以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
実施形態1.
図1を用いて、本発明の実施形態1に係る組電池のための異常電圧検出装置100を説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る組電池のための異常電圧検出装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、10は組電池、100は異常電圧検出装置、190はマイクロコンピュータである。組電池10、異常電圧検出装置100及びマイクロコンピュータ190は全て電動車両に搭載される。組電池10の直流電力は、インバータ(図示しない)によって交流電力に変換され、モータ(図示しない)を駆動し、電動車両を走行させる。
組電池10は、n個(nは2以上の正整数。図1ではn=20である。)の電池ブロックB1〜Bnを直列接続したものである。各電池ブロックB1〜Bnはさらに複数(12個)の二次電池セルb1〜bm(mは2以上の正整数。図1ではm=12である。)の直列接続体により構成されている。この構成により、組電池10は、全体として240セルの組電池となる。実施形態1において、各セルb1〜bmは公称電圧1.2Vのニッケル−水素電池であり、各電池ブロックから14.4V、組電池10から総公称電圧288Vが得られる。なお、本明細書では、組電池10の高電位側を上位、低電位側を下位と呼び、最下位の電池ブロックをB1、最上位の電池ブロックをBnとする。
異常電圧検出装置100は、異常電圧検出回路S1〜Sn、信号発生回路150及びフォトカプラP1を有する。信号発生回路150は、pnpトランジスタQ11、Q21、Q31、…及びQn1、npnトランジスタQ12、Q22、Q32、…及びQn2、抵抗R1〜Rn、フォトカプラP1、抵抗RPを有する。
各異常電圧検出回路S1〜Snは電池ブロックB1〜Bn毎に設けられる。各異常電圧検出回路S1〜Snは、対応する電池ブロックの正負極端子間電圧が第1の所定値を超えて過充電状態になったことを検出し、第2の所定値を下回って過放電状態になったことを検出する。第1の所定値は、電池ブロックの端子間電圧(14.4V)よりも大きい値、例えば16.0Vに設定される。第2の所定値は、電池ブロックの端子間電圧よりも小さい値、例えば14.0Vに設定される。異常電圧検出回路S1〜Snは、対応する電池ブロックの過充電又は過放電異常を検出すると、ローレベルの異常検出信号d1〜dnをそれぞれ発生して出力する。異常電圧検出回路S1〜Snは、対応する電池ブロックの電圧が正常であることを検出すると、ハイレベルの異常検出信号d1〜dnをそれぞれ発生して出力する。異常電圧検出回路S1〜Snは、対応する電池ブロックの電圧に基づいて、その電池ブロックの電圧異常又は電圧正常を検出し、検出した電圧異常又は電圧正常の情報を含む異常検出信号d1〜dnをそれぞれ発生して出力する。
実施形態1において各異常電圧検出回路S1〜Snの出力段は、npnトランジスタQ1〜Qnでそれぞれ構成される。npnトランジスタQ1〜Qnのエミッタ端子は対応する電池ブロックの負極端子にそれぞれ接続される。各npnトランジスタQ1〜Qnのコレクタ端子を、それぞれ異常電圧検出回路S1〜Snの出力端子とする。異常電圧検出回路S1〜Snが対応する電池ブロックの異常電圧を検出すると、出力段であるnpnトランジスタQ1〜Qnがオンする。対応する電池ブロックの電圧が正常である場合、異常電圧検出回路S1〜Snの出力段であるnpnトランジスタQ1〜Qnはオフである。
pnpトランジスタQk1(1≦k≦n)及びnpnトランジスタQk2のペアは、電圧レベル変換・電流増幅回路を構成する。
異常電圧検出回路S1の出力端子(npnトランジスタQ1のコレクタ端子)はpnpトランジスタQ11のベース端子に接続される。pnpトランジスタQ11のエミッタ端子が電池ブロックB1の正極端子に接続され、コレクタ端子がnpnトランジスタQ12のベース端子に接続される。npnトランジスタQ12のエミッタ端子は抵抗R1を介して電池ブロックB1の負極端子に接続される。
異常電圧検出回路S2の出力端子(npnトランジスタQ2のコレクタ端子)はpnpトランジスタQ21のベース端子に接続される。pnpトランジスタQ21のエミッタ端子が電池ブロックB2の正極端子に接続され、コレクタ端子がnpnトランジスタQ22のベース端子に接続される。npnトランジスタQ22のエミッタ端子は抵抗R2を介して電池ブロックB2の負極端子に接続される。
以下、異常電圧検出回路S3、S4…及びSnの出力端子も、npnトランジスタ、pnpトランジスタ及び抵抗からなる回路に異常検出回路S1、S2と同様に接続される。異常電圧検出回路Snの出力端子(npnトランジスタQnのコレクタ端子)はpnpトランジスタQn1のベース端子に接続される。pnpトランジスタQn1のエミッタ端子が電池ブロックBnの正極端子に接続され、コレクタ端子がnpnトランジスタQn2のベース端子に接続される。npnトランジスタQn2のエミッタ端子は抵抗Rnを介して電池ブロックBnの負極端子に接続される。
フォトカプラP1は、発光ダイオードとフォトトランジスタの対で構成される。フォトカプラP1は、入力端子対と出力端子対とが互いに電気的に絶縁された、第1の伝達素子を構成する。
各npnトランジスタQ12、Q22、Q32、…及びQn2のコレクタ端子は、1本の電気配線によって抵抗RPとフォトカプラP1の入力ダイオードとの直列接続回路にワイヤードOR接続される。即ち、いずれかのnpnトランジスタQk2(1≦k≦n)がオンすると、フォトカプラP1の入力発光ダイオードと抵抗RPとの直列接続回路に電流が流れて、フォトカプラP1の入力発光ダイオードが発光する。フォトカプラP1は、n個の異常検出信号d1〜dnを入力し、電圧異常の電池ブロックがあるか否かの情報を含む異常検出情報信号dtを発生し、マイクロコンピュータ190に出力する。異常検出情報信号dtは、電圧異常の電池ブロックがある場合にはローレベル、電圧異常の電池ブロックが一つもない場合にはハイレベルの信号である。
