JP4513486B2 - TiO2を含有するシリカガラスの製造方法 - Google Patents

TiO2を含有するシリカガラスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、TiOを含有するシリカガラスに関し、EUVリソグラフィに使用される露光装置光学材として用いられる透明超低熱膨張ガラスの製造方法に関する。また、低熱膨張性および透明性が厳しく要求される各種材料、例えば光学部品材料、大型反射鏡基板材料、精密測定用基準器等の精密部品材料および各種電子材料等に用いるに好適なTiOを含有するシリカガラスの製造方法に関する。なお、本発明でいうEUV(Extreme Ultra Violet)光とは、軟X線領域または真空紫外域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。
近年、光リソグラフィ技術においては、集積回路の高集積化および高機能化に伴い、集積回路の微細化が進み、露光装置には深い焦点深度で高解像度の回路パターンをウエハ面上に結像させることが求められ、露光光源の短波長化が進められている。露光光源は、従来のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)やKrFエキシマレーザ(波長248nm)から進んでArFエキシマレーザ(波長193nm)が用いられようとしている。また、さらに回路パターンの線幅が100nm以下となる次世代の集積回路に対応するため、露光光源としてFレーザ(波長157nm)を用いることが有力視されているが、これも線幅が70nm世代までしかカバーできないと見られている。
このような流れにあって、露光光源としてEUV光(極端紫外光)のうち代表的には波長13nmの光を用いたリソグラフィ技術が、50nm以降の複数世代にわたって適用可能と見られ注目されている。EUVリソグラフィ(以下、「EUVL」と略する)の像形成原理は、投影光学系を用いてマスクパターンを転写する点では、従来のフォトリソグラフィーと同じである。しかし、EUV光のエネルギー領域では光を透過する材料が無いために、屈折光学系は用いることができず、光学系はすべて反射光学系となる。
EUVLに用いられる露光装置光学部材は、(1)基材 (2)基材上に形成された反射多層膜 (3)反射多層膜上に形成された吸収体層 から基本的に構成される。EUVLに用いられる露光装置光学部材は反射型となるため、基材には必ずしも透光性は必要ないが、EUV光照射の下においても歪みが生じないよう、干渉計などを使って均質性、表面平滑性を評価するため、あるいは顕微鏡や目視などの検査によって、泡や脈理などの内部欠点の有無を判別するためなど、評価や検査を可能にするために、透明性を有する超低熱膨張材料が望まれている。
また、透明低熱膨張材料は、低熱膨張性および透明性が厳しく要求される各種材料、例えば光学部品材料、大型反射鏡基板材料、リングレーザージャイロスコープ用材料、精密測定用基準器等の精密部品材料および各種電子材料等に広く用いられている。
透明性を有する超低膨張材料としては、Corning社ULE#7972(商品名)に代表されるTiOを含有するシリカガラス(以下、「TiO−SiOガラス」と記す)と、SCHOTT社ZERODUR(商品名)に代表される透明結晶化ガラスがある。米国特許出願には、TiO−SiO多孔質ガラス体を形成し、ガラス体にした後、マスク基板を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
TiO−SiOガラスを合成する方法は、ガラス形成原料となるSi前駆体とTi前駆体を火炎加水分解もしくは熱分解させることによりTiO−SiOガラスを合成するものであり、直接法とスート法の2種類を挙げることができる。
直接法は、ガラス形成原料となるSi前駆体とTi前駆体を火炎加水分解してTiO−SiO粒子を合成し、基材上に堆積、融着させることにより透明TiO−SiOガラスを直接合成する合成方法である。
一方、スート法はガラス形成原料となるSi前駆体とTi前駆体を火炎加水分解もしくは熱分解させて得られるTiO−SiOガラス微粒子(スート)を堆積、成長させて、多孔質TiO−SiOガラス体を得、次いでガラス化温度以上まで加熱して多孔質TiO−SiOガラス体を緻密化し、透明TiO−SiOガラス体を得る方法である。スート法はその作り方により、MCVD法、OVD法、およびVAD法などがある。
合成時の反応温度が比較的低い、組成均一性に優れた硝材を得ることができるなどの観点から、TiO−SiOガラスを合成する方法としてはスート法が好ましい。特に合成時の反応温度が低いことから、SiClなどの塩素を含有する原料を使用して合成した場合、TiO−SiOガラス中の塩素濃度はスート法の方が直接法に比べて少なく、この点でもスート法が好ましい。
