JP4527341B2 - 移動局の送信電力制御 - Google Patents
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Description
【発明の分野】
本発明はセルラー電話システムに関し、より詳細には移動局の送信電力制御に関する。
【0002】
【発明の背景及び概要】
セルラー通信システムが、セルラー構造において地理的に配置された基地局を含み、移動体無線局が互いに通信でき、かつ関連付けられた交換システムと通信できるようにすることは周知である。通信は、移動局と基地局の間で生じ、かつ基地局から交換ノードに対し生じる。交換ノードと制御ノードとは、他の通信システムへゲートウェイを介して通信する。
【0003】
符号分割多重アクセス(CDMA)の移動体通信システムにおいて、各移動局が、その通信を他の移動体無線の通信から区別する異なる変調コードを使用するので、移動体無線が共通の基地局と同じ無線周波数帯域で通信できる。
【0004】
共通のセルにおける移動体無線が共通の周波数で行われる結果、ある移動局の送信によって別の移動局の送信に干渉が引き起こされる可能性がある。要因(環境的な要因である近接などの)は、共通の基地局と通信する多数の移動体無線間の信号強度の格差に影響を与え、「競合する」無線の間で干渉が生じることとなる。その結果、通信基地局とのいくつかの移動体無線通信は、同じ無線周波数帯域上の他の無線通信を支配する潜在性を有している。
【0005】
理想的なシステムでは、各移動体無線が共通基地局へ、すべての異なる移動体送信信号が基地局にほぼ同じ平均電力で達することを確実にする、電力レベルで信号を送信し、このほぼ同じ平均電力が同じ周波数を使用する各移動局に適切な信号対干渉レベルを生じる。しかし、移動局の環境や移動局の近接などが変化しているので、すべての無線のための電力レベルは用心深く制御される。これらの移動局から基地局への電力レベルの制御は、アップリンク(または逆)の送信電力制御(TPC:transmit power control)と呼ばれ、CDMA方式の性能及び容量の向上に対する著しい要因である。
【0006】
アップリンク電力を制御するためのいくつかの方法が知られており、基地局から受信される信号の推定経路損失(または他の適切な測度)に基づく制御(開ループ送信電力制御)が含まれる。もう1つの方法は、基地局が送信電力制御メッセージを、基地局で受信された比較信号強度に基づいて移動局に送信する制御(閉ループ電力制御)である。
【0007】
米国特許第5,774,785号(所有者が共通)は、1つのこのようなアップリンク制御方法を記載しており、ここでは、移動体無線がその送信電力を最大及び最低送信電力によって定義された範囲に制限する。米国特許第5,390,338号(所有者が共通)はもう1つの送信制御方法を記載しており、これは送信器と受信器との間の距離に依拠する。他の従来技術は、様々な状況において、どのような電力レベルが、所望の性能目標を達成するための最低レベルに設定されるか、通信規則に従うための最大レベルに設定されるかに対処するものである。
【0008】
移動局は、それらのデザインや他の要因によって、それらのダイナミック・レンジに基づく実際の最大及び最小電力出力に制約される。移動局はその範囲外の電力レベルで送信することはできない。これは、移動局が基地局に非常に接近しており、そのアップリンク電力レベルが受信側の基地局でかなり高い状況で、特殊な問題となる可能性がある。先に記載したように、理想的には、基地局が、すべての割り当てられた移動体無線からのすべての送信をほぼ同じ電力レベルで受信し、このほぼ同じ電力レベルが支配的な移動体無線送信によって引き起こされる干渉を避けるための適切な信号対干渉レベルを生じる。移動体無線が、隣接する移動体無線のアップリンク送信を支配し始めたとき、移動体は基地局からの命令を受信して(あるいは内部命令を生成して)アップリンク送信電力をよりバランスの取れたレベルに下げる。しかし、移動体無線がその供給側の基地局に非常に近い(したがって、その受信されたアップリンク電力レベルがとても高い)場合には、移動体の最低出力送信電力であっても、基地局では支配的な移動局から受信される大きい電力レベルが、まだこれにより許容できない干渉のレベルが引き起こされる程大きい。これにより、最終的には、基地局の容量及び受信可能範囲が縮小する結果となる可能性がある。
【0009】
上の問題に対する1つの可能な解決は、支配的な移動局のダイナミック・レンジを増大することである。しかし、その解決策は、問題を直接軽減しない物理的な設計変更である。
【0010】
