(実施の形態1)
本発明は、アナログ回路、例えば、差動回路、増幅回路、オペアンプなどに代表される演算回路など、さまざまな回路に適用することが出来る。そこで、本実施の形態では、一例として、本発明を適用した差動回路について説明する。
まず、本発明を適用した差動回路について、図1に、回路構成を示す。従来の差動回路では、電流源として動作し、回路のバイアスを設定するトランジスタTR21が配置され、差動動作するためのトランジスタTR11のソース端子と、トランジスタTR12のソース端子とが、トランジスタTR21のドレイン端子に接続されている。トランジスタTR11のドレイン端子は、負荷1812などを介して高電位側電源(Vdd)に接続され、トランジスタTR12のドレイン端子も、負荷1813などを介して高電位側電源(Vdd)に接続される。
それに対し、本発明を適用した差動回路では、スイッチ1801〜1811、容量素子1812、1813などを追加している。
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、そのトランジスタは、単なるスイッチとして動作するため、トランジスタの極性は特に限定されない。ただし、オフ電流が少ない方が望ましい場合、例えば、容量素子1812、1813に接続されているスイッチなどでは、オフ電流が少ない方の極性のトランジスタを用いることが望ましい。オフ電流が少ないトランジスタとしては、LDD領域を設けているもの等がある。また、スイッチとして動作させるトランジスタのソース端子の電位が、低電位側電源(Vss、Vgnd、0Vなど)に近い状態で動作する場合はnチャネル型を、反対に、ソース端子の電位が、高電位側電源(Vddなど)に近い状態で動作する場合はpチャネル型を用いることが望ましい。なぜなら、ゲート・ソース間電圧の絶対値を大きくできるため、スイッチとして、動作しやすいからである。なお、nチャネル型とpチャネル型の両方を用いて、CMOS型にしてもよい。
またスイッチは、電気的スイッチでも機械的なスイッチでも何でも良い。電流の流れを制御できるものなら、何でも良い。トランジスタでもよいし、ダイオードでもよいし、それらを組み合わせた論理回路でもよい。
そこで次に、図1の差動回路の動作について、図2〜図6を用いて説明する。
まず、補正動作を行う。その時、トランジスタTR11とトランジスタTR12とに関して、同時に補正動作を行ってもよい。しかし、電流源として動作するトランジスタTR21は1個だけであり、同じトランジスタを用いて補正動作を行う方が精度が高いと考えられる。したがって、まず、トランジスタTR11とトランジスタTR21を用いて補正動作を行い、その後、トランジスタTR12とトランジスタTR21を用いて補正動作を行う。なお、この順序は、逆にしてもよい。
まず、図2に示すように、トランジスタTR11とトランジスタTR21を用いて補正動作を行う。この時、トランジスタTR21を流れる電流が、トランジスタTR11の方には流れて、トランジスタTR12の方には流れないようにする。もし、トランジスタTR12の方にも流れてしまったら、その分だけ、誤差が生じてしまうことになるからである。そこで、トランジスタTR21を流れる電流が、トランジスタTR12の方には流れないようにするため、スイッチ1801〜1804を用いて、電流を制御する。
図2では、スイッチ1801をオンにして、スイッチ1802〜1804をオフにしている。スイッチ1801は、第2高電位側電源(Vdd2)に接続されている。ただし、スイッチ1801は、負荷1812などが接続されている第1高電位側電源(Vdd1)に接続されていてもよい。つまり、トランジスタTR11に電流が流れて、トランジスタTR12に電流が流れないようになっていればよい。従って、スイッチ1802やスイッチ1803の配置を変更し、例えば、トランジスタTR11のソース端子とトランジスタTR21のドレイン端子との間にスイッチ1802を配置するなどのようにしてもよい。あるいは、負荷1812、1813の中に、電流を制御する機能を入れてもよい。あるいは、スイッチ1801と第2高電位側電源(Vdd2)を削除し、スイッチ1802を制御するようにしてもよい。その場合は、負荷1812が、電流を流すことが可能な状態になっている必要がある。
このようにして、容量素子1812に、トランジスタTR11のゲート・ソース間電圧Va1が保存される。図3に示すように、スイッチ1806や1808などをオフにすれば、容量素子1812に蓄積された電荷は、保持される。
次に、図4、図5に示すように、トランジスタTR12とトランジスタTR21を用いて補正動作を行う。各スイッチのオンオフは、図2、図3と同様に行えばよい。容量素子1813に、トランジスタTR12のゲート・ソース間電圧Va2が保存される。以上により、補正動作が終了する。
なお、補正動作は、通常動作を行う前に、すくなくとも1度行えばよい。つまり、容量素子1812、1813に、適切な電圧が保持されていれば、何回でも通常動作を行うことができる。ただし、容量素子1812、1813に保存されている電荷は、ノイズやもれ電流などが原因となって、徐々に、変化してしまう場合がある。その時には、容量素子1812、1813に保存されている電荷が、大きく変化してしまう前に、再び、補正動作を行えばよい。
次に、図6に示すように、通常動作を行う。つまり、スイッチ1801、1804、1806、1808、1809、1811をオフにし、スイッチ1802、1803、1805、1807、1810をオンにする。すると、トランジスタTR11とトランジスタTR12の特性がばらついても、それが、ゲート・ソース間電圧Va1、Va2に反映されるため、ばらつきの影響を低減できる。なお、通常動作時において、トランジスタTR11及びトランジスタTR12に流れる電流量によっては、各トランジスタのゲート・ソース間電圧は、変化する場合がある。その場合、ゲート・ソース間電圧が、Va1やVa2とは、等しくならない場合がある。しかしながら、特性バラツキに反映された値が、トランジスタのゲート端子に加えられるため、トランジスタのばらつきの影響は低減される。
なお、スイッチ1805は、その先の出力電圧Vo1を出力する部分の入力インピーダンスが高い場合は、省略してもよい。あるいは、負荷1812、1813の構成によっては、スイッチ1805などが必要ない場合もある。
このような差動回路を用いれば、さまざまな回路を構成することが可能となる。例えば、負荷1812、1813として、抵抗素子や能動負荷回路を用いれば、差動増幅回路を構成することができる。また、負荷1812、1813として、ダイオード接続(ゲート端子とドレイン端子を接続)されたトランジスタを配置することにより、OTA(Operational Transconductance Amplifier)の回路の一部を構成することが出来る。また、さらに、これらの回路を組み合わせれば、オペアンプやセンスアンプ、コンパレータなどの回路を構成することも可能となる。
