JP2004083528A - 簡易防虫装置及び簡易防虫装置の使用方法 - Google Patents
簡易防虫装置及び簡易防虫装置の使用方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004083528A JP2004083528A JP2002249543A JP2002249543A JP2004083528A JP 2004083528 A JP2004083528 A JP 2004083528A JP 2002249543 A JP2002249543 A JP 2002249543A JP 2002249543 A JP2002249543 A JP 2002249543A JP 2004083528 A JP2004083528 A JP 2004083528A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- insect repellent
- simple insect
- repellent device
- powder
- extract
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
Abstract
【課題】野菜、果実などの農作物に害を及ぼすネキリムシ及び鳥獣からの被害を防止するのに有用な簡易防虫装置とその使用方法を提供する。
【課題を解決する手段】次のA及びBを構成要素とし、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するようにした簡易防虫装置。なお、パラフィン又はワックスの代わりに、タブ粉又は/及びヤシ粉を使用すると加熱処理が不要となる。
A:ハーブと称せられる植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの
B:ゼオライト又はおが屑粉又はコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたもの
形状としては、ダンゴ状、顆粒状、環状等が適当であるが、環状のものに複数個の小孔又は凹所を形成するのが最適の形状といえる。
鳥獣の防御のためには、A,Bの構成要素に加え、capsicum、ガーリック、除虫菊のエキスを単独又は組み合わせて用いる。
【選択図】 図3
【課題を解決する手段】次のA及びBを構成要素とし、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するようにした簡易防虫装置。なお、パラフィン又はワックスの代わりに、タブ粉又は/及びヤシ粉を使用すると加熱処理が不要となる。
A:ハーブと称せられる植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの
B:ゼオライト又はおが屑粉又はコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたもの
形状としては、ダンゴ状、顆粒状、環状等が適当であるが、環状のものに複数個の小孔又は凹所を形成するのが最適の形状といえる。
鳥獣の防御のためには、A,Bの構成要素に加え、capsicum、ガーリック、除虫菊のエキスを単独又は組み合わせて用いる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は苗の状態で育成中の野菜、果実などの農作物に害を及ぼすネキリムシ等の害虫又は害獣等の被害を防止するのに有用な簡易防虫装置及びその製造方法並びに簡易防虫装置の使用方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蔬采、果実等の農作物の栽培は、周知のように、畑などの農地やビニールハウスなどの苗床に苗を植えて栽培されているが、この場合、ネキリムシ等の害虫による被害は無視できない状況となっている。
ところで、現行のネキリムシの防御対策としては、現状としては殺虫剤の散布を行うことが主な方法として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、害虫の予防に殺虫剤など農薬を使用すると、農薬は土壌等の生活環境を破壊し、且つ殺虫剤の散布は、苗を植えた初期の段階に行う必要があり、収穫物に農薬残留の危険性があり、農薬が残留した農作物を食べる場合には、その毒性のため、人間の神経を損傷し、遺伝子にも悪影響を与えることが最近、識者から指摘されている。このため、農薬を使わない有機無農薬栽培が世界的な潮流となろうとしている。
また、ネキリムシによる被害は、果実等の他、野菜、園芸、苗木などの各種場所でも問題になっている。
また、ネキリムシ等の害虫のほかネズミやモグラ等の小動物による被害も問題にすべき事柄である。例えば、穀物倉庫では、コクゾウムシやノシメマダラメイガのような害虫のほかネズミによる被害もあり、これらの簡便な防御対策が重要な課題となっている。
さらに、鹿などの保護動物も、所定の地域を越えて移動すると、周辺地域に被害を及ぼす恐れがあるが、無闇にこれらの保護動物を取り締まると、保護動物条例等の観点からの問題も生じ、地域住民に影響を与える恐れがあった。
ところで、モグラ等の小動物による被害や、地域に被害を及ぼす鹿などの保護動物の対策は、現状としては、これといった適切な手立てがなく、この対策が要望されている。
さらに、農作物等に害を及ぼすカラス、スズメなどの害鳥に対しても、適切な対策が求められている。
本発明は、上記課題を解決し、これらの農作物等に何らの毒性を付加することなく、主として苗の育成の段階で出現するネキリムシの防御や上記の小動物や保護動物、さらに害鳥からの被害に対しても適切に防御ができるようにした簡易防虫装置及びその使用方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の簡易防虫装置は、上記課題を解決するために、請求項1記載のものでは、次のA及びBを構成要素とし、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するようにした。
A:ハーブと称せられる植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの
B:ゼオライト又はおが屑粉又はコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたもの
【0005】
また、これに代え、請求項2乃至6のいずれかに記載のように、次のように簡易防虫装置を構成してもよい。
(1)次のA単独又はA及びBを構成要素とし、タブ粉を用いて所定の形状に固化・形成するように構成する。
A:ハーブと称せられる植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの
B:ゼオライト又はおが屑粉又はコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたもの
(2)前記のA単独又はA及びBを構成要素とし、タブ粉及びヤシ粉をブレンドして所定の形状に固化・形成するように構成する。
(3)前記のA単独又はA及びBを構成要素とし、タブ粉を用いた後又はタブ粉にヤシ粉をブレンドした後、さらに、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するように構成する。
(4)なお、請求項1乃至4のいずれかに記載の場合でも、上記の構成要素Aとして、シトロネラとニームオイル又はシトロネラとクローブを或いはシトロネラとクローブとニームオイルを所定の割合でブレンドするのが望ましい。
(5)また、これらの場合、構成要素として、上記構成要素A及びBに加え、次の構成要素C又はD或いはEも付加するのが望ましい。
C:capsicum(激辛トウガラシ)のエキス
D:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
E:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス
【0006】
また、簡易防虫装置の形状としては、請求項7に記載のようにダンゴ状に形成することが考えられる。
【0007】
また、簡易防虫装置の形状としては、請求項8に記載のように顆粒状に形成しても良い。
【0008】
または、簡易防虫装置の形状としては、請求項9に記載のように環状に形成することも考えられる。
【0009】
なお、簡易防虫装置の形状としては、これらに代え、請求項10に記載のように、環状に形成すると共に、さらに、その環状の本体部分に複数個の小孔又は凹所を形成するのが、最も望ましい。
【0010】
また、上記簡易防虫装置の使用方法としては、請求項11に記載のように、上記のように構成された簡易防虫装置を、苗が植えられた畑の畝又は苗床等の苗が植えられた土地の周囲又は近傍に配置することが考えられる。
【0011】
さらに、請求項12に記載のように、上記簡易防虫装置を穀物倉庫の内側の周囲、即ち、床と壁の接点の場所に配置することが考えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図示する本発明の各実施の形態により本発明を具体的に説明する。
第1の実施の形態:
図1は第1の実施の形態である本発明の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
図1において、1は本発明の第1の実施の形態の簡易防虫装置を示すもので、これは、次のような構成要素から構成される。
