JP4521433B2 - 半導体素子及びこの半導体素子を用いた装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子及びこの半導体素子を用いた装置に関する。より詳細には、電荷をトラップする準位を有する絶縁体に電荷を蓄積する半導体素子と、そのような半導体素子を備えた装置、例えば、表示装置、液晶表示装置及び受像機に関する。
半導体メモリ素子は、一般的に半導体基板を用いて形成される。一方、液晶表示装置のようにガラス等の絶縁性基板を使用する装置においては、絶縁性基板上に半導体層が形成され、この半導体層を使用して、薄膜トランジスタ(TFT)が形成される。このTFTにより信号処理回路、装置駆動回路が構成される。これら回路を構成するTFTとともに、メモリ素子もこの絶縁性基板上に同時に形成されることが望まれている。
例えば、非特許文献1は、ガラス基板等の絶縁基板上に形成するシリコン窒化膜を用いた不揮発性メモリ素子を開示している。
図28は非特許文献1に開示された半導体記憶装置を示す模式図である。図中、901はガラスからなる絶縁性基板、902は下地絶縁膜、911はシリコン半導体層、921はボトム絶縁膜、922は電荷トラップ絶縁膜(窒化シリコン)、923はトップ絶縁膜、931はコントロールゲートである。コントロールゲート931の両側の半導体層911内には、N型不純物が高濃度にドープされた拡散層領域912、913が形成されている。この構成では、メモリ記憶部として機能するゲート絶縁膜はONO(Oxide−Nitride−Oxide)構造を有している。記憶情報の書換えは、ゲート電極931と拡散層領域912、913の間に高電界を印加し、シリコン半導体層911から電荷トラップ絶縁膜922に、ファウラー・ノルドハイム型(FN)トンネル電流によって電荷を注入することにより行なう。電荷トラップ絶縁膜922に蓄積された電荷量の多寡により、電界効果トランジスタであるメモリ素子の閾値が変化する。この閾値変化を検出することにより、記憶情報の読出しが行なわれる。
非特許文献1に記載のように、ガラスからなる絶縁性基板上に不揮発性メモリを形成する技術では、書込みや消去の際、電荷トラップ絶縁膜922への電子の注入や引き抜きをFNトンネル電流を用いて行っている。そのため、書込み及び/あるいは消去(書込み・消去)動作に高電圧を必要とする、という問題がある。上記非特許文献1においては、書込みに20V、消去に−40Vもの高電圧が印加されている。このため、書込み・消去用にこれらの高電圧を供給するための電源ないし昇圧回路が必要となり、製造コストを上昇させる。
一方、書込み・消去電圧を下げると、FNトンネルの効率が急激に低下し、書込み・消去速度が顕著に低下することになるため、充分なメモリウインドウを得ることができなくなる。
このような書込み・消去速度の低下を補うため、図29に示すような構造のメモリ素子が提案されている(非特許文献2参照)。このメモリ素子においては、シリコン半導体層911内の所定位置にグレインバウンダリ部941を形成し、この部位においてシリコン半導体層911の表面に突起942を形成している。このメモリ素子においても、書込み・消去は、ゲート電極931とN型拡散層領域912・913の間に高電界を印加することで、シリコン半導体層911から電荷トラップ絶縁膜922に、FN型トンネル電流によって電荷を注入することにより書込み・消去動作を行なう。
特に、このメモリ素子は、シリコン半導体層911の表面に突起942が形成されていることで、この突起942の部分に電界が集中し、この部位における電荷トラップ絶縁膜922への電荷のトンネリングが促進される。このため、突起942が無い上記非特許文献1の半導体記憶装置に比較し、より低い電圧での書込み・消去が可能となる。また、図29のメモリ素子では、ホットキャリアを用いた書込み・消去を行なうことで、さらに低電圧での書込み・消去を行なうこともできる。
また非特許文献3では、上記非特許文献2のように半導体層911内の所定位置にグレインバウンダリを形成し表面に突起を形成するとともに、このメモリ素子をNAND型に配置し、書込み及び消去はFNトンネルを用いて行っている。拡散層領域をP型に形成しており、一般にN型デバイスよりもホットキャリア生成効率が低いとされるP型デバイスとすることで、読出し誤書込み、いわゆるリードディスターブを抑制している。
Hung−Tse Chenら著「SID 05 Digest」,p1152−1155,2005年 Szu−I Hsiehら著「IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS」,p272−274,VOL.27,No.4,APRIL 2006 Hung−Tse Chenら著「IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS」,p499−501,VOL.28,No.6,JUNE 2007.
しかし、この図29のメモリ素子は、グレインバウンダリ部941のシリコン半導体表面に生じる突起942を利用している。突起942の形状や大きさは製造条件によってバラツキを生じやすい。非特許文献2及び非特許文献3のメモリ素子は、突起942の部分へ集中する電界を利用しているため、デバイス特性は、突起942の形状・大きさに強く依存することになる。その結果、メモリ素子間の特性バラツキが大きなものになってしまう。これはメモリの信頼性を低下させてしまう大きな問題であり、量産には不適当である。
本発明は上記問題を解決するものであり、高速な書込み及び消去動作を比較的低電圧で行い、かつ書換え劣化を抑えることで、メモリウインドウが大きく信頼性の高いメモリ特性を持ち、量産性に適する半導体素子を、低コストで提供することを目的とする。更には、そのような半導体素子を備えた装置、例えば表示装置、液晶表示装置及び受像機を提供することも目的とする。
本発明は、前記課題を解決するため、第1の発明の半導体素子は、絶縁基板上に設けられた半導体層と、前記半導体層内に設けられた、P型の導電型を有する第1の拡散層領域及び第2の拡散層領域と、少なくとも前記半導体層内の前記第1の拡散層領域と前記第2の拡散層領域との間のチャネル領域を覆い、該チャネル領域より電荷を注入され得る電荷蓄積膜と、前記電荷蓄積膜をはさんで前記チャネル領域とは反対側に位置するゲート電極とを備える。
この構成を有する本発明のP型半導体素子は、本発明に際して、我々の実験結果によれば、図4、図22とともに後述するように十分なメモリ特性、即ち書込み特性、消去特性、大きいウインドウを得ることができる。一方、絶縁基板上に形成したN型半導体素子は、図3、図20、図21とともに後述するように満足なメモリ特性、即ち書込み特性、消去特性、大きいウインドウを得ることができないことが分かった。本発明は上記のような知見に基づき発明されたものである。
一般的な単結晶半導体基板上の不揮発性メモリの場合、N型デバイスはP型デバイスよりも高速動作し、低電圧動作するので、不揮発性メモリを形成するためにはN型デバイスの方が望ましいと思われている。単結晶半導体基板上の不揮発性メモリの場合、書込みは、チャネル電流を流すことによって生成されるホットキャリアを電荷トラップ絶縁膜922に電荷注入することにより行なうことができる。この方法はFN型トンネル電流を用いた電荷注入よりも低電圧で高速な電荷注入が可能であり、図29のメモリ素子のような半導体の突起も必要としない。ここでは一般に、N型デバイスが用いられる。電荷トラップ絶縁膜に対し、N型デバイスでは電子注入を行なうのに対し、P型デバイスでは正孔注入を行なう。しかし、特にボトム絶縁膜としてシリコン酸化膜を用いる場合、電子に対する障壁よりも正孔に対する障壁の方が高いため、P型デバイスの方が電荷注入の効率が低い。また、P型デバイスではチャネル電流が正孔によって形成されるが、正孔の方がチャネル中でのイオン化率が小さく、ホットキャリアの生成効率が低い。またドレインを形成する不純物が軽い元素であるボロンであることから、ドレイン端の接合の急峻さがP型デバイスでは緩く、ドレイン端でのホットキャリア生成効率も低い。これらの点からもP型デバイスの方がホットキャリア注入効率が悪く、N型デバイスを用いる方が低電圧で高速に書込みを行なうことができるので、好ましいと考えられている。
同様に、絶縁基板上にメモリ素子を形成する場合もN型デバイスが望ましいと思われている。このことは、例えば非特許文献2においても同様と思われる。
しかし、我々の実験結果によると、絶縁基板上にメモリ素子を形成する場合には、ガラスや樹脂といった絶縁基板上に形成したN型メモリ素子は、満足なメモリ特性、即ち書込み特性、消去特性、大きいウインドウを得ることができないことが分かった。その一方で、本来はN型メモリ素子ほど高いメモリ性能が得られないと考えられてきたP型メモリ素子を、絶縁基板上に形成すると、意外にも十分なメモリ特性、即ち書込み特性、消去特性、大きいウインドウを得ることができることを見出したのである。
単結晶半導体基板上にメモリ素子を形成する場合には、チャネル領域を形成する半導体の結晶性が極めて高く、しかも膜形成等のデバイス形成工程において高温プロセスを用いることができる。例えばボトム絶縁膜の形成には、半導体基板表面の熱酸化法を用いることができ、高密度な膜を用いることができる。このことから、単結晶シリコン基板上に形成したメモリは、ホットキャリアによるダメージに比較的強く、メモリ書換えにこのホットキャリア注入を用いることができる。
一方、ガラスや樹脂といった絶縁基板上にメモリ素子を形成する場合、基板の耐熱性が単結晶半導体基板よりも低く、デバイス形成工程において高温プロセスを用いることができない。このため、チャネル領域を形成する半導体層の結晶性が比較的低く、またボトム絶縁膜の膜質も、単結晶半導体基板上に半導体素子を形成する場合ほど高密度な膜を用いることができない。これらの影響により、絶縁基板上に形成したN型メモリ素子に対して、単結晶半導体基板に形成したメモリと同様のホットキャリア注入を行なうと、半導体素子に大きなダメージが発生し、安定したメモリ特性が得られないのである。
実際、上記非特許文献1においても、ホットキャリアを用いた書込み方法を用いると、5回書き換えただけで特性が大幅に劣化したことが示されている(非特許文献1 Figure3.(c)参照)。
我々の実験結果によると、絶縁基板上に形成したP型メモリ素子は、独特のメカニズムを発揮し、それによって、N型メモリ素子では得られなかった十分なメモリ特性、即ち書込み特性、消去特性、大きいウインドウを得ることができるとともに、半導体素子に与えるダメージが少ないことが分かった。本発明はこのような知見に基づき発明されたものである。
本発明の半導体素子は、データの書込みまたは消去する、いわゆる半導体メモリ素子として使用することができる。また本発明の半導体素子は、書込み量を調整し、その書込み状態を維持することにより、閾値が調整された半導体素子として使用することができる。
従って、上記構成によれば、情報記憶のために電荷蓄積膜へ電荷注入を行い、P型半導体素子に高速な書込みまたは消去動作を比較的低電圧で行なうことができ、しかも書換え劣化を抑制できる。その結果、メモリウンドウが大きく、信頼性の高い半導体素子を実現できる。
第1の発明の半導体素子において、前記絶縁基板は、熱伝導率が0.1〜9W/m・Kである。また前記絶縁基板は、熱伝導率が0.5〜2W/m・Kのガラス基板である。また前記絶縁基板は、熱伝導率が0.1〜2W/m・Kの樹脂基板である。
また前記チャネル領域より電荷蓄積膜に注入される電荷は、前記第1の拡散領域から前記チャネル領域を通して第2拡散領域へ電流が流れる場合に、前記電流によって発生する熱アシストを受けたチャネル領域全面にわたるキャリア発生による電荷である。
また前記チャネル領域より前記電荷蓄積膜に注入される電荷は、前記第1の拡散層領域から前記チャネル領域を通して第2拡散領域へ電流が流れる場合に、前記電流によって発生する熱アシストを受けて前記電荷蓄積膜中に前記電荷が略対称に分布するよう注入される電荷である。
また、前記チャネル領域より前記電荷蓄積膜に注入される電荷は、前記第1の拡散層領域から前記チャネル領域を通して第2拡散領域へ電流が流れる場合に、前記電流によって発生する熱アシストを受け、少なくとも前記第1の拡散層領域近傍の前記電荷蓄積にトラップされる電荷である。
また、前記チャネル領域より前記電荷蓄積膜に注入される電荷は、前記第1の拡散層領域から前記チャネル領域を通して第2拡散領域へ電流が流れる場合に、前記電流によって発生する熱アシストを受けて注入され、前記電荷が注入された状態において、前記第1の拡散層領域に基準電位を印加し、前記第2の拡散層領域に負の電圧を印加した場合のしきい値と、前記第2の拡散層領域に基準電位を印加し、前記第1の拡散層領域に負の電圧を印加した場合のしきい値との差が、10%以下であることを特徴とする。
上記各構成によれば、情報記憶のために電荷蓄積膜へ正孔注入を行なう際には、拡散層領域間に電流を流すことで熱を発生させ、この熱を利用した、高効率で素子へのダメージが少ない正孔注入が実現できる。これらにより、メモリのウインドウマージンが広く信頼性の高い半導体素子が得られ、特に繰り返しメモリの書換えを行っても、ダメージによる劣化が小さく、広いウインドウマージンが確保される。このような高性能な半導体素子は、絶縁基板を用いて低コスト製造にて得ることができる。
第1の発明の半導体素子の一実施形態は、前記チャネル領域において前記半導体層の上面は略平坦である事を特徴とする。この実施形態によれば、半導体層の表面に突起を作る等の複雑な工程を必要としないために製造コストを抑えることができ、さらに、チャネルの上面が略平坦でなだらかな形状であることから、素子間の形状バラツキが小さく、素子間の特性バラツキを抑えることができる。よって、量産に適した半導体素子が得られる。
第1の発明の半導体素子の一実施形態は、前記半導体層は、前記絶縁基板上に島状に形成されることを特徴とする。また前記半導体層上および前記ゲート電極上に層間絶縁膜が形成されることを特徴とする。また、前記層間絶縁膜の少なくとも一部が樹脂からなることを特徴とする。また前記半導体層の膜厚が30nm〜150nmであることを特徴とする。また前記チャネル領域のチャネル幅が0.5μm〜100μmであることを特徴とする。また前記チャネル領域のチャネル幅が2μm〜20μmであることを特徴とする。また前記チャネル領域のチャネル長が0.1μm〜3。4μmであることを特徴とする。またチャネル領域は、チャネル長が0.1μm〜2.4μmであることを特徴とする。また前記チャネル領域は、チャネル長が0.1μm〜0.9μmであることを特徴とする。また、前記電荷蓄積膜は、少なくとも第1の絶縁膜と、電荷蓄積能力を有する電荷蓄積膜と、第2の絶縁膜との積層構造を有する。特に、前記電荷蓄積能力を有する電荷蓄積膜は、窒化膜または高誘電膜である。
