JP4527438B2 - 積層板およびその製造方法 - Google Patents
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しかし、従来のパーティクルボードを芯材とする積層板の製造方法は、熱圧成型して得られたパーティクルボードの片面または両面に対し、接着剤が塗布された板状材料を積層して加圧圧締して積層板を得る。
すなわち、まず木材チップを接着剤を介して加圧圧締してパーティクルボードを製造する。次に得られたパーティクルボードの片面または両面に、接着剤が塗布された板状材料を積層して加圧圧締して積層板を得る。従って加圧圧締作業が2工程となり極めて煩雑な作業工程になる。
すなわち、本発明は、乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料の層と、板状材料とを、常温で加圧成型して得られる積層板に関する。
また、本発明は、
1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンまたはラテックスと、小片状材料と混合する工程、
2)得られた混合物を乾燥する工程、
3)接着剤が塗布された板状材料を配置し、板状材料の接着剤塗布面と、工程2)で得られた小片状材料の層を接触させ、常温で加圧成型する工程を有する、積層板を製造する方法に関する。
熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンの粘度は特に制限はなく、その固形分濃度により変わるが、作業性等の観点で200000mPa・s(23℃、ブルックフィールド粘度計(BH型)、2rpm)以下が好ましい。
上記水溶性ポリマーを含有させる方法としては、熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンと水溶性ポリマーを混合したものを用いる方法の他、ポリビニルアルコール系高分子等の水溶性ポリマーを保護コロイドとして各種単量体を乳化重合することにより得られる熱可塑性エマルジョンを用いる方法が考えられる。後者の場合、乳化重合時に水溶性ポリマーと熱可塑性樹脂(A)が一部グラフト体を形成するため積層板中に確実に水溶性ポリマーが含有される。
これらの材料は必要に応じ、破断粉砕して適当な大きさにして使用することができる。好適な小片状材料は木質材料である。
木質材料を使用する場合に、その木の種類は問わないが、松、杉、ひのき等の針葉樹、ラワン、カポール、ポプラ、ヤナギ等の広葉樹由来のものが好適に使用される。
積層板の吸湿変形を防止するために、パラフィンワックス等の撥水剤を添加することもできる。また必要に応じて、充填材、溶剤、顔料、染料、防腐剤、防虫剤、消泡剤等を添加することができる。
1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンまたはラテックスと、小片状材料と混合する工程、
2)得られた混合物を乾燥する工程、
3)接着剤が塗布された板状材料を配置し、板状材料の接着剤塗布面と、工程2)で得られた小片状材料の層を接触させ、常温で加圧成型する工程を有する、積層板を製造する方法を提供する。
1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンまたはラテックスと、小片状材料と混合する工程、
2)得られた混合物を乾燥する工程、
3)接着剤が塗布された板状材料を配置し、板状材料の接着剤塗布面上に、工程2)で得られた小片状材料を層状に配置し、
4)接着剤が塗布された板状材料の接着剤塗布面を下にして小片状材料の上に配置し、常温で加圧成型する工程を有する、
小片状材料の両側に板状材料を有する、積層板を製造する方法を提供する。
小片状材料に対するエマルジョンの塗布量は、材料の種類によって異なるが、例えば木材チップ(含水率5−15%)100重量部に対して、エマルジョンの固形分として5−30重量部、好ましくは10−25重量部である。樹脂量が少ないと結合力が不十分となり、樹脂量が多すぎてもそれに対応する結合力の向上を得ることができない。
成型は常温において行われる。すなわち20℃から100℃の範囲で行うことができ、好ましくは20℃から70℃、より好ましくは30℃から70℃の範囲で行うことができる。
混合物の水分量が低い場合、および冬期における成型のように周囲温度の低い条件下の場合等においては、必要に応じ若干の加熱をすることが、成型時間を短くするために好ましい場合がある。また、加熱乾燥を行う際には、乾燥工程後、冷却することなくそのままの温度で加圧成型することが生産効率上好ましい。
イソシアネート化合物の混合は、混合物を乾燥した後、水、または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンまたは水溶液で湿らせる工程の前または後のいずれでもよい。好ましくは水、または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンまたは水溶液で湿らせる工程の前に行われる。