即ち、請求項1に記載のように、A成分であるハーブと称せられる植物精油のエキス例えば、シトロネラを単独とB成分としてのゼオライト又はおが屑粉を構成要素とし、これらの構成要素の所定量のものを、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するようにしたもので、この所定形状としては、図1に示すようにダンゴ状に形成したものである。
これを、請求項1に記載した。
この場合、A成分として用いる植物精油は単独として用いるよりも、複数種のものをブレンドするのが望ましく、たとえば、シトロネラ等のカンキツ系の植物精油とニームオイル等のセンダン科の植物精油の組み合わせ、シトロネラ等のカンキツ系の植物精油とシナモン等のスパイス系の植物精油の組み合わせが効果的である。
【0013】
なお、簡易防虫装置1の製造方法としては、前記のようにA成分の植物精油の内ブレンドして防虫効果が期待できる組み合わせの2種のもの、例えば、シトロネラ等のカンキツ系の植物精油(ここでは、シトロネラと記載する)とニームオイル等のセンダン科の植物精油(ここでは、ニームオイルと記載する)を、例えば、80〜97:20〜3%の割合でブレンドしたものに、B成分としてのゼオライト或いはおが屑粉を上記シトロネラとニームオイルの合計量の30%〜同量程度の割合で混入した後、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを加えて加熱してダンゴ状等の所定形状に固化・形成すればよい。
この場合、ニームオイルに代えて、クローブを用いて、シトロネラとクローブの2種のハーブのエキスをブレンドすると防虫効果(昆虫忌避効果)を増す点で有効である。この場合の両者の混合比は、シトロネラとクローブを50〜80:50〜20位、特に、80:20とするのが好適であるが、これ以外の混合比であってもよい。
さらに、シトロネラとニームオイルに加えてクローブを用いる態様も、考えられる。
【0014】
なお、A成分の植物精油としては、カンキツ系のシトロネラ、センダン科のニームオイル、フトモモ科のクローブ、スパイス類のシナモンのほか、シソ科のスペアミント、樹木類のカユプデ、花の植物精油のゼラニウム、エキゾチック植物精油のパチュリ、樹脂類のテレピン等のハーブと称せられる植物精油が適当であり、これら植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを用いることが効果的である。
また、B成分としては、ゼオライト又はおが屑粉に代えてコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたものが代替え可能である。
【0015】
請求項1に記載の場合は、ダンゴ状に造形する手段として、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを加えて加熱して固化・形成する方法を説明したが、このパラフィン又はワックスを加えて加熱処理工程を省き、造形作用のあるタブ粉を使用することが可能で、これを、請求項2に記載した。
即ち、請求項2に記載のものは、前述したA単独又はA及びBの両者を構成要素とし、タブ粉を用いて所定の形状に固化・形成し、簡易防虫装置1を構成しようとするものである。
この場合、A成分2種のブレンドの混合比として、例えば、シトロネラとニームオイル(クローブ又はシナモン)を80〜97:20〜3%の割合でブレンドしたものに、上記タブ粉単独またはB成分を一部混合したものを上記シトロネラとニームオイル(クローブ又はシナモン)の合計量の30%〜同量程度の割合で混入して掻き混ぜて、所定の形状に固化・形成するようにして簡易防虫装置1を製造すればよい。
さらに、A成分として、シトロネラ、クローブ、ニームオイルの3種を例えば、70:15:15の混合比でブレンドしたものを用いてもよい。
【0016】
上記のように、請求項1又は2のように構成される簡易防虫装置1を後述するように、害虫の防御を必要とする場所に設置すると、ネキリムシなどの害虫に対して前記構成成分から発せられる刺激性の異臭により害虫に対して忌避作用を発揮するものである。
【0017】
なお、ここで、A成分として用いて、害虫に対する忌避効果の点で、特に有効なシトロネラ、ニームオイル及びクローブ、またB成分として造形作用のある点で特に、有効なタブ粉について説明すると、次の通りである。
1.シトロネラ
説明:シンボパゴン ナルダス(Cymbopagon nardus)の乾燥した草を蒸留して得られるもの。
工業的データ:
▲1▼特徴:柑橘類の臭い、特別な刺激臭を有する黄色〜青黄色の液体
▲2▼20℃の比重:0.880〜0.922
▲3▼20℃の屈折率:1.466〜1.1475
▲4▼合計のゼラニオール(Geraniol)(%W/W):最低値85
▲5▼シトロネリアル(Citronelial)(%W/W):最低値35
▲6▼80%エタノールにおける溶解度(V/V) :1.2クリア
【0018】
2.ニームオイル:
このサンプルは、ニーム ケルネル オイル(Neem Kernel Oil)と称されるもので、次の組成のものである。
▲1▼質量中の水分及び不純物の割合:0.176
▲2▼40℃における屈折率:1.456
▲3▼鹸化値:1.87
▲4▼ヨウ化物値(Iodine value):73
▲5▼酸化値:8.62
▲6▼質量中の反鹸化値の割合:0.53
【0019】
3.クローブ
これは、学術名は、Eugenia caryophyllataといい、フトモモ科に属し、精油を抽出する部分は、花蕾であり、水蒸気蒸留法で精油は抽出される。
化学的な組成は、フルフロール(アルデヒド)、サルチル酸メチル(エステル)、オイゲノール(フェノール)、カリオフィレン(セキステルペン)、ピネン(テルペン)である。
上記組成上から、強力な殺菌作用、殺虫作用があるが、シトロネラとブレンドすると、強力な害虫忌避作用を発揮する。
【0020】
4.タブ粉
本発明の作用を認定するために使用したタブ粉の一例の分析結果を示すと、次の通りである。
・エネルギー (kcal/100g) 314
・水分 ( g/100g) 23.3 :常圧加熱乾燥減量法による
・タンパク質 ( g/100g) 3.4 :ケルダール分解法による
・脂質 ( g/100g) 1.6 :エーテル排出法による
・炭水化物 ( g/100g) 71.6 :
・灰分 ( g/100g) 10.1 :直接灰化法による
・ナトリウム (mg/100g) 37 :ICP発光分析法による
・食塩相当量 (mg/100g) 95
・カルシウム ( g/100g) 2.3 :ICP発光分析法による
なお、ここで、エネルギー換算係数は、たんぱく質は4.00、脂質は9.00、炭水化物は4.00を用い、試験方法は衛生試験法注解(1990)によって行った。
なお、タブ粉は基本的には、タブ樹木から得られ、インドネシア、タイ、中華人民共和国、台湾などの東南アジア産が有用であるが、特に、その内、インドネシア支那粉が強い粘性を有し、実用性の点で優れている。タブ粉の性能を有すれば、産地は限定されず、本発明には適用可能である。日本の杉粉も有用である。
【0021】
第2の実施の形態:
図2は第2の実施の形態である本発明の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
本発明の第2の実施の形態の簡易防虫装置は、基本的には第1の実施の形態のものと同様、請求項1のものでは、A成分(シトロネラ、ニームオイル等の植物精油)とB成分(ゼオライト又はおが屑粉等)の構成要素を用い、これらを融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて固化・形成される形状として図2に示すように、顆粒状に形成した点に特徴がある。
従って、簡易防虫装置2の具体的な製造方法も、例えば、A成分としてのシトロネラとニームオイルを80〜97:20〜3%の割合でブレンドしたものに、B成分としてのゼオライト又はおが屑粉を上記シトロネラとニームオイルの合計量の30%〜同量程度の割合で混入した後、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを加えて40℃〜90℃で加熱して顆粒状に形成すればよい。この場合も、請求項2に記載のように、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて固化・形成する代わりに、タブ粉を用いて顆粒状に固化・形成するようにしてもよい。
このように構成される簡易防虫装置2も後述するように、害虫の防御を必要とする場所に設置すると、ネキリムシなどの害虫に対して前記構成成分から発せられる刺激性の異臭により害虫に対して忌避作用を発揮するものである。
【0022】
第3の実施の形態:
図3(A)、(B)は第3の実施の形態である本発明の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
本発明の第3の実施の形態の簡易防虫装置も、基本的には第1の実施の形態のものと同様、請求項1及び2に記載のものでは、A成分(シトロネラ、ニームオイル等の植物精油)とB成分(ゼオライト又はおが屑粉等)の構成要素を用い、これらを融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて固化・形成される形状として図3(A)又は(B)に示すように、環状に形成した点に特徴がある。
