JP4526695B2 - ディスク式スチームトラップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変圧室すなわち熱力学的蒸気室の圧力変化に応じて開閉動作を行う弁ディスクを用いて、各種蒸気使用機器や蒸気配管で発生する復水を自動的に排出するディスク式スチームトラップに関し、特に弁ディスクが内外輪弁座から僅かに離れたときに連続して一気に全開できるようにしたものに関する。
【0002】
ディスク式スチームトラップの基本的構成は、入口と出口を有する本体に蓋体を固着して内部に変圧室を形成し、変圧室の中心に開口する噴出孔を設けて入口と変圧室を連通し、噴出孔の外周囲に開口する環状溝を設けて、噴出孔と環状溝の間に内輪弁座を、環状溝の外周囲に外輪弁座を形成し、環状溝から排出孔を設けて変圧室を環状溝と排出孔を通して出口に連通し、内輪弁座と外輪弁座からなる弁座面に対して離着座する平坦円板状の弁ディスクを変圧室に配置したもので、変圧室内の蒸気が凝縮して圧力低下を来たすことによって、弁ディスクが内外輪弁座から離座し開弁するものである。このディスク式スチームトラップにおいては、弁ディスクが開弁動作を開始する間際になると、内外輪弁座とのシール力が弱まるので、内外輪弁座との間に僅かな隙間を生じ、流体が出口にたらたらと排出され、蒸気漏れと見誤り好ましくなかった。
【0003】
【従来の技術】
そこで、弁ディスクが内外輪弁座から僅かに離れたときに連続して一気に全開できるディスク式スチームトラップとして、特開平8−285187号公報に開示されたものがある。これは、環状溝に環状溝の内周壁を摺動する補助内輪弁座環を配置し、弁ディスクの開弁時に補助内輪弁座環の上端を内外輪弁座の弁座面よりも僅かに突出せしめる弾性部材を設けたもので、弁ディスクが内外輪弁座から僅かに離れても、補助内輪弁座環が弁ディスクとの当接を維持し、噴出孔よりも大径の補助内輪弁座環を介して入口側の流体圧力を弁ディスクに対する開弁力として作用せしめることにより、弁ディスクが内外輪弁座から僅かに離れたときに連続して一気に全開できるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のディスク式スチームトラップは、弁ディスクが内外輪弁座から僅かに離れたときに連続して一気に全開できるものであるが、弁ディスクが内外輪弁座から僅かに離れたときに、弁ディスクと外輪弁座との間に僅かな隙間を生じるために、変圧室の流体が出口に僅かに排出され、改良の余地を残すものであった。従って、本発明の技術的課題は、弁ディスクが内外輪弁座から僅かに離れたときに、流体を排出することなく連続して一気に全開できるディスク式スチームトラップを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、入口と出口を有する本体に蓋体を固着して内部に変圧室を形成し、変圧室の中心に開口する噴出孔を設けて入口と変圧室を連通し、噴出孔の外周囲に開口する環状溝を設けて、噴出孔と環状溝の間に内輪弁座を形成すると共に、環状溝の外周囲に内輪弁座と同一平面の外輪弁座を形成し、環状溝から排出孔を設けて変圧室と出口を連通し、内輪弁座と外輪弁座からなる弁座面に対して離着座する円板状の弁ディスクを変圧室に配置し、環状溝に環状溝の内周壁を摺動する補助内輪弁座環を配置し、弁ディスクの開弁時に補助内輪弁座環の上端を内外輪弁座の弁座面よりも僅かに突出せしめる弾性部材としてのバネを、環状溝の底壁と補助内輪弁座環の下面との間に設けたものにおいて、環状溝の外周壁を摺動する補助外輪弁座環を補助内輪弁座環に連結し、弁ディスクの開弁時に補助内輪弁座環の上端と補助外輪弁座環の上端を内外輪弁座の弁座面よりも僅かに突出せしめるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、弁ディスクの開弁時に、補助内輪弁座環の上端と補助外輪弁座環の上端を内外輪弁座の弁座面よりも僅かに突出させるものである。そのため、弁ディスクが内外輪弁座から僅かに離れたときに、補助内輪弁座環と補助外輪弁座環が弁ディスクとの当接を維持し、流体を排出しない。そして、噴出孔よりも大径の補助内輪弁座環を介して作用する入口側の流体圧力により弁ディスクが一気に全開する。これにより、弁ディスクが内外輪弁座から僅かに離れたときに、流体を排出することなく連続して一気に全開できる。
【0007】
【実施例】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する(図1参照)。