そこで次に、負荷1812、1813として、能動負荷回路を用いた場合の差動増幅回路を対象として、構成に関して工夫した例を述べる。
まず、補正動作時と通常動作時とで、動作点を近くすることにより、誤差を小さくする例について述べる。
差動増幅回路のもっとも標準的な動作条件としては、入力電圧Vi1、Vi2の大きさが等しい場合が挙げられる。その場合、トランジスタTR21を流れる電流は、トランジスタTR11とトランジスタTR12とに、各々半分づつの量で電流が流れる。
一方、補正動作を行うときと、通常動作を行う時とでは、動作点などの動作状態が近い方が望ましい。そこで、動作点を近づけるため、補正動作を行う時の電流量を、通常動作の時の電流量の半分にしてもよい。その場合の例を図25と図26に示す。
図25では、電流源として動作させるトランジスタとして、トランジスタTR22を追加している。トランジスタTR21とトランジスタTR22のトランジスタサイズは同一にすることが望ましい。そして、各々のゲート端子には、同一のバイアス電圧Vbを加える。そして、トランジスタTR22には、直列にスイッチ2501を配置する。そして、スイッチ2501のオンオフを切り替えることにより、補正動作を行う時の電流量を、通常動作の時の電流量の半分にする。なお、スイッチ2501は、電流量を制御できるなら、どこに配置しても良い。
図26では、電流源として動作させるトランジスタとして、トランジスタTR22を追加する。トランジスタTR21とトランジスタTR22のトランジスタサイズは同一にすることが望ましい。そして、トランジスタTR21のゲート端子には、バイアス電圧Vbを加える。そして、トランジスタTR22のゲート端子に加える電圧を、補正動作の時と通常動作の時とで、変える。具体的には、補正動作の時には、トランジスタTR22がオフするように、低電位側電源(Vss)を加える。通常動作時には、バイアス電圧Vbを加える。これにより、補正動作を行う時の電流量を、通常動作の時の電流量の半分にする。
このように、バイアス用のトランジスタに流れる電流の大きさを変えることにより、補正動作時と通常動作時とで、動作点を近くすることが出来る。動作点が近い方が、より、誤差が小さくなる。
次に、能動負荷回路を用いた場合の差動増幅回路を対象として、スイッチの接続を変更した場合の例について述べる。
図2において、スイッチ1801〜1804の配置を変更できることは、既に述べた。そこで、負荷1812、1813として、能動負荷回路を用いた差動増幅回路において、スイッチ1801〜1804の配置を変更した場合の例を示す。図27に、スイッチ1801を省いた場合を示す。
各スイッチの動作は、次のようになる。まず、トランジスタTR11に電流を流し、トランジスタTR12に電流を流さない場合は、スイッチ1802をオンにし、スイッチ1803をオンにして、スイッチ1804をオフにする。すると、トランジスタ1813のゲート・ソース間電圧が0Vになるため、トランジスタ1813はオフする。トランジスタ1812もオフするが、スイッチ1803からスイッチ1802を通って電流が流れる。次に、トランジスタTR11に電流を流さず、トランジスタTR12に電流を流す場合は、スイッチ1802をオフにし、スイッチ1803は、どちらでもよく、スイッチ1804をオンにする。すると、トランジスタTR12にのみ電流が流れる。最後に、トランジスタTR11とトランジスタTR12とに電流を流す場合は、つまり、通常動作の場合は、スイッチ1802をオンにし、スイッチ1803をオフにして、スイッチ1804をオフにすればよい。
このように配置すれば、スイッチの配置を変更できる。なお、接続例は、これに限定されない。
このように、本発明を差動回路に適用することにより、様々な回路を構成することが出来る。
なお、これまでは主に、トランジスタTR11、トランジスタTR12がnチャネル型の場合について述べてきた。しかし、pチャネル型にした場合にも、容易に適用できる。一例として、図1の回路をpチャネル型にした場合を、図28に示す。
また、基準電圧の大きさは任意であるので、基準電圧を与えている端子は、別の配線や接点や端子に接続してもよい。例えば、図1において、基準電圧Vx1、Vx2を与えている端子は、入力電圧Vi1、Vi2を与えている端子と接続してもよいし、トランジスタのドレイン端子と接続してもよい。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明のアナログ回路の一例として、ソースフォロワ回路を示し、その構成と動作について説明する。まず、本発明のソースフォロワ回路の構成を図18を用いて説明する。
図18において、トランジスタTR1はnチャネル型のトランジスタであり、電流を増幅させる機能を有する。トランジスタTR2はnチャネル型のトランジスタであり、通常は、電流源として動作し、ソースフォロワ回路に対するバイアスを決定している。容量素子104は、トランジスタTR1のゲート・ソース間電圧を保持する機能を有する。また、101〜103、105は、スイッチであり、好ましくはトランジスタなどの半導体素子が用いられる。スイッチ101〜103、105を制御することによって、補正動作の時と通常動作の時とで、ソースフォロワ回路の接続状況を変える。
図18において、トランジスタTR1のドレイン端子は、高電位側電源(Vdd)に接続されている。トランジスタTR2のソース端子は、低電位側電源(Vss)に接続されている。なお、簡単のため、低電位側電源(Vss)の電位は、0Vであるとする。端子106は、トランジスタTR1のソース端子であり、トランジスタTR2のドレイン端子と接続されており、スイッチ105を介して、出力端子110と接続されている。
端子107には、基準電圧Vxが加えられており、スイッチ101を介して、トランジスタTR1のゲート端子、容量素子104の一方の端子と接続されている。入力端子108には、入力電圧Viが加えられており、スイッチ102を介して、容量素子104の他方の端子と接続されている。そして、容量素子104の他方の端子は、スイッチ103を介して、トランジスタTR1のソース端子106と接続されている。トランジスタTR2のゲート端子109には、バイアス電圧Vbが加えられている。
次に、図18に示したソースフォロワ回路の動作について、説明する。
