JP4527273B2 - 方位測定方式 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は基準位置に対する測定対象位置の方位を測定する方位測定方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
山腹や道路の路肩のような斜面の崩壊を測定する場合の測定手法として、以下のような例がある。第一の例では、測定対象位置と基準位置との間にワイヤを設置すると共にワイヤには張力計を設置し、ワイヤの張力から斜面の崩壊発生を検出する。第二の例では、測定対象位置と基準位置との間にワイヤを設置すると共にワイヤには移動計などを設置し、ワイヤの変位から斜面の崩壊発生を検出する。
【0003】
これらの測定手法は、測定対象に対して測定系を接触させる形で測定しており、測定間隔、すなわち測定対象位置と基準位置との間隔を長くするとワイヤの弛みが測定誤差として影響することになることから、比較的短距離の間隔の測定に限定される。
【0004】
上記の問題点を解消する測定手法として、光学測定方式がある。光学測定方式を用いる場合には光波距離計やトランシット等が用いられる。このような光学計測機器を用いることで、基準位置を決定して測定対象位置への光学測量を行い、基準位置に対する測定対象位置の方位変化を非接触で求めることができる。しかも、測定間隔も長距離にすることが可能となり、斜面の変位や崩壊を測定する方式として多く用いられている。
【0005】
しかしながら、光学測定方式では地表面の変位を3次元座標系で求めることはできても、地中内部においては光学計測機器では検出対象位置を直視できないことから地中内部の変位を測定できないという欠点があった。
【0006】
上記のような問題点を解決する手法として本発明者により以下のような方位測定装置が提案されている(特願2000−245761号)。
【0007】
以下に、図3を参照してこの方位測定装置について説明する。図3は方位測定装置の構成を示すブロック図である。
【0008】
図3において、本方位測定装置は、交流信号を出力する発振回路11とその出力を増幅するための増幅器12とを有する。発振回路11の周波数は可聴帯域が好ましいが、これに限定されない。方位測定装置はまた、互いに直交する三軸座標系のそれぞれの軸に中心軸が一致するように一体化してあらかじめ決められた基準位置P1に配置された第一、第二、第三の励磁コイル13X、13Y、13Zと、第一、第二、第三の励磁コイル13X、13Y、13Zを増幅器12の出力で順に励磁するための切換回路14とを有する。方位測定装置は更に、互いに直交する三軸座標系のそれぞれの軸に中心軸が一致するように一体化して基準位置P1から離れた測定対象位置Pxに配置された第一、第二、第三の検出コイル15X、15Y、15Zと、第一、第二、第三の検出コイル15X、15Y、15Zの出力を順に取り出すための第四の切換回路16とを有する。第四の切換回路16には、これから取り出された出力から電圧信号を得る電圧取出し回路として、第四の切換回路16の出力の検波を行う検波回路17が接続されている。検波回路17の出力は電圧計18により電圧信号として取出されたり、後述する演算装置(図示せず)に入力される。
【0009】
基準位置P1と測定対象位置Pxとの位置関係は未知である。すなわち、基準位置P1はあらかじめ決められた位置に配置されるが、測定対象位置Pxの位置は任意であり、第一、第二、第三の検出コイル15X、15Y、15Zはどのような姿勢で配置されても良い。言い換えれば、第一、第二、第三の励磁コイル13X、13Y、13Zの三軸座標系と、第一、第二、第三の検出コイル15X、15Y、15Zの三軸座標系は、それぞれの軸を合わせて配置するようなことは不要である。これは、一体化された第一、第二、第三の検出コイル15X、15Y、15Zは、地表面に限らず、地中に埋め込まれたり水中に投棄して配置されるからである。この場合、本方位測定装置の設置箇所に応じて、第一、第二、第三の励磁コイル13X、13Y、13Zと切換回路14より前段の回路を信号ケーブルで結び、第一、第二、第三の検出コイル15X、15Y、15Zと第四の切換回路16より後段の回路を信号ケーブルで結ぶようにするのが好ましい。これは、後述する実施の形態においても同様である。
【0010】
