JP4522382B2 - 電話機 - Google Patents

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Description

本発明は卓上載置状態でも壁掛け状態でも使用可能な電話機に関する。
卓上載置状態でも壁掛け状態でも使用可能な電話機については種々の提案がなされている。特許文献1、2にその例を見ることができる。また卓上型電話機の本体部の角度を調節可能にし、操作しやすい角度で使用できるようにするという提案も数多くなされている。特許文献3、4にその例を見ることができる。
特開平6−46114号公報([0005]−[0008]、図1、2) 特開平11−136330号公報([0014]−[0017]、図1−6) 特開2004−194090号公報([0007]、図1、2) 特開2003−87382号公報([0039]、図1−28)
従来の壁掛け型電話機では、操作性を向上させるため本体部の角度を調節可能にするといったことは考慮されていなかった。本発明はこの点に鑑みなされたもので、卓上載置状態でも壁掛け状態でも使用可能な電話機において、どちらの状態でも本体部の角度を調節することができ、それをコンパクトな角度調節装置で実現できるものを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために本発明の電話機は、卓上載置状態またはその底面を壁面に対面させた壁掛け状態での使用が可能な基台、ハンドセットを保持するクレイドル部と操作部とを有し、前記基台に垂直面内で傾動可能に連結された本体部、及び前記基台と本体部との相対角度を調節する角度調節装置を備え、前記本体部の筐体内にはこの筐体を支える垂直な支持板が設けられ、この支持板には前記基台に向かって凸をなす円弧溝が形成されるとともに、前記基台には前記筐体に形成されたスリットを通じて前記本体部に入り込む台座が設けられ、この台座には、前記支持板の円弧溝に係合して本体部を傾動可能に支える、互いに間隔を置いて配置された複数の支持軸と、前記円弧溝に沿って点在する複数の係合部のいずれかに係合して前記支持板と台座との相対移動を止めるラッチとが設けられていることを特徴としている。
この構成によると、基台を壁掛け状態にすれば本体部も壁掛け状態になり、しかもその状態で本体部の角度を調節して使いやすい角度にすることができる。そして角度調節装置が本体部を傾けるやり方は、本体部の筐体を支える支持板の一箇所に円の中心軸を設け、この中心軸まわりに支持板を回動させるのではなく、支持板に形成した円弧溝に複数の支持軸を通し、この支持軸を基台側の台座で支持して支持板を円運動可能に支持する方式であるから、支持板が円の中心を含む扇形である必要がない。従って支持板は、円の周縁近くを弦で切り取ったような、比較的幅の狭い形状のもので十分であり、角度調節装置をコンパクトな構造とすることができる。また台座は本体部の筐体に形成されたスリットを通じて本体部内に入り込むものであるから、筐体に大きな開口を設けずに済み、本体部の美観を保つことができる。
(2)また本発明は、上記構成の電話機において、前記支持板は複数のものが互いに間隔を置いて平行に配置され、それぞれの支持板に前記円弧溝が形成されており、前記支持軸は前記円弧溝の全てを串刺しにする形で配置されており、前記台座は、前記支持軸を、少なくともその両端近傍で支持することを特徴としている。
この構成によると、互いに間隔を置いて平行に配置された複数の支持板を支持軸が串刺しにし、その支持軸の両端近傍を台座が支持するものであるから、強度の高い角度調節装置を得ることができる。
(3)また本発明は、上記構成の電話機において、前記円弧溝の内側面に形成された切り欠きが前記係合部を構成し、前記切り欠きに係合する軸が前記ラッチを構成することを特徴としている。
この構成によると、係合部もラッチも構造が単純で製作容易である。
(4)また本発明は、上記構成の電話機において、前記ラッチは前記係合部に係合する方向に常時ばねで付勢されており、前記基台に設けられた操作レバーが前記ラッチに連結され、この操作レバーの操作で前記ラッチは前記係合部から外れることを特徴としている。
この構成によると、ラッチを係合部から外す操作を容易に行うことができる。
(5)また本発明は、上記構成の電話機において、前記支持板及び台座は金属製部品であることを特徴としている。
この構成によると、角度調節装置を長年の使用にも耐え得る堅牢なものとすることができる。
本発明によると、卓上載置状態で本体部の角度が調節可能であることはもちろん、壁掛け状態でも本体部の角度を調節可能な電話機を提供することができる。そして角度調節装置は、円弧溝を有する支持板と、その円弧溝に係合する複数の支持軸とを用いて、コンパクトな構造とすることができる。また台座は本体部の筐体に形成されたスリットを通じて本体部内に入り込むものであるから、本体部の美観が大きく損なわれることがない。