まず、補正動作を行う。スイッチ101、103をオンにして導通状態にし、スイッチ102、105をオフにして非導通状態にする。トランジスタTR2のゲート端子109には、バイアス電圧Vbが加えられているので、トランジスタTR2に電流が流れる。この時、端子106は、端子107と容量素子104を介して接続されており、端子107には、基準電圧Vxが加えられている。よって、端子107から端子106の間に電流が流れる。そして、容量素子104の両端の電圧が、トランジスタTR1のしきい値電圧よりも大きくなると、トランジスタTR1がオンし、トランジスタTR1のソース・ドレイン間にも電流が流れるようになる。そして、トランジスタTR2のソース・ドレイン間に流れる電流値と、トランジスタTR1のソース・ドレイン間に流れる電流値が等しくなると、容量素子104には電流が流れなくなり、定常状態となる。
この時、容量素子104には、トランジスタTR2に流れる電流と同量の電流がトランジスタTR1に流れるのに必要な電圧、つまり、トランジスタTR1のゲート・ソース間電圧が保持されている。したがって、トランジスタTR1の電流特性やトランジスタサイズなどがばらつけば、トランジスタTR1のゲート・ソース間電圧の大きさも、それによって、異なった値となる。この時のトランジスタTR1のゲート・ソース間電圧の大きさをVaとする。すると、端子106の電位は、基準電圧Vxよりも、Vaだけ低い電位になる。
なお、すでに、定常状態になっており、端子106と端子107の間には電流が流れていないため、スイッチ101、103をオフにしても、問題ない。その結果、容量素子104の電荷は保持され、容量素子104の両端の電圧は、電荷保存の法則により、変化しなくなる。
以上の動作により、補正動作が終了する。この補正動作により、容量素子104に、適切な電圧が保持されることになる。
なお、補正動作の時に、出力端子110の方へ電流が流れ続けないならば、つまり、出力端子110の入力インピーダンスが十分高いならば、スイッチ105は省略して、端子106と出力端子110を直接接続してもよい。
なお、補正動作は、通常動作を行う前に、すくなくとも1度行えばよい。つまり、容量素子104に、適切な電圧が保持されていれば、何回でも通常動作を行うことができる。ただし、容量素子104に保存されている電荷は、ノイズやもれ電流などが原因となって、徐々に、変化してしまう場合がある。その時には、容量素子104に保存されている電荷が、大きく変化してしまう前に、再び、補正動作を行えばよい。
そして次に、通常動作を行う。スイッチ102、105をオンにして、スイッチ101、103をオフにする。端子108には、入力電圧Viが加えられている。よって、トランジスタTR1のゲート端子には、入力電圧Viに、容量素子104の電圧Vaが上乗せされた電圧が加えられることになる。そして、定常状態になると、トランジスタTR2のソース・ドレイン間に流れる電流値と、トランジスタTR1のソース・ドレイン間に流れる電流値が等しくなる。その時のトランジスタTR1のゲート・ソース間電圧は、Vaである。
したがって、端子106の電位は、トランジスタTR1のゲート端子の電位よりも、トランジスタTR1のゲート・ソース間電圧であるVaだけ、低い電位になる。そして、トランジスタTR1のゲート端子の電位は、入力電圧ViよりVaだけ、高い電位になる。以上のことから、端子106の電位は、入力電圧Viと等しくなる。つまり、出力電圧Voは、入力電圧Viと等しくなる。
従って、出力電圧Voには、基準電圧Vxの値には依存しない。これは、基準電圧Vxの大きさが、どのような大きさであっても、問題ない、ということを表していることになる。つまり、正常に補正動作を行えれば、基準電圧Vxの大きさは任意である。ただし、基準電圧Vxの大きさは、トランジスタTR1とトランジスタTR2とが、飽和領域で動作できる大きさにすることが、より望ましい。なぜなら、通常、ソースフォロワ回路では、飽和領域で動作させることが多いためである。
また、基準電圧Vxの大きさは任意であるので、端子107は、別の配線や接点や端子に接続してもよい。例えば、端子107を入力端子108に接続してもよい。このとき、基準電圧Vxの大きさは任意であるので、補正動作を行っているときの入力電圧Viの大きさも、任意である。よって、補正動作を行っている時と、通常動作を行っている時とで、入力電圧Viの大きさが異なっていてもよい。
同様に、端子107は、高電位側電源(Vdd)に接続してもよいし、トランジスタTR1のドレイン端子に接続してもよいし、出力端子110に接続してもよいし、端子109に接続してもよい。このように、端子107は、任意の場所に接続することが可能である。
また、出力電圧Voは、基準電圧Vxの値に依存しないのと同様、トランジスタTR1ゲート・ソース間電圧Vaにも依存しない。これは、Vaの大きさが、どのような大きさであっても、問題ない、ということを表していることになる。つまり、トランジスタTR1の電流特性(移動度やしきい値電圧など)やトランジスタサイズ(ゲート長L、ゲート幅W)などがばらついても、その影響が出ない、ということを表している。
また、出力電圧Voは、トランジスタTR1やトランジスタTR2のソース・ドレイン間に流れる電流の大きさにも依存しない。つまり、出力電圧Voは、トランジスタTR2のゲート端子109に加えられているバイアス電圧Vbの大きさに依存しない。また、トランジスタTR2の電流特性(移動度やしきい値電圧など)やトランジスタサイズ(ゲート長L、ゲート幅W)にも依存しない。
このように、通常動作では、トランジスタTR1のゲート端子には、入力電圧Viがそのまま加わるのではなく、容量素子104に保存されている電圧が上乗せされて、加えられる。容量素子104に保存されている電圧の大きさは、状況に応じた大きさになる。つまり、トランジスタTR1やトランジスタTR2の電流特性やトランジスタサイズなどがばらついても、それに応じて、容量素子104に保存されている電圧の大きさが変わる。そのため、結果として、トランジスタTR1やトランジスタTR2のバラツキの影響を低減することが可能となる。
なお、図18では、トランジスタTR1やトランジスタTR2がnチャネル型の場合について示した。しかし、pチャネル型の場合にも、本発明を容易に適用できる。図13に、トランジスタTR1やトランジスタTR2がpチャネル型の場合のソースフォロワ回路について示す。トランジスタTR1は、電流を増幅させる機能を有している。トランジスタTR2は、通常は、電流源として動作し、ソースフォロワ回路に対するバイアスを決定している。104は容量素子であり、トランジスタTR1のゲート・ソース間電圧を保持する機能を有する。なお、動作や構成に関しては、nチャネル型の場合と同様なので、詳しい説明を省略する。
なお、図18や図13では、電流源として動作し、ソースフォロワ回路に対するバイアスを決定しているトランジスタTR2が配置されていた。しかし、トランジスタTR2が配置されていなくてもよい。これは、トランジスタTR2の電流値が0である場合に相当する。