1つの電池ブロックの端子間電圧を単位電圧とする。例えば、npnトランジスタQn2がオンすると、抵抗RP、フォトカプラP1の入力発光ダイオード、npnトランジスタQn2、抵抗Rnには1単位電圧が印加される。例えば、npnトランジスタQ12がオンすると、抵抗RP、フォトカプラP1の入力発光ダイオード、npnトランジスタQ12、抵抗R1にはn単位電圧が印加される。抵抗R1〜Rnの値はそれぞれ異なっており、どのnpnトランジスタQk2(1≦k≦n)が導通しても、フォトカプラP1の入力発光ダイオードに流れる電流がほぼ一定になるように設定されている。
抵抗RPは複数のnpnトランジスタQk2(1≦k≦n)が導通した場合に、フォトカプラP1の入力発光ダイオードに流れる電流を制限するための素子である。抵抗RPに代えて、定電流回路を用いても良い。製品の品質上の問題がなければ、抵抗RPはなくても良い。
マイクロコンピュータ190は、図示しない低電圧電源(例えば、出力電圧が12Vの鉛蓄電池)によって駆動される。異常電圧検出装置100の出力信号である異常検出情報信号dtは、1つのフォトカプラP1のフォトトランジスタを介してマイクロコンピュータ190に入力される。マイクロコンピュータ190は、フォトカプラP1によって、高電圧の組電池10から電気的に絶縁されている。
以上のように構成される異常電圧検出装置100の動作を説明する。電池ブロックB1が過充電又は過放電異常である場合の、異常電圧検出装置100の動作を説明する。異常電圧検出回路S1が電池ブロックB1の過充電又は過放電を検出すると、npnトランジスタQ1がオンする。pnpトランジスタQ11にベース電流が流れ、pnpトランジスタQ11もオンする。さらに、pnpトランジスタQ11のエミッタからコレクタを介してnpnトランジスタQ12のベースにベース電流が流れる。npnトランジスタQ12がオンする。この結果、抵抗RP及び抵抗R1に電流が流れ、異常電圧検出装置100はフォトカプラP1を介してマイクロコンピュータ190に異常検出情報信号dtを出力する。
以下、電池ブロックB1が過充電又は過放電異常である場合と同様に、異常電圧検出回路Sk(1≦k≦n)が対応する電池ブロックの過充電又は過放電を検出すると、対応するnpnトランジスタQk2がオンする。即ち、異常電圧検出回路Skはローレベルの異常検出信号dkを出力する。少なくとも1つの異常電圧検出回路からローレベルの異常検出信号が出力されると、信号発生回路150はローレベルの異常検出情報信号dtを発生する。従って、フォトカプラP1の入力発光ダイオードと抵抗RPとの直列接続回路に電流が流れて、フォトカプラP1の入力発光ダイオードが発光する。発光ダイオードの光を入力して、フォトカプラP1の出力フォトトランジスタがオンする。フォトカプラP1は、電圧異常の電池ブロックがあるという情報を、マイクロコンピュータ190に伝達する。マイクロコンピュータ190はフォトカプラP1のフォトトランジスタがオンの状態であることを検出すると、異常電圧の電池ブロックがあることの表示、組電池10への充電電流又は放電電流の制限等、所定の制御を行うことができる。
全ての電池ブロックB1〜Bnが正常である(過充電異常でも過放電異常でもない)場合、npnトランジスタQ1〜Qn、pnpトランジスタQ11〜Qn1、npnトランジスタQ12〜Qn2が全てオフのままである。即ち、すべての異常電圧検出回路Skがハイレベルの異常検出信号dkを出力する。従って、信号発生回路150は、ハイレベルの異常検出情報信号dtを発生し、抵抗RPに電流が流れない。フォトカプラP1の入力発光ダイオードは発光せず、フォトカプラP1の出力フォトトランジスタはオフのままである。マイクロコンピュータ190はフォトカプラP1のフォトトランジスタがオフの状態であることを検出すると、すべての電池ブロックB1〜Bnが正常であることを表示する。
なお、npnトランジスタQ12〜Qn2には、対応する電池ブロックの負極端子電圧と最上位の電池ブロックBnの正極端子電圧の電圧差近くの電圧がかかる。従って、npnトランジスタQ12〜Qn2(又は少なくともその一部)には、数百V程度の耐圧を有する高耐圧のトランジスタを使用する。pnpトランジスタQ11〜Qn1には、対応する電池ブロックの正負極端子間電圧程度の電圧(実施形態1においては、14.4V)しかかからないので、数十V程度の耐圧を有する安価な低耐圧の素子を使用できる。
本発明の実施形態1に係る組電池のための異常電圧検出装置は、サイズが大きく高価な絶縁素子(フォトカプラ)を1つしか使用しない。従って、本発明の実施形態1に係る組電池のための異常電圧検出装置は、従来技術に比較して小型で、安価である。
なお、npnトランジスタQ12、Q22、Q32、…及びQn2はワイヤードOR回路を構成した。ワイヤードOR接続に代えて、例えばOR論理回路を用いても良い。
pnpトランジスタQk1(1≦k≦n)及びnpnトランジスタQk2のペアからなる電圧レベル変換・電流増幅回路は、異常電圧検出回路Skが電圧異常を検出するとローレベルを出力した。これに代えて、電圧レベル変換・電流増幅回路は異常電圧検出回路Skが電圧異常を検出するとハイレベルを出力しても良い。例えばpnpトランジスタQk1(1≦k≦n)を高耐圧で高い電流増幅率の素子で構成し、pnpトランジスタQk1のコレクタを、フォトカプラP1の入力発光ダイオードのアノード側に接続しても良い。抵抗RPとフォトカプラP1との直列接続回路の他端は、最下位の電池ブロックB1の負極端子に接続する。
実施形態2.