本発明は、基地局によって受信することが許容できる最大電力レベルを決定して、最大容量及び干渉の受け入れ可能なレベルを保証することによって、この問題を解決する。最大電力受信レベルを、基地局によって、制御チャネルを介してブロードキャストすることができ、移動局が、その移動局について定義された信号対干渉の目標値に基づいて、受信の最大許容レベルを決定することができる。移動局が、その最低送信電力レベルが基地局で基地局の最大受信電力レベルを超えるレベルで受信されると判断した場合、移動局はその送信器を非活動化する。別法として、基地局はまた、過度の受信レベルを検出し、移動局にその送信器を非活動化するように命令することもできる。最終的に、移動局からの送信は、その移動体から受信された電力レベルが受け入れ可能なレベルまで低下した場合、たとえば、移動体が基地局から離れるように移動した場合に、再開することができる。そうでない場合には、呼び出しを解放する必要がある。
【0011】
関連従来技術の多くが、通信の十分な品質を保証すると同時に、干渉を最小限にするために送信電力レベルをある範囲において最適化するように試みているが、いずれも、基地局の最大受信レベルより上でそれを受信中である基地局へ、その最低送信電力レベルで送信中の移動局が、移動体の高い受信電力レベルによって引き起こされた干渉を除去するために(たとえ、移動体がその最低送信電力レベルで送信中であっても)、送信を停止することは提案されていない。また、これに関連して、基地局または移動局が、移動体が送信を停止するかあるいは最終的に呼び出しを解放する時を決定する特定の技術についての、いかなる既知の教示もない。
【0012】
本発明のこれらの、ならびに他の目的及び利点は、添付の図面と共に考慮された、以下の本発明のこの好ましい例示的実施形態のより詳細な説明の慎重な研究によって、より完全に理解され、認識されるであろう。
【0013】
【好ましい実施形態の詳細な説明】
図1では、移動局MSが、移動局が現在存在するセル13に関連付けられた基地局と通信する。セル13における基地局は、より大きいセルラー・ネットワークの一部であり、これは基地局10、11、12、13などの基地局を含む。基地局13が移動局MSからの通信を受信し、これらを、基地局13に関連付けられた無線ネットワーク・コア(RNC:radio network cores)に渡す。無線ネットワーク・コア(RNC)は、移動局の通信を他の移動局やネットワークなどのRNCと接続するために、互いに移動サービス交換局MSCを通して通信する。
【0014】
移動局MSがセルラー地域エリア13内に移動するとき、特定のセル13に位置する基地局との通信を確立する。同じセルラー・エリア13内でも、移動体電話MSにより小さい地域エリアを割り当てることができ、これは一般にセクタとして知られている。セクタを、基地局による指向性アンテナ通信の結果として定義することができる。このように、セル10は、セクタ15、16、17などに分割され、あるセル内のあるセクタで通信する複数の移動局が、そのセル内に位置する基地局との通信時間を競合するようになる。
【0015】
システムでは、同じ周波数におけるすべての移動局の送信が実質的に同じ電力レベルで共通の基地局で受信されることが必須である。各移動局が共通の周波数で動作するので、他の移動局の送信を支配する電力レベルで移動局の送信が生じないことが重要である。しかし、一様な電力送信レベルを各移動局で維持することにより、基地局で一様の受信電力レベルの結果となることを仮定することは不適切である。そうではなく、共通のセル内の移動局は、幅広く異なる経路損失値に基づいて基地局に送信する。
【0016】
たとえば、共通のセルにおけるある移動局が、別の移動局に比較して共通の基地局に相対的に近い場合に、移動局の送信レベルが送信の時点で一様であると仮定すると、より近い移動局は、その送信のための基地局での受信電力レベルが更なる移動局のための受信電力レベルよりも相対的に高くなると予想することができる。通常、基地局の受信器に相対的に近い移動局は、個別的にあるいは命令により、基地局でのすべての移動局からの全般的に一様な受信電力レベルを維持するために、それらの送信電力を下方調整する。この移動局の電力制御は、移動局の間でそれらの受信信号レベルに関して全般的な一様性を達成することに失敗すると、基地局がサービスするセルの容量及び受信可能範囲に影響を与えるので、重要ある。
【0017】
標準化の仕様を満たした(顧客の好み、製造の仕様などの結果として)後、いずれかの特定のセル内で動作する移動局は、異なる動作パラメータを有するものと想定することができる。1つのこのようなパラメータは、いずれかの特定の移動局の出力電力のダイナミック・レンジである。各移動局は、その中で移動体無線の送信器が動作する最低送信電力レベル及び最大送信電力レベルによって定義することができる。本質的に、送信器はその最低送信電力レベルの下またはその最大送信電力レベルの上で動作することはできない。したがって、これらの移動局のパラメータにより、移動局がある制限を越えて送信電力を増減する能力が制約される。
【0018】
