JP4523131B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体レーザ、ファイバレーザ、ファイバアンプ等の励起光源や各種レーザ計測等に用いられる半導体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザの高出力化を図る場合、光出射端面での瞬時光学損傷を抑制することが重要になる。本出願人は、高出力化を目的として、活性層より大きな禁制帯幅を有し、厚みの小さいキャリアブロック層を活性層の両面にそれぞれ設けることによって、キャリアブロック層の外側に形成される導波層の膜厚とクラッド層の禁制帯幅の設計自由度を大きくした半導体レーザを提案している(国際公開WO93/16513)。
【0003】
このような構造において、活性層内に注入されたキャリアはキャリアブロック層によって効率良く閉じ込められるとともに、活性層で発生したレーザ光は薄く形成されたキャリアブロック層を通過して、主に導波層およびクラッド層から成る光導波路で伝搬する。導波層への光の閉じ込めが大きくなるように光導波路を設計することによって、活性層に存在する光の強度が低くなるため、光出射端面での瞬時光学損傷が起きる光出力を高くすることができ、その結果、高出力動作を実現できる。
【0004】
一方、特開平10−303500号は、分離閉じ込め構造において活性層に存在する光の強度を低減し、光出射端面での瞬時光学損傷が起きる光出力を高くするために、導波層への光の閉じ込めを大きくした構造が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−303500号のように導波層への光の閉じ込めを大きくした場合、光導波路での伝搬可能な導波モードは基本モードだけでなく、高次モードも伝搬可能となる。
【0006】
このときレーザ発振条件を考えると、ゲインを生成する活性層に存在する光の強度は基本モードで最も高くなり、しかもフリーキャリア吸収および基板放射ロスも基本モードで小さくなるため、結局、レーザ発振は基本モードで発生し易くなる。
【0007】
しかしながら、レーザ発振が基本モードであっても、光導波路が高次モードも伝搬可能であるため、レーザ光の発振スペクトルに波長分裂が生じてしまうことを本発明者らは見出した。こうした波長分裂が発生すると、レーザ発振スペクトルの半値全幅の増大化を招き、さらに温度や注入電流を連続的に変化させても発振波長が連続的に変化しなくなる。そのため、こうした半導体レーザを固体レーザ、ファイバレーザ、ファイバアンプ等の励起光源として使用した場合、励起効率の低下や出力の不安定化をもたらすことになり、応用上の問題点となる。
【0008】
本発明の目的は、積層方向の高次モードの伝播による波長分裂を抑制して、高出力動作の安定化が図られる半導体レーザ装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、活性層の両面側に、該活性層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するn型およびp型の光導波層がそれぞれ設けられ、
活性層および各光導波層を挟むように、該光導波層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するn型およびp型のクラッド層がそれぞれ設けられた高出力の半導体レーザ装置において、
活性層と各光導波層との間に、該活性層および該光導波層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するキャリアブロック層がそれぞれ設けられ、
n型およびp型のクラッド層の屈折率のうち小さい方の屈折率をnc1、大きい方の屈折率をnc2、本導波モードにおける光導波路の実効屈折率をne0、1次導波モードにおける光導波路の実効屈折率の実部をRe(ne1)としたとき、次式(A)と次式(2)の条件を満たし、
nc1 ≦ Re(ne1) …(A)
Re(ne1) < nc2 ≦ ne0 …(2)
n型およびp型のクラッド層の屈折率を非対称に設定することによって、積層方向に高次導波モードのレーザ発振の伝播を抑制することを特徴とする半導体レーザ装置である。
【0010】
本発明に従えば、1次導波モードの実効屈折率の実部Re(ne1)をn型およびp型のクラッド層の屈折率のうち小さい方の屈折率nc1と等しいか、それより大きく設定することによって、活性層に存在する光強度を低減し、端面での瞬時光学損傷を起こす光出力を高くすることができ、その結果、高出力動作を実現できる。
