JP4523106B2 - 無電解メッキ方法、インクジェットヘッドの製造方法および電極基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無電解メッキ方法、インクジェットヘッドの製造方法および電極基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、基板の表面に電極を形成する方法の一つとして、電極を形成したい部分に金属を析出させることで電極を形成するようにした無電解メッキ方法がある。この無電解メッキ方法は量産性に優れている。無電解メッキ方法により電極を形成した電極基板は、例えば、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドやサーマルプリンタのサーマルヘッド等に使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、無電解メッキ方法におけるメッキ膜の成長速度(以降、成膜速度とする)は、形成するメッキ膜のパターンの密度に左右され、パターンの密度が低い部分である程成膜速度が遅くなることが一般的に知られている。これは、パターンの集中している部分の方が、化学的な反応エネルギーの活性度が高くなって反応が容易に進行するためである。同一基板上においては、形成するメッキ膜のパターン同士の間隔が広い部分は、パターン同士の間隔が狭い部分よりも成膜速度が遅くなる。
【0004】
ここで、図7(a)は基板上に形成される配線パターンの一例を示す平面図であり、図7(b)は無電解メッキ方法により図7(a)に示すパターンでメッキ膜を形成した電極基板の各位置毎のメッキ膜の膜厚分布を図示したものである。各位置とは、図7(a)の配線パターンでの各メッキ膜の形成位置に対応している。図7(b)からは、電極基板30の端部側あるいは隣接するメッキ膜との間隔が広い部分に形成されるメッキ膜32の膜厚は、形成するパターンの密度が高い位置のメッキ膜31の膜厚より明らかに薄いことがわかる。
【0005】
このような電極基板30では、各電極のメッキ膜の膜厚の差異に応じて電気抵抗の差が生じる。このため、このような電極基板30を使用した種々の装置では、制御にばらつきが生じ、良好な制御を行うことができない。
【0006】
本発明は、必要な位置におけるメッキ膜の成膜速度を均一にすることができる無電解メッキ方法を得ることを目的とする。
【0007】
本発明は、電極として機能させるメッキ膜における成膜速度を均一にすることができるインクジェットヘッド製造方法を得ることを目的とする。
【0008】
本発明は、必要な電極におけるメッキ膜の膜厚が均一な電極基板を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の無電解メッキ方法は、基板表面に、同一間隔で配列された複数の第1の電極の両端に当該第1の電極の配列間隔と同一間隔で一対の擬似的な第2の電極を並列させた配線パターンを形成するための部分以外を覆うパターンレジスト膜を形成する工程と、前記パターンレジスト膜が形成された前記基板に対してセンシタイジング−アクチベーション法またはキャタライジング−アクセラレーティング法による前処理を施すことにより、前記基板表面に形成されている前記配線パターン中の前記第1の電極を形成するための部分に第1の触媒核を形成して前記第2の電極を形成するための部分に第2の触媒核を形成する触媒核形成工程と、前記触媒核形成工程を経た前記基板から前記パターンレジスト膜を剥離する工程と、前記パターンレジスト膜を剥離した前記基板をメッキ液に浸漬させ、前記第1の触媒核と前記第2の触媒核とにメッキ膜を成膜して前記第1の電極と前記第2の電極とを形成する成膜工程と、を備える。
【0010】
これによって、メッキ膜の形成に際しては第1の触媒核上での化学的な反応エネルギーの活性度をほぼ等しくすることが可能になる。
【0011】
請求項2記載の発明のインクジェットヘッドの製造方法は、板厚方向に分極された圧電部材を形成する基板形成工程および支柱により両側を仕切られて平行に延出する複数の溝を前記基板に形成する溝形成工程を経た前記基板表面に、同一間隔で配列された複数の第1の電極の両端に当該第1の電極の配列間隔と同一間隔で一対の擬似的な第2の電極を並列させた配線パターンを形成するための部分以外を覆うパターンレジスト膜を形成する工程と、前記パターンレジスト膜が形成された前記基板に対してセンシタイジング−アクチベーション法またはキャタライジング−アクセラレーティング法による前処理を施すことにより、前記基板表面に形成されている前記配線パターン中の前記第1の電極を形成するための部分に第1の触媒核を形成して前記第2の電極を形成するための部分に第2の触媒核を形成する触媒核形成工程と、前記触媒核形成工程を経た前記基板から前記パターンレジスト膜を剥離する工程と、前記パターンレジスト膜を剥離した前記基板をメッキ液に浸漬させ、前記第1の触媒核と前記第2の触媒核とにメッキ膜を成膜して前記第1の電極と前記第2の電極とを形成する成膜工程と、を備える。