本発明は常温で加圧成型することから加熱に要するエネルギーコストを最小限に抑えられる。また常温で加圧成型するため、熱に弱い材料も積層板の材料として使用することができ、また積層板の表面のやけ等の変色やそり等の変形が少ないという特徴を有する。さらには積層板の形状における自由度が増大し、特に厚い積層板の製造が容易となる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を何ら制限するものではない。
実施例1
木材チップ(15mmメッシュ通過の杉材含水率約12%)5000gを容器にとりエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン(商品名パンフレックスOM6000、粘度2500mPa・s、固形分50%、ポリビニルアルコール含有、株式会社クラレ製)を2000g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして35〜40℃で1日間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度でさらにイソシアネート化合物(商品名ウッドキュア300日本ポリウレタン工業株式会社製、主成分MDI、NCO含量28.5−30.5%)500gを混合し、さらに続けて水500gを混合してから、同温度で酢酸ビニル樹脂エマルジョン(商品名ボンドCX55、粘度25000mPa・s 固形分55%、ポリビニルアルコール含有、コニシ株式会社製)が均一に塗布された合板(ラワン材、厚さ3mm、塗布量200g/cm2)面を下敷きにした型枠(幅300mm×長さ600mm)へ投入しフォーミングした。さらにフォーミングされた上面に同様に作成された別の合板面を積層してから加圧成型(30kgf/cm2)した。同温度で10分間放置後解圧してから取り出し厚さ20mmの積層板を得た。この積層板を本箱の棚板として使用したところ、ねじれ、狂いもみられず充分に実用に供することができた。
木材チップ(15mmメッシュ通過の杉材含水率約12%)5000gを容器にとり酢酸ビニル樹脂エマルジョン(商品名ボンドCX55、粘度25000mPa・s、固形分55%、ポリビニルアルコール含有、コニシ株式会社製)を2000g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして35〜40℃で1日間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度でさらにイソシアネート化合物(商品名ウッドキュア300日本ポリウレタン工業株式会社製、主成分MDI、NCO含量28.5−30.5%)500gを混合し、さらに続けて水500gを混合してから、同温度で酢酸ビニル樹脂エマルジョン(商品名ボンドCX55、粘度25000mPa・s、固形分55%、ポリビニルアルコール含有、コニシ株式会社製)が均一に塗布された合板(ラワン材、厚さ3mm、塗布量200g/cm2)面を下敷きにした型枠(幅300mm×長さ600mm)へ投入しフォーミングした。さらにフォーミングされた上面に同様に作成された別の合板面を積層してから加圧成型(30kgf/cm2)した。同温度で10分間放置後解圧してから取り出し厚さ20mmの積層板を得た。この積層板を本箱の棚板として使用したところ、ねじれ、狂いもみられず充分に実用に供することができた。
木材チップ(15mmメッシュ通過の杉材含水率約12%)5000gを容器にとりアクリル酸エステル共重合体樹脂エマルジョン(商品名株式会社クラレ試作品、粘度10000mPa・s固形分50% ポリビニルアルコール含有、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル共重合体樹脂、株式会社クラレ製)を2000g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして35〜40℃で1日間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度でさらにイソシアネート化合物(商品名ウッドキュア300日本ポリウレタン工業株式会社製、主成分MDI、NCO含量28.5−30.5%)500gを混合し、さらに続けて水500gを混合してから、同温度で酢酸ビニル樹脂エマルジョン(商品名ボンドCX55、粘度25000mPa・s、固形分55%、ポリビニルアルコール含有、コニシ株式会社製)が均一に塗布された合板(ラワン材、厚さ3mm、塗布量200g/cm2)面を下敷きにした型枠(幅300mm×長さ600mm)へ投入しフォーミングした。さらにフォーミングされた上面に同様に作成された別の合板面を積層してから加圧成型(30kgf/cm2)した。同温度で10分間放置後解圧してから取り出し厚さ20mmの積層板を得た。この積層板を本箱の棚板として使用したところ、ねじれ、狂いもみられず充分に実用に供することができた。
