JP4523989B2 - 汚泥の削減方法および削減装置 - Google Patents

汚泥の削減方法および削減装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4523989B2
JP4523989B2 JP2009120916A JP2009120916A JP4523989B2 JP 4523989 B2 JP4523989 B2 JP 4523989B2 JP 2009120916 A JP2009120916 A JP 2009120916A JP 2009120916 A JP2009120916 A JP 2009120916A JP 4523989 B2 JP4523989 B2 JP 4523989B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sludge
tank
injected
aqueous solution
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009120916A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010029842A (ja
Inventor
英夫 立川
浩史 立川
光正 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ES. TECHNOLOGIES CORP.
Original Assignee
ES. TECHNOLOGIES CORP.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ES. TECHNOLOGIES CORP. filed Critical ES. TECHNOLOGIES CORP.
Priority to JP2009120916A priority Critical patent/JP4523989B2/ja
Priority to CN2009801593995A priority patent/CN102428043A/zh
Priority to KR20107016200A priority patent/KR20120025361A/ko
Priority to PCT/JP2009/006298 priority patent/WO2010134143A1/ja
Publication of JP2010029842A publication Critical patent/JP2010029842A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4523989B2 publication Critical patent/JP4523989B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02F3/00Biological treatment of water, waste water, or sewage
    • C02F3/02Aerobic processes
    • C02F3/12Activated sludge processes
    • C02F3/1205Particular type of activated sludge processes
    • C02F3/1221Particular type of activated sludge processes comprising treatment of the recirculated sludge
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02F1/00Treatment of water, waste water, or sewage
    • C02F1/66Treatment of water, waste water, or sewage by neutralisation; pH adjustment
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02F1/00Treatment of water, waste water, or sewage
    • C02F1/72Treatment of water, waste water, or sewage by oxidation
    • C02F1/76Treatment of water, waste water, or sewage by oxidation with halogens or compounds of halogens
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02F2303/00Specific treatment goals
    • C02F2303/06Sludge reduction, e.g. by lysis
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Hydrology & Water Resources (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Water Supply & Treatment (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biodiversity & Conservation Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Activated Sludge Processes (AREA)

