JP4523141B2 - パッチアンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パッチアンテナに関し、特に無給電素子を備えたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パッチアンテナは、地板に対して所定の間隔をおいてパッチ素子を配置したものである。このパッチアンテナでは、地板上に多数のパッチ素子を配置し、これらパッチ素子を直列または並列に給電し、アレーアンテナとして使用することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成したアレーアンテナでは、高利得を得られる。しかし、利得を高めるために、地板の同一平面上に多数のパッチ素子を配置しなければならず、パッチ素子の設置スペースが大きくなり、このパッチアンテナ全体の設置スペースも大きなものとなっていた。また、アンテナでは、その設置状況に応じて所望の利得が異なることがある。所望の利得がそれぞれ異なる場合、各利得に対応した個数のパッチ素子を備えたアレーアンテナを個別に製造しなければならず、コストが増大する上に、その設置スペースも異なったものとなるので、製品管理が面倒であった。
【0004】
本発明は、設置スペースが小さく、高利得のパッチアンテナを提供することを目的とする。また、本発明は、所望の異なる利得に容易に対応することができる上に、設置スペースが小さく、高利得のパッチアンテナを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によるパッチアンテナは、地板を有している。この地板は、導電体によって構成され、その形状は、矩形、長方形等の多角形、円形または楕円形等の種々の形状とすることができる。この地板に対して垂直に金属製の支柱が設けられている。地板と対向するように、1つの放射素子が前記支柱に設けられている。放射素子は、平板状のパッチ素子であり、形状は矩形、長方形等の多角形、円形または楕円形等の種々の形状とすることができる。この放射素子と地板との間には、所定の間隔が隔てられている。この間隔内に誘電体を配置することもできる。この放射素子を挟んで前記地板と反対側に、前記地板と平行に一列状に複数の無給電素子が、前記支柱に設けられている。無給電素子は偶数個とすることもできる。これら無給電素子も、矩形、長方形等の多角形、円形または楕円形等の種々の形状とすることができる。これら無給電素子は、前記放射素子によって受信しようとする電波の偏波面と平行な方向の長さが前記電波の中心波長の約1/4の長さに設定されている。前記放射素子に最も接近した無給電素子と放射素子との間隔及び無給電素子の互いの間隔が、前記電波の中心波長の約1/4の長さに設定されている。前記無給電素子における前記電波の偏波面の方向と直交する方向の長さが、この方向の前記地板の長さとほほ等しい。
【0006】
このように構成されたパッチアンテナでは、複数の無給電素子が導波器と同様に機能するので、利得を向上させることができる。特に、各無給電素子は、地板と対向する方向に一列に配置されているので、利得を向上させるために、多くの無給電素子を使用したとしても、地板のスペースが広くなることが無く、このパッチアンテナの設置スペースが大きくならない。なお、パッチアンテナと対向するように無給電素子を配置することは従来から行われているが、これは、主に広帯域化を図るために行われており、鋼利得かを図るために複数の無給電素子を一列に配置することは行われていない。無給電素子における電波の偏波面の方向と直交する方向の長さを、この方向の地板の長さとほぼ等しく選択することにより、利得が向上した。
【0007】
また、支柱に着脱自在に前記無給電素子を取り付けることもできる。このように構成した場合、それぞれ異なる利得を持つパッチアンテナが必要な場合、無給電素子は、支柱に着脱自在であるので、支柱に取り付ける無給電素子の数を増減させることによって、所望の利得のパッチアンテナが得られる。従って、様々な利得を有する複数のパッチアンテナを予め準備しておく必要が無く、製造コストを低減させることができるし、パッチアンテナの管理も容易に行える。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施の形態のパッチアンテナは、例えば2.4GHz帯の無線LAN用のアンテナである。このパッチアンテナは、図1及び図2に示すように、地板2を有している。この地板2は、導体、例えばアルミニウム製であり、矩形、例えば1辺の長さが100mmの正方形状に形成されている。この地板2の一方の面例えば正面の中央から、この面に垂直に支柱4が突出している。この支柱4は、例えば金属製の円柱状のものである。
【0010】
この支柱4には、所定の間隔を隔てて地板2と対向するように、放射素子、例えばパッチ素子8が固定されている。パッチ素子8は、導体、例えばアルミニウム製で、矩形、例えば正方形状に形成されている。このパッチ素子8の一辺の長さは、地板2の一辺の長さの約1/2である50mmとされている。このパッチ素子8の中央に支柱4が挿通されている。また、このパッチ素子8の各辺は、地板2の各辺と平行に配置されている。このパッチ素子8の長さ寸法は、受信周波数の中心波長λ(=125mm)の1/4λ(=約30mm)よりも長く、1/2λ(約60mm)よりも短い50mmに選択されている。即ち一辺の長さは1/4λと1/2λとの間の値である。
【0011】
パッチ素子8と地板2との間隔は、このパッチアンテナで受信しようとする周波数帯域によって決まる。例えば受信周波数帯域が狭い場合には、パッチ素子8を地板2に接近させる。また、受信周波数帯域が広い場合には、パッチ素子8を地板2から離す。