【0011】
また、n型およびp型のクラッド層の組成を非対称化することにより、積層方向に次導波モードが存在しないようになり、その結果、基本モードだけが低損失で伝搬でき、発振スペクトルの波長分裂を抑制できる。
また、式(2)が成立することによって、基本導波モードは中央層内で伝搬可能となり、1次導波モードは屈折率nc2のクラッド層内へリークしてしまう。その結果、基本モードだけが低損失で伝搬でき、発振スペクトルの波長分裂を抑制できる。
また、活性層と各光導波層との間に高い禁制帯幅を有するキャリアブロック層をそれぞれ設けることによって、活性層でのキャリア閉じ込めと光導波層での光閉じ込めとを独立して機能させることができるため、半導体レーザの温度特性が向上してより高出力の動作を実現できる。
【0012】
また本発明は、真空中でのレーザ波長をλ、n型およびp型のクラッド層の間の厚みをt、n型およびp型の光導波層の屈折率をnw とし、n型およびp型のクラッド層の屈折率のうち小さい方の屈折率をnc1としたとき、光導波層およびクラッド層を含む光導波路が次式(1)の条件を満たすことを特徴とする。
【0013】
【数2】
Figure 0004523131
【0014】
本発明に従えば、式(1)が成立することによって、活性層に存在する光強度を低減し、端面での瞬時光学損傷を起こす光出力を高くすることができ、その結果、高出力動作を実現できる。
【0017】
ここで本発明の原理について説明する。図4は、半導体レーザ装置の典型的な構造を示す断面図である。n型GaAsから成る基板111の上に、n型クラッド層112(AlGaAs,Al組成x=0.20,厚さt=1.2μm)、n型光導波層113(GaAs,t=0.49μm)、n型キャリアブロック層114(AlGaAs,x=0.40,t=0.03μm)、活性層115(In0.18Ga0.82As量子井戸層とGaAsバリア層)、p型キャリアブロック層116(AlGaAs,x=0.40,t=0.03μm)、p型光導波層117(GaAs,t=0.49μm)、p型クラッド層118(AlGaAs,x=0.20,厚さt=1.2μm)をMOVPE(有機金属気相成長法)などを用いて順次製膜し、さらにp型クラッド層118の上にp型キャップ層120(GaAs)を形成し、p型キャップ層120の内部に一対のn型電流阻止層119(GaAs)を埋め込んで電流注入部101(幅100μm)を形成している。
【0018】
共振器方向は紙面垂直方向で、共振器長は2.2mmであり、共振器端面はへき開の後、光出射端面は反射率2%の光学コーティング、他の端面は反射率96%の光学コーティングがそれぞれ施される。基板111の下面およびp型キャップ層120の上面には電流注入用の電極(不図示)がそれぞれ形成される。
【0019】
図5は、図4の半導体レーザ装置100の発振スペクトルの温度変化を示すグラフである。縦軸はピーク波長(nm)で、横軸はケース温度(℃)である。動作電流Iopは2アンペアである。グラフを見ると、ピーク波長が温度変化に対して直線的に変化しており、ピーク波長の温度変化率は約0.25nm/℃を示し、約25℃と約50℃の付近でピーク波長がステップ的に変化し、波長分裂が発生していることが判る。
【0020】
図6は、図4の半導体レーザ装置100の発振スペクトルを示すグラフである。縦軸はスペクトル強度(dBm)で、横軸は波長(nm)である。このグラフは、ケース温度50℃での波長分裂を示し、波長984.7nmと波長987.9nmの2つのピークが出現して、分裂幅は約3.2nmとなる。
【0021】
半導体レーザ装置のような多層スラブ構造の光導波路を解析する場合、マックスウェル方程式の解は階段分割法を用いて求めることができる(文献「光デバイスのための光結合系の基礎と応用」河野健治著,1991年発行)。解析の結果、図4の半導体レーザ装置100は基本(0次)モードと1次モードが伝搬可能であることが判る。
【0022】
図7は、図4の半導体レーザ装置100における光導波路の屈折率分布、各モードの実効屈折率、モードプロファイルを示すグラフである。縦軸は屈折率で、横軸はn型クラッド層112とn型光導波層113との界面を原点とし、上方を正とした位置(μm)である。
【0023】
屈折率分布を見ると、n型クラッド層112およびp型クラッド層118の屈折率が低く、これらで挟まれた中央部分が高い屈折率となった光導波路を構成している。解析の結果、基本モードのプロファイルはキャリアブロック層114,116付近で僅かに凹んだ単峰性のカーブを示し、1次モードのプロファイルは双峰性のカーブを示している。また、基本モードおよび1次モードの実効屈折率ne0,ne1はマックスウェル方程式の固有値で定義され、数値計算によって求められ、図4の半導体レーザ装置100ではne0=3.509,ne1=3.478となる。
