JP4523340B2 - 忌避材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は苗の状態で育成中の野菜、果実などの各種農作物に害を及ぼす害虫又は害鳥或いは害獣等の被害を防止するようにした忌避材の製造方法及びさらに、上記機能のほか施肥を不要にした機能も含む忌避材の製造方法に関するものである。
蔬采、果実等の農作物の栽培は、周知のように、畑などの農地やビニールハウスなどの苗床に苗を植えて栽培されているが、この場合、ネキリムシ等の害虫による被害は無視できない状況となっている。
ところで、現行のネキリムシ等の害虫の防御対策としては、現状としては殺虫剤の散布を行うことが主な方法として用いられている。
また、果実などの害鳥対策としては、ビニールハウス全体を覆うような防鳥用ネットやマイナスイオン発生装置を用いる方法が提案されている。
さらに、害獣対策としては、大掛かりなフエンスの載置が主流といえる。
特開2004−043504
特開2003−299434
特開2003−304789
特開2004−024230
ところで、害虫の予防に殺虫剤など農薬を使用すると、農薬は土壌等の生活環境を破壊し、且つ殺虫剤の散布は、苗を植えた初期の段階に行う必要があり、収穫物に農薬残留の危険性があり、農薬が残留した農作物を食べる場合には、その毒性のため、人間の神経を損傷し、遺伝子にも悪影響を与えることが最近、識者から指摘されている。このため、農薬を使わない有機無農薬栽培が世界的な潮流となろうとしている。
また、ネキリムシによる被害は、果実等の他、野菜、園芸、苗木などの各種場所でも問題になっているが、農薬以外の適切な対策が今のところ、発見されていない。
また、ネキリムシ等の害虫のほかネズミやモグラ等の小動物による被害も問題にすべき事柄である。例えば、穀物倉庫では、コクゾウムシやノシメマダラメイガのような害虫のほかネズミによる被害もあり、これらの簡便な防御対策が重要な課題となっている。
さらに、鹿などの保護動物も、所定の地域を越えて移動すると、周辺地域に被害を及ぼす恐れがあるが、無闇にこれらの保護動物を取り締まると、保護動物条例等の観点からの問題も生じ、地域住民に影響を与える恐れがあった。
さらに、農作物等に害を及ぼすカラス、スズメなどの害鳥に対しても、適切な対策が求められている。
しかし、従来技術のものでは、いずれも、大掛かりな高価な設備費用を必要とするものであり、実用的なものが求められていた。
また、農家での高齢化に伴い、農作物に対する施肥作業も農夫にとって負担となってきっており、施肥を不要とする適切な処理も求められている。
本発明は、上記課題を解決し、これらの農作物等に何らの毒性を付加することなく各種農作業に手軽に用いることができる害虫、害鳥及び害獣対策ができ、且つ、施肥作用も不要とできるような機能を有する忌避材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の忌避材の製造方法は、上記課題を解決するために、請求項1記載のものでは、次のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕したものを、混合して所定の大きさ、形状に固化、形成した後、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させるように構成した。
A:おが屑粉又は木皮又はセルローズ
B:多孔材である木炭、セラミックス、ゼオライト、カオリナイ
また、これに代え、請求項2乃至11のいずれかに記載のように、次の項目(2)〜(11)に記載のように忌避材の製造方法を構成してもよい。
(2)上記のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕したものを、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定形状に固化、形成した後、この固化、形成されたものを、さらに、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させるように構成したもの。
(3)前記のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕したものに、タブ粉又は/及びヤシ粉を混合して所定形状に固化した後、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを常温で含浸させるように構成したもの。