セルラー電話構成内で動作する移動局を図1に示す。ここでは、地域エリアがセル10、11、12、13などに分割され、それぞれに、特定のセルにサービスする基地局がある。移動局14(図ではセル13に位置する)は、セル13内の基地局と双方向通信を介して通信する。移動局14がセル13の地域領域内で移動するにつれて、セル13における基地局によって受信される送信特性は、地理的変化や近接の変化などにより変化する。セル13における基地局は、移動局14と通信して、移動局が基地局での受信信号レベルを制御するためにその送信電力を上下に調整することを支援する。したがって、移動局14から基地局への経路損失が増すにつれて、基地局での受信電力がセル13における他の移動局のものと全般的に一様のままとなるように、移動局の送信電力が増す。
【0019】
図1に示すように、各セル10をセクタ15、16、17などに分割することもでき、これをセル10における基地局の指向性アンテナによって定義することができる。本発明はセクタ構造内においても、セル構造内で有するものと等しい適用可能性を有する。すなわち、基地局はセクタ15、16、17などの内のすべての移動局のための電力レベルを制御しようと試みることができ、これは移動局に、それらの送信電力を各移動局とセクタのアンテナの間の経路損失に応じて上下に調整するように命令することによって行う。
【0020】
図1についての記載を完了するため、セル13における基地局が無線ネットワーク・コア(RNC)と通信することがわかり、これは他のセルラー構造18の他の無線ネットワーク・コアと通信する。無線ネットワーク・コアはまた移動サービス交換センタ(MSC)とも通信し、これはインターネットや他の電話網などの他のネットワークへのゲートウェイとして動作する。
【0021】
図2は、共通の基地局と通信する様々な移動局の構造を例示する。図2では、3つの移動局をM1、M2及びMnと示す。3つの移動局のみを示すが、基地局の容量が許容するだけの多数の移動局を、本発明内で構想できることは理解されよう。移動局M1、M2及びMnは、基地局BS及びRNCと、図2に必ずしも図示しないいくつかのコマンド及びトラフィック・チャネルを介して通信する。
【0022】
各移動局M1、M2及びMnは、受信器20,25及び送信器22,26を含む。受信器20,25は、基地局BS及び送信器22,26からの通信を受信し、Tx(M2)及びTx(M1)として示す送信信号を含む信号を基地局BSへ送信する。移動局M2及びM1から基地局BS(Tx)へ送信された図示の信号は、移動局から基地局BSへの標準アップリンク通信である。受信器20,25及び送信器22,26は、コントローラ23,27によって制御される。さらに、送信器22,26を介した送信電力制御は、基地局BSまたはRNCから受信されたか、あるいは移動局自体によって予測された命令に従って、要素24,28によって実行される。
【0023】
図2に示すように、移動局M1は、移動局M2の距離D2に比較して、地理的に更に基地局BSから距離D1だけ離れている。したがって、すべての他の要素が等しくなると仮定すると、移動局M1及びM2が信号Txを同じ信号レベルで送信した場合、基地局BSは送信された信号を異なる信号レベルで受信すると仮定される。すなわち、基地局BSへの相対的な移動局M2の近接のため、基地局BSによって、移動局M2からの信号レベルが、移動局M1から経験されたものより高い信号レベル(より低い経路損失)で受信されることが予想される。
【0024】
基地局BSは、受信器20,25に送信するための送信器32,33,34を含む。基地局BSはまた、送信器22,26からの送信を受信するための受信器31も含む。ネットワークI/O29が、基地局BSを無線ネットワーク・コントローラRNCに接続する。最後に、コントローラ30が受信器31及び送信器32,33,34を制御して、基地局BSによってサービスされるセルにおける移動局との通信を最適化する。(図2は、同じ基地局によって供給される異なるセクタに関連付けられる送信器を例示するが(より柔軟なハンドオーバ)、本発明は、1つの移動局と通信するために使用される多数の送信器が、異なる基地局によってサービスされる異なるセルにおける、柔軟なハンドオーバにおいても等しく良好である)。
【0025】
コントローラ30及び/またはRNCは、基地局BSによってサービスされている多数の移動局からの送信電力レベルを監視することを担う。通常は、BSがすべてのMSからの全体の電力レベル、かつ個々に受信された電力レベルを、そのBSを使用して測定し、RNCにレポートする。RNCは、あるMSが支配していて、他のMSがそのために損害を受けている場合を決定する。移動局M2が基地局BSのより近くに移動し、受信信号レベルTx(M2)がしきい値を超えたとき、コントローラ30が、送信器32,33,34の1つまたはすべてから移動局M2の受信器20へ、Tx電力コントローラ24が送信器22からの送信電力を低減するような命令を送信する。このように、基地局BSのコントローラ30は、基地局BSによって特定の周波数でサービスされているすべての移動局からのすべての送信の受信信号レベルの一様性のレベルを維持しようと試みる。
【0026】
