JP4524509B2 - 自動合成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、化合物を自動的に合成する自動合成装置に係り、特に、試薬及び溶媒(反応液)を反応容器へ分注供給する分注手順(分注プロトコル)を設定するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
製薬、ライフサイエンス、化学、材料等の研究分野において用いられる従来の自動合成装置は、合成反応を行う多数個の反応容器が配列された反応ブロックを備えており、予め設定された分注手順である分注プロトコルに基づいて、各反応容器内に試薬や溶媒などをそれぞれ分注するとともに、反応ブロックを例えば加熱、振動させることによって、各反応容器内における合成反応を促進させ、各反応容器内に合成化合物を生成するように構成されている。
【0003】
分注プロトコルを設定するには、先ず、作業者が、合成反応の一連の手順を示す合成手順(合成プロトコル)を設定する合成プロトコル作成画面をモニタに表示させる。表示された合成プロトコル作成画面に分注プロトコルに関して直接手入力で分注プロトコルを設定する。或いは、分注先をマウス等で選択して合成プロトコル作成画面に入力する。
【0004】
詳述すると、図9に示すように、画面表示モニタ上に分注プロトコル設定用画面P1と合成プロトコル作成画面P2とが重畳表示される。分注プロトコル設定用画面P1には、試薬及び溶媒の吸引元、分注先等の指定等の機能が備わっている。一方、合成プロトコル作成画面P2には、合成反応の一連の手順、例えば、分注、攪拌、容器洗浄等の設定等の機能が備わっている。また、合成プロトコル作成画面P2上には、図10に示すように、それぞれの合成のコマンド、例えば、分注、攪拌、容器洗浄等に関するコマンドについてタブ式インデックス群が表示されており、それぞれの合成のコマンドについて各タブ式インデックスを選択指定することができる。例えば、分注に関するタブ式インデックス、即ち分注インデックスP2aを選択すると、手入力による設定、例えば、分注量の設定等の操作や、分注プロトコル設定用画面P1で設定した分注プロトコルの内容が分注インデックスP2a上に取り込まれて表示される。
【0005】
さらに、詳述すると、分注プロトコル設定用画面P1には、図11に示すように、中寄り左上区域RAにある頻用試薬マークMAと中寄り左下区域Raにある常用試薬(合成試薬)マークMaと左端区域RBにある溶媒マークMB及び右端区域RCにある反応容器マークMCとが選択指定用マークとして一覧表示されていて、マウス22でもって試薬および溶媒と反応容器の選択指定が行える構成となっている。それぞれのマークの並びは、実際の容器の並びに各々対応付けられている。それぞれのマークの並びをマウスでクリックまたはドラッグすることにより、試薬及び溶媒の吸引元、分注先が決まり、その結果が合成プロトコル作成画面P2上の分注インデックスP2a上に取り込まれて表示される。
【0006】
例えば、分注プロトコル設定用画面P1の合成試薬マークMaについてA行目で1列目にある1Aを、溶媒マークMBについて溶媒ー4を、反応容器マークMCについてA列とC列とE列とG列との各縦一列(1行から12行まで)を、それぞれ選択指定する。選択指定されたそれぞれのマークの画面上の色が反転して、その結果が図10に示すような分注インデックスP2a上に取り込まれて表示される。分注インデックスP2a上の吸引の欄には吸引元である合成試薬ラックが、吸引の下の容器の欄には選択された合成試薬ラック上の合成試薬マークMaである1Aが、注入の欄には分注先である反応ラックーSが、注入の下の容器の欄には選択された反応ラックーS上の反応容器マークMCであるA列とC列とE列とG列との各縦一列(1A、1C、1E、…、12E、12G)が、それぞれ表示される。
【0007】
上記で設定された分注プロトコルに基づいて、各反応容器内に試薬や溶媒などがそれぞれ分注される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