図18のソースフォロワ回路に対して、トランジスタTR2を配置していない場合の回路図を図7に示す。スイッチ701が、端子106と低電位側電源(Vss)との間に接続されている。スイッチ701により、補正動作の時に、トランジスタTR1をオン状態にすることが出来る。したがって、補正動作の時に、トランジスタTR1をオン状態にすることが出来るのなら、スイッチ701を別の場所に接続してもよいし、スイッチ701自体を配置しなくてもよい。
次に、図7に示すトランジスタTR2を配置していない場合の回路の動作について、説明する。
まず、補正動作を行う。補正動作は、大きく2つの段階に分けられる。第1段階では、トランジスタTR1がオン状態になるようにする。その後、第2段階では、トランジスタTR1のゲート・ソース間電圧が、トランジスタTR1のしきい値電圧に概ね等しい電圧になるようにする。
図18の回路の場合は、補正動作を2つの段階に分ける必要がなかった。しかし、図7の回路の場合、補正動作における各段階によって、回路の接続状況などを変更する必要がある。
補正動作の第1段階では、スイッチ101、103、701をオンにして、スイッチ102、105をオフにすることにより、トランジスタTR1がオン状態になるようにしている。よって、この時のトランジスタTR1のゲート・ソース間電圧は、トランジスタTR1のしきい値電圧よりも大きい。
なお、この段階では、トランジスタTR1がオン状態になればよいだけなので、この方法に限定されない。例えば、スイッチ701を除去し、端子106と低電位側電源(Vss)が接続されないような状況にして、スイッチ102もオンになるようにし、基準電圧Vxと入力電圧Viの値を調節すれば、トランジスタTR1をオン状態にすることができる。
次に、補正動作の第2段階では、スイッチ101、103をオンにして、スイッチ102、105、701をオフにする。これにより、トランジスタTR1のソース端子は、容量素子104にのみ、接続されるようになる。すると、トランジスタTR1がオン状態なら、トランジスタTR1のソース・ドレイン間に電流が流れる。その電流は、容量素子104の方へ流れる。その結果、容量素子104に保存されている電荷が放電されていく。これは、トランジスタTR1がオフするまで、つまり、トランジスタTR1のゲート・ソース間電圧が、トランジスタTR1のしきい値電圧に等しくなるまで続く。トランジスタTR1のゲート・ソース間電圧が、トランジスタTR1のしきい値電圧に等しくなると、トランジスタTR1や容量素子104には、電流がほとんど流れなくなる。
なお、すでに、電流が流れない状態になっており、端子106と端子107の間には電流が流れていないため、スイッチ101、103をオフにしても、問題ない。その結果、容量素子104の電荷は保持され、容量素子104の両端の電圧は、電荷保存の法則により、変化しなくなる。
以上の動作により、補正動作が終了する。この補正動作により、容量素子104に、トランジスタTR1のしきい値電圧が保持されることになる。
なお、容量素子104の電圧が、トランジスタTR1のしきい値電圧に等しくなるまで、動作を続けているが、必ずしも、その必要はない。容量素子104の電圧が、トランジスタTR1のしきい値電圧に、概ね等しくなればよい。
そして次に、通常動作を行う。スイッチ102、105をオンにして、スイッチ101、103、701をオフにする。端子108には、入力電圧Viが加えられている。よって、トランジスタTR1のゲート端子には、入力電圧Viに、容量素子104の電圧、つまり、トランジスタTR1のしきい値電圧が上乗せされた電圧が加えられることになる。そして、定常状態になると、トランジスタTR1のソース・ドレイン間に電流がほとんど流れなくなる。その時のトランジスタTR1のゲート・ソース間電圧は、トランジスタTR1のしきい値電圧に概ね等しい。
したがって、端子106の電位は、トランジスタTR1のゲート端子の電位よりも、トランジスタTR1のしきい値電圧だけ、低い電位になる。そして、トランジスタTR1のゲート端子の電位は、入力電圧Viより、容量素子104の電圧、つまり、トランジスタTR1のしきい値電圧だけ、高い電位になる。以上のことから、端子106の電位は、入力電圧Viと等しくなる。つまり、出力電圧Voは、入力電圧Viと等しくなる。
なお、図7では、電流源として動作するトランジスタTR2を配置していなかった。しかし、図7の回路において、トランジスタTR2を配置してもよい。その時の回路図を図15に示す。動作に関しては、補正動作に関しては同様であり、容量素子104には、しきい値電圧が保持される。ただし、通常動作を行う場合は、トランジスタTR2が電流源として動作しなければならないので、図15におけるスイッチ701をオンにしておく必要がある。
なお、トランジスタTR2にも、容量素子を配置して、そこにトランジスタTR2のしきい値電圧を保存し、トランジスタTR2のバラツキを補正するようにしてもよい。
このように、トランジスタTR2を配置していない場合の回路に対しても、同様に適用できる。よって、基準電圧Vxが任意なことや、トランジスタTR1の電流特性(移動度やしきい値電圧など)やトランジスタサイズ(ゲート長L、ゲート幅W)などがばらついても、その影響が出ないことなども同様である。また、図7では、トランジスタTR1がnチャネル型の場合について示したが、pチャネル型の場合にも、容易に適用できる。
また、トランジスタTR1がnチャネル型の場合と、pチャネル型の場合とを組み合わせて、両方を増幅用トランジスタとして用いて、プッシュプル形式にしてもよい。その場合の回路図を図14に示す。pチャネル型のトランジスタTR1pは、低電位側電源(Vss)に接続されており、ゲート・ソース間には、容量素子104pが接続されている。nチャネル型のトランジスタTR1nは、高電位側電源(Vdd)に接続されており、ゲート・ソース間には、容量素子104nが接続されている。動作などについては、図7の場合などと同様であるため、説明を省略する。
なお、図15のように、容量素子に、トランジスタのゲート・ソース間電圧を保持させるのではなく、トランジスタのしきい値電圧をさせることは、ソースフォロワ回路だけでなく、差動回路に対して適用してもよい。例えば、図1に適用する場合は、トランジスタTR11のソース端子とトランジスタTR21のドレイン端子の間と、トランジスタTR12のソース端子とトランジスタTR21のドレイン端子の間とに、各々スイッチを入れる必要がある。
