JP4520115B2 - 数珠玉様塊状物及び数珠 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の有孔の小塊が、該孔に挿通された紐を介して互いに連結されてなる連塊物に用いる数珠玉様塊状物、及び該数珠玉様塊状物を用いた数珠及びその数珠玉様塊状物に用いられる表示層の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
仏事などにおいて用いられる数珠1は、図14に示すように、基本的には、少なくとも一つの親珠7および多数個の子珠3に芯糸9を挿通し、輪状に連結形成したものである。このような数珠に関しては、仏像や紋章等の形象の表示機能を数珠に与えたいとの願望がある。
【0003】
これに対処するものとして、親珠に対して装飾表示シート層を内蔵し、その装飾表示シート層における装飾表示面を充填樹脂材層越しに拡大して外視可能になした親珠構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、充填樹脂材層は親珠に固着しており、装飾表示シート層を構成する装飾表示シートを別のものと簡単に交換することはできない。又、仏像等の宗教的意義をもつ装飾表示面を充填樹脂材層を介して覗いた場合、仏像等の像がレンズ効果で浮き上がって迫ってくるので宗教的な奥床しい雰囲気に欠けることがある。
【0004】
又、身体に装着する飾りを構成する主装飾材を外部容器とレンズ体及び何れかの側に貼り付けた図形付き小板とで構成し、そのレンズ体を外部容器より硬めとし、両者の嵌合面に微小角度のテーパーを付けると共にレンズ体に小突起を設け、その小突起を抜け止めとして嵌合時の圧入により相手テーパー面に係止せしめ、外部容器の背面寄りに屈曲部分を持つ芯糸通し孔を開けた装飾材が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この装飾材も図形付き小板に仏像などが描かれていれば数珠としての利用が可能であるが、レンズ体に設けられた小突起がその描かれた仏像の透視像をゆがめてしまう等の理由で、像の宗教的雰囲気を損なうことになる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−286110号公報(特許請求の範囲、第1図)
【特許文献2】
登録実用新案公報第3062583号(特許請求の範囲、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これら問題点に鑑み、宗教的な表示層を内蔵し、その表示層の表示面を透明体越しに宗教的な奥床しい雰囲気を有する像として観視可能になした数珠玉様塊状物を提供しようとする。かつその表示層が交換可能とされた数珠玉様塊状物を提供しようとする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、複数の、連結紐用孔を有する小塊が、該孔に挿通された紐を介して互いに連結されてなる連塊物に用いるものであって、曲面部を有する基体と、凸の曲面状の一の端面とを有するレンズ体と、形象が表示された表示層とを含んで構成され、該曲面部に円筒状の有底孔が形成され、該表示層が該有底孔の底部に設けられ、該表示層と該レンズ体の他の端面が相対する状態で該有底孔に該レンズ体が嵌入され、前記曲面部の曲率半径をRとし、前記一の端面の中央の曲率半径をrとしたとき、0.75R≦r≦1.25Rであり、前記有底孔の深さをDとしたとき、0.8R≦D≦0.95Rであり、前記レンズ体の径をdとしたとき、0.8≦d/R≦1.6であり、前記表示層に記録された形象が前記レンズ体を介して観視可能とされ、前記基体が前記表示層の面と平行な平面で切断された欠球体の形状をなし、前記レンズ体の前記一の端面が、前記基体のその切断による切断面と反対側に位置して、前記連塊物が身体に装着されたとき該切断面が人体に接して前記塊状物が前記連結紐用孔を軸として回転しない安定な状態となって、前記表示層が人体の外側に向けられて目につきやすいようになした、数珠玉様塊状物であることにある。
【0008】