本方位測定装置の動作は、簡単に言えば、はじめに、第一の励磁コイル13Xを励磁してその際の第一、第二、第三の検出コイル15X、15Y、15Zに誘起される電圧を順に取り出す。次に、第二の励磁コイル13Yを励磁してその際の第一、第二、第三の検出コイル15X、15Y、15Zに誘起される電圧を順に取り出し、続いて、第三の励磁コイル13Zを励磁してその際の第一、第二、第三の検出コイル15X、15Y、15Zに誘起される電圧を順に取り出す。そして、第一、第二、第三の検出コイル15X、15Y、15Zから得られた合計9種類の誘起電圧を用いてあらかじめ定められた演算(後述する)を行うことにより、基準位置P1から測定対象位置Pxへの方位を算出する。
【0011】
具体的に言えば、発振回路11の出力を増幅器12で電力増幅した後、切換回路14において第一から第三までの励磁コイル13X、13Y、13Zをそれぞれ所定時間だけ励磁するように順次切り換え、互いに90度の角度関係で磁界を発生させる。そして、第一の励磁コイル13Xを励磁しているときに第一から第三の検出コイル15X、15Y、15Zに誘起する電圧をそれぞれ、第四の切換回路16を通して検波回路17、電圧計18により測定する。
【0012】
次に、第二の励磁コイル13Yを励磁しているときに第一から第三の検出コイル15X、15Y、15Zに誘起する電圧をそれぞれ測定する。同様にして、第三の励磁コイル13Zを励磁しているときに第一から第三の検出コイル15X、15Y、15Zに誘起する電圧を測定する。これらの電圧測定により9種類の電圧データが得られる。
【0013】
図4は本方位測定装置による方位測定の原理を説明するための図である。例えば、X軸コイルである励磁コイル13Xから発生する磁気モーメントをMとして、磁気モーメントMが作る磁界上の点Pにおける磁界をHとすれば、r方向の成分をHr、rと直交して中心軸(ここではX軸)の外側に向かう成分をHθとすると、HrとHθは次式で示される。
【0014】
Hr=2M・cosθ/4π・μ0 ・r3 (1)
θ=M・sinθ/4π・μ0 ・r3 (2)
磁界Hの二乗は次式で示される。
【0015】
2 =Hr2 +Hθ 2
=kr2 (3cos2 θ+1)
=kr2 (3x2 /r2 +1) (3)
但し、kr=(M/4π・μ0 ・r3 )とし、xはrのX軸成分とする。
【0016】
基準位置P1のX軸コイル(励磁コイル13X)を励磁したときの測定対象位置Pxの第一から第三の検出コイル15X、15Y、15Zに誘起される電圧をそれぞれEu1、Ev1、Ew1とすれば、X軸コイルを励磁した磁界の二乗Hx2 は次式で示される。ここでθ1 はr成分がX軸と作る角度とする。
【0017】
Hx2 =kr2 (3cos2 θ1 +1)
=ke2 (Eu12 +Ev12 +Ew12
=ke・Ex2 (4)
但し、Keは角度θを電圧に変換した時の比例定数である。
【0018】
(4)式をEx2 について解くと、
Ex2 =(kr2 /ke)・(3cos2 θ1 +1)
=(kr2 /ke)・(3x2 /r2 +1) (5)
同様にY軸、Z軸の励磁コイル13Y、13Zを励磁したときの出力電圧は、次式で示される。ここで、θ2 、θ3 はそれぞれ、r成分がY軸、Z軸と作る角度とする。
【0019】
Ey2 =(kr2 /ke)・(3cos2 θ2 +1)
=(kr2 /ke)・(3y2 /r2 +1) (6)
Ez2 =(kr2 /ke)・(3cos2 θ3 +1)
=(kr2 /ke)・(3z2 /r2 +1) (7)
(5)式から(7)式を合計すると次式となる。
【0020】
Ex2 +Ey2 +Ez2
=(kr2 /ke)・[3(x2 +y2 +z2 )/r2 +3]
=6(kr2 /ke) (8)
(8)式を(5)式に代入すれば、
Ex2 =(kr2 /ke)・(3cos2 θ1 +1)
=(Ex2 +Ey2 +Ez2 )・(3cos2 θ1 +1)/6 (9)
(9)式よりθ1 を算出すると、
3cos2 θ1
=6Ex2 /(Ex2 +Ey2 +Ez2 )−1
cosθ1
=(1/31/2 )・[6Ex2 /(Ex2 +Ey2 +Ez2 )−1]1/2
θ1 =cos-1{(1/31/2 )・[6Ex2 /(Ex2 +Ey2 +Ez2 )−1]1/2 } (10)
同様に、Y軸、Z軸についてのθ2 、θ3 は次式で示される。
【0021】
θ2 =cos-1{(1/31/2 )・[6Ey2 /(Ex2 +Ey2 +Ez2 )−1]1/2 } (11)