しかし、移動局(たとえば、MS2)と基地局アンテナの間の経路損失がとても小さいため、移動局が、その送信電力を、対応する受信信号レベルが基地局BSでの適切なレベルまで下がるよう十分に低減することができない場合がある。これは、一般に、移動局がその瞬間の送信電力レベルを移動局の送信電力レベルの範囲内の最低レベルに低減したために生じる。このような場合、低い経路損失により、移動局がセルラー・エリアにおける他の移動局を支配するようになり、移動局の最低送信電力の下限により、移動局がその瞬間送信電力を支配を防止するのに十分な低いレベルまで低減することが妨げられる。結果として、低い経路損失の状況に遭遇した1つの移動局が、基地局による、すべての移動局のためのすべての受信電力レベルを全般的に共通のレベルに保つための能力を混乱させる。
【0027】
したがって、移動局は、それらの出力電力を低下させることによってより低い経路損失条件に対応することができるが、移動局は出力電力を、移動局によって意図された最低送信出力電力レベルの下限まで下げることしかできない。その後に、移動局送信は、他の移動局送信を大きく妨害し、基地局送信の容量を低減し、受信可能範囲を低減する可能性がある。最終的に、隣接する移動局(共通受信電力レベル内で動作中であり、基地局によって維持されるように試みているもの)は、1つの支配的な移動局によって引き起こされた干渉により、落とされる。
【0028】
隣接する移動局は、隣接する移動局にそれらの出力電力を上げさせることによって、支配的な移動局に対応しようと試みることができる。しかし、これらの移動局は、最低及び最大送信電力の制約により動作し、すでにこれらの最高電力レベルで送信中の移動局は、支配的な移動局によって引き起こされた妨害の増大の補償に失敗するようになる。その場合、実際に基地局パラメータ内で動作中の移動局が、基地局パラメータ内で動作中ではない支配的な移動局のために落とされとしまう。
【0029】
さらに、1つの支配的な移動局が、すべての他の移動局に電力レベルを上げさせ、これは高い電力制御要件であり、電力制御が不安定になる結果となる可能性もある。
【0030】
本発明によれば、支配的な移動局は、従う側の移動局が基地局の通信可能範囲から落とされることを許されない。好ましい実施形態では、移動局が、基地局BSでの受信の最大許容レベルについての情報を受信する。これは、基地局が最大許容受信レベルを、基地局によってサービスされるセルにおけるすべての移動局にブロードキャストすることによって、達成することができる。別法として、この情報を、各移動局へ、RNCから送信された専用メッセージによって送信することができる。次いで、移動局がその送信パラメータをテストして、その最低可能な送信レベルにより移動局が電力を低減して、基地局BSで受け入れ可能な制限内の受信電力レベルを生じることができるようにすることができる。
【0031】
自分が基地局BSでの受信信号レベルに従わないものと決定する移動局は、基地局への通知を行うか行わないかに関わらず、その送信をオフにし、基地局での受信の推定レベルが最大許容受信レベルの下になるまで待機する。その後、移動局はその送信器を再度オンにすることができ、自分のダイナミック・レンジ内で、基地局での受信レベルを基地局BSの受け入れ可能なレベル内で達成するよう動作することができる。
【0032】
現在、3GPP規格では、たとえば、ネットワークは、要求に応じて、以下のレポートを移動体から得ることができる。
・ネットワークへのレポートであり、ネットワークに、移動体によって使用された電力が最低値に達し、しばらくの間そうであったことを知らせるもの。
・ネットワークへのレポートであり、ネットワークに、移動体によって使用された電力が最大値に達し、しばらくの間そうであったことを知らせるもの。
・ネットワークへのレポートであり、ネットワークに、移動体によって使用された電力が、事前定義されたしきい値を上回り、しばらくの間そうであったことを知らせるもの。
・ネットワークへのレポートであり、ネットワークに、移動体によって使用された電力が、事前定義されたしきい値を下回り、しばらくの間そうであったことを知らせるもの。
【0033】
移動体からのこれらのイベントによりトリガされた情報レポートを使用することによって、ネットワークは、潜在的に支配的な移動体、または支配的になる確率の高い移動体を検出し、適切なアクションを取ることができる。ネットワークはまた、このレポートを使用して、移動体が支配をやめたときも検出する。測定情報、たとえば経路損失推定値を追加することによって、ネットワークは支配の程度も推定することができる。
【0034】
落とされた移動局がランダム・アクセスまたはパケット送信を行うため送信器22での送信を再開する前に、移動局が再度、基地局での予想受信電力レベルを推定して、それが最大許容レベルの下であることを保証すべきである。この推定は、再度、移動局がその最低送信電力レベルで動作できると仮定する。推定により、移動局は、その動作及びその最低送信電力レベルが、基地局で、隣接する移動局に対して妨害していない受信電力レベルとなるかどうかについて、予備的な決定を行うことができるようになる。もちろん、移動局は、ランダム・アクセスまたはパケット送信のその送信において、移動局と基地局の間の経路損失が十分に大きくなるまで遅延されるべきであり、移動局がその最低送信電力レベルで動作でき、基地局での受信電力レベルが最大許容レートの下となるようにするべきである。遅延が長すぎた場合、移動局がその呼び出しを解放することができる。さらに、基地局は、移動局に、より低い受信電力レベルを達成したり、その送信器をオフにしたり、あるいは呼び出しを解放するように試みるように命令することができる。