Description

本発明は、汚泥の削減方法、および汚泥の削減装置に関するもので、さらに詳しくいえば、有機物を含んだ排水を曝気槽において活性汚泥処理するときに発生する汚泥の一部を、弱酸性の次亜塩素酸と反応させて微生物によって分解可能な状態に基質化して、再び曝気槽に戻して活性汚泥処理して、汚泥を消化して余剰汚泥の発生量を抑制する、汚泥の削減方法、および汚泥の削減装置に関するものである。
有機物を含んだ排水の処理法の一つとして、活性汚泥法が知られている。この活性汚泥法は、従来周知のように、好気性細菌、原生動物等が生息する、いわゆる浮遊性有機汚泥すなわち活性汚泥を曝気槽に保持し、そして十分な空気を送り込むと共に、処理する有機物を含んだ排水を投入して、排水中に含まれる有機物を活性汚泥中に棲息する好気性細菌、原生動物等の微生物に捕食させる方法である。曝気槽で処理された水と活性汚泥の混合物は沈殿槽に流下され、そこで活性汚泥と上澄み水、すなわち処理水に分離される。処理水は公共水域等に放流される。沈降した活性汚泥は返送汚泥として曝気槽に戻される。この方法によると排水中の有機物は水と炭酸ガスに分解されるので、有機物をほとんど含まない処理水が得られるという利点がある。
しかしながら、好気性細菌等の微生物は曝気槽で大量に増殖するので、そのまま放置すると活性汚泥が増えすぎて、沈殿槽において活性汚泥と処理水の分離ができなくなる。そこで、曝気処理により発生する余剰な活性汚泥は、沈殿槽から余剰汚泥として定期的に引き抜かれている。引き抜かれた余剰汚泥は、脱水装置により含水率が約85%の脱水ケーキにされ、そして焼却された後に廃棄される。または、脱水ケーキはそのまま埋立地に埋め立てられる。ところで、脱水ケーキを焼却する場合には大量の重油を要するのでコストがかかるし、埋め立てられる場合には、いわゆる地球温暖化ガスであるメタンガスが発生してしまう。さらには、埋立地自体が不足しつつあるという問題もある。従って、有機物を含んだ排水の処理において、汚泥の削減が強く求められている。
特開2005−305222号公報 特開2007−7546号公報 特許第4183737号公報
特許文献1には、沈殿槽から引き抜かれた汚泥にオゾンを添加処理して、再び曝気槽に返送する、汚泥の削減方法が記載されている。汚泥にオゾンを添加すると、汚泥を構成している微生物の細胞壁が酸化により破壊され細胞内部の細胞質が溶出したり、微生物の集合体すなわちフロックが細分化される、いわゆる汚泥の可溶化が起こる。可溶化した汚泥は、細菌等の微生物に捕食されやすいので、再び曝気槽に返送して活性汚泥処理を実施すると、消化されて汚泥を削減することができる。また、特許文献1にはオゾンの他に、さらに酸化剤としての次亜塩素酸ソーダ、すなわち次亜塩素酸ナトリウムを注入して汚泥の可溶化を促進させる方法も記載されている。
特許文献1に記載の汚泥の削減方法によっても、汚泥を可溶化して再び曝気槽で活性汚泥処理をすることができるので、汚泥を削減できる効果は認められる。しかしながら、問題もある。例えば、汚泥を可溶化するためには大量のオゾンを必要とするので、格別に大型のオゾン発生装置を設ける必要がある。また、大量のオゾンを発生させるためには多大な電力を必要とし、初期コストとランニングコストが共に高くなるという問題がある。
オゾンの補助的な使用としてではなく、弱酸性の次亜塩素酸を汚泥に注入して汚泥を基質化する技術も周知であり、例えば、特許文献2において提案されている。なお,汚泥を処理して曝気槽で消化可能な状態にすることは、一般的には可溶化という用語で表現されている。しかしながら、本発明者らの研究によれば次亜塩素酸によって汚泥を反応させると、汚泥がいわゆる可溶化された状態になっていなくても曝気槽で消化できる成分に変化していることが判明した。従って、可溶化という用語に代えて、本明細書においてはより実態に即した表現である基質化という用語で表現することにする。また汚泥の減容化についてはより厳密な表現である汚泥の削減と表すことにする。
特許文献2に記載の方法を実施する場合、弱酸性の次亜塩素酸を注入する設備は小型でシンプルであるので初期コストが安く済むし、薬剤も安価でランニングコストも小さいので有利である。しかしながら、特許文献2に記載の方法においては、注入される次亜塩素酸の有効塩素濃度は汚泥に対して150〜250mg/Lと濃度は高くなく、汚泥の基質化が不十分になって、汚泥が十分に削減できないという欠点も見受けられる。汚泥を十分に基質化しようとして単純に高濃度の次亜塩素酸を注入してしまうと、次亜塩素酸が未反応のまま曝気槽に返送されてしまう危険があり、そうすると曝気槽の微生物に重大な影響を及ぼしてしまうので、高濃度の次亜塩素酸を注入することができないと考えられているからである。特許文献3には、直列に接続された複数槽の反応槽が設けられ、このような反応槽で十分に次亜塩素酸を消費させて、曝気槽の微生物に対する影響を確実に防止できる基質化装置が記載されている。このような基質化装置によって安全が担保されているので、高濃度の次亜塩素酸を注入して汚泥を基質化することができる。すなわち、特許文献3に記載の基質化方法においては、反応槽の最上流の槽において、弱酸性の次亜塩素酸を汚泥に対して有効塩素濃度が100〜3000mg/Lの高濃度になるように注入して攪拌する。次いで、下流側の槽に送って攪拌し、さらに下流側の槽に送って攪拌し、5分以上反応させる。このようにすると、汚泥を十分に基質化することができ、次亜塩素酸も十分に消費される。従って、安全に汚泥を削減することができる。なお、次亜塩素酸が残留して曝気槽に返送されることは危険であると従来考えられていたが、この方法を実施すると、若干量の次亜塩素酸が曝気槽に返送されたとしても影響を及ぼさないことが実験により確認されている。この理由として、5分以上反応させると殺菌力の高い遊離塩素が確実に消費されてしまい、返送される次亜塩素酸は結合塩素の状態、あるいは汚泥と結合した従来知られていなかった状態になっていて、殺菌力が十分に低くなっているからではないかと推測される。
特許文献3に記載の汚泥の削減方法によると、弱酸性の次亜塩素酸を高濃度になるように汚泥に注入するので、汚泥を十分に基質化することができ、十分に削減することができる。また、次亜塩素酸は十分に汚泥と反応するので、曝気槽の微生物に悪影響を及ぼすことがない。従って、優れた汚泥の削減方法であると言える。しかしながら、改良すべき点も認められ、具体的には弱酸性の次亜塩素酸の調製方法、もしくは注入方法に改良すべき点が見受けられる。
特許文献3に記載の汚泥の削減方法においては、弱酸性の次亜塩素酸は、12%以下の次亜塩素酸ソーダ水溶液と希塩酸を混合し、有効塩素濃度が500〜15000mg/Lになるように水で希釈して、調製されている。そうすると、pHが4.0以上7.0未満の弱酸性の次亜塩素酸水溶液が得られる。実際には、有効塩素濃度が高くなってくると、pHが6.5程度であっても塩素臭が強くなって、消臭・排気対策が必要になる。さらには、反応性が高くなってしまい、水溶液を調整する調整装置の配管等の部材の腐食が激しくなる問題もある。実用上扱いやすい有効塩素濃度は10000mg/L以下、好ましくは5000mg/L以下の水溶液である。このような弱酸性の次亜塩素酸水溶液を汚泥に多量に注入すると、次亜塩素酸が汚泥によって希釈されて濃度が低下してしまい、酸化力が弱くなってしまう。また,水溶液の調製に必要な水を大量に要するのでコストが嵩んでしまう。さらには、曝気槽に返送される汚泥の総量が増えるので、曝気槽に負荷がかかってしまう。汚泥濃度が20000mg/Lを超えるような比較的濃度が高い汚泥を処理する場合、このような問題が顕著になる。汚泥によって希釈されることを見越して、pH値が低くかつ濃度が高い次亜塩素酸水溶液を予め調製する方法もある。しかしながら、次亜塩素酸の有効塩素濃度が高くなると前記したような問題が生じてしまうし、さらに有効塩素濃度が5000mg/L以上になると前記したように、酸化力が高くなって水溶液を調製する調製機器、注入する機器、管路等が早期に劣化するようになる。また、pHが4.0以下になると有毒な塩素ガスが発生するという重大な安全上の問題が生じる。従って、このような方法を採用することは現実的でない。
もう一つの重要な問題は装置の危険性と経済性である。有効塩素濃度が1000mg/Lを超える弱酸性の次亜塩素酸水溶液の調製機器は構造が複雑になってしまい,さらにサブタンクなどの付帯施設を設けたりして,調製機器周辺の条件を整える必要がある。このような調製機器には、維持管理に高度な技術を要し,維持管理を怠って安易に運転してしまうと危険を伴う。特に有効塩素濃度が5000mg/Lを超えるようになると安全を維持するために頻繁に部品点検と交換を実施する必要がある。初期コストが高いだけでなく、維持管理にも多くの費用がかかってしまう。
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであって、具体的には大量の水を要することも曝気槽の負荷が増すこともなく、格別に消臭・排気対策を施したり機器や管路が劣化する恐れもなく、高い有効塩素濃度の次亜塩素酸を最適なpH下で汚泥と反応させることができ、従って十分に汚泥を基質化して汚泥を削減することができ,さらには、装置トラブルの発生の危険性がある次亜塩素酸水溶液の調製機器を格別に設ける必要がなく、従って機器に要するイニシャルコストを削減できると共に、維持管理が容易になり,総合的に大幅にコストの削減が可能な、汚泥の削減方法および削減装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、汚泥を基質化するとき、汚泥に希塩酸または希硫酸を注入して攪拌または混合する。次いで、汚泥濃度2000〜26000mg/Lの汚泥に対して、有効塩素濃度が300〜1600mg/Lになるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入する。または、汚泥濃度の3〜20%の値の有効塩素濃度になるように汚泥に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入する。そして、5分以上攪拌して汚泥を基質化するように構成される。また、必要に応じて基質化した汚泥に亜硫酸ナトリウム水溶液、またはチオ硫酸ナトリウム水溶液を注入して攪拌し、曝気槽に戻すように構成され、曝気槽に戻された基質化した汚泥を活性汚泥処理して消化する。すなわち汚泥を削減する。また、このような汚泥の削減装置は、希塩酸または希硫酸が注入される所定の長さの酸混合管、または所定の容量の酸混合槽と、それらの下流に設けられ、汚泥に次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入される攪拌反応槽とから構成され、攪拌反応槽には攪拌装置が設けられる。そして、必要に応じて攪拌反応槽の下流に残留塩素分解槽が設けられ、汚泥に亜硫酸ナトリウム水溶液、またはチオ硫酸ナトリウム水溶液が注入される。さらには、攪拌反応槽にpH計が設けられ、酸混合管または酸混合槽および撹拌反応槽が正常であるかどうか監視される。