この場合も、請求項2に記載のように、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて固化・形成する代わりに、タブ粉を用いて環状に固化・形成するようにしてもよいことは勿論である。
この環状のものとして、図3(A)のものでは、5円硬貨程度の厚みも径も小さい環状の簡易防虫装置3に形成した場合を、また図3(B)の例では吊るすタイプの防虫用樟脳又はドーナツ状のような厚みも径も大きい環状の簡易防虫装置4に形成したものを示す。
【0023】
なお、簡易防虫装置4に対しては、図3(B)に示すように、環状の本体部分に小孔または小孔状の凹所4aを設けておくと、環状体の本体部分のほか小孔または小孔状の凹所4aからも刺激性の異臭が周囲に発散されることになり、刺激性の異臭の発散面積が増えるため、害虫に対する忌避作用の点では、図示した実施の形態のものでは、防虫効果が最も優れたものとなる。
なお、このような実用性の顕著な小孔または小孔状の凹所4aを有する簡易防虫装置4を製造するためには、請求項3に記載のように、タブ粉に加えて、ヤシ粉を加えてブレンドすると、ヤシ粉の存在のために堅さが増すために、小孔または小孔状の凹所4aを有する簡易防虫装置4の形状に固化、形成する作業を円滑、適正に行うことができる。
この場合、タブ粉とヤシ粉の混合比は、例えば、60〜85:40〜15特に、80:20位とするのが望ましい。
さらに、請求項4に記載のように、タブ粉又は/及びヤシ粉をブレンドし、さらに、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するようにすれば、簡易防虫装置4の製品寿命を延ばすことができる。
なお、このようなタブ粉に加えて、ヤシ粉を用いての固化、形成するという手段及び、さらに、タブ粉、ヤシ粉のほか、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いての固化、形成するという手段は、加工精度を必要とする図3(B)の簡易防虫装置4の構成のために有効であるが、図3(A)の簡易防虫装置3や図1又は図2に記載の簡易防虫装置1又は2の形成に使用してもよいことは勿論である。特に、図3(B)に示した簡易防虫装置4の場合で、小孔又は凹所を設けないものでもヤシ粉を混入することで適正な強度が得られるので、有効である。
このようにヤシ粉を混入することは、径が大径で、厚さが薄く、幅が狭いもののに対しても、有効である。
これは、請求項2に記載のように、タブ粉のみでは、強度性が不足するので、環状等の形状の形成工程で、ひび割れを生じることがあるので、これをヤシ粉を混入することで補強しようとするものである。
これを請求項3及び4に記載した。
このように構成される簡易防虫装置3又は4も後述するように、害虫の防御を必要とする場所に設置すると、ネキリムシなどの害虫に対して前記構成成分から発せられる刺激性の異臭により害虫に対して忌避作用を発揮するものである。
【0024】
本発明の簡易防虫装置は、上記のように請求項1乃至5に記載のように構成したものであっても、農作物や果実などに対する害虫の防御のために有効であるが、さらに、農作物や果実などに害を与える鳥獣に対する防御のためには、簡易防虫装置の構成要素として、上記の構成要素A及びBに加え、次の構成要素C又はD或いはEも付加するようにすると効果的である。
C:capsicum(激辛トウガラシ)のエキス
このcapsicum(激辛トウガラシ)のエキスは、その刺激性の臭いと赤色(赤褐色)が相乗して、防虫効果が助長されると共に、モグラ等の害獣やカラス等の害鳥にも効果的である。
D:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
capsicum(激辛トウガラシ)のエキスに加えて、ガーリック(ニンニク)のエキスをブレンドすると、ガーリック(ニンニク)のエキスの刺激性の異臭が相乗されるから、鳥獣への忌避作用は、さらに助長される。
E:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス
この場合は、さらに、除虫菊のエキスによる異臭が相乗されるから、鳥獣への忌避作用は、一段と、さらに助長される。
【0025】
次に、本発明の簡易防虫装置の実用的に有効な使用形態について説明する。
第1の使用形態:
図4(A)及び(B)は夫々本発明の簡易防虫装置の第1の使用形態を示す図で、同図(A)は平面図、同図(B)は側断面図である。
同図(A)、(B)において、5は畑の畝、6は畦の部分、Nは畝5の部分に植えられた野菜等の農作物の苗、また、Kは畦6に設置又は埋設したダンゴ状の本発明の簡易防虫装置(ここでは第1の実施の形態の簡易防虫装置1)を模擬的に示したものである。
なお、簡易防虫装置Kとして、第2の実施の形態に述べた顆粒状の簡易防虫装置2を用いる場合には、苗Nが植え付けられる畝5の周囲に対して顆粒状の簡易防虫装置2を撒くという使用形態で設置すればよい。
このようにして、本発明の方法で製造された簡易防虫装置1又は2が設置又は埋設された農地では、苗にネキリムシが近付こうとしても、苗の周辺に設置又は埋設された本発明の簡易防虫装置1または2の構成成分中のシトロネラ等の成分Aやニームオイル等の成分Bから発せられる刺激性の異臭によりネキリムシに対して忌避作用を及ぼすため、苗の育成が阻害されることはなくなる。
なお、大きさを調整すれば、第3の実施の形態の簡易防虫装置3又は4を用いることも可能である。
【0026】
第2の使用形態:
第1の使用形態では、畑で栽培する野菜、果実等の路地栽培であったが、施設園芸栽培の場合のように、ビニール製、ガラス製、又は硬質樹脂製、或いは軟質樹脂製の温室施設(以下ビニールハウスと総称する)で栽培される農作物に対して被害を及ぼすネキリムシに対しても、本発明の簡易防虫装置Kは当然適用可能である。
この場合には、苗床の部分にも、本発明の簡易防虫装置Kとして、第1又は第2の実施の形態の簡易防虫装置1又は2を第1の使用形態に準じて設置することで、ネキリムシに対する防御を適切に行うものである。
この場合も、大きさを調整すれば、第3の実施の形態の簡易防虫装置3又は4を用いることも可能である。
また、前記のビニールハウス内に、メロン、トマピー等の栽培をビニールハウス内で行うようにし、第3の実施の形態で説明した方法で形成した厚み大きい簡易防虫装置4を誘引ロープに対して装着することで、メロン、トマピー、パプリカ、ナス等をぶら下げて栽培するようにした簡易防虫装置としての適用が考えられる。
この場合、誘引ロープとして有機性繊維の素材を用いると数カ月で自然崩壊し、また、その過程では肥料としての機能も発揮するので、極めて有用である。
なお、ビニールハウス等の鉢ものには、第3の実施の形態の図3(A)に示す5円硬貨状の簡易防虫装置3を設置すれば鉢植えのものにも防虫効果が発揮できる。
この場合も、大きさを調整すれば、図3(B)に示す簡易防虫装置4の使用も可能である。
【0027】
なお、本発明の簡易防虫装置は、ネキリムシ以外の害虫に効果を発揮する。
即ち、最近の施設園芸は、暖房施設の常設により、施設内の害虫は季節性や地域性を無視し、南日本に特有の害虫(ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ等)や外来虫(オンシツコナジラミ等)の被害が、季節を問わず発生し、園芸農家を苦しめている。
このような害虫に対しても、本発明の簡易防虫装置1乃至4のいずれかを虫媒花の時期を除き、且つ、これら害虫の菜餌行動の抑制に合わせて施設内に各コーナーに設置することにより、これらの害虫を施設内から適正に放逐することができる。
【0028】
また、本発明の簡易防虫装置は、ネズミ等の小動物により農作物の被害の防御に対しても有効である。
なお、米の貯蔵は玄米の段階では、現在、15°C以下での低温倉庫で保存され、白米流通の段階では穀物倉庫で保存されることになるが、このとき問題となるのが、ノシメマダラメイガやコクゾウムシ等の害虫やネズミによる被害である。
そこで、穀物倉庫の内側の周囲、即ち、床と壁の接点の場所に、前記した本発明の簡易防虫装置1を設置すれば、ネズミの他、穀物害虫であるノシメマダラメイガやコクゾウムシ等の害虫も寄り付かなくなるので、これらからの被害を大幅に軽減できる。この場合も量や大きさを調整すれば、簡易防虫装置2又は3或いは4の設置も有効である。
【0029】
さらに、本発明の簡易防虫装置は、鹿等の保護動物による地域住民への被害から防御するための手段としても有効である。
例えば、奈良等に見られるように鹿等の保護動物は所定の場所で離し飼いされているが、時により、その場所を越えて移動すると、地域住民へ迷惑を及ぼす恐れがあるが、その境界区域の部分に、本発明の簡易防虫装置1乃至10のいずれかを適正な量を設置することで、鹿等の保護動物は簡易防虫装置1乃至10から発せられる異臭による忌避作用により、その境界線を越せて地域住民の側へ移動することを円滑、適正に防ぐことができる。
【0030】
また、図3(A)の簡易防虫装置3は、厚みも径も小さい環状の形状をしているので、家庭内の居間の適所に直接またはドライフラワーの結束紐等と結合してぶらさげることにより、蚊等の防虫装置として使用する簡易防虫装置としての適用も考えられる。
【0031】
本発明の簡易防虫装置の形状は上記した実施の形態で述べたダンゴ状、顆粒状や環状のものに限定されない。例えば、ダンゴ状に代えて、三角形状や6面体など、その適用場所や使用形態に基づき各種の形状の変形が考えられる。
