤の加熱再生処理を行う再生工程(D)と、
5)再生工程(B)にある他の吸着塔からの再生ガスを流通させ、優先的に水分を吸着除去するとともに、吸着剤の冷却再生処理を行う再生工程(E)と、
6)待機工程(C)にある他の吸着塔を迂回した再生ガスを流通させるとともに、吸着剤の冷却処理を行う再生工程(F)と
を含み、前記再生工程(D)にある吸着塔からの再生ガスを前記冷却凝縮手段に導入し、該再生ガス中に含まれる揮発性有機化合物を回収除去するとともに、
少なくともある期間、前記吸着塔の内の少なくとも2基の吸着塔の再生工程を同時に実施し、残りの吸着塔を吸着工程に供し、これらの工程を順次切り換えることを特徴とする。
つまり、吸着工程、加熱による再生工程(加熱再生工程)および冷却による再生工程(冷却再生工程)を担う吸着塔を、工程を同時に行いながら順に入れ替えることによって、冷却再生工程(E)に導入された再生ガスは、次の吸着塔での加熱再生工程(B)にそのまま利用することによって、先のステップでの加熱再生工程(D)にあった吸着塔の余熱の利用を可能とし、かつ再生ガスの使用量も大幅に軽減することができることから、エネルギー効率の大幅な向上を図ることが可能となった。さらに、再生工程(D)および(F)にある吸着塔を、再生ガスを用いて循環的再生することによって、非常に効率のよいVOCの回収が可能となった。なお、「再生ガス」とは、上記再生工程(B),(D)〜(F)において、吸着塔のいずれかを流通したガスをいい、試料空気を用いる場合や系外から導入される不活性ガスなどのガスを用いる場合がある。また、「冷却凝縮手段」とは、冷却して凝縮機能を有する手段のみならず、広く、冷却機能を有する手段とさらに冷却して凝縮機能を有する手段を組合せて使用する手段、あるいは、それぞれを独立して使用可能な手段を含むものとする。ここで、「待機工程にある吸着塔」とは、再生工程(B)に供された後の吸着塔であって、他の吸着塔が再生工程(F)にある間、再生ガスの流通が停止された状態にある吸着塔をいう。
また、吸着剤として活性炭あるいは疎水性吸着剤を使用することが好ましい。吸着法によるVOCの回収効率は、吸着剤の特性と個々のVOCの多くの物性に依存する。吸着剤の一般的傾向として、吸着能は温度の関数で低温ほど大きく高温では低い。一方、VOCの物性からは、一般に沸点が吸着温度に比較して高い程吸着は容易である。この基準によれば、水分(沸点100℃)が共存する場合には、MEK(沸点80℃)や酢酸エチル(沸点77℃)などに比較して水分の方が吸着し易いことになる。本発明は水分が極性分子であることを利用し、VOCの吸着能が大きく水分を殆ど吸着することのない疎水性の吸着剤を選定することによって、VOCの選択的吸着分離を可能にしたものである。特に、疎水性吸着剤は、脱着においても優先的に水分を脱着する特性を有することから、再生工程にこうした特性を活かすことによって、一層のVOCの選択的吸着分離が可能となる。
さらに、再生工程(D)にある吸着塔からの再生ガスを前記冷却凝縮手段に導入し、該再生ガス中に含まれる揮発性有機化合物を回収除去することが好ましい。吸着によるVOC回収方法は、多量の空気中に含まれたVOCを吸着剤に固定し、別途再生ガスで脱着させ、より濃度の高いガスに濃縮し、冷却凝縮法などと組み合わせ除去するとの方式である。特に、VOCとともに水分が共存する場合には、脱着に際しては、吸着剤を比較的低温の再生ガスで加熱するとはじめに水分が選択に脱着し、再生工程(B)において、ほとんどの水分は脱着し終わる。これに、僅かのVOCが同伴するが、再生工程(D)におけるVOCの冷却凝縮により、殆ど水分を含まないVOCの回収ができる。