【0012】
これによって、メッキ膜の形成に際しては第1の触媒核上での化学的な反応エネルギーの活性度をほぼ等しくすることが可能になる。
【0013】
請求項3記載の発明の電極基板は、請求項1記載の無電解メッキ方法により成膜されて、前記第1の触媒核上に形成される前記メッキ膜を電極として機能させる前記第1の電極とし、前記第2の触媒核上に形成される前記メッキ膜を電極として機能させない擬似的な前記第2の電極とする。
【0014】
したがって、この電極基板を、例えば、インクジェットプリンタヘッドに適用し、第1の電極のみに配線等を接続して正規の電極として使用することにより、各電極において電気抵抗を等しくできるので充電された電荷の充電または放電時間のばらつきを低減することが可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図6に基づいて説明する。本実施の形態は、無電解メッキ方法により形成した電極基板を使用したインクジェットプリンタへの適用例を示すものである。従来の技術として説明した部分と同一部分は同一符号で示し、一部説明を省略する。
【0016】
図1は、インクジェットプリンタの一部を示す斜視図である。金属により形成された底板としてのベース基板1には、表面に銅線等により形成された回路(図示せず)を有する駆動回路基板2と、圧電素子により形成される基板としてのヘッド基板3とが取り付けられている。本実施の形態では、ヘッド基板3が圧電部材とされており、その分極方向は板厚方向に沿っている。
【0017】
駆動回路基板2上には、複数のIC回路チップ4が設けられている。このIC回路チップ4に形成された回路(図示せず)は、駆動回路基板2に形成された回路にリード端子5により接続されている。また、駆動回路基板2に形成された回路には、図示しない制御部や電源に接続されたフレキシブルケーブル6が接続されている。このフレキシブルケーブル6を介して、駆動パルス電圧や印字信号等が駆動回路基板2に入力される。
【0018】
ヘッド基板3には、上側および前面側に向けて開口する複数の溝7が平行に形成されている。これらの溝7は、それぞれが支柱8により仕切られている。溝7の内面およびヘッド基板3の表面には、無電解メッキ方法の一つである無電解ニッケルメッキ法により形成された複数の電極9が設けられている。
【0019】
本実施の形態では、ヘッド基板3の表面に形成される電極9には、リード端子10を介して対応するIC回路チップ4へ接続されて使用される第1の電極としての正規の電極9aと、駆動回路基板2に接続されない第2の電極としての補助電極9bとが設けられている。正規の電極9aは、複数のブロックに分割されており、各ブロック毎に対応するIC回路チップ4へ接続されている(図6(a)参照)。
【0020】
溝7のヘッド基板3の前面側に向けて開口している前面開口部7aは、複数のインク吐出口16が形成されたノズル板17により閉塞されている。溝7のヘッド基板3の上側に向けて開口している上側開口部7bは、蓋部材19により閉塞されている。これにより、ヘッド基板3の溝7の開口部分7a、7bが閉塞されて溝7部分にインク室20が形成される。蓋部材19には、各インク室20にインクを供給するインク供給管21が接続されるインク供給路22が形成されている。
【0021】
このようなインクジェットヘッドでは、圧電素子により形成されるヘッド基板3自体が誘電体を形成している。印字に際しては、インク室20内にインクを供給した状態で所定の電極9へ電圧を印加する。電圧が印加された電極9に対応する支柱8は、インク室20の容積を大きくする方向へシェアモード変形する。この電極9に印加する電圧の極性を逆転させると、支柱8が急激に初期位置に復帰する。支柱8が初期位置に復帰した際に、インク室20内のインクが加圧されて、インク室20内のインクの一部がインク滴となってインク吐出口16から吐出する。
【0022】
インクジェットヘッドの各電極9へ駆動電圧を印加し、支柱8を変形させることによりインク室20に圧力を発生させ、インク吐出口16よりインク滴を吐出させる場合、インクジェットヘッドの各電極9への駆動電圧の印加時間は、支柱8における誘電体自体の静電容量と、駆動回路基板2に形成された回路の内部抵抗およびヘッド基板3での配線抵抗との和で決定される駆動源のインピーダンスとの積により取得される。支柱8における誘電体自体の静電容量が一定と仮定すると、印加時間は、駆動源のインピーダンスが低い場合には充電または放電時間が短くなり、駆動源のインピーダンスが高い場合には充電または放電時間が長くなる。この充電または放電時間はインクの吐出速度や吐出体積等に影響を及ぼす。したがって、前記メッキ膜の膜厚を均一にすることによりインクの吐出のばらつきをなくする効果を有するものである。