また、本実施の形態では、ソースフォロワ回路に適用した場合について述べてきたが、ソースフォロワ回路と非常に構成が類似した回路として、カスコード回路があり、それにも、本発明を適用できる。カスコード回路がソースフォロワ回路と異なるのは、図21で考えると、トランジスタTR2のゲート端子4309が入力端子になっており、トランジスタTR1のゲート端子4308がバイアス電圧を加える端子になっており、トランジスタTR1のドレイン端子と高電位側電源(Vdd)との間に、抵抗素子などの負荷が配置され、前記負荷とトランジスタTR1のドレイン端子の間の接点が、出力端子になっている、という点である。
そこで、カスコード回路に、本発明を適用した場合の回路図を図16に示す。トランジスタTR1のドレイン端子と高電位側電源(Vdd)の間に、負荷1601が配置されている。なお、図16では、トランジスタTR1、トランジスタTR2がnチャネル型であるが、pチャネル型の場合にも適用できることは、もちろんである。なお、動作などは、ソースフォロワ回路と同様であるので、説明は省略する。
最後に、回路の消費電力を低減する方法について述べる。アナログ回路では、定常状態であっても、電流が流れ続ける場合が多い。例えば、ソースフォロワ回路では、通常、定常状態であっても、トランジスタTR1からトランジスタTR2へと、電流が流れ続ける。そのため、消費電力が大きい。そこで、定常状態の時に流れ続ける電流を遮断すれば、消費電力を低減することが可能となる。例として、図18の回路に対して、消費電力を低減するための工夫を施した回路を、図17に示す。図17では、高電位側電源(Vdd)と、トランジスタTR1のドレイン端子との間に、スイッチ1701を配置している。このスイッチを制御することにより、定常状態であっても、トランジスタTR1からトランジスタTR2へと、流れ続ける電流を遮断することが出来る。なお、スイッチ1701は、流れ続ける電流を遮断することが出来れば、どこに配置してもよい。また、スイッチ1701を配置せずに、流れ続ける電流を遮断してもよい。例えば、トランジスタTR2のゲート端子109の電圧Vbを調節することにより、トランジスタTR2に電流が流れないようにしてもよい。同様に、トランジスタTR1のゲート端子の電位を調節することにより、電流が流れないようにしてもよい。
なお、消費電力を低減するために、定常状態の時に流れ続ける電流を遮断することは、ソースフォロワ回路だけでなく、差動回路に適用してもよい。
なお、実施の形態1で説明した内容は、本実施の形態にも適用でき、本実施の形態で説明した内容は、実施の形態1にも適用できる。
(実施の形態3)
前述した実施の形態1、2では、本発明を適用したソースフォロワ回路や差動回路について説明した。それらの回路をさらに組み合わせれば、様々な回路にも、適用できる。そこで、本実施の形態では、一例として、本発明を適用したオペアンプについて説明する。
なお、オペアンプの回路構成としては、さまざまなものがある。よって、オペアンプの回路構成は、本実施の形態に限定されない。本発明は、さまざまな構成のオペアンプに適用できる。
まず、もっとも簡単な構成の場合として、差動増幅回路にソースフォロワ回路を組み合わせた構成によるオペアンプについて述べる。図29に示すように、差動回路として図1の回路を用い、差動回路の負荷として、能動回路を用い、ソースフォロワ回路として図18の回路を用いている。点線で囲った領域2910がソースフォロワ回路に相当する。プラス側入力端子2901とマイナス側入力端子2902から信号を入力し、出力端子2903から信号を取り出す。バイアス端子2904に加える電圧を調節して、バイアスとして流す電流の大きさを制御する。端子2905〜2909までの端子に入力する信号のタイミングを制御することにより、各部分の補正動作と通常動作とを切り替える。なお、端子2905〜2909などへの接続を変更することにより、同時に複数の回路部分において、補正動作を行ったりすることが可能である。
次に、出力段のバッファとして、プッシュプル形式にした場合のオペアンプを図30に示す。プッシュプル形式のソースフォロワ回路として、図14の回路を用いている。点線で囲った領域3011がプッシュプル形式のソースフォロワ回路に相当する。図30では、プラス側入力端子3001とマイナス側入力端子3002から信号を入力し、出力端子3003から信号を取り出す。バイアス端子3004に加える電圧を調節して、バイアスとして流す電流の大きさを制御する。端子3005〜3010までの端子に入力する信号のタイミングを制御することにより、各部分の補正動作と通常動作とを切り替える。なお、端子3005〜3010などへの接続を変更することにより、同時に複数の回路部分において、補正動作を行ったりすることが可能である。
次に、増幅段を2段にした場合のオペアンプを図31に示す。2段目の増幅段として、ソース接地増幅回路を用いている。点線で囲った領域3111がソース接地増幅回路に相当する。図31では、プラス側入力端子3101とマイナス側入力端子3102から信号を入力し、出力端子3103から信号を取り出す。バイアス端子3104に加える電圧を調節して、バイアスとして流す電流の大きさを制御する。端子3105〜3109までの端子に入力する信号のタイミングを制御することにより、各部分の補正動作と通常動作とを切り替える。なお、端子3105〜3109などへの接続を変更することにより、同時に複数の回路部分において、補正動作を行ったりすることが可能である。
容量素子3110は、位相補償を行うために、設けられており、別の場所に配置してもよいし、容量素子3110と直列に抵抗も配置してもよい。また、2段目の増幅段の先に、さらに、ソースフォロワ回路を配置してもよい。
ここで、ソース接地増幅回路について、簡単に述べる。図32に、本発明を適用したソース接地増幅回路を示す。
なお、従来のソース接地増幅回路では、バイアス電流を供給するためのトランジスタTR4のドレイン端子と、増幅用のトランジスタTR3のドレイン端子とが接続され、そこが出力端子となっている。トランジスタTR3もトランジスタTR4もソース端子が接地されており、その結果、互いのトランジスタ極性は逆になる。トランジスタTR4のゲート端子に、バイアス用電圧が加えられて、トランジスタTR3のゲート端子には、入力電圧が加えられる。
それに対し、図32のソース接地増幅回路では、スイッチ3201〜3203、3205と、容量素子3204が追加されている。なお、出力端子3210の入力インピーダンスが高い場合は、スイッチ3205を省略し、トランジスタTR3のドレインと出力端子3210を直接接続することが可能である。
次に、図32のソース接地増幅回路の動作について、図33、図34を用いて説明する。まず、補正動作を行う。図33に示すように、スイッチ3203、3202をオンにして、スイッチ3201、3205をオフにする。すると、容量素子3204に、トランジスタTR3のゲート・ソース間電圧Vaが保存される。