θ3 =cos-1{(1/31/2 )・[6Ez2 /(Ex2 +Ey2 +Ez2 )−1]1/2 } (12)
以上の通り、第一から第三の検出コイル15X、15Y、15Zに誘起される電圧Eu1、Ev1、Ew1を計測すれば、(10)式〜(12)式の演算のみにより、基準位置P1から測定対象位置Pxへの方位が求まることになる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方位測定装置においても以下のような問題点がある。第一〜第三励磁コイル13X〜13Zを互いに直交する三軸座標系のそれぞれの軸に中心軸が一致するように組合わせることは難しく、角度ずれが生じることは避けられない。加えて、励磁コイルにおいて交流磁界の強度を高めるためにはフェライトなどの透磁率の高い素材をコアとして使用するため、コア材の特性も含めた実際の磁界の直交性を保つことが必要となり、形状上の直交だけでは実際の磁界の直交性は得にくい。
【0023】
本発明の課題は、交流磁界を用いた方位測定方式であって、基準位置に配置される励磁コイルの形状、配置上の直交性の影響を受けることなく磁界の直交性を実現できる方位測定方式を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の形態によれば、互いに直交する磁界を発生させるべくあらかじめ決められた基準位置に配置された第一、第二、第三の励磁コイルと、前記第一、第二、第三の励磁コイルに順に交流信号を供給して励磁するための信号発生回路と、互いに直交する三軸座標系のそれぞれの軸に中心軸が一致するようにして前記基準位置から離れた測定対象位置に配置された第一、第二、第三の検出コイルと、前記第一、第二、第三の検出コイルの出力を順に取り出すための切換手段と、該切換手段から取り出された出力から電圧信号を得る電圧取出し回路とを含み、はじめに、前記第一の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、次に、前記第二の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、続いて、前記第三の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、前記第一、第二、第三の検出コイルから得られた合計9種類の誘起電圧を用いてあらかじめ定められた演算を行うことにより、前記基準位置から前記測定対象位置への方位を算出する方位測定装置であって、前記第一〜第三の励磁コイルのうちの1つの励磁コイル出力を基準とし、前記信号発生回路は、前記1つの励磁コイル以外の2つの励磁コイルのうちの一方の励磁コイルを励磁している時、前記一方の励磁コイルの磁界出力が前記1つの励磁コイルの磁界出力と直交するように前記1つ及び前記残りの2つの励磁コイルのうちの他方の励磁コイルに補償電圧を印加し、前記他方の励磁コイルを励磁している時には、該他方の励磁コイルの磁界出力が前記1つ及び前記一方の励磁コイルの磁界出力と互いに直交するように前記1つ及び前記一方の励磁コイルに補償電圧を印加することで互いに直交する交流磁界を生じさせるようにしたことを特徴とする方位測定方式が提供される。
【0025】
この第一の形態においては、前記信号発生回路は、発振回路と、該発振回路の出力を増幅する第一〜第三の可変出力増幅器と、該第一〜第三の可変出力増幅器の出力側に接続されてそれぞれの出力を前記第一〜第三の励磁コイルに供給する第一〜第三の切換回路と、前記第一〜第三の可変出力増幅器の出力を、励磁コイル励磁用の出力レベルと該励磁コイル励磁用の出力レベルより十分に低い前記補償電圧用の出力レベルとのいずれかになるように制御すると共に前記第一〜第三の切換回路における切換えを制御するための制御回路とを含む。
【0026】