又、本発明の要旨とするところは、複数の、連結紐用孔を有する小塊が、該孔に挿通された紐を介して互いに連結されてなる連塊物に用いるものであって、曲面部を有する基体と、凸の曲面状の一の端面とを有するレンズ体と、形象が表示された表示層とを含んで構成され、前記曲面部に円筒状の有底孔が形成され、該表示層が該有底孔の底部に設けられ、該表示層と該レンズ体の他の端面が空間を間に相対する状態で該有底孔に該レンズ体が嵌入され、前記表示層に記録された形象が前記レンズ体を介して観視可能とされ、前記基体が前記表示層の面と平行な平面で切断された欠球体の形状をなし、前記レンズ体の前記一の端面が、前記基体のその切断による切断面と反対側に位置して、前記連塊物が身体に装着されたとき該切断面が人体に接して前記塊状物が前記連結紐用孔を軸として回転しない安定な状態となって、前記表示層が人体の外側に向けられて目につきやすいようになした、数珠玉様塊状物であることにある。
【0009】
前記数珠玉様塊状物においては、前記曲面部の曲率半径をRとし、前記一の端面の中央の曲率半径をrとしたとき、0.75R≦r≦1.25Rであり、前記有底孔の深さをDとしたとき、0.8R≦D≦0.95Rであり、前記有底孔の径をdEとしたとき、0.8≦dE/R≦1.6であり得る。
【0010】
前記基体は、球体状であり得る。
【0011】
前記レンズ体は、円柱周面状の周面を有し得る。
【0012】
更に、本発明の要旨とするところは、前記数珠玉様塊状物が親珠である数珠であることにある。
【0013】
又更に、本発明の要旨とするところは、前記数珠玉様塊状物が子珠群の少なくとも一部を構成する数珠であることにある。
【0014】
前記数珠においては、前記子珠群の少なくとも一部を構成する複数の前記数珠玉様塊状物が、それぞれ異なる前記形象を表示する前記表示層を備え得る。
【0015】
又、本発明の要旨とするところは、前記数珠玉様塊状物に用いられる前記表示層の製造方法であって、
1のプリント用台紙と、
プリンタと、
画像選択指令入力端末と、画像記憶装置と、該画像選択手段によりソフトウエアを介して選択された画像情報を前記プリンタに出力する出力端末と備えるコンピュータと
を準備する工程と、
前記画像記憶装置に前記表示層に表示されることとなる形象を表す画像の画像情報を記憶させる工程と、
記憶された前記画像情報のうちから、定められた1種又は複数種の画像情報を選択する指令を、前記画像選択指令入力端末から入力する工程と、
選択された前記画像情報を前記出力端末を介して前記プリンタに入力する工程と、
前記プリンタにより前記プリント用台紙に前記選択された画像情報に基づく画像をプリントする工程と、
前記プリント用台紙からプリントされた該画像を切り取って前記表示層となす工程と
を含む表示層の製造方法であることにある。
【0016】
前記表示層の製造方法においては、前記コンピュータが、前記1種又は複数種の画像情報を1組とする画像情報に基づく画像のプリントすべき組数を指定する組数指定用入力端末を備え、
該組数を該組数指定用入力端末に入力する工程と、
前記コンピュータのソフトウエアにより、該組数の該画像を前記プリンタにプリントさせる工程を含み得る。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る態様を図面に基づいて詳しく説明する。なお、本明細書においては、各図にわたって記される同じ符号は同一又は同様の部材やものを示す。図1は本発明の数珠玉様塊状物2の構成を示す正面図(a)、側面図(b)、側面図(b)に対応する断面図(c)である。数珠玉様塊状物2は曲面部70を有する球体をベースに穿孔及びなかぐりされた球体状の基体4と、円柱状のレンズ体6と、形象が表示された表示層8とを含んで構成される。基体4に円筒状の有底孔10がなかぐり等により形成され、芯糸を通す分岐孔12がドリル等により形成されている。分岐孔12は、連結紐を通す連結紐用孔12bと、連結紐用孔12bから直角に分岐する分岐枝孔12aとから構成される。
【0018】
図2にレンズ体6の形状を示す。レンズ体6は、一の端面14に凸の曲面が形成され、他の端面16は円柱軸と直交する平面となっている。図1に示す表示層8は、表示面を有底孔10の開口に向けて、有底孔10の底に載置されている。もしくは貼付されている。レンズ体6が、表示層8とレンズ体6の他の端面16とが相対する状態で、有底孔10に着脱可能に嵌入されている。この構成で、表示層8に記録された形象がレンズ体6を介して観視可能とされている。