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、有機物を含んだ排水を曝気槽において活性汚泥処理するときに発生する汚泥のうち、一部の汚泥を抜き出して次亜塩素酸によって基質化し、基質化した汚泥を曝気槽に戻して活性汚泥処理によって消化して、汚泥を削減する方法において、前記一部の汚泥を基質化するとき、前記一部の汚泥に希塩酸または希硫酸を注入して攪拌または混合し、次いで次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入して、5分以上攪拌して汚泥を基質化するように構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、前記希塩酸または希硫酸は、前記一部の汚泥を基質化した時のpH値が3.5〜6.5になるように注入するように構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の方法において、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、汚泥濃度2000〜26000mg/Lの汚泥に対して、有効塩素濃度を300〜1600mg/Lになるように注入するように構成される。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の方法において、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、汚泥濃度の3〜20%の値の有効塩素濃度になるように注入するように構成される。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかの項に記載の方法において、前記基質化した汚泥に、亜硫酸ナトリウム水溶液、またはチオ硫酸ナトリウム水溶液を注入して攪拌して、曝気槽に戻すように構成される。
請求項6に記載の発明は、有機物を含んだ排水を活性汚泥処理するための曝気槽と、前記曝気槽において処理された汚泥を含む水を上澄み水と汚泥に分離するための沈殿槽とからなる、有機物を含んだ排水の処理設備に設けられている、汚泥の削減装置であって、前記汚泥の削減装置は、前記沈殿槽において分離される汚泥の一部が抜き出され、希塩酸または希硫酸が注入されて混合される所定の長さの酸混合管、または所定の容量の酸混合槽と、前記酸混合管または前記酸混合槽の下流に設けられ、汚泥に次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入される攪拌反応槽とからなり、前記攪拌反応槽には所定の攪拌装置が設けられ、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入された汚泥は5分以上攪拌されて、前記曝気槽に返送されるように構成される。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の装置において、前記攪拌反応槽の下流には残留塩素分解槽が設けられ、前記残留塩素分解槽において汚泥に亜硫酸ナトリウム水溶液、またはチオ硫酸ナトリウム水溶液が注入されて、前記曝気槽に返送されるように構成される。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の装置において、前記攪拌反応槽にはpH計が設けられ、前記酸混合管または前記酸混合槽において注入される希塩酸または希硫酸の注入量が、前記攪拌反応槽内の汚泥がpH値3.5〜6.5になるように監視されるように構成される。
請求項9に記載の発明は、請求項6〜8のいずれかの項に記載の装置において、前記攪拌反応槽は、直列に接続された2槽以上の複数個の槽から構成されるように構成される。
以上のように、本発明によると、有機物を含んだ排水を曝気槽において活性汚泥処理して発生する汚泥のうち、一部の汚泥を抜き出して基質化するとき、汚泥に希塩酸または希硫酸を注入して攪拌または混合し、次いで次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入するように構成されている。すなわち、直接希塩酸または希硫酸、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を個別に注入するように構成されているので、注入用の機器や管路が劣化することも無く、大量の水を使用しないで済む。そして、汚泥が曝気槽に返送されても曝気槽に対する負荷を最小限に抑制することができる。また、直接希塩酸または希硫酸、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を個別に注入するように構成されているので、容易にpH値を低くしたり,次亜塩素酸の有効塩素濃度を高くすることが可能になる。そして、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、希塩酸または希硫酸が注入され、攪拌・混合された汚泥に注入されるので、塩素ガスが発生する恐れが無いという本発明に特有の効果が得られる。つまり、先に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を汚泥に注入して攪拌後、希塩酸や希硫酸を注入すると、注入された部分のpH値が瞬間的に低くなるので塩素ガスが発生する危険があるが、本発明の方法によると、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入されるとき、汚泥は均一なpH値になっているので、すなわち極端に低いpH値にはなっていないので塩素ガスは発生しない。従って、安全である。このように安全に、汚泥のpH値を低くしたり次亜塩素酸の有効塩素濃度を高くすることが可能であり、さらには、5分以上攪拌するように構成されているので、汚泥を十分に基質化することが可能になる。従って、曝気槽に返送して消化すると、汚泥を十分に削減することが可能になる。
また、他の発明によると、希塩酸または希硫酸は、反応した汚泥のpHが3.5〜6.5になるように注入するので、その後、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入しても塩素ガスが発生することを確実に防止することができる。そして、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、汚泥濃度2000〜26000mg/Lの汚泥に対して、有効塩素濃度が300〜1600mg/Lになるように注入する発明によると、または、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、汚泥濃度の3〜20%の値の有効塩素濃度になる希釈率で注入する発明によると、汚泥に対して十分な量の次亜塩素酸を反応させることができ、汚泥が十分に基質化されることが保障される。また、基質化した汚泥に、亜硫酸ナトリウム水溶液、またはチオ硫酸ナトリウム水溶液を注入して攪拌して曝気槽に戻す発明によると、曝気槽に返送される汚泥の残留塩素は十分に低くなることが保障されるので、曝気槽内の微生物に影響を与えることがない。
そして、沈殿槽において分離される汚泥の一部が抜き出され、希塩酸または希硫酸が注入されて混合される所定の長さの酸混合管または所定の容量の酸混合槽と、酸混合管または酸混合槽の下流に設けられ、汚泥に次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入される攪拌反応槽とから、汚泥の削減装置が構成されている発明によると、装置がシンプルに構成されているので、故障が少なく大幅にコストダウン出来る装置を提供することが可能になる。
本発明の実施の形態に係る有機性排水の処理装置を模式的に示す図で、その(ア)は、本実施の形態に係る汚泥削減装置を備えた、有機性排水の処理設備を模式的に示す側面図、その(イ)は本実施の形態に係る汚泥削減装置を模式的に示す側面図である。 本実施の第2の形態に係る汚泥削減装置を模式的に示す側面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係る有機物を含んだ排水の処理設備1は、図1の(ア)に示されているように、有機物を含んだ排水が流入して流量が調整される流量調整槽2、有機物を含んだ排水が活性汚泥処理される曝気槽3、活性汚泥処理された処理水を含む汚泥が流入して上澄み水の処理水と汚泥とに分離する沈殿槽4、沈殿槽4に設けられている所定の管路に接続され、沈殿槽4から抜き出された汚泥の一部が基質化される本実施の形態に係る汚泥削減装置6、等から構成されている。
流量調整槽2は、一種のバッファ用の槽であり、排水供給管8から供給される有機物を含んだ排水は、流量調整槽2で所定時間滞留して均一化され適切な流量にコントロールされて、曝気槽3に送られる。このような流量調整槽2は、従来周知の原水ピットから構成されることもある。曝気槽3は、従来周知のように、その底部には多数の空気噴出孔が明けられている。これらの空気孔に外部に設けられているブロワから加圧空気が供給されるようになっている。また、曝気槽3内には必要に応じて攪拌羽根が設けられることもある。このように構成されている曝気槽3の排出端に沈殿槽4が接続されている。曝気槽3内には、好気性細菌等の微生物が生育している。
沈殿槽4は、本実施の形態では重力により汚泥が沈殿する沈殿槽として構成され、全体として漏斗状を呈し、その下端部に沈殿汚泥を引き抜く汚泥引き抜管5が接続されている。汚泥引き抜き管5は、返送汚泥ポンプ10を介して汚泥を曝気槽に返送するようになっている。
本発明の実施の形態に係る汚泥削減装置6は、図1の(イ)に示されているように、直列に接続された複数の槽から構成されている。最初に沈殿槽4に接続されている返送汚泥管12の途中,または汚泥引き抜き管5から汚泥ポンプ9で汚泥計量槽11に入る。汚泥計量槽11の具体的な構造は、図1の(イ)には示されていないが、箱状を呈する容器から構成されている。この容器の内部は所定の切欠が設けられている複数枚の仕切り板で複数個の室に仕切られ、最下流側の仕切り板に三角堰が形成されている。また、上流側の室に沈殿槽4から引き抜かれた沈殿汚泥が供給されるようになっている。この上流側の室には、上下方向にスライドするゲートが設けられ、このゲートの高さ位置は設定高さになるように調整される。このゲートからオーバーフローする沈殿汚泥は,汚泥返送管12と合流し曝気槽3に戻されるようになっている。また、三角堰から出る汚泥は、汚泥供給管13により、汚泥削減装置6に送られるようになっている。汚泥削減装置6は、汚泥供給管13に接続されている最上流の酸混合槽15と、下流に向かって順に接続されている急速攪拌反応槽16と、緩速攪拌反応槽17と、残留塩素分解槽18とから構成されている。酸混合槽15には、希塩酸貯蔵タンク20と希塩酸注入ポンプ21とからなる希塩酸注入装置が設けられ、酸混合槽15内の汚泥に希塩酸が注入されるようになっている。また、酸混合槽15には、所定の攪拌羽根を備えた攪拌装置22が設けられている。希塩酸注入ポンプ21と攪拌装置22は、所定の信号線によって制御盤24に接続されており、汚泥ポンプ9等の各種ポンプ、撹拌装置等の異常が検出されるようになっている。
