JP4522164B2 - 通信特性測定方法、測定装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

通信特性測定方法、測定装置及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、パケットを伝送する通信網に関する通信特性を測定する通信特性測定方法、該通信特性測定方法を適用した測定装置、及び該測定装置を実現するためのコンピュータプログラムに関し、特にVoIP、ストリーム配信等のリアルタイム系の通信の品質を測定する通信特性測定方法、測定装置及びコンピュータプログラムに関する。
近年、通信網を介して装置間で音声や映像のデータの送受信を行うVoIP(Voice Over Internet Protocol)やストリーム配信などのリアルタイム系のアプリケーションの利用が増えてきている。リアルタイム系のアプリケーションを利用する際には、アプリケーション上で受信した音声や映像のデータを再生する際の再生品質が通信網の状況により影響を受ける。そのためリアルタイム系のアプリケーションを新規に導入する場合や運用中に再生品質が劣化した場合などには、通信網の状況を把握する必要がある。
従来、インターネット等のパケット交換方式の通信網において、通信特性の測定をする場合、Pingと呼ばれる命令を用いて消失率及び通信時間を測定し、測定した消失率及び通信時間に基づいて通信特性を測定していた。リアルタイム系のアプリケーションの通信では、消失率及び通信時間だけでなく、ジッタと呼ばれる通信網の揺らぎの測定も重要となってきている。例えば特許文献1にもパケット遅延特性計測方法が開示されている。またVoIPに用いられる通信規約であるRTP(Realtime Transport Protocol) に規定されたパケットに対するジッタの測定方法として、RFC(Request For Comments)1889には、最近のパケットの到着間隔からジッタを推定することが規定されている。
通信網の再生品質への影響度を評価する場合においては、測定した消失率・通信時間・ジッタの値を、ネットワークの状態をシミュレートする装置に入力して実際のアプリケーション上で再生品質の評価などを行う。入力値としては、測定値の平均や最大など一定の固定値を用いて評価する場合と平均と偏差を用いて正規分布などで統計的に評価する場合がある。また、計測値の平均から再生品質の評価値(ITU−T G.107で定められたR値など)を算出したりすることもある。
特開2001−333092号公報
しかしながらPingを用いた従来の測定方式では、パケットの送信元の装置から送信先となる装置、即ちEnd−to−Endのネットワーク品質について測定したものであるため、複数台の中継装置にて構成される通信網の局所的な状態を計測することはできず、局所的な状態を計測するためには計測箇所を変えて複数回繰り返す必要があった。
また再生品質を評価する場合において、入力値として従来用いられている一定の固定値や統計手法を用いた評価方法では、実際の通信網で起きる偏ったジッタの現象等において、正確に評価できないことがある。さらに、従来のRFC1889に書かれているジッタ計測方法においては、最新の受信パケット群から推定したジッタを算出するために、ジッタの急激な増減が発生した場合にも平滑化された値が算出され、通信網の状況を適切に表すことができない。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、例えばストリーム配信等の所定の間隔で連続して送信されるパケットを取得して、その時刻を集計することで通信特性を測定することにより、実用的な通信特性の測定を行うことが可能な通信特性測定方法、該通信特性測定方法を適用した測定装置、及び該測定装置を実現するためのコンピュータプログラムの提供を目的とする。
また本発明では、通信状況を分布として集計することにより、揺らぎの状況を的確に表現することが可能な通信特性測定方法、測定装置及びコンピュータプログラムの提供を目的とする。
さらに本発明では、通信網上に設定される通信経路を構成する各通信装置の中から決定された時刻測定用通信装置を用いて区間毎の通信特性を測定することにより、計測箇所を変更して複数回の計測を行うことなく、局所的な輻輳状態をも測定することが可能な通信特性測定方法、測定装置及びコンピュータプログラムの提供を目的とする。
本願は、通信網に接続しパケットを送受信する通信装置、及び通信網に関する通信特性を測定する測定装置を用いた通信特性測定方法において、前記通信装置は、通信網に接続する他の装置へ、複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信し、前記測定装置は、通信網を伝送される複数のパケットを取得し、該パケットを取得した時刻を読み取り、取得したパケット毎に、読み取った時刻と、取得したパケットについての取得予定時刻との差分を算出し、算出した差分毎の出現頻度を出力し、前記取得予定時刻は、以前に取得したパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、前記差分の算出は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように取得予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正する通信特性測定方法を開示する。
本発明では、例えばストリーム配信等の所定の間隔で連続して送信されるパケットを取得して、その時刻を集計することで通信特性を測定することにより、実用的な通信特性の測定を行うことが可能である。特に所定の間隔で連続して送信されるパケットを取得する取得予定時刻を算出し、算出した取得予定時刻に対する実際の時刻の遅れを予実差として算出し、予実差の分布を集計した場合には、通信特性の揺らぎの状況を分布という集計結果により表現することができるで、実用的な通信特性の測定を実現することが可能である。さらにその場合、必要に応じて集計の基準を修正することにより、通信特性の実態を測定することが可能である。
本願は、通信網に接続しパケットを送受信する通信装置、及び通信網に関する通信特性を測定する測定装置を用いた通信特性測定方法において、前記測定装置は、前記通信装置へ複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信し、前記通信装置は、受信したパケットに対し、該パケットを受信した時刻を示す第1の時刻を含むパケットを、受信したパケットに対する返信となるパケットとして生成し、生成した返信となるパケットを前記測定装置へ送信し、該測定装置は、前記送信装置へ送信したパケットに対する返信となるパケットを受信した場合に、該返信となるパケットを受信した時刻を第2の時刻として読み取り、更に返信となるパケットに含まれる第1の時刻を読み取り、読み取った第1の時刻と、受信した返信となるパケットに対応する送信したパケットの前記通信装置での受信予定時刻との差分を上りの差分として算出し、読み取った第2の時刻と、受信した返信となるパケットの自装置での受信予定時刻との差分を下りの差分として算出し、算出した上りの差分及び下りの差分毎の出現頻度を出力し、前記夫々の受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、前記夫々の差分の算出は、算出した上りの差分又は下りの差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正する通信特性測定方法を開示する。
本発明では、通信時間に係るデータ、例えば予実差の分布を集計することにより、単に平均値、最大値及び最小値のみを算出するだけでは表現することが不可能な揺らぎの状況を的確に表現することが可能である。特に所定の通信装置までの上り方向についての揺らぎ、及び所定の通信装置からの下り方向についての揺らぎを、夫々到着予定時刻を算出した上で、その予定時刻に対する遅れとして夫々の予実差を算出し、集計した場合には、上り方向及び下り方向の夫々について、実用的な通信特性の測定を実現することが可能である。さらにその場合、必要に応じて集計の基準を修正することにより、通信特性の実態を測定することが可能である。
本願は、通信網に接続しパケットを送受信する通信装置、及び通信網に関する通信特性を測定する測定装置を用いた通信特性測定方法において、前記測定装置は、通信網上に設定される通信経路を構成する複数の通信装置を検出し、検出した複数の通信装置の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む複数の時刻測定用通信装置を決定し、通信網を介して複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信し、各時刻測定用通信装置にて夫々のパケットが受信された時刻を書き込まれた複数のパケットを受信し、受信した複数のパケットから、夫々の時刻測定用装置にて書き込まれた時刻を読み取り、読み取った時刻と、受信した夫々のパケットの時刻測定用通信装置での受信予定時刻との差分を算出し、算出した差分毎の出現頻度を出力し、前記受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、前記差分の算出は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記受信予定時刻の修正にあわせて修正する通信特性測定方法を開示する。
本発明では、時刻測定用通信装置にて区分される区間毎の通信特性を測定することにより、End−to−Endの通信特性ではなく、局所的な輻輳状態をも測定することが可能であり、従って輻輳状態を的確に把握し、輻輳状態を解消するための適切な対応に利用することが可能である。しかも輻輳状態が顕著である区間に対しては、更にその区間内に時刻測定用通信装置を再決定し、通信特性を測定するという処理を繰り返すことにより、通信経路の詳細な状況を測定することが可能である。
本願は、通信装置から送信されるパケットを伝送する通信網に関する通信特性を測定する測定装置において、前記通信装置から通信網に接続する他の装置へ、所定の時間間隔で連続して送信される複数のパケットを取得する手段と、該パケットを取得した時刻を読み取る手段と、取得したパケット毎に、読み取った時刻と、取得したパケットについての取得予定時刻との差分を算出する算出手段と、算出した差分毎の出現頻度を出力する出力手段とを備え、前記取得予定時刻は、以前に取得したパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、前記算出手段は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように取得予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてある測定装置を開示する。
本発明では、例えばストリーム配信等の所定の間隔で連続して送信されるパケットを取得して、その時刻を集計することで通信特性を測定することにより、実用的な通信特性の測定を行うことが可能である。特に所定の間隔で連続して送信されるパケットを取得する取得予定時刻を算出し、算出した取得予定時刻に対する実際の時刻の遅れを予実差として算出し、予実差の分布を集計した場合には、通信特性の揺らぎの状況を分布という集計結果により表現することができるで、実用的な通信特性の測定を実現することが可能である。さらにその場合、必要に応じて集計の基準を修正することにより、通信特性の実態を測定することが可能である。
本願は、パケットを送受信する通信装置が接続する通信網に関する通信特性を測定する測定装置において、前記通信装置へ複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信する送信手段と、前記通信装置から、送信した夫々のパケットに対する返信として、送信したパケットを前記通信装置が受信した時刻を示す第1の時刻が書き込まれた複数のパケットを受信する受信手段と、該受信手段にて返信となるパケットを受信した場合に、該返信となるパケットを受信した時刻を第2の時刻として読み取り、更に返信となるパケットに含まれる第1の時刻を読み取る手段と、読み取った第1の時刻と、受信した返信となるパケットに対応する送信したパケットの前記通信装置での受信予定時刻との差分を上りの差分として算出する第1の算出手段と、読み取った第2の時刻と、受信した返信となるパケットの自装置での受信予定時刻との差分を下りの差分として算出する第2の算出手段と、算出した上りの差分及び下りの差分毎の出現頻度を出力する出力手段とを備え、前記夫々の受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、前記第1の算出手段及び第2の算出手段は、算出した上りの差分又は下りの差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてある測定装置を開示する。
本発明では、通信時間に係るデータ、例えば予実差の分布を集計することにより、単に平均値、最大値及び最小値のみを算出するだけでは表現することが不可能な揺らぎの状況を的確に表現することが可能である。特に所定の通信装置までの上り方向についての揺らぎ、及び所定の通信装置からの下り方向についての揺らぎを、夫々到着予定時刻を算出した上で、その予定時刻に対する遅れとして夫々の予実差を算出し、集計した場合には、上り方向及び下り方向の夫々について、実用的な通信特性の測定を実現することが可能である。さらにその場合、必要に応じて集計の基準を修正することにより、通信特性の実態を測定することが可能である。
本願は、パケットを送受信する複数の通信装置が接続する通信網に関する通信特性を測定する測定装置において、通信網上に設定される通信経路を構成する複数の通信装置を検出する手段と、検出した複数の通信装置の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む所定数の時刻測定用通信装置を決定する手段と、通信網を介して複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信する手段と、各時刻測定用通信装置にて夫々のパケットが受信された時刻を書き込まれた複数のパケットを受信する手段と、受信した複数のパケットから、夫々の時刻測定用通信装置にて書き込まれた時刻を読み取る手段と、読み取った時刻と、受信した夫々のパケットの時刻測定用通信装置での受信予定時刻との差分を算出する算出手段と、算出した差分毎の出現頻度を出力する出力手段とを備え、前記受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、前記算出手段は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記受信予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてある測定装置を開示する。