図2は、本発明の実施形態2に係る組電池のための異常電圧検出装置の概略構成を示すブロック図である。図2において、図1と共通する部分には共通の符号を使用し、その説明を省略する。
実施形態1に係る異常電圧検出装置100は、組電池10を構成する電池ブロックB1〜Bnの少なくとも1つが過充電又は過放電異常である場合に、異常検出情報信号dtを出力した。異常検出情報信号dtには、異常な電池ブロックを特定するための情報は含まれていない。実施形態2に係る組電池のための異常電圧検出装置200は、異常な電池ブロックがどれであるかという情報を異常検出情報信号dt2に含めて、出力できるようにしたものである。
図2を用いて、本発明の実施形態2に係る組電池のための異常電圧検出装置200を説明する。図2において、10は組電池、200は異常電圧検出装置、290はマイクロコンピュータである。組電池10、異常電圧検出装置200及びマイクロコンピュータ290は全て電動車両に搭載される。組電池10の直流電力は、インバータ(図示しない)によって交流電力に変換され、モータ(図示しない)を駆動し、電動車両を走行させる。
異常電圧検出装置200は、異常電圧検出回路S1〜Sn、信号変換回路260、フォトカプラPD及びPRを有する。信号変換回路260は、レベル変換回路210及びパラレル入力/シリアル出力レジスタ250を有する。
パラレル入力/シリアル出力レジスタ250は、電池ブロックB1〜Bnの個数(n個)と同数のパラレル入力端子X1〜Xn、データ出力端子DATA、リセット端子(出力指令信号入力端子)RST、接地端子GND、クロック発振器251を有する。接地端子GNDは、最下位の電池ブロックB1の負極端子に接続される。電池ブロックB1の負極端子の電圧レベルをVrefとする。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250は、最下位の電池ブロックB1の正極端子電圧を図示しないDC/DCコンバータによって変換した直流電圧を、駆動電圧として電源電圧端子(図示しない)に入力する。
異常電圧検出回路S1〜Snが対応する電池ブロックの異常電圧を検出すると、出力段であるnpnトランジスタQ1〜Qnがオンする。すなわち、各異常電圧検出回路S1〜Snは、対応する電池ブロックの過充電状態又は過放電状態を検出すると、ローレベルの各異常検出信号d1〜dnをそれぞれ発生して出力する。異常電圧検出回路S1〜Snの出力信号である異常検出信号d1〜dnの電圧レベルは、それぞれ、対応する電池ブロックの負極端子電圧程度である。最上位の異常電圧検出回路Snの出力信号である異常検出信号dnと、最下位の異常電圧検出回路S1の出力信号である異常検出信号d1との、電圧レベルの差は数百Vに達する。従って、異常電圧検出回路S1〜Snの出力信号d1〜dnを直接パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のパラレル入力端子X1〜Xnにそれぞれ入力すると、異常検出信号d1〜dnの電圧レベルは、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子の耐圧限度を超える。レベル変換回路210は、異常電圧検出回路S1〜Snの出力信号d1〜dnの電圧レベルを、後段のパラレル入力/シリアル出力レジスタ250のパラレル入力端子X1〜Xnの入力電圧レベルにそれぞれ変換する。実施形態2においては、電池ブロックB1の負極端子の電圧Vrefを基準とする変換電圧レベルに、降圧する。異常検出信号d1〜dnの各変換電圧レベルは、互いに実質的に同一である。
レベル変換回路210の構成及び動作を説明する。異常電圧検出回路S1の出力端子(npnトランジスタQ1のコレクタ端子)はpnpトランジスタQ13のベース端子に接続される。pnpトランジスタQ13のエミッタ端子は電池ブロックB1の正極端子に接続され、コレクタ端子は抵抗R11及びR12を介して電池ブロックB1の負極端子に接続される。抵抗R11とR12との接続点は、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X1に接続される。
異常電圧検出回路S1が電池ブロックB1の過充電又は過放電を検出すると、npnトランジスタQ1がオンする。異常電圧検出回路S1はローレベルの異常検出信号d1を出力する。pnpトランジスタQ13のベース電流が流れ、pnpトランジスタQ13がオンする。その結果、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X1にハイレベル(5V)の信号が与えられる。なお、抵抗R11とR12の抵抗値は、異常電圧検出回路S1の出力信号d1がローレベルの時に、抵抗R11とR12の接続点の電圧がパラレル入力/シリアル出力レジスタ250のグラウンドレベル(電池ブロックB1の負極端子電圧Vref)に対して5V(パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の電源電圧)程度になるように選択される。
異常電圧検出回路S2〜Snの出力信号である異常検出信号d2〜dnも、それぞれpnpトランジスタQ23〜Qn3のベース端子に与えられる。導通時のpnpトランジスタQ23〜Qn3のコレクタ端子電圧は、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X2〜Xnにおいて、グラウンドレベル(電池ブロックB1の負極端子電圧Vref)に対して5V(パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の電源電圧)程度になるように、抵抗R21とR22、R31とR32、…及びRn1とRn2によってそれぞれ分圧され、対応する入力端子X2〜Xnにそれぞれ与えられる。抵抗R11〜Rn2の値はそれぞれ異なっている。
異常電圧検出回路S1〜Snは、対応する電池ブロックが過充電異常でも過放電異常でもない正常な状態である場合、ハイレベルの異常検出信号d1〜dnをそれぞれ発生して出力する。従って、対応するpnpトランジスタQ13〜Qn3がオフのままであり、対応する入力端子X1〜Xnは全てローレベルである。なお、pnpトランジスタQ13〜Qn3には、最大で数百Vの電圧が印加されるため、高耐圧のトランジスタを使用する。
マイクロコンピュータ290は、フォトカプラPRを介して、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のリセット端子RSTに、出力指令信号としてリセット信号Sresを出力する。マイクロコンピュータ290は、フォトカプラPDを介して、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250が出力するシリアル出力データ信号である異常検出情報信号dt2を入力する。マイクロコンピュータ290は、フォトカプラPD及びPRによって、高電圧の組電池10から電気的に絶縁されている。
マイクロコンピュータ290は、クロック発振器291を内蔵する。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250は、クロック発振器251を内蔵する。クロック発振器251、291は、マイクロコンピュータ290が出力するリセット信号Sresの立ち上がりエッジで自動的に同一周波数のクロックの出力を同時に開始する。
フォトカプラPDは、入力端子対と出力端子対とが互いに電気的に絶縁された第1の伝達素子を構成する。フォトカプラPDは、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の出力信号である異常検出情報信号dt2を、外部のマイクロコンピュータ290に伝達する。フォトカプラPRは、入力端子と出力端子とが互いに電気的に絶縁された第2の伝達素子を構成する。フォトカプラPRは、マイクロコンピュータ290からの出力指令信号(リセット信号Sres)をパラレル入力/シリアル出力レジスタ250に伝達する。