即ち、上記の従来例では分注先である反応容器は全部で96個である。吸引元である試薬及び溶媒の設定、分注量等が反応容器毎に様々なので、マウスのドラッグにより、複数個を選択した場合でも、従来の分注プロトコルの設定では手間がかかる。反応容器が192個、384個の場合には、それに伴って分注プロトコルはさらに煩雑化する。従って、作業者にとって、大きな負担となり、分注プロトコルの設定までの作業効率が悪くなる。また、手入力、マウスのドラッグ指定によって、作業者の入力設定ミスをも引き起こす。
【0009】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、合成反応を行うための分注プロトコルを簡単に設定することができる自動合成装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に係る発明は、合成反応を行う複数個の反応容器が配列されている反応ブロックと、反応ブロックの各反応容器に反応液を分注する分注手段とを備え、予め設定された分注手順に従って反応液が分注供給された反応容器において合成反応が行われるよう構成された自動合成装置において、(a)反応ブロックの各反応容器にそれぞれ対応する反応容器マークを表示する反応ブロック表示手段と、(b)反応容器マークの並びを何分割するのかを表した分割パターンを予め提示するパターン提示手段と、(c)分割パターンを選択するパターン選択手段と、(d)パターン提示手段とパターン選択手段とによって決定された反応容器マークの並びに対する分割パターンに基づいて、分注手順を作成する分注手順作成手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動合成装置において、入力操作用の入力操作装置を更に備え、分注手順作成手段が分注手順を作成する際、分割された反応容器マークの並びの反応容器マークの1つを入力操作装置で選択指定すると、残りの分割についても選択された反応容器マークと同じ領域に相当する反応容器マークが同時に選択指定されることを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
請求項1に記載の発明の作用について説明する。
本発明に係る自動合成装置によれば、反応ブロック表示手段とパターン提示手段とによって、反応容器マークの並びに対する分割パターンが画面上に表示される。組合せ選択手段によって、その分割パターンが選択されるので、1つの分割パターンについて即座に決まる。分注手順作成手段により選択設定された前記分割パターンに応じて、各反応容器内に試薬や溶媒などがそれぞれ分注される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明する。
図1はこの発明の実施例に係る有機自動合成装置の全体構成を示すブロック図である。図2は実施例装置の反応系の構成を示す平面図である。図3は実施例装置の反応ブロックの要部構成を示す概略図である。
【0014】
実施例の自動合成装置は、図1に示すように、実際に合成反応が行われる反応系と、その反応系の動きを制御する制御系とを備えている。以下、実施例装置の反応系の構成から先に説明する。
【0015】
実施例装置は、合成反応を行う複数個の反応容器2が配列されている反応ブロック1と、反応容器(反応ベッセル)2内に例えば試薬及び溶媒などの複数種類の反応液を所定の手順に従って分注する液体分注部3とを備えている。各反応容器2は、図2に示すように、縦横マトリックス状の配列で反応ブロック1に設置される。反応ブロック1に設置される反応容器2の数は、特定の数に限られず、例えば96個や384個といった数十から数百前後の容器数が例示される。実施例装置の場合、試薬及び溶媒が共通の分注機構により反応容器2に分注供給される形態であるが、試薬と溶媒がそれぞれ別の分注機構によって分注供給されるような形態であってもよい。
【0016】
液体分注部3は、シリンジ4とこのシリンジ4を左右(X)・前後(Y)・上下(Z)に移動させるシリンジ移動機構部5とを備え、制御系側からの指令信号に従ってシリンジ移動機構部5が作動して、シリンジ4が必要な位置へ移動されるように構成されている。