本発明の第二の形態によれば、互いに直交する磁界を発生させるべくあらかじめ決められた基準位置に配置された第一、第二、第三の励磁コイルと、前記第一、第二、第三の励磁コイルに順に交流信号を供給して励磁するための信号発生回路と、互いに直交する三軸座標系のそれぞれの軸に中心軸が一致するようにして前記基準位置から離れた測定対象位置に配置された第一、第二、第三の検出コイルと、前記第一、第二、第三の検出コイルの出力を順に取り出すための切換手段と、該切換手段から取り出された出力から電圧信号を得る電圧取出し回路とを含み、はじめに、前記第一の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、次に、前記第二の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、続いて、前記第三の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、前記第一、第二、第三の検出コイルから得られた合計9種類の誘起電圧を用いてあらかじめ定められた演算を行うことにより、前記基準位置から前記測定対象位置への方位を算出する方位測定装置であって、前記第一〜第三の励磁コイルのそれぞれの中心軸上に巻かれた第一〜第三の補償コイルを有し、前記第一〜第三の励磁コイルのうちの1つの励磁コイル出力を基準とし、前記信号発生回路は、前記1つの励磁コイル以外の2つの励磁コイルのうちの一方の励磁コイルを励磁している時、前記一方の励磁コイルの磁界出力が前記1つの励磁コイルの磁界出力と直交するように前記1つの励磁コイルに対応する補償コイル及び前記残りの2つの励磁コイルのうちの他方の励磁コイルに対応する補償コイルに補償電圧を印加し、前記他方の励磁コイルを励磁している時には、該他方の励磁コイルの磁界出力が前記1つ及び前記一方の励磁コイルの磁界出力と互いに直交するように前記1つの励磁コイルに対応する補償コイル及び前記一方の励磁コイルに対応する補償コイルに補償電圧を印加することで互いに直交する交流磁界を生じさせるようにしたことを特徴とする位測定方式が提供される。
【0027】
本第二の形態においては、前記信号発生回路は、発振回路と、該発振回路の出力を増幅する第一〜第三の可変出力増幅器と、該第一〜第三の可変出力増幅器の出力側に接続されてそれぞれの出力を前記第一〜第三の励磁コイル及び前記の第一〜第三の補償コイルのいずれかに切換えて供給する第一〜第三の切換回路と、前記第一〜第三の可変出力増幅器の出力を、励磁コイル励磁用の出力レベルと該励磁コイル励磁用の出力レベルより十分に低い前記補償電圧用の出力レベルとのいずれかになるように制御すると共に前記第一〜第三の切換回路における切換えを制御するための制御回路とを含む。
【0028】
【作用】
本発明による方位測定方式によれば、方位測定のために励磁される主励磁コイル以外の励磁コイルに補償電圧を加えることで、コイル形状や磁性材料による特性あるいは配置上の位置決め誤差を補償することにより、交流磁界を直交するように発生させることが可能となる。
【0029】
また、励磁コイルに補償コイルを組み合わせることによっても同様の効果が得られ、磁界の直交性を保つことが容易となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第一の実施の形態による方位測定方式を実現する装置の構成を示す図である。本形態は、発振回路11と第一〜第三励磁コイル13X〜13Zとの間の構成、すなわち信号発生回路以外は図3に示された方位測定装置と同じである。したがって、図1では第一〜第三検出コイル15X〜15Z側の構成は図示を削除し、図3と同じ部分には同一番号を付している。勿論、第一〜第三検出コイル15X〜15Z側の動作についても図3で説明したのと同じであるので、説明は省略する。
【0031】
信号発生回路は、発振回路11と、発振回路11の出力を増幅する第一〜第三可変出力増幅器12−1〜12−3と、第一〜第三可変出力増幅器12−1〜12−3の出力側に接続されてそれぞれの出力を第一〜第三励磁コイル13X〜13Zに供給する第一〜第三の切換回路14−1〜14−3と、第一〜第三可変出力増幅器12−1〜12−3の出力を、励磁コイル励磁用の出力レベルとこれより十分に低い補償電圧用の出力レベルとのいずれかになるように制御すると共に第一〜第三の切換回路14−1〜14−3における切換えを制御するための制御回路20とから成る。制御回路20には、上記の制御のための情報があらかじめ設定されており、この情報は任意に設定変更することができる。
【0032】
発振回路11の出力は第一〜第三可変出力増幅器12−1〜12−3に入力され、第一〜第三の切換回路14−1〜14−3によって第一〜第三励磁コイル13X〜13Zに電圧が印加される。この際、方位測定のために励磁される励磁コイル(以下、主励磁コイルと呼ぶ)以外の励磁コイルには方位測定のための主励磁電圧よりも低い補償電圧が印加される。この補償電圧には、通常は主励磁電圧の1〜2%程度の電圧が用いられる。
【0033】