急速攪拌反応槽16と緩速攪拌反応槽17は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入されて汚泥が基質化される槽であり、本実施の形態においては独立した2槽から構成されている。このような急速攪拌反応槽16と緩速攪拌反応槽17は、単一の1槽から構成されていてもよいし、緩速攪拌反応槽が2槽以上から構成され、合計3槽以上から構成されていても同様に実施できる。本実施の形態においては、急速攪拌反応槽16は比較的容量の小さい槽から、緩速攪拌反応槽17は大容量の槽から、それぞれ構成されている。このような急速攪拌反応槽16には、次亜塩素酸ナトリウム貯蔵タンク25と次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ26とからなる次亜塩素酸ナトリウム注入装置が設けられ、槽内の汚泥に次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入されるようになっている。そして、急速攪拌反応槽16には攪拌装置28が設けられているので、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入された汚泥は速やかに攪拌・混合され、緩速攪拌反応槽17に送られるようになっている。緩速攪拌反応槽17にも同様に攪拌装置29が設けられ、急速攪拌反応槽16から送られた汚泥は、緩速攪拌反応槽17において攪拌されながら5分以上滞留して、汚泥が十分に基質化されることになる。緩速攪拌反応槽17の排出口近傍にはpH計31が設けられ、所定の信号線によってpH計31によって計測されたpH値が制御盤24に送信されるようになっている。従って、制御盤24において計測されるpH値が所定の範囲になるように、自動監視され,異常が検出された場合は装置を全面的に停止,またはポンプ類を全面停止するようになっている。また,pH値で酸混合槽15において希塩酸の注入量を制御することもできるが,この場合,pH計は異常状況の検出には使えないことに留意が必要である。なお、次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ26、攪拌装置28、29も、所定の信号線によって制御盤24に接続されており、制御盤24はポンプや攪拌機停止を検出した場合は,装置を停止するようになっている。また異常検出した場合は制御盤から管理者に知らせる装置を付設するのが好ましい。
残留塩素分解槽18は、汚泥中に残留している次亜塩素酸を分解して、曝気槽3内の微生物に影響を与えない濃度に調整する槽である。残留塩素分解槽18には、亜硫酸ナトリウム貯蔵タンク32と亜硫酸ナトリウム注入ポンプ33とからなる、亜硫酸ナトリウム注入装置が設けられ、緩速攪拌反応槽17から送られた汚泥に対して、亜硫酸ナトリウム水溶液が注入されるようになっている。なお、亜硫酸ナトリウム水溶液は、実施例9による実験によって明らかなように、残留している次亜塩素酸との反応に必要な量の約2〜5倍の量が注入されてしまっても、曝気槽3内の微生物に影響を与えることが無い。また、実施例10及び実施例11で明らかなように、亜硫酸ナトリウム水溶液の注入量は少なくても問題は発生しない。従って、亜硫酸ナトリウム水溶液は、予め定められた一定量が注入されるようになっている。残留塩素分解槽18には、攪拌装置34が設けられ、汚泥が攪拌されるようになっている。このような亜硫酸ナトリウム注入ポンプ33と攪拌装置34は、所定の信号線によって制御盤24に接続されており、異常信号が検出されるようになっている。残留塩素分解槽18から排出される管路は、汚泥返送管12に接続され、残留塩素分解槽18において処理された汚泥は、曝気槽3に返送されて再び好気性微生物によって処理されるようになっている。
本実施の形態に係る有機物を含んだ排水の処理設備1によると、汚泥削減装置6は制御盤24を備えており、汚泥ポンプ9の送泥量、各種薬品の注入量、攪拌機の動作等を監視している。そこで何らかの異常が検出された場合は、原則として汚泥削減装置6を停止する。次亜塩素酸を用いた汚泥削減装置が最も重視しなければならないのは運転の異常、すなわち塩素ガス発生と残留塩素の多量流出である。本実施の形態に係る有機物を含んだ排水の処理設備1においては、薬品注入ポンプの停止や撹拌機停止程度の異常によって塩素ガスが発生する可能性は実質的に無い。たとえば、後で説明する実施例3〜5の実験,実施例6の撹拌停止実験などで安全性とその条件を確認することができる。しかしながら、さらに安全性を向上させるためには、色々な装置において、異常を検出できる仕組を設けると共に、異常が検出されたときには運転を停止する等の安全対策を施すことが大切である。
残留塩素の多量流出は場合によっては曝気槽3の活性汚泥が死滅し,活性が回復するまで長期間排水処理が不能となり工場の操業停止という事態も想定しなければならない。本実施の形態においては、符号22、28、29で示されている各薬品注入ポンプには定量ポンプが適用されている。このような定量ポンプは、安価で故障し難く、異常が発生したとしても停止するだけであり、薬品が過剰に注入される事故は発生し難い。また、既に述べたように、ポンプ、攪拌機の異常は制御盤24により監視されており、異常時には運転停止されて問題を引き起こす可能性は無い。
このような一定量の薬品を注入する方法だけでなく、フィードバック制御によって薬品の注入量を最適に制御する自動制御を実施することも可能である。例えば、pH値を検出して最適な希塩酸の注入量を制御したり、汚泥流量計によって測定される汚泥流量値から、必要な希塩酸・次亜塩素酸ナトリウムの注入量を制御すること等も可能である。しかしながら、自動制御を実施する場合には、pH計、流量計等の測定機器に異常が発生した場合に、異常な量の薬品が注入される恐れがあり、この場合には汚泥削減装置の危険性が高くなってしまう。安全性に対する留意が必要である。
以下、本実施の形態に係る汚泥削減装置6を備えた、有機物を含んだ排水の処理設備1の作用について説明する。定常運転に入った状態から説明する。有機物を含んだ排水が流量調整槽2に流入すると、排水は流量調整槽2で所定時間滞留した後に、適切な流量にコントロールされて曝気槽3に送られる。曝気槽3において、従来周知のように活性汚泥により処理される。すなわち、ブロワから供給される空気が気泡状に噴出して活性汚泥中の微生物に酸素を供給するので、排水中に含まれる有機物は微生物に捕食され、水と二酸化炭素に分解される。微生物は細胞分裂して増殖するので、増殖した微生物は分解されていない有機物等と共に、フロックを形成して新たな汚泥となる。このようにして発生した汚泥は、処理水と共に次の沈殿槽4に送られる。
沈殿槽4の流入口において、必要に応じて凝集剤を注入する。フロック等は凝集し、比重の違いと重力により汚泥と処理水とに分離される。このような分離により、沈殿槽4の上方位置では上澄み水すなわち処理水が得られる。処理水はほとんど有機物を含んでいないので河川等に適宜排水する。一方、沈殿した汚泥は、沈殿槽4の底部に設けられた汚泥引き抜管5から引き抜かれ、返送汚泥ポンプ10によって曝気槽3へ返送される。またその一部は,汚泥ポンプ9によって汚泥計量槽11に送られる。なお、汚泥引き抜き管5から引き抜かれた汚泥は、定期的に余剰汚泥として所定の槽に送泥され、脱水された後に処分場等に適宜搬送されることになる。しかしながら、汚泥削減装置6によって汚泥が十分に削減されると、余剰汚泥が排出されない場合もある。
汚泥計量槽11のゲートは、所定高さに調整されているので、三角堰からは所定量宛の沈殿汚泥が排出されて、汚泥供給管13を介して汚泥削減装置6に送られる。一方、ゲートをオーバーフローした沈殿汚泥は、汚泥返送管12に合流し曝気槽3に返送汚泥として返送される。これにより、曝気槽3内の有機物濃度が適正に保たれ、活性汚泥の活性は低下しない。
汚泥供給管13から送泥される汚泥は、酸混合槽15に供給される。酸混合槽15において、汚泥に対して希塩酸注入ポンプ21から所定の濃度、例えば8.5%の希塩酸が注入される。攪拌装置22によって汚泥が攪拌・混合され、汚泥はpH2.5〜7.0、好ましくはpH3.5〜6.5の酸性に調整される。なお、汚泥のpH値は、緩速攪拌反応槽17に設けられているpH計31で計測されるようになっているが、急速攪拌反応槽16において次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入されると中性寄りに変化するので、計測されるpH値は、酸混合槽15内の汚泥のpH値よりも高い。従って、制御盤24において、このようなpH値の変化が考慮されて、危険値が設定され異常値を検出するようになっている。
酸混合槽15において希塩酸が注入された汚泥は,急速攪拌反応槽16に送られる。急速攪拌反応槽16において、汚泥に対して次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ26から所定の濃度、例えば12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入される。その注入濃度例は実施例7、実施例8に示されている。槽内の汚泥の汚泥濃度は、例えば2000〜26000mg/Lであり、注入される次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、有効塩素濃度が300〜1600mg/L、好ましくは400〜1200mg/Lになるような希釈率で注入する。あるいは、汚泥濃度の値の3〜20%、好ましくは3〜16%、より好ましくは3〜12%の有効塩素濃度になるような希釈率で注入する。急速攪拌反応槽16において、汚泥を攪拌装置22によって攪拌・混合し、約1〜5分滞留させる。このように、弱酸性に調整された汚泥に次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入され、攪拌・混合されると、以下の式のように次亜塩素酸が生成される。
HCl+NaOCl → HOCl+NaCl 式(1)
あるいは、以下の式のように、弱酸性下において次亜塩素酸イオンが次亜塩素酸に変化すると考えることもできる。
+OCl → HOCl 式(2)
次亜塩素酸は酸化力が強いので、汚泥を構成している微生物の細胞膜や、難分解性有機物の一部が酸化される。すなわち汚泥が基質化される。なお、次亜塩素酸は、pH4.0以下の酸性になると次式に示されているように反応して、塩素ガスが発生することが知られている。
HCl+HOCl → Cl+HO 式(3)
しかしながら、実施例3、実施例4等の実験で明らかになったように、pH4.0以下の酸性下においても塩素ガスは発生しない。この理由は定かではないが、有機物が含まれている汚泥においては、上式に示されている反応よりも次式に示されている反応が優先的に進行するので塩素ガスが発生しにくいのではないかと推測される。
HOCl+有機物 → 酸化有機物+HCl 式(4)
急速攪拌反応槽16において処理された汚泥は緩速攪拌反応槽17に送られる。
本発明の方法と従来の次亜塩素酸水溶液を直接注入する方法による基質化の効果の比較は,実施例1及び実施例2で行った。実施例1によれば塩素の反応量から見た場合、違いはなかった。実施例2の汚泥削減実験では本発明の方が汚泥削減率は高かった。削減率が高い理由は定かではないが、少なくとも劣ることはないと言える。
緩速攪拌反応槽17において、汚泥は攪拌装置28によって5分以上、好ましくは30分以上攪拌されながら滞留する。そうすると、汚泥は次亜塩素酸によって十分に基質化される。pH計31によってpH値が検出される。異常なpH値が測定された場合、汚泥ポンプ9、希塩酸注入ポンプ21、次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ26、亜硫酸ナトリウム注入ポンプ33等を停止する。攪拌装置28、29、34は撹拌していても良い。そうすると、汚泥削減装置6において異常が発生した場合でも、曝気槽に影響を与えることがない。