(4)請求項1又は項目(3)に記載の忌避材の製造方法により製造した忌避材の表面に有機物ポリマー又はパラフィン或いはワックスをコーテングするようにしたもの。
また、防虫機能のほか、施肥機能も備えた次の構成も考えられる。
(5)前記のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕すると共に、固形の有機肥料又は無機肥料を加えて混合し所定の大きさ、形状に固化、形成した後、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させるように構成したもの。
(6)前記のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕したものに、固形の有機肥料又は無機肥料及び融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定形状に固化、形成した後、この固化、形成されたものを、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させるように構成したもの。
(7)前記のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕したものに、固形の有機肥料又は無機肥料及びタブ粉又は/及びヤシ粉を加えて混合して所定形状に固化、形成した後、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを常温で含浸させるように構成したもの。
(8)項目(5)乃至(7)のいずれかに記載の忌避材の製造方法において、有機肥料又は無機肥料として、固形のものに代えて、液体のものを用いる場合には、構成要素を混合し、焼成した後に、ハーブの植物精油と共に含浸させるようにして構成したもの。
(9)項目(5)又は(7)に記載の忌避材の製造方法により製造した忌避材の表面に有機物ポリマー又はパラフィン或いはワックスをコーテングするようにしたもの。
(10)上記の各項目に記載の忌避材の製造方法により製造した忌避材の形状として、粒状のほかダンゴ状又は環状或いは多面体状等の各種の小塊形状に形成したもの。
(11)また、上記のハーブの植物精油としては、シトロネラとニームオイル又はシトロネラとクローブを或いはシトロネラとクローブとニームオイルを所定の割合でブレンドしたこと。
(12)さらに、構成要素として、次の構成要素C又はD或いはEのいずれか一つ以上を付加するようにした忌避材の製造方法
C:capsicum中の激辛トウガラシのエキス
D:capsicum中の激辛トウガラシのエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
E:capsicum中の激辛トウガラシのエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス
本発明の忌避材の製造方法により製造した忌避材は、次のような優れた効果を有する。なお、以下に述べる各忌避材共、栽培地等に載置後、3ケ月〜4ケ月程度で自然崩壊するので、放置しても環境汚染の問題を生じる恐れはない。
(1)請求項1に記載のように、所定形状に形成された忌避材は、その構成要素であるおが屑粉等のA成分、木炭等のB成分は、前者の場合は含浸性が高く、また後者の場合には多孔質部分の含浸機能で夫々ハーブが含浸、保持され、且つハーブのエキスから発せられる刺激臭によりネキリムシほかの各種害虫に対して極めて高い忌避作用があるので、これを、各種農作物の栽培地に所定間隔で載置するだけで必要な害虫忌避作用を発揮する。
この場合、成分Aとして、おが屑粉を使用すると、安価な材料であるにも拘わらず、造形効果があり、忌避材の製造を比較的、安価に製作できるという優れた効果を有する。この点は成分Aの木皮(杉、桧、松等の木皮)やセルローズについても言えることである。特に、松の木皮に含有されている松ヤニには造形作用があり、有効である。
また、成分Bとして使用される木炭には、木炭自身による清浄機能があり、同様に、セラミックスには焼成形成した後のセラミックス砂としての浄化機能が、ゼオライトにもゼオライト自身による浄化機能があるので、農作地の殺菌作用もあり、農作物に害を与える菌に対する自浄作用もあるので、有益である。