図1では、第一励磁コイル13Xを主励磁コイルとして第一可変出力増幅器12−1から主励磁電圧を印加し、第二及び第三励磁コイル13Y、13Zには第二及び第三可変出力増幅器12−2、12−3をそれぞれ接続して主励磁電圧よりも低い補償電圧を印加することが出来る接続状況を示している。
【0034】
なお、第一〜第三励磁コイル13X〜13Zのいずれかが基準励磁コイルとして設定される。例えば、第一励磁コイル13Xを基準励磁コイルとする場合、以下のようになる。
【0035】
制御回路20は、第一励磁コイル13Xに主励磁電圧を印加する場合、つまり主励磁コイルが第一励磁コイル13Xである場合、図1に示されるように、第二及び第三励磁コイル13Y、13Zには第二及び第三可変出力増幅器12−2、12−3をそれぞれ接続して主励磁電圧よりも低い補償電圧を印加する。
【0036】
次に、主励磁コイルが第二励磁コイル13Yとなる場合には、制御回路20は第一及び第三励磁コイル13X、13Zに補償電圧を印加する接続状況を作る。続いて、主励磁コイルが第三励磁コイル13Zとなる場合には、制御回路20は第一及び第二励磁コイル13X、13Yに補償電圧を印加する接続状況を作る。このような接続にするのは、主励磁コイルが第二励磁コイル13Yである場合には、第二励磁コイル13Yの磁界出力が第一励磁コイル13Xの磁界出力と直交するように補正し、主励磁コイルが第三励磁コイル13Zである場合には、第三励磁コイル13Zの磁界出力が第一及び第二励磁コイル13X、13Yの磁界出力と互いに直交するように補正するためである。このようにすることで、互いに直交する交流磁界を生じさせることができる。これは、例えば第二、第三励磁コイル13Y、13Zの中心軸がそれぞれ、第一励磁コイル13Xの中心軸に対して90度の角度から少し位ずれていたとしても互いに直交する交流磁界を生じさせることができることを意味する。
【0037】
なお、第一励磁コイル13Xを基準励磁コイルとする場合には、第一励磁コイル13Xが主励磁コイルである時には、第二及び第三励磁コイル13Y、13Zに補償電圧を印加しないで良い場合もある。これは、第一励磁コイル13Xが基準励磁コイルとなっている場合、第一励磁コイル13Xの発生する磁界が基準となっており、この基準磁界に第二あるいは第三励磁コイル13Y、13Zの発生する磁界を直交させれば良いからである。但し、第一励磁コイル13Xの発生する磁界が基準となっているとは言っても、第一励磁コイル13Xの中心軸が三軸上の一軸に一致せずずれている場合には、誤差を生じる可能性がある。これを考慮する場合には、上記のように、第一励磁コイル13Xが基準励磁コイルであって、第一励磁コイル13Xが主励磁コイルである時でも、第二及び第三励磁コイル13Y、13Zに補償電圧を印加する。
【0038】
上記の理由で、第二励磁コイル13Yを基準励磁コイルとする場合には、第二励磁コイル13Yが主励磁コイルである時には、第一及び第三励磁コイル13X、13Zに補償電圧を印加しないで良い場合もある。同様に、第三励磁コイル13Zを基準励磁コイルとする場合には、第三励磁コイル13Zが主励磁コイルである時には、第一及び第二励磁コイル13X、13Yに補償電圧を印加しないで良い場合もある。
【0039】
一方、第二励磁コイル13Yを基準励磁コイルとする場合には、以下のようになる。制御回路20は、第二励磁コイル13Yに主励磁電圧を印加する場合、つまり主励磁コイルが第二励磁コイル13Yである場合、第一及び第三励磁コイル13X、13Zには第一及び第三可変出力増幅器12−1、12−3をそれぞれ接続して主励磁電圧よりも低い補償電圧を印加する。次に、主励磁コイルが第一励磁コイル13Xとなる場合には、制御回路20は第二及び第三励磁コイル13Y、13Zに補償電圧を印加する接続状況を作る。続いて、主励磁コイルが第三励磁コイル13Zとなる場合には、制御回路20は第一及び第二励磁コイル13X、13Yに補償電圧を印加する接続状況を作る。
【0040】
このようにして、主励磁コイルが第一励磁コイル13Xである場合には、第一励磁コイル13Xの磁界出力が第二励磁コイル13Yの磁界出力と直交するように補正し、主励磁コイルが第三励磁コイル13Zである場合には、第三励磁コイル13Zの磁界出力が第一及び第二の励磁コイル13X、13Yの磁界出力と互いに直交するように補正する。
【0041】
第三励磁コイル13Zを基準励磁コイルとする場合でも原理は同じであるので説明は省略する。
【0042】