以下、本発明の一実施形態を図に基づき説明する。図1は正面側から見た電話機の斜視図、図2は図1からハンドセットを取り除いた状態の斜視図、図3は背面側から見た電話機の斜視図、図4は卓上載置状態の電話機の側面図、図5は卓上載置状態の電話機の側面図にして、図4と異なる角度状態のもの、図6は壁掛け状態の電話機の側面図、図7は壁掛け状態の電話機の側面図にして、図6と異なる角度状態のもの、図8は本体部及びハンドセットの正面図、図9は図8のA−A部断面図、図10は角度調節装置の斜視図、図11は角度調節装置の断面図、図12は図11と断面箇所を変えた角度調節装置の断面図である。
電話機1は基台10と本体部20を備える。基台10は平面形状円形で、その上に本体部20は、垂直面内で傾動可能に支持されている。基台10と本体部20を連結するのは後述する角度調節装置である。基台10は図1のように卓上載置状態で使用することも可能であり、また底面の壁掛け穴(図示せず)を利用して、図6のように底面を壁面に対面させた壁掛け状態で使用することも可能である。
本体部20の筐体21の正面は、全体の中で右側3分の2ほどが操作部22として構成され、左側3分の1ほどがクレイドル部23として構成される。操作部22には、テンキー、ジョグキー、各種ファンクションキーなどのキー群24と、液晶パネルによる表示部25が配置される。クレイドル部23には、通話回線を開閉するスイッチレバー26と、ハンドセット40を保持する隆起部27とが設けられている。ハンドセット40は図示しないカールコードで本体部20に接続される。
隆起部27によるハンドセット40の保持につき説明する。隆起部27は、正面から見ると上下方向に長い長円形をなしており、上端には長円形の長軸方向に突き出す突起28が形成されている。ハンドセット40の送話部41と受話部42(図9参照)の間には、隆起部27を受け入れる長円形の穴43が形成される。穴43の上端には突起28を受け入れる凹部44が形成されている。穴43に隆起部27を嵌合させ、凹部44に突起28を係合させることにより、ハンドセット40はがたつきの少ない状態でクレイドル部23に保持される。保持されたハンドセット40は、それを斜め上にずらすことによってしか隆起部27から外れない。従ってこの保持構造は地震などの振動にも強い。角度調節装置により本体部20の角度がどのように調節されたとしても、隆起部27と突起28の組み合わせでハンドセット40を保持することができる。
穴43は透明な合成樹脂製のパネル45(図9参照)で塞がれ、素通しではない。パネル45はハンドセット40の背面側(送話口や受話口のない側)の表面の一部を構成する。 隆起部27もその頂部は透明な合成樹脂製のパネル29(図9参照)で構成される。パネル29はLED30で照明される。LED30は本体部20の中に配置された電子回路基板31の表面に実装されている。LED30にはリフレクタ32が組み合わされ、LED30の放つ光がパネル29に集中するようになっている。
クレイドル部23には、隆起部27より上の箇所にスイッチレバー26が設けられている。スイッチレバー26の先端はクレイドル部23に形成された貫通孔33から突き出す。ハンドセット40を隆起部27に掛けると受話部42でスイッチレバー26が押し込まれ、
電話機1は回線開放状態となる。ハンドセット40を隆起部27から外すとスイッチレバー26が突出し、電話機1は回線閉成状態となる。
続いて、基台10と本体部20を連結する角度調節装置50の構造を図10−12に基づき説明する。角度調節装置50には基台10に固定される部分と本体部20に固定される部分とがある。基台10に固定される部分の中心となるのが金属製の台座51である。台座51は板金を断面コ字形に折曲したものであり、基台10にねじ止めされる中央部分51Cの両側に、互いに間隔を置いて平行に配置される1対の垂直部分51Vを設けた形になっている。垂直部分51Vは筐体21に形成したスリット34(図3参照)を通じて本体部20の内部に入り込む。
本体部20に入り込んだ1対の垂直部分51Vは、本体部20の内面に固定された金属製の傾動台52を挟む形になる。台座51と同様、傾動台52も板金を断面コ字形に折曲したものであり、筐体21にねじ止めされる中央部分52Cの両側に、互いに間隔を置いて平行に配置される1対の垂直な支持板52Vを設けた形になっている。なお筐体21の側面形状に合わせ、支持板52Vは円の周縁近くを弦で切り取った三日月形状に成形されている。
1対の支持板52Vには、それぞれ基台10に向かって凸をなす円弧溝53が形成される。1対の垂直部分51Vは、1対の円弧溝53を串刺しにする支持軸54、55を、各々軸の両端部で支持する。支持軸54、55は水平であり、且つ互いに間隔を置いて平行に配置されている。円弧溝53を支持軸54、55に対して滑らせると、傾動台52には円弧の中心まわりに回転しているのと同様の円運動が生じる。この円運動は、垂直面内における本体部20の傾き(tilt)となって表れる。
円弧溝53の一方の端に支持軸54が当たる角度と、円弧溝53の他方の端に支持軸55が当たる角度との間で、傾動台52と台座51とは相対移動可能である。その中間の数箇所の位置で相対移動を止める仕組みを角度調節装置50は備える。その仕組みは次の通りである。
まず、円弧溝53に沿って複数の係合部56を点在させる。係合部56は円弧溝53の上方の内側面に形成された切り欠きからなる。そして台座51に設けられたラッチ57をいずれかの係合部56に係合させて支持板52Vと台座51との相対移動を止める。