従って、VOCの連続回収を図るとともに、一層吸着剤の効率のよい使用方法および効率のよい再生方法が可能となり、簡便な機能の、エネルギー効率が高くかつ信頼性の高いコンパクトなVOCの回収プロセスを提供することが可能となった。
図1に、本発明に係るVOCの回収プロセスの1の構成を例示する(第1構成例)。
ここでは、吸着塔を4基設けて動作させる場合について説明する。むろん3基以上の場合であれば何基でもよく、特に試料空気の流量が多いときには、多数の吸着塔を使用するほど、吸着工程にある吸着塔の割合が多くなり、より効率的なVOCの回収プロセスを構成することが可能となる。
再生工程にある吸着塔に供給される再生ガスを予め加熱することによって、吸着塔自体に加熱機能を有する必要をなくし、複数の吸着塔含むVOC回収プロセス全体のコンパクト化を図るとともに、接続する流路を設定することによって任意の構成が可能となり汎用性のあるVOC回収プロセスを形成することができる。
(1)上記第1構成例に基づくVOCの回収プロセスの動作について、まず、1つの吸着塔(「該吸着塔」という。)における各工程の内容を説明する。
回収プロセス稼動時においては、図1に示す第一ブロア1で昇圧した試料空気を回収プロセスに導入する。このとき、VOCおよび水分を含む試料空気は、まずフィルタ(図示せず)によって清浄され、また必要なら水冷却器(図示せず)により冷却された後、吸着塔S1〜S4のいずれか2基または3基の該吸着塔に導入され、選択的にVOCを吸着分離して大気に放出される。該吸着塔においては、温度約20〜40℃程度、圧力約2〜8kPaG程度に設定される。
次に、回収プロセス稼動時には、第二ブロア4で昇圧された再生ガスを回収プロセスにおいて機能させる。ここで、再生ガスは、系外から導入するか、上記VOCを吸着処理した試料空気を使用するかを問わないが、系外から導入する場合は不活性ガスが好ましい。不活性ガスを用いるときは再生工程の最初に吸着塔内の残留空気を不活性ガスで置換する操作を行うこと多いが、一般的に良く知られたことであるので詳述しない。このとき、再生ガスを冷却器2に導入し、さらに後述する再生工程(E)に切り換った吸着塔に導入した後、該吸着塔に導入することによって、該吸着塔の再生を行う。つまり、再生工程(E)に切り換った吸着塔の直前の工程は高温の加熱再生工程に係った状態にあり、その塔上部からの高温のガスの余熱によって、該吸着塔においては、温度約100〜130℃程度の加温を確保することができる。再生ガスは、回収プロセス内部において循環使用される。
次に、該吸着塔について再生ガス停止状態を作る。つまり、制御弁Vfを作動させて該吸着塔を迂回するバイパスを形成し、該吸着塔に流通していた再生ガスを停止し、内部温度の安定化など、次の高温の加熱再生に備える。一方、冷却器2を介して低温状態にされた再生ガスは、再生工程(F)にある吸着塔に導入することによって、再生工程(F)にある吸着塔の冷却再生を行う。また、この再生ガスは、回収プロセス内部において循環使用される。
次に、冷却器2を介してVOC凝縮器3に導入して大半のVOCを除去した後の再生ガスを、再生ガス用加熱器6によって高温状態(約220℃)にして該吸着塔に導入する。これによって、該吸着塔の高度の再生を行うことができる。
このとき、再生ガスは、多量のVOCを含んだ状態で、冷却器2を介して極低温(約−40〜−10℃程度)のVOC凝縮器3に導入される。ここで、大半のVOCを凝縮液化させ、溶剤として回収する。また、再生ガスは、上記(1−2)同様、回収プロセス内部において循環使用される。
次に、再生工程(B)にある吸着塔からの再生ガスを、冷却器2に導入して低温状態にした後、該吸着塔に導入して、冷却再生を行う。同時に、優先的に残留した水分を除去することによって、再生工程(B)にある吸着塔への清浄な再生ガスを供給するとともに、前工程で高温状態になった塔内部の余熱を加熱源として供給している。このとき、再生ガスは再生工程(B)にある吸着塔と該吸着塔の間を循環し、中温状態の再生工程(B)にある吸着塔において脱着した水分を該吸着塔において一部吸着除去することも可能となる。