マイクロコンピュータ290とパラレル入力/シリアル出力レジスタ250との動作を説明する。マイクロコンピュータ290は、リセット信号Sresを出力する。クロック発振器291は、リセット信号Sresの立ち上がりエッジで自動的にクロックの出力を開始する。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のリセット端子RSTは、フォトカプラPRを介してリセット信号Sresを入力する。クロック発振器251は、マイクロコンピュータ290が出力するリセット信号Sresの立ち上がりエッジで自動的にクロックの出力を開始する。
パラレル入力端子X1〜Xnにおいて、電圧異常が検出された電池ブロックに対応する入力端子はハイレベルであり、電圧異常が検出されない電池ブロックに対応する入力端子はローレベルである。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250はリセット信号Sresを入力すると、そのリセット信号Sresの立ち上がりエッジでパラレル入力端子X1〜Xnの異常検出信号d1〜dnを、シリアル出力データ信号である異常検出情報信号dt2に変換し(シリアル出力レジスタにロードし)、クロック発振器251が発生するクロック信号の立ち上がりエッジのタイミングで、異常検出情報信号dt2をデータ出力端子DATAからフォトカプラPDを介して自動的に出力する。すなわち、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250は、リセット信号Sresに基づいて、異常検出情報信号dt2の発生及び出力を開始する。異常検出情報信号dt2は、少なくとも電池ブロックの個数nと同じビット数のデータビットを有する。各データビットは、異常が検出された電池ブロックに対応するクロック信号の立ち上がりエッジのタイミングでハイレベルとなる。
データ出力端子DATAは、異常検出情報信号dt2を出力していない時、ローレベルである。データ出力端子DATAが出力する、電圧が正常な電池ブロックに対応する検出信号はローレベルである。
リセット信号の立ち上がりエッジから所定のクロック期間(例えばクロック発振器251の1クロックの期間)が経過した後、データ出力端子DATAは、クロック発振器251の立ち上がりエッジで異常検出情報信号dt2を出力する。
マイクロコンピュータ290は、図示しない低電圧電源(例えば、公称電圧が12Vの鉛蓄電池)によって、12Vを5Vに変換するDC−DCコンバータを介して駆動される。異常電圧検出装置200の出力信号である異常検出情報信号dt2は、フォトカプラPDを介してマイクロコンピュータ290に入力される。マイクロコンピュータ290は、リセット信号Sresの立ち上がりエッジから所定のクロック期間(例えばクロック発振器251の1クロックの期間)が経過した後、クロック発振器291の立ち下がりエッジで異常検出情報信号dt2を入力する。クロック発振器251と291との発振開始タイミング及び発振周波数は同一であり、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250とマイクロコンピュータ290とは同期して動作する故、マイクロコンピュータ290は、正確に異常検出情報信号dt2を取り込むことができる。
異常検出情報信号dt2の前後にスタートビット及び/又はストップビットを付加することもできる。例えば異常検出情報信号dt2は、40ビットのスタートビット、少なくとも電池ブロックの個数nと同じビット数のデータビット、及び40ビットのストップビットを、この順番で有する。スタートビットは、例えば39ビットのハイレベルビットと1ビットのローレベルビットとからなる。ストップビットは、1ビットのローレベルビットと39ビットのハイレベルビットとからなる。スタートビットとストップビットとは、マイクロコンピュータ290がデータ送信の開始と終了を識別するためのものである。データビット数が38ビット以下であれば、39ビットハイレベルが連続した場合、マイクロコンピュータ290は、それがスタートビット又はストップビットであると判断できる。スタートビットのビット数とストップビットのビット数とを変えても良い。これにより、マイクロコンピュータ290は、スタートビットとストップビットとの識別を容易にできる。
上記のように、マイクロコンピュータ290は所定のタイミングでリセット信号Sresを異常電圧検出装置200に送信し、異常検出情報信号dt2を受信し、電池ブロックB1〜Bnが過充電又は過放電状態か否かを判断する。マイクロコンピュータ290は過充電又は過放電状態である電池ブロックを特定できるので、特定された電池ブロックに対する制御(例えば、過充電と判断された電池ブロックだけを放電させ、及び/又は過放電と判断された電池ブロックだけを充電する等)を行うことができる。
実施形態2に係る組電池のための異常電圧検出装置は、サイズが大きく高価な絶縁素子(フォトカプラ)を2つしか使用しないので、従来技術に比較して小型で、安価である。
なお、レベル変換回路210の構成は図2に示した回路構成に限らない。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のグラウンドレベルを最上位の電池ブロックBnの負極端子電圧とし、各異常電圧検出回路の出力電圧レベルを電池ブロックBnの負極端子の電圧を基準とする電圧レベルに昇圧してパラレル入力端子に入力するように、レベル変換回路210を構成しても良い。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のグラウンドレベルを任意の電池ブロックの負極端子電圧とし、各異常電圧検出回路の出力電圧レベルを昇圧又は降圧してパラレル入力端子に入力するように、レベル変換回路210を構成しても良い。
各異常電圧検出回路S1〜Snからの出力の電圧レベルを抵抗分割によって行う構成としたが、抵抗を使用しない手段によって(例えば定電圧降下回路を用いて)分圧しても良い。
実施形態3.
図3は、本発明の実施形態3に係る組電池のための異常電圧検出装置の概略構成を示すブロック図である。図3において、図2と共通する部分には共通の符号を使用し、その説明を省略する。
実施形態2に係る組電池のための異常電圧検出装置200は、レベル変換回路210を高耐圧のpnpトランジスタQ13〜Qn3を使用して構成した。実施形態3に係る組電池のための異常電圧検出装置300は、レベル変換回路を高耐圧の素子を使用せずに構成したものである。
図3を用いて、本発明の実施形態3に係る組電池のための異常電圧検出装置300を説明する。図3において、10は組電池、300は異常電圧検出装置、290はマイクロコンピュータである。組電池10、異常電圧検出装置300及びマイクロコンピュータ290は全て電動車両に搭載される。組電池10の直流電力は、インバータ(図示しない)によって交流電力に変換され、モータ(図示しない)を駆動し、電動車両を走行させる。
実施形態3に係る異常電圧検出装置300は、実施形態2に係る異常電圧検出装置200(図2)の信号変換回路260を信号変換回路360に置き換えたものである。信号変換回路360は、信号変換回路260のレベル変換回路210を、レベル変換回路310に置き換えたものである。その他の構成は、実施形態2に係る異常電圧検出装置200と同じである。なお、実施形態3において、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のパラレル入力端子X1〜Xnは、対応する電池ブロックの電圧が正常である場合ハイレベルであり、対応する電池ブロックが電圧異常である場合ローレベルである(実施形態2と逆のレベル)。
レベル変換回路310の構成及び動作を説明する。レベル変換回路310は、レベル降下回路L2、L3、…及びLnを有する。各レベル降下回路L2、L3、…及びLnは、異常電圧検出回路S2、S3、…及びSnの出力信号である各異常検出信号d2、d3、…及びdnを、後段のパラレル入力/シリアル出力レジスタ250の各パラレル入力端子X2、X3、…及びXnの入力電圧レベル(例えば5V)に変換する。なお、実施形態3において、最下位の異常電圧検出回路S1の出力信号は、直接、レベル変換されずに入力端子X1に入力される。図3にはレベル降下回路L2、L3、L4のみを示した。
