JPH071600Y2 - ディスク式スチームトラップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は蒸気配管系に取り付けてそこに発生する復水を
自動的に排出するディスク式スチームトラップに関し、
特に高圧蒸気系で使用するものに於いて、開閉弁作動の
インターバルの適正化を図ったものに関する。

従来の技術 ディスク式スチームトラップは、本体と蓋体とで内部に
変圧室を形成し、本体の変圧室側の中心に噴出孔を開け
て入口と変圧室を連通せしめ、噴出孔の外周囲に環状溝
を設けて、噴出孔と環状溝の間に内輪弁座を、環状溝の
外周囲に内輪弁座と同心円状で同一平面の外輪弁座を形
成し、環状溝から排出孔を開けて変圧室を出口に連通せ
しめ、内輪弁座と外輪弁座からなる弁座面に対して離着
座する円板状の弁ディスクを変圧室内に配置したもので
ある。弁ディスクを変圧室の圧力変化によって自力的に
制御して弁座面に離着座させ、復水を自動的に排出す
る。

本考案が解決しようとする課題 このディスク式スチームトラップに於いては、閉弁から
次の開弁動作を起こすまでの閉弁時間が入口側に復水の
過度滞留を起こさない限りにおいて長く維持できること
が好ましい。しかしながら、高温高圧蒸気系に使用する
場合は、入口と出口の差圧が大きいので、噴出孔の径は
弁ディスクに比較して小さく設計する必要がある。する
と、設計圧力に端する前の低圧時に於いて、噴出孔から
弁ディスクに作用する開弁力が変圧室の弁ディスクに作
用する閉弁力に打勝つことができず、弁ディスクが早期
に閉弁してしまい、開弁から閉弁に至る開弁時間が短く
なる。この開弁時間が短いと、変圧室内圧が充分に上昇
できなくなり、上記の閉弁時間が短くなってしまう。そ
して、これを繰り返すうちに、入口側に復水が滞留して
いないにもかかわらず弁ディスクが頻繁に開閉弁を繰り
返すいわゆる空打ちを生じてしまう。

従って、本考案の技術的課題は、低圧時に弁ディスクが
早期に閉弁しないようにすることである。

課題を解決するための手段 上記の技術的課題を解決するために講じた本考案の技術
的手段は、本体と蓋体とで内部に変圧室を形成し、本体
の変圧室側の中心に噴出孔を開けて入口と変圧室を連通
せしめ、噴出孔の外周囲に環状溝を設けて、噴出孔と環
状溝の間に内輪弁座を、環状溝の外周囲に内輪弁座と同
心円状で同一平面の外輪弁座を形成し、環状溝から排出
孔を開けて変圧室を出口に連通せしめ、内輪弁座と外輪
弁座からなる弁座面に対して離着座する円板状の弁ディ
スクを変圧室内に配置したものに於いて、弁ディスク上
方の蓋体に変圧室と連通する空間を開け、開弁した弁デ
ィスクの上面で上記空間の変圧室側連通部を遮断するよ
うにした、ものである。

作用 上記の技術的手段の作用は下記の通りである。

始動時等の低圧時に於いて、開弁した弁ディスクは蓋体
に形成した空間を遮断している。変圧室内には排出流体
の一部が流れ込み圧力上昇するが、空間内は弁ディスク
で遮断されているので、圧力上昇しない。弁ディスクに
はこの変圧室内圧と空気内圧との差圧で、空間側に押し
付けられる力が作用するので、早期に閉弁してしまうこ
とがなくなる。従って、開弁時間が長くなるので、変圧
室内圧は充分に上昇することができ、閉弁時間も長くな
り、空打ちを生じることがない。

考案の効果 本考案は下記の特有の効果を生じる。

上記の様に本考案によれば空打ちが生じないので、蒸気
漏れがなくなり、また、弁ディスクと弁座の当接部の摩
耗が少なく、寿命が長くなる。

実施例 上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する。

実施例１（第１図参照） 本体１に蓋体２をねじ結合して内部に変圧室３を形成す
る。本体１に入口５と出口６をほぼ同一軸上に形成す
る。

本体１の中心に噴出孔７を開けて入口５と変圧室３を連
通せしめる。噴出孔７の外周囲には環状溝９を設けて、
噴出孔７と環状溝９の間に環状の内輪弁座10を、環状溝
９の外周囲に環状の外輪弁座11を形成する、内輪弁座10
と外輪弁座11は同心円状で同一平面に形成する。環状溝
９から排出孔12を開けて変圧室３と出口６を連通せしめ
る。

変圧室３内に円板状の弁ディスク13を配置する。

弁ディスク13の上方の蓋体２に空間15を形成する。空間
15は細孔16と拡大部分17を介して変圧室３に連通してい
る。図示のものは、弁ディスク13が内輪弁座10と外輪弁
座11に着座して閉弁している状態を示している。弁ディ
スク13は開弁すると、上昇して蓋体２の突出部に当接
し、空間15を遮断する。

本実施例に於いては、空間15を細孔16と拡大部分17を介
して変圧室３に連通せしめているので、弁ディスク13が
開弁時に空間を完全に遮断できなくても、細孔16によ
り、空間15への流体の流入を少なくすることができる。
また、拡大部分17により、弁ディスク13のシール径を大
きくしている。

実施例２（第２図参照） 本実施例は、蓋体のみを図示したものであり、蓋体22に
上方に突出した突起部28を形成し、そこに空間25を形成
したものである。この場合は空間25が外気で冷却され易
くなるので、変圧室と空間25との差圧をより大きくする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例のディスク式スチームトラップ
の断面図、第２図は本考案の他の実施例の蓋体のみの断
面図である。 1:本体、2:蓋体 3:変圧室、5:入口 6:出口、10:内輪弁座 11:外輪弁座、12:排出孔 13:弁ディスク、15:空間 25:空間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】本体と蓋体とで内部に変圧室を形成し、本
   体の変圧室側の中心に噴出孔を開けて入口と変圧室を連
   通せしめ、噴出孔の外周囲に環状溝を設けて、噴出孔と
   環状溝の間に内輪弁座を、環状溝の外周囲に内輪弁座と
   同心円状で同一平面の外輪弁座を形成し、環状溝から排
   出孔を開けて変圧室を出口に連通せしめ、内輪弁座と外
   輪弁座からなる弁座面に対して離着座する円板状の弁デ
   ィスクを変圧室内に配置したものに於いて、弁ディスク
   上方の蓋体に変圧室と連通する空間を開け、開弁した弁
   ディスクの上面で上記空間の変圧室側連通部を遮断する
   ようにしたことを特徴とするディスク式スチームトラッ
   プ。