次に、制御弁Vfを作動させて待機工程(C)にある吸着塔を迂回するバイパスを形成し、冷却器2を介して低温状態にされた再生ガスを該吸着塔に導入し、該吸着塔の冷却再生を行う。このとき、再生ガスは、冷却器2と該吸着塔の間を循環し、該吸着塔を冷却する。なお、待機工程(C)にある吸着塔には再生ガスが導入されず、次の高温の加熱再生(再生工程(D))に備える。
(1)本発明に係るVOCの回収プロセスにおいて、4基の吸着塔と廃熱回収熱交換器7を用いた場合の構成を、図4に例示する(第2構成例)。
2 冷却器
3 VOC凝縮器
4 第二ブロア
5 スタック
6 再生ガス用加熱器
7 廃熱回収熱交換器
S1〜S4 吸着塔
V1a〜V1e、V2a〜V2e、V3a〜V3e、V4a〜V4e、Va〜Vf 制御弁
Claims (5)
- 活性炭あるいは疎水性吸着剤を充填した少なくとも3基の吸着塔および揮発性有機化合物を回収する冷却凝縮手段を有し、水分および揮発性有機化合物を含む空気から該揮発性有機化合物を回収するプロセスにおいて、少なくとも、
1)水分および揮発性有機化合物を含む空気から、選択的に揮発性有機化合物を吸着し、水分を含む空気を系外に放出する吸着工程(A)と、
2)再生工程(E)にある他の吸着塔からの再生ガスを用いて、優先的に水分をパージし、吸着剤の加熱再生処理を行う再生工程(B)と、
3)他の吸着塔の再生工程(F)にある間、再生ガスの流通を停止し、該再生ガスを迂回させる待機工程(C)と、
4)再生ガスを循環的に用いて再生工程(B)よりも高い温度状態で選択的に揮発性有機化合物をパージし、吸着剤の加熱再生処理を行う再生工程(D)と、
5)再生工程(B)にある他の吸着塔からの再生ガスを流通させ、優先的に水分を吸着除去するとともに、吸着剤の冷却再生処理を行う再生工程(E)と、
6)待機工程(C)にある他の吸着塔を迂回した再生ガスを流通させるとともに、吸着剤の冷却処理を行う再生工程(F)と
を含み、前記再生工程(D)にある吸着塔からの再生ガスを前記冷却凝縮手段に導入し、該再生ガス中に含まれる揮発性有機化合物を回収除去するとともに、
少なくともある期間、前記吸着塔の内の少なくとも2基の吸着塔の再生工程を同時に実施し、残りの吸着塔を吸着工程に供し、これらの工程を順次切り換えることを特徴とする揮発性有機化合物の回収プロセス。 - 再生ガスとして不活性ガスを使用することを特徴とする請求項1記載の揮発性有機化合物の回収プロセス。
- 前記再生工程(B)の少なくとも一部あるいは全てにおいて、再生工程(B)にある吸着塔からの再生ガスに含まれる水分を、水分凝縮器で除去することを特徴とする請求項1または2に記載の揮発性有機化合物の回収プロセス。
- 前記吸着工程(A)、再生工程(E)および再生工程(F)のガス流れ方向を下から上へとり、再生工程(B)および再生工程(D)のガスの流れ方向を上から下へとることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の揮発性有機化合物の回収プロセス。
- 加熱手段を用いた前記加熱再生処理において、廃熱回収熱交換器を介して再生ガスを前記冷却凝縮手段へ導入し、該冷却凝縮手段からの再生ガスを前記廃熱回収熱交換器に導入するとともに、該再生ガスを前記加熱手段に導入することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の揮発性有機化合物の回収プロセス。
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