(2)請求項2に記載のようにパラフィン又はワックスを用いて、事前の固化、形成を行えば、構成要素A及びBの選択によっては、事前の粉砕、混合では固化、形成に時間を要するものでも、容易に固化、形成のための造形ができるほか、揮発性のハーブの寿命が延びる点で有用である。
また、請求項3に記載のように、バインダーとしてタブ粉又は/及びヤシ粉を用いるようにすると、タブ粉又は/及びヤシ粉の造形作用のために、請求項2のようにパラフィン又はワックスを用いる工程が省略できるので、忌避材の製造を簡単に、短時間に行うことができる。
この場合、タブ粉よりヤシ粉の方が造形作用は大のため有用であり、特に、薄型形状の忌避材を形成するときには両者を混合することが有用である。
また、忌避材の防虫機能、殺菌機能は請求項2も3の各場合も、請求項1の場合と同様である。
(3)請求項4のように、請求項1又は3の生成物である忌避材の表面に有機用ポリマー又はパラフィン或いはワックスを用いてコーテングすると、揮発性のハーブの機能が作用する期間を、延長できる。
(4)請求項5〜9のように、構成要素として、有機肥料又は無機肥料を加えておけば、生成された忌避材自身に肥料が内在されているため、これを農作物の近辺に載置すれば、防虫機能のほか、施肥を不要とできる効果もある。
(5)請求項10のように、忌避材の形状を粒状のほか、ダンゴ状又は環状或いは多面体状等の各種の小塊形状とすれば、農作物の種別に応じて、栽培地に対して忌避材を適正に載置することが可能である。
たとえば、ダンゴ状又は環状に形成したものでは、畑、苗床、路地栽培の苗の生育中に発生するネキリムシからの苗の防御に極めて効果的である。
さらに、請求項1〜4に記載の製造方法により製造された肥料要素を含まない忌避材は、請求項10に記載の各種形状のものを、穀物倉庫の内側の周囲、即ち、床と壁の接点の場所にも載置が容易であるので、ネズミ等の小動物の他、穀物害虫であるノシメマダラメイガやコクゾウムシ等の害虫、さらには鹿等の保護動物からの被害に対しても効果的である。
(6)請求項11のように、ハーブと称せられる植物精油として、シトロネラとニームオイル又はシトロネラとクローブを或いはシトロネラとクローブとニームオイルを所定の割合でブレンドすると、防虫効果が効果的なハーブが適正にブレンドできる点で実用的である。
(7)請求項12のように、構成要素として、さらに、次の構成要素C又はD或いはEも付加するようにすると、防虫効果のほかに、農作物に害を及ぼす鳥獣に対しても忌避作用を発揮できる忌避材とすることができ、本発明の適用範囲を拡大できる。
C:capicum中の激辛トウガラシのエキス
D:capsicum中の激辛トウガラシのエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
E:capsicum中の激辛トウガラシのエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス
以下図示する本発明の各実施の形態により本発明を具体的に説明する。
第1の実施の形態:
図1乃至図4は夫々第1の実施の形態である本発明の忌避材の製造方法により製造した忌避材の構成を示す斜視図である。
図1において、1は本発明の第1の実施の形態の忌避材1を示すもので、これは、請求項1〜5に記載のように各種構成が考えられる。
まず、基本構成としては、請求項1に記載のように、次の構成となる。
(1)下記のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素する。
A:おが屑粉又は木皮又はセルローズ
B:多孔材である木炭、セラミックス、ゼオライト、カオリナイ
例えば、おが屑と木炭、おが屑と木皮と木炭とセラミックスなどの各種の組合せが考えられる。
(2)次に、これらの構成要素を、比較的軟質のAの種別のものと、比較的硬質のBのものとを混ぜないで、夫々の種別毎に粉砕したものを、混合し、所定形状に固化、形成する。このようにするのは、AとBの種別のものでは、構成要素の硬さが相違するので、粉砕するときに、各種別毎に適した粉砕時間をかけて行う方が能率的となるためである。
なお、この場合、素材の選択によっては、混合過程で必要に応じて適量の水を加えることが望ましい。
(3)次に、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成する。