図2を参照して、本発明の第二の実施の形態について説明する。本形態は、発振回路11と第一〜第三励磁コイル13X〜13Zとの間の構成、すなわち信号発生回路と、第一〜第三補償コイル21X〜21Z以外は図3に示された方位測定装置と同じである。したがって、図2では第一〜第三検出コイル15X〜15Z側の構成は図示を削除し、図3と同じ部分には同一番号を付している。勿論、第一〜第三検出コイル15X〜15Z側の動作についても図3で説明したのと同じであるので、説明は省略する。
【0043】
信号発生回路は、発振回路11と、発振回路11の出力を増幅する第一〜第三可変出力増幅器12−1〜12−3と、第一〜第三可変出力増幅器12−1〜12−3の出力側に接続されてそれぞれの出力を第一〜第三励磁コイル13X〜13Z及び第一〜第三補償コイル21X〜21Zのいずれかに切換えて供給する第一〜第三の切換回路14−1´〜14−3´と、第一〜第三可変出力増幅器12−1〜12−3の出力を、励磁コイル励磁用の出力レベルとこの出力レベルより十分に低い補償電圧用の出力レベルとのいずれかになるように制御すると共に第一〜第三の切換回路14−1´〜14−3´における切換えを制御するための制御回路20とから成る。
【0044】
第一〜第三補償コイル21X〜21Zはそれぞれ、第一〜第三励磁コイル13X〜13Zのそれぞれの中心軸上に巻かれている。
【0045】
発振回路11の出力は第一〜第三可変出力増幅器12−1〜12−3に入力され、第一〜第三の切換回路14−1´〜14−3´によって第一〜第三励磁コイル13X〜13Z、第一〜第三補償コイル21X〜21Zにいずれかに電圧が印加される。この際、方位測定のために励磁される主励磁コイル以外の励磁コイルに対応する補償コイルには方位測定のための主励磁電圧よりも低い補償電圧が印加される。前述したように、この補償電圧には主励磁電圧の1〜2%程度の電圧が用いられる。なお、励磁コイルと補償コイルとの巻数比は、一例を言えば、100:1程度である。
【0046】
図2では、第一励磁コイル13Xを主励磁コイルとして第一可変出力増幅器12−1から主励磁電圧を印加し、第二及び第三励磁コイル13Y、13Zに対応する第二及び第三補償コイル21Y、21Zには第二及び第三可変出力増幅器12−2、12−3をそれぞれ接続して主励磁電圧よりも低い補償電圧を印加することが出来る接続状況を示している。
【0047】
本形態でも、第一〜第三励磁コイル13X〜13Zのいずれかが基準励磁コイルとして設定される。例えば、第一励磁コイル13Xを基準励磁コイルとする場合、以下のようになる。
【0048】
制御回路20は、第一励磁コイル13Xに主励磁電圧を印加する場合、つまり主励磁コイルが第一励磁コイル13Xである場合、図2に示されるように、第二及び第三励磁コイル13Y、13Zに対応する第二及び第三補償コイル21Y、21Zには第二及び第三可変出力増幅器12−2、12−3をそれぞれ接続して主励磁電圧よりも低い補償電圧を印加する。
【0049】
次に、主励磁コイルが第二励磁コイル13Yとなる場合には、制御回路20は第一及び第三励磁コイル13X、13Zに対応する第一及び第三補償コイル21X、21Zに補償電圧を印加する接続状況を作る。続いて、主励磁コイルが第三励磁コイル13Zとなる場合には、制御回路20は第一及び第二励磁コイル13X、13Yに対応する第一及び第二補償コイル21X、21Yに補償電圧を印加する接続状況を作る。このような接続にするのは、第一の実施の形態で述べたように、主励磁コイルが第二励磁コイル13Yである場合には、第二励磁コイル13Yの磁界出力が第一励磁コイル13Xの磁界出力と直交するように補正し、主励磁コイルが第三励磁コイル13Zである場合には、第三励磁コイル13Zの磁界出力が第一及び第二励磁コイル13X、13Yの磁界出力と互いに直交するように補正するためである。このようにすることで、第一の実施の形態と同じように互いに直交する交流磁界を生じさせることができる。
【0050】
第一の実施の形態で述べた理由により、第一励磁コイル13Xを基準励磁コイルとする場合、第一励磁コイル13Xが主励磁コイルである時には、第二及び第三補償コイル21Y、21Zに補償電圧を印加しないで良い場合もある。また、第二励磁コイル13Yを基準励磁コイルとする場合、第二励磁コイル13Yが主励磁コイルである時には、第一及び第三補償コイル21X、21Zに補償電圧を印加しないで良い場合もある。同様に、第三励磁コイル13Zを基準励磁コイルとする場合、第三励磁コイル13Zが主励磁コイルである時には、第一及び第二補償コイル21X、21Yに補償電圧を印加しないで良い場合もある。