【0023】
ここで、図2ないし図5を参照して、電極9の製作工程について説明する。本実施の形態では、無電解メッキ方法の一つである無電解ニッケルメッキ法により電極9を製作している。無電解メッキ方法は、析出する金属の平衡電位と、溶液中の還元剤の酸化還元電位との差を駆動力としてメッキの形成反応が進行し、電気エネルギー等の外部からのエネルギーを必要としないメッキ方法である。なお、ここでは、インク室20(溝7)部分を省略してヘッド基板3の上面の電極9についてのみ示している。
【0024】
まず、無電解ニッケルメッキ法によるメッキ膜の形成を開始する前に、純水を用いた超音波洗浄を行ってヘッド基板3上の研削粉を落す。次いで、ヘッド基板3上の埃やゴミや有機物の除去、及び、親水化を図るための純水を用いた超音波洗浄を行う。さらに、エタノール等の有機溶剤を用いた超音波洗浄を行った後このエタノールを置換するために純水での十分な流水洗浄を行い、120℃で乾燥させる。
【0025】
このような洗浄,乾燥処理が終了した後、DFRラミネータを用いてヘッド基板の表面全体にドライフィルム11を貼り付ける(図2参照)。
【0026】
次に、所定のパターンを形成するためのパターニング処理を行う。ここで、図3はリード端子10が接続されて正規に使用される電極9aの配線パターンAの一部を示す斜視図、図4は本実施の形態のインクジェットプリンタに適用される正規の電極9aおよび補助電極9bの配線パターンBの一部を示す斜視図である。
【0027】
従来のパターニング処理では、ヘッド基板3の表面に貼り付けたドライフィルム11の上にレジスト用マスク(図示せず)を載せて露光、現像処理を行うことで、ヘッド基板3のメッキ膜を形成したい配線パターンAの部分以外を覆うパターンレジスト膜12を形成する(図3参照)。
【0028】
本実施の形態のパターニング処理では、ヘッド基板3の表面に貼り付けたドライフィルム11の上にレジスト用マスク(図示せず)を載せて露光、現像処理を行うことで、インクジェットプリンタにおいて電極9として使用される正規の電極9aが形成される配線パターンAで示される部分のヘッド基板3を露出させる正規電極部12aと、補助電極9bが形成される部分のヘッド基板3を露出させる補助電極部12bが形成されたパターンレジスト膜12を形成する(図4参照)。
【0029】
なお、補助電極9bとは、電極9の形成後にリード端子10を介して駆動回路基板2に形成された回路に接続されない擬似的な電極を意味する。この補助電極9bは、各正規電極部12aと正規電極部12aまたは補助電極部12bとの間のドライフィルム11の幅を、全ての正規電極部12aについて略同一とする位置に形成される。
【0030】
次に、無電解ニッケルメッキ法の前処理として、センシタイジング−アクチベーション処理を行う。センシタイジング処理は、所定の濃度のSnF2とHFとの混合溶液の中へパターンレジスト膜12を形成したヘッド基板3を所定時間撹拌しながら浸漬させることにより行う。この処理により、ヘッド基板3におけるパターンレジスト膜12に覆われていない部分に対してSnの吸着とエッチングとが行われる。
【0031】
本来、メッキで析出した金属はそれ自体のアンカー効果によって母体(ここではヘッド基板3)との密着性を保っているが、本実施の形態では、ヘッド基板3の表面をエッチングで所定の粗さにして表面積を広げることで、ヘッド基板3の表面においてもよりメッキ膜の密着性を強固にすることができる。
【0032】
センシタイジング処理が終了した後、アクチベーション処理を二段階に分けて行う。一段階目のアクチベーション処理は、センシタイジング処理が終了したヘッド基板3を所定濃度のAgNO3の溶液中に撹拌しながら所定時間浸漬させることにより行う。この処理により、センシタイジング処理で吸着されたSnとAgとの置換反応が起こり、ヘッド基板3にAgが吸着する。さらに、二段階目のアクチベーション処理は、一段階目のアクチベーション処理が終了したヘッド基板3を所定濃度のPdCl2とHClとの混合溶液中に撹拌しながら所定時間浸漬させることにより行う。この処理により、AgとPdとの置換反応が起こり、正規の電極9aの配線パターン部分および補助電極9bの配線パターン部分にニッケルメッキの触媒核となるPdが吸着する。
【0033】