(4)最後に、焼成されたものにシトロネラ、ニームオイル等のハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させた後、所定の期間乾燥させて忌避材1を完成する。
図1に示すものでは、忌避材1の形状を、ダンゴ状に形成した場合を示す。なお、ダンゴ状の直径としては、例えば6mm〜20mm程度が適当であるが、この大きさに限定するものではない。
また、図2に示したものは、図1の忌避剤1よりも、さらに小粒の粒状(例えば、直径が3mm〜5mm程度のもの)に形成した忌避材2の例を示す。また、図3及び図4は、夫々忌避材を環状に形成した構成例を示す。
この環状の構成例として、図3のものでは、5円硬貨程度の厚みも径も小さい環状の忌避材3に形成した場合を示し、また図4の例では吊るすタイプの防虫用樟脳又はドーナツ状のような厚みも径も、大きい環状の忌避材4に形成したものを示す。
なお、忌避材4に対しては、図4に示すように、環状の本体部分に小孔または小孔状の凹所4aを設けておくと、環状体の本体部分のほか小孔または小孔状の凹所4aからも刺激性の異臭が周囲に発散されることになり、刺激性の異臭の発散面積が増えるため、害虫に対する忌避作用の点では、図示した実施の形態のものでは、防虫効果が最も優れたものとなる。
なお、このような実用性の顕著な小孔または小孔状の凹所4aを有する忌避材4を製造するためには、タブ粉に代えて、或いは、タブ粉に加えてヤシ粉をさらに加えてブレンドすると、ヤシ粉の存在のために堅さが増すために、小孔または小孔状の凹所4aを有する忌避材4の形状に固化、形成する作業を円滑、適正に行うことができ、このようにヤシ粉を混入することは、径が大径で、厚さが薄く、幅が狭いものにも、有効である。これは、タブ粉のみでは、強度性が不足するので、環状等の形状の形成工程で、ひび割れを生じる恐れがあるので、これを防止するために、ヤシ粉を混入することで補強しようとするものである。
この場合、タブ粉とヤシ粉の混合比は、例えば、60〜85:40〜15特に、80:20位とするのが望ましい。
このようにして構成される忌避材1〜4を、農作物の栽培地で、害虫の防御を必要とする場所に載置すると、ネキリムシなどの各種害虫に対して、前記構成成分から発せられるハーブ特有の刺激性の異臭により害虫に対して忌避作用を発揮するから、害虫からの被害が防止され、当該農作物を害虫の被害を受けずに適正に育成できる。
なお、この場合、構成Aの木皮として松を用いると、松の木皮に含有される松ヤニがバインダーとして作用し造形作用を生じるため、所定形状を形成するために、固化、形成を適正に行うことが可能となる。
この点は、おが屑、セルローズにも類似の造形作用があるので、同様な結果を生じる。
なお、松以外の木皮では、造形作用が少し少ない傾向があるので、融点が40℃〜90℃のパラフィン又はワックスを用いたり、又は、これに代え、タブ粉やヤシ粉を加えて混合すれば、パラフイン又はワックス、或いはタブ粉、ヤシ粉がバインダーとして機能し、造形作用が適正に行われる。
このようにすれば、構成要素A、Bの素材の選択の自由度が広がる点でも有効である。
さらに、請求項1又は3記載の構成の忌避材1〜4の場合には、その表面に有機用ポリマー又はワックスを用いてコーテングすることが望ましい。
これは、上記のコーテング処理により、揮発性のハーブの機能が作用する期間が延長されるからである。
本発明含浸されるハーブの植物精油としては、単独として用いても防虫効果はあるが、これらの植物精油の複数種のものをブレンドすれば、効果的である。この場合、前述のように植物精油の内ブレンドして防虫効果が期待できる組み合わせの2種のものを例示すると、シトロネラ等のカンキツ系の植物精油(ここでは、シトロネラと記載する)とニームオイル等のセンダン科の植物精油(ここでは、ニームオイルと記載する)を、例えば、80〜97:20〜3%の割合でブレンドしたものを使用すればよい。
なお、このように形成した忌避材1〜4の成分比の一例を示すと、セラミック炭75%、マイクロワックス17.5%、ハーブオイル(シトロネラとニームオイルを6〜7:4〜3の混合比としたもの)7.5%となる。
この場合、ニームオイルに代えて、クローブを用いて、シトロネラとクローブの2種のハーブのエキスをブレンドすると防虫効果(昆虫忌避効果)を増す点で有効である。この場合の両者の混合比は、シトロネラとクローブを50〜80:50〜20位、特に、80:20とするのが好適であるが、これ以外の混合比であってもよい。