本体1に蓋体2をねじ結合して内部に変圧室3を形成する。本体1に入口4と出口5をほぼ同一軸上に形成する。本体1に変圧室3の中心に開口する噴出孔6を開け、噴出孔6を介して入口4と変圧室3を連通する。噴出孔6の外周囲に環状溝8を設けて、噴出孔6と環状溝8の間に環状の内輪弁座9を形成し、環状溝8の外周囲に環状の外輪弁座10を形成する。内輪弁座9と外輪弁座10は同心円状で同一平面に形成する。環状溝8の終端を排出孔7を介して出口5に連通する。内輪弁座9と外輪弁座10の上面の弁座面に離着座して開閉弁を行う円板状の弁ディスク11を変圧室3内に自由状態で配置する。
【0008】
環状溝8の内周壁を摺動する補助内輪弁座環12を環状溝8に配置する。補助内輪弁座環12の内径は、環状溝8の内径よりも微少大きく形成され、両者の間から流体が漏れることは殆どない。環状溝8の外周壁を摺動する補助外輪弁座環14を、3本のリブ15を介して補助内輪弁座環12に連結する。補助外輪弁座環14の外径は、環状溝8の外径よりも微少小さく形成され、両者の間から流体が漏れることは殆どない。
【0009】
環状溝8の底壁と補助内輪弁座環12の下面との間に弾性部材としてのリング状の波形バネ13を配置する。波形バネ13の付勢力によって、弁ディスク11が内外輪弁座9,10から僅かに離れたときに、補助内輪弁座環12の上端と補助外輪弁座環14の上端は内外輪弁座9,10の弁座面よりも僅かに突出し、弁ディスク11下面との当接を維持する。
【0010】
次に作用を説明する。変圧室3内に蒸気が滞留していない場合、噴出孔6を介して弁ディスク11に作用する入口4側の流体圧力により、弁ディスク11は内外輪弁座9,10から離座して低温復水を環状溝8と排出孔7を介して出口5へ排出する。
【0011】
復水が排出されて変圧室3内に蒸気が流入してくると、変圧室3内の圧力が上昇すると共に、弁ディスク11下面を高速の蒸気が流下して静圧低下を来たすことによって、弁ディスク11は補助内輪弁座環12と補助外輪弁座環14に着座し、波形バネ13と波形バネ15の付勢力に抗して内外輪弁座9,10に着座して閉弁する。
【0012】
変圧室3内の蒸気が放熱等により凝縮しその蒸気圧力が低下してくると、弁ディスク11は図1に示すように補助内輪弁座環12及び補助外輪弁座環14との当接を維持した状態で内外輪弁座9,10から僅かに離座し、補助内輪弁座環12を介して作用する入口4側の流体圧力により連続して一気に全開する。以上のような開閉弁のサイクルを繰り返す。
【0013】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、弁ディスクが内外輪弁座から僅かに離れたときに、流体を排出することなく連続して一気に全開できるので、蒸気漏れと見誤ることがなくなる。また弁ディスクは補助内輪弁座環と補助外輪弁座環に着座した後に内外輪弁座に着座するので、着座の衝撃が弾性部材によって緩和され、補助内輪弁座環と補助外輪弁座環と内外輪弁座及び弁ディスクの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスク式スチームトラップの実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 本体
2 蓋体
3 変圧室
4 入口
5 出口
6 噴出孔
7 排出孔
8 環状溝
9 内輪弁座
10 外輪弁座
11 弁ディスク
12 補助内輪弁座環
13 波形バネ
14 補助外輪弁座環
15 リブ
Claims (1)
- 入口と出口を有する本体に蓋体を固着して内部に変圧室を形成し、変圧室の中心に開口する噴出孔を設けて入口と変圧室を連通し、噴出孔の外周囲に開口する環状溝を設けて、噴出孔と環状溝の間に内輪弁座を形成すると共に、環状溝の外周囲に内輪弁座と同一平面の外輪弁座を形成し、環状溝から排出孔を設けて変圧室と出口を連通し、内輪弁座と外輪弁座からなる弁座面に対して離着座する円板状の弁ディスクを変圧室に配置し、環状溝に環状溝の内周壁を摺動する補助内輪弁座環を配置し、弁ディスクの開弁時に補助内輪弁座環の上端を内外輪弁座の弁座面よりも僅かに突出せしめる弾性部材としてのバネを、環状溝の底壁と補助内輪弁座環の下面との間に設けたものにおいて、環状溝の外周壁を摺動する補助外輪弁座環を補助内輪弁座環に連結し、弁ディスクの開弁時に補助内輪弁座環の上端と補助外輪弁座環の上端を内外輪弁座の弁座面よりも僅かに突出せしめることを特徴とするディスク式スチームトラップ。
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