【0035】
図3は、本発明の一実施例の実施形態を例示する。図3のステップ50で、移動局または基地局が、各移動局MSXの送信電力レベルを、基地局で最大許容受信信号を達成するように設定する。ステップ51で、システム(または移動局)が、いずれかの移動局が支配中であるか否かを決定する。支配中の移動局がなかった場合、移動局が支配中であると決定されるまで、フローはステップ51へ戻る。すなわち、移動局が支配中でない限り、本発明の更なるステップは呼び出されない。ステップ52で、移動局が支配中であると決定されると、支配的な移動局は、まず、自分のダイナミック・レンジによって指図された自分の最低送信電力レベルで動作中であるか否かを決定する。最低送信電力レベルでなかった場合、ステップ53で、支配的な移動局がその送信電力を低減することができ、システムがステップ51に戻り、その移動局または他のいずれかの移動局が送信を支配し続けるかどうかを決定することができる。
【0036】
ステップ52で、支配的な移動局がすでにその最低電力レベルであった場合、基地局、またはそれよりむしろRNCは、支配的な移動局によって許容できないほど干渉されている移動局が自分の個々の最大送信電力しきい値にあるか否かを決定する。最大送信電力しきい値でなかった場合は、ステップ56で、干渉された移動局は単にそれらの送信電力を増大することもでき、あるいはオプショナルなステップ55及び58を、干渉された移動局の送信における増大が試みられる前に含めることができる。すなわち、ステップ55で、基地局またはRNCが、セルがその最大容量に近いか否かを決定し、最大容量に近い場合は、ステップ58で、干渉された移動局が落とされる。最大容量に近くなかった場合、ステップ56で、干渉された移動局がその送信電力を増大するように命令される。
【0037】
ステップ54で、干渉された移動局がその最大電力にあると決定され、(ステップ52から)支配的な移動局が最低電力にあると決定されていた場合、ステップ57で、支配的な移動局が落とされる。ステップ57は移動局(たとえば、M2)を含むことができ、送信器22を停止する。別法として、ステップ57は、移動局M2によってサービスされている呼び出しの解放を含むことができる。
【0038】
支配中であり、その電力レベルをそれ以上低減できないと認識した移動局M2は、その電力を、妨害されている周波数からオフにしなければならない。これを行うために利用可能ないくつかのオプションがある。
1)MSが、ブロードキャストされたデータに基づいて、自分の自主的決定を行うことができる。
2)ネットワークがMSにその電力をオフにするように命令し、次いで、ブロードキャストされたデータに基づいて、MSに送信を自分の決定において再開させることができる。
3)ネットワークが、MSに、専用チャネルの使用を停止を命令し(MSの電力がオフにされる)、かつ共通の物理チャネルの使用を開始するように命令することができる。共通のチャネル上にある間、MSはシステムと通信するためのランダム・アクセス手順を有する。
4)ネットワークがMSに、周波数間ハンドオーバを行うように、すなわち妨害された周波数での送信を停止するように、かつ使用可能であれば妨害されない周波数の使用を開始するように命令することができる。
5)MSに強制的に専用チャネルを使用させているサービスを、解放することができる(呼び出しの一部解放と見なすことができる)。
6)MSが、すべてのサービスを解放する完全な呼び出し解放を行うことができる。
【0039】
したがって、ステップ59でMSが待機し、次いでその後の時間に、それが次いで、MSがその最低電力レベルで送信でき、隣接する移動局を支配できないようなより高い経路損失の状況に遭遇しているか否かを決定することができる。ステップ60の推定により、先に支配していた移動局が送信を再開した場合に支配し続けるという結論が出た場合、ステップ61でこの方法を新しい推定に戻す。これは、推定値が許容可能レベルより下がるまで継続し、その時点でステップ63により、先に支配している移動局がその送信を再開あるいは再接続することができる。別法として、ステップ61で、推定値が許容可能より下がらなかった場合、ステップ62で、MSがあまりに長く支配していたか否かの決定が行われる。長く支配していた場合、ステップ64で、MSが強制的に解放される。長く支配していなかった場合、ステップ59でMSが待機し続ける。ステップ64で、支配的な移動局が、別のセルで、重い負荷がかけられていないか、すでに最大レベルで送信中である移動体を有する周波数に周波数間ハンドオーバを行うように命令される。
【0040】