TiO−SiOガラスは、石英ガラスよりも小さい熱膨張係数を有する超低熱膨張材料として知られ、またガラス中のTiO含有量によって熱膨張係数を制御できるために、熱膨張係数が0に近いゼロ膨張ガラスが得られる。したがって、TiO−SiOガラスはEUVL用露光装置光学部材に用いる材料としての可能性がある。しかし、多孔質TiO−SiOガラス体を緻密化させTiO−SiOガラスを製造するスート法において、多孔質TiO−SiOガラス体は、高温にて還元性雰囲気に曝されると、還元反応が進行し、硝材中でTi還元型(Ti3+)を含む異物結晶の析出、またはTi3+量の増加がおこるため、透明なTiO−SiOガラスを得ることが困難であった。
米国特許出願公開第2002/157421号明細書
光学部品材料、精密測定用基準器等の精密部品材料および各種電子材料などや、EUVL用露光装置光学部材は、熱膨張係数がほぼゼロとなる温度領域が広く、透明であることが好ましいが、多孔質TiO−SiOガラス体を緻密化させTiO−SiOガラスを製造する方法において、多孔質TiO−SiOガラス体は、高温にて還元性雰囲気にさらされると、還元反応が進行し、硝材中でTi還元型(Ti3+)を含む異物結晶の析出、または、Ti3+量の増加がおこるため、透明なTiO−SiOガラスを得ることが困難であるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するTiOを含有するシリカガラスの製造方法を提供するものである。
態様1は、ガラス形成原料を火炎加水分解して得られるTiO−SiOガラス微粒子を基材に堆積、成長して多孔質TiO−SiOガラス体を形成する工程(多孔質ガラス体形成工程)と、多孔質TiO−SiOガラス体を、セラミックス製炉心管で構成される管状炉またはメタル炉にて、非還元性雰囲気下にて、1100〜1650℃の温度まで昇温して、多孔質TiO−SiO ガラス体から密度2.0〜2.3g/cmのTiO−SiO緻密体を得る工程(緻密化工程)と、TiO−SiO緻密体を、0.01MPa以上の気圧下にて、1400〜1700℃の温度まで昇温して、高透過率ガラス体を得る工程(ガラス化工程)と、高透過率ガラス体を、600℃を超える温度にて一定時間保持した後に500℃まで10℃/hr以下の平均降温速度で降温するアニール処理を行う工程、または、1200℃以上の高透過率ガラス体を500℃まで10℃/hr以下の平均降温速度で降温するアニール処理を行う工程(アニール工程)と、を含むTiOを含有するシリカガラスの製造方法を提供する。
態様2は、ガラス形成原料を火炎加水分解して得られるTiO −SiO ガラス微粒子を基材に堆積、成長して多孔質TiO −SiO ガラス体を形成する工程(多孔質ガラス体形成工程)と、多孔質TiO −SiO ガラス体を、セラミックス製炉心管で構成される管状炉またはメタル炉にて、非還元性雰囲気下にて、1100〜1650℃の温度まで昇温して、多孔質TiO −SiO から密度2.0〜2.3g/cm のTiO −SiO 緻密体を得る工程(緻密化工程)と、TiO −SiO 緻密体を、0.01MPa以上の気圧下にて、1400〜1700℃の温度まで昇温して、高透過率ガラス体を得る工程(ガラス化工程)と、高透過率ガラス体を軟化点以上の温度に加熱して所望の形状に成形し、成形ガラス体を得る工程(成形工程)と、成形ガラス体を、600℃を超える温度にて一定時間保持した後に500℃まで10℃/hr以下の平均降温速度で降温するアニール処理を行う工程、または、1200℃以上の成形ガラス体を500℃まで10℃/hr以下の平均降温速度で降温するアニール処理を行う工程(アニール工程)と、を含むTiOを含有するシリカガラスの製造方法を提供する。
態様3は、態様1または2において、製造されるTiO を含有するシリカガラスは、仮想温度が1100℃以下である、TiOを含有するシリカガラスの製造方法を提供する。
態様4は、態様1、2または3において、製造されるTiO を含有するシリカガラスは、0〜100℃での熱膨張係数が0±150ppb/℃である、TiOを含有するシリカガラスの製造方法を提供する。
態様5は、態様1〜4のいずれかに記載のTiO を含有するシリカガラスの製造方法により、TiO を含有するシリカガラスを得て、EUVリソグラフィに使用する露光装置光学材として用いる方法を提供する。
本発明によれば、熱膨張係数がほぼゼロとなる温度領域が広く、かつ透明性に優れる透明超低熱膨張ガラスを得ることができる。したがって、EUVLに使用される光学系を構成する部材の素材の製造方法としてきわめて好適である。また、低熱膨張性および透明性が厳しく要求される各種材料、例えば光学部品材料、大型反射鏡基板材料、精密測定用基準器等の精密部品材料および各種電子材料等に用いられる透明超低膨張ガラスの製造方法として好適である。
TiO−SiOガラスは、含有するTiO濃度により、熱膨張係数が変化することが知られており、室温付近ではTiOを約7質量%含むTiO−SiOガラスの熱膨張係数がほぼゼロとなる。
本発明のTiO−SiOガラスとはTiOを3〜10質量%含有するシリカガラスであることが好ましい。TiOの含有量が3質量%未満であるとゼロ膨張にならないおそれがあり、10質量%を超えると熱膨張係数が負となる可能性があるからである。TiO濃度は、より好ましくは5〜9質量%である。