緩速攪拌反応槽17で十分に基質化した汚泥は残留塩素分解槽18に送られる。残留塩素分解槽18において、汚泥に亜硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液が注入される。そうすると、汚泥中に未反応のまま残留している残留塩素が分解される。攪拌装置34によって十分に攪拌された後に、基質化した汚泥は曝気槽3に返送される。曝気槽3において活性汚泥処理されると、基質化した汚泥は好気性微生物によって消化される。すなわち汚泥を削減することができる。
本実施の形態に係る汚泥削減装置6は、色々な変形が可能である。例えば、酸混合槽15は、所定の長さの管から構成することもできる。図2には、酸混合槽15の代わりに酸混合管36が設けられている第2の実施の形態に係る汚泥削減装置6'が示されている。前実施の形態に係る構成装置、構成部材と同様の装置または部材には、同じ番号を付して詳しくは説明しない。第2の実施の形態に係る汚泥削減装置6'においては、酸混合管36は所定の長さに設けられているので、酸混合管36の上流側において汚泥に希塩酸が注入されると、管内で容易に混合されることになる。このような酸混合管36は、複数の曲がり管から構成されていると混合され易く、管径が大きく汚泥の流速が速い場合にはレイノルズ数が大きくなって乱流になるので、さらに混合が促進される。
本実施の形態に係る汚泥削減装置6においては、残留塩素分解槽18は無くても実施できる場合がある。すなわち、注入される次亜塩素酸ナトリウム水溶液の量によっては、汚泥に残留している次亜塩素酸はほとんど消費されてしまっているので、このような場合には、残留塩素分解槽18は不要になる。本実施の形態においては、注入される薬品についても変形が可能である。例えば、酸混合槽15または酸混合管36において、希塩酸が注入されるように説明されているが希硫酸であっても同様に汚泥のpH値を調整することができる。希塩酸の代わりに35%塩酸を使用することも出来る。また、残留塩素分解槽18において亜硫酸ナトリウム水溶液が注入されるように説明されているが、チオ硫酸ナトリウム(Na)水溶液であっても、汚泥中に残留している次亜塩素酸を分解することができる。
希塩酸と次亜塩素酸ナトリウム水溶液を予め混合した水溶液、いわゆるバイオマスター液を汚泥に注入する場合と、希塩酸と次亜塩素酸ナトリウム水溶液を別々に注入する場合のそれぞれについて、汚泥の基質化の効果に違いがあるか否かを確認する実験を行った。
バイオマスター液は、所定量の8.5%の希塩酸と所定量の12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを混合した後に水で希釈して、pH6、有効塩素濃度が4000mg/Lになるようにして、調製した。
汚泥濃度が15300mg/Lの活性汚泥を4個の容器A1、A2、A3、A4に所定量入れた。次いで容器A1と容器A2の汚泥に、希釈されたときに有効塩素濃度がそれぞれ600mg/Lと1200mg/Lになる量のバイオマスター液を注入して40分攪拌した。一方、容器A3と容器A4の汚泥のそれぞれには、容器A1と容器A2のそれぞれに注入されている希塩酸と同等量の8.5%の希塩酸を注入した。その後、容器A3と容器A4の汚泥のそれぞれに、容器A1と容器A2のそれぞれに注入されている次亜塩素酸ナトリウムと同等量の12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入して40分攪拌した。
容器A1、A2、A3、A4のそれぞれに残留している次亜塩素酸の濃度をヨウ化カリウムからなる指示薬を用いて亜硫酸ナトリウム水溶液によって定量して、汚泥と反応した次亜塩素酸の割合、すなわち反応率を調べたところ、容器A1と容器A3においてはいずれも反応率が91±2%、容器A2と容器A4においてはいずれも反応率が79±1%であった。
汚泥にバイオマスター液を注入した場合と、希塩酸と次亜塩素酸ナトリウム水溶液を別々に注入した場合とは、反応率において相違は無いことが分かった。すなわち、汚泥の基質化の効果には相違が無いことが分かった。
バイオマスター液を汚泥に注入する場合と、希塩酸と次亜塩素酸ナトリウム水溶液を別々に注入する場合のそれぞれについて、汚泥の削減率の効果に違いがあるか否かを調べる実験を、下水道から採取された原水を処理するバッチ試験によって実施した。
3槽の曝気槽X1、X2、X3を用意して、それぞれ同量の活性汚泥を入れ、下水道から採取した原水をそれぞれ180Lになるように入れた。曝気槽X1、X2、X3のそれぞれを21時間曝気した後、曝気を停止して汚泥を沈殿させた。沈殿後、曝気槽X1、X2、X3から上澄水、すなわち処理水を捨てて、いずれも汚泥を50Lだけ残した。曝気槽X2からは、10Lの汚泥を抜き出して、容器Y2に採り、実施例1において調製された有効塩素濃度が4000mg/Lのバイオマスター液を、有効塩素濃度が360mg/Lになるように添加して30分撹拌後,亜硫酸ナトリウムで残留塩素を分解して曝気槽X2に戻した。曝気槽X3からは、10Lの汚泥を抜き出して、容器Y3に採り、容器Y2に添加したバイオマスター液と同等量の希塩酸を注入して攪拌し、その後、容器Y2に添加したバイオマスター液と同等量の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入した。容器Y3を30分撹拌後,亜硫酸ナトリウムで残留塩素を分解して曝気槽X3に戻した。曝気槽X1に対しては、特に処理を実施しなかった。
このような曝気槽X1、X2、X3に、それぞれ下水道から採取した原水を入れて180Lにして、30分曝気して再度沈殿させ、それぞれ汚泥が50Lだけ残留するように上澄水を抜いた。次いで、曝気槽X1、X2、X3に下水道から採取した原水を投入して、21時間の曝気を行った。
このような操作を3週間繰り返し実施して、馴らし運転した後に、さらに3週間繰り返し実施した。曝気槽X1、X2、X3のそれぞれで発生した余剰汚泥を計量し、曝気槽X1に対する曝気槽X2、X3の汚泥削減率を求めたところ、それぞれ71%,89%であった。希塩酸と次亜塩素酸ナトリウム水溶液を別々に注入した曝気槽X3の場合のほうが、希塩酸と次亜塩素酸ナトリウム水溶液を混合して、バイオマスター液として注入した曝気槽X2より汚泥削減率は高かった。削減率が高い原因は不明である。しかしながら、希塩酸を注入して混合した後に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入すると、汚泥のpH値が比較的低い状態で次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入されるので、汚泥の等電点、すなわちpH2.5〜3.0により近いpH値で次亜塩素酸が作用することになり、そうすると汚泥が電荷的に中性になって次亜塩素酸がより反応しやすくなったという可能性も考えられる。このように、削減率が高い原因については定かではないが、希塩酸と次亜塩素酸ナトリウム水溶液を別々に注入する方法は、少なくともバイオマスターを注入する方法に勝るとも劣らない方法であることは確かであるし、汚泥を等電点近傍のpH値に容易に調整でき、そのように調整した後に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入することも可能であるので、優れた方法であると言える。
酸性に調整された汚泥に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入したときに、塩素ガスが発生するか否かを調べる実験を行った。
汚泥濃度が17100mg/Lの汚泥を500mLビーカーに採って、スターラで攪拌しながら8.5%の希塩酸を0.9mL注入してpH3.5にした。次いで、12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を1mL宛滴定して塩素ガスが発生するか否かを確認し、そのときのpH値も測定した。実験結果を表に示す。
Figure 0004523989
表1に示されているように、pH3.5の汚泥に対して次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入しても塩素ガスは発生しないことが分かった。なお、希塩酸と次亜塩素酸ナトリウム水溶液を反応させると、式(1)のように次亜塩素酸が生成される。この反応を考慮すると、8.5%の希塩酸0.9mLに対する、12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の当量は1.2mLである。表1によると、この1.2mLを超えた3mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を滴定しても、汚泥のpHは6.2の弱酸性であった。このように、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を当量を超えて注入してもpH値がアルカリ側に変化していないのは、式(4)に示されているように反応して塩酸が生成されるためである。生成された塩酸は再び次亜塩素酸ナトリウムと反応するので、次亜塩素酸が生成されることになる。このようにして、塩酸は次亜塩素酸ナトリウムとの反応で消費されても、反応する有機汚泥があれば次亜塩素酸から再生成されるので、汚泥中の塩酸濃度は安定して、汚泥は弱酸性に維持されることになる。
比較的高い酸性の汚泥に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入したときに、塩素ガスが発生するか否かを調べる実験を行った。
汚泥濃度が17100mg/Lの汚泥を500mLビーカーに採って、スターラで攪拌しながら8.5%の希塩酸を3.4mL注入してpH2.5にした。次いで、12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を1mL宛滴定して塩素ガスが発生するか否かを確認し、そのときのpH値も測定した。実験結果を表に示す。
Figure 0004523989
pHが4.0以下、特にpH3.0以下においては、次亜塩素酸は有害な塩素ガスに変化することが知られており、このような比較的強い酸性にすることは危険であると考えられてきた。しかしながら、この実験により、pHが2.5〜4.0の比較的強い酸性下においても、塩素ガスが発生しないことが確認された。これは、次亜塩素酸が塩素ガスに変化するよりも、汚泥中の有機物との反応に優先的に消費されるためであると考えられる。
基質化する汚泥が十分に供給されている場合、すなわち有機物が十分に含まれている場合に、pH2.5の汚泥に対して次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入するとき、注入量によって塩素ガスが発生する可能性があるか否かについて検討する。表2の結果より、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入量が少ない場合には問題が生じないことが明らかである。注入量が多い場合について検討する。注入された希塩酸と反応する次亜塩素酸ナトリウム水溶液の当量は5mLであるが、このような量を汚泥に注入しても、pHは4.2の弱酸性が維持されており、塩素ガスは発生しない。また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液はアルカリ性にして搬送・保存されているので、当量以上の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を汚泥に注入しても、pH値は上昇して塩素ガスを発生することはない。すなわち、基質化する汚泥が十分に供給されているときには、汚泥のpHが2.5以上であれば、次亜塩素酸ナトリウムの注入量によらず塩素ガスが発生する恐れはない。