以上のようにしてセンシタイジング−アクチベーション処理が終了した後、このヘッド基板3をNaOH溶液に浸漬させてパターンレジスト膜12を剥離すると、図5に示すように、ヘッド基板3の表面に、正規の電極9aおよび補助電極9bを形成する部分に無電解ニッケルメッキの触媒核となるPdが吸着した第1および第2の触媒核13a、13bが形成される。これによって、第2の触媒核13bにより第1の触媒核13aと第1または第2の触媒核13a、13bとの間の間隙は全ての第1の触媒核13aについて略同一とされる。また、本実施の形態では、第1の触媒核13aと第1または第2の触媒核13a、13bとの間の間隙とは、第1の触媒核13aと第1または第2の触媒核13a、13bとの間に位置して、第1あるいは第2の触媒核13a、13bのいずれも形成されず、ヘッド基板3が露出される部分を意味する。
【0034】
次に、上述した前処理が終了したヘッド基板3をメッキ液に浸漬させることによりPd上にNiのメッキ膜を成膜する。
【0035】
ここで、メッキ液は、金属塩として所定濃度のニッケル塩、錯化剤として所定濃度の酒石酸塩またはグリシン、還元剤として所定濃度のジメチルアミンボランを含む。さらに、pHを5.0〜7.0に調整するための水酸化ナトリウムを含む。
【0036】
このメッキ液は活性度が高いため、メッキ膜の析出速度は早くなる。また、Pdを吸着させることにより形成した第1および第2の触媒核13a、13bにおいては、第2の触媒核13bにより第1の触媒核13aと第1または第2の触媒核13a、13bとの間の間隙が全ての第1の触媒核13aについて略同一とされているため、Pdを触媒核としたメッキ膜の析出における化学的な反応エネルギーの活性度が第1の触媒核13a上でほぼ等しくなる。これによって、必要とする正規の電極9aの基礎となる第1の触媒核13aにおけるNiのメッキ膜の成膜速度をヘッド基板3全体で均一にすることができる。
【0037】
なお、Niのメッキ膜の形成に際して、メッキ膜となる金属の析出反応に伴って水素ガスが発生する。この水素ガスが反応表面に吸着していると析出反応を阻害してピンホールの原因となるため、本実施の形態では、メッキ液にヘッド基板3を浸漬させている際に、定期的にヘッド基板3に振動を与えて水素ガスの除去を行った。
【0038】
これによって、正規の電極9aとして使用されるメッキ膜の膜厚がヘッド基板3の全体に亘って均一に形成された電極基板3aを製作することができる(図6参照)。
【0039】
ここで、図6(a)は本実施の形態の電極基板3aの配線パターンBの一部を示す平面図であり、図6(b)は配線パターンBの電極基板3aを無電解ニッケルメッキ法により形成した場合の各位置毎のメッキ膜の膜厚分布を示す図である。各位置とは、図6(a)の配線パターンBで形成された電極基板3aの各電極9a、9bに対応している。図6(b)からも分かるように、補助電極9bとして形成したメッキ膜の膜厚は正規の電極9aよりも薄くなっているが、リード端子10が接続される正規の電極9aとして形成したメッキ膜の膜厚は、ヘッド基板3上でほぼ等しくなる。
【0040】
このような電極基板3aを使用したインクジェットヘッドでは、正規の電極9aにおけるメッキ膜の膜厚が等しいために駆動源のインピーダンスが均一となるので電荷の充放電時間が等しくなる。つまり、いずれのインク吐出口16からインクを吐出させる場合にも、インクの吐出速度や吐出体積を均一にすることができ、良好な印字を得ることができる。
【0041】
また、本実施の形態では、上述のように作成した電極基板3aをインクジェットプリンタのインクジェットヘッドに適用したが、これに限るものではなく、例えば、サーマルプリンタのサーマルヘッドに適用してもよい。
【0042】
なお、本実施例においては、無電解ニッケルメッキ法の前処理としてセンシタイジング−アクチベーション処理を行った場合を例に挙げて説明したが、このセンシタイジング−アクチベーション処理に代えてキャタライジング−アクセラレーティング処理を行ってもよい。
【0043】
また、本実施の形態では無電解メッキ方法の1つとして無電解ニッケルメッキ法について説明したが、これに限るものではなく、無電解メッキ方法全般に適用することが可能である。
【0044】
さらに、本実施の形態では上述した無電解メッキ方法により電極基板3aを形成したが、これに限るものではなく、無電解メッキ方法により形成したメッキ膜を必要とし、そのパターンが所定の方向へ断続的に連なるものであれば適宜適用することが可能である。
【0045】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の無電解メッキ方法によれば、メッキ膜の形成に際しては第1の触媒核上での化学的な反応エネルギーの活性度をほぼ等しくすることが可能になるので、必要な位置におけるメッキ膜の成膜速度を均一にすることができる無電解メッキ方法を得ることができる。
【0046】