なお、本明細書でタブ粉と記載したものは、インドネシア支那粉(machlus)が最も有用であるが、この原料とは相違する樹木等のもの、例えば、前述の杉粉(日本産)や炭粉(台湾産)、本粉マル天B(タイ産)など、造粒効果のある粉であればこの「タブ粉」と記載した本発明の範囲に含まれるものである。
【0032】
【発明の効果】
本発明の簡易防虫装置及びその使用方法は、上記のように特徴を有するものであるから、次のような優れた効果を有する。
(1)請求項1に記載のように、所定形状に形成された簡易防虫装置は、その構成要素であるハーブのエキスから発せられる刺激臭によりネキリムシほかの害虫に対して極めて高い忌避作用があるので、その設置により必要な害虫忌避作用を発揮する。
この場合、構成要素Bとして、おが屑粉を使用すると、安価な材料であるにも拘わらず、造形効果があり、簡易防虫装置の製造を比較的、安価に製作できるという優れた効果を有する。
【0033】
(2)請求項2に記載のように、タブ粉を用いるようにすると、タブ粉の造形作用のために、請求項1のようにパラフィン又はワックスを用いて加熱する工程が省略できるので、簡易防虫装置の製造を簡単に、短時間に行うことができる。
【0034】
(3)請求項3のように、タブ粉に加えて、ヤシ粉を用いると、固化作用が助長されるので、簡易防虫装置の形状が図3(B)のような小孔又は凹所を有するような形状に形成するときや、環状のものの径が大径の場合で厚さが薄く、幅が狭い形状のものの製作過程が円滑にできる点で効果的である。
【0035】
(4)請求項4のように、タブ粉を用いた後、又はタブ粉に加えて、ヤシ粉を用いて、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて固化・形成するようにすると、製品寿命がその分、増大できる。
【0036】
(5)請求項5のように、構成要素Aとして、シトロネラとニームオイル又はシトロネラとクローブを或いはシトロネラとクローブとニームオイルを所定の割合でブレンドすると、防虫効果が効果的なハーブが適正にブレンドできる点で実用的である。
【0037】
(6)請求項6のように、構成要素として、上記構成要素A及びBに加え、次の構成要素C又はD或いはEも付加するようにすると、防虫効果のほかに、農作物に害を及ぼす鳥獣に対しても忌避作用を発揮できる簡易防虫装置とすることができ、本発明の適用範囲を拡大できる。
C:capsicum(激辛トウガラシ)のエキス
D:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
E:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス
【0038】
(7)また、請求項7に記載のように簡易防虫装置をダンゴ状に形成すると、畑、苗床、路地栽培の苗の生育中に発生するネキリムシからの苗の防御に極めて効果的であるほか、穀物倉庫の内側の周囲、即ち、床と壁の接点の場所にも設置が容易であるので、ネズミ等の小動物の他、穀物害虫であるノシメマダラメイガやコクゾウムシ等の害虫、さらには鹿等の保護動物からの被害に対しても効果的である。
【0039】
(8)また、請求項8に記載のように簡易防虫装置を顆粒状に形成すると、上記の(7)の効果に加え、形状が顆粒状のため、苗の周囲など害虫等の予防が必要な場所に手軽に設置できる点で優れている。
【0040】
(9)さらに、請求項9又は10に記載の簡易防虫装置では、形状が環状に形成されているから、厚みも径も大きいものは、ビニールハウスに設ける誘引ロープ等の防虫を必要とする場所の空中設置のための誘引ロープヘの装着に便利であり、厚みも径も小さいものは、鉢物又は家庭用の使用に便利である。
なお、請求項10のように、複数個の小孔又は凹所を形成するものでは、その小孔又は凹所の部分からも防虫効果のある異臭が放出され、異臭放出面積が増大するので、防虫効果はさらに、促進できる。
【0041】
(10)また、請求項11に記載の使用方法によると、本発明の簡易防虫装置が苗の育成に害を及ぼすネキリムシ他の害虫等の駆除・予防に適切に効果を発揮できる。
【0042】
(11)さらに、請求項12に記載の使用方法によると、本発明の簡易防虫装置を用いて穀物倉庫で保管される精米に害を及ぼすネズミ等の小動物やコクゾウムシ等害虫等の駆除・予防に適切に効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
【図3】同図(A)及び(B)は夫々本発明の第3の実施の形態の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の使用形態を示すもので、同図(A)は平面図、同図(B)は側断面図である。
【符号の説明】
1〜4、K:簡易防虫装置
5:畝
6:畦
N:苗
【発明の属する技術分野】
本発明は苗の状態で育成中の野菜、果実などの農作物に害を及ぼすネキリムシ等の害虫又は害獣等の被害を防止するのに有用な簡易防虫装置及びその製造方法並びに簡易防虫装置の使用方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蔬采、果実等の農作物の栽培は、周知のように、畑などの農地やビニールハウスなどの苗床に苗を植えて栽培されているが、この場合、ネキリムシ等の害虫による被害は無視できない状況となっている。
ところで、現行のネキリムシの防御対策としては、現状としては殺虫剤の散布を行うことが主な方法として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、害虫の予防に殺虫剤など農薬を使用すると、農薬は土壌等の生活環境を破壊し、且つ殺虫剤の散布は、苗を植えた初期の段階に行う必要があり、収穫物に農薬残留の危険性があり、農薬が残留した農作物を食べる場合には、その毒性のため、人間の神経を損傷し、遺伝子にも悪影響を与えることが最近、識者から指摘されている。このため、農薬を使わない有機無農薬栽培が世界的な潮流となろうとしている。
また、ネキリムシによる被害は、果実等の他、野菜、園芸、苗木などの各種場所でも問題になっている。
また、ネキリムシ等の害虫のほかネズミやモグラ等の小動物による被害も問題にすべき事柄である。例えば、穀物倉庫では、コクゾウムシやノシメマダラメイガのような害虫のほかネズミによる被害もあり、これらの簡便な防御対策が重要な課題となっている。
さらに、鹿などの保護動物も、所定の地域を越えて移動すると、周辺地域に被害を及ぼす恐れがあるが、無闇にこれらの保護動物を取り締まると、保護動物条例等の観点からの問題も生じ、地域住民に影響を与える恐れがあった。
ところで、モグラ等の小動物による被害や、地域に被害を及ぼす鹿などの保護動物の対策は、現状としては、これといった適切な手立てがなく、この対策が要望されている。
さらに、農作物等に害を及ぼすカラス、スズメなどの害鳥に対しても、適切な対策が求められている。
本発明は、上記課題を解決し、これらの農作物等に何らの毒性を付加することなく、主として苗の育成の段階で出現するネキリムシの防御や上記の小動物や保護動物、さらに害鳥からの被害に対しても適切に防御ができるようにした簡易防虫装置及びその使用方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の簡易防虫装置は、上記課題を解決するために、請求項1記載のものでは、次のA及びBを構成要素とし、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するようにした。
A:ハーブと称せられる植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの
B:ゼオライト又はおが屑粉又はコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたもの
【0005】
また、これに代え、請求項2乃至6のいずれかに記載のように、次のように簡易防虫装置を構成してもよい。
(1)次のA単独又はA及びBを構成要素とし、タブ粉を用いて所定の形状に固化・形成するように構成する。
A:ハーブと称せられる植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの
B:ゼオライト又はおが屑粉又はコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたもの
(2)前記のA単独又はA及びBを構成要素とし、タブ粉及びヤシ粉をブレンドして所定の形状に固化・形成するように構成する。
(3)前記のA単独又はA及びBを構成要素とし、タブ粉を用いた後又はタブ粉にヤシ粉をブレンドした後、さらに、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するように構成する。
(4)なお、請求項1乃至4のいずれかに記載の場合でも、上記の構成要素Aとして、シトロネラとニームオイル又はシトロネラとクローブを或いはシトロネラとクローブとニームオイルを所定の割合でブレンドするのが望ましい。
(5)また、これらの場合、構成要素として、上記構成要素A及びBに加え、次の構成要素C又はD或いはEも付加するのが望ましい。
C:capsicum(激辛トウガラシ)のエキス
D:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
E:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス
【0006】
また、簡易防虫装置の形状としては、請求項7に記載のようにダンゴ状に形成することが考えられる。