この実施形態によれば、本発明の半導体素子として、好適に動作する半導体素子が得られる。
第1の発明の半導体素子の一実施形態は、前記半導体層が更にN型の導電型を有するコンタクト領域を備え、前記コンタクト領域が制御端子と接することを特徴とする。また 前記コンタクト領域と、前記第1の拡散層領域及び第2拡散層領域との間に、前記コンタクト領域の不純物濃度より低濃度の半導体層領域を形成したことを特徴とする。また前記低濃度の半導体層領域の上に前記ゲート電極を有していることを特徴とする。
この実施形態によれば、制御端子とN型の導電型を有するボディコンタクト領域とが接触することで、両者の間のコンタクト抵抗が低く、オーミックな接続をとることができるため、ボディ電位の制御性を高めることができ、動作バラツキが抑制される。
またコンタクト領域と拡散層領域の間に低濃度領域を有すること、特にその低濃度領域上にゲート電極を有することで、コンタクト領域と拡散層領域の間に逆方向電圧が印加されたときに両者の間に流れる接合リークを極力抑える。
また、第2の発明は、更に、前記絶縁基板上に表示装置を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、本発明の半導体素子が表示装置のパネル基板上に形成されているので、外付け部品自体のコスト、外付け部品の取り付けコストを削減することができる。また、調整の自動化が容易となるので、検査コストを削減することができる。更には、本発明の半導体素子はゲート絶縁膜の構造が単純で必要な工程数が少ないので、コスト削減にとって有利である。
また、第3の発明は液晶表示装置であって、パネル基板上に走査線と信号線がマトリックス状に配置され、走査線と信号線によって囲まれる領域を1画素とし、この1画素に対応する画素電極を選択的に駆動する駆動回路を備え、前記画素電極と対向電極の間に液晶を介在させた液晶表示装置と、前記液晶表示装置のパネル基板上に、デジタル情報が入力され、前記デジタル情報により定められる電圧を前記対向電極に出力する電圧出力回路と、デジタル階調データをアナログの階調信号に変換するDAコンバータと、前記デジタルの階調データとアナログの階調信号の電圧との相関を規定するデータを記憶するために、前記半導体素子を含む記憶回路を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、本発明の半導体素子が液晶表示装置のパネル基板上に形成されているので、外付け部品自体のコスト、外付け部品の取り付けコストを削減することができる。また、調整の自動化が容易となるので、検査コストを削減することができる。更には、本発明の半導体記憶装置はゲート絶縁膜の構造が単純で必要な工程数が少ないので、コスト削減にとって有利である。
また、第4の発明は受像機であって、表示装置と、前記表示装置のパネル基板上に、画像信号を受信する受信回路と、前記受信回路によって受信された画像信号を表示装置に供給する画像信号回路と、前記画像信号を生成するのに必要なデータを記憶するために、前記半導体素子を含む記憶回路を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、本発明の半導体記憶装置が形成された表示装置を備えているので、低コストで高機能な受像機を実現することができる。
また、第5の発明の半導体素子は、更に、前記絶縁基板を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、絶縁基板を加熱することにより、正孔注入が促進され、注入ダメージによる素子劣化を抑えながら高速に正孔注入することができる。
以上述べたように、第1の発明の半導体素子によれば、読出し電流小・読出し電流大の、2つの情報記憶状態が、それぞれ正孔注入・電子注入によってもたらされる。前者の正孔注入は、電流を流すことによって素子を発熱させ、その熱によって正孔注入を促進する効果を用いているため、ダメージ劣化が少なく、一部でダメージが発生しても熱によるアニール効果でこれを回復する効果がある。また、ダメージの少ない電子注入によってもたらされるのが、読出し電流大の情報記憶状態であることから、両情報記憶状態の差であるウインドウマージンを大きくとることができ、特に繰り返し書換えを行った場合にも、劣化が小さく信頼性の高い半導体メモリ素子が得られる。
また、第2の発明によれば、本発明の半導体素子が表示装置のパネル基板上に形成されているので、外付け部品自体のコスト、外付け部品の取り付けコストを削減することができる。また、調整の自動化が容易となるので、検査コストを削減することができる。更には、本発明の半導体素子はゲート絶縁膜の構造が単純で必要な工程数が少ないので、コスト削減にとって有利である。
また、第3の発明によれば、本発明の半導体素子が液晶表示装置のパネル基板上に形成されているので、外付け部品自体のコスト、外付け部品の取り付けコストを削減することができる。また、調整の自動化が容易となるので、検査コストを削減することができる。更には、本発明の半導体素子はゲート絶縁膜の構造が単純で必要な工程数が少ないので、コスト削減にとって有利である。
また、第4の発明によれば、本発明の半導体素子が形成された表示装置を備えているので、低コストで高機能な受像機を実現することができる。
また、第5の発明によれば、より高速、あるいはより低電圧での正孔注入が実現される。
以下の説明においては、情報記憶に結び付けられる2つの状態、いわゆる書込み状態と消去状態を、次のように定義する。
電荷を蓄積する機能を有するゲート絶縁膜中に、主に第1及び第2の拡散層領域の導電型における多数キャリアが蓄積されている場合を書込み状態と定義する。そして、これとは逆タイプのキャリアが主に蓄積されている場合、あるいは蓄積電荷が実効的に少ない場合を、消去状態と定義する。正孔と電子が共に蓄積されて互いのポテンシャルを打ち消しあい、実効的に蓄積電荷が少ない場合を含む。
本発明に関わる半導体素子は、第1及び第2の拡散層領域がP型である、Pチャネル型半導体素子であり、この場合は、電荷を蓄積する機能を有するゲート絶縁膜中に主に正孔が蓄積されている状態が書込み状態、主に電子が蓄積されている状態や蓄積電荷が実効的に少ない状態が消去状態と定義される。
(実施形態1)
本発明の実施形態1を、図1を用いて説明する。図1(a)は、図1(b)のA−B線断面模式図、図1(b)は平面模式図である。実施形態1の半導体素子(以下にはメモリ素子ともいう)1においては、ガラス基板又は樹脂基板からなる絶縁基板101上に下地絶縁膜102が形成され、下地絶縁膜102上には、更に、半導体層161が形成される。半導体層161には、ボディ領域111の少なくとも一部を挟むようにして、P型の導電型を有する2つの拡散層領域112及び113が形成される。これらはソース領域及びドレイン領域として機能する。
ボディ領域111は、N型の導電型又はイントリンシックである。ソース領域及びドレイン領域が機能するとき、半導体層161の表面層にチャネル領域110が形成される。このチャネル領域110が形成される半導体層の上面は平坦になっている。ここで、平坦とは、半導体層161の製造の際に、意図的に凹凸を形成しないという意味である。従って、本発明において、半導体層の上面が平坦とは、通常の半導体層の製造により形成される程度の平坦性を言う。例えば、半導体層を蒸着法で作製する場合にアモルファス半導体層の表面平坦性を指す。更にアモルファス半導体層をレーザアニ−ルによって、CGシリコンを形成する場合に得られるような平坦性を指す。例えば半導体層の凹凸が、半導体層膜厚よりも小さい状態が好ましく、さらに、凹凸の大きさが10nm以下であることがより好ましい。本発明はこのような平坦性を指している。意図的に凹凸を形成した半導体層は量産性を低下させ、素子間の特性バラツキの原因にもなり、望ましくない。
このような半導体層161は、メモリ素子を形成することが可能な大きさの島状に形成される。図1は、メモリ素子ごとに半導体層161が分離されるような例を示しているが、場合によっては、拡散層領域112・113の一方あるいは両方を、隣接するメモリ素子と共有する形をとってもよい。また、1つの島状半導体層161内にメモリ素子と周辺回路用TFTの少なくとも一部を含んでいてもよい。
半導体層161上には、電荷を蓄積する機能を有するゲート絶縁膜162が積層され、その上にゲート電極131がこの順に積層される。ボディ領域111のゲート絶縁膜162との界面付近は、トランジスタがオン状態のときに反転層が形成される領域であって、いわゆるチャネル領域110となっている。本発明の実施形態1の半導体記憶装置はゲート絶縁膜に蓄積された電荷の多寡により、2つの拡散層領域間を流れる電流を変化させるように構成されている。具体的には、書込み状態では電流量が小さく、消去状態では電流量が大きくなるため、この電流量の多寡によって記憶状態を読み出すことができる。
このような構造のメモリ素子の上部に層間絶縁層103がメモリ素子及び基板全部を覆うように形成される。
絶縁基板101は、ガラス基板又は樹脂基板からなるが、透明であれば透過型の液晶パネル等のディスプレイとして用いることができるので、透明なガラス基板、透明な樹脂基板を用いるのが好ましい。また、樹脂基板を用いた場合は、基板をフレキシブルにし、軽量化し、耐衝撃性を向上することが容易となるので、好ましい。絶縁基板101の厚さは、ガラス基板の場合、通常1mm程度である。そして、ガラス基板上に半導体プロセスにより、本発明の半導体素子を作製した後、表示装置の軽量化、薄型化のため数100μm程度に基板裏面を削るとよい。樹脂基板の場合も同様に基板上に本発明の半導体素子を作製した後、数100μm程度に基板裏面を削るとよい。
特に絶縁基板101の断熱性が良好である場合、後述するように、書込み時に半導体素子内に発生する熱によって半導体素子の温度を効果的に上昇させることができ、この熱の効果によって書込み速度を向上することができるというメリットがある。従って、SOI基板のようにシリコン基板上に絶縁層を形成した基板は、放熱性が良好であるため、本発明の半導体素子に使用する基板には適しない。
一般的なシリコン基板上の半導体素子を考えるとき、基板である結晶シリコンの熱伝導率は、その結晶状態にもよるが、典型的な値として、160W/m・K程度という、比較的高い熱伝導率の値をもつ。このため、半導体素子に電流を流した際に熱が発生しても、この熱は半導体基板内へ速やかに拡散していくことになる。
一方、本実施形態のように、断熱性の高い材料を基板101として用いる場合、半導体素子内に発生した熱は下方の基板内へと拡散しにくい。書込み動作時には後述するように半導体素子へ電流を流すが、この時発生するジュール熱は、基板101の断熱性によって下方へと拡散しにくく、その結果、半導体素子の温度が効果的に上昇することになる。
従って、本発明に使用する絶縁基板101は断熱性が高いほど好ましく、シリコン基板より熱伝導率が低ければよい。しかし、現実にはシリコン基板より断熱性のよい絶縁基板としては、ガラス基板、樹脂基板を使用することが可能である。
本実施形態のメモリ素子は、その大きな特徴として、デバイス温度が高い時に書込み効率が向上するという性質を有しており、すなわち、絶縁基板101の断熱性の高さが、高書込み効率をもたらすことになるのである。
例えば絶縁基板101として例えば水晶基板を用いる場合には、半導体基板よりも低い熱伝導率値8〜9W/m・Kとすることができる。
またガラス基板を用いる場合は、さらに低い熱伝導率値を持ち、2W/m・K以下の値、典型値として0.5〜1.5W/m・K程度の熱伝導率の値をとるため、基板101に高い断熱性を持たせることができる。
また樹脂基板としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、等の樹脂が、比較的高い耐熱性を有しており、用いることができる。これらの樹脂の熱伝導率は、材質や密度にもよるが、2W/m・K以下、低いものでは0.1〜0.2W/m・K程度の値を有する樹脂が市場にて提供されており、ガラス基板よりもさらに低い熱伝導率が得られる。このため半導体素子内で発生した熱をより逃しにくく、高い書込み効率をもたらす。
上記熱伝導率は、例えばレーザフラッシュ法により測定することができる。レーザフラッシュ法は特開2003−065982号公報などにより公知である。
基板の熱伝導率は、低い値であるほど、半導体素子内で発生した熱の拡散を抑制し、高い書込み効率をもたらすが、基板材料のもつ各物性、形成すべき半導体素子の仕様及び用途等に応じ、適切な材料を選択すればよい。例えばガラス基板を用いれば、上述の通り、基板が透明であるため、透過型の液晶パネル等のディスプレイとして用いることができ、本実施形態のメモリ素子をディスプレイと同一の基板上に作りこむことができる。ガラス基板は熱伝導率が非常に低いので、高い書込み効率が得られ、また半導体基板を用いるよりも低コストで半導体素子を製造できるメリットもある。樹脂基板を用いる場合には、一般にガラス基板よりもさらに熱伝導率が低く、ガラス基板よりも衝撃に強い。特にポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂を用いると、光透過性に優れているため、やはりディスプレイへ適用することができる。
以上のような、低い熱伝導性を有する基板は、書込み時に熱による書込み効率促進を効果的に発揮する。この熱アシスト効果については、後で再び詳述する。
下地絶縁膜102は、必ずしも必要となるとは限らない。しかしながら、絶縁基板101としてガラス基板を用いた場合は、下地絶縁膜102として、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン窒化膜、又はこれらの積層膜を用いるのが好ましい。この場合、下地絶縁膜102がバリアとなり、ガラス基板から拡散する不純物によってガラス基板の上に形成された半導体素子が汚染されることを防ぐことができる。一般に、シリコン窒化膜の熱伝導率は、その構造にもよるが、ガラスよりも高い熱伝導率を持つので、下地絶縁膜の一部としてシリコン窒化膜を用いる場合には、これを薄く、例えば1μm以内の膜厚にすることが好ましく、基板のもつ断熱性を大きく損なうことがない。また、少なくとも下地絶縁膜の最上層は、シリコン酸化膜などの熱伝導率の低い膜を用いることが、特に効果的である。