請求項2記載の発明のインクジェットヘッド製造方法によれば、メッキ膜の形成に際しては第1の触媒核上での化学的な反応エネルギーの活性度をほぼ等しくすることが可能になるので、電極として機能させるメッキ膜における成膜速度を均一にすることができるインクジェットヘッド製造方法を得ることができる。
【0047】
請求項3記載の発明の電極基板によれば、請求項1記載の無電解メッキ方法により成膜された第1の電極および擬似的な第2の電極を有する電極基板を、例えば、インクジェットプリンタヘッドに適用し、第1の電極のみを正規の電極として使用することにより、必要な電極におけるメッキ膜の膜厚が均一な電極基板を得ることができ、各電極において、電荷の充電または放電時間を等しくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のインクジェットプリンタの一部を示す斜視図である。
【図2】表面全体にドライフィルムを貼り付けたヘッド基板の一部を示す斜視図である。
【図3】第1の触媒核を形成するためにパターンレジスト膜を形成した状態のヘッド基板の一部を示す斜視図である。
【図4】第1および第2の触媒核を形成するためにパターンレジスト膜を形成した状態のヘッド基板の一部を示す斜視図である。
【図5】正規の電極および補助電極を形成する部分に、無電解ニッケルメッキの触媒核となるPdが吸着されたヘッド基板の一部を示す斜視図である。
【図6】 (a)は本実施の形態の電極基板の配線パターンの一部を示す平面図であり、(b)はこの配線パターンの電極基板を無電解ニッケルメッキ法により形成した場合の各位置毎のメッキ膜の膜厚分布を示す図である。
【図7】 (a)は従来のインクジェットヘッドの電極パターンの一部を示す平面図であり、(b)はこのパターンでメッキ膜を形成した電極基板の各位置毎のメッキ膜の膜厚分布を図示したものである。
【符号の説明】
1 底板(ベース基板)
3 基板、圧電部材(ヘッド基板)
7 溝
8 支柱
9a 第1の電極(正規の電極)
9b 第2の電極(補助電極)
13a 第1の触媒核
13b 第2の触媒核
16 インク吐出口
17 ノズル板
19 蓋部材
20 インク室
Claims (3)
- 基板表面に、同一間隔で配列された複数の第1の電極の両端に当該第1の電極の配列間隔と同一間隔で一対の擬似的な第2の電極を並列させた配線パターンを形成するための部分以外を覆うパターンレジスト膜を形成する工程と、
前記パターンレジスト膜が形成された前記基板に対してセンシタイジング−アクチベーション法またはキャタライジング−アクセラレーティング法による前処理を施すことにより、前記基板表面に形成されている前記配線パターン中の前記第1の電極を形成するための部分に第1の触媒核を形成して前記第2の電極を形成するための部分に第2の触媒核を形成する触媒核形成工程と、
前記触媒核形成工程を経た前記基板から前記パターンレジスト膜を剥離する工程と、
前記パターンレジスト膜を剥離した前記基板をメッキ液に浸漬させ、前記第1の触媒核と前記第2の触媒核とにメッキ膜を成膜して前記第1の電極と前記第2の電極とを形成する成膜工程と、
を備えることを特徴とする無電解メッキ方法。 - 板厚方向に分極された圧電部材を形成する基板形成工程および支柱により両側を仕切られて平行に延出する複数の溝を前記基板に形成する溝形成工程を経た前記基板表面に、同一間隔で配列された複数の第1の電極の両端に当該第1の電極の配列間隔と同一間隔で一対の擬似的な第2の電極を並列させた配線パターンを形成するための部分以外を覆うパターンレジスト膜を形成する工程と、
前記パターンレジスト膜が形成された前記基板に対してセンシタイジング−アクチベーション法またはキャタライジング−アクセラレーティング法による前処理を施すことにより、前記基板表面に形成されている前記配線パターン中の前記第1の電極を形成するための部分に第1の触媒核を形成して前記第2の電極を形成するための部分に第2の触媒核を形成する触媒核形成工程と、
前記触媒核形成工程を経た前記基板から前記パターンレジスト膜を剥離する工程と、
前記パターンレジスト膜を剥離した前記基板をメッキ液に浸漬させ、前記第1の触媒核と前記第2の触媒核とにメッキ膜を成膜して前記第1の電極と前記第2の電極とを形成する成膜工程と、
を備えることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。 - 請求項1記載の無電解メッキ方法により成膜されて、前記第1の触媒核上に形成される前記メッキ膜を電極として機能させる前記第1の電極とし、前記第2の触媒核上に形成される前記メッキ膜を電極として機能させない擬似的な前記第2の電極とする電極基板。
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