本発明は、基地局に接近しすぎる可能性のあるいずれか1つの移動局が、基地局の受信可能範囲を縮小し、基地局の容量を低減し、隣接する移動局を支配し、あるいは1つの移動局による補償不可能な程に高い送信レベルの結果として、セルの電力制御を不安定にすることを妨げる。すなわち、1つの移動局が、単に、その移動局が、低い経路損失条件に対応しないダイナミック・レンジに限定されているからといって、品質を低下させる、あるいは、他の移動局にそれらの呼び出しを落とさせることは許されない。
【0041】
代替の実施形態では、移動局がより高いレベルの使用を許され(基地局が一様でない高いレベルで送信を受信中であるという事実に関わらず、移動局の最低送信電力レベルで動作し続け)、これは特定のセクタが、これを可能にする受信可能範囲、容量などのマージンを提供する瞬間条件を有するものである。
【0042】
この解決策により、ダイナミック・レンジにおいてより柔軟性のある限定を有するように設計される移動局が、それらの特別の性能を利用し、ダイナミック・レンジにおいてより厳しい限定を有する移動局のために落とされないようにすることができる。
【0043】
代替の実施形態では、移動局送信をオフにするための決定が直接移動局から得られ、最大受信レベルを制御する余分の機能性が実施されない。一方、ネットワークが最大レベルの決定と制御のために使用された場合、基地局またはRNCが、どの移動局が送信を継続し、どの移動局が継続しないかを選択するための特別の柔軟性を含むことができる。
【0044】
本発明を、現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると見なされるものに関連して記載したが、本発明が、開示された実施形態に限定されるものではなく、それに反して、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を包含するように意図されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 移動体電話セルラー・システムを概略的に表現する図である。
【図2】 柔軟なダイバーシチ・ハンドオフを概略的に表現する図である。
【図3】 ネットワーク、基地局及び移動局の構造を概略的に表現する図である。
Claims (22)
- 基地局(BS)と通信する送信器(26)と受信器(25)とを有する移動体無線局(14)であって、
前記送信器は、最低送信電力レベルおよび最大送信電力レベルによって定義されたダイナミック・レンジ内で調節可能な電力レベルで動作し、前記送信器は、通信を前記基地局へ第1の周波数帯域にわたって前記ダイナミック・レンジ内の送信電力レベルで送信し、前記基地局(BS)は、前記通信を瞬間受信信号レベルで受信し、
前記移動体無線局は送信電力コントローラ(28)を有し、前記送信電力コントローラは、
前記瞬間受信信号レベルの評価が、前記瞬間受信信号レベルが許容できないほど低いと指示した場合、前記送信器に前記送信電力レベルを上方に調整するように命令し、
前記瞬間受信信号レベルの評価が、前記瞬間受信信号レベルが許容できない干渉を隣接する移動体無線局に引き起こすと指示した場合、前記送信器に前記送信電力レベルを下方に調整するように命令するが、
前記評価が、前記送信器電力レベルを前記最低送信電力レベルの下に調整することなくしては前記受信信号を最大許容レベルより下げることができないと指示した場合、前記送信器に、送信器電力レベルを下方に調整するのではなく第1の周波数帯域にわたって送信を停止するように命令することを特徴とする移動体無線局。 - 前記瞬間受信信号レベルの前記評価が、前記移動体無線局の受信器による前記基地局からの、前記受信信号の最大許容レベルを示す通信の受信を含むことを特徴とする請求項1に記載の移動体無線局。
- 前記送信電力コントローラが前記基地局で達成する適切な信号対干渉比(SIR)の目標を更に含み、前記瞬間受信信号レベルの前記評価が、前記送信電力レベル、前記信号対干渉比の目標、および前記受信信号の最大許容レベルの解析を含むことを特徴とする請求項2に記載の移動体無線局。
- 前記瞬間受信信号レベルの前記評価が、前記移動体無線局の受信器による前記基地局からの、前記受信信号の最大許容レベルの上の瞬間受信信号レベルを特定する通信の受信を含むことを特徴とする請求項1に記載の移動体無線局。
- 前記送信電力コントローラが前記送信器に前記第1の周波数帯域を介した送信を停止するように命令した場合、前記送信電力コントローラが、前記送信器に、所定の期間の後に前記第1の周波数帯域を介した送信を再開するように命令するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体無線局。
- 前記送信電力コントローラが前記送信器に前記第1の周波数帯域を介した送信を停止するように命令した場合、前記移動体無線局が、周波数間ハンドオーバを実行するように構成され、前記送信電力コントローラが、前記送信器に第2の周波数帯域を介した送信を再開するように命令するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体無線局。