本発明では、時刻測定用通信装置にて区分される区間毎の通信特性を測定することにより、End−to−Endの通信特性ではなく、局所的な輻輳状態をも測定することが可能であり、従って輻輳状態を的確に把握し、輻輳状態を解消するための適切な対応に利用することが可能である。しかも輻輳状態が顕著である区間に対しては、更にその区間内に時刻測定用通信装置を再決定し、通信特性を測定するという処理を繰り返すことにより、通信経路の詳細な状況を測定することが可能である。
本願は、通信装置から送信されるパケットを伝送する通信網に接続するコンピュータに、通信網に関する通信特性を測定させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記通信装置から通信網に接続する他の装置へ、所定の時間間隔で連続して送信される複数のパケットを取得した場合に、取得したパケット毎に、該パケットを取得した時刻を読み取らせる手順と、コンピュータに、取得したパケット毎に、読み取った時刻と、取得したパケットについての取得予定時刻との差分を算出させる算出手順と、コンピュータに、算出した差分毎の出現頻度を出力させる手順とを実行させるものであり、前記取得予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、前記算出手順は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように取得予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてあるコンピュータプログラムを開示する。
本発明では、通信網に接続するコンピュータにて実行することにより、コンピュータが測定装置として動作し、例えばストリーム配信等の、所定の間隔で連続して送信されるパケットを取得して、その時刻を集計することで通信特性を測定することにより、実用的な通信特性の測定を行うことが可能である。特に所定の間隔で連続して送信されるパケットを取得する取得予定時刻を算出し、算出した取得予定時刻に対する実際の時刻の遅れを予実差として算出し、予実差の分布を集計した場合には、通信特性の揺らぎの状況を分布という集計結果により表現することができるで、実用的な通信特性の測定を実現することが可能である。さらにその場合、必要に応じて集計の基準を修正することにより、通信特性の実態を測定することが可能である。
本願は、パケットを送受信する通信装置と通信網を介して接続するコンピュータに、通信網に関する通信特性を測定させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記通信装置へ複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信させる手順と、コンピュータに、前記通信装置から、送信した夫々のパケットに対する返信として、送信したパケットを前記受信装置が受信した時刻を示す第1の時刻が書き込まれた複数のパケットを受信した場合に、返信となるパケットを受信した時刻を第2の時刻として読み取らせ、更に、返信となるパケットに含まれる第1の時刻を読み取らせる手順と、コンピュータに、読み取った第1の時刻と、受信した返信となるパケットに対応する送信したパケットの前記通信装置での受信予定時刻との差分を上りの差分として算出させる第1の算出手順と、コンピュータに、読み取った第2の時刻と、受信した返信となるパケットの自装置での受信予定時刻との差分を下りの差分として算出させる第2の算出手順と、コンピュータに、算出した上りの差分及び下りの差分毎の出現頻度を出力させる手順とを実行させるものであり、前記夫々の受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、前記第1の算出手順及び第2の算出手順は、算出した上りの差分又は下りの差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてあるコンピュータプログラムを開示する。
本発明では、通信網に接続するコンピュータにて実行することにより、コンピュータが測定装置として動作し、通信時間に係るデータ、例えば予実差の分布を集計することにより、単に平均値、最大値及び最小値のみを算出するだけでは表現することが不可能な揺らぎの状況を的確に表現することが可能である。特に所定の通信装置までの上り方向についての揺らぎ、及び所定の通信装置からの下り方向についての揺らぎを、夫々到着予定時刻を算出した上で、その予定時刻に対する遅れとして夫々の予実差を算出し、集計した場合には、上り方向及び下り方向の夫々について、実用的な通信特性の測定を実現することが可能である。さらにその場合、必要に応じて集計の基準を修正することにより、通信特性の実態を測定することが可能である。
本願は、パケットを送受信する複数の通信装置が接続する通信網に接続するコンピュータに、通信網に関する通信特性を測定させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、通信網上に設定される通信経路を構成する複数の通信装置を検出し、検出した複数の通信装置の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む複数の時刻測定用通信装置を決定させる手順と、コンピュータに、通信網を介して複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信させる手順と、コンピュータに、各時刻測定用通信装置にて夫々のパケットが受信された時刻を書き込まれた複数のパケットを受信した場合に、受信した複数のパケットから、夫々の時刻測定用通信装置にて書き込まれた時刻を読み取らせる手順と、コンピュータに、読み取った時刻と、受信した夫々のパケットの時刻測定用装置での受信予定時刻との差分を算出させる算出手順と、コンピュータに、算出した差分毎の出現頻度を出力させる手順とを実行させるものであり、前記受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、前記算出手順は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記受信予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてあるコンピュータプログラムを開示する。
本発明では、通信網に接続するコンピュータにて実行することにより、コンピュータが測定装置として動作し、時刻測定用通信装置にて区分される区間毎の通信特性を測定することにより、End−to−Endの通信特性ではなく、局所的な輻輳状態をも測定することが可能であり、従って輻輳状態を的確に把握し、輻輳状態を解消するための適切な対応に利用することが可能である。しかも輻輳状態が顕著である区間に対しては、更にその区間内に時刻測定用通信装置を再決定し、通信特性を測定するという処理を繰り返すことにより、通信経路の詳細な状況を測定することが可能である。
本発明に係る通信特性測定方法、測定装置及びコンピュータプログラムでは、インターネット等の通信網に接続するサーバコンピュータ等の通信装置からストリームデータとして所定の間隔で連続して送信される複数のパケットを測定装置にて取得し、測定装置では、取得したパケットの時刻を読み取り、読み取った時刻に基づく集計処理を行う。
この構成により、実際に利用されているパケットを用いて通信網の通信特性である揺らぎを測定することができるので、実用的な通信特性の測定を行うことが可能である等、優れた効果を奏する。
また測定装置では、パケットに示されているデータから送信される時間間隔を基準時間間隔として求め、取得した一のパケットから読み取った時刻から基準時刻を求め、基準時刻及び基準時間間隔から、以降に取得するパケットの取得予定時刻を算出し、算出した取得予定時刻に対する実際の時刻の遅れを予実差として算出し、算出した予実差の分布を集計するというように展開することも可能であり、その場合には、通信特性の揺らぎの状況を分布という集計結果により表現することができるで、実用的な通信特性の測定を実現することが可能である等、優れた効果を奏する。さらにその場合、必要に応じて集計の基準を修正することにより、通信特性の実態を測定することが可能である等、優れた効果を奏する。
また本発明に係る通信特性測定方法、測定装置及びコンピュータプログラムでは、測定装置から通信装置へPing等の命令を応用して複数のパケットを送信し、パケットを受信した通信装置では、パケットに時刻を書き込んだ上で、測定装置へ返信する。そして測定装置では、返信されたパケットを受信し、受信したパケットの自機又は通信装置での送受信に関する時刻に基づき通信時間の予実差等のデータの分布の集計処理を行う。
この構成により、単に平均値、最大値及び最小値のみを算出するだけでは表現することが不可能な揺らぎの状況を、多数のパケットから集計された分布状況として的確に表現することが可能であり、このため例えば通信網を管理する管理者は通信状況を的確に把握し、その状況に応じた対策を立案することが可能となる等、優れた効果を奏する。
また予実差の分布の集計に際しては、複数のパケットを所定の送信間隔で連続して送信し、通信装置がパケットに書き込んだ時刻を読み取り、読み取った時刻及び送信間隔に基づいて、通信装置が以降に受信するパケットの予定時刻を算出し、算出した予定時刻に対する実際の時刻の遅れを予実差として算出し、算出した予実差の分布を集計するというように展開することも可能であり、その場合には、測定装置から通信装置までの所謂上り方向についての通信特性の揺らぎ状況を分布という集計結果により表現することができるで、実用的な通信特性の測定を実現することが可能である等、優れた効果を奏する。さらにその場合、必要に応じて集計の基準を修正することにより、通信特性の実態を測定することが可能である等、優れた効果を奏する。
さらに予実差の分布の集計に際しては、通信装置がパケットに書き込んだ時刻を示す第1時刻、及び通信装置が返信として送信したパケットを測定装置が受信した時刻を示す第2時刻を読み取り、一のパケットについての第1時刻を上り方向の基準時刻として設定し、一のパケットについての第2時刻を下り方向の基準時刻として設定し、一のパケット以降に受信する他のパケットの第1時刻、上り方向の基準時刻及び下り方向の基準時刻に基づいて算出した他のパケットの第2時刻の受信予定時刻に対する実際の第2時刻の遅れを予実差として、その分布を集計するというように展開することも可能であり、その場合には、通信装置から測定装置までの所謂下り方向についての通信特性の揺らぎ状況を分布という集計結果により表現することができるで、実用的な通信特性の測定を実現することが可能である等、優れた効果を奏する。さらにその場合、必要に応じて集計の基準を修正することにより、通信特性の実態を測定することが可能である等、優れた効果を奏する。
また本発明に係る通信特性測定方法、測定装置及びコンピュータプログラムでは、通信網上に設定される通信経路を構成する複数の通信装置を、例えばTraceRoute等の命令を用いて検出し、検出した複数の通信装置の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む所定数の時刻測定用通信装置を決定した上で、通信網を介して複数のパケットを送信する。そして各時刻測定用通信装置にて夫々時刻を書き込まれた複数のパケットから、夫々の時刻測定用通信装置にて書き込まれた時刻を読み取り、読み取った時刻に基づく集計処理を行う。
この構成により、時刻測定用通信装置にて区分される区間毎の通信特性を測定することができるので、End−to−Endの通信特性ではなく、局所的な輻輳状態をも測定することが可能であり、従って輻輳状態を的確に把握し、輻輳状態を解消するための適切な対応に利用することが可能である等、優れた効果を奏する。しかも輻輳状態が顕著である区間に対しては、更にその区間内に時刻測定用通信装置を再決定し、通信特性を測定するという処理を繰り返すことにより、通信経路の詳細な状況を測定することが可能である等、優れた効果を奏する。
さらに本発明に係る測定装置等では、読み取った時刻に基づき算出される通信時間の揺らぎの分布を集計し通信網全体の消失率を求めるシミュレーション、具体的には、通信網の仕様により決定されるパケットの第1消失率を求め、通信時間の揺らぎの分布に基づいて揺らぎを原因とするパケットの第2消失率を算出し、第1消失率及び第2消失率に基づいて通信網の消失率を求めるシミュレーションに応用することが可能であり、通信網としての実用的な消失率を求めることが可能である等、優れた効果を奏する。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる装置の配置を概念的に示す説明図である。図1中10は、通信用のコンピュータを用いた本発明の測定装置であり、測定装置10は、インターネット等の通信網100の通信特性を計測することで、通信品質の評価を行う。通信網100には、動画及び音声等のストリームデータを配信するサーバコンピュータを用いた通信装置20、及び通信装置20から送信されるストリームデータを受信する受信装置30が接続されている。測定装置10及び受信装置30は、スイッチングハブを用いた接続装置40を介して通信網100に接続しており、接続装置40は、通信装置20から受信装置30へストリームデータとして所定の間隔で連続して送信されるパケットを、ミラーリング機能により、受信装置30だけでなく測定装置10へも送信するので、測定装置10は、通信装置20から受信装置30へ送信されるパケットを取得することが可能となる。通信網100は、インターネットルータ等の複数の中継装置50,50,…を備えており、不特定の中継装置50,50,…にて構成される通信経路を経て、通信装置20から受信装置30へパケットが送信される。なお測定装置10及び受信装置30を1台の装置とすること、即ち受信装置30を測定装置10として用いることも可能であり、その場合、パケットのミラーリングを行う接続装置40は不要となる。