【0024】
次に波長分裂の発生機構について説明する。光導波路を伝搬できるモード次数が基本モードおよび1次モードである場合、半導体レーザの両端面において基本モードから1次モードへのモード変換と1次モードから基本モードへのモード変換とが僅かに生ずる。一方、モード次数によって実効屈折率が異なるため、基本モードの光学的な共振器長と1次モードの光学的な共振器長とは相違することにになる。このようなモード変換を介してある種の二重共鳴器効果が発生すると考えられる。
【0025】
そこで、レーザ共振器の共振条件について検討する。基本モードの共振条件は次式(11)で与えられる。ここで、λm0は光の波長、Lは共振器長、ne0は基本モードの実効屈折率、m0 は定在波の腹の数である。
m0・λm0 = 2・L・ne0 …(11)
【0026】
レーザ発振波長は、定在波の腹の数が1つずつ増減するにつれて不連続で変化し、その波長間隔Δλ0 は実効屈折率の波長依存性を考慮して次式(12)で与えられる。
【0027】
【数3】
Figure 0004523131
【0028】
一方、1次モードの共振条件は次式(13)で与えられる。ここで、λm1は光の波長、Lは共振器長、ne1は1次モードの実効屈折率、m1 は定在波の腹の数である。
m1・λm1 = 2・L・ne1 …(13)
【0029】
1次モードの波長間隔Δλ1 は実効屈折率の波長依存性を考慮して次式(14)で与えられる。
【0030】
【数4】
Figure 0004523131
【0031】
半導体レーザの両端面等において基本モードから1次モードへのモード変換と1次モードから基本モードへのモード変換とが生じた場合、基本モードの共振条件(11)と1次モードの共振条件(13)の両方を満足する波長で最も損失が少なくなると考えられ、このときの波長間隔Δλ01は次式(15)で与えられ、これが波長分裂幅に相当する。
【0032】
【数5】
Figure 0004523131
【0033】
ここで、図4の半導体レーザ装置100の構成に適用する。基本モードおよび1次モードの実効屈折率はne0=3.509,ne1=3.478であり、AlGaAs系半導体における屈折率とAl組成xとの関係が既知であることから、基本モードの実効Al組成は0.048、1次モードの実効Al組成は0.10ととして求まる。さらに、これらの実効Al組成における屈折率の波長依存性(微分項)は、基本モードで−0.49(/μm)、1次モードで−0.45(/μm)として求まる。
【0034】
これらの数値およびL=2.2mm、λ=984.7nmを式(15)に代入すると、波長分裂幅Δλ01=3.1nmが求まり、図6の実験値である約3.2nmとほぼ一致することが判る。したがって、図6のような波長分裂が二重共鳴器効果に由来していることが判明した。
【0035】
以上の説明では、図4の半導体レーザ装置100のようにキャリアブロック層が存在する構成を例として示したが、高次モードの伝搬が可能な光導波路を持つ半導体レーザ全般において、上述のような発振スペクトルの波長分裂が生ずる可能性がある。
【0036】
そこで、真空中でのレーザ光の波長をλ、2つの光クラッド層の間の厚みをt、光導波層の屈折率をnw、2つの光クラッド層の中で屈折率の小さい方の屈折率をnc1、屈折率の大きい方の屈折率をnc2としたとき、光導波層およびクラッド層を含む光導波路が式(1)の条件を満たすことにより、活性層に存在する光強度を低減し端面での瞬時光学損傷を起こす光出力を高くすることを可能にした半導体レーザにおいて、基本導波モードの実効屈折率をne0、1次導波モードの実効屈折率の実部Re(ne1)としたとき、式(2)の関係を満たすことによって、基本導波モードは中央層内で伝搬可能となり、1次導波モードは屈折率nc2のクラッド層内へリークしてしまう。その結果、基本モードだけが低損失で伝搬でき、発振スペクトルの波長分裂を抑制できる。
【0037】
【数6】
Figure 0004523131
【0038】
式(1)の条件は、2つの光クラッド層間の厚みtが、λ/{2(nw −nc1 1/2 }以上の厚みであることを表している。前記厚みtがこの条件を満たす場合、基本導波モードが許容されるのみならず、波長λの光に対して2つの光クラッド層間に、基本導波モードよりも高次の高次導波モードが許容される余地を生ずる。たとえば図4の半導体レーザ装置100では、1次導波モードの実効屈折率ne1=3.478、屈折率の大きいクラッド層の屈折率nc2=3.42、基本モードの実効屈折率ne0=3.509であることから、式(2)を満たしていないため、1次導波モードの伝搬が許容されてしまう。