レベル降下回路L2は、pnpトランジスタ21とnpnトランジスタ22とを備える。pnpトランジスタ21のベース端子は異常電圧検出回路S2の出力端子(npnトランジスタQ2のコレクタ端子)に接続され、レベル降下回路L2の入力端子となっている。pnpトランジスタ21のエミッタ端子は電池ブロックB2の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタ22のベース端子と接続される。npnトランジスタ22のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続される。npnトランジスタ22のコレクタ端子は、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X2に接続され、レベル降下回路L2の出力端子となっている。
レベル降下回路L3は、2組のpnpトランジスタとnpnトランジスタのペアL3−1とL3−2とを備える。以下、一つのpnpトランジスタと一つのnpnトランジスタとのペアを“ペア”と言う。ペアL3−1は、pnpトランジスタ31とnpnトランジスタ32とを備える。ペアL3−2は、pnpトランジスタ21とnpnトランジスタ22とを備える。ペアL3−2は、レベル降下回路L2と同様の構成を有する。pnpトランジスタ31のベース端子は異常電圧検出回路S3の出力端子(npnトランジスタQ3のコレクタ端子)に接続され、レベル降下回路L3の入力端子となっている。pnpトランジスタ31のエミッタ端子は電池ブロックB3の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタ32のベース端子と接続される。npnトランジスタ32のエミッタ端子は電池ブロックB2の負極端子に接続され、コレクタ端子はペアL3−2のpnpトランジスタ21のベース端子と接続される。ペアL3−2のpnpトランジスタ21のエミッタ端子は電池ブロックB2の正極端子と接続され、コレクタ端子はペアL3−2のnpnトランジスタ22のベース端子と接続される。ペアL3−2のnpnトランジスタ22のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続される。ペアL3−2のnpnトランジスタ22のコレクタ端子はパラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X3に接続され、レベル降下回路L3の出力端子となっている。
レベル降下回路L4は、3組のpnpトランジスタとnpnトランジスタのペアL4−1、L4−2及びL4−3を備える。ペアL4−1は、pnpトランジスタ41とnpnトランジスタ42とを備える。ペアL4−2は、pnpトランジスタ31とnpnトランジスタ32とを備える。ペアL4−2は、レベル降下回路L3のペアL3−1と同様の構成を有する。ペアL4−3は、pnpトランジスタ21とnpnトランジスタ22とを備える。ペアL4−3は、レベル降下回路L2及びレベル降下回路L3のペアL3−2と同様の構成を有する。pnpトランジスタ41のベース端子は異常電圧検出回路S4の出力端子(npnトランジスタQ4のコレクタ端子)に接続され、レベル降下回路L4の入力端子となっている。pnpトランジスタ41のエミッタ端子は電池ブロックB4の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタ42のベース端子と接続される。npnトランジスタ42のエミッタ端子は電池ブロックB3の負極端子に接続され、コレクタ端子はペアL4−2のpnpトランジスタ31のベース端子と接続される。ペアL4−2のpnpトランジスタ31のエミッタ端子は電池ブロックB3の正極端子と接続され、コレクタ端子はペアL4−2のnpnトランジスタ32のベース端子と接続される。ペアL4−2のnpnトランジスタ32のエミッタ端子は電池ブロックB2の負極端子と接続され、コレクタ端子はペアL4−3のpnpトランジスタ21のベース端子と接続される。ペアL4−3のpnpトランジスタ21のエミッタ端子は電池ブロックB2の正極端子と接続され、コレクタ端子はペアL4−3のnpnトランジスタ22のベース端子と接続される。ペアL4−3のnpnトランジスタ22のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続される。ペアL4−3のnpnトランジスタ22のコレクタ端子はパラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X4に接続され、レベル降下回路L4の出力端子となっている。
以下レベル降下回路L2〜L4と同様に、k番目のレベル降下回路Lkは、k−1組のnpnトランジスタとpnpトランジスタとのペアを備える。レベル降下回路Lkの入力端子は異常電圧検出回路Skの出力端子に接続される。pnpトランジスタk1のベース端子は異常電圧検出回路Skの出力端子(npnトランジスタQkのコレクタ端子)に接続され、レベル降下回路Lkの入力端子となっている。pnpトランジスタk1のエミッタ端子は電池ブロックBkの正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタk2のベース端子と接続される。npnトランジスタk2のエミッタ端子は電池ブロックB(k−1)の負極端子に接続され、コレクタ端子はpnpトランジスタk3のベース端子と接続される。pnpトランジスタk3のエミッタ端子は電池ブロックB(k−1)の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタk4のベース端子と接続される。
npnトランジスタk4のエミッタ端子は電池ブロックB(k−2)の負極端子と接続される。コレクタ端子はpnpトランジスタk5のベース端子と接続される。pnpトランジスタk5のエミッタ端子は電池ブロックB(k−2)の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタk6のベース端子と接続される。npnトランジスタk6のエミッタ端子は電池ブロックB(k−3)の負極端子と接続される。以下、これを繰り返して出力電圧を電池ブロックの端子間電圧を単位電圧として1単位電圧ずつ(又は複数単位電圧ずつでも良い。)段階的に降圧して、変換電圧レベルに変換する。
最後に、npnトランジスタ(k,2k−2)のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続される。npnトランジスタ(k,2k−2)のコレクタ端子はパラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子Xkに接続され、レベル降下回路Lkの出力端子となっている。
レベル降下回路L2の動作を説明する。異常電圧検出回路S2が電池ブロックB2の異常を検出した場合、異常検出信号d2はローレベルである。レベル降下回路L2の入力端子(pnpトランジスタ21のベース端子)にpnpトランジスタ21のベース電流が流れ、pnpトランジスタ21がオンする。これに伴い、npnトランジスタ22のベース端子に電流が流れ、npnトランジスタ22もオンする。npnトランジスタ22のコレクタ端子電圧(レベル降下回路L2の出力端子電圧)は、最下位の電池ブロックB1負極端子電圧近くまで下降する。即ち、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X2の電圧レベルがローレベルとなる。