- 前記送信器が、通信を専用無線チャネルを介して送信し、前記送信電力コントローラが前記送信器に前記専用無線チャネルを介した送信を停止するように命令した場合、前記送信電力コントローラが、前記送信器に、共通無線チャネルを介した送信を再開するように命令するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体無線局。
- 前記送信電力コントローラが前記送信器に前記第1の周波数帯域を介した送信を停止するように命令した場合、前記移動体無線局によって使用されている1つまたは複数の無線サービスが解放され、前記送信電力コントローラが、前記第1の周波数帯域を介した送信を再開するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体無線局。
- 直接にあるいは間接に複数の移動体無線局と通信するための通信回路と、
前記移動体無線局のうち1つを、第1の周波数帯域を介して送信器が最低送信電力レベルおよび最大送信電力レベルによって定義されたダイナミック・レンジ内で調節可能な最低電力レベルまたはその近くで送信する支配的な移動体無線局として識別し、他の移動体無線局のいずれかが許容できないほど前記支配的な移動体無線局によって干渉されるか否かを決定し、そうであった場合に、前記支配的な移動体無線局に、前記第1の周波数帯域における送信を停止するように命令するコントローラとを有することを特徴とする無線ネットワーク・ノード。 - 前記支配的な移動体無線局が最低電力レベルまたはその近くで送信中でない場合で、前記他の移動体無線局のいずれかが許容できないほど前記支配的な移動体無線局によって干渉されている場合、前記コントローラが、前記支配的な移動体無線局が送信中である前記電力レベルを低減するように前記移動体無線局に命令するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の無線ネットワーク・ノード。
- 前記他の移動体無線局のいずれかが許容できないほど前記支配的な移動体無線局によって干渉されている場合に、前記コントローラが、前記他の移動体無線局のうち1つまたは複数が最大電力レベルまたはその近くで送信中であるか否かを決定し、そうでなかった場合、前記1つまたは複数の他の移動体無線局に送信電力を増大するように命令するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の無線ネットワーク・ノード。
- 前記支配的な移動体無線局が許容できないほど前記他の移動体無線局のいずれかを干渉している場合に、前記コントローラが、前記支配的な移動体無線局に、前記第1の周波数帯域を介した送信を所定の期間に渡って停止し、次いで送信を再開するように命令するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の無線ネットワーク・ノード。
- 前記支配的な移動体無線局が許容できないほど前記他の移動体無線局のいずれかを干渉している場合に、前記コントローラが、前記支配的な移動体無線局と共に周波数間ハンドオーバを開始し、前記支配的な移動体無線局が第2の周波数帯域を介した送信を再開するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の無線ネットワーク・ノード。
- 前記支配的な移動体無線局が許容できないほど前記他の移動体無線局のいずれかを干渉している場合に、前記コントローラが、前記支配的な移動体無線局に、共通無線チャネルを介した送信を再開するように命令するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の無線ネットワーク・ノード。
- 前記支配的な移動体無線局が許容できないほど前記他の移動体無線局のいずれかを干渉している場合に、前記コントローラが、前記支配的な移動体無線局に、前記移動体無線局によって使用されている1つまたは複数の無線サービスを解放し、送信を再開するように命令するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の無線ネットワーク・ノード。
- 前記無線ネットワーク・ノードが無線基地局であることを特徴とする請求項9に記載の無線ネットワーク・ノード。
- 前記無線ネットワーク・ノードが無線ネットワーク・コントローラであることを特徴とする請求項9に記載の無線ネットワーク・ノード。
- 送信器が最低送信電力レベルおよび最大送信電力レベルによって定義されたダイナミック・レンジ内で調節可能な最低のアップリンク送信電力レベルを有する移動体無線局(14)のアップリンク電力レベルを制御する方法であって、
基地局(BS)から前記基地局での受信の最大許容レベルの標識を受信するステップと、
前記移動体無線局が、前記移動体無線局から基地局への通信を送信する前記基地局での受信のレベルを推定するステップと、