本発明において内部透過率T400〜700は80%以上である。80%未満では可視光が吸収されやすく、顕微鏡や目視などの検査によって、泡や脈理などの内部欠点の有無を判別しにくくなるなど、検査や評価において不具合が生じる可能性がある。また、可視光を透過させて使用する部材の場合、使用により透過光強度が低下するため、部品の特性を損なう可能性がある。85%以上であることが好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
本発明において300〜700nmの波長域で厚さ1mmあたりの内部透過率(以下、内部透過率T300〜700という)は70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましくは、80%以上であることが特に好ましい。
本発明において内部透過率T300〜3000は70%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。70%未満では、レーザー干渉計を用いた測定機器などによる、均質性や表面平滑性を管理するための検査がしにくくなるなど、検査や評価において不具合が生じる可能性がある。また、可視光や赤外光を透過させて使用する部材の場合、透過光強度が低下するため、部品の特性を損なう可能性がある。
透過率は以下のように測定する。厚さ1mmの鏡面研磨されたガラスを分光光度計(日立製作所社製U−3500)を用いて測定することができる。厚さ1mmあたりの内部透過率の算出には、同じ程度の鏡面研磨を施した厚さの異なる試料、例えば、厚さ2mmの試料と1mmの試料の透過率を測定し、透過率を吸光度に変換後、厚さ2mmの試料の吸光度から厚さ1mmの試料の吸光度を引くことで、1mmあたりの吸光度を求め、再度透過率に変換することで厚さ1mmあたりの内部透過率とすることができる。
簡易的には、以下の方法を用いて内部透過率を算出する。石英ガラスの吸収のない波長、例えば2000nm付近の波長での、同じ程度の鏡面研磨を施した厚さ1mm程度の石英ガラスの透過率減少分を表面・裏面の反射損と考える。透過率減少分を吸光度に変換し、表面・裏面の反射損の吸光度とする。透過率測定波長域での厚さ1mmの測定試料の透過率を吸光度に変換し、厚さ1mm程度の石英ガラスの2000nm付近での吸光度を引く。吸光度の差を再度透過率に変換して内部透過率を求める。
本発明において、OH基濃度は600wtppm以下である。600wtppmを超えるとOH基に起因する吸収によって、近赤外域の波長帯における光透過率が低下し、T300〜3000が70%以下となるおそれがある。好ましくは400wtppm以下、より好ましくは200wtppm以下、特に好ましくは100wtppm以下である。
OH基濃度は以下のように測定する。赤外分光光度計による測定を行い、2.7μm波長での吸収ピークからOH基濃度を求める(J.P.Wiiliams et.al.、Ceramic Bulletin、55(5)、524、1976)。本法による検出限界は0.1wtppmである。
本発明において、Ti3+濃度は100wtppm以下である。発明者は、Ti3+濃度と着色、特に内部透過率T400〜700に関連があることを見出した。その結果に基づくと、Ti3+濃度が100wtppmを超えると茶色の着色が起こり、内部透過率T400〜700が低下し、透明性が要求される材料には不充分になるおそれがある。70wtppm以下であることが好ましく、50wtppm以下であることがより好ましく、20wtppm以下であることが特に好ましい。
Ti3+濃度は電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)測定により求めた。測定は次の条件で行った。
周波数 :9.44GHz付近(X−band)
出力 :4mW
変調磁場 :100KHz、0.2mT
測定温度 :室温
ESR種積分範囲:332〜368mT
感度校正 :一定量のMn2+/MgOのピーク高さにて実施。
本発明のガラスを測定した例を図1に示す。図1の縦軸は信号強度であり、横軸は磁場強度(mT)である。測定の結果、得られた信号(微分形)は、g=1.988、g=1.946、g=1.915の異方性を有する形状の信号であった。通常、ガラス中のTi3+は、g=1.9前後で観察されるので、これらをTi3+由来の信号と考え、Ti3+濃度は、二回積分後の強度を、濃度既知の標準試料の対応する2回積分後の強度と比較して求めた。
本発明において0〜100℃での熱膨張係数(以下、CTE0〜100という)は、0±150ppb/℃が好ましい。熱膨張係数の絶対値が150ppb/℃以上となると、EUVL用露光装置光学部材など極めて小さい熱膨張係数が要求される場合において、熱膨張が無視できなくなる。好ましくは0±100ppb/℃である。また同様に、−50〜150℃での熱膨張係数(以下、CTE−50〜150という)は0±200ppb/℃であることが好ましく、0±150ppb/℃であることがより好ましい。