半導体層161は、例えばアモルファス、多結晶、単結晶のシリコンを用いることができる。好ましくはアモルファスシリコンをレーザアニ−ルすることによって、結晶粒界を大きくし、単結晶の特性に近づけるようにしたCG(Continuous Grain)シリコンを用いると、本発明の効果を顕著に得ることができる。
本実施形態の半導体素子は、比較的低温のプロセスを用いて形成されており、単結晶基板上に高温プロセスを用いて素子を形成する場合に比較すると、半導体層の結晶状態や、半導体層とゲート絶縁膜との界面状態が良好ではない。このため、チャネル中の移動度も比較的低く、ある程度チャネル抵抗が高い素子となる。例えば本実施形態の素子では、初期状態、すなわち素子製造後に一度も書込み動作や消去動作を行っていない、電気的に中和された状態における、チャネル中のキャリア移動度は、線形領域、常温下での測定において60〜120cm2/V・s程度の値となっている。あまり移動度が低くチャネル抵抗が高すぎると、書込み時の電流量が少なくなり、ジュール熱が発生しにくいため、キャリア移動度は30cm2/V・s以上であることが好ましい。この点で、半導体層の構造はアモルファスよりも多結晶や単結晶がより適している。
これら半導体以外にも、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム等の半導体材質を用いることができる。半導体層161の膜厚は、30nm〜150nmとすることが好ましい。30nm未満では、膜厚の均一性を保つのが難しく、150nmを超えると、トランジスタ動作時にチャネル下の半導体層が完全に空乏化しないことがあり、特性が悪化するためである。しかし、本発明のメモリ素子の動作では、完全空乏化は必要ないので、この半導体層161にメモリ素子だけを形成する場合は、150nm以上、数μmであってもよい。
本実施形態では2つの拡散層領域112、113がP型の導電型を有していることから、素子はPチャネル型となる。本発明は、後述するように素子をPチャネル型とすることにより書込み及び消去動作が高速となるためメモリウインドウが大きくなり、保持特性を優れたものとすることができる。ボディ領域111は、N型の導電型又はイントリンシックであることが好ましい。
半導体層161内のチャネル領域110上に形成されるゲート絶縁膜162は、電荷を蓄積する機能を有している。その厚さは、20nm〜150nmとすることが好ましい。20nm未満では、膜厚の均一性を保つのが難しく、かつ、耐圧が不十分となる。また、150nm以上を超えると、閾値が非常に高くなり、かつ、オン電流が著しく小さくなるためである。
ゲート絶縁膜162は、より具体的には、電荷蓄積絶縁膜としてのシリコン窒化膜122が、それぞれシリコン酸化膜からなるボトム絶縁膜121とトップ絶縁膜123とに挟まれた構造を有している。
ゲート絶縁膜162が電荷蓄積絶縁膜としてのシリコン窒化膜122を含む3層構造を有する場合、シリコン窒化膜122中に保持された電荷が外部に流出することを、ボトム絶縁膜121とトップ絶縁膜123が阻害するため、電荷の保持特性が向上する利点がある。
特に、絶縁基板101としてガラス基板や樹脂基板を用いる場合には、半導体基板よりもその耐熱性が低く、半導体素子の製造にあたっては、半導体基板を用いる場合と同様の高温のプロセスを用いることができない。このため、ボトム絶縁膜121の膜組成も、半導体基板上で半導体素子を形成する場合ほど、高い密度の膜を形成することができない。このため、高密度な膜に比べ欠陥が生じやすい。このような欠陥は保持電荷のリークパスとなる可能性がある。
一方、情報記憶のための電荷蓄積領域として、電荷蓄積絶縁膜122の代わりに、ポリシリコン等の導電体からなる、いわゆるフローティングゲート構造をとる場合、電荷が導電体に蓄積される。そのため、ボトム絶縁膜に1箇所でも電荷のリークパスが発生すると、保持電荷はそこから次々に流れ出し、もはや情報を記憶することができなくなる。そのためボトム絶縁膜はリークパスが発生しないよう形成する必要がある。
この点で、本実施形態のように、電荷蓄積領域としてはシリコン窒化膜等の電荷蓄積絶縁膜122を用いることが好ましい。絶縁膜中に電荷をトラップして保持することで、保持電荷の膜中の移動を防ぎ、仮にボトム絶縁膜121の一部に欠陥が入り、電荷のリークパスが生じても、欠陥近傍に存在する電荷のみが流出し、ほとんどの電荷は電荷蓄積絶縁膜内にとどまる。よって、欠陥に強い、信頼性の高いメモリ素子が得られる。
本実施形態の場合、好ましい膜厚例として、ボトム絶縁膜121を5nm〜20nm、シリコン窒化膜122を10nm〜50nm、トップ絶縁膜123を5nm〜50nmなどとする。ボトム絶縁膜121やトップ絶縁膜123を5nmよりも薄くすると、電荷保持膜からの電荷の流出を防ぐ効果が下がり、保持時間が短くなる恐れがある。またこれらの膜からなるゲート絶縁膜162が厚いと、ゲート電界がチャネルに及ぼす効果が弱くなるため、書込み速度が遅くなる。また特にボトム絶縁膜121に関しては、この膜を通じてキャリアを注入するため、膜厚が厚いと、電荷注入効率が低下する。その他、電荷蓄積膜であるシリコン窒化膜122とチャネル110との距離が大きくなるため、チャネル110に対する蓄積電荷の影響が相対的に小さくなり、メモリウインドウを低下させる。つまり、ゲート絶縁膜162、とりわけボトム絶縁膜121が過度に厚いとウインドウマージンを狭めることになる。これらのことから、上記膜厚が好ましいのである。
さらに好ましい膜厚としては、ボトム絶縁膜121を5nm〜20nm、シリコン窒化膜122を10nm〜30nm、トップ絶縁膜123を5nm〜20nmなどとする。このように各膜厚を薄くし、ゲート絶縁膜162をより薄くすることで、後に説明する書込み動作において、ゲート電界を強くチャネル領域へ作用させ、特にドレイン端における横方向電界を緩和させることができる。これにより、ドレインアバランシェ等によって半導体素子にダメージを与えるほど高エネルギーのキャリアが書込み時に発生することを、極力抑えることができる。このため、メモリ素子の信頼性が高い。
また電荷蓄積膜としては、シリコン窒化膜122の代わりに、酸化ハフニウムや酸化ジルコニウムなどの高誘電膜、あるいはシリコン酸化膜中に導電体粒または窒化物粒を含有したものなども、用いることができる。また一方、ゲート絶縁膜162はシリコン窒化膜の単層膜であってもよく、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の2層膜であってもよいが、シリコン窒化膜からの電荷流出を防止し長期保持を実現できる点で、上記のような3層膜、あるいはそれ以上の積層膜がより好ましい。
ゲート絶縁膜162上には、ゲート電極131が形成される。ゲート電極131の材質は、W、Ta、Al、TaN、TaAlN等の金属、アモルファスシリコン、ポリシリコン等の半導体とすることができるが、この限りではない。
層間絶縁膜103は、代表的にはシリコン酸化膜や、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜が使用されるが、その他の絶縁膜であってもかまわない。この絶縁膜103は、半導体素子内で発生した熱の拡散を抑える断熱材の役割を果たし、後述する熱アシストに寄与する。特に好ましくは、層間絶縁膜の一部を、熱伝導率の低い樹脂材料とすることで、さらに断熱性を高めることができ、しかも容易にこれを実現できる。なお、図1(b)では層間絶縁膜103の図示を略した。
本発明の実施形態1のメモリ素子は、通常の薄膜トランジスタ(TFT)を形成する手順に準じて形成することができる。すなわち、シリコン半導体層161、ボトム絶縁膜121、シリコン窒化膜122、トップ絶縁膜123は、プラズマCVD法により形成することができる。
ただし、イオン注入法又は固相拡散法により、P型の導電型を与える不純物を、2つの拡散層領域112及び113となるべき領域に導入する。この後、適宜アニール処理を行い、拡散層領域112、113を形成する。P型の導電型を与える不純物としては、例えばボロンまたはアルミニュウムなどが使用可能であるが、本発明ではボロンを使用した。また不純物濃度はボロンを使用した場合、1×1019cm-3〜3×1020cm-3が望ましい。
この後引き続き、コンタクト、及び上層メタル配線を設ける(図示略)ことで、本実施形態1のメモリ素子が得られる。
本発明では、半導体層161表面に、図29のような突起942を形成するなどの複雑な工程は、全く必要としない。
次に、本発明の実施形態1のメモリ素子の情報記憶に関わる操作方法として、書込み方法を説明する。図2に示すように、一方のP型拡散層領域112に接続された端子152に直流電源180より第1の電圧印加回路181を介して第1の基準電圧を印加する。他方のP型拡散層領域113に接続された端子153に基準電圧に対し負の書込み電圧(例えば基準電圧に対し−6V〜−14V)を直流電源180より第2の電圧印加回路182を介して印加する。ゲート電極131に接続された端子151に基準電圧に対し負の電圧(例えば基準電圧に対し−6V〜−18V)を直流電源180より第3の電圧印加回路183を介して印加する。
上記第1の電圧印加回路181、第2の電圧印加回路182、第3の電圧印加回路183は、それぞれスイッチング素子を備えて構成され、これらスイッチング素子は図示しないデコーダ回路により選択的に電圧印加のタイミングおよび電圧印加時間および電圧印加の順序が制御される。
このとき、拡散層領域112〜113間のチャネル領域に電流が生じるが、チャネル領域は一種の抵抗体であることから、ジュール熱が発生する。この熱によって、電荷蓄積膜であるゲート絶縁膜162に注入されるのに充分なエネルギーを持った正孔が生成される、という効果がある。これがゲート絶縁膜162内に注入されることで(正孔171)、書込みが行なわれる。
この場合、チャネルはピンチオフしない。しかし、ピンチオフした場合も、ピンチオフしない場合も、上記説明のように、ジュール熱が発生し、この熱により、充分なエネルギーを持った正孔がチャネルの全部分に生成されるので、チャネル領域の上方に位置するゲート絶縁膜162の全領域に正孔171が注入される。
ここでの好ましい電圧印加方法としては、他方の拡散層領域113へ印加する負電圧よりも、ゲート電極131へ印加する負電圧の方が、絶対値が高くなるようにする。このような条件下で書込みを行なうと、拡散層領域113端の横方向電界が、ゲート電極131の電界によって緩和されるので、拡散層領域113端付近でのインパクトイオン化等によるホットキャリア生成効率が低くなる。従って、ゲート絶縁膜162や、ゲート絶縁膜162とボディ領域111との界面にダメージを与える恐れが少なくなる。
このように、ゲート電極131により高い負電圧を印加する上記方法を用いれば、拡散層領域113端の横方向電界を緩和しホットキャリア生成を抑えることができるので、このダメージを抑制する効果がある。本実施形態のメモリ素子の書込み時は、拡散層領域112〜113間のボディ領域111全体で発生する正孔注入を主に利用しているため、拡散層領域113端でのインパクトイオン化が抑えられても、充分に書込みを行なうことができる。しかもこの注入方法はダメージが少ないので、信頼性の高いメモリ素子となっている。これらのメリットについては後に詳述する。
読出し動作は、例えば拡散層領域113をソース、拡散層領域112をドレインとしてトランジスタ動作させる。上記の書込みが行なわれた状態で、読み出しを実施すると、拡散層領域112と拡散層領域113の間を流れる読出し電流が、書込みを行っていない場合に比べ、減少する。従って、読出し電流の大小により、書込み状態を読出すことができる。
なお、書込みの際の上記基準電圧は、グラウンド電位に一致させてもよいし、また必要に応じ、グラウンド電位以外の電位を使用することも可能である。例えば、基準電圧を14Vとした場合の上記各電圧例は、他方の拡散層領域113が8V〜0V、ゲート電極131が8V〜−4Vとなる。この場合、各端子に印加する電圧の絶対値を抑えることができるため、電圧を供給するための周辺回路を簡略化することができるメリットがある。
ここで、本実施形態は、いわゆるPチャネル型半導体素子として形成されることを特徴としているが、この点が、メモリウインドウ確保に、極めて重要となっている。この点について以下に説明する。
図3は、レファレンスとして、本発明のメモリ素子と同様の構造を有するNチャネル型半導体素子の書込み特性を示す図である。ここで、同様の構造を有するとは、ゲート長、ゲート幅、ゲート絶縁膜の材質・膜構成・各膜厚がPチャネル型半導体素子と同一であることを指している。更には、形成プロセスにおいては、Nチャネル型の素子を形成するため、拡散層領域等を形成するためのイオン注入工程が異なる他は、製膜工程、エッチング工程、熱工程なども共通としている。
図3の測定に使用した半導体素子は、図1(a)の断面図、図1(b)の平面図に示した構成をもつ。この半導体素子は熱伝導率が1W/m・Kのガラス基板よりなる絶縁基板101、膜厚が40nmのCGシリコン半導体層161、チャネル幅が2.5μm、チャネル長が0.45μmのチャネル領域110を備える。またゲート絶縁膜162は、シリコン酸化膜よりなり、膜厚が10nmのボトム絶縁膜121、膜厚が20nmのシリコン窒化膜122、シリコン酸化膜よりなり、膜厚が15nmのトップ絶縁膜123によりなる。トップ絶縁膜及びボトム絶縁膜は、テトラエトキシシランを用いたプラズマCVD法によって形成した、いわゆるTEOS酸化膜を用いた。ゲート電極131はタングステンよりなり、層間絶縁膜103はシリコン酸化膜よりなる。この半導体素子に図2の書込み回路を使用して、ゲート電圧Vgとして16V、ドレイン電圧Vdとして10V、ソース電圧Vsとして0Vを印加した。
図3は、書込み前、1ミリ秒の書込み後、10ミリ秒の書込み後、100ミリ秒の書込み後におけるId−Vg特性を示す。図3に見られるように、書込み時間が100ミリ秒のとき、閾値シフトは約1Vである。
一方、Pチャネル型である本発明のメモリ素子は、図3の測定に使用した半導体素子とは、導電型が異なる以外は同じ素子を使用した。図4に書込み前、1ミリ秒の書込み後、10ミリ秒の書込み後、100ミリ秒の書込み後におけるId−Vg特性を示すように、書込み時間が100ミリ秒のとき、閾値シフトは6Vを超えていた。なお、両者の書込み電圧は符合が逆になっているが、絶対値は同じとした。つまり、一方の拡散層領域及びボディへの印加を基準電圧とし、ゲート電圧の絶対値を16V、もう一方の拡散層領域への印加電圧の絶対値を10Vとした。