前記移動体無線局が、前記移動体無線局から基地局への通信を、前記最低のアップリンク送信電力レベルを超えるアップリンク送信電力レベルであって、前記基地局で前記受信の最大許容レベルの下の受信のレベルを生じるように、送信することができるか否かを評価するステップと、
前記移動体無線局が、前記移動体無線局から基地局への通信を、前記最低のアップリンク送信電力レベルを超えるアップリンク送信電力レベルであって、前記基地局で前記受信の最大許容レベルの下の受信のレベルを生じるように、送信することができると決定した場合、前記準備された通信を送信するステップと、
前記移動体無線局が、前記移動体無線局から基地局への通信を、前記最低アップリンク送信電力レベルを超えるアップリンク送信電力レベルであって、前記基地局で前記受信の最大許容レベルの下の低い受信のレベルを生じるように、送信することができない場合、前記移動体無線局からの送信を停止した後、一定の時間待機して、前記推定するステップおよび前記評価するステップを繰り返す、又は、前記移動体無線局と前記基地局の間の呼び出しを解放するステップとを有することを特徴とする方法。 - 送信器が最低送信電力レベルおよび最大送信電力レベルによって定義されたダイナミック・レンジ内で調節可能な最低のアップリンク送信電力レベルを有する移動体無線局(14)のアップリンク電力レベルを制御する方法であって、
基地局(BS)から前記基地局での受信の最大許容レベルの標識を受信するステップと、
前記移動体無線局から基地局への通信を準備するステップと、
前記移動体無線局が、前記移動体無線局から基地局への通信を送信する前記基地局での受信のレベルを推定するステップと、
前記移動体無線局が、前記移動体無線局から基地局への通信を、前記最低のアップリンク送信電力レベルを超えるアップリンク送信電力レベルであって、前記基地局で前記受信の最大許容レベルの下の受信のレベルを生じるように、送信することができるか否かを評価するステップとを有し、
前記方法は、更に、多数の移動体無線局(M1/M2/Mn)のアップリンク電力レベルを、前記基地局(BS)に関連付けられたセル(13)内で制御し、
前記セル内の前記移動体無線局から前記基地局への伝送を送受信するステップと、
前記基地局に、支配的な移動体無線局の通信を前記移動体無線局の他のものと比較して相対的に高い受信信号レベルで受信させる送信電力で送信することによって、前記支配的な移動体無線局が許容できない干渉を前記移動体無線局の他のものに引き起こしているか否かを決定するためにテストするステップと、
前記支配的な移動体無線局が前記移動体無線局の最低送信電力レベルあるいはその近くで送信中であるか否かを決定するステップと、
前記支配的な移動体無線局がその最低送信電力レベルで送信中でない場合に、前記支配的な移動体無線局の送信電力レベルを低減し、前記支配的な移動体無線局が前記低減された送信電力レベルで送信することによって、なお許容できない干渉を前記移動体無線局の前記他のものに引き起こしているか否かを決定するために再度テストするステップと、
前記支配的な移動体無線局がその最低送信電力レベルで送信中である場合に、前記支配的な移動体無線局の前記送信器をオフにするステップと、を更に含むことを特徴とする方法。 - 前記テストするステップが、
前記基地局からの受信の最大許容レベルを受信するステップと、
前記基地局での受信電力レベルを前記基地局で達成する適切な信号対干渉比の目標値に基づいて推定するステップと、
前記受信の最大許容レベルを前記推定された受信電力レベルと比較するステップとを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。 - 前記支配的な移動体無線局の前記送信器をオフにする前記ステップの前に、
前記支配的な移動体無線局がその最低送信電力レベルで送信中である場合、前記支配的移動体無線局により干渉されている前記移動体無線局の前記他のもののいずれかが、各最大送信電力レベルで送信中であるか否かを決定するためにテストするステップと、
前記支配的な移動体無線局により干渉されている前記移動体無線局の前記他のもののすべてが、それらの各最大送信電力レベルの下で送信中である場合、前記移動体無線局の前記他のもののすべての前記送信電力レベルを増大するステップと、
前記支配的な移動体無線局により干渉されている前記移動体無線局の前記他のもののいずれかが、それらの各最大送信電力レベルで送信中である場合、前記支配的な移動体無線局をオフにするステップとを更に含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。 - 前記テストするステップが、
前記基地局からの受信の最大許容レベルを受信するステップと、
前記基地局での受信電力レベルを前記基地局で達成する適切な信号対干渉比の目標値に基づいて推定するステップと、
前記受信の最大許容レベルを前記推定された受信電力レベルと比較するステップとを含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
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