また、EUVL用露光装置光学部材においては、22.0℃におけるガラスの平均熱膨張係数(以下、CTE22という)が0±30ppb/℃であることが好ましい。0±20ppb/℃であることがより好ましく、0±10ppb/℃であることがさらに好ましく、0±5ppb/℃であることが特に好ましい。
さらに、熱膨張係数がゼロに近い本発明のガラスにおいて、仮想温度を下げたり、Fを含有させたりすることによって、熱膨張係数が0±5ppb/℃となる温度幅が大きくなる。EUVL用露光装置光学材に用いる材料など、温度変化による熱膨張係数の変化が影響を及ぼす用途に用いられる場合は、熱膨張係数が0±5ppb/℃となる温度幅が、4.0℃以上であることが好ましく、4.5℃以上であることがより好ましい。熱膨張係数が0±5ppb/℃となる温度幅を大きくしたい場合は、5.0℃以上であることが好ましく、6.0℃以上であることが特に好ましい。
熱膨張係数は、例えばレーザー干渉式熱膨張計(ULVAC理工社製レーザー膨張計LIX−1)を用いて−150〜200℃の範囲で測定することができる。熱膨張係数の測定精度を上げるには、複数回測定し、熱膨張係数を平均化する方法が有効である。熱膨張係数が0±5ppb/℃となる温度幅は、測定によって得られた熱膨張係数の曲線から熱膨張係数が−5〜5ppb/℃となる温度の範囲を求め、導出することができる。
本発明において仮想温度は100℃以下が好ましい。発明者は、仮想温度とゼロ膨張の温度範囲の広さに関連があることを見出した。その結果に基づくと、仮想温度が100℃を超えるとゼロ膨張の温度範囲が狭く、EUVL用露光装置光学材に用いる材料には不充分になるおそれがある。100℃以下であることが好ましく、00℃以下であることがより好ましい
本発明における仮想温度を得るには、例えば、600〜1200℃の温度にて5時間以上保持した後、100℃/hr以下の平均降温速度で500℃以下まで降温する方法が効果的である。
仮想温度は以下のように測定する。鏡面研磨されたTiO−SiOガラスについて、吸収スペクトルを赤外分光計(Nikolet社製Magna760)を用いて取得する。この際、データ間隔は約0.5cm−1にし、吸収スペクトルは、64回スキャンさせた平均値を用いる。このようにして得られた赤外吸収スペクトルにおいて、約2260cm−1付近に観察されるピークがTiO−SiOガラスのSi−O−Si結合による伸縮振動の倍音に起因する。このピーク位置を用いて、仮想温度が既知で同組成のガラスにより検量線を作成し、仮想温度を求める。あるいは、表面の反射スペクトルを同様の赤外分光計を用いて、同様に測定する。このようにして得られた赤外反射スペクトルにおいて、約1120cm−1付近に観察されるピークがTiO−SiOガラスのSi−O−Si結合による伸縮振動に起因する。このピーク位置を用いて、仮想温度が既知で同組成のガラスにより検量線を作成し、仮想温度を求める。
本発明のTiO−SiOガラスはF(フッ素)を含有することができる。F濃度がガラスの構造緩和に影響を及ぼすことは以前から知られており(Journal of Applied Physics 91(8)、4886(2002))、これによればFにより構造緩和時間が促進され、仮想温度が低いガラス構造が実現しやすくなる(第1の効果)。よってTiO−SiOガラスに多量のFを含有させることは、仮想温度を低くして、ゼロ膨張の温度範囲を広げる効果がある。
しかしながら、Fを含有させることは、仮想温度を下げる以上にゼロ膨張の温度範囲を広げる効果(第2の効果)があると考えられる。
ゼロ膨張の温度範囲を広げる目的で本発明のTiO−SiOガラスにFを含有させる場合は、Fは100wtppm以上であることが好ましい。好ましくは200wtppm以上、さらに好ましくは500wtppm以上、特に好ましくは2000wtppm以上、最も好ましくは5000wtppm以上である。
また、F以外のハロゲンを含有させることも、Fと同様にTiO−SiOガラスについて、−50〜150℃の温度域における熱膨張係数の温度変化を小さくし、ゼロ膨張を示す温度範囲を広げる効果があると思われる。
Fを含有させたTiO−SiOガラスを上述のスート法で製造するには、以下の2つの方法を用いることができる。
第1の方法は、以下の通りである。ガラス形成原料となるSi前駆体とTi前駆体を火炎加水分解もしくは熱分解させて得られるTiO−SiOガラス微粒子(スート)を堆積、成長させて、多孔質TiO−SiOガラス体を得る。次いで、F含有雰囲気にて処理する。その後、ガラス化温度以上まで加熱してFを含有させたTiO−SiOガラス体を得る。
第2の方法は、以下の通りである。ガラス形成原料となるSi前駆体とTi前駆体にFを含むものを用い、または、Si前駆体とTi前駆体をF含有雰囲気にて火炎加水分解もしくは熱分解させ、Fを含有させた多孔質TiO−SiOガラス体を得る。次いで、Fを含有させたTiO−SiOガラス体を得る。