さらに、シトロネラとニームオイルに加えてクローブを用いる態様も、考えられる。この場合の混合比としては、シトロネラ、クローブ、ニームオイルの3種を例えば、70:15:15の混合比でブレンドしたものを用いることが考えられる。
なお、ハーブの植物精油としては、カンキツ系のシトロネラ、センダン科のニームオイル、フトモモ科のクローブ、スパイス類のシナモンのほか、シソ科のスペアミント、樹木類のカユプデ、花の植物精油のゼラニウム、エキゾチック植物精油のパチュリ、樹脂類のテレピン等のハーブの植物精油が適当であり、これら植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを用いることが効果的である。
なお、ここで、ハーブの植物精油の内、害虫に対する忌避効果の点で、特に有効なシトロネラ、ニームオイル及びクローブ、また造形作用のある点で特に、有効なタブ粉について説明すると、次の通りである。
1.シトロネラ
説明:シンボパゴン ナルダス(Cymbopagon nardus)の乾燥した草を蒸留して得られるもの。
工業的データ:
(1)特徴:柑橘類の臭い、特別な刺激臭を有する黄色〜青黄色の液体
(2)20℃の比重:0.880〜0.922
(3)20℃の屈折率:1.466〜1.1475
(4)合計のゼラニオール(Geraniol)(%W/W):最低値85
(5)シトロネリアル(Citronelial)(%W/W):最低値35
(6)80%エタノールにおける溶解度(V/V) :1.2クリア
2.ニームオイル:
このサンプルは、ニーム ケルネル オイル(Neem Kernel Oil)と称されるもので、次の組成のものである。
(1)質量中の水分及び不純物の割合:0.176
(2)40℃における屈折率:1.456
(3)鹸化値:1.87
(4)ヨウ化物値(Iodine value):73
(5)酸化値:8.62
(6)質量中の反鹸化値の割合:0.53
3.クローブ
これは、学術名は、Eugenia caryophyllataといい、フトモモ科に属し、精油を抽出する部分は、花蕾であり、水蒸気蒸留法で精油は抽出される。
化学的な組成は、フルフロール(アルデヒド)、サルチル酸メチル(エステル)、オイゲノール(フェノール)、カリオフィレン(セキステルペン)、ピネン(テルペン)である。
上記組成上から、強力な殺菌作用、殺虫作用があるが、シトロネラとブレンドすると、強力な害虫忌避作用を発揮する。
4.タブ粉
本発明の作用を認定するために使用したタブ粉の一例の分析結果を示すと、次の通りである。
・エネルギー (kcal/100g) 314
・水分 ( g/100g) 23.3 :常圧加熱乾燥減量法による
・タンパク質 ( g/100g) 3.4 :ケルダール分解法による
・脂質 ( g/100g) 1.6 :エーテル排出法による
・炭水化物 ( g/100g) 71.6 :
・灰分 ( g/100g) 10.1 :直接灰化法による
・ナトリウム (mg/100g) 37 :ICP発光分析法による
・食塩相当量 (mg/100g) 95
・カルシウム ( g/100g) 2.3 :ICP発光分析法による
なお、ここで、エネルギー換算係数は、たんぱく質は4.00、脂質は9.00、炭水化物は4.00を用い、試験方法は衛生試験法注解(1990)によって行った。
なお、タブ粉は基本的には、タブ樹木から得られ、インドネシア、タイ、中華人民共和国、台湾などの東南アジア産が有用であるが、特に、その内、インドネシア支那粉が強い粘性を有し、実用性の点で優れている。タブ粉の性能を有すれば、産地は限定されず、本発明には適用可能である。
さらに、上記原料に相違する樹木のものでも、日本の杉粉や炭粉(台産)、本粉マル天B(タイ産)など造粒効果のある粉であれば、この「タブ粉」と記載した本発明の範囲に含まれるものである。
第2の実施の形態:
本発明の第2の実施の形態の忌避材は、第1の実施の形態の忌避材に、肥料機能を付与した点に特徴があり、その趣旨は、既に、請求項5〜9に記載したが、この要点を説明すると、次の形態が考えられる。
即ち、第2の実施の形態の忌避材の構成が、上記した第1の実施の形態の基本構成の忌避材1と相違する点は、第2の実施の形態のものでは、有機肥料又は無機肥料が固形のものの場合には、構成要素の混合の際に、これを加えるようにし、有機肥料又は無機肥料が液体のものの場合には、ハーブの植物精油と共に、含浸するようにした点が相違するのみで、その他の構成及び製造工程は請求項1〜4に記載の第1の実施の形態と同一にすればよい。