【0007】
また、簡易防虫装置の形状としては、請求項8に記載のように顆粒状に形成しても良い。
【0008】
または、簡易防虫装置の形状としては、請求項9に記載のように環状に形成することも考えられる。
【0009】
なお、簡易防虫装置の形状としては、これらに代え、請求項10に記載のように、環状に形成すると共に、さらに、その環状の本体部分に複数個の小孔又は凹所を形成するのが、最も望ましい。
【0010】
また、上記簡易防虫装置の使用方法としては、請求項11に記載のように、上記のように構成された簡易防虫装置を、苗が植えられた畑の畝又は苗床等の苗が植えられた土地の周囲又は近傍に配置することが考えられる。
【0011】
さらに、請求項12に記載のように、上記簡易防虫装置を穀物倉庫の内側の周囲、即ち、床と壁の接点の場所に配置することが考えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図示する本発明の各実施の形態により本発明を具体的に説明する。
第1の実施の形態:
図1は第1の実施の形態である本発明の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
図1において、1は本発明の第1の実施の形態の簡易防虫装置を示すもので、これは、次のような構成要素から構成される。
即ち、請求項1に記載のように、A成分であるハーブと称せられる植物精油のエキス例えば、シトロネラを単独とB成分としてのゼオライト又はおが屑粉を構成要素とし、これらの構成要素の所定量のものを、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するようにしたもので、この所定形状としては、図1に示すようにダンゴ状に形成したものである。
これを、請求項1に記載した。
この場合、A成分として用いる植物精油は単独として用いるよりも、複数種のものをブレンドするのが望ましく、たとえば、シトロネラ等のカンキツ系の植物精油とニームオイル等のセンダン科の植物精油の組み合わせ、シトロネラ等のカンキツ系の植物精油とシナモン等のスパイス系の植物精油の組み合わせが効果的である。
【0013】
なお、簡易防虫装置1の製造方法としては、前記のようにA成分の植物精油の内ブレンドして防虫効果が期待できる組み合わせの2種のもの、例えば、シトロネラ等のカンキツ系の植物精油(ここでは、シトロネラと記載する)とニームオイル等のセンダン科の植物精油(ここでは、ニームオイルと記載する)を、例えば、80〜97:20〜3%の割合でブレンドしたものに、B成分としてのゼオライト或いはおが屑粉を上記シトロネラとニームオイルの合計量の30%〜同量程度の割合で混入した後、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを加えて加熱してダンゴ状等の所定形状に固化・形成すればよい。
この場合、ニームオイルに代えて、クローブを用いて、シトロネラとクローブの2種のハーブのエキスをブレンドすると防虫効果(昆虫忌避効果)を増す点で有効である。この場合の両者の混合比は、シトロネラとクローブを50〜80:50〜20位、特に、80:20とするのが好適であるが、これ以外の混合比であってもよい。
さらに、シトロネラとニームオイルに加えてクローブを用いる態様も、考えられる。
【0014】
なお、A成分の植物精油としては、カンキツ系のシトロネラ、センダン科のニームオイル、フトモモ科のクローブ、スパイス類のシナモンのほか、シソ科のスペアミント、樹木類のカユプデ、花の植物精油のゼラニウム、エキゾチック植物精油のパチュリ、樹脂類のテレピン等のハーブと称せられる植物精油が適当であり、これら植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたものを用いることが効果的である。
また、B成分としては、ゼオライト又はおが屑粉に代えてコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたものが代替え可能である。
【0015】
請求項1に記載の場合は、ダンゴ状に造形する手段として、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを加えて加熱して固化・形成する方法を説明したが、このパラフィン又はワックスを加えて加熱処理工程を省き、造形作用のあるタブ粉を使用することが可能で、これを、請求項2に記載した。
即ち、請求項2に記載のものは、前述したA単独又はA及びBの両者を構成要素とし、タブ粉を用いて所定の形状に固化・形成し、簡易防虫装置1を構成しようとするものである。
この場合、A成分2種のブレンドの混合比として、例えば、シトロネラとニームオイル(クローブ又はシナモン)を80〜97:20〜3%の割合でブレンドしたものに、上記タブ粉単独またはB成分を一部混合したものを上記シトロネラとニームオイル(クローブ又はシナモン)の合計量の30%〜同量程度の割合で混入して掻き混ぜて、所定の形状に固化・形成するようにして簡易防虫装置1を製造すればよい。
さらに、A成分として、シトロネラ、クローブ、ニームオイルの3種を例えば、70:15:15の混合比でブレンドしたものを用いてもよい。
【0016】
上記のように、請求項1又は2のように構成される簡易防虫装置1を後述するように、害虫の防御を必要とする場所に設置すると、ネキリムシなどの害虫に対して前記構成成分から発せられる刺激性の異臭により害虫に対して忌避作用を発揮するものである。
【0017】
なお、ここで、A成分として用いて、害虫に対する忌避効果の点で、特に有効なシトロネラ、ニームオイル及びクローブ、またB成分として造形作用のある点で特に、有効なタブ粉について説明すると、次の通りである。
1.シトロネラ
説明:シンボパゴン ナルダス(Cymbopagon nardus)の乾燥した草を蒸留して得られるもの。
工業的データ:
▲1▼特徴:柑橘類の臭い、特別な刺激臭を有する黄色〜青黄色の液体
▲2▼20℃の比重:0.880〜0.922
▲3▼20℃の屈折率:1.466〜1.1475
▲4▼合計のゼラニオール(Geraniol)(%W/W):最低値85
▲5▼シトロネリアル(Citronelial)(%W/W):最低値35
▲6▼80%エタノールにおける溶解度(V/V) :1.2クリア
【0018】
2.ニームオイル:
このサンプルは、ニーム ケルネル オイル(Neem Kernel Oil)と称されるもので、次の組成のものである。
▲1▼質量中の水分及び不純物の割合:0.176
▲2▼40℃における屈折率:1.456
▲3▼鹸化値:1.87
▲4▼ヨウ化物値(Iodine value):73
▲5▼酸化値:8.62
▲6▼質量中の反鹸化値の割合:0.53
【0019】
3.クローブ
これは、学術名は、Eugenia caryophyllataといい、フトモモ科に属し、精油を抽出する部分は、花蕾であり、水蒸気蒸留法で精油は抽出される。
化学的な組成は、フルフロール(アルデヒド)、サルチル酸メチル(エステル)、オイゲノール(フェノール)、カリオフィレン(セキステルペン)、ピネン(テルペン)である。
上記組成上から、強力な殺菌作用、殺虫作用があるが、シトロネラとブレンドすると、強力な害虫忌避作用を発揮する。
【0020】
4.タブ粉
本発明の作用を認定するために使用したタブ粉の一例の分析結果を示すと、次の通りである。
・エネルギー (kcal/100g) 314
・水分 ( g/100g) 23.3 :常圧加熱乾燥減量法による
・タンパク質 ( g/100g) 3.4 :ケルダール分解法による
・脂質 ( g/100g) 1.6 :エーテル排出法による
・炭水化物 ( g/100g) 71.6 :
・灰分 ( g/100g) 10.1 :直接灰化法による
・ナトリウム (mg/100g) 37 :ICP発光分析法による
・食塩相当量 (mg/100g) 95
・カルシウム ( g/100g) 2.3 :ICP発光分析法による
なお、ここで、エネルギー換算係数は、たんぱく質は4.00、脂質は9.00、炭水化物は4.00を用い、試験方法は衛生試験法注解(1990)によって行った。
なお、タブ粉は基本的には、タブ樹木から得られ、インドネシア、タイ、中華人民共和国、台湾などの東南アジア産が有用であるが、特に、その内、インドネシア支那粉が強い粘性を有し、実用性の点で優れている。タブ粉の性能を有すれば、産地は限定されず、本発明には適用可能である。日本の杉粉も有用である。
【0021】
第2の実施の形態:
図2は第2の実施の形態である本発明の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
本発明の第2の実施の形態の簡易防虫装置は、基本的には第1の実施の形態のものと同様、請求項1のものでは、A成分(シトロネラ、ニームオイル等の植物精油)とB成分(ゼオライト又はおが屑粉等)の構成要素を用い、これらを融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて固化・形成される形状として図2に示すように、顆粒状に形成した点に特徴がある。