異常電圧検出回路S2が電池ブロックB2の異常を検出しない場合、異常検出信号d2はハイレベルである。レベル降下回路L2の入力端子(pnpトランジスタ21のベース端子)にpnpトランジスタ21のベース電流は流れず、pnpトランジスタ21はオフの状態である。従って、npnトランジスタ22もオフの状態である。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X2は、ハイレベルになる。
以上のように、レベル降下回路L2は入力信号である異常検出信号d2がローレベルの場合、異常検出信号d2の電圧レベルを、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のグラウンドレベル(最下位の電池ブロックB1の負極端子電圧)に変換し、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X2に出力する。レベル降下回路L2は、異常検出信号d2の電圧レベルを、pnpトランジスタ21とnpnトランジスタ22の端子間電圧差を利用して変換電圧レベルに変換する。
レベル降下回路L3の動作を説明する。異常電圧検出回路S3が電池ブロックB3の異常を検出した場合、異常検出信号d3はローレベルである。レベル降下回路L3の入力端子(pnpトランジスタ31のベース端子)にpnpトランジスタ31のベース電流が流れ、pnpトランジスタ31がオンする。これに伴い、npnトランジスタ32にベース電流が流れ、npnトランジスタ32もオンする。ペアL3−2のpnpトランジスタ21にベース電流が流れ、pnpトランジスタ21がオンする。これに伴い、ペアL3−2のnpnトランジスタ22のコレクタ端子電圧(レベル降下回路L3の出力端子電圧)は、最下位の電池ブロックB1の負極端子電圧近くまで下降する。即ち、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X3の電圧レベルがローレベルとなる。
異常電圧検出回路S3が電池ブロックB3の異常を検出しない場合、異常検出信号d3はハイレベルである。レベル降下回路L3の入力端子(pnpトランジスタ31のベース端子)にpnpトランジスタ31のベース電流は流れず、pnpトランジスタ31はオフの状態である。従って、npnトランジスタ32、ペアL3−2のpnpトランジスタ21、ペアL3−2のnpnトランジスタ22もオフの状態である。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X3は、ハイレベルになる
以上のように、レベル降下回路L3において、入力信号である異常検出信号d3がローレベルの場合、異常検出信号d3の電圧レベルはペアL3−1のpnpトランジスタ31及びnpnトランジスタ32によって電池ブロックB2の負極端子電圧近くの電圧レベルに変換され、さらに、ペアL3−2のpnpトランジスタ21及びnpnトランジスタ22によって電池ブロックB1の負極端子電圧近くの電圧レベルに変換され、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250に出力される。即ち、レベル降下回路L3は入力信号がローレベルの場合、その電圧レベルを、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のグラウンドレベル(最下位の電池ブロックB1の負極端子電圧)に変換し、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X3に出力する。レベル降下回路L3は、異常検出信号d3の電圧レベルを、電池ブロックの端子間電圧を単位電圧として、その単位電圧ずつ段階的に降圧して変換電圧レベルに変換する。レベル降下回路L3は、pnpトランジスタ21、31とnpnトランジスタ22、32の端子間電圧差を利用して、異常検出信号d3の電圧レベルを降圧する。
以下、レベル降下回路L4、…及びLnも、レベル降下回路L2、L3と同様の動作をする。1組のpnpトランジスタとnpnトランジスタによって、対応する異常電圧検出回路S1〜Snのローレベルの出力信号d1〜dnが電池ブロックの端子間電圧(実施形態においては、14.4V)だけ降圧される。異常電圧検出回路S1〜Snのローレベルの出力信号d1〜dnの電圧レベルは、電池ブロックの端子間電圧単位で順次降圧され、最終的に最下位の電池ブロックB1の負極端子電圧を基準とするレベルにそれぞれ変換され、出力される。レベル降下回路Lkは、入力された異常検出信号dkの電圧レベルを、電池ブロックの端子間電圧を単位電圧として、単位電圧ずつ段階的に降圧して変換電圧レベルに変換する。
レベル変換回路310を構成する各pnpトランジスタ及び各npnトランジスタに印加される電圧は、電池ブロックの端子間電圧(14.4V)程度又はその2倍(28.8V)程度である。従って、レベル変換回路310は、耐圧が40V程度の既存の低耐圧の半導体素子を用いて容易にIC化可能である。実施形態3によれば、安価で小型な組電池のための異常電圧検出装置を提供することができる。
実施形態4.
図4は、本発明の実施形態4に係る組電池のための異常電圧検出装置の概略構成を示すブロック図である。図4において、図3と共通する部分には共通の符号を使用し、その説明を省略する。
実施形態3に係る組電池のための異常電圧検出装置300においては、各電池ブロックB1〜Bnの端子間電圧を単位電圧とした。各レベル降下回路L2〜Ln(図3)は、異常検出信号d2〜dnの電圧レベルを、1単位電圧ずつ段階的に降圧し、各変換電圧レベルに変換した。実施形態4に係る組電池のための異常電圧検出装置400においては、レベル変換回路410は、異常検出信号d2〜dnの電圧レベルを、複数単位電圧ずつ段階的に降圧し、各変換電圧レベルに変換するレベル降下回路を備える。
図4を用いて、本発明の実施形態4に係る組電池のための異常電圧検出装置400を説明する。図4において、10は組電池、400は異常電圧検出装置、290はマイクロコンピュータである。組電池10、異常電圧検出装置400及びマイクロコンピュータ290は全て電動車両に搭載される。組電池10の直流電力は、インバータ(図示しない)によって交流電力に変換され、モータ(図示しない)を駆動し、電動車両を走行させる。
実施形態4に係る異常電圧検出装置400は、実施形態3に係る異常電圧検出装置300(図3)の信号変換回路360を信号変換回路460に置き換えたものである。信号変換回路460は、信号変換回路360のレベル変換回路310を、レベル変換回路410に置き換えたものである。その他の構成は、実施形態3に係る異常電圧検出装置300と同じである。
レベル変換回路410の構成及び動作を説明する。レベル変換回路410は、レベル降下回路L2、L300、L400、L500…及びLn00を有する。各レベル降下回路L2、L300、L400、L500、…及びLn00は、異常電圧検出回路S2、S3、…及びSnの出力信号である各異常検出信号d2、d3、…及びdnを、後段のパラレル入力/シリアル出力レジスタ250の各パラレル入力端子X2、X3、…及びXnの入力電圧レベル(例えば5V)に変換する。なお、実施形態4において、最下位の異常電圧検出回路S1の出力信号は、直接、レベル変換されずに入力端子X1に入力される。図4にはレベル降下回路L2、L300、L400及びL500のみを示した。
レベル降下回路L2は、レベル変換回路310のレベル降下回路L2(図3)と同様の構成を有するので、その説明を省略する。レベル降下回路L2は第1のレベル降下回路を構成し、電池ブロックB2に係る異常検出信号d2の電圧レベルを電池ブロックB2の端子間電圧だけ降圧し、変換電圧レベルに変換する。
レベル降下回路L300は、pnpトランジスタ51とnpnトランジスタ52とを備える。pnpトランジスタ51のベース端子は異常電圧検出回路S3の出力端子(npnトランジスタQ3のコレクタ端子)に接続され、レベル降下回路L300の入力端子となっている。pnpトランジスタ51のエミッタ端子は電池ブロックB3の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタ52のベース端子と接続される。npnトランジスタ52のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続される。npnトランジスタ52のコレクタ端子は、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X3に接続され、レベル降下回路L300の出力端子となっている。