その後、通常動作を行う。図34に示すように、スイッチ3201、3205をオンにして、スイッチ3202、3203をオフにする。そして、入力端子3208から入力電圧Viを加える。すると、容量素子3204に保存した電圧Vaが、入力電圧Viに上乗せされて、トランジスタTR3のゲート端子に加えられる。容量素子3204に保存した電圧Vaは、トランジスタTR3の電流特性に応じた大きさとなる。したがって、トランジスタTR3がばらついても、その影響を低減することが可能となる。
なお、補正動作は、少なくとも1回行えばよい、という点は、ソースフォロワ回路などの場合と同様である。
また、図7などのように、容量素子3204に保存される電圧が、トランジスタのしきい値電圧になるようにしてもよい。
また、このソース接地増幅回路が、オペアンプの回路の一部として構成される場合は、オペアンプの位相補償を行うための容量や抵抗が、ソース接地増幅回路に配置されることがある。例として、図35には、入力端子3208とトランジスタTR3のドレイン端子との間に、容量素子3501を配置した場合の回路図を示す。なお、オペアンプの位相補償を行うことが出来るのであれば、どこに、どのような素子を配置してもよい。
なお、実施の形態1、2で説明した内容は、本実施の形態にも適用できる。
例えば、補正動作を、いつ、どれくらいの頻度で行うかは、本実施の形態でも同様である。
また、基準電圧の大きさは任意であるので、基準電圧を与えている端子は、別の配線や接点や端子に接続してもよい。
また、容量素子に、トランジスタのゲート・ソース間電圧を保持させるのではなく、トランジスタのしきい値電圧をさせるようにしてもよい。
また、消費電力を低減するために、定常状態の時に流れ続ける電流を遮断することについても、本実施の形態にも適用できる。
また、本実施の形態では、主に、トランジスタがnチャネル型の場合について述べてきた。しかし、pチャネル型にした場合にも、容易に適用できる。
なお、本実施の形態では、オペアンプに適用した場合について述べてきた。しかし、OTA(Operational Transconductance Amplifier)、センスアンプ、コンパレータなどの回路に適用することも可能である。また、トランジスタの接続をカスケード接続にした場合なども、本発明を適用できる。
なお本実施の形態は、実施の形態1、2と任意に組み合わせることが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明を適用した電気回路において、時間を節約する方法について説明する。
これまで述べてきた通り、本発明の回路では、動作状態として、補正動作と通常動作とがある。補正動作は、頻繁に行う必要はないが、通常動作を行う前には、少なくとも1回行う必要がある。
そこで、1組の入力端子と出力端子の間に、1個の回路(例えば、1つのソースフォロワ回路)がある場合、補正動作を行うタイミングには、以下のようなものがある。
1つ目としては、通常動作を行うまえに、必ず、補正動作を行う、というものである。例えば、ある期間、信号を入出力する場合に、その期間を2つに分け、前半の期間に補正動作を行い、後半の期間に通常動作を行う。
2つ目としては、信号の入出力を行っていない期間において、補正動作を行い、その後、通常動作を何回も行う、というものである。
その他のタイミング例として、補正動作を行いながら、同時に通常動作を行う、ということが考えられる。その場合、1組(1対)の入力端子と出力端子の間に、1個の回路のみを配置する構成では、補正動作と通常動作とを同時に行うことが出来ない。。そこで、1組の入力端子と出力端子の間に、例えば、2個以上の回路を並列に配置する。すると、各々の回路での動作を制御することにより、補正動作を行いながら、同時に通常動作を行うことが出来る。
図8には、1組の入力端子と出力端子の間に、2個のソースフォロワ回路を並列に配置した場合の例を示す。入力端子3601と出力端子3602の間に、回路3603が配置されている。回路3603には、ソースフォロワ回路3604、3605が配置されている。そして、一方のソースフォロワ回路において通常動作を行って、出力端子3602に信号を出力し、同時に、他方のソースフォロワ回路において補正動作を行う。どちらのソースフォロワ回路で、どちらの動作を行うかは、端子3606から入力する信号を用いて、切り替える。図8では、端子3606がH信号の場合、ソースフォロワ回路3604において補正動作を行い、端子3606がL信号の場合、ソースフォロワ回路3605において補正動作を行う。
このようにすることにより、補正動作を行いながら、通常動作を行うことが可能となる。その結果、同時に2つのことができ、動作に無駄がなく、無駄な時間が必要なくなり、各動作を行う時間を、長くとることができる。よって、補正動作において、定常状態になるまで動作を行うことができるので、補正が正確に行えるようになる。
なお、補正動作を行うタイミングとしては、上記のものに限定されない。
図8では、ソースフォロワ回路を用いた例を示したが、1組の入力端子と出力端子の間に、2個以上の回路を配置することは、差動回路やオペアンプなどの別の回路にも、適用することができる。
なお本実施の形態は、実施の形態1〜3と任意に組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、表示装置、および、信号線駆動回路などの構成とその動作について、説明する。信号線駆動回路の一部に、本発明の回路を適用することができる。
表示装置は、図9に示すように、画素3701、ゲート線駆動回路3702、信号線駆動回路3710を有している。ゲート線駆動回路3702は、画素3701に選択信号を順次出力する。信号線駆動回路3710は、画素3701にビデオ信号を順次出力する。画素3701では、ビデオ信号に従って、光の状態を制御することにより、画像を表示する。信号線駆動回路3710から画素3701へ入力するビデオ信号は、電圧であることが多い。つまり、画素に配置された表示素子や表示素子を制御する素子は、信号線駆動回路3710から入力されるビデオ信号(電圧)によって、状態を変化させるものであることが多い。画素に配置する表示素子の例としては、液晶(LCD)や有機ELやFED(フィールドエミッションディスプレイ)などがあげられる。
なお、ゲート線駆動回路3702や信号線駆動回路3710は、複数配置されていてもよい。
信号線駆動回路3710は、構成を複数の部分に分けられる。大まかには、一例として、シフトレジスタ3703、第1ラッチ回路3704、第2ラッチ回路3705、デジタル・アナログ変換回路3706、バッファ回路(増幅回路)3707に分けられる。