図2は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる装置の構成を示すブロック図である。測定装置10は、装置全体を制御するCPU等の制御手段11、本発明の実施の形態1における測定装置用のコンピュータプログラム201及びデータ等の各種情報を記録したCD−ROM等の記録媒体301から各種情報を読み取るCD−ROMドライブ等の補助記憶手段12、補助記憶手段12により読み取った各種情報を記録するハードディスク等の記録手段13を備えている。そして記録手段13から本発明のコンピュータプログラム201及びデータ等の各種情報を読み取り、情報を一時的に記憶するRAM等の記憶手段14に記憶させてコンピュータプログラム201に含まれる各種手順を制御手段11により実行することで、コンピュータは、本発明の測定装置10として動作する。さらに測定装置10は、接続装置40にてミラーリングされて送信されるパケットを取得する通信手段15、時刻を示す時計手段16、マウス、キーボード等の入力手段17、及びモニタ、プリンタ等の出力手段18を備えている。
通信装置20は、制御手段21、記録手段22、記憶手段23、通信手段24及び時計手段25を備えている。受信装置30は、制御手段31、記録手段32、記憶手段33、通信手段34、時計手段35、入力手段36及び出力手段37を備えている。
次に本発明の実施の形態1における通信特性測定方法の内容について説明する。図3は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法を概念的に示すタイムチャートである。図3は、通信装置20から所定の間隔で連続して送信されるパケットが、測定装置10にて取得され、また受信装置30にて受信される状況を時系列的に示している。図3中上方の実線が通信装置20の処理を示しており、通信装置20は、時刻X0 ,X1 ,X2 ,X3 ,X4 ,X5 …のタイミングでパケットを送信する。また時刻X0 ,X1 ,X2 ,X3 ,X4 ,X5 …の間の夫々の時間間隔は、所定の間隔として設定されている時間Tf である。そして時刻X0 ,X1 ,X2 ,X3 ,X4 ,X5 …のタイミングで送信されるパケットを図3中の右斜め下へ向かう矢印にて示している。
図3中下方の点線が測定装置10の処理を示しており、実線が受信装置30の処理を示している。図3中Y0 は、測定装置10がパケットを取得した時刻であり、Y1 ,Y2 ,Y3 ,Y4 ,Y5 …は、測定装置10がパケットを取得すると予定した時刻であり、Y3'は、測定装置10が実際にパケットを取得した時刻である。即ち通信装置20から時刻X3 に送信されたパケットは、点線で示された矢印の様に測定装置10にて時刻Y3 にて取得されると予測していたにも関わらず、通信網100での輻輳等の異常を原因として転送時間が通常より増加したことから実際に測定装置10が取得した時刻は、Y3 よりも遅いY3'であったことになる。ここでY3 とY3'との差をΔY3 として表すものとする。なお通信装置20から送信されたパケットを受信装置30が受信する時刻と、接続装置40にてミラーリングされたパケットを測定装置10が取得する時刻との差は、無視することができる程、小さいと考えられるので、測定装置10がパケットを取得した時刻を、受信装置30がパケットを受信した時刻の代替時刻として用いる。
通信装置20から受信装置30へ送信されるパケットには、RTP等の実時間で音声及び動画を送受信するための通信規約にて規定されたパケットが用いられる。図4は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられるパケットのヘッダのフォーマットを示す説明図である。図4は、RTPにて規定されたパケットのヘッダを示している。RTPの場合、このヘッダ情報は、IPパケットのデータ部に含まれており、RTPにて規定されたパケットに関する様々な情報が書き込まれている。以下にヘッダに書き込まれている情報の意味について説明する。V(Version) は、RTPのバージョンを示している。P(padding) は、パケット長を調整するためのパディングデータの有無を示している。X(Extension) は、拡張ヘッダの有無を示している。CC(Contributing Source Identifier Count)は、ストリーム源を示すCSRCの数を示している。M(Marker)は、パケットの用途に応じて様々な使い方が有り、例えばデータが映像である場合には、画像フレームの境界を示す。PT(Payload Type)は、アプリケーションデータの符号化方式(CODEC)であるペイロードタイプを示している。sequence numberは、シーケンス番号を示し、パケットの順序を示す自然数である。timestampは、タイムスタンプを示し、時刻が書き込まれる。synchronization source(SSRC)identifierは、SSRC識別子を示し、送信元の識別に用いられ、同一送信者からの音声及び映像を受信者側で組み合わせる場合に用いられる。contributing source(CSRC)identifiersは、CSRC識別子を示し、ストリーム源となるホストコンピュータの識別に用いられる。
パケットの形式や内容は、RTP以外であっても良く、他の形式や内容の場合でも、通信特性の測定に必要な内容をパケット中の所定の位置から取得するようにすれば良い。
本発明の実施の形態1における通信特性測定方法では、測定装置10が、通信特性の測定を開始してから最初にパケットを取得した時刻Y0 を基準時刻として設定し、パケットが送信される間隔Tf を求める。ただし測定装置10にて求める間隔Tf は、あくまでも推定値であるため、実際の送信間隔Tf に対し、測定装置10にて求めた間隔をTf'として標記する。
ここで測定装置10にて間隔Tf'を求める方法を説明する。RTPにて規定されたパケットについては、図4に示すパケットのヘッダに書き込まれたペイロードタイプ及びパケットサイズから求めることができる。例えばペイロードタイプが音声データのファイル形式であるULAWであり、パケットサイズがkバイトである場合、ULAWでは、1msあたり8バイトと規定されているので、間隔Tf'は、k/8msとなる。
また間隔Tf'を求める他の方法としては、図4に示すパケットのヘッダに書き込まれたペイロードタイプ、タイムスタンプ及びシーケンス番号から求めることができる。例えばペイロードタイプがULAWであるパケットのタイムスタンプの値は、1000msで8000増加するので、シーケンス番号が連続するパケット間のタイムスタンプの増加がkである場合、間隔Tf'は、k/8msとなる。
そして測定装置10が取得するi番目のパケットの取得予定時刻Yi は、下記の式1にて算出される。
Yi =Y0 +i×Tf' ……式1
但し、Yi :i番目のパケットの取得予定時刻
Y0 :基準時刻
Tf':送信間隔(の推定値)
i :自然数
さらにパケットの取得予定時刻に対する実際に取得した時刻の遅れを示す予実差ΔYi は下記の式2にて算出される。
ΔYi =Yi'−Yi =Yi'−(Y0 +i×Tf') ……式2
但し、ΔYi':i番目のパケットについての予実差
Yi':i番目のパケットを実際に取得した時刻
次に本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる各種装置の処理について説明する。図5は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10及び通信装置20の基準パケット送受信処理を示すフローチャートである。通信装置20では、制御手段21の制御により、RTP等の通信規約にて規定された0番目のパケットを生成し(S101)、生成したパケットに、時計手段25が示す送信時刻X0 をタイムスタンプとして書き込み(S102)、送信時刻X0 を書き込んだパケットを通信手段24から通信網100に接続する他の装置へ送信する(S103)。ステップS103にて送信先となる他の装置とは、受信装置30を示すが、接続装置40のミラーリングにより、測定装置10へも送信される。0番目のパケットは、測定装置10において、基準パケットとして取り扱われる。
測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム201を実行する制御手段11の制御により、通信手段15にて0番目のパケットを取得し(S104)、パケットを取得した時刻Y0 を、時計手段16から読み取り(S105)、読み取った時刻Y0 を基準時刻として設定し(S106)、更にパケットが送信される時間間隔を基準時間間隔Tf'として求める(S107)。なお基準時間間隔Tf'の求め方は、前述した様に、パケットのヘッダに示されている各種情報により求められ、基準パケットのみにて求める方法、基準パケット及び1番目のパケットにて求める方法等の様々な方法がある。そして測定装置10では、制御手段11の制御により、基準時刻Y0 及び基準時間間隔Tf'を用いた前記式1により、基準パケット以降に取得するi番目のパケットの取得予定時刻Yi を算出する(S108)。
図6は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10及び通信装置20の集計処理を示すフローチャートである。通信装置20では、制御手段21の制御により、基準パケットを送信後、パケットの生成(S201)、送信時刻Xi の書き込み(S202)、及び送信(S203)を所定の送信間隔Tf で連続して行う。
測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム201を実行する制御手段11の制御により、i番目のパケットを取得し(S204)、パケットを取得した実際の時刻Yi'を、時計手段16から読み取り(S205)、前記式2を用いて、取得予定時刻Yi に対する時刻Yi'の遅れを予実差ΔYi として算出し(S206)、算出した予実差ΔYi を記録手段13に記録し(S207)、通信網100の通信特性の測定結果として、記録手段13に記録した予実差ΔYi の分布を集計する(S208)。
図7は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10の集計処理の結果を示す図表である。図7は、図6のフローチャートを用いて説明した集計処理におけるステップS208の処理により集計された予実差ΔYi の分布を示しており、予実差ΔYi が2ms毎に分級され、夫々の階級におけるパケットの個数が示されている。図7では、予実差ΔYi が0〜2msの場合が最も多く100個のパケットが取得されており、予実差ΔYi が2〜4msであるパケットが10個、予実差ΔYi が4〜6msであるパケットが5個取得されていることが読み取れる。このように予実差ΔYi の分布として通信状況を集計することにより、実用的な通信特性の測定を実現することが可能である。
なお基準パケットの転送時に、通信網100に輻輳が発生し、通信時間が揺らぐ可能性もあるので、基準パケットの転送時に、本来の通信時間に対する遅延が発生していることが後に判明した場合には、遅延の状況に応じて各種計算結果及び集計結果を修正する必要が生じる。
図8は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法の基準パケットの揺らぎを概念的に示すタイムチャートである。図8では、通信装置20から0番目のパケットである基準パケット及び1番目のパケットが送信され、測定装置10にて取得され、また受信装置30にて受信される状況を時系列的に示している。図8中上方の実線が通信装置20の処理を示しており、図8中下方の点線が測定装置10の処理を示し、実線が受信装置30の処理を示している。そして通信装置20は、時刻X0 ,X1 のタイミングでパケットを送信している。なお時刻X0 から送信されるパケットを図8中の右斜め下へ向かう矢印にて示しており、点線が揺らぎの無い状態で転送されたパケットを示し、実線が揺らぎの有る状態で実際に転送されたパケットを示している。
基準パケットの転送時に揺らぎが発生した場合、基準パケットの取得時刻は、本来、時刻Y0 であるべき所を、揺らぎによる遅延のため時刻Y0'となる。このため測定装置10では、Y0'が基準時刻として設定されるため、時刻X1 から送信される1番目のパケットの取得予定時刻は、Y0'からTf'後の時刻Y1 になると予測される。即ち図8中X1 から右斜め下へ向かう点線にて示した矢印の様に転送されると予測される。ところが1番目のパケットの転送時に通信網100が安定し、揺らぎの無い状態で転送された場合には、図8中X1 から右斜め下へ向かう実線にて示した矢印の様に転送されるので、測定装置10が1番目のパケットを取得する時刻は、時刻Y1 より前の時刻Y1'となる。この場合、取得予定時刻Y1 に対する実際の時刻Y1'の遅れを示す予実差ΔY1 は負の値を取ることになる。即ち予実差ΔY1 <0である場合、基準時刻Y0 は本来の時刻より遅延が生じた状態であり、基準時刻Y0'を修正する必要があることが判明する。
図8からも明らかな様に、通信網100の揺らぎの影響により誤差が生じた基準時刻Y0'と本来の基準時刻Y0 との差は、ΔY1 であるので、基準時刻Y0'にΔY1 を加算することにより、本来の基準時刻Y0 が求められる。なおΔY1 は負の値を示しているので加算として表現しているが、ΔYi を用いた下記の式3として捉えることもできる。
Y0 =Y0'−|ΔYi | ……式3
(ΔYi <0)
但し、Y0':誤差を含む基準時刻
また輻輳等の要因により通信網100の転送時間に遅延が生じている状態は、一瞬で安定した状態に戻るのではなく、ある程度の時間継続することが一般的である。従ってパケットの取得時刻Yi に継続して遅延が生じた場合には、基準時刻Y0'が誤差を含んでいることを1番目のパケットにて検出することができず、誤差を含んだ予実差ΔYi'を記録していくことになる。そこで予実差ΔYi が負の値を取った場合で、i≧2であるときには、それまでに集計した予実差ΔYi'から予実差ΔYiを減算して修正することが必要となる。なおΔYi は負の値を示しているので減算として表現しているが、下記の式4として捉えることもできる。