レベル降下回路L400は、2組のpnpトランジスタとnpnトランジスタのペアL4−4とL4−5とを備える。ペアL4−4は、pnpトランジスタ61とnpnトランジスタ62とを備える。ペアL4−5は、pnpトランジスタ21とnpnトランジスタ22とを備える。ペアL4−5は、レベル降下回路L2と同様の構成を有する。pnpトランジスタ61のベース端子は異常電圧検出回路S4の出力端子(npnトランジスタQ4のコレクタ端子)に接続され、レベル降下回路L400の入力端子となっている。pnpトランジスタ61のエミッタ端子は電池ブロックB4の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタ62のベース端子と接続される。npnトランジスタ62のエミッタ端子は電池ブロックB2の負極端子に接続され、コレクタ端子はペアL4−5のpnpトランジスタ21のベース端子と接続される。ペアL4−5のpnpトランジスタ21のエミッタ端子は電池ブロックB2の正極端子と接続され、コレクタ端子はペアL4−5のnpnトランジスタ22のベース端子と接続される。ペアL4−5のnpnトランジスタ22のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続される。ペアL4−5のnpnトランジスタ22のコレクタ端子はパラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X4に接続され、レベル降下回路L400の出力端子となっている。
レベル降下回路L500は、2組のpnpトランジスタとnpnトランジスタのペアL5−1とL5−2とを備える。ペアL5−1は、pnpトランジスタ71とnpnトランジスタ72とを備える。ペアL5−2は、pnpトランジスタ51とnpnトランジスタ52とを備える。ペアL5−2は、レベル降下回路L300と同様の構成を有する。pnpトランジスタ71のベース端子は異常電圧検出回路S5の出力端子(npnトランジスタQ5のコレクタ端子)に接続され、レベル降下回路L500の入力端子となっている。pnpトランジスタ71のエミッタ端子は電池ブロックB5の正極端子と接続され、コレクタ端子はnpnトランジスタ72のベース端子と接続される。npnトランジスタ72のエミッタ端子は電池ブロックB3の負極端子に接続され、コレクタ端子はペアL5−2のpnpトランジスタ51のベース端子と接続される。ペアL5−2のpnpトランジスタ51のエミッタ端子は電池ブロックB3の正極端子と接続され、コレクタ端子はペアL5−2のnpnトランジスタ52のベース端子と接続される。ペアL5−2のnpnトランジスタ52のエミッタ端子は電池ブロックB1の負極端子と接続される。ペアL5−2のnpnトランジスタ52のコレクタ端子はパラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X5に接続され、レベル降下回路L500の出力端子となっている。
レベル降下回路L300の動作を説明する。異常電圧検出回路S3は電池ブロックB3の異常を検出した場合、ローレベルの異常検出信号d3を発生する。レベル降下回路L300の入力端子(pnpトランジスタ51のベース端子)にpnpトランジスタ51のベース電流が流れ、pnpトランジスタ51がオンする。これに伴い、npnトランジスタ52のベース端子に電流が流れ、npnトランジスタ52もオンする。npnトランジスタ52のコレクタ端子電圧(レベル降下回路L300の出力端子電圧)は、最下位の電池ブロックB1負極端子電圧近くまで下降する。即ち、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X3の電圧レベルがローレベルとなる。
異常電圧検出回路S3が電池ブロックB3の異常を検出しない場合、異常検出信号d3はハイレベルである。レベル降下回路L300の入力端子(pnpトランジスタ51のベース端子)にpnpトランジスタ51のベース電流は流れず、pnpトランジスタ51はオフの状態である。従って、npnトランジスタ52もオフの状態である。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X3は、ハイレベルになる。
以上のように、レベル降下回路L300は入力信号d3がローレベルの場合、異常検出信号d3の電圧レベルを、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のグラウンドレベル(最下位の電池ブロックB1の負極端子電圧)に変換し、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X3に出力する。レベル降下回路L300は、異常検出信号d3の電圧レベルを、pnpトランジスタ51とnpnトランジスタ52の端子間電圧差を利用して変換電圧レベルに変換する。レベル降下回路L300は、第2のレベル降下回路を構成し、異常検出信号d3の電圧レベルを、電池ブロックの端子間電圧の2倍だけ降圧して変換電圧レベルに変換する。
レベル降下回路L400の動作を説明する。異常電圧検出回路S4は電池ブロックB4の異常を検出した場合、ローレベルの異常検出信号d4を発生する。レベル降下回路L400の入力端子(pnpトランジスタ61のベース端子)にpnpトランジスタ61のベース電流が流れ、pnpトランジスタ61がオンする。これに伴い、npnトランジスタ62にベース電流が流れ、npnトランジスタ62もオンする。ペアL4−5のpnpトランジスタ21にベース電流が流れ、pnpトランジスタ21がオンする。これに伴い、ペアL4−5のnpnトランジスタ22のコレクタ端子電圧(レベル降下回路L400の出力端子電圧)は、最下位の電池ブロックB1負極端子電圧近くまで下降する。即ち、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X4の電圧レベルがローレベルとなる。
異常電圧検出回路S4が電池ブロックB4の異常を検出しない場合、異常検出信号d4はハイレベルである。レベル降下回路L400の入力端子(pnpトランジスタ61のベース端子)にpnpトランジスタ61のベース電流は流れず、pnpトランジスタ61はオフの状態である。従って、npnトランジスタ62、ペアL4−5のpnpトランジスタ21、ペアL4−5のnpnトランジスタ22もオフの状態である。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X4は、ハイレベルになる
以上のように、レベル降下回路L400において、入力信号である異常検出信号d4がローレベルの場合、異常検出信号d4の電圧レベルはペアL4−4のpnpトランジスタ61及びnpnトランジスタ62によって電池ブロックB2の負極端子電圧近くの電圧レベルに降圧され、さらに、ペアL4−5のpnpトランジスタ21及びnpnトランジスタ22によって電池ブロックB1の負極端子電圧近くの電圧レベルに降圧され、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250に出力される。即ち、レベル降下回路L400は入力信号d4がローレベルの場合、その電圧レベルを、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のグラウンドレベル(最下位の電池ブロックB1の負極端子電圧)に変換し、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X4に出力する。レベル降下回路L400は、異常検出信号d4の電圧レベルを、pnpトランジスタ21、61とnpnトランジスタ22、62の端子間電圧差を利用して、変換電圧レベルに降圧する。レベル降下回路L400は、第2のレベル降下回路を構成し、異常検出信号d4の電圧レベルを電池ブロックの端子間電圧の2倍だけ降圧した後、さらに電池ブロックの端子間電圧だけ降圧して変換電圧レベルに変換する。