【0017】
一方、反応ブロック1の傍らには、使用量が比較的多い薬液などが貯留されている大きめの頻用試薬容器(頻用試薬バイアル)6と、使用量が比較的少ない薬液などが貯留されている小さめの常用試薬容器(常用試薬バイアル)7とが、それぞれ必要本数セットするための場所が設けられている。また、反応ブロック1の傍らには、溶媒が貯留されている溶媒容器(ガロンビン)8を必要本数セットするための場所も設けられており、セットされた各溶媒容器8はそれぞれ送液ライン9によってシリンジ4と接続可能に構成されている。頻用試薬容器6や常用試薬容器7、溶媒容器8の装置へのセットは作業者によって行われる。なお、これら容器6,7,8に貯留されている試薬や溶媒は、この発明における反応液に相当する。
【0018】
薬液を反応容器2に分注供給する場合、図1の中に点線で図示するように、シリンジ4を分注対象の薬液が貯留されている頻用試薬容器6あるいは常用試薬容器7の位置まで移動させてシリンジ針4aから試薬を吸引させた後、シリンジ4の試薬を分注する反応容器2の位置へ移動させてから、吸引試薬をシリンジ針4aから反応容器2へ注入する。
【0019】
溶媒を反応容器2に分注供給する場合、分注対象の溶媒が貯留されている溶媒容器8から送液ライン9経由で溶媒をシリンジ4に導入させるとともに、シリンジ4を溶媒分注対象の反応容器2の位置へ移動させて、導入溶媒をシリンジ針4aから反応容器2へ注入させる。なお、通常は上述のように、頻用試薬容器6あるいは常用試薬容器7の位置で液の吸引を行い、反応容器2の位置で液の注入を行うようシリンジ4を移動させるのであるが、実施例装置の場合、逆に、反応容器2の位置で液の吸引を行い、頻用試薬容器6あるいは常用試薬容器7の位置で液の注入を行うようシリンジ4を移動させることも可能な構成となっている。
【0020】
実施例装置の反応ブロック1の場合、図3に示すように、各反応容器2の注入口を蓋するシート状の共通セプタム10と、反応容器2の底側内部を塞ぐように各反応容器2ごとに取り付けられた加圧透液型フィルタ11と、反応容器2の底に連通するよう各反応容器2ごとに配管されたドレイン12が設けられているとともに、反応容器2の注入口側にガスボンベGBからの加圧気体(例えば高圧不活性ガス)を導入するガス導入ライン13が設けられている。したがって、試薬注入あるいは溶媒注入の際には、シリンジ針4aが共通セプタム10を貫通して反応容器2の中まで進入することになる。また、各反応容器2の中には適当量の固相反応用のレジン粒14がそれぞれ投入されている他、ガス導入ライン13の末端には、開閉弁15が設けられており、反応容器2に加圧気体を導入する時は開閉弁15が閉じられるよう構成されている。
【0021】
また、実施例装置には、合成反応実施中の反応ブロック1を振動させて各反応容器2の中のレジン粒14を揺する振動部16が設置されている他、反応過程で各反応容器2に生じる不要物を排出する排出用トレイ17、及び、合成反応により各反応容器2で得られた合成化合物を各反応容器2ごとに回収する回収用ブロック18も、それぞれ反応ブロック1の下側位置と待機位置の間を移動可能に配設されている。
【0022】
なお、実施例の自動合成装置における合成プロセスでは、必要な試薬や溶媒が分注供給された各反応容器2のレジン粒14の内で固相反応が進行して目的の合成化合物が得られる。合成反応終了後は、レジン粒14の内部に生成した化合物を取り出す抽出用(酸性)薬液を注入口から送り込む。化合物が抽出されたら、ガスボンベGBの加圧気体をガス導入ライン13から導入し、合成化合物を抽出用薬液と一緒に加圧透液型フィルタ11を透過させてドレイン12から回収用ブロック18へ押し流す。
【0023】
次に、実施例装置の制御系の構成を説明する。実施例の自動合成装置の場合、装置稼働に必要な種々の画面を表示する映像表示モニタ19や装置稼働に必要な種々の制御を適時に実行するコントロール部20を備えるとともに、このコントロール部20に接続される例えば入力操作用のキーボード(操作卓)21やマウス(ポインティングデバイス)22など入力操作装置を備えている他、後述する分割パターンを提示する、分割パターンを選択する、反応マークを表示する、または分注手順(分注プロトコル)を作成するため等の特徴的な構成を備えている。以下、この特徴的な構成を中心として具体的に説明する。