ΔYi'' =ΔYi'+|ΔYk | ……式4
(パケットkのΔYk が負となった時、i<kに対して修正を行う)
但し、ΔYi'' =修正後の予実差
ΔYi'=既に集計(記録)されている誤差を含む予実差
図9は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10の集計処理の結果を修正した結果を示す図表である。図9は、図7にて示した集計結果の次に取得したパケットについて求めた予実差ΔYi が−4msであった状態を示しており、図7に示した状態から一律に4msの修正を行った上で、今回取得したパケットを示す値として予実差ΔYi が0〜2msの欄に1が加算されている。即ち図9からは今まで何らかの要因により、本来の転送時間より4ms程度の遅延が揺らぎとして生じる状態であったが、通信網100の状態が安定し、揺らぎの無い状態でパケットを取得した状態であることが読み取れ、今後も安定した状態が継続すれば、予実差ΔYi が0〜2msの欄の数値が増加していくことが予想される。
次に本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10において、誤差を含む基準時刻Y0'を修正する処理を説明する。図10は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10の基準時刻修正処理を示すフローチャートである。測定装置10では、図6を用いて説明した集計処理のステップS206にて予実差を算出した後、ステップS207にて予実差を記録する前に、基準時刻Y0'の修正の要否の判定及び修正を行う基準時刻修正処理を実行する。測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム201を実行する制御手段11の制御により、集計処理のステップS206にて算出した予実差ΔYi が負の値であるか否かを判定し(S301)、負の値であると判定した場合(S301:YES)、前記式3を用いて、基準時刻Y0'及び予実差ΔYi に基づき基準時刻Y0'を基準時刻Y0 とする修正を行い(S302)、更に前記式4を用いて、記録手段13に既に算出し記録し集計している誤差を含む予実差ΔYi'及び今回取得したi番目のパケットについて算出された予実差ΔYi に基づいて、既に算出し記録し集計している誤差を含む予実差ΔYi'を修正後の予実差ΔYi'' とする修正を行い(S303)、ステップS207へ進み以降の処理を行う。
ステップS301において、予実差ΔYi が負の値でないと判定した場合(S301:NO)、ステップS302〜S303の処理を行わず、ステップS207へ進み以降の処理を行う。
また測定装置10が備える時計手段16又は通信装置20が備える時計手段25に誤差がある場合、実際の送信間隔Tf と、測定装置10にて求めた時間間隔Tf'とに差異が生じることとなる。このため測定装置10での取得予定時刻Yi =Y0 +i×Tf'に誤差が生じ、結果として予実差ΔYi が漸次的に増加又は減少するので、正しい集計結果が得られない状況が生じる。
図11は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法の測定装置10の時計手段16及び通信装置20の時計手段25のクロック差による誤差を概念的に示すタイムチャートである。図11では、通信装置20から0番目のパケットである基準パケット、1番目のパケット及び2番目のパケットが送信され、測定装置10にて取得され、また受信装置30にて受信される状況を時系列的に示している。図11中上方の実線が通信装置20の処理を示しており、図11中下方の点線が測定装置10の処理を示し、実線が受信装置30の処理を示している。そして通信装置20は、時刻X0 ,X1 ,X2 のタイミングでパケットを送信しており、図11中右斜め下へ向かう矢印の中で、実線が実際に転送されたパケットを示している。
図11では、測定装置10が備える時計手段16と通信装置20が備える時計手段25との間にクロック差が有り、通信装置20からの送信間隔Tf より、測定装置10にて求めた基準時間間隔Tf'が短いという状況を示している。なお測定装置10にて基準時間間隔Tf'に基づいて予測したパケットの転送状況を、図11中右斜め下へ向かう点線にて示している。図11に示す様に実際の送信間隔Tf より、基準時間間隔Tf'が短いため、1番目のパケットの取得予定時刻Y1 と実際の取得時刻Y1'との間には予実差ΔY1 が生じており、更に2番目のパケットの取得予定時刻予実差ΔY2 と実際の取得時刻Y2'との予実差ΔY2 は、予実差ΔY1 より増加している。このように予実差ΔYi は漸次的に増加し、また実際の送信間隔Tf より、基準時間間隔Tf'が長い場合、予実差ΔYi は漸次的に減少(負に増加)する。
そこでパケットの所定の時間が経過する都度、所定の時間内に取得したパケットを計数し、計数した数が所定の範囲を外れている場合に、クロック差が有ると判定して、測定装置10にて算出した時間間隔Tf'を修正する。具体的には、時間間隔Tf'=20msで、所定の時間が5secである場合、通常は5000/20=250パケットを取得する筈である。ここで実際に取得したパケット数が200パケットである場合、時間間隔Tf'を5000/200=25msに修正する。なお計数したパケットの数と比較する所定の範囲とは、時間間隔Tf'から求まる基準値±5パケット、ここでは245〜255という様にして決定される。
また時間間隔Tf'を計算して終始するのではなく、1sec等の一定時間毎に基準パケットを取得し直して、基準時刻Y0 を変更し、取得予定時刻Yi =Y0 +i×Tf'における係数iが一定以上の値を取らない様にすることで誤差を小さくする様にしても良い。
次に本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10において、基準時間間隔Tf'を修正する処理を説明する。図12は、本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10の基準時間間隔修正処理を示すフローチャートである。測定装置10では、図6を用いて説明した集計処理と並行して、基準時間間隔Tf'の修正の要否の判定及び修正を行う基準時間間隔修正処理を実行する。測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム201を実行する制御手段11の制御により、5sec等の所定時間内に取得したパケットを計数し(S401)、計数したパケット数が、基準時間間隔Tf'から求まる基準値及び所定時間に基づいて決定される基準範囲、例えば245〜255内であるか否かを判定し(S402)、基準範囲から外れると判定した場合(S402:NO)、所定時間及び計数したパケット数に基づいて、基準時間間隔Tf'を再計算し(S403)、それまでの基準時間間隔Tf'を、再計算した基準時間間隔Tf'に修正し(S404)、処理を終了する。
ステップS402において、基準範囲内であると判定した場合(S402:YES)、基準時間間隔Tf'を再計算して修正する処理を行わずに処理を終了する。
前記実施の形態1においては、通信装置20から受信装置30へ送信されるストリームデータのパケットを取得する形態を示したが、本発明はこれに限らず、VoIP等の双方向通信を行っているデータのパケットを取得する形態でもよい。また通信規約としては、RTPだけでなくMMS(Microsoft Media Server Protocol) 等の他のリアルストリーミング用の通信規約を用いる様にしても良い。
また前記実施の形態1においては、コンピュータプログラム201を実行することにより、コンピュータが本発明の実施の形態1における測定装置10として機能する形態を示したが、本発明はこれに限らず、基準時間間隔を求める処理、基準時刻を設定する処理、取得予定時刻を算出する処理、予実差を算出する処理、基準時刻を修正する処理、予実差を修正する処理、予実差の分布を集計する処理、パケットを計数する処理、基準時間間隔を修正する処理等の各種処理を、LSI、VLSI、その他各種デジタル回路又はアナログ回路を用いて設計されたハードウェアにて実現する形態であっても良い。
実施の形態2.
図13は、本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる装置の配置を概念的に示す説明図である。図13中10は、本発明の測定装置であり、測定装置10は、通信網100を介して通信装置20に接続している。なお通信網100は、インターネットルータ等の複数の中継装置50,50,…を備えており、不特定の中継装置50,50,…にて構成される通信経路を経て、測定装置10及び通信装置20間でパケットが送受信される。実施の形態2では、測定装置10から通信装置20へPing等のプローブパケットを送信する命令により、パケットを送信し、送信したパケットに対する返信として通信装置20から送信されるパケットを測定装置10にて受信し、受信したパケットについての送受信に関する時刻に基づいて、上り方向及び下り方向の通信特性の測定を行う。
図14は、本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる装置の構成を示すブロック図である。測定装置10は、制御手段11、補助記憶手段12、記録手段13、記憶手段14、通信手段15、時計手段16、入力手段17及び出力手段18を備えている。そして本発明の実施の形態2における測定装置用のコンピュータプログラム202及びデータ等の各種情報を記録した記録媒体302から補助記憶手段12により、各種情報を読み取って記録手段13に記録し、記録手段13から各種情報を読み取って記憶手段14に記憶させてコンピュータプログラム202に含まれる各種手順を制御手段11により実行することで、コンピュータは、本発明の測定装置10として動作する。
通信装置20は、制御手段21、記録手段22、記憶手段23、通信手段24及び時計手段25を備えている。
次に本発明の実施の形態2における通信特性測定方法の内容について説明する。図15は、本発明の実施の形態2における通信特性測定方法を概念的に示すタイムチャートである。図15は、測定装置10が通信装置20へ所定の間隔で連続してパケットを送信し、通信装置20が、パケットを受信し、受信したパケットに対する返信として測定装置10へパケットを送信する状況を時系列的に示している。図15中の上方の実線が測定装置10の処理を示しており、測定装置10は、所定の間隔Tf で、時刻X0 ,X1 ,X2 ,X3 ,…のタイミングでパケットを送信しており、通信装置20は、時刻Y0 ,Y1 ,Y2 ,Y3 ,…のタイミングでパケットを受信し、返信している。また通信装置20から返信されたパケットは、測定装置10が、時刻x0 ,x1 ,x2 ,x3 ,…のタイミングで受信している。なお時刻X0 ,X1 ,X2 ,X3 ,…から右斜め下へ向かう実線の矢印は、測定装置10から通信装置20へ送信されるパケットを示し、時刻Y0 ,Y1 ,Y2 ,Y3 ,…から右斜め上へ向かう実線の矢印は、通信装置20から測定装置10へ返信されるパケットを示している。また通信装置20において、i−1番目のパケットを送信してからi番目のパケットを送信する間隔はTg(i)で示している。
測定装置10から見て上り方向、即ち測定装置10から通信装置20へパケットを送信する場合の揺らぎについて説明する。図16は、本発明の実施の形態2における通信特性測定方法の上り方向の揺らぎを概念的に示すタイムチャートである。図16では、図15に示したタイムチャートにおいて、時刻X1 にて測定装置10から送信したパケットが、通信網100の輻輳等の要因により、遅延が生じた状態で通信装置20に到達した状況を示している。通信網100が安定した状態で有れば、時刻X1 から点線の矢印にて示す様にパケットが送信され、時刻Y1 にて通信装置20に受信されるべきところを、時刻X1 からの実線の矢印にて示す様に、遅延が生じており、時刻Y1'にて通信装置20に受信されている。本発明の実施の形態2における通信特性測定方法では、時刻Y1 に対する時刻Y1'の遅れを予実差ΔY1 として集計する。
測定装置10から見て下り方向、即ち通信装置20から測定装置10へパケットを送信する場合の揺らぎについて説明する。図17は、本発明の実施の形態2における通信特性測定方法の下り方向の揺らぎを概念的に示すタイムチャートである。図17では、図15に示したタイムチャートにおいて、時刻Y1'にて通信装置20から送信したパケットが、通信網100の輻輳等の要因により、遅延が生じた状態で測定装置10に到達した状況を示している。通信網100が安定した状態で有れば、時刻Y1'から点線の矢印にて示す様にパケットが送信され、時刻x1 にて測定装置10に受信されるべきところを、時刻Y1'からの実線の矢印にて示す様に、遅延が生じており、時刻x1'にて測定装置10に受信されている。本発明の実施の形態2における通信特性測定方法では、時刻x1 に対する時刻x1'の遅れを予実差Δx1 として集計する。
なおパケットが送受信された時刻は、パケット毎に測定装置10の記録手段13又は記憶手段14にテーブル形式で記録される。図18は、本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10の時刻記録テーブルを示す概念図である。時刻記録テーブルには、パケットを識別するIDに対応付けて、時刻X0 ,X1 ,X2 ,X3 ,…に対応する測定装置10における送信時刻、時刻Y0',Y1',Y2',Y3',…に対応する通信装置20にてパケットに書き込まれるタイムスタンプ、及び時刻x0 ,x1 ,x2 ,x3 ,…に対応する測定装置10における受信時刻が記録されている。夫々の時刻は、所定の時刻からの経過時間を、msを単位として示したものである。
測定装置10から見て上り方向の揺らぎの求め方について説明する。本発明の実施の形態2における通信特性測定方法では、測定装置10が、最初に送信したパケットに対して返信されたパケットを受信した場合に、当該パケットに書き込まれている通信装置20が受信した時刻Y0 を基準時刻として設定する。なお返信されるパケットを受信する間隔は、自機での送信間隔であるTf を用いる。そして通信装置20が受信するi番目のパケットの受信予定時刻Yi は、下記の式5にて算出される。