次に、汚泥ポンプの故障等によって急速攪拌反応槽に流入する汚泥が減少した場合について、すなわち十分な有機物が含まれていない場合について検討する。この場合においても、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が少量注入されるときに生成される少量の次亜塩素酸は、有機物と反応して消費される。このとき、表2に示されているようにpH値は次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入に従って、少しずつ上昇する。次亜塩素酸ナトリウム水溶液をさらに注入する。そうすると、生成される次亜塩素酸と反応する有機物はなくなってしまっているので、次亜塩素酸は消費されないで残留する。しかしながら、次亜塩素酸が有機物と反応しないので、塩酸は生成されず、急激にpH値は上昇する。すなわちアルカリ性に変化する。そうすると塩素ガスは発生しない。本実施の形態に係る汚泥削減装置によって希塩酸と次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入すると、汚泥のpHが2.5以上であれば塩素ガスが発生することはない。
さらに強い酸性下において次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入されたときの安全性を確認する以下の実験を行った。
汚泥濃度が17100mg/Lの汚泥を500mLビーカーに採って、スターラで攪拌しながら8.5%の希塩酸を9.6mL注入してpH2.0にした。次いで、12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を1mL宛滴定して塩素ガスが発生するか否かを確認し、そのときのpH値も測定した。実験結果を表に示す。
Figure 0004523989
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の滴定量が4mLまでは塩素ガスが発生しなかったが、それ以上滴定すると塩素ガスが発生した。滴定の当初においては汚泥中の有機物と反応して次亜塩素酸が十分に消費されていたが、4mL以上滴定されると反応する汚泥中の有機物がほとんど残っていないので、塩素ガスが発生したものと考えられる。汚泥のpHが2.0の場合、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入量によっては、塩素ガスが発生して危険であることが分かった。
本実施の形態に係る汚泥削減装置において、攪拌装置が故障した場合に塩素ガスが発生するか否かの危険性を評価する必要がある。攪拌しないで汚泥に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入して、塩素ガスの発生の有無を確認する実験を行った。
実施例3で実施した条件において一部の条件を変更して、他については同一の条件にして実験を行った。変更した条件は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入時、および注入後にスターラを停止することである。実験の結果、塩素ガスは発生しなかった。本実施の形態に係る汚泥削減装置において急速攪拌反応槽の攪拌装置が故障しても危険が無いことが確認できた。
汚泥を基質化させるのに適した次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入量を調べるため次の実験を行った。
汚泥濃度が25600mg/Lの汚泥を所定量ビーカーに採って、スターラで攪拌しながら8.5%の希塩酸を次亜塩素酸生成に必要な量を注入した。この汚泥を容器B1、B2、B3、B4に取り分けた。このような容器B1、B2、B3、B4に、12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、希釈後の有効塩素濃度がそれぞれ400、800、1200、1600mg/Lになるように注入した。容器B1、B2、B3、B4をスターラで30分間攪拌した後に、残留塩素濃度を測定し、遊離塩素の有無を調べた。実験結果を表に示す。
Figure 0004523989
実験によると、容器B4において遊離塩素が検出され、有効塩素濃度が1600mg/Lにすると、汚泥濃度が25600mg/Lの汚泥に対しては若干過剰であることが分かった。このように消費されなかった次亜塩素酸に対しては、亜硫酸ナトリウム等の還元剤によって分解して、曝気槽に返送する必要がある。実験に使用した汚泥に対しては、有効塩素濃度が1200mg/L以下になるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入する場合は,亜硫酸ナトリウムは不要であるあることが分かった。
汚泥を基質化させるのに適した次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入量を調べるために、さらに実験を行った。
汚泥濃度が2000mg/Lの汚泥を所定量ビーカーに採って、スターラで攪拌しながら8.5%の希塩酸を次亜塩素酸を生成するに必要な等モル注入した。この汚泥を容器C1、C2、C3、C4、C5に取り分け、それぞれに12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入した。各容器C1〜C5における希釈後の有効塩素濃度が、汚泥濃度に対してそれぞれ、5%、6%、10%、12%、20%になるように注入した。すなわち、希釈後の有効塩素濃度が、それぞれ100、120、200、240、400mg/Lになるように注入した。容器C1〜C5をスターラで30分間攪拌して汚泥の基質化の状態を調べた。
容器C1、容器C2、容器C3を比較すると、次亜塩素酸ナトリウムの注入量が多いほど汚泥が基質化していることが分かった。しかしながら、容器C3と容器C4を比較すると、汚泥の基質化の状態はあまり変わらず、容器C4では残留塩素が増加していた。容器C5においては、遊離塩素が検出され汚泥は完全に漂白されていた。この汚泥の場合,次亜塩素酸ナトリウムの注入量は、汚泥濃度の12%以下の値の有効塩素濃度になる希釈率で注入するとき、適切に基質化されることが分かった。これ以上、次亜塩素酸ナトリウムを注入すると、次亜塩素酸が残留してしまうので、亜硫酸ナトリウム等の還元剤によって分解して、曝気槽に返送する必要がある。
次亜塩素酸を分解する亜硫酸ナトリウム水溶液を過剰に注入したときに、曝気槽に与える影響を調べる実験を行った。
実施例2と亜硫酸ナトリウムを過剰に注入する点を除いて他の条件は全て同一にして実験を実施した。すなわち、曝気槽X2、X3から採取され、容器Y2、Y3において基質化された汚泥に対して、過剰な亜硫酸ナトリウムを注入する以外は、全て同じ条件にして実験した。亜硫酸ナトリウムは、容器Y2、Y3において残留塩素濃度を測定し、残留塩素濃度の分解に必要な2倍の量になるようにそれぞれ注入した。このような処理を3週間続けたが曝気槽X2,X3に異常は見られなかった。曝気槽X1に比べ沈降性も良好だった。
さらに、曝気槽X2、X3から容器Y2、Y3に採取する汚泥を7Lにして,それらの汚泥に注入する次亜塩素酸の濃度を有効塩素濃度290mg/Lになるようにして反応させる実験を実施した。容器Y2、Y3のそれぞれで測定された残留塩素濃度に対して必要な亜硫酸ナトリウムの注入量の3〜5倍になるように亜硫酸ナトリウムを添加した。その後、2週間曝気槽を運転した後、これらの活性汚泥の一部をとり顕微鏡で観察した。原生動物は、倍率100倍の光学顕微鏡によって、試料を載せたプレパラートを72mm移動させて観察した。その結果,原生動物の種類と数は曝気槽X3が最も多く次に曝気槽X2であった。無処理の曝気槽X1がもっとも原生動物が少なかった。残留塩素の分解に必要な3〜5倍の量の亜硫酸ナトリウム水溶液を注入しても、曝気槽内の汚泥の好気性微生物には影響がでないことが確認できた。
以上から,希塩酸と次亜塩素酸ナトリウムで汚泥を処理した後に、残留塩素を過剰の亜硫酸ナトリウムで分解しても危険が無いことが確認できただけでなく、過剰の亜硫酸ナトリウムを注入しても、次亜塩素酸処理において曝気槽の汚泥の沈降性が改善されたり、微生物活性が増加する現象にも変化がないことが確認できた。
亜硫酸ナトリウム水溶液を注入しない、または注入量が少ない場合に、残留塩素を含んだ汚泥が曝気槽に返送される。この場合に残留塩素が曝気槽に与える影響を評価する実験を行った。
曝気槽E1、E2、E3、E4を用意して、それぞれに汚泥濃度5000mg/Lの汚泥を5L宛入れた。毎日1回、以下の操作をした。それぞれの曝気槽E1〜E4から1Lずつ汚泥を抜いて、容器F1〜F4に入れ、容器F1〜F4に希塩酸を注入した後、有効塩素濃度が400mg/Lになるように次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入し、30分間攪拌した。各容器F1〜F4の残留塩素濃度を調べたところ、全て135mg/Lであった。容器F1内の汚泥についてはそのまま曝気槽E1に戻した。容器F2〜F4の汚泥については、それぞれ、残留塩素を分解するのに必要な亜硫酸ナトリウム水溶液の量の、30%、60%、100%を注入して攪拌後、それぞれ曝気槽E2〜E4に戻した。その後、曝気槽E1〜E4を曝気処理した。このような操作を10日間繰り返した。
10日後に曝気槽E1、E2、E3、E4内の汚泥の原生動物を観察して、原生動物の種類を比較した。その結果、曝気槽E1においては原生動物は発見できず、曝気槽E2〜E4においては原生動物を確認することができた。曝気槽E2においては、曝気槽E3よりも原生動物の種類がやや少なかったが、曝気槽E3と曝気槽E4の原生動物の種類はほぼ同数だった。亜硫酸ナトリウム水溶液の注入は、残留塩素の分解に必要な量の30%程度でも十分であるが、60%以上になると実質的に曝気槽に影響を与えないことが分かった。
実際に稼動している有機性排水の処理設備において実証実験を行った。排水量1200m3/日の処理設備において、汚泥基質化装置を設けて1年間運転した。汚泥基質化装置は、実施例1に記載されているバイオマスター液を調製する装置とその注入装置、バイオマスターが注入された汚泥を攪拌する攪拌反応槽、攪拌反応槽の下流に設けられている亜硫酸ナトリウム水溶液注入装置、等から構成した。汚泥基質化装置は、沈殿槽から所定量の汚泥が引き抜かれて、汚泥が基質化されるようになっており、基質化した汚泥は曝気槽に戻されるようになっている。なお、亜硫酸ナトリウム水溶液が注入された後の汚泥中の残留塩素は15mg/Lになるようにして運転した。
1年間運転した結果、汚泥は従来と比して大きく削減され、また汚泥の活性も高くなり、沈降性も改善した。
1 処理設備
3 曝気槽 4 沈殿槽
6 汚泥削減装置 15 酸混合槽
16 急速攪拌反応槽 17 緩速攪拌反応槽
18 残留塩素分解槽
20 希塩酸貯蔵タンク 21 希塩酸注入ポンプ
22、28、29 攪拌装置
24 制御盤
25 次亜塩素酸ナトリウム貯蔵タンク
26 次亜塩素酸ナトリウム注入ポンプ
31 pH計
32 亜硫酸ナトリウム貯蔵タンク
33 亜硫酸ナトリウム注入ポンプ