図3及び図4から明らかなように、Pチャネル型である本発明の半導体記憶素子は、Nチャネル型に比べて書込み速度が高速なため、メモリウインドウを大きくすることが可能となり、若しくは高速動作が可能となる。なお、Nチャネル型素子の書込み速度を高速化するために、ゲート電極を複数備えた、いわゆるダブルゲート構造とすることができる。しかしながら、ダブルゲート構造とした場合には製造プロセスが著しく複雑となるため、製造コストが大幅に増大してしまう。量産性を考慮した場合、本発明のようにPチャネル型とすることのメリットは大変大きいのである。
上記のように絶縁基板上に設けられた本実施形態の半導体記憶素子は、P型半導体素子として形成されることに特徴を持ち、これによって、N型半導体素子として形成した場合には得られない良好な特性を得ることができる。本実施形態のメモリ素子には、さらに以下のような独特の特徴、独特のメカニズムを有している。それは、先に述べておいたように、拡散層領域112〜113間のチャネル領域に電流を流すことによってジュール熱が発生し、この熱によって、注入されるのに充分なエネルギーを持った正孔が生成される、という点である。
このことを実証するために、図1に示す素子をヒーター加熱して実験した。即ち、ヒーター及び熱電対が埋め込まれたプレート上に、図4の測定に使用した半導体素子を吸着させて載置し、熱電対で加熱温度を測定して、実験した。図5は、加熱温度ごとの書込み時のしきい値シフトを示す。図5に示されるように、ヒーター温度を30℃から200℃まで変化させた場合、温度が高いほど、書込み速度が向上していることがわかる。すなわち、半導体素子の温度が高いほど、ゲート絶縁膜への正孔注入効率が高くなるという特徴があり、半導体素子を加熱しながら書込み動作を行なうことで、書込みを高速化、あるいは低電圧化することができる利点がある。
なお、ここで用いた素子は、チャネル長0.7μm、チャネル幅2μm、ゲート絶縁膜の構造が、トップ絶縁膜(TEOS膜)15nm、シリコン窒化膜20nm、ボトム絶縁膜(TEOS膜)10nmとなっているものを用いている。書込み条件は、基準電圧(ソース電圧)に対し、ゲート電圧を−15V、ドレイン電圧を−8Vとし、100m秒の書込みとし、初期状態の素子に対して書込みを行った。表記の温度で書込みを行い、読出しは室温下で行っている。
ここでは実証実験のため、ヒーターが埋め込まれたプレート上に図1の素子を置いたが、半導体素子の近傍に抵抗素子あるいはチャネル抵抗を配置し、この抵抗素子あるいはチャネル抵抗に電流を流して半導体素子を加熱する構成としてもよい。チャネル抵抗によって半導体素子を加熱する場合は、本発明の半導体素子が熱アシストするのと同等になる。
ここで本実施形態では、絶縁基板101としてガラス等の熱伝導率が低く断熱性の高い材質を用いているが、このことが書込み効率の向上に対し重要な効果をもたらしている。書込みの際、一種の抵抗体であるチャネル領域へ電流を流していることで、ジュール熱が発生するが、基板101の断熱性が高いため、発生した熱の基板側への拡散が抑制され、半導体素子に熱がこもりやすく、効果的に半導体素子の温度が上昇することになる。その結果、基板をヒーター加熱した場合と同様に書込みを促進する効果がもたらされることになるのである。
図6に、書込み時しきい値シフト量とチャネル幅の関係を示す。図6の測定に使用した半導体素子は、チャネル幅以外の点は図5の測定に使用した半導体素子と同じであり、書込み及び読出し電圧条件も同じである。チャネル幅が異なる半導体素子を使用して測定し、書込み時間100m秒、1秒、10秒の場合について、チャネル幅と書込みシフト量の関係をプロットした。図6によれば、チャネル幅が大きいほど、シフト量が大きく書込み効率が向上していることがわかる。これは、素子のチャネル幅が大きいほど、書込み時に素子に流れる電流の絶対量も大きくなり、そのため本発明の半導体素子1個あたりに発生する全ジュール熱が大きくなる。そのため本発明の半導体素子は書込み時のデバイス温度が高くなるので、より高い書込み効率が実現されることになる。電流を大きくし過ぎると、温度が上昇し過ぎて、絶縁基板101や半導体層161にダメージを与えるほどの高温になってしまう。そのため、メモリ素子としてデバイス駆動する場合は、熱的効果によって書込み効率が高くなり、かつダメージが発生するほどの高温にならない程度の電流値に設定する。
さらに、半導体層161が島状に設けられ、かつ断熱性をもった層間絶縁膜165を形成していることで、書込み時に発生する熱が、水平方向や上方向に拡散することも抑制され、さらに効果的に書込み時の半導体素子温度が上昇し、書込みが促進される。すなわち、より低い電圧での書込みを可能とする。
本実施形態の主な書込みメカニズムは、FN型トンネル電流でもなく、拡散層領域113端付近でのいわゆるドレインアバランシェによるホットキャリアの発生等でもない。本発明の書込みメカニズムは、書込み時電流による発生熱のアシストを受けたチャネル領域全面におけるキャリア発生という、特異なメカニズムを利用したものである。これを次に説明する。
図7(a)(b)に、より高いドレイン電圧、Vds=−4Vにて読出しを行った場合のId−Vg特性を示す。図7(a)(b)において、書込みを行なう前の初期特性を一点破線で示す。書込みを行った後、拡散層領域112をドレイン・拡散層領域113をソースとした場合の読出し特性を実線で示す。逆に拡散層領域112をソース・拡散層領域113をドレインとした場合の読出し特性を点線で示す。従って、図7は、書込み後における両方向読み出しの特性を比較している。ここでの書込み条件は、図7(a)は書込みゲート電圧―12V,図7(b)は書込みゲート電圧を−15Vとした場合である。共に、ドレイン(拡散層領域113)電圧は−12V、ソース(拡散層領域112)電圧を0Vとしている。
どちらの図においても、拡散層領域113をソースとした場合の読出し特性と、逆に拡散層領域112をソースとした場合の読出し特性は、比較的よく一致している。例えば、素子が十分にオンし始めるポイントとして、読出し電流10μA/μmとなるゲート電圧を、しきい値Vthと定義し、値を読み取ると、図7(a)では初期状態がVth=−1.54Vに対し、書込み後は、拡散層領域113がソースの時Vth=−6.04V(しきい値シフト量ΔVth=−4.50V)、拡散層領域112がソースの時Vth=−5.91V(しきい値シフト量ΔVth=−4.37V)であり、両読出し条件の差は0.13Vに過ぎない。つまり、初期状態からのしきい値シフト量ΔVthに対する両読出し条件の差は約3%である。同様に図7(b)の場合は、ΔVthに対する両読出し条件の差は約2%である。このように両読出し条件は、非常に近い特性を示している。これは、拡散層領域112〜113間の上のゲート絶縁膜162中に注入されトラップされた正孔の分布が、図2の紙面左右方向(チャネル長方向)において概ね左右対称に分布していることを示している。
なお、図7(a)(b)の測定に使用した半導体素子は、チャネル長0.7μm、チャネル幅4μmで、ゲート絶縁膜の構成が、トップ酸化膜(TEOS酸化膜)123の膜厚が15nm、シリコン窒化膜122の膜厚が20nm、ボトム酸化膜(TEOS酸化膜)121の膜厚が10nmである。
ここでもし、書込みのメカニズムが拡散層領域113端付近でのいわゆるドレインアバランシェによるホットキャリアの発生に起因するものであれば、電荷発生は拡散層領域113端付近で起こるため、蓄積電荷も主に拡散層領域113端付近のゲート絶縁膜162内に局在することになる。このような状況において、ドレイン電圧を高く設定して読出しを行なう場合、いわゆる飽和領域またはそれに近い状況でのトランジスタ動作となる。そのため、ドレイン端がピンチオフ状態ないし、それに近い状態となり、蓄積電荷の局在がドレイン側にあるか、ソース側にあるかによって、読出し電流に差が発生することになる。
まず、読出し時に、蓄積電荷が局在した側である拡散層領域113をソース、もう一方の拡散層領域112をドレインとして読出しを行なう場合には、蓄積電荷がソース近傍に存在するために読出し電流がそのポテンシャルの影響を受けやすく、読出し電流が低くなる。一方、逆に拡散領域112をソース、拡散領域113をドレインとして読み出す場合には、ドレイン電圧が高く、ドレイン端がピンチオフ状態ないしそれに近い状態となっているため、ドレイン側に局在した蓄積電荷が読出し電流へ与える影響が小さくなり、先ほどの場合ほど、読出し電流は低下しない。その結果、両読出し条件間で読出し電流に顕著な差が発生することになるのである。
ところが本実施形態の高ドレイン電圧下での読出しにおいては、両読出し条件間で、このような特性の差は発生していない。これは、ゲート絶縁膜162中の蓄積電荷の分布が、拡散層領域113近傍のみに局在した左右非対称な電荷分布ではなく(ここで左右とは、図2紙面における左右である)、概ね左右対称になっていることを意味する。つまり、チャネル長方向全面にわたって、電荷が概ね一様に蓄積されていると考えられるのである。これは、本実施形態の主な書込みメカニズムが、書込み時電流による発生熱のアシストを受けた、チャネル領域全面にわたるキャリア発生を利用した特異なものであることに起因している。このメカニズムによって書込みを行なうことで、高速でかつダメージの少ない書込みを行なうことができる。
この書込みの際、本実施形態は、基準電位(ソース電位)に対して、ゲート電圧をドレイン電圧よりも高く設定すると、ゲート電界によってドレイン端近傍の横方向電界を緩和し、ドレイン端付近での局所的なホットキャリアをより効果的に抑えることができる。したがって、半導体素子のダメージを防ぎメモリの信頼性を向上させることができる。また、ゲート絶縁膜162を薄くすることでも、ゲート電界をより効果的に作用させることができるので、同様に局所的ホットキャリア生成を抑え、メモリの信頼性を向上させられる。
図7(c)(d)は、図7(b)よりも厚いゲート絶縁膜を用いた半導体素子に対して、図7(b)と同じ書込み電圧条件で書込み及び読み出しを行ったときのId−Vg特性である。それ以外は、図7(b)と同じである。トップ酸化膜/シリコン窒化膜/ボトム酸化膜からなるゲート絶縁膜の構成をそれぞれ、図7(c)では膜厚20nm/30nm/10nm、図7(d)では40nm/40nm/10nmとしている。チャネル長、チャネル幅は同じである。これらの図からわかるように、膜厚が厚いほど、両方向読みの特性に若干の差が発生し、書込み時にドレインとした拡散層領域113を読出し時にソースとした実線の方が、やや低い電流になっている。図7(a)(b)に対して行ったとのと同じ計算をすると、拡散層領域113をソースとした場合の初期状態からのしきい値シフト量ΔVthに対する、両読出し条件の差は、図7(c)が約4%、図7(d)が約9%であり、膜厚が厚い方が、差が大きくなっている。
これは、膜厚が厚い半導体素子においては、拡散層領域113側に蓄積電荷の偏りがあることを示しており、すなわち、本実施形態のメモリ素子の主な書込みメカニズムである、熱アシストによるチャネル領域全面からの電荷注入に加え、ドレイン端での局所的なホットキャリア発生も一部起こっていることを意味する。つまり、ゲート電界によってドレイン端付近の横方向電界を緩和する効果が、ゲート膜厚が厚いほど弱くなり、ドレイン端での高エネルギーなホットキャリアの発生が起こるため、これによって半導体素子がダメージを受ける恐れがある。この点においてゲート絶縁膜は、電気的膜厚において薄い方が好ましく、より効果的にドレイン端の高エネルギーホットキャリア生成を抑えることができる。書込み後の電荷分布は、ドレイン端に局在せず、概ね均一となり、すなわち両拡散層領域間で概ね対称なポテンシャル分布となることから、上記のように、ソースとドレインを入れ替えて読み出しを行っても互いに近い特性となる。ポテンシャル分布が均一であるほど好ましいことから、両者の特性差は小さいほど好ましいことになる。両者のしきい値差が、書込みによるしきい値変動量に対し、10%以下になることが好ましい。
以上のように、本発明は熱アシストによるチャネル領域全面からの電荷注入によって電荷蓄積膜に電荷が蓄積される。しかし、本発明は電荷蓄積膜に蓄積される電荷が全部熱アシストによるチャネル領域全面からの電荷注入に限定されない。半導体素子がダメージを受けない程度であれば、ドレイン端に生成されるホットキャリアが注入されてもかまわない。
図7(d)では、誘電率によって換算した電気的膜厚は、シリコン酸化膜換算でおよそ60nmとなり、これよりも薄いことが好ましい。より好ましくは、図7(c)のケースのように、シリコン酸化膜換算で45nmのゲート絶縁膜とすることで、より効果的にドレイン端ホットキャリア発生を抑えられる。さらに図7(a)(b)に示すように、シリコン酸化膜換算で35nmにまでゲート絶縁膜の電気的膜厚を薄くすると、蓄積電荷はチャネル上でほぼ均一となり、ドレイン端ホットキャリア発生が非常によく抑制され、極めて信頼性の高い半導体素子が得られる。
一方、過度にゲート絶縁膜が薄いと、膜厚バラツキの影響によってデバイス特性バラツキの恐れがあり、またゲート絶縁膜の耐圧が低くデバイス破壊の恐れもあり、またすでに述べたように電荷保持特性を悪化させる可能性もある。このことから、トップ酸化膜/シリコン窒化膜/ボトム酸化膜をそれそれ5nm/10nm/5nm以上、つまりシリコン酸化膜換算の電気的膜厚で15nm以上とするとよい。従って、シリコン酸化膜換算の電気的膜厚で、15nm〜45nmが好ましい範囲である。
あるいは、ゲート絶縁膜の電気的膜厚を薄くし、かつ実膜厚か薄くなり過ぎないことが好ましいのであるから、電荷蓄積膜として、シリコン窒化膜よりも誘電率の高い酸化ハフニウムや酸化ジルコニウム等を用いることも、効果的である。
以上より、本実施形態では、ガラス基板使用の場合、熱伝導率は典型的な値として0.5〜1.5W/m・K程度の値をとる。このように、基板101として断熱性の高い材質を使用しているために、書込み時の電流によって発生した熱を基板側に極力逃がさず、この熱をもって半導体素子の温度を効果的に上げることができる。書込み効率は温度が高くなることによって向上することから、半導体素子が自ら発する熱を利用した、効率的な書込みを実現することができる。
半導体層161を島状に形成し、更に層間絶縁膜165を形成することは、熱がメモリ素子に集中するために効果的である。すなわち、本実施形態のように、基板としてガラス基板あるいは樹脂基板を用いた場合、基板が廉価であるために低コストで生産できるメリットと、熱伝導率が低く断熱性が高いために上述のような熱を利用した書込みを高速化できるメリットの、両方を得ることができるのである。