Yi =Y0 +i×Tf ……式5
但し、Yi :i番目のパケットの受信予定時刻
Y0 :基準時刻
Tf :送信間隔
i :自然数
さらに通信装置20が受信するパケットの受信予定時刻に対する実際に受信した時刻の遅れを示す予実差ΔYi は、下記の式6にて算出される。
ΔYi =Yi'−(Y0 +i×Tf ) ……式6
但し、ΔYi :i番目のパケットについての予実差
Yi':i番目のパケットを実際に受信した時刻
測定装置10から見て下り方向の揺らぎの求め方について説明する。本発明の実施の形態2における通信特性測定方法では、測定装置10が、最初に送信したパケットに対して返信されたパケットを受信した場合に、受信した時刻x0 を基準時刻として設定する。またi−1番目のパケットが送信されてからi番目のパケットが送信されるまでの間隔Tg(i)は、下記の式7にて算出される。
Tg(i)=Yi'−Yi-1' ……式7
但し、Tg(i):i−1番目のパケットが送信されてからi番目のパケットが送信されるまでの間隔
従って通信装置20が基準パケットとなる0番目のパケットを送信した時刻Y0 からi番目のパケットを送信するまでの間隔は、下記の式8にて示すことができる。
Yi'−Y0 =Σi Tg(i) ……式8
但し、Σi Tg(i):時刻Y0 からi番目のパケットを送信するまでの間隔
そして測定装置10がi番目として送信したパケットに対して返信されるパケットの受信予定時刻xi は、下記の式9にて算出される。
xi =x0 +Σi Tg(i) ……式9
但し、xi :i番目のパケットの受信予定時刻
x0 :基準時刻
さらに測定装置10が受信するパケットの受信予定時刻に対する実際に受信した時刻の遅れを示す予実差Δxi は、下記の式10にて算出される。
Δxi =xi'−(x0 +Σi Tg(i)) ……式10
但し、Δxi :i番目のパケットについての予実差
xi':i番目のパケットを実際に受信した時刻
次に本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる各種装置の処理について説明する。図19は、本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10及び通信装置20の基準パケット送受信処理を示すフローチャートである。測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム202を実行する制御手段11の制御により、Ping等のプローブパケットを送信する命令に基づいて0番目のパケットを生成し(S501)、生成したパケットに付与したIDに対応付けて時計手段16が示す時刻X0 を時刻記録テーブルに記録し(S502)、通信手段15から通信網100を介して通信装置20へパケットを送信する(S503)。なお0番目のパケットは、基準パケットとして取り扱われる。
通信装置20では、制御手段21の制御により、通信手段24にて0番目のパケットを受信し(S504)、受信したパケットに、時計手段25が示す時刻Y0 をタイムスタンプとして書き込み(S505)、時刻Y0 を書き込んだパケットを通信手段24から通信網100を介して測定装置10へ返信として送信する(S506)。
測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム202を実行する制御手段11の制御により、通信手段15にて0番目のパケットを受信し(S507)、パケットを受信した時刻x0 を時計手段16から読み取り(S508)、読み取った時刻x0 を下り方向の基準時刻として設定し(S509)、また読み取った時刻x0 をパケットに付与されているIDに対応付けて時刻記録テーブルに記録し(S510)、更に受信したパケットに書き込まれている通信装置20において受信した時刻Y0 を読み取り(S511)、読み取った時刻Y0 を上り方向の基準時刻として設定し(S512)、また読み取った時刻Y0 をパケットに付与されているIDに対応付けて時刻記録テーブルに記録する(S513)。そして測定装置10では、制御手段11の制御により、上り方向の基準時刻Y0 及び送信間隔Tf を用いた前記式5により、基準パケット以降に通信装置20が受信するi番目のパケットの受信予定時刻Yi を算出する(S514)。
図20は、本発明の実施の形態2にて用いられる測定装置10及び通信装置20の上り方向のパケットの集計処理を示すフローチャートである。測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム202を実行する制御手段11の制御により、基準パケットを送信後、パケットの生成(S601)、時刻記録テーブルへの時刻Xi の記録(S602)、及び通信装置20へのパケットの送信(S603)を所定の送信間隔Tf で連続して行う。
通信装置20では、制御手段21の制御により、通信手段24にてi番目のパケットを受信し(S604)、受信したi番目のパケットに、時計手段25が示す実際に受信した時刻Yi'をタイムスタンプとして書き込み(S605)、実際の受信時刻Yi'を書き込んだパケットを通信手段24から通信網100を介して測定装置10へ返信として送信する(S606)。
測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム202を実行する制御手段11の制御により、通信手段15にてi番目のパケットを受信し(S607)、受信したパケットに書き込まれている通信装置20において実際の受信時刻Yi'を読み取り(S608)、読み取った実際の受信時刻Yi'をパケットに付与されているIDに対応付けて時刻記録テーブルに記録し(S609)、前記式6を用いて、受信予定時刻Yi に対する実際の受信時刻Yi'の遅れを予実差ΔYi として算出し(S610)、算出した予実差ΔYi を記録手段13に記録し(S611)、通信網100の通信特性の測定結果として、記録手段13に記録した予実差ΔYi の分布を集計する(S612)。ステップS611にて記録する予実差ΔYi は、パケットに付与されているIDに対応付けて時刻記録テーブルに記録する様にしても良い。
図21は、本発明の実施の形態2にて用いられる測定装置10及び通信装置20の下り方向のパケットの受信時刻予測及び集計処理を示すフローチャートである。測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム202を実行する制御手段11の制御により、基準パケットを送信後、パケットの生成(S701)、時刻記録テーブルへの時刻Xi の記録(S702)、及び通信装置20へのパケットの送信(S703)を所定の送信間隔Tf で連続して行う。
通信装置20では、制御手段21の制御により、通信手段24にてi番目のパケットを受信し(S704)、受信したi番目のパケットに、時計手段25が示す実際に受信した時刻Yi'をタイムスタンプとして書き込み(S705)、実際の受信時刻Yi'を書き込んだパケットを通信手段24から通信網100を介して測定装置10へ返信として送信する(S706)。
測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム202を実行する制御手段11の制御により、通信手段15にてi番目のパケットを受信し(S707)、i番目のパケットを実際に受信した時刻xi'を時計手段16から読み取り(S708)、読み取った実際の受信時刻xi'をパケットに付与されているIDに対応付けて時刻記録テーブルに記録し(S709)、更に受信したパケットに書き込まれている通信装置20における実際の受信時刻Yi'を読み取り(S710)、読み取った実際の受信時刻Yi'をパケットに付与されているIDに対応付けて時刻記録テーブルに記録する(S711)。
そして測定装置10では、制御手段11の制御により、下り方向の基準時刻x0 、上り方向の基準時刻Y0 及び通信装置20における実際に受信時刻Yi'を用いた前記式8及び式9を用いて、i番目のパケットの受信予定時刻xi を算出する(S712)。
さらに測定装置10では、制御手段11の制御により、前記式10を用いて、受信予定時刻xi に対する実際の受信時刻xi'の遅れを予実差Δxi として算出し(S713)、算出した予実差Δxi を記録手段13に記録し(S714)、通信網100の通信特性の測定結果として、記録手段13に記録した予実差Δxi の分布を集計する(S715)。ステップS714にて記録する予実差Δxi は、パケットに付与されているIDに対応付けて時刻記録テーブルに記録する様にしても良い。なお図20を用いて示した上り方向のパケットの集計処理並びに図21を用いて示した下り方向のパケットの受信時刻予測及び集計処理は、説明の便宜上別々に示しているが、同時に実行されることは言うまでもない。例えばステップS601〜S607の処理とステップS701〜S707の処理とは同一の処理を示している。
本発明の実施の形態2における通信特性測定方法の集計処理については、実施の形態1と同様であるので、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。
また本発明の実施の形態2における通信特性測定方法においても、基準パケットの転送時に、通信網100に輻輳が発生し、通信時間が揺らぐ可能性があり、基準パケットの転送時に本来の通信時間に対する遅延が発生していたことが後に判明した場合には、遅延の状況に応じて各種計算結果及び集計結果を修正する必要が生じる。即ち実施の形態1と同様に、上り方向の予実差ΔYi が負の値を取った場合に、基準パケットの転送時に本来の通信時間に対する遅延が発生していたことが判明し、下記の式11により、誤差を含む基準時刻Y0'を、本来の基準時刻Y0 に修正することができる。
Y0 =Y0'−|ΔYi | ……式11
(ΔYi <0)
但し、Y0':誤差を含む基準時刻
また既に記録している誤差を含む予実差ΔY' は、下記の式12により本来の予実差ΔY''に修正することができる。
ΔYi'' =ΔYi'+|ΔYk | ……式12
(パケットkのΔYk が負となった時、i<kに対して修正を行う)
但し、ΔYi'' =修正後の予実差
ΔYi'=既に集計(記録)されている誤差を含む予実差
図22は、本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10の上り方向の基準時刻修正処理を示すフローチャートである。測定装置10では、図20を用いて説明した上り方向のパケットの集計処理のステップS610にて予実差を算出した後、ステップS611にて予実差を記録する前に、上り方向の基準時刻Y0'の修正の要否の判定及び修正を行う基準時刻修正処理を実行する。測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム202を実行する制御手段11の制御により、集計処理のステップS610にて算出した予実差ΔYi が負の値であるか否かを判定し(S801)、負の値であると判定した場合(S801:YES)、前記式11を用いて、基準時刻Y0'及び予実差ΔYi に基づき基準時刻Y0'を基準時刻Y0 とする修正を行い(S802)、更に前記式11を用いて、記録手段13に既に算出し記録し集計している誤差を含む予実差ΔYi'及び今回取得したi番目のパケットについて算出された予実差ΔYi に基づいて、既に算出し記録し集計している誤差を含む予実差ΔYi'を修正後の予実差ΔYi''とする修正を行い(S803)、ステップS611へ進み以降の処理を行う。
ステップS801において、予実差ΔYi が負の値でないと判定した場合(S801:NO)、ステップS802〜S803の処理は行わず、ステップS611へ進み以降の処理を行う。
下り方向についても同様であり、下記の式13を用いて、誤差を含む基準時刻x0'の修正を行うことができる。
x0 =x0'−|Δxi | ……式13
(Δx1 <0)
但し、x0':誤差を含む基準時刻
また既に記録している誤差を含む予実差Δx' は、下記の式14により本来の予実差Δx''に修正することができる。
Δxi'' =Δxi'+|Δxk | ……式14
(パケットkのΔxk が負となった時、i<kに対して修正を行う)
但し、Δxi'' =修正後の予実差
Δxi'=既に集計(記録)されている誤差を含む予実差
図23は、本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10の下り方向の基準時刻修正処理を示すフローチャートである。測定装置10では、図21を用いて説明した下り方向のパケットの受信時刻予測及び集計処理のステップS713にて予実差を算出した後、ステップS714にて予実差を記録する前に、下り方向の基準時刻x0'の修正の要否の判定及び修正を行う基準時刻修正処理を実行する。測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム202を実行する制御手段11の制御により、集計処理のステップS713にて算出した予実差Δxi が負の値であるか否かを判定し(S901)、負の値であると判定した場合(S901:YES)、前記式13を用いて、基準時刻x0'及び予実差Δxi に基づき基準時刻x0'を基準時刻x0 とする修正を行い(S902)、更に前記式13を用いて、記録手段13に既に算出し記録し集計している誤差を含む予実差Δxi'及び今回取得したi番目のパケットについて算出された予実差Δxi に基づいて、既に算出し記録し集計している誤差を含む予実差Δxi'を修正後の予実差Δxi'' とする修正を行い(S903)、ステップS714へ進み以降の処理を行う。
ステップS901において、予実差Δxi が負の値でないと判定した場合(S901:NO)、ステップS902〜S903の処理は行わず、ステップS714へ進み以降の処理を行う。
前記実施の形態2においては、コンピュータプログラム202を実行することにより、コンピュータが本発明の実施の形態2における測定装置10として機能する形態を示したが、本発明はこれに限らず、基準時刻を設定する処理、基準時間間隔を求める処理、受信予定時刻を算出する処理、予実差を算出する処理、基準時刻を修正する処理、予実差を修正する処理、予実差の分布を集計する処理等の各種処理を、LSI、VLSI、その他各種デジタル回路又はアナログ回路を用いて設計されたハードウェアにて実現する形態であっても良い。
実施の形態3.