【0051】
なお、図1の第一の実施の形態について言えば、3つの励磁コイルの組合わせを2組用意し、これらを2箇所に配置して基準位置を2箇所に設定することにより、2箇所の基準位置から測定対象位置への3次元空間における方位が求まる。そして、2箇所の基準位置の間隔が既知であるため、測定対象位置の3次元座標を求めることができることは言うまでもない。これは、前に述べた特願2000−245761号に詳しく説明されている。勿論、これは第二の実施の形態にも適用され得る。
【0052】
また、図2の第二の実施の形態について言えば、励磁コイルと、この励磁コイルの配置軸とは異なる軸上に巻かれている補償コイルとを直列に接続する形態でも同様の効果が得られる。さらに、第二励磁コイル13Yに第一及び第三補償コイル21X、21Zのどちらかを直列に接続するか、両方の補償コイルを直列に接続することによって第二励磁コイルの磁界発生方向を補償する接続形態なども用いることが出来ることは言うまでもない。これは、第三励磁コイルについても同様である。第二の実施の形態の説明では、補償電圧を主励磁電圧より十分に低くしているが、補償コイルの巻数を更に少なくすることで主励磁電圧と同じ値の補償電圧で補正を行うこともできる。この場合、可変出力増幅器は出力固定のもので良い。
【0053】
第一、第二の実施の形態のいずれにおいても、第一〜第三可変出力増幅器の出力レベルの切換え、第一〜第三の切換回路の切換えを制御回路により自動的に行うようにしているが、制御回路を使用せずにこれらの切換えをマニュアルで行うようにしても良い。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方位測定方式によれば、励磁コイルの磁界発生方向を直交させる手段として三軸のいずれかの励磁コイルを主励磁コイルとして励磁する際に、これと異なる軸方向の励磁コイルまたは補償コイルに微弱な電圧を印加することにより、主励磁コイルの発生する磁界方向を修正することが可能となるため、互いに直交する磁界を作ることが容易となるだけでなく、製作において三つの励磁コイルの組立てに精密さを要求されず、磁性材料の配置だけでなく磁性特性をも補償することが容易となり得られる効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態による方位測定方式を励磁コイル側について構成を示す図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態による方位測定方式を励磁コイル側について構成を示す図である。
【図3】本発明者により提案されている方位測定装置の構成を示す図である。
【図4】図3に示された方位測定装置の測定原理を説明するための図である。
【符号の説明】
11 発振回路
12−1〜12−3 第一〜第三可変出力増幅器
14−1〜14−3、14−1´〜14−3´ 第一〜第三の切換回路
13X〜13Z 第一〜第三励磁コイル
15X〜15Z 第一〜第三検出コイル
17 検波回路
18 電圧計
21X〜21Z 第一〜第三補償コイル

Claims (4)

  1. 互いに直交する磁界を発生させるべくあらかじめ決められた基準位置に配置された第一、第二、第三の励磁コイルと、
    前記第一、第二、第三の励磁コイルに順に交流信号を供給して励磁するための信号発生回路と、
    互いに直交する三軸座標系のそれぞれの軸に中心軸が一致するようにして前記基準位置から離れた測定対象位置に配置された第一、第二、第三の検出コイルと、
    前記第一、第二、第三の検出コイルの出力を順に取り出すための切換手段と、該切換手段から取り出された出力から電圧信号を得る電圧取出し回路とを含み、
    はじめに、前記第一の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、
    次に、前記第二の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、
    続いて、前記第三の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、
    前記第一、第二、第三の検出コイルから得られた合計9種類の誘起電圧を用いてあらかじめ定められた演算を行うことにより、前記基準位置から前記測定対象位置への方位を算出する方位測定装置であって、