なお、第2の実施の形態の忌避材の場合も、その形状は、ダンゴ状、粒状のほか、環状、多面体のような各種の小塊形状のものとすればよい。また、そのハーブの植物精油としては、各種の植物精油が使用できるが、例えば、シトロネラとニームオイル又はシトロネラとクローブを或いはシトロネラとクローブとニームオイルを所定の割合でブレンドしたものを使用すれば有効である。
本実施の形態の各忌避材の構成例を図1〜図4に括弧を付した符号で示している。即ち、図1に示すダンゴ状の忌避材11、図2に示すような粒状の忌避材12、図3に示すような環状の忌避材13、図4に示すように環状のもので、小孔14aを形成した忌避材14が挙げられる。このほか、図示しないが多面体状を含む各種の小塊形状に形成することが考えられる。
そして、図1〜図4に示すように、外観だけでは、第1の実施の形態の忌避材1〜4と殆ど同様で区別ができないが、第2の実施の形態の忌避材11〜14は、夫々有機肥料又は無機肥料を含有する点に特色がある。
従って、第2の実施の形態の忌避材11〜14を農作物の種別に応じてその栽培地の対象の農作物の根元に載置すれば、防虫効果があるほか、施肥効果があるので、施肥を省略できる点で第1の実施の形態よりも優れている。
本発明の忌避材の製造方法により製造される忌避材は、第1の実施の形態及び第2の実施の形態に示した構成(請求項1乃至11に記載の構成)であっても、農作物や果実などに対する害虫の防御のために有効であるが、さらに、農作物や果実などに害を与える鳥獣に対する防御のためには、構成要素として、上記の構成要素に加え、次の構成要素C又はD或いはEも付加するようにすると効果的である。
C:capsicum中の激辛トウガラシのエキス
このcapsicum中の激辛トウガラシのエキスは、その刺激性の臭いと赤色(赤褐色)が相乗して、防虫効果が助長されると共に、モグラ等の害獣やカラス等の害鳥にも効果的である。
D:capsicum中の激辛トウガラシのエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
capsicum中の激辛トウガラシのエキスに加えて、ガーリック(ニンニク)のエキスをブレンドすると、ガーリック(ニンニク)のエキスの刺激性の異臭が相乗されるから、鳥獣への忌避作用は、さらに助長される。
E:capsicum中の激辛トウガラシのエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス
この場合は、さらに、除虫菊のエキスによる異臭が相乗されるから、鳥獣への忌避作用は、一段と、さらに助長される。
次に、本発明の忌避材の実用的に有効な使用形態について説明する。
第1の使用形態:
図5及び図6は夫々本発明の忌避材の第1の使用形態を示す図で、図5は平面図、図6は側断面図である。
図5、図6において、5は畑の畝、6は畦の部分、Nは畝5の部分に植えられた野菜等の農作物の苗、また、Kは畦又は畝に載置又は埋設したダンゴ状の本発明の忌避材K(ここでは防虫対策用の第1の実施の形態の忌避材1又は2)を模擬的に示したものである。なお、忌避材Kとして、施肥機能を有する忌避材11又は12を用いる場合には、苗Nが植え付けられる畝5の周囲に対して忌避材11又は12を適当数載置又は撒くという使用形態で載置すればよい。
このようにして、本発明のように構成された忌避材Kが載置又は埋設された農地では、苗にネキリムシが近付こうとしても、苗の周辺に載置又は埋設された本発明の忌避材Kの構成成分中のハーブ(例えば、シトロネラの成分やニームオイルの成分)から発せられる刺激性の異臭によりネキリムシに対して忌避作用を及ぼすため、苗の育成が阻害されることはなくなる。
さらに、施肥機能を有する忌避材Kの場合では、定期的に行う施肥作業を省略しても苗が順調に生育される。
なお、図3又は図4に示した環状の忌避材Kを用いることも可能であり、この場合の忌避材の載置場所は、忌避材の大きさ及び載置の目的(防虫目的又は防虫プラス施肥目的)に応じて調整すればよい。
第2の使用形態:
第1の使用形態では、畑で栽培する野菜、果実等の路地栽培であったが、施設園芸栽培の場合のように、ビニール製、ガラス製、又は硬質樹脂製、或いは軟質樹脂製の温室施設(以下ビニールハウスと総称する)で栽培される農作物に対して被害を及ぼすネキリムシに対しても、本発明の忌避材Kは当然適用可能である。