図24は、本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる装置の配置を概念的に示す説明図である。図24中10は、本発明の測定装置であり、測定装置10は、ストリームデータを配信するサーバコンピュータ等の通信装置20及びインターネットルータ等の複数の中継装置50,50,…を備える通信網100に接続している。実施の形態3では、特定の通信装置20へPing等のプローブパケットを送信する命令により、パケットを送信し、パケットの送信先の通信装置20、及び中継処理を行う中継装置50,50,…にて通信網100上に設定される通信経路について、夫々の中継装置50,50,…にて区分される区間毎の通信特性を測定する。なお以降の説明において、各中継装置50,50,…を特に区別して示す必要がある場合、中継処理を行う中継装置50,50,…の中で、特に説明が必要な中継装置50,50,…を第1中継装置50a1,第2中継装置50a2,…として示す。
図25は、本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる装置の構成を示すブロック図である。測定装置10は、制御手段11、補助記憶手段12、記録手段13、記憶手段14、通信手段15、時計手段16、入力手段17及び出力手段18を備えている。そして本発明の実施の形態3における測定装置用のコンピュータプログラム203及びデータ等の各種情報を記録した記録媒体303から補助記憶手段12により、各種情報を読み取って記録手段13に記録し、記録手段13から各種情報を読み取って記憶手段14に記憶させてコンピュータプログラム203に含まれる各種手順を制御手段11により実行することで、コンピュータは、本発明の測定装置10として動作する。なお記録手段13又は記憶手段14の記録領域の一部は、パケットを識別するIDに対応付けて各種装置にて送受信した時刻を記録する時刻記録テーブルとして用いられる。
通信装置20は、制御手段21、記録手段22、記憶手段23、通信手段24及び時計手段25を備えている。
次に本発明の実施の形態3における通信特性測定方法の内容について説明する。図26は、本発明の実施の形態3における通信特性測定方法を概念的に示すタイムチャートである。図26は、測定装置10から送信されるパケットが、第1中継装置50a1及び第2中継装置50a2に中継されて通信装置20へ到達し、通信装置20から返信されたパケットが、第2中継装置50a2及び第1中継装置50a1に中継されて測定装置10へ到達する状況を時系列的に示している。図26中の上方の実線が測定装置10の処理を示し、その下方の実線が第1中継装置50a1の処理を示し、更にその下方の実線が第2中継装置50a2の処理を示し、最下方の実線が通信装置20の処理を示している。そして測定装置10は、時刻A1 ,A2 ,A3 ,…のタイミングでパケットを送信し、第1中継装置50a1は、時刻B1 ,B2 ,B3 ,…のタイミングでパケットを中継し、第2中継装置50a2は、時刻C1 ,C2 ,C3 ,…のタイミングでパケットを中継し、通信装置20は、時刻D1 ,D2 ,D3 ,…のタイミングでパケットを受信し、返信している。また通信装置20から返信されたパケットは、測定装置10が、時刻A1',A2',A3',…のタイミングで受信している。なお時刻A1 ,A2 ,A3 ,…から右斜め下へ向かう実線の矢印は、測定装置10から通信装置20へ送信されるパケットを示し、時刻D1 ,D2 ,D3 ,…から右斜め上へ向かう実線の矢印は、通信装置20から測定装置10へ返信されるパケットを示している。
図26のタイムチャートに示す様に第1中継装置50b1及び第2中継装置50b2により中継されるパケットには、ヘッダに示される情報にて指定しておくことにより、第1中継装置50b1及び第2中継装置50b2にて中継した時刻を示すタイムスタンプが書き込まれる。
図27は、本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられるパケットのヘッダのフォーマットを示す説明図である。図27はPing用のプローブパケットのIPヘッダを示しており、パケットに関する様々な情報が書き込まれている。以下にヘッダに書き込まれている情報の意味について説明する。Versionは、IPのバージョンを示している。IHL(Internet Header Length)は、IPヘッダの長さを示している。Type of Serviceは、ネットワークの品質優先制御に用いる値を示している。Total Lengthは、IPヘッダとデータ部とを合わせた全体の長さを示している。Identificationは、パケットを識別する識別子(ID)を示している。Flagsは、1つのデータを複数のパケットに分割して送信する場合に用いられる制御用のフラグを示している。Flagment Offsetは、1つのデータを複数のパケットに分割して送信する場合に当該パケットにより送信されるデータが、データ全体のどの位置に相当するかを示している。Time to Liveは、通信網100内でパケットが転送される場合における消去されるまでの生存時間を示している。Protocolは、IPの次のレベルに位置するTCP、UDP等の通信規約を示している。Header Checksumは、ヘッダとして示されたデータの誤りの検出に用いられる値を示している。Source Addressは、送信元の装置、ここでは測定装置10のIPアドレスを示している。Destination Addressは、送信先の装置、ここでは通信装置20のIPアドレスを示している。Optionsは、タイムスタンプオプション等の各種付属機能の設定に用いられる。Paddingは、パケット長を調整するためのパディングデータの有無を示している。図27に示したヘッダに書き込まれている各種情報の中で、Optionsにタイムスタンプオブションを使用することを示す書き込みを行うことにより、指定した装置による中継の際に、中継した時刻を示すタイムスタンプが書き込まれることになる。
図28は、本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられるパケットのタイムスタンプが書き込まれるデータ部のフォーマットを示す説明図である。図28は、図27にて示したパケットのヘッダ部のOptionsにタイムスタンプオブションを示す書き込みが行われていた場合に用いられるデータ部のフォーマットを示している。01000100は、タイムスタンプオブションを示す識別子を示している。Lengthは、オブション部分のデータ長を示している。Pointerは、中継した時刻を次に書き込ませるべき装置のIPアドレスを示している。Oflw(Overflow)は、タイムスタンプを書き込むことが可能なエリアが残存しているか否かを示している。Flagは、タイムスタンプの書き込み時の形式を示している。Internet Addressは、中継時の時刻をタイムスタンプとして書き込ませる装置のIPアドレスを示している。Timestampは、タイムスタンプとして書き込まれた時刻を示している。図28に示したデータ部に書き込まれている各種情報の中で、Internet Addressにて通信装置20、第1中継装置50a1及び第2中継装置50a2を指定しておくことにより当該Internet Addressと対になるTimestampのエリアに夫々の装置で中継した時刻がタイムスタンプとして書き込まれる。
次に本発明の実施の形態3における通信特性測定方法において通信状況の揺らぎを表現する方法について説明する。本発明の実施の形態3における通信特性測定方法では、測定装置10、第1中継装置50a1、第2中継装置50a2及び通信装置20にて区切られる各通信区間毎に通信状況の揺らぎを求めるものであり、揺らぎの表現方法についてはRTPのジッタ計算法として、RFC1889に規定されている計算方法にて算出されるジッタを用いる。
次に本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる各種装置の処理について説明する。図29は、本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10の揺らぎ算出処理を示すフローチャートである。測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム203を実行する制御手段11の制御により、TraceRoute等の経路を検出する命令に基づいて、通信網100上に設定される通信装置20までの通信経路を構成する複数の中継装置50,50,…を検出し(S1001)、検出した複数の中継装置50,50,…の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む複数の時刻測定用装置を決定する(S1002)。ここでは第1中継装置50a1、第2中継装置50a2及び通信装置20が時刻測定用装置として決定されたものとして以降の説明を行う。そして測定装置10では、制御手段11の制御により、Ping等のプローブパケットを送信する命令に基づいて、タイムスタンプオブションを使用し第1中継装置50a1、第2中継装置50a2及び通信装置20を指定したパケットを生成し(S1003)、生成したパケットに付与したIDに対応付けて時計手段16が示す時刻Ai を時刻記録テーブルに記録し(S1004)、通信手段15から通信網100に接続する第1中継装置50a1及び第2中継装置50a2を介して通信装置20へパケットを送信する(S1005)。なおパケットを生成して送信するステップS1003〜S1005の処理は所定の間隔で複数回繰り返される。
そして測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム203を実行する制御手段11の制御により、時刻測定用装置である第1中継装置50b1、第2中継装置50b2及び通信装置20にて夫々時刻を書き込まれ通信装置20から返信されたパケットを、通信手段15にて受信し(S1006)、パケットを受信した時刻Ai'を時計手段16から読み取り(S1007)、更に受信したパケットから、時刻測定用装置である第1中継装置50a1、第2中継装置50a2及び通信装置20にて夫々書き込まれた時刻Bi ,Ci ,Di を読み取り(S1008)、読み取った時刻Ai',Bi ,Ci ,Di をパケットに付与されているIDに対応付けて時刻記録テーブルに記録する(S1009)。なおパケットを受信して時刻を記録するステップS1006〜S1009の処理は、受信する複数のパケットに対して繰り返される。
さらに測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム203を実行する制御手段11の制御により、時刻記録テーブルに記録した各パケットについての時刻Ai ,Bi ,Ci ,Di ,Ai'を用いて、各通信区間、即ち測定装置10から第1中継装置50a1までの通信区間、第1中継装置50a1から第2中継装置50a2までの通信区間、第2中継装置50a2から通信装置20までの通信区間、及び通信装置20から測定装置10までの通信区間のジッタを、RFC1889にて規定される所定の計算方法にて算出し(S1010)、通信網100の通信特性の測定結果として、算出したジッタの集計処理を行う(S1011)。
図30は、本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10が算出したジッタを集計した結果を示す図表である。図30は、図29のフローチャートを用いて説明した揺らぎ算出処理のステップS1011にて算出されたジッタの集計結果を示しており、パケットを識別するIDに対応付けて、各通信区間、即ち測定装置10から第1中継装置50a1までの通信区間、第1中継装置50a1から第2中継装置50a2までの通信区間、第2中継装置50a2から通信装置20までの通信区間、及び通信装置20から測定装置10までの通信区間が示されている。
図30において、IDが301であるパケットの各区間のジッタが示されていないのは、当該パケットが通信網100で発生した何らかの異常により消失したことを示している。パケットがロスとする理由としては、様々な原因が考えられるが、消失したパケットの前後のパケットであるIDが300であるパケット及びIDが302であるパケットについての第2中継装置50a2から通信装置20までの通信区間のジッタの値が高くなっていることから、第2中継装置50a2から通信装置20までの区間に輻輳が発生した可能性が高いと推定することができる。
本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10では、ジッタの集計結果に基づいて原因を推定する機能をも備えている。図31は、本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10のパケット消失原因推定処理を示すフローチャートである。測定装置10では、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム203を実行する制御手段11の制御により、消失したパケットのIDを検出し(S1101)、消失したパケットの前後に受信した所定個数のパケットについて、各通信区間のジッタの平均値を算出する(S1102)。例えばジッタの集計結果が図30に示す状況であった場合、消失したIDが301であるパケットの前後5パケット分、即ちIDが296であるパケットからIDが300であるパケット、及びIDが302であるパケットからIDが306であるパケットについて各通信区間のジッタの値の平均値を算出する。
測定装置10では、制御手段11の制御により、ステップS1102にて算出した各通信区間についての夫々の平均値を所定の上限値と比較し(S1103)、算出したジッタの平均値が上限値以上である通信区間が有ると判定した場合(S1104:YES)、輻輳によりパケットが消失したと判断し、各通信区間について、消失したパケットの前の所定個数のパケットのジッタの平均値と、後の所定個数のパケットのジッタの平均値とを夫々比較する(S1105)。即ち夫々の通信区間について、IDが296であるパケットからIDが300であるパケットのジッタの平均値と、IDが302であるパケットからIDが306であるパケットのジッタの平均値とを比較する。通信区間に輻輳が発生する場合、急激にジッタが増加し、その後徐々にジッタが減少するという状況が生じる。従って輻輳が発生した場合、消失したパケットの前の所定個数のパケットのジッタの平均値より、消失したパケットの後の所定個数のパケットのジッタの平均値の方が大きくなる。このような現象に基づいて輻輳の発生を検出するのである。
測定装置10では、制御手段11の制御により、ステップS1105の比較により、消失したパケットの前の所定個数のパケットのジッタの平均値より、消失したパケットの後の所定個数のパケットのジッタの平均値の方が大きく、しかもその差が、所定値以上となる通信区間が有ると判定した場合(S1106:YES)、その通信区間にて輻輳が発生していると特定する(S1107)。
測定装置10では、制御手段11の制御により、ステップS1105の比較により、消失したパケットの前の所定個数のパケットのジッタの平均値より、消失したパケットの後の所定個数のパケットのジッタの平均値の方が大きく、しかもその差が、所定値以上である通信区間が無いと判定した場合(S1106:NO)、消失したパケットの前の所定個数のパケット及び後の所定個数のパケットの夫々のジッタの平均値が最も大きい通信区間を抽出し(S1108)、抽出した通信区間を輻輳が発生した通信区間として特定する(S1109)。即ち輻輳が継続して発生し、ジッタが高い状態で維持されていると判断するのである。
ステップS1103の比較により、算出したジッタの平均値が上限値以上である通信区間が無いと判定した場合(S1104:NO)、測定装置10では、制御手段11の制御により、輻輳以外の原因によりパケットの消失が発生したと判定する(S1110)。
図31を用いて説明したパケット消失原因推定処理により、輻輳が発生した通信区間を推定することができるが、その通信区間は、更に複数の中継装置50,50,…にて構成されている場合がある。しかしながらIPヘッダのタイムスタンプオプションを使用して指定することが可能な装置の数には、4台等の上限値があるため、経由する全ての中継装置50,50,…の時刻をパケットに記録することはできない。従って輻輳が生じている通信区間の絞込を行う処理が必要となる。
図32は、本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10による通信区間の絞込を概念的に示す説明図である。図32(a)及び(b)では、測定装置10から、Ping等のプローブパケットを、第1中継装置50a1、第2中継装置50a2、第3中継装置50a3、第4中継装置50a4及び第5中継装置50a5を経て、通信装置20へ送信し、通信装置20から、第5中継装置50a5、第4中継装置50a4、第3中継装置50a3、第2中継装置50a2及び第1中継装置50a1を経て、測定装置10へ返信される状況を示している。またタイムスタンプオプションを使用して時刻を書き込む時刻測定用装置として指定することが可能な装置の数の上限値は4台となっている。
図32(a)では、最初に時刻測定用装置が決定された状況を示しており、通信経路をほぼ均等に4分割した位置の中継装置50が時刻測定用装置として指定されている。具体的には、上り方向の第2中継装置50a2、上り方向の第4中継装置50a4、下り方向の第4中継装置50a4及び下り方向の第2中継装置50a2が指定されている。そして夫々の通信区間でジッタを算出し、上り方向の第2中継装置50a2及び上り方向の第4中継装置50a4の間の通信区間が輻輳状態であると判定したものとする。
図32(b)は、図32(a)に示す状態から上り方向の第2中継装置50a及び上り方向の第4中継装置50a4の間の通信区間が輻輳状態であると判定し、その後、時刻測定用装置を再決定した状況を示しており、輻輳状態であると判定した上り方向の第2中継装置50a2及び上り方向の第4中継装置50a4の間の通信区間の通信特性を詳細に測定すべく、上り方向の第2中継装置50a2、上り方向の第3中継装置50a3及び上り方向の第4中継装置50a4を時刻測定用装置として指定している。
図33は、本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10の時刻測定用装置再決定処理を示すフローチャートである。測定装置10は、図29のフローチャートを用いて説明した揺らぎ算出処理を行った後、図31のフローチャートを用いて説明したパケット消失原因推定処理を行うことで、通信時間の揺らぎを示すジッタの集計結果が所定の条件を満足する通信区間、即ち最もジッタが大きい通信区間を判定する。そして測定装置10は、記憶手段14に記憶させたコンピュータプログラム203を実行する制御手段11の制御により、所定の条件を満足すると判定した通信区間内の通信経路を構成する複数の中継装置50,50,…の中から、時刻測定用装置を再決定する(S1201)。即ち図32に示した通信区間絞込を概念的に示す説明図を用いて説明した様に輻輳状態であると判定した通信区間の通信特性を更に詳細に調査すべく絞込を行う。なおステップS1201にて時刻測定用装置を再決定した後、図29の揺らぎ算出処理におけるステップS1003以降の処理及び図31のパケット消失原因推定処理を行い、必要に応じて更に時刻測定用装置の再決定するという処理を繰り返す。
前記実施の形態3においては、コンピュータプログラム203を実行することにより、コンピュータが本発明の実施の形態3における測定装置10として機能する形態を示したが、本発明はこれに限らず、通信経路を構成する複数の中継装置50,50,…を検出する処理、時刻測定用装置を決定する処理、パケットを送受信する処理、パケットの時刻を読み取る処理、揺らぎを計算する処理、揺らぎを集計する処理、所定の条件を満足する通信区間を判定する処理、時刻測定用装置を再決定する処理等の各種処理を、LSI、VLSI、その他各種デジタル回路又はアナログ回路を用いて設計されたハードウェアにて実現する形態であっても良い。
実施の形態4.