Claims (9)

  1. 有機物を含んだ排水を曝気槽において活性汚泥処理するときに発生する汚泥のうち、一部の汚泥を抜き出して次亜塩素酸によって基質化し、基質化した汚泥を曝気槽に戻して活性汚泥処理によって消化して、汚泥を削減する方法において、
    前記一部の汚泥を基質化するとき、前記一部の汚泥に希塩酸または希硫酸を注入して攪拌または混合し、次いで次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入して、5分以上攪拌して汚泥を基質化することを特徴とする、汚泥の削減方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記希塩酸または希硫酸は、前記一部の汚泥を基質化した時のpH値が3.5〜6.5になるように注入することを特徴とする、汚泥の削減方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、汚泥濃度2000〜26000mg/Lの汚泥に対して、有効塩素濃度を300〜1600mg/Lになるように注入することを特徴とする汚泥の削減方法。
  4. 請求項1または2に記載の方法において、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、汚泥濃度の3〜20%の値の有効塩素濃度になるように注入することを特徴とする汚泥の削減方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの項に記載の方法において、前記基質化した汚泥に、亜硫酸ナトリウム水溶液、またはチオ硫酸ナトリウム水溶液を注入して攪拌して、曝気槽に戻すことを特徴とする汚泥の削減方法。
  6. 有機物を含んだ排水を活性汚泥処理するための曝気槽と、前記曝気槽において処理された汚泥を含む水を上澄み水と汚泥に分離するための沈殿槽とからなる、有機物を含んだ排水の処理設備に設けられている、汚泥の削減装置であって、
    前記汚泥の削減装置は、前記沈殿槽において分離される汚泥の一部が抜き出され、希塩酸または希硫酸が注入されて混合される所定の長さの酸混合管、または所定の容量の酸混合槽と、
    前記酸混合管または前記酸混合槽の下流に設けられ、汚泥に次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入される攪拌反応槽とからなり、
    前記攪拌反応槽には所定の攪拌装置が設けられ、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液が注入された汚泥は5分以上攪拌されて、前記曝気槽に返送されるようになっていることを特徴とする汚泥の削減装置。
  7. 請求項6に記載の装置において、前記攪拌反応槽の下流には残留塩素分解槽が設けられ、前記残留塩素分解槽において汚泥に亜硫酸ナトリウム水溶液、またはチオ硫酸ナトリウム水溶液が注入されて、前記曝気槽に返送されるようになっていることを特徴とする汚泥の削減装置。
  8. 請求項6または7に記載の装置において、前記攪拌反応槽にはpH計が設けられ、前記酸混合管または前記酸混合槽において注入される希塩酸または希硫酸の注入量が、前記攪拌反応槽内の汚泥がpH値3.5〜6.5になるように監視されることを特徴とする汚泥の削減装置。
  9. 請求項6〜8のいずれかの項に記載の装置において、前記攪拌反応槽は、直列に接続された2槽以上の複数個の槽から構成されていることを特徴とする汚泥の削減装置。
JP2009120916A 2009-05-19 2009-05-19 汚泥の削減方法および削減装置 Active JP4523989B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009120916A JP4523989B2 (ja) 2009-05-19 2009-05-19 汚泥の削減方法および削減装置
CN2009801593995A CN102428043A (zh) 2009-05-19 2009-11-24 污泥的削减方法和削减装置
KR20107016200A KR20120025361A (ko) 2009-05-19 2009-11-24 오니 삭감방법 및 삭감장치
PCT/JP2009/006298 WO2010134143A1 (ja) 2009-05-19 2009-11-24 汚泥の削減方法および削減装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009120916A JP4523989B2 (ja) 2009-05-19 2009-05-19 汚泥の削減方法および削減装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010029842A JP2010029842A (ja) 2010-02-12
JP4523989B2 true JP4523989B2 (ja) 2010-08-11