さらには図6に示したように、チャネル幅が大きいほど高い書込み速度が得られる。これは、本発明の半導体素子のソースードレイン間電流が大きく、発熱量が大きいため温度が上がりやすいことに起因している。従って、チャネル幅が大きいほど、より高速に、あるいはより低電圧で書込みを行なうことができるメリットが得られることになる。
チャネル幅は、100μmよりも大きく、例えば200μmなどと設定した場合には、書込み時の電流量が非常に大きいため、寄生抵抗による電圧降下の影響を受けやすく、また半導体素子の面積自体も増大することで放熱効果も高まることから、チャネル幅100μmの場合に比較して書込み速度の向上があまり大きなものではない。その一方、電流量の増加によって、消費電力の増大や周辺回路面積の増大、あるいは配線へのダメージや破壊が発生する恐れもあり、チャネル幅は100μm以下に設定することが好ましい。
またチャネル幅を0.5μmよりも小さく、例えば0.3μmなどとした場合は、半導体素子ごとのバラツキが大きくなる。このため、チャネル幅は0.3μmよりも大きくすることが好ましい。
以上より、好ましいチャネル幅としては0.5μmから100μmとすることができる。特にバラツキを抑制し電流量も比較的小さくできる、さらに好適なチャネル幅としては、2μmから20μmの値を選択することができ、本実施形態では好ましいチャネル幅の一例として5μmに設定する。
チャネル長については、チャネル長が大きすぎると書込み速度が非常に遅くなってしまう問題があり、5μm以下とすることが好ましい。一方、チャネル長が0.1μmよりも小さくなると、短チャネル効果の影響が大きくなり、半導体素子間バラツキも大きくなることから、チャネル長0.1μm以上であることが好ましい。
次に、チャネル長L、チャネル幅W、及び書込みドレイン電圧Vdsに対する書込み速度の依存性について説明する。図8はさまざまなチャネル長L、チャネル幅W、書込みドレイン電圧Vdsにおける書込み特性の例を示している。ゲート絶縁膜の構成は、トップ酸化膜(TEOS膜)15nm、シリコン窒化膜20nm、ボトム酸化膜(TEOS膜)10nmとした。いずれも書込み時の電圧はソース電圧は0V、ゲート電圧Vgsは−15Vとしている。読み出しドレイン電圧は−0.05Vである。グラフは、横軸が書込み電圧印加時間、縦軸が書込みによってしきい値が初期状態からシフトした量を表しており、Pチャネル型半導体素子に対する正孔注入であるので、しきい値は書込みによって負へとシフトしている。
図8(a)は、L=1.2μm/W=2μmの半導体素子と、L=2.7μm/W=10μmの半導体素子の書込み特性を、ドレイン電圧Vdsが−9V、−12V、−15Vにおいてそれぞれ測定し(各々、丸、三角、四角で表示)、比較した例である.このグラフによると、いずれのドレイン電圧においても、L=1.2μm/W=2μmの半導体素子とL=2.7μm/W=10μmの半導体素子の書込み特性は、似たような特性となっている。
また、図8(b)はさらに3つの異なるチャネル長L、チャネル幅W、書込みドレイン電圧Vdsでの書込み特性の例を示している。
(a)L=0.7μm/W=10μmの半導体素子へのVds=−9V書込みと、L=0.7μm/W=4μmの半導体素子へのVds=−12V書込みが、近い書込み特性(グラフの丸印)となっている。
(b)L=0.7μm/W=2μmの半導体素子へのVds=−12V書込みと、L=1.2μm/W=4μmの半導体素子へのVds=−15V書込みが、近い書込み特性(グラフの三角印)となっている
(c)L=0.7μm/W=4μmの半導体素子へのVds=−6V書込みと、L=1.2μm/W=4μmの半導体素子へのVds=−9V書込みが、近い書込み特性(グラフの四角印)となっている。
上記(a)(b)(c)のような特徴を読み取ることができる。
このように、チャネル長が小さいほど、あるいはチャネル幅が大きいほど、あるいはドレイン電圧が高いほど、書込み速度が高くなる、という特徴に加え、さらに次のような経験則を読み取ることができる。すなわち、書込み速度は、ドレイン電圧値Vdsの絶対値の3/2乗に、チャネル幅Wの値の平方根を掛け、チャネル長Lの値で割った値に概ね依存している、という経験則である。図9にこれを示す。チャネル長を0.7μm〜2.8μm、チャネル幅を2〜10μm、ドレイン電圧を−6〜−15Vの間で適宜振り、それぞれ書込みを行った場合の書込みシフト量を示している。横軸は|Vds|3/2×W1/2÷Lの値、縦軸は100m秒書き込んだ際のシフト量を示している(Vdsの単位はV、チャネル幅Wの単位はμm、チャネル長Lの単位はμm)。この時、少なくともこの測定範囲内において、Wの値によらず、両者の値には相関があり、|Vds|3/2×W1/2÷L値が高いほど書込み速度が高くなっている。
この傾向はあくまで経験則であるが、定性的には次のように理解できる。書込み速度には、上述したようにチャネル部の温度が影響しているが、チャネル部の横方向電界も寄与しており、横方向電界が強いほど書込み効率が上がると考えられる。ここで、チャネルを単なる抵抗と近似的に見做し、抵抗値をRとすると、発熱量PはP=|Vds|2/Rで表され、RはLに比例、Wに反比例する。したがって、Pは|Vds|2×W/Lに依存することになり、デバイス温度も|Vds|2×W/Lの値に依存する。またチャネル部横方向電界は、これも近似的にチャネルを均一な抵抗体と見做すと、|Vds|/Lで表される。
書込み速度は、この2つのパラメータ、|Vds|2×W/Lの値と|Vds|/Lの値に影響されているので、結局、Lに対する依存性(L小で書込み効率大)に対し、Vdsの方が寄与(|Vds|大で書込み効率大)がさらに大きく、Wの寄与(W大で書込み効率大)はLほど大きくないと予想される。このため、上記2つのパラメータを単純に掛け合わせたものの平方根である、|Vds|3/2×W1/2÷Lの値を用いると、厳密なものではないものの、書込み効率を反映するおおよそのパラメータとして用いることができると考えられるのである。
さらに書込み効率には、ゲート電極の電圧Vgsも寄与する。Vgsの絶対値が高いほどチャネル抵抗が下がるため発熱量が増大するとともに、発生したキャリアをより強くゲート電極方向に引きつけ、書込み効率を向上させる効果があるからである。図9のプロットを、Vgs=−12V、−15V、−18Vのそれぞれの書込み速度に対して行ったものを図10(a)に示す。この図より、所望の書込み速度を得るためには、Vds,Vgs、チャネル長、チャネル幅をどのように設定すればよいかを読み取ることができる。例えばVgsの絶対値を15V以上にする場合、|Vds|3/2×W1/2÷L値を60以上に設定すれば、しきい値シフト−2V程度が得られると予想される。さらに80以上とすれば、予想しきい値シフトは−4Vに達し、大きなウインドウが得られる。
なお、図9、図10(a)のような傾向は、Wが20μm程度までの半導体素子で顕著に見られる傾向であり、それ以上のW値、例えばWが100μmの半導体素子では、必ずしも当てはまらない。これは、Wが小さい場合には、半導体素子のサイズに対する、ゲート電極や拡散層領域へのコンタクトプラグ部の面積等の影響が大きく、Wの異なる半導体素子同士でも、デバイスサイズそのものは大きな差がない。そのため、発熱量がデバイス温度によく反映される。しかし、その一方、Wが非常に大きくなってくると、Wの大きさがそのままデバイス面積に反映され、書込み時の発熱量が大きい分、放熱効率も高くなり、W小よりも発熱量依存性が小さくなると考えられる。
Vgsの絶対値が大きいほど書込み効率は上昇するが、その影響は大きなものである。この点も、本実施形態のメモリ素子の持つ独特のメカニズムと関係がある。書込み時のキャリア注入を主にドレインアバランシェを用いているようなタイプのメモリでは、ドレイン端付近の横方向電界が書込み効率に大きく影響するため、書込み速度に対してはドレイン電圧の影響が大きく、一方ゲート電圧を上げると、発生キャリアをゲート方向に引きつける力が強くなる反面、ゲート電界がドレイン端の横方向電界を緩和する方向に働くため、両者の効果が打ち消しあう方向に働き、結局、ゲート電圧は、ドレイン電圧ほど書込み速度に大きな影響を与えない場合がある。
一方、本実施形態のメモリ素子の主な書込みメカニズムは、ドレインアバランシェを利用した書込みメカニズムではなく、上述したように、チャネル電流による発熱効果を利用したチャネル領域全面からのキャリア注入である。このため、書込みゲート電圧を高くすることは、チャネル抵抗の低下によるジュール熱の増大と、ゲート電界によって発生キャリアを引きつける力の増大との相乗効果をもたらす。これにより書込み効率を顕著に上げることができる。図10(b)(c)は、さらに横軸のパラメータにVgsの効果を取り込み、|Vgs|2×|Vds|3/2×W1/2÷L値を横軸としてプロットしている(Vgs及びVdsは単位V、W及びLは単位μm)。図10(b)は書込み100m秒、図10(c)は書込み1秒のときのグラフである。この時、書込み速度を表すしきい値シフト量のグラフは、Vgs値によらずに概ね同一のカーブを描くことがわかる。横軸のパラメータにおいて、VdsよりもVgsの方をより高いディメンジョンで取り入れている(Vdsが1.5乗に対し、Vgsを2乗としている)のは、すなわちVgsの書込み効率に対する影響が非常に大きいことを意味している。このような特性を考慮して、適当なデバイス設計を行なえばよい。例えば横軸パラメータ|Vgs|2×|Vds|3/2×W1/2÷Lが15000以上であるとき、書込み1秒で概ねしきい値シフト−2Vを得ることができるので、好ましい条件となる。その一方横軸パラメータの値が40000を超えると、デバイス破壊が発生する場合があるので、注意が必要である。
(実施形態2)
本発明の実施形態2を、図11を用いて説明する。
図11(a)は、図11(b)のA−B線断面模式図、図11(b)は平面模式図である。断面構造は上記実施形態1と同様で、半導体層161内にボディ領域111とP型拡散層領域112、113が設けられ、P型拡散層領域112と113の間のボディ領域111の表面がチャネル領域110を成しており、さらにその上部に電荷蓄積膜162とゲート電極131が存在している。
ここで、本実施形態2では、ボディ領域111に接触して、ボディ領域の電位を制御するための電極端子(図示せず)が備えられていることを特徴とする。特に好ましい形態としては、図11(b)にその一例を示す通り、ボディ領域111内の一部を、N型の導電型を有するボディコンタクト領域114とし、このボディコンタクト領域114の少なくとも一部に接するように上記電極端子(図示略)を設ける。これを実現する例としては、ボディコンタクト領域114上に金属からなるコンタクトプラグを設置することにより(図示略)、上記構造が得られる。これにより、電極端子とボディ領域111の間のコンタクト抵抗が低く、オーミックな接続とすることができ、ボディ電位の制御性が高まる。本実施形態の半導体記憶装置では、後に説明するように、消去動作の際、このボディコンタクト領域114に設けた電極端子を通してボディ電位を制御することで、比較的低電圧で高速な消去を実現することができる。
図11(b)は、上記ボディコンタクト領域114を、ゲート電極131に対し、拡散層領域112と同じ側の半導体層161内に設けた場合の平面構造を模式的に表している。このような構造をとる場合には、ボディコンタクト領域114と拡散層領域112とは接近させず、ある程度の距離を置いて設けることが好ましい。これは、半導体層161が、絶縁基板上に設けられたものであるため、必ずしも結晶性が高くなく、結晶欠陥等を含んでいる可能性がある。従って、ここに、高濃度なP型半導体領域である拡散層領域112と、高濃度なN型半導体領域であるボディコンタクト領域114とを接近させて急峻なPN接合を作ると、欠陥に起因する接合リーク電流が発生する恐れがある。特に複数のメモリ素子を駆動する場合には、このような接合リークが非選択メモリセルでも発生する。その結果、消費電力の増加や動作異常をもたらす可能性がある。
これを防ぐため、ボディコンタクト領域114と拡散層領域112との間は2μm以上の距離を開け、両者の間に低濃度の半導体層領域115を有することが好ましい。低濃度の半導体層115の幅は大きいほどボディコンタクト領域114と拡散層領域112を離すことができるが、大きすぎると半導体素子のデバイス面積を大きくするので、好ましくない。従って、20μm以下が好ましい。また半導体層115の濃度は、5×1016cm-3〜2×1018cm-3程度とする。
なお、ボディコンタクト領域114は、拡散層領域113側に設けてもよいし、ゲート電極131両側に設けてもよい。
また、さらに好ましい平面構造の形態として、図12の平面図のような形でボディコンタクト領域114を設けてもよい。この図12の場合、ゲート電極131は、拡散層領域112と拡散層領域113とを分離する形で設けられている。同時に、ボディコンタクト領域114と、拡散層領域112・113との間をも分離する形で設けられている。すなわち、半導体層161は、ゲート電極131によって、拡散層領域112を含む部分、拡散層領域113を含む部分、ボディコンタクト領域114を含む部分の、少なくとも3つの領域に区切られている。このような平面構造の場合、非選択状態のメモリ素子においては、ゲート電極131下の半導体層161は、ゲート電極131のポテンシャルによって空乏化しており、拡散層領域112・113とボディコンタクト領域114の間がこの空乏層によって分断されることになる。このため、両者の間の絶縁性が高く、リーク電流が発生しにくくなるので、消費電力の増加や異常動作の発生を抑えることができる。
上記構造を得るため、一例として図12では、ゲート電極131をT字型に形成している。この場合、拡散層領域112・113は、T字の横棒に相当するゲート電極131の部位から離して設置され、両者の間に低濃度な半導体層116が存在していることが好ましい。これは、拡散層領域112・113がゲート電極131のT字の横棒と接触していると(図13)、読出し動作時に、このT字横棒部の下の半導体層161において、両拡散層領域間にリーク電流191が発生してしまう。読出し電流の多寡が、チャネル領域110上の電荷蓄積膜の保持電荷に影響されることによって、本実施形態の素子はメモリとして機能するが、このようなリーク電流191は保持電荷の影響が小さく、メモリが書込み状態でも電流が流れてしまうので、書込み状態における読出し電流が図12の構造に比較し、増大してしまう。