また、前記のビニールハウス内に、メロン、トマピー等の栽培をビニールハウス内で行うようにし、図4で説明した方法で形成した厚みが大きい忌避材4を防虫目的で誘引ロープに対して装着することで、メロン、トマピー、パプリカ、ナス等をぶら下げて栽培するようにした忌避材としての適用が考えられる。この場合、誘引ロープとして有機性繊維の素材を用いると数カ月で自然崩壊し、また、その過程では肥料としての機能も発揮するので、極めて有用である。
なお、ビニールハウス等の鉢ものには、本発明の忌避材を、その大きさに応じて選択して載置すれば、鉢植えのものにも防虫効果が発揮できる。
なお、本発明の忌避材の製造方法により製造される忌避材は、ネキリムシ以外の害虫にも、効果を発揮する。
即ち、最近の施設園芸は、暖房施設の常設により、施設内の害虫は季節性や地域性を無視し、南日本に特有の害虫(ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ等)や外来虫(オンシツコナジラミ等)の被害が、季節を問わず発生し、園芸農家を苦しめている。このような害虫に対しても、本発明の忌避材1乃至4のいずれかを虫媒花の時期を除き、且つ、これら害虫の菜餌行動の抑制に合わせて施設内に各コーナーに載置することにより、これらの害虫を施設内から適正に放逐することができる。
また、本発明の第1の実施の形態の忌避材1〜4は、農作物の栽培地以外での農作物の保護にも適用可能である。
その一例として、ネズミのほかノシメマダラメイガやコクゾウムシ等の害虫発生場所(例えば、穀物倉庫)に載置すれば、その駆除に有効である。
さらに、本発明の忌避材の製造方法により製造される忌避材は、農作物保護以外の用途例えば鹿等の保護動物による地域住民への被害から防御するための手段としても有効である。
本発明の忌避材の製造方法により製造される忌避材1〜4のいずれかをその境界区域の部分に、適正な量を、防御する対象に応じて所要の幅及び長さに亙って敷き詰めて載置することで、鹿等の保護動物は忌避材1〜4から発せられる異臭による忌避作用により、その境界線を越せて移動しないようにして円滑、適正に防ぐことができる。特に、段落番号0035で記載の構成C〜Eを加えた忌避材を用いると有効である。
農業用用途での農作物に対する害虫、害鳥、害獣対策や上述のような地域住民に迷惑をかける恐れのある保護動物の防御のほか、施肥作業としても活用できる。
本発明の第1及び第2の各実施の形態の忌避材の構成の第1の態様を示す斜視図である。 本発明の第1及び第2の実施の形態の忌避材の構成の第2の態様を示す斜視図である。 本発明の第1及び第2の実施の形態の忌避材の構成の第3の態様を示す斜視図である。 本発明の第1及び第2の実施の形態の忌避材の構成の第4の態様を示す斜視図である。 本発明の第1の使用形態を示す平面図である。 本発明の第1の使用形態を示す側断面図である。
1〜4,11〜14、K:忌避材
5:畝
6:畦
N:苗

Claims (12)

  1. のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕したものを、混合して所定の大きさ、形状に固化、形成した後、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させるようにしたことを特徴とする忌避材の製造方法
    A:おが屑粉又は木皮又はセルローズ
    B:多孔材である木炭、セラミックス、ゼオライト、カオリナイ
  2. のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕したものを、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定形状に固化、形成した後、この固化、形成されたものを、さらに、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させるようにしたことを特徴とする忌避材の製造方法
    A:おが屑粉又は木皮又はセルローズ
    B:多孔材である木炭、セラミックス、ゼオライト、カオリナイ