【0039】
したがって、式(1)(2)の条件を満たすことによって、活性層に存在する光強度を低減し高出力動作を可能にしながら、1次導波モードを抑制し基本導波モードだけのレーザ発振を安定して実現できる。さらに、基本導波モードの光強度は、図2に示したように、活性層515を越えて外側に広く分布して、活性層515に存在する光の強度がさらに低くなるため、光出射端面での瞬時光学損傷が起きる光出力を高くすることができ、その結果、さらなる高出力動作が可能となる。
【0040】
た、活性層と各光導波層との間に、該活性層および該光導波層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するキャリアブロック層がそれぞれ設けられる
【0041】
したがって、活性層と各光導波層との間に高い禁制帯幅を有するキャリアブロック層をそれぞれ設けることによって、活性層でのキャリア閉じ込めと光導波層での光閉じ込めとを独立して機能させることができるため、図3および図5を参照して説明したように、ピーク波長についての半導体レーザの温度特性が向上してより高出力の動作を実現できる。
【0043】
いくつかの用途においては、半導体レーザの発振モード形状は縦、横方向ともに単一ガウシアンプロファイルであることが望ましい。これは、単一モード化により、光密度をより高くでき、またファイバへのカップリングも容易になるからである。
【0044】
このため屈折率の異なる層をストライプの両側に形成するSAS(self-
aligned structure)構造、ストライプの両側を彫り込むリッジ構造、イオン打ち込みによる構成原子の層間拡散などにより、横方向にも実効的な屈折率差を形成して光閉じ込め構造を形成している。
【0045】
屈折率分布の設計において、一般には縦方向および横方向の各モード閉じ込めは互いに独立関係であると仮定しているが、実際には両者は互いに影響する。このため、縦方向のモード閉じ込めが高次モードを許容するように設計した場合、望ましくない波長分裂や横方向のモードの乱れが生じることがある。
【0046】
そこで、本発明により、縦方向の高次モード発生を抑制することによって、横方向のモードも安定化され、良好な縦横ガウシアンプロファイルが保持され、良好な電流−出力特性を得ることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態を示す断面図である。n型GaAsから成る基板511の上に、n型クラッド層512(AlGaAs,Al組成x=0.07,厚さt=2.86μm)、n型光導波層513(GaAs,t=0.49μm)、n型キャリアブロック層514(AlGaAs,x=0.40,t=0.03μm)、活性層515(In0.18Ga0.82As量子井戸層とGaAsバリア層)、p型キャリアブロック層516(AlGaAs,x=0.40,t=0.03μm)、p型光導波層517(GaAs,t=0.49μm)、p型クラッド層518(AlGaAs,x=0.20,厚さt=1.08μm)をMOVPE(有機金属気相成長法)などを用いて順次製膜し、さらにp型クラッド層518の上にp型キャップ層520(GaAs)を形成し、p型キャップ層520の内部に一対のn型電流阻止層519(GaAs)を埋め込んで電流注入部501(幅100μm)を形成している。
【0048】
共振器方向は紙面垂直方向で、共振器長は2.2mmであり、共振器端面はへき開の後、光出射端面は反射率2%の光学コーティング、他の端面は反射率96%の光学コーティングがそれぞれ施される。基板511の下面およびp型キャップ層520の上面には電流注入用の電極(不図示)がそれぞれ形成される。
【0049】
図2は、図1の半導体レーザ装置500における光導波路の屈折率分布、各モードの実効屈折率、モードプロファイルを示すグラフである。縦軸は屈折率で、横軸はn型クラッド層512とn型光導波層513との界面を原点とし、上方を正とした位置(μm)である。
【0050】
屈折率分布を見ると、n型クラッド層512の屈折率が約3.50、p型クラッド層518の屈折率が約3.42となり、図7と比べて、型クラッド層51の屈折率が特に大きくなって、非対称スラブ型光導波路を形成している。
【0051】