従って、簡易防虫装置2の具体的な製造方法も、例えば、A成分としてのシトロネラとニームオイルを80〜97:20〜3%の割合でブレンドしたものに、B成分としてのゼオライト又はおが屑粉を上記シトロネラとニームオイルの合計量の30%〜同量程度の割合で混入した後、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを加えて40℃〜90℃で加熱して顆粒状に形成すればよい。この場合も、請求項2に記載のように、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて固化・形成する代わりに、タブ粉を用いて顆粒状に固化・形成するようにしてもよい。
このように構成される簡易防虫装置2も後述するように、害虫の防御を必要とする場所に設置すると、ネキリムシなどの害虫に対して前記構成成分から発せられる刺激性の異臭により害虫に対して忌避作用を発揮するものである。
【0022】
第3の実施の形態:
図3(A)、(B)は第3の実施の形態である本発明の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
本発明の第3の実施の形態の簡易防虫装置も、基本的には第1の実施の形態のものと同様、請求項1及び2に記載のものでは、A成分(シトロネラ、ニームオイル等の植物精油)とB成分(ゼオライト又はおが屑粉等)の構成要素を用い、これらを融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて固化・形成される形状として図3(A)又は(B)に示すように、環状に形成した点に特徴がある。
この場合も、請求項2に記載のように、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて固化・形成する代わりに、タブ粉を用いて環状に固化・形成するようにしてもよいことは勿論である。
この環状のものとして、図3(A)のものでは、5円硬貨程度の厚みも径も小さい環状の簡易防虫装置3に形成した場合を、また図3(B)の例では吊るすタイプの防虫用樟脳又はドーナツ状のような厚みも径も大きい環状の簡易防虫装置4に形成したものを示す。
【0023】
なお、簡易防虫装置4に対しては、図3(B)に示すように、環状の本体部分に小孔または小孔状の凹所4aを設けておくと、環状体の本体部分のほか小孔または小孔状の凹所4aからも刺激性の異臭が周囲に発散されることになり、刺激性の異臭の発散面積が増えるため、害虫に対する忌避作用の点では、図示した実施の形態のものでは、防虫効果が最も優れたものとなる。
なお、このような実用性の顕著な小孔または小孔状の凹所4aを有する簡易防虫装置4を製造するためには、請求項3に記載のように、タブ粉に加えて、ヤシ粉を加えてブレンドすると、ヤシ粉の存在のために堅さが増すために、小孔または小孔状の凹所4aを有する簡易防虫装置4の形状に固化、形成する作業を円滑、適正に行うことができる。
この場合、タブ粉とヤシ粉の混合比は、例えば、60〜85:40〜15特に、80:20位とするのが望ましい。
さらに、請求項4に記載のように、タブ粉又は/及びヤシ粉をブレンドし、さらに、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するようにすれば、簡易防虫装置4の製品寿命を延ばすことができる。
なお、このようなタブ粉に加えて、ヤシ粉を用いての固化、形成するという手段及び、さらに、タブ粉、ヤシ粉のほか、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いての固化、形成するという手段は、加工精度を必要とする図3(B)の簡易防虫装置4の構成のために有効であるが、図3(A)の簡易防虫装置3や図1又は図2に記載の簡易防虫装置1又は2の形成に使用してもよいことは勿論である。特に、図3(B)に示した簡易防虫装置4の場合で、小孔又は凹所を設けないものでもヤシ粉を混入することで適正な強度が得られるので、有効である。
このようにヤシ粉を混入することは、径が大径で、厚さが薄く、幅が狭いもののに対しても、有効である。
これは、請求項2に記載のように、タブ粉のみでは、強度性が不足するので、環状等の形状の形成工程で、ひび割れを生じることがあるので、これをヤシ粉を混入することで補強しようとするものである。
これを請求項3及び4に記載した。
このように構成される簡易防虫装置3又は4も後述するように、害虫の防御を必要とする場所に設置すると、ネキリムシなどの害虫に対して前記構成成分から発せられる刺激性の異臭により害虫に対して忌避作用を発揮するものである。
【0024】
本発明の簡易防虫装置は、上記のように請求項1乃至5に記載のように構成したものであっても、農作物や果実などに対する害虫の防御のために有効であるが、さらに、農作物や果実などに害を与える鳥獣に対する防御のためには、簡易防虫装置の構成要素として、上記の構成要素A及びBに加え、次の構成要素C又はD或いはEも付加するようにすると効果的である。
C:capsicum(激辛トウガラシ)のエキス
このcapsicum(激辛トウガラシ)のエキスは、その刺激性の臭いと赤色(赤褐色)が相乗して、防虫効果が助長されると共に、モグラ等の害獣やカラス等の害鳥にも効果的である。
D:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
capsicum(激辛トウガラシ)のエキスに加えて、ガーリック(ニンニク)のエキスをブレンドすると、ガーリック(ニンニク)のエキスの刺激性の異臭が相乗されるから、鳥獣への忌避作用は、さらに助長される。
E:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス
この場合は、さらに、除虫菊のエキスによる異臭が相乗されるから、鳥獣への忌避作用は、一段と、さらに助長される。
【0025】
次に、本発明の簡易防虫装置の実用的に有効な使用形態について説明する。
第1の使用形態:
図4(A)及び(B)は夫々本発明の簡易防虫装置の第1の使用形態を示す図で、同図(A)は平面図、同図(B)は側断面図である。
同図(A)、(B)において、5は畑の畝、6は畦の部分、Nは畝5の部分に植えられた野菜等の農作物の苗、また、Kは畦6に設置又は埋設したダンゴ状の本発明の簡易防虫装置(ここでは第1の実施の形態の簡易防虫装置1)を模擬的に示したものである。
なお、簡易防虫装置Kとして、第2の実施の形態に述べた顆粒状の簡易防虫装置2を用いる場合には、苗Nが植え付けられる畝5の周囲に対して顆粒状の簡易防虫装置2を撒くという使用形態で設置すればよい。
このようにして、本発明の方法で製造された簡易防虫装置1又は2が設置又は埋設された農地では、苗にネキリムシが近付こうとしても、苗の周辺に設置又は埋設された本発明の簡易防虫装置1または2の構成成分中のシトロネラ等の成分Aやニームオイル等の成分Bから発せられる刺激性の異臭によりネキリムシに対して忌避作用を及ぼすため、苗の育成が阻害されることはなくなる。
なお、大きさを調整すれば、第3の実施の形態の簡易防虫装置3又は4を用いることも可能である。
【0026】
第2の使用形態:
第1の使用形態では、畑で栽培する野菜、果実等の路地栽培であったが、施設園芸栽培の場合のように、ビニール製、ガラス製、又は硬質樹脂製、或いは軟質樹脂製の温室施設(以下ビニールハウスと総称する)で栽培される農作物に対して被害を及ぼすネキリムシに対しても、本発明の簡易防虫装置Kは当然適用可能である。
この場合には、苗床の部分にも、本発明の簡易防虫装置Kとして、第1又は第2の実施の形態の簡易防虫装置1又は2を第1の使用形態に準じて設置することで、ネキリムシに対する防御を適切に行うものである。
この場合も、大きさを調整すれば、第3の実施の形態の簡易防虫装置3又は4を用いることも可能である。
また、前記のビニールハウス内に、メロン、トマピー等の栽培をビニールハウス内で行うようにし、第3の実施の形態で説明した方法で形成した厚み大きい簡易防虫装置4を誘引ロープに対して装着することで、メロン、トマピー、パプリカ、ナス等をぶら下げて栽培するようにした簡易防虫装置としての適用が考えられる。
この場合、誘引ロープとして有機性繊維の素材を用いると数カ月で自然崩壊し、また、その過程では肥料としての機能も発揮するので、極めて有用である。
なお、ビニールハウス等の鉢ものには、第3の実施の形態の図3(A)に示す5円硬貨状の簡易防虫装置3を設置すれば鉢植えのものにも防虫効果が発揮できる。
この場合も、大きさを調整すれば、図3(B)に示す簡易防虫装置4の使用も可能である。
【0027】
なお、本発明の簡易防虫装置は、ネキリムシ以外の害虫に効果を発揮する。
即ち、最近の施設園芸は、暖房施設の常設により、施設内の害虫は季節性や地域性を無視し、南日本に特有の害虫(ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ等)や外来虫(オンシツコナジラミ等)の被害が、季節を問わず発生し、園芸農家を苦しめている。
このような害虫に対しても、本発明の簡易防虫装置1乃至4のいずれかを虫媒花の時期を除き、且つ、これら害虫の菜餌行動の抑制に合わせて施設内に各コーナーに設置することにより、これらの害虫を施設内から適正に放逐することができる。
【0028】
また、本発明の簡易防虫装置は、ネズミ等の小動物により農作物の被害の防御に対しても有効である。
なお、米の貯蔵は玄米の段階では、現在、15°C以下での低温倉庫で保存され、白米流通の段階では穀物倉庫で保存されることになるが、このとき問題となるのが、ノシメマダラメイガやコクゾウムシ等の害虫やネズミによる被害である。
そこで、穀物倉庫の内側の周囲、即ち、床と壁の接点の場所に、前記した本発明の簡易防虫装置1を設置すれば、ネズミの他、穀物害虫であるノシメマダラメイガやコクゾウムシ等の害虫も寄り付かなくなるので、これらからの被害を大幅に軽減できる。この場合も量や大きさを調整すれば、簡易防虫装置2又は3或いは4の設置も有効である。