Family

ID=41734982

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009120916A Active JP4523989B2 (ja) 2009-05-19 2009-05-19 汚泥の削減方法および削減装置

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP4523989B2 (ja)
KR (1) KR20120025361A (ja)
CN (1) CN102428043A (ja)
WO (1) WO2010134143A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5950668B2 (ja) * 2012-04-16 2016-07-13 四国化成工業株式会社 余剰汚泥の減量化方法
US20150191377A1 (en) * 2012-07-31 2015-07-09 Basf Se Concentration of suspensions
CN110240375B (zh) * 2019-05-20 2021-02-12 同济大学 一种基于等电点促进剩余污泥预醇化强化厌氧消化的方法
CN113651505B (zh) * 2021-08-23 2023-03-17 上海市政工程设计研究总院(集团)有限公司 一种多功能的剩余污泥池及其污泥处理方法
CN114804555A (zh) * 2022-04-15 2022-07-29 中国地质大学(武汉) 强化氯消毒杀灭污泥中病原微生物与毒副产物的控制方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007007546A (ja) * 2005-06-30 2007-01-18 Hitachi Plant Technologies Ltd 汚泥の処理方法
JP2007209889A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 Es Technology Kk 余剰汚泥の処理方法
JP2007216186A (ja) * 2006-02-20 2007-08-30 Hitachi Plant Technologies Ltd 汚泥の処理方法
JP4183738B1 (ja) * 2008-01-16 2008-11-19 イーエス・テクノロジー株式会社 有機物を含んだ排水の処理方法および処理装置
JP4183737B1 (ja) * 2007-11-09 2008-11-19 イーエス・テクノロジー株式会社 有機物を含んだ排水の処理方法および処理装置

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3565304B2 (ja) * 1996-07-09 2004-09-15 株式会社荏原製作所 有機性汚水の処理方法と装置
JPH11147801A (ja) * 1997-09-12 1999-06-02 Kankyo Eng Co Ltd 活性汚泥の殺菌剤、これを用いた活性汚泥の殺菌方法、及び有機性廃水の処理方法
JP2001029979A (ja) * 1999-07-26 2001-02-06 Nippon Kankyo Create Kk 汚泥減量方法及び装置
JP2004267844A (ja) * 2003-03-06 2004-09-30 Fuji Electric Holdings Co Ltd 有機性汚水の処理方法および装置
JP3825021B2 (ja) * 2003-08-20 2006-09-20 日立マクセル株式会社 有機性汚水の処理装置、および有機性汚水の処理方法
EP1765735B1 (en) * 2004-06-01 2014-01-22 BCR Environmental Corporation Sludge treatment process
JP2006142256A (ja) * 2004-11-24 2006-06-08 Hitachi Kiden Kogyo Ltd 有機性廃水の処理方法
CN101045597A (zh) * 2006-03-27 2007-10-03 株式会社阿卡迈托 剩余污泥处理方法及其设备
KR20070096786A (ko) * 2006-03-27 2007-10-02 가부시키가이샤 아쿠아마이토 잉여 오니 처리방법 및 그 설비

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007007546A (ja) * 2005-06-30 2007-01-18 Hitachi Plant Technologies Ltd 汚泥の処理方法
JP2007209889A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 Es Technology Kk 余剰汚泥の処理方法
JP2007216186A (ja) * 2006-02-20 2007-08-30 Hitachi Plant Technologies Ltd 汚泥の処理方法
JP4183737B1 (ja) * 2007-11-09 2008-11-19 イーエス・テクノロジー株式会社 有機物を含んだ排水の処理方法および処理装置
JP4183738B1 (ja) * 2008-01-16 2008-11-19 イーエス・テクノロジー株式会社 有機物を含んだ排水の処理方法および処理装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN102428043A (zh) 2012-04-25
KR20120025361A (ko) 2012-03-15
JP2010029842A (ja) 2010-02-12
WO2010134143A1 (ja) 2010-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4523989B2 (ja) 汚泥の削減方法および削減装置
CN105217885B (zh) 一种印染助剂生产废水的处理方法
CN105540959B (zh) 一种微电解和芬顿技术集成的反应器及废水处理方法
JP4907103B2 (ja) 生物処理槽の汚泥処理方法
CN113582323A (zh) 一种自动化芬顿反应装置及控制方法
JP4744925B2 (ja) 硫酸ラジカルを用いた水処理方法及び装置
JP6594591B1 (ja) 下水処理装置および下水処理方法
JP4183737B1 (ja) 有機物を含んだ排水の処理方法および処理装置
Moussavi et al. Effect of ozonation on reduction of volume and mass of waste activated sludge
CN204958687U (zh) 一种印染助剂生产废水的处理系统
US20090173696A1 (en) Method and system of digesting excess sludge
JP4183738B1 (ja) 有機物を含んだ排水の処理方法および処理装置
JP2020002493A (ja) 紙製造工程水系の抗菌方法
JP4632397B2 (ja) 汚水の処理方法およびその装置
CN111792759A (zh) 一种基于碳源回用的污水污泥调理工艺及系统
JP2009255065A (ja) 硫黄系cod成分を含有する廃水の処理方法およびその設備
JP5188208B2 (ja) 濁水処理システム
JP2004223448A (ja) 排水への滅菌剤注入量の自動制御方法とその装置
Kelly et al. Autothermal thermophilic aerobic digestion design
SG182462A1 (en) Anaerobic treatment apparatus and anaerobic treatment method
JP2010234338A (ja) 硫黄系cod成分を含有する廃水の処理方法およびその処理設備
JP2001205291A (ja) ポリエチレングリコール含有排水の処理方法
CN207760146U (zh) 一种综合富氧污水沉淀池
JP2003236592A (ja) 有機性汚泥の処理方法
KR20020009956A (ko) 난 분해성 오염물질과 중금속을 함유한 폐수처리 방법 및장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100406

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20100406

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20100427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100525

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100528

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4523989

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130604

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250