【0019】
図2に示すように、レンズ体6は円柱部18と、一の面22が平面の凸レンズ部20とから構成され、円柱部18の一端面と凸レンズ部20の一の面22とが一体に連接されてなる。即ち、レンズ体6は、円柱周面状の周面13と、凸の曲面状の一の端面14とを有する。凸レンズ部20の他の面はレンズ体6の一の端面14を構成する。
【0020】
なお、レンズ体6の円柱部18には、有底孔10との嵌合状態を安定化するために軸方向に僅かのテーパーが付いていてもよい。有底孔10もこの目的で軸方向に僅かのテーパーが付いていてもよい。この僅かのテーパーは本発明における視覚効果を妨げるものではなく、本発明においては、このようなテーパーが付いた円柱部18や有底孔10の形状もそれぞれ円柱状、円筒状と称する。
【0021】
図3(a)、(b)は、それぞれ本発明の他の態様における数珠玉様塊状物2a、2bの断面図である。数珠玉様塊状物2a、2bはそれぞれ高さの異なるレンズ体6a、6bを備える。
【0022】
図3(c)は、円柱部の高さHが、有底孔10の深さDより小さいレンズ体6cが用いられた数珠玉様塊状物2cを示す。又、図3(c)においては、有底孔10に、レンズ体6cと表示層8とを間にして、空間部29が形成されている。図3(d)は、有底孔10aに、レンズ体6dと表示層8とを間にして、空間部29aが形成され、かつ円筒状の有底孔10aの内面の軸方向中間部に段差17が形成された態様を示す。段差17は、有底孔10aの内面を開口に向けて拡大するように設けられている。段差17にレンズ体6dの縁部を当接させてレンズ体6dを有底孔10aに嵌合させることにより、空間部29aを確保しつつレンズ体6dを有底孔10aに確実に固定できる。段差17のかわりに有底孔10aに内側に突出するフランジ状の突起が形成されて、その突起にレンズ体6dの縁部を当接させてもよい。
【0023】
図3(e)は、レンズ体6eの表示層8に面するがわの面19も凸曲面である数珠玉様塊状物2eを示す。この場合は、視覚効果が更に強調される。
【0024】
空間部(29、29a、29b)はその中に線香のかおり等の芳香を有する芳香剤の微粒を封じこめることができ、これにより、数珠玉様塊状物の価値を高め、数珠の宗教的価値を高めることが出来る。又、空間部にリング体を挿入し、そのリングの中空部を通して表示層8が観視されるようにして表示層8の形象の宗教的価値を高めることが出来る。空間部にはカラーフィルタや形象を更に拡大して見せるための第二のレンズが装着されてもよい。このように、空間部には形象の宗教的価値を高めるための物体を封入できる。更に、表示層8の表面に浮き彫り等の手段で立体的な形象が造形されている場合は、空間部を通して観視するほうが鮮明に形象を観視できる。
【0025】
円柱部18の径即ちレンズ体6の径が大きいと、表示層8に記録された形象をレンズ体6を介して観視したとき、形象が観視者がわに浮き出て見える。形象が仏や高僧の像や、由緒ある紋や、教義を表す文字等の宗教的なものである場合、この浮き出しは、神秘性、奥床しさを損ない好ましいものではない。本発明は、この点に鑑み、形象が有底孔10の側面に包み込まれるように見え、形象が神秘性、奥床しさが感じられるように見える状態を作り出すものである。
【0026】
この状態を作り出すためには、レンズ体6の寸法は、曲面部70の曲率半径をRとし、凸レンズ部20の曲面の中央24の曲率半径即ち一の端面14の中央の曲率半径をrとしたとき、0.75R≦r≦1.25Rであり、有底孔10の深さをDとしたとき、0.8R≦D≦0.95Rであり、円柱部18の高さ、即ち周面13の母線の長さ、をHとしたとき、0.2D≦H≦1.2Dであり、円柱部18の径をdとしたとき、0.8≦d/R≦1.6である。1.0≦d/R≦1.35であることが外観のバランスのうえで更に好ましい。又、0.2D≦H≦1.0Dであることが、レンズ体6が基体4から突出せず、数珠玉様塊状物2に触ったときに面が滑らかに感じられ更に好ましい。なお、Dは、有底孔10の底面に貼付された表示層の表示面から有底孔10の開口縁までの高さである。