【0012】
このパッチ素子8には、給電点が設けられており、この給電点Aは、図1及び図2に示すようにリード線10を介して接栓12に接続されている。接栓12は、地板2の背面に地板2と電気的に絶縁されて、取り付けられている。
【0013】
支柱4には、それの長さ方向に沿って一列に、複数、例えば偶数個の無給電素子14が着脱自在に取り付けられている。この実施の形態では4つの無給電素子14が使用されている。これら無給電素子14も、導体、例えばアルミニウム製で、長方形状に形成されている。これら無給電素子14の中央に支柱4が挿通されている。なお、無給電素子14のような矩形状の物体を、支柱4に着脱に取り付ける構成は公知であるので、詳細な説明は省略する。
【0014】
これら各無給電素子14は、各辺が地板2及びパッチ素子8の各辺と平行となるように配置されている。これら無給電素子14の短辺は、約λ/4に設定され、長辺は、地板2の一辺の長さ(100mm)とほぼ等しい長さ、即ちパッチ素子8の2倍の長さとされている。これら短辺は、このパッチアンテナによって受信しようとする電波の偏波面の方向に配置されている。即ち、この実施の形態では、直線偏波の一種である垂直偏波の電波を受信する。無論、このパッチアンテナを支柱4の回りに90度回転させることによって、直線偏波のうち水平偏波の電波を受信することもできる。また、これら各無給電素子の間隔もλ/4とされている。また、パッチ素子8と、これに最も近い無給電素子14との間隔も、λ/4とされている。
【0015】
このように構成したパッチアンテナでは、パッチ素子8が八木形アンテナの反射器及び放射器と同様に動作し、かつ、無給電素子14が、八木形アンテナにおける導波器と同様に動作する。その結果、このパッチアンテナの利得を向上させることができる。
【0016】
図3は、無給電素子14の数とアンテナ利得との関係を示したものである。無給電素子14を全く設けていない場合には、パッチアンテナの利得は、約9.2dBであったが、2つの無給電素子14を一列に上述したように設けることによって、利得が約10.8dBとなり、約1.6dBの利得向上があった。4つの無給電素子14を一列に上述したように設けた場合には、その利得は12.2dBとなり、無給電素子14が存在しない場合よりも約3dBの利得向上があった。また、6つの無給電素子14を一列に上述したように設けた場合には、利得が約13.2dBとなり、無給電素子14が存在しない場合よりも約4dBの利得向上があった。さらに、8つの無給電素子14を一列に上述したように設けた場合には、利得は約13.9dBとなり、無給電素子14が存在しない場合よりも4.7dBの利得向上があった。
【0017】
このように、複数の無給電素子14をパッチ素子6の前方に一列に配置することによって、このパッチアンテナの利得を向上させることができる。このように利得を向上させても、地板2に沿って配置されるパッチ素子8の数は1つのままであるので、このパッチアンテナの地板2の正面に沿う面での設置スペースが増加することはなく、高利得の設置スペースの小さいパッチアンテナが得られる。
しかも、支柱4に取り付ける無給電素子14の数を増減させることによって所望の利得のパッチアンテナが得られ、異なる利得のパッチアンテナを予め多数製造し、保管する必要がない。
【0018】
上記の実施の形態では、地板2に正方形状のものを使用したが、長方形、三角形等の多角形、円形または楕円等の種々の形状とすることができる。また、パッチ素子も、正方形状のものを使用したが、受信しようとする電波の偏波の面に沿う方向の長さが、λ/2とλ/4との間であれば、長方形、三角形等の多角形、円形または楕円等の種々の形状とすることができる。また無給電素子14は矩形のものを示したが、受信しようとする電波の偏波の面に沿う方向の長さが約λ/4、長方形、三角形等の多角形、円形または楕円等の種々の形状とすることができる。上記の実施の形態では、支柱4に金属製の円柱状のものを使用したが、これに代えて合成樹脂のような絶縁体を使用してもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、設置スペースが小さく、高利得のパッチアンテナが得られる。更に、異なる利得を有した上に、設置スペースが小さく、高利得のパッチアンテナも得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態のパッチアンテナの斜視図である。
【図2】図1のパッチアンテナの平面図である。
【図3】図1のパッチアンテナにおける給電素子の数とアンテナ利得との関係を示す図である。
【符号の説明】
2 地板
4 支柱
8 パッチ素子(放射素子)
14 無給電素子

Claims (2)

  1. 地板と、
    この地板に対して垂直に設けられた金属製の支柱と、
    前記地板と対向するように前記支柱に設けられた1つの放射素子と、
    この放射素子を挟んで前記地板と反対側に前記地板と平行に一列状に、前記支柱に設けられ、前記放射素子によって受信しようとする電波の偏波面と平行な方向の長さが前記電波の中心波長の約1/4の長さであり、前記放射素子との間隔及び互いの間隔が前記電波の中心波長の約1/4の長さである複数の無給電素子とを、
    具備し、前記無給電素子における前記電波の偏波面の方向と直交する方向の長さが、この方向の前記地板の長さとほぼ等しいパッチアンテナ。
  2. 請求項1記載のパッチアンテナにおいて、前記支柱に着脱自在に前記無給電素子が取り付けられているパッチアンテナ。
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