【0024】
実施例装置のコントロール部20は、装置稼動に必要な画面を映像表示モニタ19に映し出す画面表示部23と、合成プロトコル内の分注手順(分注プロトコル)通りに分注動作を実行させるための指令信号を液体分注部3へ送出する分注制御部24と、反応ブロック1の各反応容器2の並びにそれぞれ対応するように表示された反応容器マークに基づいて前記反応容器マークの並びに対する分割パターンを予め提示する組合せ提示部25と、入力操作に基づいて前記分割パターンを選択する組合せ選択部26と、組合せ提示部25と組合せ選択部26とによって決定された反応容器マークの並びに対する分割パターンに基づいて分注手順を作成する分注プロトコル作成部27とを備えている。
【0025】
画面表示部23は、作業者が合成プロトコルを設定するための合成プロトコル作成画面や、前記等を表示させて分注プロトコルを設定するための分注プロトコル設定用画面といったウィザード形式の画面などの各種の画面を適宜表示するものである。なお、この画面表示部23に表示される前記分注プロトコル設定用画面は、本発明における反応ブロック表示手段に相当する。
【0026】
分注制御部24は、合成プロトコルに含まれる分注工程に応じた指令信号を液体分注部3へ送信する。また、合成プロトコルに含まれる他の工程に応じた指令信号も反応系側の対応する機構に送られる。そして、合成プロトコルに含まれる各工程が実行されることで、各反応容器2にはそれぞれの条件に応じた合成化合物がそれぞれ生成される。
【0027】
組合せ提示部25は、画面表示部23によって映像表示モニタ19の分注プロトコル設定用画面に表示された反応容器マークに基づいて、前記反応容器マークの並びに対する分割パターンを予め提示するものである。例えば、96個の反応容器2からなるブロックで構成されていて、行方向に(1、2、…、11、12)行、列方向に(A、B、C、D、E、F、G、H)列ずつ並べられているとき、図4に示すように、分割提示画面25Aが呼び出される。分割提示画面25Aには、96個の反応容器2の並びにそれぞれ対応して96個の各反応マークが並べられていて、その96個の反応マークに対する横の分割パターンがそれぞれ提示される。分割パターン25aには1分割、即ち分割されていない12行×8列が、分割パターン25bには2分割、即ち6行×8列×2分割の分割パターンが、分割パターン25cには3分割、即ち4行×8列×3分割の分割パターンが、分割パターン25dには4分割、即ち3行×8列×4分割の分割パターンが、分割パターン25eには6分割、即ち2行×8列×6分割の分割パターンがそれぞれ提示される。なお、これらの分割パターンは予め設定されていて反応容器2の数に応じていつでも呼び出されるように構成されている。また、上述した実施例では、反応容器2の数は96個だが、特定の数に限られず、例えば192個や384個といった容器数等、特に限定されない。なお、図4の分割提示画面25Aでは6分割を超える分割について提示していないが、それを超える分割をも提示する、例えば、12分割をも提示するような構成であってもよい。また、この組合せ提示部25は、本発明におけるパターン提示手段に相当する。
【0028】
組合せ選択部26は、組合せ提示部25によって提示された分割パターンを、キーボード21やマウス22を用いて選択するものである。例えば、分割提示画面25Aには、図4に示すように、分割パターン25aから25eまでそれぞれ対応するように番号が割り振られている。即ち、1分割の分割パターン25aには番号1が、2分割の分割パターン25bには番号2が、3分割の分割パターン25cには番号3が、4分割の分割パターン25dには番号4が、6分割の分割パターン25eには番号5がそれぞれ割り振られている。前記番号を選択するアイコン26Aをマウス22でクリックすれば、分割パターンに応じて割り振られた番号を示す番号選択画面26Bが分割提示画面25Aに重畳表示(プルダウン表示)される。