F濃度の測定法は以下の通りである。ガラスを無水炭酸ナトリウムにより加熱融解し、得られた融液に蒸留水および塩酸を融液に対する体積比でそれぞれ1ずつ加えて試料液を調整する。試料液の起電力をFイオン選択性電極および比較電極としてラジオメータトレーディング社製No.945−220およびNo.945−468をそれぞれ用いてラジオメータにより測定し、Fイオン標準溶液を用いてあらかじめ作成した検量線に基づいて、F含有量を求める(日本化学会誌、1972(2)、350)。なお本法による検出限界は10wtppmである。
本発明のガラスを製造するためには、以下の製法が採用できる。
(a)多孔質ガラス体形成工程
ガラス形成原料であるSi前駆体およびTi前駆体を火炎加水分解させて得られるTiO−SiOガラス微粒子を基材に堆積、成長させて多孔質TiO−SiOガラス体を形成させる。ガラス形成原料としては、ガス化可能な原料であれば特に限定されない。Si前駆体としては、SiCl、SiHCl、SiHCl、SiHClなどの塩化物、SiF、SiHF、SiHなどのフッ化物、SiBr、SiHBrなどの臭化物、SiIなどのヨウ化物といったハロゲン化ケイ素化合物、またRSi(OR)4−n(ここにRは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜3の整数)で示されるアルコキシシランが挙げらる。また、Ti前駆体としては、TiCl、TiBrなどのハロゲン化チタン化合物、またRTi(OR)4−n(ここにRは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜3の整数)で示されるアルコキシチタンが挙げられる。また、Si前駆体およびTi前駆体として、シリコンチタンダブルアルコキシドなどのSiとTiの化合物を使用することもできる。
前記基材としては石英ガラス製の種棒(例えば特公昭63−24973号公報記載の種棒)を使用できる。また棒状に限らず板状の基材を使用してもよい。また、Fを含有させる場合は、多孔質ガラス体形成工程の次に以下の工程を入れることができる。
(b)F含有工程
多孔質ガラス体形成工程で得られた多孔質TiO−SiOガラス体を酸素およびFを含む雰囲気下にて保持し、Fを含有した多孔質TiO−SiOガラス体を得る。酸素およびFを含む雰囲気としては、含Fガス(例えばSiF、SFCHF、CF、C、C、F)を0.1〜50体積%含有し、かつ酸素を50〜99.9体積%含有するガス雰囲気が好ましい。
これらの雰囲気下、1気圧程度の圧力で数十分〜数時間の処理を、室温もしくは1300℃以下の高温で行うことが好ましい。また、同じFドープ量を得る場合において処理温度を下げたい時は、処理時間を延ばし5〜数十時間保持するようにすればよい。温度を上げすぎると多孔質ガラス体の緻密化が進行し、多孔質ガラス体内部にまでFを含有させることが困難になる、あるいは、ガラス化後に泡を生成する可能性があるので好ましくない。1250℃以下であることがより好ましく、1200℃以下であることが特に好ましい。
例えば、F含有雰囲気としてSiFを用いる場合、多孔質ガラス体にドープさせたいF量に合わせ、以下のように処理温度、処理時間を設定すればよい。
Fドープ量を1000wtppm未満としたい場合は、SiFを1〜10体積%、酸素を90〜99%含むガス雰囲気にて、室温で2〜数十時間保持すればよい。Fドープ量を1000〜5000wtppmとしたい場合は、SiFを2〜10体積%、酸素を90〜98体積%含むガス雰囲気にて、500〜1000℃で2〜数十時間保持すればよい。Fドープ量を5000wtppm〜10000wtppmとしたい場合は、SiFを5〜数十体積%、酸素を数十〜95体積%含むガス雰囲気にて、1000〜1300℃で2〜数十時間保持すればよい。
さらにF含有工程においては、多孔質ガラス体へ均一に短時間でFをドープできることから、多孔質ガラス体を減圧下に置いた後、所定の比率の含Fガスおよび酸素を常圧になるまで導入し、酸素およびFを含む雰囲気とすることが好ましい。
(c)酸素処理工程
多孔質ガラス体形成工程で得られた多孔質TiO−SiOガラス体、またはF含有工程で得られたFを含有した多孔質TiO−SiOガラス体を15体積%以上の酸素を含有する雰囲気下にて保持し、酸素処理を施した多孔質TiO−SiOガラス体を得る。このとき、透過率を改善させるためには酸素濃度が高い方が好ましく、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。これらの雰囲気下、1気圧程度の圧力で数十分〜数十時間の酸素処理を、高温で行うことが好ましい。
処理温度を上げ過ぎると多孔質ガラス体の緻密化が進行し、ガラス化後に泡を生成する可能性があるので、処理温度を上げ過ぎることは好ましくない。また、処理温度が低いと透過率を改善する効果が低い。このため、処理は500℃以上1300℃以下で行うことが好ましく、800℃以上1250℃以下で行うことがより好ましく、900℃以上1200℃以下で行うことが特に好ましい。