解析の結果、基本モードのプロファイルはキャリアブロック層514,516付近で僅かな凹みを有し、全体としてn型クラッド層512寄りにシフトした単峰性のカーブを示すことが判る。
【0052】
また、基本モードおよび1次モードの実効屈折率ne0,ne1はマックスウェル方程式の固有値で定義され、数値計算によって求められ、図1の半導体レーザ装置500ではne0=3.513,Re(ne1)=3.490となる。また、n型クラッド層512およびp型クラッド層518のうち小さい方の屈折率nc1=約3.42、大きい方の屈折率nc2=約3.50であることから、 式(2)を満足しているため、1次導波モードを含む高次モードの伝搬が抑制される。
【0053】
さらに式(1)に関して、レーザ波長λ=982nm、n型クラッド層512およびp型クラッド層518の間の厚みt=約1.158μm、n型光導波層513およびp型光導波層517の屈折率nw =3.538を代入すると、式(1)のカットオフ条件を満足していることが判る。
【0054】
図3は、図1の半導体レーザ装置500の発振スペクトルの温度変化を示すグラフである。縦軸はピーク波長(nm)で、横軸は温度(℃)である。グラフを見ると、ピーク波長が温度変化に対して直線的に変化しており、図5に示したような波長分裂が全く生じていないことが判る。
【0055】
また、ピーク波長の温度変化率は約0.34nm/℃を示し、これは活性層515の量子井戸層を構成するInGaAsのバンドギャップの温度変化率0.38nm/℃(Sadao Adachi,"Physical Properties of III-V Semiconductor
Compounds",p100-105,1992,Jhon Wiley & Sons,Inc.)にほぼ一致し、理論通りのレーザ動作を確認できた。
【0056】
図8は、本発明の実施の他の形態を示す断面図である。ここでは、レーザ光の横モードを制御するため、積層内に屈折率分布構造を形成した例を説明する。
【0057】
n型GaAsから成る基板611の上に、n型クラッド層612(AlGaAs,Al組成x=0.09)、n型光導波層613(GaAs,厚さt=0.48μm)、n型キャリアブロック層614(AlGaAs,x=0.40,t=0.03μm)、活性層615(In0.18Ga0.82As量子井戸層とGaAsバリア層)、p型キャリアブロック層616(AlGaAs,x=0.40,t=0.03μm)、p型光導波層617(GaAs,t=0.48μm)、p型クラッド層618(AlGaAs,x=0.32,t=1.08μm)をMOVPE(有機金属気相成長法)などを用いて順次製膜し、さらにp型クラッド層618の上にp型キャップ層620(GaAs)を形成した。また、屈折率閉じ込め構造を形成するため、p型光導波層617の内部に一対の低屈折率のn型電流阻止層619(AlGaAs,x=0.20)を埋め込んで電流注入部601を形成している。
【0058】
共振器方向は紙面垂直方向で、共振器長は1.8mmであり、共振器端面はへき開の後、光出射端面は反射率2%の光学コーティング、他の端面は反射率96%の光学コーティングがそれぞれ施される。基板611の下面およびp型キャップ層620の上面には電流注入用の電極(不図示)がそれぞれ形成される。
【0059】
図9は、図8の半導体レーザ装置600および比較例の発振特性を示すグラフである。縦軸は光出力(mW)で、横軸は注入電流(mA)である。測定条件は室温(25℃)で、CW(連続)動作である。グラフを見ると、実施例ではモードの乱れを示すキンクは約750mWで現われており、高い出力まで安定したモードで発振していることが判る。
【0060】
一方、比較例の構造は、n型GaAsから成る基板611の上に、n型クラッド層612(AlGaAs,Al組成x=0.17)、n型光導波層613(GaAs,厚さt=0.48μm)、n型キャリアブロック層614(AlGaAs,x=0.40,t=0.03μm)、活性層615(In0.18Ga0.8 2As量子井戸層とGaAsバリア層)、p型キャリアブロック層616(AlGaAs,x=0.40,t=0.03μm)、p型光導波層617(GaAs,t=0.48μm)、p型クラッド層618(AlGaAs,x=0.17)をMOVPE(有機金属気相成長法)などを用いて順次製膜し、さらにp型クラッド層618の上にp型キャップ層620(GaAs)を形成した。また、屈折率閉じ込め構造を形成するため、p型光導波層617の内部に一対の低屈折率のn型電流阻止層619(AlGaAs,x=0.20)を埋め込んで電流注入部601を形成している。
【0061】