実施の形態4は、実施の形態1乃至実施の形態3において測定した通信特性、即ち通信網100の揺らぎに関する集計結果を利用する形態である。集計結果を利用する形態は、多種多様であるが、その一つとして通信網100におけるパケットの消失率を求める形態がある。
図34は、本発明の実施の形態4における通信特性測定方法にて用いられる測定装置10のパケット消失率算出処理を示すフローチャートである。測定装置10は、制御手段11の制御により、通信網100の仕様により決定される、パケットの第1消失率を求め(S1301)、通信時間の揺らぎの分布に基づいて揺らぎを原因とする、パケットの第2消失率を算出し(S1302)、算出した第1消失率及び第2消失率を合計した通信網100におけるパケットの消失率を算出する(S1303)。ステップS1301にて求める第1消失率とは、通信網100を構成する各種装置の数及び性能、通信線の種類、長さ及び数、通信規約等の様々な要因から推定される設計上の消失率であり、予め入力されている条件に基づいて計算することで求める様にしても、また外部にて算出した数値の入力を受け付ける様にしてもよい。ステップS1302にて算出される第2消失率とは、パケットの揺らぎの集計結果から算出される値であり、例えば図7に示す集計処理の結果において、予実差ΔYi が20ms以上であるパケットの数量の全体に占める割合を算出することにより、求めることができる。即ち予実差ΔYi が20msであるパケットは通信網100を転送中に消失する可能性が高いとの前提の上で、消失率を算出するのである。
また本発明の実施の形態1乃至実施の形態3にて測定した通信特性、即ち通信網100の揺らぎに関する集計結果は、適宜加工して測定装置10が備える出力手段18から出力することにより、通信網100の通信特性の把握を支援することができる。図35は、本発明の実施の形態4における通信特性測定方法にて用いられる測定装置100が備える出力手段18から出力された画像を示す説明図である。図35は、実施の形態3において算出した結果をモニタである出力手段18から出力した画像を示している。画面の上方には、通信装置20のIPアドレスを表示する欄があり、その下方には、時刻測定用装置として決定された4台の中継装置50,50,…のIPアドレスを表示する欄が示されている。更にその下方には、図30にて示したジッタの集計結果を示す図表が表示されており、最下方には、ジッタの集計結果を示す図表をグラフ化した画像が示されている。図35に示す様な画像を出力することにより、管理者は通信網100の通信特性を容易に測定し、把握することが可能となる。
図35に示したグラフは、横軸にパケットの順序を示すパケット番号を取り、縦軸に算出したジッタを示し、その関係を折れ線グラフとして通信区間毎に示したものである。なおグラフ中、折れ線が途切れている箇所は、パケットが消失したためジッタを算出することができなかったことを示している。グラフ中、5つの区間を夫々示す折れ線の中で、4つは安定したジッタの値で推移しているが、1つだけ大きな変化をしているグラフがある。またその変化が最大になると推定される点でパケットの消失が起こっていることから、当該折れ線にて示される区間にて輻輳が発生し、その輻輳を原因としてパケットが消失したということを容易に把握することができる。
上記各実施例では、ストリームデータの配信を行うサーバコンピュータを例に説明を行ったが、所定の時間間隔で連続して音声や画像等のパケットデータを送受信するコンピュータ(装置)であれば、同様の仕組みにて通信網の特性を計測することが可能である。例えば通信装置は、音声や画像のデータをパケット形式にて送受信して通話を行うVoIP等のクライアントコンピュータであっても良い。また通信装置と中継装置とについて、説明を簡略化するために、夫々異なる装置として説明したが、通信装置と中継装置とが同一の装置で実現されていても良い。
以上の実施の形態1乃至実施の形態4を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)通信網に接続しパケットを送受信する通信装置、及び通信網に関する通信特性を測定する測定装置を用いた通信特性測定方法において、前記通信装置は、通信網に接続する他の装置へ、複数のパケットを所定の間隔で連続して送信し、前記測定装置は、通信網を伝送される複数のパケットを取得し、該パケットを取得した時刻を読み取り、読み取った時刻に基づく集計処理により通信特性を測定することを特徴とする通信特性測定方法。
(付記2)通信網に接続しパケットを送受信する通信装置、及び通信網に関する通信特性を測定する測定装置を用いた通信特性測定方法において、前記測定装置は、前記通信装置へ複数のパケットを送信し、前記通信装置は、受信した複数のパケットの夫々に対する返信となる複数のパケットを前記測定装置へ送信し、該測定装置は、送信したパケットに対する返信となるパケットを受信し、該パケットの送受信に関する時刻を読み取り、読み取った時刻に基づく集計処理により通信特性を測定することを特徴とする通信特性測定方法。
(付記3)通信網に接続しパケットを送受信する通信装置、及び通信網に関する通信特性を測定する測定装置を用いた通信特性測定方法において、前記測定装置は、通信網上に設定される通信経路を構成する複数の通信装置を検出し、検出した複数の通信装置の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む複数の時刻測定用通信装置を決定し、通信網を介して複数のパケットを送信し、各時刻測定用通信装置にて夫々時刻を書き込まれた複数のパケットを受信し、受信した複数のパケットから、夫々の時刻測定用通信装置にて書き込まれた時刻を読み取り、読み取った時刻に基づく集計処理により通信特性を測定することを特徴とする通信特性測定方法。
(付記4)通信装置から送信されるパケットを伝送する通信網に関する通信特性を測定する測定装置において、前記通信装置から通信網に接続する他の装置へ、所定の間隔で連続して送信される複数のパケットを取得する手段と、該パケットを取得した時刻を読み取る手段と、読み取った時刻に基づく集計処理により通信特性を測定する測定手段とを備えることを特徴とする測定装置。
(付記5)パケットが送信される時間間隔を基準時間間隔として求める手段と、一のパケットについて読み取った時刻を基準時刻として設定する手段と、基準時刻及び基準時間間隔に基づいて、前記一のパケット以降に取得する他のパケットの取得予定時刻を算出する手段と、算出した取得予定時刻に対する実際の時刻の遅れを予実差として算出する手段とを更に備え、前記測定手段は、予実差の分布を集計するようにしてあることを特徴とする付記4に記載の測定装置。
(付記6)算出した予実差が負の値か否かを判定する手段と、予実差が負の値であると判定した場合に、基準時刻とすべき時刻を修正する手段と、既に算出している予実差を修正する手段とを更に備えることを特徴とする付記5に記載の測定装置。
(付記7)所定の時間内に取得したパケットを計数する手段と、所定の時間及び計数したパケット数に基づいて、基準時間間隔を修正する手段とを更に備えることを特徴とする付記5又は付記6に記載の測定装置。
(付記8)前記時間間隔を求める手段は、パケットに示されている種別及びパケットサイズに基づいて求めるようにしてあることを特徴とする付記5乃至付記7のいずれかに記載の測定装置。
(付記9)前記時間間隔を求める手段は、パケットに示されている種別、通信装置から送信した時刻及びパケットの順序に基づいて求めるようにしてあることを特徴とする付記5乃至付記7のいずれかに記載の測定装置。
(付記10)パケットを送受信する通信装置が接続する通信網に関する通信特性を測定する測定装置において、前記通信装置へ複数のパケットを送信する送信手段と、前記通信装置から、送信した夫々のパケットに対する返信となる複数のパケットを受信する手段と、該パケットの送受信に関する時刻を読み取る手段と、読み取った時刻に基づく集計処理により通信特性を測定する測定手段とを備えることを特徴とする測定装置。
(付記11)前記送信手段は、複数のパケットを所定の送信間隔で連続して送信するようにしてあり、前記パケットの送受信に関する時刻は、前記通信装置がパケットに書き込んだ第1時刻であり、一のパケットについての第1時刻を基準時刻として設定する手段と、基準時刻及び送信間隔に基づいて、前記一のパケット以降に前記通信装置が受信する他のパケットについての第1時刻の予定時刻を算出する手段と、算出した予定時刻に対する実際の時刻の遅れを予実差として算出する手段とを更に備え、前記測定手段は、予実差の分布を集計するようにしてあることを特徴とする付記10に記載の測定装置。
(付記12)前記パケットの送受信に関する時刻は、前記通信装置がパケットに書き込んだ第1時刻、及び送信したパケットに対する返信となるパケットを受信した第2時刻であり、一のパケットについての第1時刻を上り方向の基準時刻として設定する手段と、前記一のパケットについての第2時刻を下り方向の基準時刻として設定する手段と、前記一のパケットの以降に受信する他のパケットの第1時刻、上り方向の基準時刻及び下り方向の基準時刻に基づいて、前記他のパケットの第2時刻の受信予定時刻を算出する手段と、算出した受信予定時刻に対する実際の第2時刻の遅れを予実差として算出する手段とを更に備え、前記測定手段は、予実差の分布を集計するようにしてあることを特徴とする付記10に記載の測定装置。
(付記13)算出した予実差が負の値か否かを判定する手段と、予実差が負の値であると判定した場合に、基準時刻とすべき時刻を修正する手段と、既に算出している予実差を修正する手段とを更に備えることを特徴とする付記11又は付記12に記載の測定装置。
(付記14)パケットを送受信する複数の通信装置が接続する通信網に関する通信特性を測定する測定装置において、通信網上に設定される通信経路を構成する複数の通信装置を検出する手段と、検出した複数の通信装置の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む所定数の時刻測定用通信装置を決定する手段と、通信網を介して複数のパケットを送信する手段と、各時刻測定用通信装置にて夫々時刻を書き込まれた複数のパケットを受信する手段と、受信した複数のパケットから、夫々の時刻測定用通信装置にて書き込まれた時刻を読み取る手段と、読み取った時刻に基づく集計処理により通信特性を測定する測定手段とを備えることを特徴とする測定装置。
(付記15)自機及び各時刻測定用通信装置にて区分される通信区間毎の通信時間の揺らぎを所定の計算方法にて計算する手段を更に備え、前記測定手段は、通信区間毎の通信時間の揺らぎを集計するようにしてあり、通信時間の揺らぎの集計結果が所定の条件を満足する通信区間を判定する手段と、判定した通信区間内の通信経路を構成する複数の通信装置の中から、所定数の時刻測定用通信装置を再決定する手段とを更に備えることを特徴とする付記14に記載の測定装置。
(付記16)前記測定手段は、読み取った時刻に基づき算出される通信時間の揺らぎの分布を集計するようにしてあることを特徴とする付記14又は付記15に記載の測定装置。
(付記17)通信網の仕様により決定される、パケットの第1消失率を求める手段と、通信時間の揺らぎの分布に基づいて揺らぎを原因とする、パケットの第2消失率を算出する手段と、第1消失率及び第2消失率に基づいて通信網のパケットの消失率を算出する手段とを更に備えることを特徴とする付記16に記載の測定装置。
(付記18)通信装置から送信されるパケットを伝送する通信網に接続するコンピュータに、通信網に関する通信特性を測定させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記通信装置から通信網に接続する他の装置へ、所定の間隔で連続して送信される複数のパケットを取得した場合に、取得した時刻を読み取らせる手順と、コンピュータに、読み取った時刻に基づく集計処理により通信特性を測定させる手順とを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
(付記19)パケットを送受信する通信装置と通信網を介して接続するコンピュータに、通信網に関する通信特性を測定させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記通信装置へ複数のパケットを送信させる手順と、コンピュータに、前記通信装置から、送信した夫々のパケットに対する返信となる複数のパケットを受信した場合に、該パケットの送受信に関する時刻を読み取らせる手順と、コンピュータに、読み取った時刻に基づく集計処理により通信特性を測定させる手順とを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
(付記20)パケットを送受信する複数の通信装置が接続する通信網に接続するコンピュータに、通信網に関する通信特性を測定させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、通信網上に設定される通信経路を構成する複数の通信装置を検出し、検出した複数の通信装置の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む複数の時刻測定用通信装置を決定させる手順と、コンピュータに、通信網を介して複数のパケットを送信させる手順と、コンピュータに、各時刻測定用通信装置にて夫々時刻を書き込まれた複数のパケットを受信した場合に、受信した複数のパケットから、夫々の時刻測定用通信装置にて書き込まれた時刻を読み取らせる手順と、コンピュータに、読み取った時刻に基づく集計処理により通信特性を測定させる手順とを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる装置の配置を概念的に示す説明図である。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法を概念的に示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられるパケットのヘッダのフォーマットを示す説明図である。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置及び通信装置の基準パケット送受信処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置及び通信装置の集計処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置の集計処理の結果を示す図表である。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法の基準パケットの揺らぎを概念的に示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置の集計処理の結果を修正した結果を示す図表である。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置の基準時刻修正処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法の測定装置の時計手段及び通信装置の時計手段のクロック差による誤差を概念的に示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態1における通信特性測定方法にて用いられる測定装置の基準時間間隔修正処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる装置の配置を概念的に示す説明図である。 本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2における通信特性測定方法を概念的に示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態2における通信特性測定方法の上り方向の揺らぎを概念的に示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態2における通信特性測定方法の下り方向の揺らぎを概念的に示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる測定装置の時刻記録テーブルを示す概念図である。 