【0029】
さらに、本発明の簡易防虫装置は、鹿等の保護動物による地域住民への被害から防御するための手段としても有効である。
例えば、奈良等に見られるように鹿等の保護動物は所定の場所で離し飼いされているが、時により、その場所を越えて移動すると、地域住民へ迷惑を及ぼす恐れがあるが、その境界区域の部分に、本発明の簡易防虫装置1乃至10のいずれかを適正な量を設置することで、鹿等の保護動物は簡易防虫装置1乃至10から発せられる異臭による忌避作用により、その境界線を越せて地域住民の側へ移動することを円滑、適正に防ぐことができる。
【0030】
また、図3(A)の簡易防虫装置3は、厚みも径も小さい環状の形状をしているので、家庭内の居間の適所に直接またはドライフラワーの結束紐等と結合してぶらさげることにより、蚊等の防虫装置として使用する簡易防虫装置としての適用も考えられる。
【0031】
本発明の簡易防虫装置の形状は上記した実施の形態で述べたダンゴ状、顆粒状や環状のものに限定されない。例えば、ダンゴ状に代えて、三角形状や6面体など、その適用場所や使用形態に基づき各種の形状の変形が考えられる。
なお、本明細書でタブ粉と記載したものは、インドネシア支那粉(machlus)が最も有用であるが、この原料とは相違する樹木等のもの、例えば、前述の杉粉(日本産)や炭粉(台湾産)、本粉マル天B(タイ産)など、造粒効果のある粉であればこの「タブ粉」と記載した本発明の範囲に含まれるものである。
【0032】
【発明の効果】
本発明の簡易防虫装置及びその使用方法は、上記のように特徴を有するものであるから、次のような優れた効果を有する。
(1)請求項1に記載のように、所定形状に形成された簡易防虫装置は、その構成要素であるハーブのエキスから発せられる刺激臭によりネキリムシほかの害虫に対して極めて高い忌避作用があるので、その設置により必要な害虫忌避作用を発揮する。
この場合、構成要素Bとして、おが屑粉を使用すると、安価な材料であるにも拘わらず、造形効果があり、簡易防虫装置の製造を比較的、安価に製作できるという優れた効果を有する。
【0033】
(2)請求項2に記載のように、タブ粉を用いるようにすると、タブ粉の造形作用のために、請求項1のようにパラフィン又はワックスを用いて加熱する工程が省略できるので、簡易防虫装置の製造を簡単に、短時間に行うことができる。
【0034】
(3)請求項3のように、タブ粉に加えて、ヤシ粉を用いると、固化作用が助長されるので、簡易防虫装置の形状が図3(B)のような小孔又は凹所を有するような形状に形成するときや、環状のものの径が大径の場合で厚さが薄く、幅が狭い形状のものの製作過程が円滑にできる点で効果的である。
【0035】
(4)請求項4のように、タブ粉を用いた後、又はタブ粉に加えて、ヤシ粉を用いて、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて固化・形成するようにすると、製品寿命がその分、増大できる。
【0036】
(5)請求項5のように、構成要素Aとして、シトロネラとニームオイル又はシトロネラとクローブを或いはシトロネラとクローブとニームオイルを所定の割合でブレンドすると、防虫効果が効果的なハーブが適正にブレンドできる点で実用的である。
【0037】
(6)請求項6のように、構成要素として、上記構成要素A及びBに加え、次の構成要素C又はD或いはEも付加するようにすると、防虫効果のほかに、農作物に害を及ぼす鳥獣に対しても忌避作用を発揮できる簡易防虫装置とすることができ、本発明の適用範囲を拡大できる。
C:capsicum(激辛トウガラシ)のエキス
D:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
E:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス
【0038】
(7)また、請求項7に記載のように簡易防虫装置をダンゴ状に形成すると、畑、苗床、路地栽培の苗の生育中に発生するネキリムシからの苗の防御に極めて効果的であるほか、穀物倉庫の内側の周囲、即ち、床と壁の接点の場所にも設置が容易であるので、ネズミ等の小動物の他、穀物害虫であるノシメマダラメイガやコクゾウムシ等の害虫、さらには鹿等の保護動物からの被害に対しても効果的である。
【0039】
(8)また、請求項8に記載のように簡易防虫装置を顆粒状に形成すると、上記の(7)の効果に加え、形状が顆粒状のため、苗の周囲など害虫等の予防が必要な場所に手軽に設置できる点で優れている。
【0040】
(9)さらに、請求項9又は10に記載の簡易防虫装置では、形状が環状に形成されているから、厚みも径も大きいものは、ビニールハウスに設ける誘引ロープ等の防虫を必要とする場所の空中設置のための誘引ロープヘの装着に便利であり、厚みも径も小さいものは、鉢物又は家庭用の使用に便利である。
なお、請求項10のように、複数個の小孔又は凹所を形成するものでは、その小孔又は凹所の部分からも防虫効果のある異臭が放出され、異臭放出面積が増大するので、防虫効果はさらに、促進できる。
【0041】
(10)また、請求項11に記載の使用方法によると、本発明の簡易防虫装置が苗の育成に害を及ぼすネキリムシ他の害虫等の駆除・予防に適切に効果を発揮できる。
【0042】
(11)さらに、請求項12に記載の使用方法によると、本発明の簡易防虫装置を用いて穀物倉庫で保管される精米に害を及ぼすネズミ等の小動物やコクゾウムシ等害虫等の駆除・予防に適切に効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
【図3】同図(A)及び(B)は夫々本発明の第3の実施の形態の簡易防虫装置の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の使用形態を示すもので、同図(A)は平面図、同図(B)は側断面図である。
【符号の説明】
1〜4、K:簡易防虫装置
5:畝
6:畦
N:苗
Claims (12)
- 次のA及びBを構成要素とし、融点が40℃〜90℃であるパラフィン又はワックスを用いて所定の形状に固化・形成するようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
A:ハーブと称せられる植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの
B:ゼオライト又はおが屑粉又はコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたもの - 次のA単独又はA及びBを構成要素とし、タブ粉を用いて所定の形状に固化・形成するようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
A:ハーブと称せられる植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの
B:ゼオライト又はおが屑粉又はコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたもの - 次のA単独又はA及びBを構成要素とし、タブ粉及びヤシ粉をブレンドして所定の形状に固化・形成するようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
A:ハーブと称せられる植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの
B:ゼオライト又はおが屑粉又はコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたもの - 次のA単独又はA及びBを構成要素とし、タブ粉を用いた後又はタブ粉にヤシ粉をブレンドした後、さらに、融点が40℃〜90℃であるパラフィンワックスを用いて所定の形状に固化・形成するようにしたことを特徴とする簡易防虫装置。
A:ハーブと称せられる植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの
B:ゼオライト又はおが屑粉又はコウモリの糞化石粉を砂糖水で溶解し固めたもの - 上記の構成要素Aは、シトロネラとニームオイル又はシトロネラとクローブを或いはシトロネラとクローブとニームオイルを所定の割合でブレンドしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の簡易防虫装置。
- 構成要素として、上記構成要素A及びBに加え、次の構成要素C又はD或いはEも付加するようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の簡易防虫装置。
C:capsicum(激辛トウガラシ)のエキス
D:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキス
E:capsicum(激辛トウガラシ)のエキスとガーリック(ニンニク)のエキスと除虫菊のエキス - 上記の簡易防虫装置の形状として、ダンゴ状に形成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の簡易防虫装置。
- 上記の簡易防虫装置の形状として、顆粒状に形成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の簡易防虫装置。