番号選択画面26Bに対してスクロール操作を行い、選択する分割パターンに対応する番号をマウス22でクリックすれば、その番号が選択される。例えば、3分割の分割パターン25cを選択する場合、分割パターン25cに対応する番号3の『3』を番号選択画面26Bよりマウス22でクリックすると、その分割パターン25cが選択される。なお、番号を選択する方法は、プルダウン表示画面からマウス22でクリックする方法だけに限らず、分割パターンに応じて割り振られた番号をキーボード21等を用いて手入力することによる選択方法等、特に限定されない。なお、この組合せ選択部26は、本発明における組合せ選択手段に相当する。
【0029】
分注プロトコル作成部27は、組合せ提示部25と組合せ選択部26とによって決定された分割パターンに基づいて、分注プロトコルを作成する。例えば、図4に示すように、3分割の分割パターン25c(番号3)を選択する場合、その分割パターン25cに基づいて、図5に示すような映像表示モニタ19の分注プロトコル設定用画面P1に右端区域RCにある3分割された反応容器マークMCの並びが表示される。なお、本実施例での分注プロトコル設定用画面P1の中寄り左上区域RAにある頻用試薬マークMAと中寄り左下区域Raにある常用試薬(合成試薬)マークMaと左端区域RBにある溶媒マークMBについては、従来例と同様なのでその説明を省略する。右端区域RCにある3分割された反応容器マークMCについてA行目で1列目にある1Aをマウス22等で選択指定すると、右端区域RCにある残りの2分割についても、反応容器マークMCの1Aと同じ領域に相当する領域が同時に選択指定される。即ち、右端区域RC上の反応容器マークMCのA行目で5列目にある5Aと、反応容器マークMCのA行目で9列目にある9Aとが同時に選択指定される。従って、『分注 合成試薬ラック1Aから反応ラック1A、5A、9Aへ250uL』という分注プロトコルが同時に作成される。なお、右端区域RC上のそれぞれの分割については、図5に示すように、作業者が区別し易いように太線の分割ラインで区分表示したが、作業者が区別し易いように区分表示する方法ならば、例えば分割毎にそれぞれ違う色で区分表示する方法等、特に限定されない。なお、この分注プロトコル作成部27は、本発明における分注手順作成手段に相当する。
【0030】
上記の実施例装置の制御系の構成は、パーソナルコンピュータ及びソフトウエア(コンピュータプログラム)を中心に構築されている。また、コントロール部20内の図示を省略するメモリなどは、RAMやROMなどの記憶装置で構成され、画面表示部23、分注制御部24、組合せ提示部25、組合せ選択部26、分注プロトコル作成部27などの処理制御部は、それらの処理を行うためのプログラムを実行するCPUなどで構成されている。
【0031】
続いて、図6に示すフローチャートを参照しながら、上記構成を有する実施例装置におけるこの発明の特徴的部分の処理を説明する。
【0032】
ステップS1(反応ブロックの表示)
作業者はキーボード21やマウス22を操作して、図5に示すような分注プロトコル設定用画面P1を映像表示モニタ19に表示させる。分注プロトコル設定用画面P1内に反応容器マークMCの並びが表示される。ステップS1は、本発明における反応ブロック表示手段の機能に相当する。
【0033】
ステップS2(分割パターンの提示)
映像表示モニタ19の分注プロトコル設定用画面P1に表示された反応容器マークMCに基づいて、図4に示すような分割提示画面25A上に分割パターンが提示される。なお、作成時間を低減させるために、ステップS1を跳ばしてステップS2から始めるように本実施例に係る装置が構成されていても構わない。ステップS2は、本発明におけるパターン提示手段の機能に相当する。
【0034】
ステップS3(分割パターンの選択)
作業者は、キーボード21やマウス22を操作して、図4に示すように、提示された分割提示画面25A上の分割パターンを選択する。ステップS3は、本発明における組合せ選択手段の機能に相当する。
【0035】
ステップS4(分割パターンに対する反応ブロックの表示)