特にF含有工程を行った場合において、酸素処理工程を行わずに緻密化工程でガラス化したときは、ガラスに着色が生じる。したがって、酸素処理工程を省略せずに行うことが好ましい。また、多孔質ガラス体形成工程の後、F含有工程と酸素処理工程を行わずに緻密化工程を行うことができるが、より透過率を上げたい場合は、酸素処理工程を行うことが好ましい。
(d)緻密化工程
多孔質ガラス体形成工程で得られた多孔質TiO−SiOガラス体を緻密化温度まで昇温して、実質的に泡や気泡を含有しないTiO−SiO緻密体を得る。本明細書では、緻密化温度とは、光学顕微鏡で空隙が確認できなくなるまで多孔質ガラス体を緻密化できる温度をいう。緻密化温度は、1100〜1650℃であることが好ましく、1200〜1550℃であることがより好ましく、1300〜1500℃であることが特に好ましい。
緻密化工程は、雰囲気置換できる電気炉で行うことができる。ただし、炉内にカーボンを多く含む場合、例えばカーボン炉を使用した場合やカーボンケースに入れて処理を行う場合では、多孔質TiO−SiOガラス体の内部まで還元反応が進行する。その結果、硝材中でTi還元型(Ti3+)を含む異物結晶の析出、または、Ti3+量の増加がおこり、その後、透明硝子化処理を行っても、異物結晶が消えない、または、Ti3+が残存する。このため、高透過率ガラス体を得ることができない。したがって、緻密化工程では、カーボン炉以外のアルミナやSiC等のセラミックス製炉心管で構成される管状炉またはメタル炉等を用いる。
緻密化工程を行う雰囲気は、ヘリウムなどの不活性ガスを60〜100%含有する非還元性雰囲気が好ましい。圧力については、減圧または常圧であればよい。特にヘリウムガスを用いた場合は常圧でも緻密化工程を行うことができる。ヘリウムはガラス体中への拡散が容易であるため、ガラス体中に気泡として残るおそれが少ないからである。また、減圧の場合は0.01MPa以下が好ましい。なお、本明細書における「Pa」は、ゲージ圧ではなく絶対圧の意である。
また、炉から発生するガスも含め、雰囲気は非還元性であることが必要である。
緻密化工程で得られるTiO−SiO緻密体は、2.0g/cm〜2.3g/cmの密度であることが好ましく、2.1g/cm〜2.3g/cmであることがより好ましい。
(e)ガラス化工程
緻密化工程で得られたTiO−SiO緻密体をガラス化温度まで昇温して、実質的に結晶成分を含有しない高透過率ガラス体を得る。ガラス化温度は、1500〜1900℃であることが好ましい。1500℃以下では、SiOの結晶相であるクリストバライトの成長またはTiOの結晶相であるルチルもしくはアナターゼの成長が起こる可能性があり、透明にならない。1900℃以上では、SiOの昇華やTiOの還元が生じる可能性があるからである。1550〜1850℃であることがより好ましく、1600〜1800℃であることが特に好ましい。
また、圧力としては、0.01MPa以上が好ましい。0.01MPa以下では、1650℃以上にガラスを加熱した場合、ガラスの揮発が起こるからである。0.03MPa以上がより好ましく、0.05MPa以上が特に好ましく、大気圧以上が更に好ましい。
雰囲気としては特に限定されない。また、緻密化工程と同じ雰囲気、すなわち、0.01MPa以上のヘリウムなどの不活性ガスを60〜100%含有する雰囲気で1650℃以下の温度まで昇温する場合は、緻密化工程とガラス化工程を同時に行うことができる。
ガラス化工程に用いる炉は、ガラス化温度まで昇温出来る炉であれば、特に限定されない。具体的にはカーボン炉を用いることが好ましい。カーボン炉は、1650℃以上の高温でも使用でき、カーボン炉をガラス化工程に用いても、TiO−SiO緻密体の場合はカーボン炉内における還元性反応はTiO−SiO緻密体表面のみにとどまる。したがって、還元性反応は、TiO−SiO緻密体内部までは進行しない。このため、高透過率ガラス体を得ることができる。
本発明のガラスを成形するためには、さらに以下の製法が採用できる。
(f)成形工程
ガラス化工程で得られた高透過率ガラス体をカーボン製型枠に入れ、カーボン炉において、成形温度まで昇温し、所望の形状に成形された成形ガラス体を得る。成形温度は、1500〜1900℃であることが好ましく、1550〜1850℃であることがより好ましく、1600〜1800℃であることが特に好ましい。1650〜1780℃であることが更に好ましい。
また、緻密化工程で得られたTiO−SiO緻密体は、成形工程でガラス化と成形を同時に行うこともできる。なお、雰囲気は特に限定されない。圧力としては、0.01MPa以上が好ましい。
本発明のガラスの徐冷、仮想温度を制御するためには、以下の製法が採用できる。
(g)アニール工程
ガラス化工程で得られた高透過率ガラス体、あるいは成形工程で得られた成形ガラス体を、600〜1200℃の温度にて5時間以上保持した後、10℃/hr以下の平均降温速度で500℃以下の温度まで降温するアニール処理を行い、ガラスの仮想温度を制御する。あるいは、ガラス化工程や成形工程における1200℃以上の温度からの降温過程において、得られる高透過率ガラス体や成形ガラス体を1200℃〜500℃まで10℃/hr以下の平均降温速度で降温するアニール処理を行い、ガラスの仮想温度を制御する。また、500℃以下の温度まで降温した後は放冷できる。なお、雰囲気は特に限定されない。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。ここで、例1、4は実施例、例2、3は比較例である。
[例1]
TiO−SiOガラスのガラス形成原料であるTiClとSiClを、それぞれガス化させた後に混合させ、酸水素火炎中で加熱加水分解(火炎加水分解)させることで得られるTiO−SiOガラス微粒子を基材に堆積・成長させて、直径約80mm、長さ約100mmの多孔質TiO−SiOガラス体を形成する(多孔質ガラス体形成工程)。
得られた多孔質TiO−SiOガラス体はそのままではハンドリングしにくいので、基材に堆積させたままの状態で、大気中1200℃にて4時間保持した後、基材から外す。
その後、メタル炉にて、He100%雰囲気下、1450℃で4時間保持して、密度2.2g/cmのTiO−SiO緻密体を得る(緻密化工程)。
得られたTiO−SiO緻密体を、カーボン炉にて、大気圧下He100%雰囲気下1650℃で4時間保持して、高透過率ガラス体を得る(ガラス化工程)。
得られた高透過率ガラス体を、カーボン型に入れて1700℃に加熱してブロック形状に成形し、成形ガラス体を得る(成形工程)。
得られた成形ガラス体を1200℃にて20時間保持した後、500℃まで5℃/hrで降温し、その後室温まで放冷する(アニール工程)。
ガラス体中でのTi還元型(Ti3+)を含む異物結晶の析出、またはTi3+量の増加がないため、内部透過率T400〜700は80%以上の良好なガラス体を得ることができる。
[例2]
TiO−SiOガラスのガラス形成原料であるTiClとSiClを、それぞれガス化させた後に混合させ、酸水素火炎中で加熱加水分解(火炎加水分解)させることで得られるTiO−SiOガラス微粒子を基材に堆積・成長させて、直径約250mm、長さ約1000mmの多孔質TiO−SiOガラス体を形成する。(多孔質ガラス体形成工程)。
得られた多孔質TiO−SiOガラス体はそのままではハンドリングしにくいので、基材に堆積させたままの状態で、大気中1200℃にて4時間保持した後、基材から外す。
その後、カーボン炉にて、圧力0.02MPa、He100%雰囲気下1450℃で4時間保持して、TiO−SiO緻密体を得る。(緻密化工程)。
得られたTiO−SiO緻密体は、内部まで還元反応が進行し、硝材中にTi還元型(Ti3+)を含む異物結晶が多く析出している、または、Ti3+量が多くなっている。
得られたTiO−SiO緻密体を、カーボン炉にて、大気圧、He100%雰囲気下1700℃で4時間保持して、ガラス体を得る(ガラス化工程)。
得られたガラス体を、1200℃〜500℃まで100℃/hrで降温し、その後室温まで放冷する(アニール工程)。
ガラス化工程を経ても、ガラス体中でTi還元型(Ti3+)を含む異物結晶が多く析出している、または、Ti3+量が多くなっており、高透過率ガラス体を得ることができない。
[例3]
TiO−SiOガラスのガラス形成原料であるTiClとSiClを、それぞれガス化させた後に混合させ、酸水素火炎中で加熱加水分解(火炎加水分解)させることで得られるTiO−SiOガラス微粒子を基材に堆積・成長させて、直径約80mm、長さ約100mmの多孔質TiO−SiOガラス体を形成する(多孔質ガラス体形成工程)。
得られた多孔質TiO−SiOガラス体はそのままではハンドリングしにくいので、基材に堆積させたままの状態で、大気中1200℃にて4時間保持したのち、基材から外す。
メタル炉にて、He100%雰囲気下、1400℃で5時間保持して、密度2.2g/cmのTiO−SiO緻密体を得る(緻密化工程)。
得られたTiO−SiO緻密体を、カーボン炉にて、圧力0.0001MPa、He100%雰囲気下1800℃で4時間保持して(ガラス化工程、900℃にて100時間保持した後、500℃まで5℃/hrで降温し、その後室温まで放冷する(アニール工程)。ガラス化工程での圧力が低いため、ガラスの揮発が起こり、ガラス体を得ることはできない。
[例4]
TiO−SiOガラスのガラス形成原料であるTiClとSiClを、それぞれガス化させた後に混合させ、酸水素火炎中で加熱加水分解(火炎加水分解)させることで得られるTiO−SiOガラス微粒子を基材に堆積・成長させて、直径約80mm、長さ約100mmの多孔質TiO−SiOガラス体を形成する(多孔質ガラス体形成工程)。
得られた多孔質TiO−SiOガラス体はそのままではハンドリングしにくいので、基材に堆積させたままの状態で、大気中1200℃にて4時間保持した後、基材から外す。
その後、多孔質TiO−SiOガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、室温にて10Torr(1333Pa)まで減圧した後、O/SiF=90/10(体積比)の混合ガスを導入しながら、この雰囲気にて1000℃、常圧下4時間保持し、Fドープを行う(F含有工程)。
さらにO100%雰囲気下にて1050℃まで昇温し、常圧下30時間保持を行う(酸素処理工程)。
その後、メタル炉にて、He100%雰囲気下、1450℃で4時間保持して、Fを含有したTiO−SiO緻密体を得る(緻密化工程)。
得られたFを含有したTiO−SiO緻密体を、カーボン炉にて、大気圧下、He100%雰囲気下大気中1650℃で4時間保持して、高透過率ガラス体を得る(ガラス化工程)。
得られた高透過率ガラス体を、カーボン型に入れて1700℃に加熱してブロック形状に成形し、成形ガラス体を得る(成形工程)。
得られた成形ガラス体を1000℃にて20時間保持した後、500℃まで5℃/hrで降温し、その後室温まで放冷する(アニール工程)。
上記例1、4のガラスの厚さ1mmあたりの内部透過率(200〜3200nm)を図2、3に示す。また、例1、4のガラスの各物性の測定結果を表1および表2に示す。なお、評価方法については、それぞれ前述の測定方法に従って行う。
Figure 0004513486
Figure 0004513486
本発明のTiOを含有するシリカガラスの製造方法は、EUVLに使用される光学系を構成する部材の素材の製造方法としてきわめて好適に利用できる。
本発明のガラスの1例における電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)測定結果を示す図。 本発明の例1におけるガラスの厚さ1mmあたりの内部透過率(200〜3200nm)を示す図。 本発明の例4におけるガラスの厚さ1mmあたりの内部透過率(200〜3200nm)を示す図。

Claims (5)

  1. ガラス形成原料を火炎加水分解して得られるTiO−SiOガラス微粒子を基材に堆積、成長して多孔質TiO−SiOガラス体を形成する工程(多孔質ガラス体形成工程)と、
    多孔質TiO−SiOガラス体を、セラミックス製炉心管で構成される管状炉またはメタル炉にて、非還元性雰囲気下にて、1100〜1650℃の温度まで昇温して、多孔質TiO−SiO ガラス体から密度2.0〜2.3g/cmのTiO−SiO緻密体を得る工程(緻密化工程)と、
    TiO−SiO緻密体を、0.01MPa以上の気圧下にて、1400〜1700℃の温度まで昇温して、高透過率ガラス体を得る工程(ガラス化工程)と、
    高透過率ガラス体を、600℃を超える温度にて一定時間保持した後に500℃まで10℃/hr以下の平均降温速度で降温するアニール処理を行う工程、または、1200℃以上の高透過率ガラス体を500℃まで10℃/hr以下の平均降温速度で降温するアニール処理を行う工程(アニール工程)と、
    を含むTiOを含有するシリカガラスの製造方法。
  2. ガラス形成原料を火炎加水分解して得られるTiO −SiO ガラス微粒子を基材に堆積、成長して多孔質TiO −SiO ガラス体を形成する工程(多孔質ガラス体形成工程)と、
    多孔質TiO −SiO ガラス体を、セラミックス製炉心管で構成される管状炉またはメタル炉にて、非還元性雰囲気下にて、1100〜1650℃の温度まで昇温して、多孔質TiO −SiO ガラス体から密度2.0〜2.3g/cm のTiO −SiO 緻密体を得る工程(緻密化工程)と、
    TiO −SiO 緻密体を、0.01MPa以上の気圧下にて、1400〜1700℃の温度まで昇温して、高透過率ガラス体を得る工程(ガラス化工程)と、
    高透過率ガラス体を、軟化点以上の温度に加熱して所望の形状に成形し、成形ガラス体を得る工程(成形工程)と、
    成形ガラス体を、600℃を超える温度にて一定時間保持した後に500℃まで10℃/hr以下の平均降温速度で降温するアニール処理を行う工程、または、1200℃以上の成形ガラス体を500℃まで10℃/hr以下の平均降温速度で降温するアニール処理を行う工程(アニール工程)と、
    を含むTiOを含有するシリカガラスの製造方法。
  3. 製造されるTiO を含有するシリカガラスは、仮想温度が1100℃以下である、請求項1または2に記載のTiO を含有するシリカガラスの製造方法。
  4. 製造されるTiO を含有するシリカガラスは、0〜100℃での熱膨張係数が0±150ppb/℃である、請求項1〜3のいずれかに記載のTiO を含有するシリカガラスの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のTiO を含有するシリカガラスの製造方法により、TiO を含有するシリカガラスを得て、EUVリソグラフィに使用する露光装置光学材として用いる方法。
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