    前記第一〜第三の励磁コイルのうちの1つの励磁コイル出力を基準とし、
    前記信号発生回路は、前記1つの励磁コイル以外の2つの励磁コイルのうちの一方の励磁コイルを励磁している時、前記一方の励磁コイルの磁界出力が前記1つの励磁コイルの磁界出力と直交するように前記1つ及び前記残りの2つの励磁コイルのうちの他方の励磁コイルに補償電圧を印加し、
    前記他方の励磁コイルを励磁している時には、該他方の励磁コイルの磁界出力が前記1つおよび前記一方の励磁コイルの磁界出力と互いに直交するように前記1つおよび前記一方の励磁コイルに補償電圧を印加することで互いに直交する交流磁界を生じさせるようにしたことを特徴とする方位測定方式。
  2. 請求項1記載の方位測定方式において、前記信号発生回路は、発振回路と、該発振回路の出力を増幅する第一〜第三の可変出力増幅器と、該第一〜第三の可変出力増幅器の出力側に接続されてそれぞれの出力を前記第一〜第三の励磁コイルに供給する第一〜第三の切換回路と、前記第一〜第三の可変出力増幅器の出力を、励磁コイル励磁用の出力レベルと該励磁コイル励磁用の出力レベルより十分に低い前記補償電圧用の出力レベルとのいずれかになるように制御すると共に前記第一〜第三の切換回路における切換えを制御するための制御回路とを含むことを特徴とする方位測定方式。
  3. 互いに直交する磁界を発生させるべくあらかじめ決められた基準位置に配置された第一、第二、第三の励磁コイルと、
    前記第一、第二、第三の励磁コイルに順に交流信号を供給して励磁するための信号発生回路と、
    互いに直交する三軸座標系のそれぞれの軸に中心軸が一致するようにして前記基準位置から離れた測定対象位置に配置された第一、第二、第三の検出コイルと、
    前記第一、第二、第三の検出コイルの出力を順に取り出すための切換手段と、該切換手段から取り出された出力から電圧信号を得る電圧取出し回路とを含み、
    はじめに、前記第一の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、
    次に、前記第二の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、
    続いて、前記第三の励磁コイルを励磁してその際の前記第一、第二、第三の検出コイルに誘起される電圧を順に取り出し、
    前記第一、第二、第三の検出コイルから得られた合計9種類の誘起電圧を用いてあらかじめ定められた演算を行うことにより、前記基準位置から前記測定対象位置への方位を算出する方位測定装置であって、
    前記第一〜第三の励磁コイルのそれぞれの中心軸上に巻かれた第一〜第三の補償コイルを有し、
    前記第一〜第三の励磁コイルのうちの1つの励磁コイル出力を基準とし、
    前記信号発生回路は、前記1つの励磁コイル以外の2つの励磁コイルのうちの一方の励磁コイルを励磁している時、前記一方の励磁コイルの磁界出力が前記1つの励磁コイルの磁界出力と直交するように前記1つの励磁コイルに対応する補償コイル及び前記残りの2つの励磁コイルのうちの他方の励磁コイルに対応する補償コイルに補償電圧を印加し、
    前記他方の励磁コイルを励磁している時には、該他方の励磁コイルの磁界出力が前記1つおよび前記一方の励磁コイルの磁界出力と互いに直交するように前記1つの励磁コイルに対応する補償コイルおよび前記一方の励磁コイルに対応する補償コイルに補償電圧を印加することで互いに直交する交流磁界を生じさせるようにしたことを特徴とする方位測定方式。
  4. 請求項3記載の方位測定方式において、前記信号発生回路は、発振回路と、該発振回路の出力を増幅する第一〜第三の可変出力増幅器と、該第一〜第三の可変出力増幅器の出力側に接続されてそれぞれの出力を前記第一〜第三の励磁コイル及び前記の第一〜第三の補償コイルのいずれかに切換えて供給する第一〜第三の切換回路と、前記第一〜第三の可変出力増幅器の出力を、励磁コイル励磁用の出力レベルと該励磁コイル励磁用の出力レベルより十分に低い前記補償電圧用の出力レベルとのいずれかになるように制御すると共に前記第一〜第三の切換回路における切換えを制御するための制御回路とを含むことを特徴とする方位測定方式。
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