【0027】
又、有底孔10の内部に空間29(29a、29b)がある図3(c)、(d)、(e)のような態様においては、空間29(29a、29b)の部分の有底孔10の径をdEとして、0.8≦dE/R≦1.6であることが好ましい。1.0≦dE/R≦1.35であることが外観のバランスのうえで更に好ましい。
【0028】
又、図3(c)、(d)、(e)のような態様においては、表示層の表示面とレンズ体6cあるいはレンズ体6d(6e)との間隔(平均間隔)をWとして、0.8D≦(W+H)≦1.2Dであることが外観の美観のうえで好ましい。
【0029】
Dがこの範囲であるときに、dがこの範囲をこえて大きくなると、前述の形象の浮き出しが顕著になる。dがこの範囲をこえて小さくなると、形象の見える視野が狭くなりすぎて形象がみえにくい。
【0030】
Dがこの範囲であるときに、rがこの範囲をこえて大きくなると、形象の像を拡大するレンズ効果が不足し、形象が扁平に見えて貧相な印象を与える。rがこの範囲をこえて小さくなると、レンズ効果の歪が増大して良好な結像が難しくなる。
【0031】
D、dがこの範囲であるときに、rがこの範囲であると、凸レンズ部20の周縁部にわずかな球面収差が生じ、その結果として形象の像が、レンズ体6の中央部(軸心の周辺)に浮き出しかつ周縁部の球面収差の効果で像の周縁部が像の中央部を引き込むように歪んで、像がレンズ体6の周囲に抱かれたように見える。像の周縁部は歪んで茫洋としているので茫洋とした宗教的な空間がイメージされ、像が宗教的な空間に抱かれたように見える。レンズ体6の一の端面14の曲面は、球面の一部を構成するような面であることが好ましいが、一の端面14の周縁部の曲率が中央部の曲率と異なっていてもよい。一の端面14の周縁部の曲率が中央部の曲率より大きいと周縁部の球面収差の効果で像の周縁部が像の中央部を引き込むように歪んで、像がレンズ体6の周囲に抱かれたように見える効果が高まる。
【0032】
Dがこの範囲をこえて大きくなると分岐孔12を基体4の中心を直線状に通過させることができなくなり、分岐孔12をクの字形にまげる等の必要が生じ、芯糸を通す操作が複雑となり、好ましくない。Dがこの範囲をこえて小さくなると像がレンズ体6の周囲に抱かれたように見える効果が得られない。
【0033】
基体4の形状は球体以外に、楕円を所定の軸のまわりに回転させたときの軌跡を面とする回転楕円体であってもよい。例えば、図4に示すように、連結紐を通す連結紐用孔12bの延長方向を回転軸とし、かつ自身の長軸を回転軸とする回転楕円体形状の基体4−1であってもよい。あるいは、図5に示すように、連結紐用孔12bの延長方向を回転軸とし、かつ自身の短軸を回転軸とする回転楕円体体形状の基体4−2であってもよい。又、図6に示すように、連結紐用孔12bから直角に分岐する分岐枝孔12aの延長方向を回転軸とし、かつ自身の長軸を回転軸とする回転楕円体形状の基体4−3であってもよい。
【0034】
基体4の形状は、楕円に限らずその他の閉曲線を所定の軸のまわりに回転させたときの軌跡を面とする閉曲面体であってもよい。例えば、図7に示すように、連結紐用孔12bの延長方向を回転軸とし、かつ自身の短軸を回転軸とする円板形状の基体4−4であってもよい。あるいは、図8に示すように、変形した楕円を、連結紐用孔12bの延長方向を回転軸とし、かつ自身の短軸を回転軸として回転させた軌跡形状の基体4−5であってもよい。
【0035】
又、基体4の形状は、図9に示すように、球体が、表示層8の面と平行な平面で切断された欠球体の形状の基体4−6であってもよい。この場合は、数珠を構成している数珠玉様塊状物2fが人体の一部例えば手の一部と接したとき、数珠玉様塊状物2fが連結紐用孔12bを軸として回転せず、その切断による切断面60が手に接する状態が安定した状態であり、常に表示層8が人体の外側に向けられて目につきやすい配置が実現され好ましい。
【0036】
基体4の形状は、閉曲線を所定の軸のまわりに回転させたときの軌跡を面とする閉曲面体に限らず、基体4にはめ込まれたレンズ6の露出したレンズ面とほぼなだらかに連なる形状の曲面部を有するものであればよい。例えば、全体として非対称な形状のものであってもよい。
【0037】
又、レンズ6は、図10に示すレンズ6xのように、光軸方向にみて非円形、例えば略正方形であってもよい。
【0038】
なお、本明細書においては、曲面部の曲率半径は、有底孔10(図1)のような基体に形成された有底孔に嵌入されたレンズ6やレンズ6xのようなレンズの周縁部近傍の基体の表面と、レンズの光軸及び連結紐用孔12bの軸を含む平面との交わる、レンズを間にする2本の線の各曲率、及び、そのレンズの周縁部近傍の基体の面と、レンズの光軸を含み連結紐用孔12bの軸と直交する平面との交わる、レンズを間にする2本の線の各曲率、の平均値である。
【0039】
基体4の素材としては、特に限定されない。例えば、木の実、木、竹、金属、石、宝石、真珠、樹脂、ガラス、セラミックス、これらの複合材などが用いられる。
【0040】
レンズ体6の素材としては透明な材料であれば特に限定されない。又、レンズ体6は着色していてもよい。透明なガラス、セラミックス、樹脂などが用いられる。樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが好適に用いられる。
【0041】
表示層8としては記録媒体に形象が記録されたものであれば素材は特に問わない。記録媒体としては、紙、フィルム、皮、布、あるいはこれらをベースとするシート材が用いられる。形象の記録は、手書き、印刷、刻印、写真等による。
【0042】
本発明においては、嵌合されたレンズ体6を抜き取り、表示層8を交換し、ふたたびレンズ体6を嵌入することにより、表示層8の交換が可能である。
【0043】
多数の数珠玉様塊状物につき、それぞれに表示層8を準備する場合は、一枚の写真の台紙に多数の写真像を同時に焼き付けたのち、個々の写真像を切り取って表示層8とすることが能率的である。
【0044】
更に、図11に示すように、一枚のプリント用台紙40に、多数のプリント像42を同時にプリントしたのち、個々のプリント像42を切り取って表示層とすることが能率的である。この操作は、コンピュータに記憶させた画像情報をもとに電子的な画像処理操作を行って、電子的に制御されるプリンタに、一枚のプリント用台紙に多数のプリント像をならべてプリントさせる指令をコンピュータを用いて送って行なうことが出来る。
【0045】
このコンピュータを用いた方法においては、予めコンピュータの画像記憶装置に多数種の前述の形象を表す画像や文字を画像情報として記憶させておき、その記憶された画像情報のうちから、製作すべき数珠に応じて定められた1種又は複数種の画像情報を選択する指令を、コンピュータの選択指令入力端末から入力し、ソフトウエアによりこの指令に基づきその記憶された画像情報のうちから選択された画像情報を電子的に制御されるプリンタに送って、一枚のプリント用台紙40に、選択されたプリント像42を同時にプリントしたのち、個々のプリント像42を切り取って表示層とすることが更に能率的である。これにより、製作すべき数珠が多品種少量であっても、数珠に相応しい画像情報を効率よく選択して表示層を能率的に製作出来る。
【0046】
このプリンタには、その1種又は複数種の画像情報を1組とする画像群を指定された組数分プリントする組数指令をコンピュータの組数指定用入力端末を介してソフトウエアによりコンピュータから送り、この組数指令により画像や文字が指定された組数分プリントされることが好ましい。
【0047】
表示層8に表示される形象としては特に限定されないが、形象が仏や高僧の像や、由緒ある紋や、教義を表す文字等の宗教的なものや道徳的なものであることが好ましい。
【0048】
図12に示すように、本発明の数珠玉様塊状物は、親珠36のみならず子珠32にも適用される。多数の子珠に、それぞれ異なりかつ相互に関連する形象の表示層8を配することもできる。例えば、高僧のグループから個々の高僧の像をそれぞれ図1の表示層8に表示し、これらを子珠32にそれぞれ配して数珠30を作ることができる。又、南無阿弥陀仏の6文字をそれぞれ別の表示層8に表示し、これらを子珠にそれぞれ配して数珠を作ることができる。このように子珠にも本発明の数珠玉様塊状物を適用することにより、数珠の宗教的価値を更に高めることが出来る。子珠には、注文に応じて購入者にゆかりの名前や戒名などが記された表示層を配することもできる。名前や戒名などを構成する個々の文字をそれぞれ別の表示層8に表示し、これらを子珠に順にそれぞれ配して数珠を作ることができる。このように、複数の子珠に、それぞれに異なりかつ関連する形象の表示層8を配することにより数珠の宗教的価値を又更に高めることが出来る。なお、子珠32にあっては、分岐枝孔12aは必要でない。
【0049】
本発明の数珠玉様塊状物は、数珠の他に、穿孔を有する複数の塊状の粒体がその穿孔に通された紐で連結されてなり、ストラップや、ブレスレットや、その他の装飾物や、ある思想や教義を象徴する材として用いられる可撓性長尺物にも好適に適用される。この場合、表示層8に記録される像や記号や文字はその可撓性長尺物の使用目的に応じて適宜選択される。本発明においては、いずれの場合においても、表示層8に記録された像や記号や文字はその可撓性長尺物の使用目的に相応しいすぐれた表示効果を有する。
【0050】
以上本発明の数珠玉様塊状物及び数珠の態様を説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものであり、これらの態様はいずれも本発明の範囲に属するものである。
【0051】
例えば、図13に示すように、レンズ体6eの周面に設けられた微小突起23が基体4eの有底孔10eの周面の微小凹部23aに係合してレンズ体6eが有底孔10eに確実に係止されるようにしてもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明の数珠玉様塊状物は、宗教的な表示層を内蔵し、その表示層の表示面を透明体越しに有意義なあるいは宗教的な奥床しい雰囲気を有する像として観視可能である。
【0053】
本発明の数珠玉様塊状物は、表示層が交換可能とされ交換により多様な有意義なあるいは宗教的雰囲気を味わうことが出来る。
【0054】
本発明の数珠は、宗教的な表示層を内蔵し、その表示層の表示面を透明体越しに有意義なあるいは宗教的な奥床しい雰囲気を有する像として観視可能な数珠玉様塊状物を備え、有意義なあるいは深い宗教的雰囲気を味わうことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の数珠玉様塊状物の構成を示す正面図(a)、側面図(b)、側面図(b)に対応する断面図(c)である。
【図2】本発明の数珠玉様塊状物に用いられるレンズ体の構成の一例を示す平面図(a)、正面図(b)である。
【図3】図3(a)は本発明の他の態様の一例における数珠玉様塊状物の構成を示す断面図である。図3(b)は本発明の更に他の態様における数珠玉様塊状物の構成を示す断面図である。図3(c)は本発明の別の態様における数珠玉様塊状物の構成を示す断面図である。図3(d)は本発明の更に別の態様における数珠玉様塊状物の構成を示す断面図である。図3(e)は本発明の又更に別の態様における数珠玉様塊状物の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の数珠玉様塊状物に用いる基体の図1に示す態様とは異なる態様の一例を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図5】本発明の数珠玉様塊状物に用いる基体の図4に示す態様とは異なる態様の一例を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図6】本発明の数珠玉様塊状物に用いる基体の図5に示す態様とは異なる態様の一例を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図7】本発明の数珠玉様塊状物に用いる基体の図7に示す態様とは異なる態様の一例を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図8】本発明の数珠玉様塊状物に用いる基体の図7に示す態様とは異なる態様の一例を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図9】本発明の数珠玉様塊状物に用いる基体の図8に示す態様とは異なる態様の一例を示す正面図(a)、側面図(b)である。
【図10】本発明の数珠玉様塊状物の図1に示す態様とは異なる構成の一例を示す正面図(a)、側面図(b)、側面図(b)に対応する断面図(c)である。
【図11】本発明の数珠玉様塊状物に用いられる表示層の製造のためのプリントされたプリント台紙の状態を示す模式図である。
【図12】本発明の数珠の構成の一例を示す模式図である。
【図13】本発明におけるレンズ体が有底孔に装着される態様の一例を示す説明図である。
【図14】従来の数珠の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
2、2a、2b、2f:数珠玉様塊状物
4:基体
6:レンズ体
8:表示層
10:有底孔
12:分岐孔
12b:連結紐用孔
18:円柱部
20:凸レンズ部
70:曲面部
Claims (7)
- 複数の、連結紐用孔を有する小塊が、該孔に挿通された紐を介して互いに連結されてなる連塊物に用いる塊状物であって、曲面部を有する基体と、凸の曲面状の一の端面とを有するレンズ体と、形象が表示された表示層とを含んで構成され、該曲面部に円筒状の有底孔が形成され、該表示層が該有底孔の底部に設けられ、該表示層と該レンズ体の他の端面が相対する状態で該有底孔に該レンズ体が嵌入され、前記曲面部の曲率半径をRとし、前記一の端面の中央の曲率半径をrとしたとき、0.75R≦r≦1.25Rであり、前記有底孔の深さをDとしたとき、0.8R≦D≦0.95Rであり、前記レンズ体の径をdとしたとき、0.8≦d/R≦1.6であり、前記表示層に記録された形象が前記レンズ体を介して観視可能とされ、前記基体が前記表示層の面と平行な平面で切断された欠球体の形状をなし、前記レンズ体の前記一の端面が、前記基体のその切断による切断面と反対側に位置して、前記連塊物が身体に装着されたとき該切断面が人体に接して前記塊状物が前記連結紐用孔を軸として回転しない安定な状態となって、前記表示層が人体の外側に向けられて目につきやすいようになした、数珠玉様塊状物。
- 複数の、連結紐用孔を有する小塊が、該孔に挿通された紐を介して互いに連結されてなる連塊物に用いるものであって、曲面部を有する基体と、凸の曲面状の一の端面とを有するレンズ体と、形象が表示された表示層とを含んで構成され、前記曲面部に円筒状の有底孔が形成され、該表示層が該有底孔の底部に設けられ、該表示層と該レンズ体の他の端面が空間を間に相対する状態で該有底孔に該レンズ体が嵌入され、前記表示層に記録された形象が前記レンズ体を介して観視可能とされ、前記基体が前記表示層の面と平行な平面で切断された欠球体の形状をなし、前記レンズ体の前記一の端面が、前記基体のその切断による切断面と反対側に位置して、前記連塊物が身体に装着されたとき該切断面が人体に接して前記塊状物が前記連結紐用孔を軸として回転しない安定な状態となって、前記表示層が人体の外側に向けられて目につきやすいようになした、数珠玉様塊状物。
- 前記曲面部の曲率半径をRとし、前記一の端面の中央の曲率半径をrとしたとき、0.75R≦r≦1.25Rであり、前記有底孔の深さをDとしたとき、0.8R≦D≦0.95Rであり、前記有底孔の径をdEとしたとき、0.8≦dE/R≦1.6である請求項2に記載の数珠玉様塊状物。
- 前記レンズ体が円柱周面状の周面を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の数珠玉様塊状物。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の数珠玉様塊状物が親珠である数珠。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の数珠玉様塊状物が子珠群の少なくとも一部を構成する数珠。
- 前記子珠群の少なくとも一部を構成する複数の前記数珠玉様塊状物が、それぞれ異なる前記形象を表示する前記表示層を備える請求項6に記載の数珠。
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