  3. のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕したものに、タブ粉又は/及びヤシ粉を混合して所定形状に固化した後、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを常温で含浸させるようにしたことを特徴とする忌避材の製造方法
    A:おが屑粉又は木皮又はセルローズ
    B:多孔材である木炭、セラミックス、ゼオライト、カオリナイ
  4. 請求項1又は3に記載の忌避材の製造方法により製造した忌避材の表面に有機物ポリマー又はパラフィン或いはワックスをコーテングするようにしたことを特徴とする忌避材の製造方法。
  5. のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕すると共に、固形の有機肥料又は無機肥料を加えて混合し所定の大きさ、形状に固化、形成した後、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させるようにしたことを特徴とする忌避材の製造方法
    A:おが屑粉又は木皮又はセルローズ
    B:多孔材である木炭、セラミックス、ゼオライト、カオリナイ
  6. のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕したものに、固形の有機肥料又は無機肥料及び融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定形状に固化、形成した後、この固化、形成されたものを、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを含浸させるようにしたことを特徴とする忌避材の製造方法
    A:おが屑粉又は木皮又はセルローズ
    B:多孔材である木炭、セラミックス、ゼオライト、カオリナイ
  7. のA及びB双方から一つ以上のものを選び、これらを組み合わせて構成要素とし、これらを各構成要素の種別に応じて各別に粉砕したものに、固形の有機肥料又は無機肥料及びタブ粉又は/及びヤシ粉を加えて混合して所定形状に固化、形成した後、70℃〜200℃の温度で炭化炉又は釜で焼成した後、これにハーブの植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを常温で含浸させるようにしたことを特徴とする忌避材の製造方法
    A:おが屑粉又は木皮又はセルローズ
    B:多孔材である木炭、セラミックス、ゼオライト、カオリナイ
  8. 請求項5乃至7のいずれかに記載の忌避材の製造方法において、有機肥料又は無機肥料として、固形のものに代えて、液体のものを用いる場合には、構成要素を混合し、焼成した後に、ハーブの植物精油と共に含浸させるようにしたことを特徴とする忌避材の製造方法
  9. 請求項5又は7に記載の忌避材の製造方法により製造された忌避材の表面に有機物ポリマー又はパラフィン或いはワックスをコーテングするようにしたことを特徴とする忌避材の製造方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の忌避材の製造方法により製造された忌避材の形状として、粒状のほかダンゴ状又は環状或いは多面体状等の各種の小塊形状に形成したことを特徴とする忌避材の製造方法
  11. 上記のハーブの植物精油としては、シトロネラとニームオイル又はシトロネラとクローブを或いはシトロネラとクローブとニームオイルを所定の割合でブレンドしたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の忌避材の製造方法
  12. さらに、構成要素として、次の構成要素C又はD或いはEのいずれか一つ以上を付加するようにしたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の忌避材の製造方法。
    C:capsicum中の激辛トウガラシのエキス
    D:capsicum中の激辛トウガラシのエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
    E:capsicum中の激辛トウガラシのエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス
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