一方、図12の構造では、このようなリーク電流の影響がより小さく抑えられており、書込み状態の読出し電流量を小さくすることができる。すなわち、図12の構造の方が、消去状態における読出し電流と書込み状態における読出し電流の比をより大きくすることができるので、安定した読出しが可能となり、より信頼性の高いメモリ装置となる。このことから、拡散層領域112、113の両方、あるいは少なくとも一方が、チャネル領域110に面した部位でのみゲート電極131と接触するように配置されることが好ましい。
本発明の実施形態2のメモリ素子も、上記実施形態1と同様のプロセスにて形成することができるが、P型拡散層領域の形成に相前後し、あるいは同時に、半導体層161内にボディコンタクト領域114の形成を行なう。このボディコンタクト領域114の形成は、P型拡散層領域112、113の形成と同様、イオン注入法又は固相拡散法を用いることができる。N型の導電型を与える不純物を、ボディコンタクト領域114となるべき領域へ導入し、この後、適宜アニール処理を行なうことで、ボディコンタクト領域114が形成される。上記アニール処理を行なう場合は、P型拡散層領域112、113形成時のアニールと同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。同時に行なう場合には、工程数の削減となり、製造コストの面で有利である。
本実施形態2のメモリ素子の、情報記憶に関わる操作方法としての書込み方法は、上記実施形態1の方法に準ずる。すなわち、図14に示すように、一方のP型拡散層領域112に接続された端子152に直流電源180より第1の電圧印加回路181を介して第1の基準電圧を印加する。他方のP型拡散層領域113に接続された端子153に基準電圧に対し負の書込み電圧(例えば基準電圧に対し−6V〜−14V)を直流電源180より第2の電圧印加回路182を介して印加する。ゲート電極131に接続された端子151に基準電圧に対し負の電圧(例えば基準電圧に対し−6V〜−18V)を直流電源180より第3の電圧印加回路183を介して印加する。ボディ領域111に接続するボディコンタクト領域に接続された端子154に電源186より第4の電圧印加回路184を介して基準電圧を印加する。
上記第1の電圧印加回路181、第2の電圧印加回路182、第3の電圧印加回路183、および第4の電圧印加回路184は、実施形態1と同様に、それぞれスイッチング素子を備えて構成され、これらスイッチング素子は図示しないデコーダ回路により選択的に電圧印加のタイミングおよび電圧印加時間および電圧印加の順序が制御される。
このとき、拡散層領域112〜113間のチャネル領域に電流が生じ、この熱によって、電荷蓄積膜であるゲート絶縁膜162に注入されるのに充分なエネルギーを持った正孔が生成され、これがゲート絶縁膜162内に注入されることにより(正孔171)、書込みが行なわれる。
本実施形態2のメモリ素子の読出し動作も、上記実施形態1の方法に準じて行い、トランジスタ動作させることによって両拡散層間に流れる電流を検出し、その多寡によって書込み状態を読み出す。
なお、本実施形態では、ボディコンタクト領域114に端子154が接続されているが、書込み動作時や読出し動作時において、この端子154へ、直流電源186より第4の電圧印加回路194を介して、電圧を印加してもよい。または電圧を印加しないで、いわゆるフローティング状態としてもよい。デバイス動作制御の面からは、電圧を印加した方が好ましく、本実施形態では、書込み時に、端子152と同じ基準電圧を印加する。これにより、書込み時に2次的に発生するキャリアの一部がボディコンタクト114からも排出されるので、ボディ電位の制御性が高まり、半導体素子間の動作バラツキを抑制する。また本実施形態においては、読出し時にも、端子154へソースと同じ電圧を印加する。読出し時に、拡散層領域112をソース、拡散層領域113をドレインとしてトランジスタ動作させる場合は、端子152と同じ電圧を印加するとよい。
次に、本発明の実施形態1のメモリ素子の情報記憶に関わる操作として、消去方法を説明する。消去の際は、図15に示すように、2つの拡散層領域112、113に接続された端子152、153に直流電源190より第5及び第6の電圧印加回路191、192を介して消去基準電圧を印加する。ボディ領域111には、前述のボディコンタクト領域を介して接続された端子154に直流電源190より第7の電圧印加回路194を介して消去基準電圧に対し正の消去電圧(例えば消去基準電圧に対し6V〜24V)を印加する。ゲート電極131には、端子151に直流電源190より第8の電圧印加回路193を介して消去基準電圧に対し正の消去電圧(例えば消去基準電圧に対し6〜30V)を印加する。
上記第5の電圧印加回路191、第6の電圧印加回路192、第7の電圧印加回路193、第8の電圧印加回路194は、実施形態1と同様に、それぞれスイッチング素子を備えて構成され、これらスイッチング素子は図示しないデコーダ回路により選択的に電圧印加のタイミングおよび電圧印加時間および電圧印加の順序が制御される。上記第5の電圧印加回路191、第6の電圧印加回路192、第7の電圧印加回路193、第8の電圧印加回路194は、印加電圧を調整することにより、実施形態2の第1の電圧印加回路181、第2の電圧印加回路182、第3の電圧印加回路183、第4の電圧印加回路184と共通回路とすることが可能である。
この時、ゲート電極131のポテンシャルによって、ゲート絶縁膜162との界面付近のボディ領域111に電子蓄積層が形成される。この電子蓄積層はボディ端子154によって上記消去電圧に制御されており、消去基準電圧が印加されたP型の拡散層領域112・113との間に、強い逆方向バイアスが印加された接合が形成される。この接合部において、上記の強い逆方向バイアスに起因して逆方向リーク電流が発生し、さらに電界の加速を受けることで、高エネルギーのキャリアが2次的に生成される。その生成キャリアのうち、一部の電子は、ゲート電極131のポテンシャルに引かれてゲート絶縁膜162内に注入され(電子172)、消去が行われる。このように消去が行なわれた状態で、読み出しを実施すると、一方の拡散層領域112と他方の拡散層領域113との間を流れる読出し電流が、書込み状態での読出し電流よりも増加する。
上記消去動作の際には、特に、ボディ領域111への消去電圧よりも、ゲート電極131への消去電圧を高く設定することで、より高速な消去が可能となる。ゲート電極131の電位を、拡散領域112・113及びボディ領域111の電位よりも高くすることで、その電界によって、生成電子をゲート電極131方向(図15紙面上方向)へ効果的に引っ張ることができ、消去を高速化することができる。
なお、消去の際の上記基準電圧は、グラウンド電位に一致させてもよいし、また必要に応じ、グラウンド電位以外の電位を使用することも可能である。例えば、基準電圧を−12Vとした場合の上記各電圧例は、ボディコンタクト領域113が−6V〜12V、ゲート電極131が−6V〜18Vとなる。この場合、各端子に印加する電圧の絶対値を抑えることができるため、電圧を供給するための周辺回路を簡略化することができるメリットがある。
なお、上記では消去時の2つの拡散層領域の電圧印加を同時に行ったが、一方ずつ別々に印加することも可能である。しかし上記の通り同時に行った方が、短時間で消去が完了するメリットがある。
先に説明した本実施形態の書込みの際には、正孔がチャネル領域全面からゲート絶縁膜162に注入されるのに対し、ここで説明した消去の際の電子注入は、主に拡散層領域112、113とボディ領域111との境界近傍で発生する。しかし、この電子注入はある程度の広がりを持っており、これによって、蓄積正孔の消去が可能となる。この点について以下、詳述する。
消去の際、拡散層領域端からチャネル中央部に向かって、どの程度の範囲に電子が注入されるかを調べるため、図16のような実験を行った。ここでは、拡散層領域112をフローティング状態にし、拡散層領域113側にだけ、消去電圧を加える。消去電圧は−11Vとした。ゲート電極131に15V、ボディ111に10Vを印加した。すると、上記消去メカニズムによる電子注入は、拡散層領域113端付近でのみ発生し、拡散層領域112側では事実上発生しない。このような消去を、チャネル長の異なる半導体素子に対して適用し、その読出し特性を比較した。図17(a)、(b)、(c)に、それぞれチャネル長0.45μm、1.2μm、1.7μmの場合の、読出しId−Vg特性を示す。読出し条件は、保持電荷の影響を読出しId−Vgのしきい値に敏感に反映させるため、線形条件である、ドレイン電圧−0.05Vを採用している。また、消去時間を1μ秒から10秒まで振っている。ここで用いた半導体素子は、チャネル幅はいずれも5μmとし、ゲート絶縁膜の膜構成は、トップ酸化膜(TEOS膜)40nm、シリコン窒化膜40nm、ボトム酸化膜(TEOS膜)10nmとした。
まず、図17(a)のチャネル長0.45μmの特性に注目すると、1μ秒消去しただけで、Id−Vgカーブ全体が消去側にシフトしていることがわかる。これはすなわち、片方の拡散層端で発生した電子注入の広がりが、0.45μmのチャネル全面をカバーできるだけの広がりを持っており、チャネル全面に電子が注入されていることを意味している。
一方、図17(b)のチャネル長1.2μmの場合に注目すると、消去1μ秒や1m秒という短時間消去では、Id−Vgグラフの立ち上がり点がほとんどシフトしておらず、グラフの傾きの増大、つまりGm値の上昇が見られている。これは、拡散層領域113端からの注入電子が、もう一方の拡散層領域112端付近にまで到達していないことを示している。
ここでの読出しは低Vds値の線形領域読出しであるので、チャネル長方向において局所的にしきい値が高い部分があれば、この部分のしきい値が半導体素子自体のしきい値として反映されることになる。つまり、拡散層領域113端付近では電子注入が起こり、局所的にしきい値の低下(P型半導体素子なので、正の値の方向へのシフト)が発生している。しかし、注入電子が届いていない拡散層領域112端近傍ではしきい値シフトが発生しておらず、これがId−Vgカーブにおけるしきい値に反映される。そのために、グラフの立ち上がり点が変化していないと考えられる。ただし、拡散層領域113端近傍のしきい値が下がることは、チャネル抵抗の減少には寄与するため、グラフの傾きは増大する。
以上のように、この半導体素子では、1m秒までの消去では拡散層領域113から拡散層領域112に到るまでの全チャネル領域の消去はほとんど認められない。一方、100m秒以上の消去では、グラフの立ち上がり点のシフト、すなわち、全チャネル領域への電子の注入が認められる。すなわち、少なくとも100m秒消去すれば、拡散層領域端から1.2μm離れた点にも電子が注入されることがわかる。
さらに図17(c)に示すチャネル長1.7μmになると、消去1秒まではしきい値シフトがほとんどなく、主にGmの増加が見られる。消去10秒で、しきい値シフトが発生している。つまり、10秒消去を行なえば、拡散層領域端から1.7μm離れた点にも電子が注入されることがわかる。
このような観点から、片側の拡散層からのみ消去を行った場合の、消去時間としきい値シフトの関係を、図18に示す。チャネル長が4.2μmと大きい場合には、測定範囲内においてしきい値シフトは認められない。一方、図17(b)(c)でも見たとおり、チャネル長1.2μm、1.7μmでは、消去が短時間のうちはしきい値シフトがほとんど発生しないが、消去時間が長くなると、しきい値シフトが発生する。つまり、電子注入を拡散層領域端で発生させても、消去時間を長くすることで、ある程度離れた部位にまでは、電子が注入されることがわかる。消去時間を10秒とすれば、拡散層領域113端から1.7μm離れた部位にも電子が注入できるのである。
ここでの実験は、片方の拡散層領域の側からのみ電子注入を行ったが、両拡散層領域端でこのような電子注入を行なえば、拡散層領域112端から1.7μm、拡散層領域113端から1.7μm離れた位置までは、電子注入が可能となる。すなわち、チャネル長が3.4μm以下であれば、全チャネル領域への電子注入が可能となる。これを超えてチャネル長が大きいと、両拡散層端より消去を行っても、消去の際の電子注入がチャネル中央部にまで届かない恐れがある。
書込み状態のメモリ素子を消去しようとする際、書込みによる正孔電荷が消去後もチャネル中央に実効的に残る恐れがある。この正孔が読出し時の電流を阻害するため、書込み状態に対し消去状態の読出し電流が充分に増えず、書込み状態と消去状態の電流差、いわゆるウインドウが小さなものになってしまい、メモリとしての信頼性を低下させることになる。この状態でさらに繰り返し書換えを行なえば、さらに消去状態の読出し電流が低下し、書込み状態と消去状態の検出が困難になる恐れも生じる。書換えを行った後も書込み/消去ウインドウを大きくし、メモリの信頼性を向上するためには、消去の際、チャネル中央部にまで電子を注入し蓄積正孔を消去することが重要である。しかし、チャネル長が長いほど、チャネル中央部まで電子を注入するための消去電圧、あるいは消去時間が大きくなる。
以上より、チャネル長は3.4μm以下であることが好ましい。さらに、図18においてチャネル長1.2μmの半導体素子では、1秒消去で約4.7Vのしきい値シフト、10秒消去で7.3Vという、大きなシフトが得られている。書込み状態における蓄積正孔を電気的に充分に中和し、安定した書換えを繰り返し行なうためには、両側拡散層端から消去することを考えるとこの倍のチャネル長、すなわちチャネル長2.4μm以下であることが、より好ましい。また、特に図18のチャネル長0.45μmの半導体素子のデータによると、1μ秒の消去でチャネル全面に強く電子注入が起こり、大きなしきい値シフトが発生している。すなわち、拡散層端片側あたり、0.45μmの距離までは極めて高速に電子を注入することができ、結局、チャネル長0.9μm以下であれば、高速消去が可能となり、またあるいはより低い電圧でも安定した消去が可能となる。この点で、チャネル長0.9μm以下がとりわけ好ましい。
以上より、チャネル長は3.4μm以下が好ましく、繰り返し書換えの安定性の面からは、チャネル長2.4μm以下がさらに好ましい。チャネル長0.9μm以下とすれば、高速な消去が可能な高性能半導体素子が得られるのでとりわけ好ましい。