木材チップ(15mmメッシュ通過の杉材含水率約12%)5000gを容器にとりスチレンブタジエン共重合体ラテックス(商品名ニポ−ルLX430粘度130mPa・s、固形分49%、日本ゼオン株式会社製)を2000g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして35〜40℃で1日間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度でさらにイソシアネート化合物(商品名ウッドキュア300日本ポリウレタン工業株式会社製、主成分MDI、NCO含量28.5−30.5%)500gを混合し、さらに続けて水500gを混合してから、同温度で酢酸ビニル樹脂エマルジョン(商品名ボンドCX55、粘度25000mPa・s、固形分55%、ポリビニルアルコール含有、コニシ株式会社製)が均一に塗布された合板(ラワン材、厚さ3mm、塗布量200g/cm2)面を下敷きにした型枠(幅300mm×長さ600mm)へ投入しフォーミングした。さらにフォーミングされた上面に同様に作成された別の合板面を積層してから加圧成型(30kgf/cm2)した。同温度で10分間放置後解圧してから取り出し厚さ20mmの積層板を得た。この積層板を本箱の棚板として使用したところ、ねじれ、狂いもみられず充分に実用に供することができた。
木材チップ(20mmメッシュ通過の杉材含水率約10%)3000gを容器にとりエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン(商品名パンフレックスOM6000、粘度2500mPa・s、固形分50%、ポリビニルアルコール含有、株式会社クラレ製)を900g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして55〜60℃で3時間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度でさらにイソシアネート化合物(商品名ウッドキュア300日本ポリウレタン工業株式会社製、主成分MDI、NCO含量28.5−30.5%)150gを混合し、さらに続けて10重量%ポリビニルアルコール水溶液(商品名クラレポバール117、ケン化度98モル%、重合度1700株式会社クラレ製)300gを混合してから、同温度で酢酸ビニル樹脂エマルジョン(商品名ボンドCX55、粘度25000mPa・s、固形分55%、ポリビニルアルコール含有、コニシ株式会社製)が均一に塗布された合板(ラワン材、厚さ3mm、塗布量200g/cm2)面を下敷きにした型枠(幅300mm×長さ300mm)へ投入しフォーミングした。さらにフォーミングされた上面に同様に作成された別の合板面を積層してから加圧成型(30kgf/cm2)した。同温度で10分間放置後解圧してから取り出し厚さ30mmの積層板を得た。この積層板を床板として使用し、一日1回1ヶ月間雑巾で水拭きしたが、ねじれ、狂いもみられず充分に実用に供することができ耐水性に優れていた。
実施例5において、55℃からで60℃で3時間放置乾燥させる工程を省略する以外は実施例と同様に行ったところ、積層板の端面が膨潤した。
木材チップ(15mmメッシュ通過の杉材含水率約12%)2000gを容器にとり酢酸ビニル樹脂エマルジョン(商品名ボンドCX55、粘度25000 mPa・s、固形分55%、ポリビニルアルコール含有、コニシ株式会社製)を800g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして50〜55℃で1日間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度でさらに水200gを混合してから、酢酸ビニル樹脂エマルジョン(商品名ボンドCX55、粘度25000mPa・s、固形分55%、ポリビニルアルコール含有、コニシ株式会社製)が均一に塗布された合板(ラワン材、厚さ3mm、塗布量200g/cm2)面を下敷きにした型枠(幅150mm×長さ150mm)へ投入しフォーミングした。さらにフォーミングされた上面に同様に作成された別の合板面を積層してから加圧成型(30kgf/cm2)した。同温度で10分間放置後解圧してから取り出し厚さ30mmの積層板を得た。得られた積層板を花瓶の敷板として使用したところねじれ、狂いもみられず充分に実用に供することができた。
参考例6において、50〜55℃で1日間放置乾燥させる工程を省略する以外は実施例と同様に行ったところ、得られた積層板は膨潤して強度が弱く実用性がなかった。