レベル降下回路L500の動作を説明する。異常電圧検出回路S5は電池ブロックB5の異常を検出した場合、ローレベルの異常検出信号d5を発生する。レベル降下回路L500の入力端子(pnpトランジスタ71のベース端子)にpnpトランジスタ71のベース電流が流れ、pnpトランジスタ71がオンする。これに伴い、npnトランジスタ72にベース電流が流れ、npnトランジスタ72もオンする。ペアL5−2のpnpトランジスタ51にベース電流が流れ、pnpトランジスタ51がオンする。これに伴い、ペアL5−2のnpnトランジスタ52のコレクタ端子電圧(レベル降下回路L500の出力端子電圧)は、最下位の電池ブロックB1負極端子電圧近くまで下降する。即ち、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X5の電圧レベルがローレベルとなる。
異常電圧検出回路S5が電池ブロックB5の異常を検出しない場合、異常検出信号d5はハイレベルである。レベル降下回路L500の入力端子(pnpトランジスタ71のベース端子)にpnpトランジスタ71のベース電流は流れず、pnpトランジスタ71はオフの状態である。従って、npnトランジスタ72、ペアL5−2のpnpトランジスタ51、ペアL5−2のnpnトランジスタ52もオフの状態である。パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X5は、ハイレベルになる
以上のように、レベル降下回路L500において、入力信号である異常検出信号d5がローレベルの場合、異常検出信号d5の電圧レベルはペアL5−1のpnpトランジスタ71及びnpnトランジスタ72によって電池ブロックB3の負極端子電圧近くの電圧レベルに降圧され、さらに、ペアL5−2のpnpトランジスタ51及びnpnトランジスタ52によって電池ブロックB1の負極端子電圧近くの電圧レベルにさらに降圧され、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250に出力される。即ち、レベル降下回路L500は入力信号がローレベルの場合、その電圧レベルを、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250のグラウンドレベル(最下位の電池ブロックB1の負極端子電圧)に変換し、パラレル入力/シリアル出力レジスタ250の入力端子X5に出力する。レベル降下回路L500は、異常検出信号d5の電圧レベルを、pnpトランジスタ51、71とnpnトランジスタ52、72の端子間電圧差を利用して、変換電圧レベルに降圧する。レベル降下回路L500は、異常検出信号d5の電圧レベルを電池ブロックの端子間電圧の2倍だけ降圧した後、さらに電池ブロックの端子間電圧の2倍だけ降圧して変換電圧レベルに変換する。
以下、レベル降下回路L600〜Ln00も、レベル降下回路L2、L300、L400、L500と同様の動作をする。pnpトランジスタとnpnトランジスタのペアで構成される回路は、入力される信号の電圧レベルがローレベルの場合、その電圧レベルを電池ブロックの端子間電圧又は電池ブロックの端子間電圧の2倍だけ降圧する。例えば、レベル降下回路L2及びレベル降下回路L400のペアL4−5は、入力される信号の電圧レベルを、電池ブロックの端子間電圧(実施形態においては14.4V)だけ降圧する。レベル降下回路L300、レベル降下回路L400のペアL4−4、レベル降下回路のペアL5−1及びL5−2は、入力される信号の電圧レベルを、電池ブロックの端子間電圧の2倍(実施形態においては28.8V)だけ降圧する。電池ブロックB3よりも上位の電池ブロックのうち、奇数番目の電池ブロックに係る異常検出信号は、電池ブロックの端子間電圧の2倍単位で順次降圧され、最終的に最下位の電池ブロックB1の負極端子電圧を基準とするレベルにそれぞれ変換され、出力される。電池ブロックB4よりも上位の電池ブロックのうち、偶数番目の電池ブロックに係る異常検出信号は、電池ブロックの端子間電圧の2倍単位で順次降圧され、最後に電池ブロックの端子間電圧だけ降圧され、最終的に最下位の電池ブロックB1の負極端子電圧を基準とするレベルにそれぞれ変換され、出力される。
レベル変換回路410を構成する各pnpトランジスタ及び各npnトランジスタに印加される電圧は、電池ブロックの端子間電圧(14.4V)程度、2倍(28.8V)程度又は3倍程度(43.2V)である。従って、レベル変換回路410は、耐圧が50V程度の既存の半導体素子を用いて容易にIC化可能である。実施形態4によれば、安価で小型な組電池のための異常電圧検出装置を提供することができる。
レベル変換回路410の構成は、図4に示したものに限らない。実施形態4に係るレベル降下回路Lkにおいて、入力信号の電圧レベルを電池ブロックの端子間電圧(14.4V)又はその2倍(28.8V)ずつ下げた。これに代え、上位の電池ブロックに係るレベル降下回路では、電池ブロックの端子間電圧の3倍以上ずつ下げても良い。但し、電圧レベルの下降幅は、レベル降下回路を構成するpnpトランジスタ及びnpnトランジスタの耐圧レベルと電池ブロックの端子間電圧との兼ね合いで定められる。なお、レベル変換回路410を構成するpnpトランジスタ及びnpnトランジスタを、他のスイッチ素子に置き換えても良い。
実施形態2、実施形態3及び実施形態4において、異常電圧検出装置からマイクロコンピュータに送信されるシリアル出力データ信号(異常検出情報信号dt2)は、各電池ブロックに対応するデータビットを有していたが、シリアルデータ出力信号の形式はこれに限らない。シリアルデータ出力信号は、異常な(又は正常な)電池ブロックを特定できる情報を含んでいれば良い。例えば、シリアルデータ出力信号に、異常な電池ブロックの識別番号を含めても良い。
入力端子と出力端子とが互いに電気的に絶縁され外部からの出力指令信号をパラレル入力/シリアル出力レジスタに伝達する伝達素子、入力端子と出力端子とが互いに電気的に絶縁され異常電圧検出装置からの出力信号を外部に伝達する伝達素子は、フォトカプラに限らず、任意である。例えば磁気を発生する回路と磁気検知素子との組み合わせ、1次巻線と2次巻線とが互いに電気的に絶縁されたトランス(トランスは直流成分を伝達できないので、例えば本来のデータと相補データとをシリーズに送る等の方法を用いる。)等を用いることができる。本発明の異常電圧検出装置が電動車両に搭載される場合、好ましくは磁気等の外乱の影響を受けないフォトカプラを使用する。さらに好ましくは、発光ダイオードとフォトトランジスタとが別個のパッケージに収納された(一体化していない)フォトカプラを使用する。
組電池10の各セルを、ニッケル−水素電池以外の電池としても良い。例えば、組電池10を、鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池又はリチウムイオン二次電池のセルから構成しても良い。
実施形態1〜実施形態4に係る異常電圧検出装置を、電池パックシステムを構成し、組電池10の状態を把握して出力制御を行う、電池ECU(Electronic Control Unit)の一部として構成しても良い。実施形態1〜実施形態4に係る組電池のための異常電圧検出装置は電動車両に搭載されたが、電動車両以外の、組電池を電源として駆動する装置に搭載されても良い。本発明の組電池のための異常電圧検出装置は、組電池を構成する電池ブロックの数が多いほど、コスト及び回路規模サイズ効果が大きい。
上記の実施形態において、npnトランジスタ、pnpトランジスタに代えて、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタを用いても良い。