本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる測定装置及び通信装置の基準パケット送受信処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2にて用いられる測定装置及び通信装置の上り方向のパケットの集計処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2にて用いられる測定装置及び通信装置の下り方向のパケットの受信時刻予測及び集計処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる測定装置の上り方向の基準時刻修正処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2における通信特性測定方法にて用いられる測定装置の下り方向の基準時刻修正処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる装置の配置を概念的に示す説明図である。 本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3における通信特性測定方法を概念的に示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられるパケットのヘッダのフォーマットを示す説明図である。 本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられるパケットのタイムスタンプが書き込まれるデータ部のフォーマットを示す説明図である。 本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置の揺らぎ算出処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置が算出したジッタを集計した結果を示す図表である。 本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置のパケット消失原因推定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置による通信区間の絞込を概念的に示す説明図である。 本発明の実施の形態3における通信特性測定方法にて用いられる測定装置の時刻測定用装置再決定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態4における通信特性測定方法にて用いられる測定装置のパケット消失率算出処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態4における通信特性測定方法にて用いられる測定装置が備える出力手段から出力された画像を示す説明図である。
符号の説明
10 測定装置
20 通信装置
30 受信装置
40 接続装置
50 中継装置(通信装置)
100 通信網
201,202,203 コンピュータプログラム
301,302,303 記録媒体

Claims (9)

  1. 通信網に接続しパケットを送受信する通信装置、及び通信網に関する通信特性を測定する測定装置を用いた通信特性測定方法において、
    前記通信装置は、
    通信網に接続する他の装置へ、複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信し、
    前記測定装置は、
    通信網を伝送される複数のパケットを取得し、
    該パケットを取得した時刻を読み取り、
    取得したパケット毎に、読み取った時刻と、取得したパケットについての取得予定時刻との差分を算出し、
    算出した差分毎の出現頻度を出力し、
    前記取得予定時刻は、以前に取得したパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、
    前記差分の算出は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように取得予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正する
    ことを特徴とする通信特性測定方法。
  2. 通信網に接続しパケットを送受信する通信装置、及び通信網に関する通信特性を測定する測定装置を用いた通信特性測定方法において、
    前記測定装置は、
    前記通信装置へ複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信し、
    前記通信装置は、
    受信したパケットに対し、該パケットを受信した時刻を示す第1の時刻を含むパケットを、受信したパケットに対する返信となるパケットとして生成し、
    生成した返信となるパケットを前記測定装置へ送信し、
    該測定装置は、
    前記送信装置へ送信したパケットに対する返信となるパケットを受信した場合に、
    該返信となるパケットを受信した時刻を第2の時刻として読み取り、更に返信となるパケットに含まれる第1の時刻を読み取り、
    読み取った第1の時刻と、受信した返信となるパケットに対応する送信したパケットの前記通信装置での受信予定時刻との差分を上りの差分として算出し、
    読み取った第2の時刻と、受信した返信となるパケットの自装置での受信予定時刻との差分を下りの差分として算出し、
    算出した上りの差分及び下りの差分毎の出現頻度を出力し、
    前記夫々の受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、
    前記夫々の差分の算出は、算出した上りの差分又は下りの差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正する
    ことを特徴とする通信特性測定方法。
  3. 通信網に接続しパケットを送受信する通信装置、及び通信網に関する通信特性を測定する測定装置を用いた通信特性測定方法において、
    前記測定装置は、
    通信網上に設定される通信経路を構成する複数の通信装置を検出し、
    検出した複数の通信装置の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む複数の時刻測定用通信装置を決定し、
    通信網を介して複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信し、
    各時刻測定用通信装置にて夫々のパケットが受信された時刻を書き込まれた複数のパケットを受信し、
    受信した複数のパケットから、夫々の時刻測定用装置にて書き込まれた時刻を読み取り、
    読み取った時刻と、受信した夫々のパケットの時刻測定用通信装置での受信予定時刻との差分を算出し、
    算出した差分毎の出現頻度を出力し、
    前記受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、
    前記差分の算出は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記受信予定時刻の修正にあわせて修正する
    ことを特徴とする通信特性測定方法。
  4. 通信装置から送信されるパケットを伝送する通信網に関する通信特性を測定する測定装置において、
    前記通信装置から通信網に接続する他の装置へ、所定の時間間隔で連続して送信される複数のパケットを取得する手段と、
    該パケットを取得した時刻を読み取る手段と、
    取得したパケット毎に、読み取った時刻と、取得したパケットについての取得予定時刻との差分を算出する算出手段と、
    算出した差分毎の出現頻度を出力する出力手段と
    を備え
    前記取得予定時刻は、以前に取得したパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、
    前記算出手段は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように取得予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてあ
    ことを特徴とする測定装置。
  5. パケットを送受信する通信装置が接続する通信網に関する通信特性を測定する測定装置において、
    前記通信装置へ複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信する送信手段と、
    前記通信装置から、送信した夫々のパケットに対する返信として、送信したパケットを前記通信装置が受信した時刻を示す第1の時刻が書き込まれた複数のパケットを受信する受信手段と、
    該受信手段にて返信となるパケットを受信した場合に、
    該返信となるパケットを受信した時刻を第2の時刻として読み取り、更に返信となるパケットに含まれる第1の時刻を読み取る手段と、
    読み取った第1の時刻と、受信した返信となるパケットに対応する送信したパケットの前記通信装置での受信予定時刻との差分を上りの差分として算出する第1の算出手段と、
    読み取った第2の時刻と、受信した返信となるパケットの自装置での受信予定時刻との差分を下りの差分として算出する第2の算出手段と、
    算出した上りの差分及び下りの差分毎の出現頻度を出力する出力手段と
    を備え、
    前記夫々の受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、
    前記第1の算出手段及び第2の算出手段は、算出した上りの差分又は下りの差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてあ
    ことを特徴とする測定装置。
  6. パケットを送受信する複数の通信装置が接続する通信網に関する通信特性を測定する測定装置において、
    通信網上に設定される通信経路を構成する複数の通信装置を検出する手段と、
    検出した複数の通信装置の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む所定数の時刻測定用通信装置を決定する手段と、
    通信網を介して複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信する手段と、
    各時刻測定用通信装置にて夫々のパケットが受信された時刻を書き込まれた複数のパケットを受信する手段と、
    受信した複数のパケットから、夫々の時刻測定用通信装置にて書き込まれた時刻を読み取る手段と、
    読み取った時刻と、受信した夫々のパケットの時刻測定用通信装置での受信予定時刻との差分を算出する算出手段と、
    算出した差分毎の出現頻度を出力する出力手段と
    を備え
    前記受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、
    前記算出手段は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記受信予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてあ
    ことを特徴とする測定装置。
  7. 通信装置から送信されるパケットを伝送する通信網に接続するコンピュータに、通信網に関する通信特性を測定させるコンピュータプログラムにおいて、
    コンピュータに、前記通信装置から通信網に接続する他の装置へ、所定の時間間隔で連続して送信される複数のパケットを取得した場合に、取得したパケット毎に、該パケットを取得した時刻を読み取らせる手順と、
    コンピュータに、取得したパケット毎に、読み取った時刻と、取得したパケットについての取得予定時刻との差分を算出させる算出手順と、
    コンピュータに、算出した差分毎の出現頻度を出力させる手順と
    を実行させるものであり、
    前記取得予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、
    前記算出手順は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように取得予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてある
    ことを特徴とするコンピュータプログラム。
  8. パケットを送受信する通信装置と通信網を介して接続するコンピュータに、通信網に関する通信特性を測定させるコンピュータプログラムにおいて、
    コンピュータに、前記通信装置へ複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信させる手順と、
    コンピュータに、前記通信装置から、送信した夫々のパケットに対する返信として、送信したパケットを前記受信装置が受信した時刻を示す第1の時刻が書き込まれた複数のパケットを受信した場合に、返信となるパケットを受信した時刻を第2の時刻として読み取らせ、更に、返信となるパケットに含まれる第1の時刻を読み取らせる手順と、
    コンピュータに、読み取った第1の時刻と、受信した返信となるパケットに対応する送信したパケットの前記通信装置での受信予定時刻との差分を上りの差分として算出させる第1の算出手順と、
    コンピュータに、読み取った第2の時刻と、受信した返信となるパケットの自装置での受信予定時刻との差分を下りの差分として算出させる第2の算出手順と、
    コンピュータに、算出した上りの差分及び下りの差分毎の出現頻度を出力させる手順と
    を実行させるものであり、
    前記夫々の受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、
    前記第1の算出手順及び第2の算出手順は、算出した上りの差分又は下りの差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記取得予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてある
    ことを特徴とするコンピュータプログラム。
  9. パケットを送受信する複数の通信装置が接続する通信網に接続するコンピュータに、通信網に関する通信特性を測定させるコンピュータプログラムにおいて、
    コンピュータに、通信網上に設定される通信経路を構成する複数の通信装置を検出し、
    検出した複数の通信装置の中から、通信経路を転送されるパケットに時刻を書き込む複数の時刻測定用通信装置を決定させる手順と、
    コンピュータに、通信網を介して複数のパケットを所定の時間間隔で連続して送信させる手順と、
    コンピュータに、各時刻測定用通信装置にて夫々のパケットが受信された時刻を書き込まれた複数のパケットを受信した場合に、受信した複数のパケットから、夫々の時刻測定用通信装置にて書き込まれた時刻を読み取らせる手順と、
    コンピュータに、読み取った時刻と、受信した夫々のパケットの時刻測定用装置での受信予定時刻との差分を算出させる算出手順と、
    コンピュータに、算出した差分毎の出現頻度を出力させる手順と
    を実行させるものであり、
    前記受信予定時刻は、以前のパケットから読み取った時刻及び前記時間間隔に基づき予め算出している時刻であり、
    前記算出手順は、算出した差分が負の値をとる場合に、算出結果が0以上となるように受信予定時刻を修正し、かつ、既に算出済みの以前の差分も前記受信予定時刻の修正にあわせて修正するようにしてある
    ことを特徴とするコンピュータプログラム。
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