選択された分割パターンに基づいて、図5に示すように、多分割された反応容器マークMCが映像表示モニタ19の分注プロトコル設定用画面P1に表示される。ステップS4は、本発明における反応ブロック表示手段の機能に相当する。
【0036】
ステップS5(分注プロトコルの設定)
1分割当たりの反応容器マークMCの領域に関して、図5に示すように、分注プロトコルを作成する。
【0037】
ステップS6(分注プロトコルの作成)
1分割当たりの領域について分注プロトコルが作成されると、残りの分割についてもその領域に相当する領域について分注プロトコルが同時に作成される。ステップS6は、本発明における分注手順作成手段の機能に相当する。
【0038】
ステップS7(分注プロトコルの設定判断)
設定しなければならない分注プロトコルが、なお残っていれば、ステップS1に戻り、次の分注プロトコルの設定に取りかかる。設定しなければならない分注プロトコルが無ければ、設定操作は終了である。
【0039】
上述したステップS1〜S7によって設定された分注プロトコルに基づいて、実施例装置は分注制御部24を介して、分注工程に応じた指令信号を液体分注部3へ送信して、反応液を分注する。
【0040】
以上に詳述したように、実施例の自動合成装置によれば、映像表示モニタ19の分注プロトコル設定用画面P1と組合せ提示部25とによって、それぞれの分割パターンが提示される。組合せ選択部26によってその分割パターンを選択するだけなので、手入力、マウス等の入力設定は不要で、作業者の入力設定ミスを未然に防止することができる。組合せ選択部26と、分注プロトコル作成部27とによって、1分割当たりの領域について分注プロトコルが作成されると、残りの分割についてもその領域に相当する領域について分注プロトコルが同時に作成される。また、反応容器2の数が多くなっても、組合せ提示部25によって分割パターンは予め設定されているので、反応容器2の数または並びに応じて分割パターンを呼び出すことができる。従って、反応容器2の数が多くなっても、分注プロトコルは煩雑化することなく、分注プロトコルの設定までの作業効率が良くなる。
【0041】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、分割パターンは横に分割されたものであるが、縦に分割されたパターンや、縦横に分割されたパターン等に代表されるような簡易な分割パターンを選択させる構成であってもよい。例えば、図7に示すように、縦の分割パターンを選択させることによって、図5の分注プロトコル設定用画面P1上では同時に横方向に関して分注プロトコルが作成される。また上記のような複数個の分割パターンを選択させる構成であってもよい。例えば、分割する数を選択した後、縦の分割パターンと横の分割パターンとを提示させて、縦と横との何れか一つを選択させる構成であってもよい。
【0042】
(2)上述した実施例では、図4の分割提示画面25Aと図5の分注プロトコル設定用画面P1とはそれぞれ同時に画面上に表示されていないが、図8に示すように、前記分割提示画面25Aを前記分注プロトコル設定用画面P1上に重畳表示させることも可能である。上記の場合、分割パターンに応じて多分割された反応容器マークMCが変化するので、それぞれの画面を参照しながら分割パターンをその場で決めることができる。例えば、不適当な分割パターンを選択した場合でも、重畳表示されている反応容器マークMCに即座に反映されるので、その場で分割パターンを再選択することができる。従って、分注プロトコルをより簡易に設定することができる。また上記構成を有することによって、図6のフローチャートについてステップS1からステップS5までを1つのステップにまとめることができる。従って、分注プロトコルの設定までの時間の低減を図ることでき、作業効率をより一層上げることができる。
【0043】
(3)本実施例に係る図6のフローチャートでは、ステップS4(分割パターンに対する反応ブロックの表示)の後、ステップS5(分注プロトコルの作成)であるが、上記ステップS4の後、さらに分割するか否かの判断を作業者が行うステップを設定してもよい。分割すると判断した場合、ステップS2(ステップS2(分割パターンの提示)に戻って再分割を行い、分割しないと判断した場合、そのまま上記ステップS5に跳んでも構わない。