木材チップ(15mmメッシュ通過の杉材含水率約12%)2000gを容器にとりエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン(商品名パンフレックスOM6000、粘度2500mPa・s、固形分50%、ポリビニルアルコール含有、株式会社クラレ製)600gを添加して充分撹拌混合してからばらばらにして60〜65℃で5時間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。同温度で酢酸ビニル樹脂エマルジョン(商品名ボンドCX55、粘度25000mPa・s、固形分55%、ポリビニルアルコール含有、コニシ株式会社製)が均一に塗布された合板(ラワン材、厚さ3mm、塗布量200g/cm2)面を下敷きにした型枠(幅150mm×長さ150mm)へ投入しフォーミングした。さらにフォーミングされた上面に同様に作成された別の合板面を積層してから加圧成型(30kgf/cm2)した。同温度で10分間放置後解圧してから取り出し厚さ30mmの積層板を得た。得られた積層板を花瓶の敷板として使用したところねじれ、狂いもみられず充分に実用に供することができた。
参考例7において、60〜65℃で5時間放置乾燥させる工程を省略する以外は 実施例と同様に行ったところ、得られた積層板は膨潤して強度が弱く実用性がなかった。
Claims (5)
- 1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンまたはラテックスと小片状材料を混合して混合物を得る工程、
2)上記の工程1)で得られた混合物をエマルションの水分がほぼ蒸発するまで乾燥して、熱可塑性樹脂(A)の乾燥皮膜が表面に形成された小片状材料を形成する工程、
3)上記の工程2)で得られた小片状材料とイソシアネート化合物を混合して混合物を形成する工程、
4)工程3)で得られた混合物を水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンまたはラテックスで湿らせる工程、および
5)接着剤が塗布された板状材料を配置し、板状材料の接着剤塗布面上に、工程4)で得られた小片状材料を層状に配置し、20℃から100℃の温度範囲で加圧成型する工程を有する、積層板を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂(A)が酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂およびスチレン−ブタジエン共重合体からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂であり、
熱可塑性樹脂(B)が酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、およびポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも一つの樹脂である、方法。 - 1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンまたはラテックスと小片状材料を混合して混合物を得る工程、
2)上記の工程1)で得られた混合物をエマルションの水分がほぼ蒸発するまで乾燥して、熱可塑性樹脂(A)の乾燥皮膜が表面に形成された小片状材料を形成する工程、
3)上記の工程2)で得られた小片状材料とイソシアネート化合物を混合して混合物を形成する工程、
4)工程4)で得られた混合物を水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンまたはラテックスで湿らせる工程、
5)接着剤が塗布された板状材料を配置し、板状材料の接着剤塗布面上に、工程4)で得られた小片状材料を層状に配置する工程、及び
6)工程5)において層状に配置された小片状材料の上に、接着剤が塗布された板状材料を接着剤塗布面を下にして配置し、20℃から100℃の温度範囲で加圧成型する工程を有する、積層板を製造する方法であって、
熱可塑性樹脂(A)が酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂およびスチレン−ブタジエン共重合体からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂であり、
熱可塑性樹脂(B)が酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、およびポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも一つの樹脂である、方法。 - 前記小片状材料が木質材料である、請求項1または2記載の方法。
- 前記熱可塑性樹脂(A)が、前記小片状材料100重量部に対して5から30重量部の量で存在する、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
- 前記イソシアネート化合物が、前記小片状材料100重量部に対して1から20重量部の量で存在する、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
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