- 上記の簡易防虫装置の形状として、環状に形成するようにしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の簡易防虫装置。
- 上記の簡易防虫装置の形状として、環状に形成すると共に、さらに、その環状の本体部分に複数個の小孔又は凹所を形成するようにしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の簡易防虫装置。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載の簡易防虫装置を苗が植えられた畑の畝又は苗床等の苗が植えられた土地の周囲又は近傍に配置するようにしたことを特徴とする簡易防虫装置の使用方法。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載の簡易防虫装置を穀物倉庫の内側の周囲、即ち、床と壁の接点の場所に配置するようにしたことを特徴とする簡易防虫装置の使用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002249543A JP2004083528A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | 簡易防虫装置及び簡易防虫装置の使用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002249543A JP2004083528A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | 簡易防虫装置及び簡易防虫装置の使用方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004083528A true JP2004083528A (ja) | 2004-03-18 |
Family
ID=32056628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002249543A Pending JP2004083528A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | 簡易防虫装置及び簡易防虫装置の使用方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004083528A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005341935A (ja) * | 2004-06-07 | 2005-12-15 | Masami Takegawa | 農業用促進体 |
JP2006306796A (ja) * | 2005-04-28 | 2006-11-09 | Masami Takegawa | 動物忌避組成物及び動物忌避スプレー |
JP2007099623A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Masami Takegawa | 動物忌避顆粒体 |
JP2007530665A (ja) * | 2004-03-31 | 2007-11-01 | エイド パリー (インディア) リミテッド | ニーム種子抽出物の改良された顆粒製剤化およびその方法 |
CN107873754A (zh) * | 2017-12-11 | 2018-04-06 | 林厚海 | 杀虫、杀菌组合物及其制备方法 |
-
2002
- 2002-08-28 JP JP2002249543A patent/JP2004083528A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007530665A (ja) * | 2004-03-31 | 2007-11-01 | エイド パリー (インディア) リミテッド | ニーム種子抽出物の改良された顆粒製剤化およびその方法 |
JP2005341935A (ja) * | 2004-06-07 | 2005-12-15 | Masami Takegawa | 農業用促進体 |
JP4523340B2 (ja) * | 2004-06-07 | 2010-08-11 | 眞美 武川 | 忌避材の製造方法 |
JP2006306796A (ja) * | 2005-04-28 | 2006-11-09 | Masami Takegawa | 動物忌避組成物及び動物忌避スプレー |
JP2007099623A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Masami Takegawa | 動物忌避顆粒体 |
CN107873754A (zh) * | 2017-12-11 | 2018-04-06 | 林厚海 | 杀虫、杀菌组合物及其制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9572348B2 (en) | Combination animal repellents | |
US20170118996A1 (en) | Broad spectrum pest repellent compositions and pest management system | |
US20140352630A1 (en) | Combination animal repellents | |
CA2662441C (en) | Non-toxic insecticide containing cinnamaldehyde and horticultural oil | |
Roshan et al. | A brief study on neem (Azarrdirachta indica A.) and its application–A review | |
NZ330283A (en) | herbicide containing monoterpene derivatives and fatty acid soaps | |
JP2006306796A (ja) | 動物忌避組成物及び動物忌避スプレー | |
JP2004083528A (ja) | 簡易防虫装置及び簡易防虫装置の使用方法 | |
JP3809446B2 (ja) | 防虫効果のある2色の色彩を形成した防虫用ロープ及びこの防虫用ロープを用いた防虫用ロープ装置、防虫用ネット等の防虫装置 | |
JP4523340B2 (ja) | 忌避材の製造方法 | |
JP2002220306A (ja) | 防虫用ロープ、防虫用ロープ装置及び防虫用ネット並びに簡易防虫装置 | |
JP2003055124A (ja) | 簡易防虫装置及びその製造方法並びに簡易防虫装置の使用方法 | |
JP2007084483A (ja) | 土壌改良機能も有する動物忌避組成物及びその製造方法並びに使用方法 | |
JP2006075068A (ja) | 樹木等の凍害等に対する防御塗料及び樹木等の防御方法 | |
Apantaku | Indigenous technical knowledge and use of forest plant products for sustainable control of crop pests in Ogun State, Nigeria | |
WO2008060136A1 (en) | Biopesticide | |
KR102006309B1 (ko) | 기피제 및 이의 제조 방법 | |
Traps | Featured Products | |
AU2012203727B2 (en) | Methods for Controlling Pest Animals | |
KR20240139369A (ko) | 친환경 유해동물 기피제 및 이의 제조방법 | |
Sintim | A justification for the advances in natural products in plant and grain protection | |
Caldwell | A New, Low-Toxicity Slug Control Material for Strawberries | |
Weed et al. | Hardware | |
Cranshaw | Japanese beetle | |
Deer | 2. Sprinkle black pepper on corn ears before they are ripe. Installing motion lights and leaving radios on in the garden at dusk and dawn may help repel raccoons. B. Deer |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050818 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090703 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20090714 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20100209 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |