JP4515731B2 - 音声補正装置 - Google Patents

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本発明は、車載用ナビゲーション装置から出力される案内音声等の信号レベルを周囲の騒音等に応じて補正する音声補正装置に関する。
一般に、車載のナビゲーション装置から出力される案内音声は、カーオーディオ装置の出力音声やエンジン騒音等の音圧レベルによっては聞き取りにくくなる。案内音声の出力時にオーディオ装置の出力音量を小さくすることにより、案内音声の内容を聞き取りやすくする方法が考えられるが、これでは、案内音声が頻繁に出力される場合にその都度オーディオ装置の出力音量が小さくなって、利用者は違和感を感じることになる。また、エンジン騒音等の制御不可能な音源に対してはこのような対策をとることができない。そこで、オーディオ装置の出力音量等を低下させることなく案内音声の内容を聞き取ることができれば便利であり、このような要請に応えるものとして、聴覚理論に基づいたラウドネス補償技術を用いた音声補正装置が従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。この音声補正装置では、聴取位置にマイクロホンを設置して、この聴取位置での騒音レベルに応じて出力音声に対するゲイン補正を各周波数帯域毎に行っており、利用者は、騒音レベルが変化しても常に音声の内容を明瞭に聞き取ることができるようになる。
特開平11−166835号公報(第3−7頁、図1−10)
ところで、上述した特許文献1に開示された音声補正装置では、マイクロホンに到達した音に含まれる案内音声と騒音とを分離して補正ゲインを決定して、スピーカから出力される案内音声の音量を可変するフィードバック型の制御が行われている。このため、スピーカから出力されるオーディオ音等の音量が変化してから実際に案内音声の音量が変更されるまでに、スピーカからマイクロホンまでのオーディオ音等の伝搬時間に相当する遅延が生じ、理想的な補正タイミングに比べて数十ms程度遅れて案内音声の音量が変更されるため、オーディオ音や案内音声の音量が大きく変化する場合に補正によって違和感が発生するという問題があった。例えば、オーディオ音の音量が急に大きくなる場合を考えると、上述した伝搬時間に対応する所定時間後に案内音声の音量が大きくなるため、案内音声の冒頭部分の補正が間に合わず、一部の案内音声のみが聞こえづらくなる。また、反対に、オーディオ音の音量が急に小さくなる場合を考えると、上述した伝搬時間に対応する所定時間後に案内音声の音量が小さくなるため、案内音声の冒頭部分の補正が間に合わず、一部の案内音声のみが必要以上に大きく聞こえることになる。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、補正による違和感の発生を低減することができる音声補正装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の音声補正装置は、聴取位置に設置されたマイクロホンと、補正対象音声信号が入力されたときに、対応する補正対象音声が第1のスピーカから出力されてマイクロホンに到達した時点においてマイクロホンから出力される補正対象音声信号および周辺騒音信号を予測する予測手段と、予測手段によって予測された補正対象音声信号の平均パワーと周辺騒音信号の平均パワーとに基づいて設定される補正ゲインで、第1のスピーカから出力される補正対象音声の音圧レベルを補正する音声補正手段とを備えている。補正対象音声信号が入力されたときに、この補正対象音声信号に対応して第1のスピーカから出力される補正対象音声がマイクロホンに到達した時点における補正対象音声信号や周辺騒音信号が予測され、この予測結果に基づいて音声補正手段の補正ゲインが設定されるため、遅延のない理想的な補正タイミングで補正対象音声の音圧レベル(音量)を制御することができ、補正による違和感の発生を低減することができる。
また、上述した予測手段は、補正対象音声が出力される第1のスピーカからマイクロホンまでの音響系の第1のインパルス応答特性が第1のフィルタ係数として設定された第1の可変フィルタと、周辺騒音に含まれるオーディオ音が出力される第2のスピーカからマイクロホンまでの音響系の第2のインパルス応答特性が第2のフィルタ係数として設定された第2の可変フィルタとを有することが望ましい。これにより、補正対象音声信号とオーディオ信号とが入力されたときに、これらに対応する未来の信号を確実に予測することが可能になる。
また、上述した予測手段は、第1のインパルス応答特性を推定する第1の適応フィルタと、第2のインパルス応答特性を推定する第2の適応フィルタとを有しており、第1の適応フィルタによって推定された第1のインパルス応答特性を第1のフィルタ係数として第1の可変フィルタに設定し、第2の適応フィルタによって推定された第2のインパルス応答特性を第2のフィルタ係数として第2の可変フィルタに設定することが望ましい。これにより、第1および第2のスピーカとマイクロホンとが設置された音響空間毎に最適なインパルス応答特性を決定して第1および第2の可変フィルタの設定を行うことが可能になる。
また、上述した予測手段は、オーディオ音に対応するオーディオ信号以外の周辺騒音信号がマイクロホンから出力されたときに未来の周辺騒音信号を予測する第3の可変フィルタを有することが望ましい。特に、上述した第3の可変フィルタは、周辺騒音信号に含まれる周期的成分を予測することが望ましい。また、上述した予測手段は、オーディオ以外の周辺騒音信号がマイクロホンから出力されたときに、この周辺騒音信号に含まれる周期的成分以外の非周期的成分を抽出する非周期成分抽出手段を有することが望ましい。これにより、オーディオ音以外の周辺騒音(周期的成分および非周期的成分)についても確実に予測あるいは抽出することが可能になる。
また、上述した第1のスピーカから出力される補正対象音声と第2のスピーカから出力されるオーディオ音の出力タイミングを調節する調節手段をさらに備えることが望ましい。これにより、第1および第2のスピーカからマイクロホンに到達するまでの遅延を考慮して、補正対象音声の音圧レベルを補正することが可能になり、設定した補正ゲインとこの補正ゲインに対応する実際の補正対象音声との対応を正確にとることができ、補正による違和感をさらに低減することができる。
以下、本発明を適用した一実施形態の音声補正装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、一実施形態の音声補正装置の全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の音声補正装置100は、音声補正用フィルタ10、ラウドネス補償ゲイン算出部12、可変フィルタ14、16、38、調節器18、20、適応フィルタ(ADF)22、28、34、演算部24、30、36、マイクロホン26、遅延器32を含んで構成されている。この音声補正装置100は、車両に搭載されており、ナビゲーション装置(図示せず)から出力される案内音声信号とオーディオ装置(図示せず)から出力されるオーディオ信号とが入力され、ゲイン補正を行った後の案内音声がスピーカ40から出力され、オーディオ音がスピーカ42から出力される。
音声補正用フィルタ10は、入力される案内音声信号に対してゲイン調整を行う。ラウドネス補償ゲイン算出部12は、スピーカ40から出力されてナビゲーション装置の利用者によって聴取される案内音声の明瞭さが周辺騒音に無関係にほぼ一定となるように、音声補正用フィルタ10のゲインを設定する。
可変フィルタ14は、オーディオ信号が入力されたときに、このオーディオ信号に対応するオーディオ音がスピーカ42から出力されマイクロホン26に到達してマイクロホン26から出力されるオーディオ信号を予測し、出力する。この可変フィルタ14のフィルタ係数は、後述する適応フィルタ28に設定された音響特性C2がコピーされる。また、可変フィルタ16は、案内音声信号が入力されたときに、この案内信号に対応する案内音声がスピーカ40から出力されてマイクロホン26に到達してマイクロホン26から出力される案内音声を予測し、出力する。この可変フィルタ16のフィルタ係数は、後述する適応フィルタ22に設定された音響特性C1がコピーされる。
調節器18は、オーディオ信号がスピーカ42に入力され、マイクロホン26から出力されるまでに発生する信号の遅延を再現する。調節器20は、案内音声信号がスピーカ40に入力され、マイクロホン26から出力されるまでに発生する信号の遅延を再現する。
適応フィルタ22は、スピーカ40からマイクロホン26までの音響系のインパルス応答に対応する音響特性C1が設定されたフィルタである。スピーカ40に入力される案内音声信号をこの適応フィルタ22に通すことにより、スピーカ40から出力されてマイクロホン26に到達するまでの音声のインパルス応答を再現することができる。この適応フィルタ22のフィルタ係数C1は、例えばLMS(Least Mean Square )アルゴリズムを用いて、演算部24から出力される誤差信号のパワーが最小となるように更新される。
マイクロホン26は、案内音声の聴取位置、例えば車両の運転者を利用者と考えた場合には運転者の頭部近傍に設定されており、スピーカ40から車室内に出力される案内音声や、スピーカ42から出力されるオーディオ音を含む周辺騒音を集音する。
演算部24は、マイクロホン26から出力される信号から、適応フィルタ22を通した後の信号を差し引いた誤差信号を出力する。音声補正用フィルタ10から出力された案内音声信号は、適応フィルタ22に入力されるとともに、スピーカ40から出力されてマイクロホン26に到達する。したがって、演算部24から出力される誤差信号のパワーが最小になるように適応フィルタ22のフィルタ係数C1を決定することにより、このフィルタ係数C1をスピーカ40からマイクロホン26までの音響系のインパルス応答に一致させることができる。
適応フィルタ28は、スピーカ42からマイクロホン26までの音響系のインパルス応答に対応する音響特性C2が設定されたフィルタである。スピーカ42に入力される案内音声信号をこの適応フィルタ28に通すことにより、スピーカ42から出力されてマイクロホン26に到達するまでの音声のインパルス応答を再現することができる。この適応フィルタ28のフィルタ係数C2は、適応フィルタ22のフィルタ係数C1と同様に、例えばLMS(Least Mean Square )アルゴリズムを用いて、演算部30から出力される誤差信号のパワーが最小となるように更新される。
演算部30は、マイクロホン26から出力された信号から、適応フィルタ28を通した後の信号を差し引いた誤差信号を出力する。音声補正装置100に入力されたオーディオ信号は、適応フィルタ28に入力されるとともに、スピーカ42から出力されてマイクロホン26に到達する。したがって、演算部30から出力される誤差信号のパワーが最小になるように適応フィルタ28のフィルタ係数C2を決定することにより、このフィルタ係数C2をスピーカ42からマイクロホン26までの音響系のインパルス応答に一致させることができる。
遅延器32は、演算部30から出力される誤差信号を所定時間(Δs)遅延させる。この誤差信号には、マイクロホン26から出力される信号から、演算部24に入力される適応フィルタ22の出力信号(案内音声信号)と、演算部30に入力される適応フィルタ28の出力信号(オーディオ信号)とを差し引いた周辺騒音信号が含まれている。適応フィルタ34は、周辺騒音に含まれる周期的成分を予測するフィルタ係数C3が設定されたフィルタである。演算部36は、演算部30から出力される周辺騒音信号から、適応フィルタ34から出力される信号を差し引いた誤差信号を出力する。
これらの遅延器32、適応フィルタ34および演算部36によって、周辺騒音に含まれる周期的成分を推定する予測器が構成されている。すなわち、演算部36から出力される誤差信号のパワーが最小となるように適応フィルタ34のフィルタ係数C3を設定することにより、遅延器32による遅延分を予測するように適応フィルタ34を動作させることができる。したがって、演算部36からは、演算部30から出力された誤差信号としての周辺信号から、適応フィルタ34によって予測された周辺騒音中の周期的成分を差し引いて、突発的成分(非周期的成分)としての周辺騒音を抽出して出力する。
可変フィルタ38は、適応フィルタ34のフィルタ係数がコピーされており、演算部30から出力される周辺騒音信号に基づいて、スピーカ40から出力された音がマイクロホン26に到達するまでの遅延時間に相当する未来の周辺騒音信号を予測して出力する。
上述した可変フィルタ14、16、38、適応フィルタ22、28、34、演算部24、30、36、遅延器32が予測手段に、音声補正用フィルタ10、ラウドネス補償ゲイン算出部12が音声補正手段にそれぞれ対応する。また、遅延器32、適応フィルタ34、演算部36が非周期成分抽出手段に、調節器18、20が調節手段にそれぞれ対応する。
本実施形態の音声補正装置100はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
(1)音声補正の原理
まず最初に、本実施形態においてナビゲーション装置の案内音声のゲインを補正する原理について説明する。
図2は、物理的な音圧レベルと、その音を人間が聞いたときに感じる音の大きさ(ラウドネス)との対応関係(ラウドネス曲線)を示す図である。図2において、横軸は音圧レベル(単位:dB SPL)、縦軸は人間が感じる音の大きさを示すラウドネス(単位:sone)であり、曲線Aは静寂下でのラウドネス曲線、曲線Bは騒音下でのラウドネス曲線である。但し、曲線Bは騒音レベルに応じて変化するものである。
図2において、ラウドネスの値が同じであれば、人間は同じ大きさの音であると感じるということである。したがって、例えば、人間が0.1soneの大きさに感じる音は、静寂下では約12dB SPLの音圧レベルの音であるが、曲線Bの騒音下では約37dB SPLの音圧レベルの音である。換言すると、静寂下で約12dB SPLで出力していた音を曲線Bの騒音下で同じ大きさに感じるためには、約37dB SPLの音を出力する必要がある。つまり、曲線Bの騒音下では約25dBのゲインを加える必要があるということである。また、人間が1soneの大きさに感じる音は、静寂下では約42dB SPLの音圧レベルの音であるが、曲線Bの騒音下では約49dB SPLの音圧レベルの音であるため、騒音下では約7dBのゲインを加えてやる必要がある。したがって、同じ騒音下であっても、出力される音の音圧レベルに応じて加えるゲインを変更する必要があるということである。
図3は、騒音下において静寂下と同じ大きさの音に感じるために、静寂下の音圧レベルに対してどれだけゲインを加える必要があるかを示す図である。図3において、横軸は静寂下で出力される音の音圧レベルであり、縦軸は騒音下において静寂下と同じ大きさの音に感じるために加える必要があるゲイン値である。例えば、静寂下で音圧レベル20dBで出力される音は、騒音下では、約19dBのゲインを加えられることによって、人間は静寂下と同じ大きさの音であると感じるようになる。
ラウドネス補償ゲイン算出部12は、あらかじめ様々な騒音レベルにおける図3に示すような案内音声の音圧レベルと加えるゲインとの関係(以下、ゲインテーブルと呼ぶ)を内部のメモリに格納しており、オーディオ音を含む周辺騒音の音量(平均パワー)に基づいて、最適なゲインテーブルを選択し、この選択したゲインテーブルと案内音声の平均パワーに基づいて、最適なゲインを算出する。ラウドネス補償ゲイン算出部12は、この算出されたゲインとなるように音声補正用フィルタ10による補正ゲインを設定する。
ところで、一般に案内音声は、様々な周波数成分を有しており、その周波数成分ごとに音圧レベルが異なっている。したがって、案内音声の聴き取りにくさも案内音声信号や騒音信号の各周波数成分の音圧レベルによって異なるという不均衡が生じる。また、騒音信号の各周波数成分はそれらの高周波成分の案内音声信号に対してもマスキング効果を及ぼすため、このことも考慮する必要がある。
そこで、案内音声信号の各周波数成分ごとに最適なゲインを設定することが望ましい。すなわち、案内音声信号と騒音信号のそれぞれを所定の周波数帯域に分割して、各周波数帯域ごとに騒音信号の周波数成分に基づいて最適なゲインテーブルを選択し、この選択したゲインテーブルと案内音声信号の周波数成分とに基づいて最適なゲインを算出するようにすることが望ましい。
(2)音声補正装置によるゲイン補正動作
ナビゲーション装置から音声補正装置100に案内音声信号が入力されると、可変フィルタ16からは、この音声案内信号に対応してスピーカ40から出力された案内音声がマイクロホン26によって集音されたときに出力される案内音声信号が予測されて出力される。
同様に、オーディオ装置から音声補正装置100にオーディオ音が入力されると、可変フィルタ14からは、このオーディオ信号に対応してスピーカ42から出力されたオーディオ音がマイクロホン26によって集音されたときに出力されるオーディオ信号が予測されて出力される。
また、上述した案内音声信号がオーディオ信号の入力タイミングに合わせて周辺騒音信号が入力されると、可変フィルタ38からは、スピーカ40から出力された周辺騒音がマイクロホン26によって集音されたときに出力される周辺騒音信号が予測されて出力される。
さらに、演算部36からは、その時点で発生している周辺騒音から周期的成分を除去した突発的成分のみが抽出され、出力される。
ラウドネス補償ゲイン算出部12には、上述した3つの可変フィルタ16、14、38および演算部36のそれぞれから出力される案内音声信号、オーディオ信号、周辺騒音信号(周期的成分および突発的成分)が入力される。ラウドネス補償ゲイン算出部12は、これらの予測された各種の信号に基づいて、マイクロホン26の設置位置において案内音声が明瞭に聞き取れるように、音声補正装置100の補正ゲインを設定する。
ところで、この補正ゲインは、スピーカ40から出力される案内音声がマイクロホン26に到達した時点を予測して設定されるものであるため、実際に音声補正装置100に入力された案内音声信号に対して直接この補正ゲインによるゲイン補正を行う場合には、補正対象となる音声信号のタイミングを、スピーカ40からマイクロホン26に到達するまでの遅延を考慮して調整しておく必要がある。このために、音声補正用フィルタ10の前段に調節器20が設けられている。また、この調節器20を通した後の音声信号がスピーカ40から出力されるタイミングに合わせてオーディオ音の出力タイミングを調整するために、スピーカ42の前段に調節器18が設けられている。調節器20、18に設定される遅延量Δsは、スピーカ40とマイクロホン26との距離等に応じた概略的な遅延時間が用いられる。
このように、本実施形態の音声補正装置100では、補正対象の案内音声信号が入力されたときに、この案内音声信号に対応してスピーカ40から出力される案内音声がマイクロホン26に到達した時点における案内音声信号や周辺騒音信号が予測され、この予測結果に基づいて音声補正用フィルタ10の補正ゲインが設定されるため、遅延のない理想的な補正タイミングで案内音声の音圧レベル(音量)を制御することができ、補正による違和感の発生を低減することができる。これにより、オーディオ音や案内音声の音量が大きく変化する場合に補正によって違和感が発生するといった不具合をなくすことができる。
また、案内音声が出力されるスピーカ40からマイクロホン26までの音響系のインパルス応答特性がフィルタ係数C1として設定された可変フィルタ16と、周辺騒音に含まれるオーディオ音が出力されるスピーカ42からマイクロホン26までの音響系のインパルス応答特性がフィルタ係数C2として設定された可変フィルタ14とを用いることにより、案内音声信号とオーディオ信号とが入力されたときに、これらに対応する未来の信号を確実に予測することが可能になる。特に、これらのインパルス応答と適応フィルタを用いて推定することにより、スピーカ40、42とマイクロホン26とが設置された音響空間毎に最適なインパルス応答特性を決定して可変フィルタ14、16のフィルタ係数の設定を行うことが可能になる。
また、オーディオ音以外の周辺騒音信号がマイクロホン26から出力されたときに未来の周辺騒音信号を予測する可変フィルタ38を備えることにより、オーディオ音以外の周期的な周辺騒音を確実に予測することが可能になる。あるいは、オーディオ信号以外の周辺騒音信号がマイクロホン26から出力されたときに、この周辺騒音信号に含まれる非周期的成分を抽出しているため、周辺騒音信号に含まれる周期的成分だけでなく非周期成分も確実に抽出することができ、精度の高いラウドネス補償処理を実現することができる。
また、スピーカ40から出力される案内音声とスピーカ42から出力されるオーディオ音の出力タイミングを調節する調節器20、18を備えているため、スピーカ40、42からマイクロホン26に到達するまでの遅延を考慮して、案内音声の音圧レベルを補正することが可能になり、設定した補正ゲインとこの補正ゲインに対応する実際の案内音声との対応を正確にとることができ、補正による違和感をさらに低減することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、車載のナビゲーション装置から出力される案内音声のゲインを補正する場合を説明したが、車両内で出力されるそれ以外の音声のゲインを補正する場合や、車両以外の室内において出力されるテレビジョン装置の放送番組の音声のゲインを補正する場合等に本発明を適用してもよい。
また、上述した実施形態では、オーディオ音とそれ以外の周辺騒音の両方が含まれる場合を考えたが、どちらか一方のみを考慮した構成として、装置の簡略化を図るようにしてもよい。例えば、周辺騒音としてオーディオ音のみを考慮する場合には、遅延器32、適応フィルタ34、演算部36、可変フィルタ38を省略することができる。また、オーディオ音が含まれない周辺騒音のみを考慮する場合には、可変フィルタ14、調節器18、適応フィルタ28を省略することができる。
一実施形態の音声補正装置の全体構成を示す図である。 物理的な音圧レベルと、その音を人間が聞いたときに感じる音の大きさ(ラウドネス)との対応関係(ラウドネス曲線)を示す図である。 騒音下において静寂下と同じ大きさの音に感じるために、静寂下の音圧レベルに対してどれだけゲインを加える必要があるかを示す図である。
符号の説明
10 音声補正用フィルタ
12 ラウドネス補償ゲイン算出部
14、16、38 可変フィルタ
18、20 調節器
22、28、34 適応フィルタ(ADF)
24、30、36 演算部
26 マイクロホン
32 遅延器
40、42 スピーカ

Claims (5)

  1. 聴取位置に設置されたマイクロホンと、
    補正対象音声信号が入力されたときに、対応する補正対象音声が第1のスピーカから出力されて前記マイクロホンに到達した時点において前記マイクロホンから出力される前記補正対象音声信号および周辺騒音信号を予測する予測手段と、
    前記予測手段によって予測された前記補正対象音声信号の平均パワーと前記周辺騒音信号の平均パワーとに基づいて設定される補正ゲインで、前記第1のスピーカから出力される前記補正対象音声の音圧レベルを補正する音声補正手段と、
    を備え、前記予測手段は、前記補正対象音声が出力される前記第1のスピーカから前記マイクロホンまでの音響系の第1のインパルス応答特性が第1のフィルタ係数として設定された第1の可変フィルタと、周辺騒音に含まれるオーディオ音が出力される第2のスピーカから前記マイクロホンまでの音響系の第2のインパルス応答特性が第2のフィルタ係数として設定された第2の可変フィルタとを有し、
    前記第1のスピーカから出力される前記補正対象音声と前記第2のスピーカから出力される前記オーディオ音の出力タイミングを調節する調節手段をさらに備えることを特徴とする音声補正装置。
  2. 請求項1において、
    前記予測手段は、前記第1のインパルス応答特性を推定する第1の適応フィルタと、前記第2のインパルス応答特性を推定する第2の適応フィルタとを有しており、
    前記第1の適応フィルタによって推定された前記第1のインパルス応答特性を前記第1のフィルタ係数として前記第1の可変フィルタに設定し、前記第2の適応フィルタによって推定された前記第2のインパルス応答特性を前記第2のフィルタ係数として前記第2の可変フィルタに設定することを特徴とする音声補正装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記予測手段は、前記オーディオ音に対応するオーディオ信号以外の前記周辺騒音信号が前記マイクロホンから出力されたときに未来の周辺騒音信号を予測する第3の可変フィルタを有することを特徴とする音声補正装置。
  4. 請求項3において、
    前記第3の可変フィルタは、前記周辺騒音信号に含まれる周期的成分を予測することを特徴とする音声補正装置。
  5. 請求項4において、
    前記予測手段は、前記オーディオ信号以外の前記周辺騒音信号が前記マイクロホンから出力されたときに、この周辺騒音信号に含まれる前記周期的成分以外の非周期的成分を抽出する非周期成分抽出手段を有することを特徴とする音声補正装置。
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