グラフを見ると、比較例ではキンクが約400mWで現われてしまい、実施例より劣ることが判る。
【0062】
以上の説明では、キャリアブロック層514,516,614,616が存在する光導波構造について示したが、本発明はキャリアブロック層が存在しない光導波構造についても同様に適用可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上詳説したように本発明によれば、発振スペクトルの波長分裂を抑制しつつ、活性層に存在する光の強度が低減化して、光出射端面での瞬時光学損傷が起きる光出力を高くすることができ、その結果、高出力動作を実現できる。
【0064】
また、活性層と各光導波層との間に高い禁制帯幅を有するキャリアブロック層をそれぞれ設けることによって、活性層でのキャリア閉じ込めと光導波層での光閉じ込めとを独立して機能させることができるため、半導体レーザの温度特性が向上してより高出力の動作を実現できる。
【0065】
また本発明の手法を屈折率分布構造を有する半導体レーザに適用することによって、縦方向のモード安定性が横方向のモード安定性に寄与することになり、高い光出力までキンクなしのレーザ発振を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】図1の半導体レーザ装置500における光導波路の屈折率分布、各モードの実効屈折率、モードプロファイルを示すグラフである。
【図3】図1の半導体レーザ装置500の発振スペクトルの温度変化を示すグラフである。
【図4】半導体レーザ装置の典型的な構造を示す断面図である。
【図5】図4の半導体レーザ装置100の発振スペクトルの温度変化を示すグラフである。
【図6】図4の半導体レーザ装置100の発振スペクトルを示すグラフである。
【図7】図4の半導体レーザ装置100における光導波路の屈折率分布、各モードの実効屈折率、モードプロファイルを示すグラフである。
【図8】本発明の実施の他の形態を示す断面図である。
【図9】図8の半導体レーザ装置600および比較例の発振特性を示すグラフである。
【符号の説明】
500,600 半導体レーザ装置
501,601 電流注入部
511,611 基板
512,612 n型クラッド層
513,613 n型光導波層
514,614 n型キャリアブロック層
515,615 活性層
516,616 p型キャリアブロック層
517,617 p型光導波層
518,618 p型クラッド層
519,619 n型電流阻止層
520,620 p型キャップ層

Claims (2)

  1. 活性層の両面側に、該活性層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するn型およびp型の光導波層がそれぞれ設けられ、
    活性層および各光導波層を挟むように、該光導波層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するn型およびp型のクラッド層がそれぞれ設けられた高出力の半導体レーザ装置において、
    活性層と各光導波層との間に、該活性層および該光導波層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するキャリアブロック層がそれぞれ設けられ、
    n型およびp型のクラッド層の屈折率のうち小さい方の屈折率をnc1、大きい方の屈折率をnc2、基本導波モードにおける光導波路の実効屈折率をne0、1次導波モードにおける光導波路の実効屈折率の実部をRe(ne1)としたとき、次式(A)と次式(2)の条件を満たし、
    nc1 ≦ Re(ne1) …(A)
    Re(ne1) < nc2 ≦ ne0 …(2)
    n型およびp型のクラッド層の屈折率を非対称に設定することによって、積層方向に高次導波モードのレーザ発振の伝播を抑制することを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 真空中でのレーザ波長をλ、n型およびp型のクラッド層の間の厚みをt、n型およびp型の光導波層の屈折率をnw とし、n型およびp型のクラッド層の屈折率のうち小さい方の屈折率をnc1としたとき、光導波層およびクラッド層を含む光導波路が次式(1)の条件を満たすことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ装置。
    Figure 0004523131
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