このようにチャネル長が小さいとき、消去時の電子注入位置からチャネル中央部までの距離が近いため、比較的低い電圧でも、チャネル中央部に蓄積されている正孔も消去することができ、書込み状態に対して消去状態の読出し電流値を大幅に高くすることができるので、ウインドウが広く信頼性の高いメモリを得ることができる。
また一方、チャネル長が0.1μmよりも小さくなると、短チャネル効果の影響が大きくなり、半導体素子間バラツキも大きくなることから、チャネル長0.1μm以上であることが好ましい。チャネル長によって適当な書込み・消去の条件は異なり、チャネル長が小さいほど書込み・消去の電圧を低く設定できる。例えばチャネル長0.5μmとした場合、書込み条件の例としては、一方の拡散層領域とボディ領域を基準電位とし、ゲート電極に−12V〜−16V、もう一方の拡散層領域に−8V〜−12Vを印加、消去条件の例としては、2つの拡散層領域を基準電位とし、ゲート電極に12V〜18V、ボディ領域に10V〜12Vを印加する。
以上により、例えばFNトンネリングを用いた消去方法よりも、低電圧で高速な消去が可能となる。図19に、しきい値シフトの消去時間依存性のグラフを示すが、上記消去方法に従った場合の特性(図の「本実施形態」)と、FN型トンネル電流による電子注入を用いて消去した場合の特性(図の「FN注入消去30V」及び「FN注入消去18V」)を比較している。印加電圧としては、本実施形態に従った消去方法の場合は、2つの拡散層領域を基準電位として、ゲート電極へ18V、ボディ領域へ12V印加した。「FNトンネル注入消去30V」の場合は、これよりも高電圧、つまり2つの拡散層領域とボディ領域を基準電位として、ゲート電極へ30Vを印加してFN注入消去を行った。両者を比較すると、本実施形態の消去の方が低い電圧を用いていながら、FNトンネル注入消去よりも圧倒的に速い消去を実現している。本実施形態と同じ18Vをゲート電極に印加してFN消去を試みた場合(図の「FNトンネル注入消去18V」)には、しきい値シフトはほとんど認められない。
なお、書込み動作に関しては、上記のFNトンネル消去と同レベルの電圧印加(例えば基準電位に対しゲート電圧−30V)では殆ど書込みが起こらず、さらに電圧を上げると半導体素子の破壊が発生した。これに対し、本実施形態の書込み方法は、より低い電圧で書込み動作を実現している。これらのことから、本実施形態は、低電圧で高速に書込みと消去を行なうことができる、高性能なメモリ素子を実現している。
ここで、本実施形態は、いわゆるPチャネル型半導体素子として形成されることを特徴としているが、この点が、書込み・消去のウインドウ確保に、極めて重要となっている。この点について以下に説明する。
書込みに関しては、上記実施形態1において説明したように、絶縁基板上にPチャネル型半導体素子として形成する本発明の素子は、Nチャネル型半導体素子として形成した場合には得られない良好な書込み特性が得られる。さらに消去に関しても、以下に説明するように、Nチャネル型半導体素子では得られない良好な消去特性を得ることができるのである。
図20は、本発明のメモリ素子と同様の構造を有するNチャネル型素子に対して、消去電圧を印加した際の特性を示す図である。ここで同様の構造を有するとは、実施形態1で説明したのと同じである。図20に示すように、最大10秒まで消去電圧を印加しても、意外にもほとんど閾値シフトを起こさない。そこで、消去電圧を増加したところ、図21に示すように、逆にオン電流が減少した。これは、素子が劣化したことを示している。図20及び図21から明らかなように、Nチャネル型のメモリ素子を消去するのは困難である。これは、消去するのに必要な量の正孔を生成するためには、その生成効率上、ある程度高い電圧を接合部に印加する必要があり、その過程では高エネルギーな正孔も多く生成されてしまう。このような高エネルギーな正孔は一般に、ゲート絶縁膜やその界面などにダメージを与え、デバイス性能劣化に繋がりやすい。ガラス基板や樹脂基板などを用いた素子の場合、基板が廉価であり低コストの製造が可能な半面、製造時に高温のプロセス処理を行なうことができないため、半導体基板上に高温プロセスを用いて形成した素子に比較し、高エネルギーの正孔に対する耐性が低く、ダメージを受けやすい傾向がある。これらのことから、このNチャネル型素子においては、消去電圧印加による正孔注入によって、消去そのものよりもダメージによる劣化が先行し、その結果、図21のような電流低下が起こることになる。
一方、Pチャネル型である本発明のメモリ素子は、図22にその消去特性を示す通り、消去時間が100m秒のとき、閾値シフト約3Vが得られた。なお、このときの消去電圧は、図20の場合と符合が逆になっているが、絶対値は同じとした。2つの拡散層領域への印加電圧絶対値を10V、ゲート電圧の絶対値を2V、ボディ領域への印加電圧を0Vとした。図20〜図22により明らかなように、Pチャネル型である本発明のメモリ素子は、Nチャネル型と異なり消去により閾値を大幅に変動させることが可能であり、メモリウインドウを大きくすることが可能となる。本発明のメモリ素子は、消去時に正孔ではなく電子注入を行っており、正孔注入時ほど大きなダメージを発生させないからである。
ここで、強い消去電圧を印加したことによってオン電流が減少したNチャネル型半導体素子(チャネル長0.7μm、チャネル幅2.5μmで、ゲート絶縁膜構成はトップ酸化膜15nm、シリコン窒化膜20nm、ボトム酸化膜10nm、消去電圧はゲート電圧−18V、ボディ電圧−12V、拡散層領域電圧0V)に対し、短時間のアニール処理を行った結果を図23に示す。アニール処理は、炉内温度を250℃に設定したアニール炉へ素子を投入することで行った。まず、強い消去電圧印加を行った直後の状態においては、消去時に発生する高エネルギーな正孔によって半導体素子がダメージを受けているため、電流が劣化しているが、この素子をアニール処理することによって電流が大幅に回復している。つまり、この正孔注入による電流劣化には、熱アニールによって回復する要素が多分に含まれているのである。
Nチャネル型半導体素子では、消去時に正孔を注入するため、このダメージによる電流劣化が、消去電流の低下に繋がる。消去電流の低下はそのままウインドウマージンを狭めることになる。
一方、Pチャネル型半導体素子である本実施形態のメモリ素子は、消去時に注入するキャリアは電子であり、電子注入では正孔注入よりもダメージを受けにくい。Pチャネル型半導体素子では、正孔は書込みの際に注入される。この点が、Pチャネル型半導体素子である本実施形態の利点となっている。すなわち、書込み時には、ソースードレイン間に電流を流すことで、半導体素子が発熱し、温度が上昇している。この熱にアシストを受けた正孔注入過程であるため、高エネルギーな正孔の発生頻度が低く、Nチャネル型半導体素子の消去電圧印加時よりもダメージを受けにくい。
またさらには、本実施形態の書込み時に、高エネルギーの正孔が一部で発生して半導体素子がダメージを受けても、書込み動作時の半導体素子自体の温度が高いため、そのアニール効果により、ダメージの少なくとも一部が、即座に回復されるという効果もある。
図24に、様々な書込み時間による書込みと、その後の消去の特性を示している。ここでの書込みは、一方の拡散層領域とボディ領域に9V、ゲート電極に−6V、もう一方の拡散層領域に−3Vを印加して行った。またここでの消去は、2つの拡散層領域に−3V、ゲート電極に15V、ボディ領域に9Vを印加して行ったものである。図24に示されるように、本実施形態においては、書込み量、すなわち正孔注入量を振っても、その後消去を行なうと、いずれもほぼ同等の電流が得られており、電流劣化がほとんど発生していないことがわかる。
すなわち、一般に高エネルギーな正孔は、ゲート絶縁膜やその界面にダメージを与えやすく、デバイス劣化を招きやすいが、本実施形態の書込み時の正孔注入は、半導体素子自身の抵抗による発熱を利用しており、書込み過程において、ダメージを起こすほどの高エネルギーな正孔の発生が少ないため、デバイス劣化が少ない。さらに書込みの際に半導体素子が発熱することで、書込み行為自体がそのままアニール効果をもたらすため、Pチャネル型をとる本実施形態では、書込み時の正孔注入によって一部にダメージが生じても、そのダメージを自ら回復する効果を有している。消去は電子注入であるため、ダメージを受けにくい。ガラス基板や樹脂基板などの絶縁基板上に形成し、高温プロセスを用いることなく廉価に製造できるメモリ素子でありながら、ダメージ劣化に対する耐性が強く、メモリウインドウが大きく信頼性の高いメモリ素子を実現できる。
以上、詳述したように、本実施形態のメモリ素子は、絶縁基板上に設けられたメモリ素子であって、絶縁基板上に設けられた半導体層内に、P型の導電型を有する第1の拡散層領域及び第2の拡散層領域、及び、第1の拡散層領域と第2の拡散層領域との間に挟まれたチャネル領域を内包したボディ領域を有し、ボディ領域に接触して設けられた制御端子と、チャネル領域を覆う電荷蓄積膜と、上記電荷蓄積膜をはさんで上記ボディ領域とは反対側に位置するゲート電極とを有することを特徴としている。いわゆるPチャネル型半導体素子となっていることから、書込みを正孔注入、消去を電子注入で行なうことができ、ここから次のような利点がもたらされる。
本実施形態では、消去動作を、ボディ電位の制御によってボディ〜拡散層領域間の逆方向電流を発生させ、高エネルギーなホットキャリアを生成することで行なっているため、消去を比較的低電圧で高速に行なうことができるのであるが、本実施形態がPチャネル型素子として形成されていることから、消去の際に注入されるホットキャリアは、正孔ではなく電子である。逆にNチャネル型素子であれば、消去の際に正孔を注入することになるのであるが、高エネルギーな正孔は、素子にダメージを与えやすい。このようなダメージは、読出し電流を低下させることになる。一方、本実施形態では、消去の際に注入するのが電子であり、高エネルギー電子の注入は、高エネルギーな正孔の注入に比較し、素子へのダメージが小さい。よって、消去状態の読出し電流を大きく低下させることがない。
一般に消去状態の読出し電流が大きいほど、書込み状態と消去状態の読出し電流差、いわゆるウインドウが大きく、メモリとしての信頼性が高いので好ましい。消去の際に素子がダメージを受けにくく、読出し電流の低下が起こりにくい本実施形態の半導体素子は、この点で有利である。
一方、正孔注入は書込みの際に行われるが、この場合、拡散層領域間に電流を流すことにより、素子が発熱し、かつ下部が絶縁基板で断熱性が高いことから、素子温度が上昇する。本実施形態のメモリ素子における正孔注入の主なメカニズムは、この熱によるアシストを受けたものであり、素子にダメージを与えるような高エネルギーの正孔の介在が少ない。また一部に高エネルギー正孔が発生し素子にダメージが発生しても、素子自体の温度が上がっていることから、そのアニール効果によってダメージが回復し、結局、ダメージの少ない正孔注入が実現されることになる。ダメージが少ないことから、電荷保持能力を大きく損なうことなく、電荷の長期保持が可能である。
よって、本実施形態のメモリ素子は、上記の構成を有することによって、特徴的にウインドウマージンが広く信頼性の高いメモリ素子となっているのである。書込みの際も消去の際もダメージが少ないことにより、繰り返し書換え後も大きなウインドウマージンを有しており、さらに、極めて長時間の保持が可能となっている。
特に、本実施形態のメモリ素子と、そのメモリ素子を駆動する周辺回路を、同じ絶縁基板上に形成する場合、周辺回路がTFTによって構成されることになり、安価に製造できるメリットがある反面、周辺回路を構成する各素子が特性バラツキを持つことになる。このため、読出し回路の不感帯も大きなものになる。この点から、本実施形態のメモリ素子のように、ウインドウマージンが大きいことは、動作信頼性の面で極めて重要な利点となっている。
上記実施形態1でも説明したように、ゲート絶縁膜が薄いことは、書込み時にドレイン端付近での高エネルギーなホットキャリア生成を抑制する。半導体素子へのダメージを抑えることができる。上述のように、書込み時の発熱によってある程度の、ダメージ回復は可能であるものの、完全に回復できなければ、繰り返し書換えによってダメージが蓄積され、デバイス信頼性を損なう可能性があることから、ダメージの大きい高エネルギーホットキャリアの発生は、なるべく抑えることが好ましい。この点から、ゲート絶縁膜を薄くすることが好ましい。またさらに、ゲート絶縁膜を薄膜化することによって、消去時にゲート電界を効率的にチャネル部に作用させることができる。また発生キャリアをより強くゲート電極側に引きつけることから、消去効率を上げることができる利点もある。従って、デバイス破壊や過度の半導体素子間バラツキを起こさない程度に、ゲート絶縁膜を薄膜化することが好ましい。
(実施形態3)
本発明の実施形態3は、上記実施形態1ないし2で示したようなメモリ素子を液晶表示装置に用いたものである。
液晶表示装置は、一対の基板間に液晶を挟んで構成され、図25(a)に示すように一方の基板に走査線512と信号線513が形成され、この走査線512と信号線513で囲まれた領域を1画素とし、この1画素に対応する画素電極を選択的に駆動する駆動回路510が備えられる。各画素電極は、他方の基板に形成された対向電極との間に液晶を介在させて対向し、選択的に1画素を駆動する。
実施形態3は、液晶表示装置のパネル基板上に、実施形態1で示したメモリ素子を形成したことを特徴とする。この場合に本発明のメモリ素子は、液晶表示装置の対向電極に電圧を印加する電圧発生回路に提供する画像情報を蓄積する素子として利用される。
より具体的には、図25(b)に示すように、画素TFT511のゲート電極には走査線512が接続され、画素TFT511の一方の拡散層領域には信号線513が接続され、他方の拡散層領域には画素電極514が接続されている。画素電極514は、液晶516を介して、パネル共通の対向電極515と対向している。対向電極515には、電圧発生回路522が発生する所定の電圧が印加される。電圧発生回路522が発生する電圧は、本発明のメモリ素子を備えたメモリ部521に記憶された画像情報を基に決定される。
電圧発生回路522で発生する電圧は、画面のちらつきを抑えるために対向電極515に印加されるが、この電圧値はパネル毎に調整すべきものである。この電圧調整はパネルに外付けされた可変抵抗器を調節して行なうのが一般的である。本発明の実施形態1のメモリ素子を備えることにより、外付け部品自体のコスト、外付け部品の取り付けコストを削減することができる。また、調整の自動化が容易となるので、検査コストを削減することができる。更には、本発明のメモリ素子はゲート絶縁膜の構造が単純で必要な工程数が少ないので、コスト削減にとって有利である。