ラッチ57は、切り欠きに係合する軸58と、軸58の両端を支持軸54の両端に連結するリンク59により構成される。ラッチ57は、リンク59と垂直部分51Vとを連結する引張コイルばね60により、図11において常時時計回り方向に、すなわち軸58が係合部56に係合する方向に付勢されている。
ラッチ57を係合部56から外すのは操作レバー61である。操作レバー61は、本体部20の筐体21の外側で、軸62により垂直部分51Vに取り付けられている。軸58は傾動台52の外側にアーム63を支持しており、両側のアーム63をブリッジ部64が連結している。そしてブリッジ部64の上を操作レバー61が通る。操作レバー61を自由にしておくと筐体21に当たって音を立てるので、基台10には操作レバー61が筐体21に当たらないようにするストッパ65が設けられている。
基台10にはゴムや軟質合成樹脂のブロックからなる弾性部材66が金具67によって固定されている。弾性部材66は筐体21の外面に当たって本体部20に上向きの力を加え、円弧溝53の下方の内側面を支持軸54、55に当接させてがたつきを防止する働きをする。
図4は、電話機1を梱包箱から取り出し、そのまま卓上に置いた状態を示す。操作レバー61の端を指で押し下げると、操作レバー61からブリッジ部64、ブリッジ部64からアーム63を経てラッチ57に力が加わり、ラッチ57は現在の係合部56から抜け出す。この状態で本体部20の傾きを変え、所望の角度に近くなったところで操作レバー61から指を離す。そのまま本体部20の傾きを少し変えてやれば、ラッチ57は引張コイルばね60の力で最寄りの係合部56に係合する。これにより、本体部20はほぼ所望の角度に落ち着く。図5には本体部20の角度を図4よりも水平に近く調節した状態が描かれている。
電話機1を壁掛け状態で使用するときにも操作レバー61で本体部20の角度を変えることができる。図6ではハンドセット40がほぼ垂直をなしているが、図7の状態ではハンドセット40が斜めになっている。ハンドセット40の取りやすさや表示部25の見やすさを考慮して、適当な角度に固定すればよい。
本発明は卓上据え置きと壁掛けに兼用できるタイプの電話機に広く利用可能である。
正面側から見た電話機の斜視図 図1からハンドセットを取り除いた状態の斜視図 背面側から見た電話機の斜視図 卓上載置状態の電話機の側面図 卓上載置状態の電話機の側面図にして、図4と異なる角度状態のもの 壁掛け状態の電話機の側面図 壁掛け状態の電話機の側面図にして、図6と異なる角度状態のもの 本体部及びハンドセットの正面図 図8のA−A部断面図 角度調節装置の斜視図 角度調節装置の断面図 図11と断面箇所を変えた角度調節装置の断面図
符号の説明
1 電話機
10 基台
20 本体部
22 操作部
23 クレイドル部
27 隆起部
40 ハンドセット
43 穴
50 角度調節装置
51 台座
52 傾動台
52V 支持板
53 円弧溝
54、55 支持軸
56 係合部
57 ラッチ
60 引張コイルばね
61 操作レバー

Claims (5)

  1. 卓上載置状態またはその底面を壁面に対面させた壁掛け状態での使用が可能な基台、ハンドセットを保持するクレイドル部と操作部とを有し、前記基台に垂直面内で傾動可能に連結された本体部、及び前記基台と本体部との相対角度を調節する角度調節装置を備え、
    前記本体部の筐体内にはこの筐体を支える垂直な支持板が設けられ、この支持板には前記基台に向かって凸をなす円弧溝が形成されるとともに、
    前記基台には前記筐体に形成されたスリットを通じて前記本体部に入り込む台座が設けられ、この台座には、前記支持板の円弧溝に係合して本体部を傾動可能に支える、互いに間隔を置いて配置された複数の支持軸と、前記円弧溝に沿って点在する複数の係合部のいずれかに係合して前記支持板と台座との相対移動を止めるラッチとが設けられていることを特徴とする電話機。
  2. 前記支持板は複数のものが互いに間隔を置いて平行に配置され、それぞれの支持板に前記円弧溝が形成されており、
    前記支持軸は前記円弧溝の全てを串刺しにする形で配置されており、
    前記台座は、前記支持軸を、少なくともその両端近傍で支持することを特徴とする請求項1に記載の電話機。
  3. 前記円弧溝の内側面に形成された切り欠きが前記係合部を構成し、前記切り欠きに係合する軸が前記ラッチを構成することを特徴とする請求項1または2に記載の電話機。
  4. 前記ラッチは前記係合部に係合する方向に常時ばねで付勢されており、前記基台に設けられた操作レバーが前記ラッチに連結され、この操作レバーの操作で前記ラッチは前記係合部から外れることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電話機。
  5. 前記支持板及び台座は金属製部品であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電話機。
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