【0044】
(4)上述した実施例の自動合成装置では、反応系が1組であったが、1組の制御系でコントロールされる同一の反応系が2組設けられている構成の装置が、変形例として挙げられる。
【0045】
(5)実施例装置は有機自動合成装置であり、また固相反応により化合物が合成される構成であったが、この発明の装置は、無機自動合成装置であってもよいし、また液相反応により化合物が合成される構成の装置であってもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上に詳述したように、請求項1の発明に係る自動合成装置によれば、反応ブロック表示手段とパターン提示手段とによって反応容器マークの並びに対する分割パターンが画面上に表示されて、組合せ選択手段によってその分割パターンを選択するだけなので、手入力、マウス等の入力設定は不要で、作業者の入力設定ミスを未然に防止することができる。組合せ選択手段と分注手順作成手段とによって、1分割当たりの分注手順が作成されると、残りの分割についても分注手順が作成される。また、反応容器の数が多くなっても、パターン提示手段によってその反応容器の数のパターンに応じた分割パターンは予め決まっているので、即座に分割パターンのパターンを選択することができる。その結果、分注プロトコルの設定までの作業効率が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例に係る自動合成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 実施例装置の反応系の構成を示す平面図である。
【図3】 実施例装置の反応ブロックの要部構成を示す概略図である。
【図4】 実施例装置の分割提示画面を示す図である。
【図5】 実施例装置の分注プロトコル設定用画面を示す図である。
【図6】 分注プロトコルを設定するまでの流れを示すフローチャートである。
【図7】 実施例装置の変形例における分注プロトコル設定用画面を示す図である。
【図8】 実施例装置の他の変形例における分注プロトコル設定用画面を示す図である。
【図9】 従来の分注プロトコル設定用画面と合成プロトコル作成画面を示す図である。
【図10】 従来の合成プロトコル作成画面について詳しく示す図である。
【図11】 従来の分注プロトコル設定用画面について詳しく示す図である。
【符号の説明】
1 … 反応ブロック
2 … 反応容器
3 … 液体分注部
19 … 映像表示モニタ
21 … キーボード
22 … マウス
23 … 画面表示部
24 … 分注制御部
25 … 組合せ提示部
26 … 組合せ選択部

Claims (2)

  1. 合成反応を行う複数個の反応容器が配列されている反応ブロックと、前記反応ブロックの各反応容器に反応液を分注する分注手段とを備え、予め設定された分注手順に従って反応液が分注供給された反応容器において合成反応が行われるよう構成された自動合成装置において
    (a)前記反応ブロックの各反応容器にそれぞれ対応する反応容器マークを表示する反応ブロック表示手段と
    (b)前記反応容器マークの並びを何分割するのかを表した分割パターンを予め提示するパターン提示手段と
    (c)前記分割パターンを選択するパターン選択手段と
    (d)前記パターン提示手段とパターン選択手段とによって決定された反応容器マークの並びに対する分割パターンに基づいて、分注手順を作成する分注手順作成手段とを備えていることを特徴とする自動合成装置。
  2. 請求項1に記載の自動合成装置において、
    入力操作用の入力操作装置を更に備え、
    前記分注手順作成手段が分注手順を作成する際、分割された反応容器マークの並びの反応容器マークの1つを前記入力操作装置で選択指定すると、残りの分割についても選択された反応容器マークと同じ領域に相当する反応容器マークが同時に選択指定されることを特徴とする自動合成装置。
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