(実施形態4)
本発明の実施形態4は、上記実施形態1ないし2で示したようなメモリ素子を備えた表示装置である。表示装置としては、液晶パネルや有機ELパネルなどが挙げられる。
この表示装置は、前記パネル基板上に、デジタル情報が入力され、該デジタル情報により定められる電圧を前記対向電極に出力する電圧出力回路およびデジタルの階調データをアナログの階調信号に変換するDAコンバータを更に備え、上記実施形態1のメモリ素子に前記デジタルの階調データとアナログの階調信号の電圧との相関を規定するデータを記憶することを特徴とする。
より具体的には、図26に示すように、表示装置6には表示データ発生回路613が備えられ、デジタル信号である表示データをDAコンバータ612に送る。DAコンバータ612はデジタル信号である表示データをアナログ信号に変換し、出力回路614を介して表示部615に送る。このとき、表示部に表示される画像の色彩が自然に再現されるように、DAコンバータ612においてデジタルの階調データとアナログの階調信号の電圧との相関を調整する必要がある。この相関は、パネル毎に調整すべきものである。デジタルの階調データとアナログの階調信号の電圧との相関は、本発明のメモリ素子を備えたメモリ部611に記憶される。
デジタルの階調データとアナログの階調信号の電圧との相関は、パネルに外付けされた不揮発性メモリチップに記憶するのが一般的である。本発明のメモリ素子を備えることにより、外付け部品自体のコスト、外付け部品の取り付けコストを削減することができる。また、調整の自動化が容易となるので、検査コストを削減することができる。更には、本発明のメモリ素子はゲート絶縁膜の構造が単純で必要な工程数が少ないので、コスト削減にとって有利である。
(実施形態5)
本発明の実施形態5は、上記実施形態1ないし2で示したようなメモリ素子を備えた表示装置を備えた受像機であり、表示装置と、該表示装置のパネル基板上に、画像信号を受信する受信回路と、該受信回路によって受信された画像信号を表示装置に供給する画像信号回路と、該画像新信号を生成するために必要なデータを記憶するため、上記メモリ素子を形成したことを特徴とする。
具体的には、図27に示すように、受像機7には、表示装置(液晶表示パネル)711、チューナー712、スピーカー713、制御部714、アンテナ端子715が備えられている。図21は無線信号をアンテナで受信する形式を示しているが、有線により信号を受信する場合は、アンテナ端子は、ケーブル接続端子に代わり、チューナーは信号受信部に代わる。表示装置711は、本発明のメモリ素子を備えている。この表示装置711に備えられた不揮発性メモリには、液晶パネルの対向電極に印加すべき電圧値、デジタルの階調データとアナログの階調信号の電圧との相関などを記憶させることができる。更には、表示装置には暗号化された信号を送り、表示パネルで暗号を解くことにより、情報セキュリティの強化を図ることができるが、この際の暗号の鍵を表示装置に備えられたメモリ素子に記憶させることができる。このような表示装置を備えることにより、低コストで高機能な受像機を実現することができる。
本発明の実施形態1のメモリ素子を示す概略図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。 本発明の実施形態1のメモリ素子の書込み方法を説明する図である。 本発明の実施形態1のメモリ素子に対するリファレンスとなる素子の書込み特性を示すグラフである。 本発明の実施形態1のメモリ素子の書込み特性を示すグラフである。 本発明の実施形態1のメモリ素子の書込み時しきい値シフト量、及びその基板加熱温度依存性を表すグラフである。 本発明の実施形態1のメモリ素子の書込み時しきい値シフト量のチャネル幅依存性を表すグラフである。 本発明の実施形態1のメモリ素子の読出し時Id−Vg特性、及びソースードレインを入れ替えて読出した時のId−Vg特性を示すグラフである。図7(a)はゲート電圧がー12Vの場合である。 本発明の実施形態1のメモリ素子の読出し時Id−Vg特性、及びソースードレインを入れ替えて読出した時のId−Vg特性を示すグラフである。図7(b)はゲート電圧がー15Vの場合である。 本発明の実施形態1のメモリ素子の読出し時Id−Vg特性、及びソースードレインを入れ替えて読出した時のId−Vg特性を示すグラフである。図7(a)(b)よりも厚いゲート絶縁膜を用いた半導体素子である。 本発明の実施形態1のメモリ素子の読出し時Id−Vg特性、及びソースードレインを入れ替えて読出した時のId−Vg特性を示すグラフである。図7(c)よりも厚いゲート絶縁膜を用いた半導体素子である。 本発明の実施形態1のメモリ素子の、種々のチャネル長・チャネル幅・ドレイン電圧における書込み特性の例である。 チャネル長とチャネル幅とドレイン電圧を適宜振り、それぞれ書込みを行った場合の書込みシフト量を示す図である。 図9のプロットをVgs=12V、15V、18Vの書込み速度で行った場合を示す図である。 図9のプロットをVgs=12V、15V、18Vの書込み速度で行った場合を示す図である。図10(b)は、書込み100m秒のときのグラフである。 図9のプロットをVgs=12V、15V、18Vの書込み速度で行った場合を示す図である。図10(b)は、書込み1秒のときのグラフである。 本発明の実施形態2のメモリ素子を示す概略図であり、(a)は断面図。(b)は平面図である。 本発明の実施形態2のメモリ素子を示す概略図であり、図11(b)とは異なる構成をとる場合の平面図である。 書込み状態の電流がリーク電流により高くなってしまう構造の平面図である。 本発明の実施形態2のメモリ素子の書込み方法を説明する図である。 本発明の実施形態2のメモリ素子の消去方法を説明する図である。 本発明の実施形態2のメモリ素子において、消去時に注入される電子の広がりを見積もるための実験を説明する図である。 図16の実験から得られるId−Vgカーブの例であり、(a)はチャネル長0.45μmの場合、(b)はチャネル長1.2μmの場合、(c)はチャネル長1.7μmの場合である。 図16の実験結果を表す図である。 本発明の実施形態2のメモリ素子に対する消去動作の、しきい値シフト量の消去時間依存性、及びFN電子注入を用いて消去を行った場合の、しきい値シフト量の消去時間依存性を示すグラフである。 本発明の実施形態1のメモリ素子に対するリファレンスとなる素子の消去特性(消去前、100ミリ秒の消去後、1秒の消去後、10秒の消去後におけるId−Vg特性)を示すグラフである。 本発明の実施形態1のメモリ素子に対するリファレンスとなる素子の消去特性(消去前、100ミリ秒の消去後、1秒の消去後、10秒の消去後におけるId−Vg特性)であり、図8よりも高電圧で消去を行なった場合の消去特性を示すグラフである。 本発明の実施形態1のメモリ素子の消去特性(消去前、1ミリ秒の消去後、10ミリ秒の消去後、100ミリ秒の消去後におけるId−Vg特性)を示すグラフである。 本発明の実施形態2のメモリ素子に対するリファレンスとなる素子の消去特性、及びアニール後の特性である。 本発明の実施形態2のメモリ素子の書込み後の消去特性を示すグラフである。 本発明の実施形態3の液晶表示装置の回路ブロック図である。 本発明の実施形態4の表示装置の回路ブロック図である。 本発明の実施形態5の受像機の構成図である。 従来技術の不揮発性メモリを示す概略の断面図である。 従来技術の不揮発性メモリを示す概略の断面図である。
符号の説明
1 メモリ素子
6 表示装置
7 受像機
101 絶縁基板
103 層間絶縁膜
111 ボディ領域
112 拡散層領域
113 拡散層領域
114 ボディコンタクト領域
121 ボトム絶縁膜
122 電荷蓄積絶縁膜(シリコン窒化膜)
123 トップ絶縁膜
131 ゲート電極
151 ゲート電極に接続された端子
152 拡散層領域112に接続された端子
153 拡散層領域113に接続された端子
154 ボディ領域に接続された端子
161 半導体層
162 電荷蓄積機能を有するゲート絶縁膜
171 注入正孔
172 注入電子
180 直流電源
181 第1の回路
182 第2の回路
183 第3の回路
184 第4の回路
190 直流電源
191 第5の回路
192 第6の回路
193 第7の回路
194 第8の回路
511 画素電極
515 対向電極
522 電圧発生回路
611 メモリ部
612 DAコンバータ
614 出力回路
711 表示装置(液晶表示パネル)
712 チューナー
714 制御部

Claims (23)

  1. 熱伝導率が0.1〜9W/m・Kである絶縁基板上に設けられ、少なくともチャネル領域の上面が略平坦である半導体層と、
    前記半導体層内に設けられた、P型の導電型を有する第1の拡散層領域及び第2の拡散層領域と、
    少なくとも前記半導体層内の前記第1の拡散層領域と前記第2の拡散層領域との間のチャネル領域を覆い、該チャネル領域より電荷が注入され得る電荷蓄積膜と、
    前記電荷蓄積膜をはさんで前記チャネル領域とは反対側に位置するゲート電極と、
    を備え、
    前記電荷蓄積膜に注入される電荷は、前記第1の拡散層領域から前記チャネル領域を通して第2の拡散層領域へ電流が流れる場合に、前記電流によってチャネル領域に発生する熱アシストを受けて、前記電荷蓄積膜中に一様に注入される半導体素子。
  2. 前記電荷蓄積膜中に注入される電荷は、チャネル領域全面にわたるキャリア発生による電荷である請求項1に記載の半導体素子。
  3. 前記電荷蓄積膜に電荷が注入された状態において、前記第1の拡散層領域に基準電位を印加し、前記第2の拡散層領域に負の電圧を印加した場合のしきい値と、前記第2の拡散層領域に基準電位を印加し、前記第1の拡散層領域に負の電圧を印加した場合のしきい値との差が、10%以下である請求項1に記載の半導体素子。
  4. 更に、前記半導体層上および前記ゲート電極上に形成された層間絶縁膜を備える請求項1から3までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  5. 前記層間絶縁膜の少なくとも一部が樹脂からなる請求項4に記載の半導体素子。
  6. 前記チャネル領域は、チャネル幅が0.5μm〜100μmである請求項1から5までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  7. 前記チャネル領域は、チャネル幅が2μm〜20μmである請求項1から6までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  8. 前記電荷蓄積膜は、少なくとも第1の絶縁膜と、電荷蓄積能力を有する電荷蓄積膜と、第2の絶縁膜との積層構造を有する請求項1から7までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  9. 前記電荷蓄積能力を有する電荷蓄積膜は、窒化膜または高誘電膜である請求項8に記載の半導体素子。
  10. 前記半導体層は、前記絶縁基板上に形成された島状半導体層である請求項1から9までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  11. 前記半導体層は、膜厚が30nm〜150nmである請求項1から10までのいずれか1項に記載の半導体素子
  12. 前記絶縁基板は、熱伝導率が0.5〜2W/m・Kのガラス基板である請求項1から11までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  13. 前記絶縁基板は、熱伝導率が0.1〜2W/m・Kの樹脂基板である請求項1から11までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  14. 前記半導体層は、更にN型の導電型を有するコンタクト領域を備え、前記コンタクト領域が制御端子と接する請求項1から13までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  15. 前記チャネル領域は、チャネル長が0.1μm〜3.4μmである請求項1から14までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  16. 前記チャネル領域は、チャネル長が0.1μm〜2.4μmである請求項1から15までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  17. 前記チャネル領域は、チャネル長が0.1μm〜0.9μmである請求項1から16までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  18. 前記コンタクト領域と、前記第1の拡散層領域及び第2拡散層領域との間に、前記コンタクト領域の不純物濃度より低濃度の半導体層領域を形成した請求項14に記載の半導体素子。
  19. 前記低濃度の半導体層領域の上に前記ゲート電極を有している請求項18に記載の半導体素子。
  20. 更に、前記絶縁基板上に表示装置を備える請求項1から19までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  21. 更に、前記絶縁基板を加熱する加熱手段を備える請求項1から20までのいずれか1項に記載の半導体素子。
  22. パネル基板上に走査線と信号線がマトリックス状に配置され、走査線と信号線によって囲まれる領域を1画素とし、この1画素に対応する画素電極を選択的に駆動する駆動回路を備え、前記画素電極と対向電極の間に液晶を介在させた液晶表示装置と、前記液晶表示装置のパネル基板上に、デジタル情報が入力され、前記デジタル情報により定められる電圧を前記対向電極に出力する電圧出力回路と、デジタル階調データをアナログの階調信号に変換するDAコンバータと、前記デジタルの階調データとアナログの階調信号の電圧との相関を規定するデータを記憶するために、請求項1から21までのいずれか1項に記載の半導体素子を含む記憶回路を備える液晶表示装置。
  23. 表示装置と、前記表示装置のパネル基板上に、画像信号を受信する受信回路と、前記受信回路によって受信された画像信号を表示装置に供給する画像信号回路と、前記画像信号を生成するのに必要なデータを記憶するために、請求項1から21までのいずれか1項に記載の半導体素子を含む記憶回路を備える受像機。
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