そこで、信号線駆動回路3710の動作を簡単に説明する。シフトレジスタ3703は、フリップフロップ回路(FF)等を複数列用いて構成され、クロック信号(S-CLK)、スタートパルス(SP)、クロック反転信号(S-CLKb)が入力される、これらの信号のタイミングに従って、順次サンプリングパルスが出力される。
シフトレジスタ3703より出力されたサンプリングパルスは、第1ラッチ回路3704に入力される。第1ラッチ回路3704には、ビデオ信号線3708より、ビデオ信号が入力されており、サンプリングパルスが入力されるタイミングに従って、各列でビデオ信号を保持していく。なお、デジタル・アナログ変換回路3706を配置している場合は、ビデオ信号はデジタル値である。
第1ラッチ回路3704において、最終列までビデオ信号の保持が完了すると、水平帰線期間中に、ラッチ制御線3709よりラッチパルス(Latch Pulse)が入力され、第1ラッチ回路3704に保持されていたビデオ信号は、一斉に第2ラッチ回路3705に転送される。その後、第2ラッチ回路3705に保持されたビデオ信号は、1行分が同時に、デジタル・アナログ変換回路3706へと入力される。そして、デジタル・アナログ変換回路3706から出力される信号は、バッファ回路(増幅回路)3707へ入力される。そして、バッファ回路(増幅回路)3707から画素3701へ信号が入力される。
第2ラッチ回路3705に保持されたビデオ信号がデジタル・アナログ変換回路3706に入力され、そして、画素3701に入力されている間、シフトレジスタ3703においては再びサンプリングパルスが出力される。つまり、同時に2つの動作が行われる。これにより、線順次駆動が可能となる。以後、この動作を繰り返す。
以上のような動作を行う信号線駆動回路3710において、バッファ回路(増幅回路)3707に、本発明を適用できる。バッファ回路(増幅回路)3707は、画素3701に多くの電流を供給する能力を有している。つまり、バッファ回路(増幅回路)3707は、インピーダンスを変換する機能を有している。このバッファ回路(増幅回路)3707に、ソースフォロワ回路や差動増幅回路やオペアンプなどを用いることができる。差動増幅回路やオペアンプを用いる場合、出力端子をマイナス側入力端子に接続し、信号を帰還させることなどによって、電圧フォロワ回路などとして機能させることができる。
また、図8のように、ソースフォロワ回路や差動増幅回路やオペアンプなどを複数配置して、補正動作や通常動作を同時に行えるようにしてもよい。
なお、第1ラッチ回路3704や第2ラッチ回路3705が、アナログ値を保存できる回路である場合は、デジタル・アナログ変換回路3706は省略できる場合が多い。また、画素3701に出力するデータが2値、つまり、デジタル値である場合は、デジタル・アナログ変換回路3706は省略できる場合が多い。また、デジタル・アナログ変換回路3706には、ガンマ補正回路が内蔵されている場合もある。このように、信号線駆動回路3710の構成は、図9に限定されず、様々なものがある。
そこで、第1ラッチ回路3704や第2ラッチ回路3705が、アナログ値を保存できる回路である場合の信号線駆動回路3710を図10に示す。ビデオ信号線3708より、アナログ値のビデオ信号が入力される。第1ラッチ回路3704と第2ラッチ回路3705の1列分3801の例を、図11に示す。前記1列分3801には、1列分の第1ラッチ回路3704と1列分の第2ラッチ回路3705とを有する。1列分の第1ラッチ回路3704は、容量素子3901とバッファ回路(増幅回路)3902を有している。1列分の第2ラッチ回路3705は、容量素子3903とバッファ回路(増幅回路)3904を有している。
第1ラッチ回路3704と第2ラッチ回路3705の1列分3801は、以下のように動作する。まず、ビデオ信号線3708から、アナログのビデオ信号が容量素子3901に入力され、そこで保存される。そして、ラッチ制御線3709の信号により、容量素子3901に保存されているデータが容量素子3903に転送される。このとき、バッファ回路(増幅回路)3902は、インピーダンスを変換している。よって、容量素子3901、3902の大きさを調節すれば、バッファ回路(増幅回路)3902を省くことが可能となる。そして、容量素子3903に保存された信号をバッファ回路(増幅回路)3904を通って、画素へ出力する。
このバッファ回路(増幅回路)3902、3904を、ソースフォロワ回路や差動増幅回路やオペアンプなどを用いることができる。例として、バッファ回路(増幅回路)としてソースフォロワ回路を用いた場合の回路図を図12に示す。また、図8のように、バッファ回路(増幅回路)を複数配置して、補正動作や通常動作を同時に行えるようにしてもよい。
なお、本実施の形態は、実施の形態1〜実施の形態4と任意に組み合わせることが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明を用いた電気回路のレイアウト図について説明する。
本実施の形態では、例として、本発明を適用したソースフォロワ回路のレイアウト図について述べる。図19に、図18のソースフォロワ回路の回路図を、レイアウト図と類似させて記述した場合の回路図を示す。
図19では、容量素子104は、MOS容量として形成している。つまり、MOS容量をトランジスタとして考えたときに、ソース端子とドレイン端子を接続して、その接点を容量の一方の端子とし、ゲート端子を容量の他方の端子とする。このようにMOS容量を用いて容量素子を形成すると、容量値を大きくすることができる。なお、この場合、容量素子104をトランジスタだと考えた場合の極性は、トランジスタTR1と同じ極性にすることが望ましい。なぜなら、この場合のMOS容量は、トランジスタだと考えた場合、そのトランジスタがオンしている状態にしておく必要がある。もし、そのトランジスタがオフしている状態になると、MOS容量の容量値は0になる。そのため、容量素子104オンしている状態にするには、トランジスタTR1と同じ極性にすることが望まれる。
図20には、図19のソースフォロワ回路のレイアウト図を示す。多結晶シリコンなどによる半導体層4201の上の層にゲート絶縁膜の層があり、その上の層にゲート配線(第1配線)4202がある部分がトランジスタである。ゲート配線(第1配線)4202の上の層には、層間絶縁膜があり、その上には第2配線4204がある。第2配線4204と半導体層4201や、第2配線4204とゲート配線(第1配線)4202は、コンタクト4203を開口することにより、接続している。
図20のようなレイアウト図を使って、公知の技術を用いれば、本発明の電気回路を実現することが出来る。
なお、トランジスタTR1とトランジスタTR2は、通常、飽和領域で動作することが多い。理想的なトランジスタは、飽和領域では、ソース・ドレイン間の電圧が変化しても、ソース・ドレイン間に流れる電流量は、変化しない。しかし、実際には、キンク効果やアーリー効果などと呼ばれる現象により、飽和領域においても、トランジスタのソース・ドレイン間に流れる電流量が変化してしまう。そのため、電流値が変化してしまい、誤差が生じてしまう。そこで、キンク効果やアーリー効果などを低減するため、図20では、トランジスタTR1とトランジスタTR2のゲート長Lを大きくしている。なお、キンク効果やアーリー効果などを低減するための方法は、直列にトランジスタを追加することなど、他にもあり、それを本願に適用することもできる。
また、理想的な動作を行う場合は、容量素子104の電圧は、補正動作のときと、通常動作のときとで、変化しない。しかし実際には、容量素子104がゲート端子に接続されているトランジスタ(ここでは、トランジスタTR1)の寄生容量(ゲート容量)により、加えた電圧が分圧されてしまう。その結果、容量素子104の電圧は、補正動作のときと、通常動作のときとで、わずかに変化してしまう。その結果、誤差が生じてしまう。その誤差を小さくするためには、容量素子104の容量値を、容量素子104がゲート端子に接続されているトランジスタの寄生容量(ゲート容量)よりも、十分大きくしておく必要がある。具体的には、少なくとも、容量素子104の容量値を、容量素子104がゲート端子に接続されているトランジスタの寄生容量(ゲート容量)の5倍以上にすることが望まれる。
なお、本実例は、実施の形態1〜実施の形態5と任意に組み合わせることが可能である。
(実施の形態7)
本発明を用いた電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図36に示す。
図36(A)は表示装置であり、筐体13001、支持台13002、表示部13003、スピーカー部13004、ビデオ入力端子13005等を含む。本発明は表示部13003を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図36(A)に示す表示装置が完成される。表示部13003は、有機ELディスプレイや、液晶ディスプレイなどを用いることができる。なお、表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図36(B)はデジタルスチルカメラであり、本体13101、表示部13102、受像部13103、操作キー13104、外部接続ポート13105、シャッター13106等を含む。本発明は、表示部13102を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図36(B)に示すデジタルスチルカメラが完成される。
図36(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体13201、筐体13202、表示部13203、キーボード13204、外部接続ポート13205、ポインティングマウス13206等を含む。本発明は、表示部13203を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図36(C)に示す表示装置が完成される。
図36(D)はモバイルコンピュータであり、本体13301、表示部13302、スイッチ13303、操作キー13304、赤外線ポート13305等を含む。本発明は、表示部13302を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図36(D)に示すモバイルコンピュータが完成される。
図36(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体13401、筐体13402、表示部A13403、表示部B13404、記録媒体(DVD等)読み込み部13405、操作キー13406、スピーカー部13407等を含む。表示部A13403は主として画像情報を表示し、表示部B13404は主として文字情報を表示するが、本発明は、表示部A、B13403、13404を構成する電気回路に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。また本発明により、図36(E)に示すDVD再生装置が完成される。
図36(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体13501、表示部13502、アーム部13503を含む。本発明は、表示部13502を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図36(F)に示すゴーグル型ディスプレイが完成される。
図36(G)はビデオカメラであり、本体13601、表示部13602、筐体13603、外部接続ポート13604、リモコン受信部13605、受像部13606、バッテリー13607、音声入力部13608、操作キー13609等を含む。本発明は、表示部13602を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図36(G)に示すビデオカメラが完成される。
図36(H)は携帯電話であり、本体13701、筐体13702、表示部13703、音声入力部13704、音声出力部13705、操作キー13706、外部接続ポート13707、アンテナ13708等を含む。本発明は、表示部13703を構成する電気回路に用いることができる。なお、表示部13703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電流を抑えることができる。また本発明により、図36(H)に示す携帯電話が完成される。
なお、将来的に表示材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
また、上記電子機器はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増してきている。発光材料の応答速度は非常に高いため、発光装置は動画表示に好ましい。
また、発光装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなるように情報を表示することが望ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話や音響再生装置のような文字情報を主とする表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが望ましい。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。また本実施の形態の電子機器は、実施の形態1〜実施の形態6に示したいずれの構成の電気回路、又は半導体装置を用いても良い。