JP4512747B2 - レーザープラズマから輻射光を発生させる方法、該方法を用いたレーザープラズマ輻射光発生装置 - Google Patents
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なお、微粒子の材料は、レーザー照射によりプラズマが発生するものであればよく、特に限定されない。
テープ化あるいはワイヤ化できる材料であっても、テープあるいはワイヤの長さは限られており、そのため、連続照射できる照射時間が限られているが、液体ジェット化することで、実用上無限時間の供給が可能になる。
ところが、プラズマ化させたい元素を含む液体ジェットあるいは液滴を用いるプラズマ光源では、発光効率が低いという問題がある。プラズマ化させたい元素を含む材料をターゲットというが、液体ジェットあるいは液滴をターゲットとして用いる上述のプラズマ光源は発光効率が低い。この理由は、プラズマ生成するためのパルスレーザーが、ターゲットである溶媒の表面から数μm程度で強く吸収され、それよりも内部に存在するプラズマ化したい元素へのエネルギー注入が抑制されること、および、プラズマ化される元素からの輻射が、それを取り囲む溶媒に吸収されるためである、と考えられる。
この技術は、多数の超微粒子を凝集させて粒子集合体が作成出来る効果だけでなく、最大の効果は、液滴の飛行経路が安定化できることである。
本発明は、簡便な調整で動作する簡易な装置により、室温では固体で存在する材料を長時間連続に供給する手段を備えたレーザープラズマから輻射光を発生させる方法、該方法を用いたレーザープラズマ輻射光発生装置を提供することを目的とする。
(1)
レーザープラズマから輻射光を発生させる方法において、
微粒子を含む溶液をノズルから噴出させて液体ジェットあるいは液滴を発生させ、その液体ジェットあるいは液滴にパルスレーザーを所定照射強度で照射して溶媒を加熱蒸発し、続けて0.1μs以上で1ms以下の間の遅延時間後に前記加熱された液体ジェットあるいは液滴に別のパルスレーザーを照射しプラズマを発生させることを特徴とする。
(2)
上記(1)記載のレーザープラズマから輻射光を発生させる方法において、
前記所定照射強度は、液滴溶媒を蒸発させるが、微粒子を分解しない強度としたことを特徴とする。
上記(1)又は(2)記載のレーザープラズマから輻射光を発生させる方法において、前記遅延時間は、溶媒蒸気は十分に低密度になっているが微粒子集団の密度は低下しておらず、高効率輻射が得られるプラズマ生成が出来る時間としたことを特徴とする。
(4)
レーザープラズマ輻射光発生装置において、
所定空間内にノズルから微粒子を含む溶液を噴出させる液滴発生装置と、ノズルから噴出される液体ジェットあるいは液滴を所定照射強度で照射して加熱する加熱用パルスレーザー照射装置と、加熱用パルスレーザー照射から0.1μs以上で1ms以下の間の遅延時間後に前記加熱された液体ジェットあるいは液滴を照射しプラズマ化するプラズマ生成用パルスレーザー照射装置と、それらの装置を制御する制御装置から構成されることを特徴とする。
(5)
上記(4)記載のレーザープラズマ輻射光発生装置において、
前記所定照射強度は、液滴を蒸発させるが、微粒子を分解しない強度としたことを特徴とする。
上記(4)又は(5)記載のレーザープラズマ輻射光発生装置において、
前記遅延時間は、溶媒蒸気は十分に低密度になっているが微粒子集団の密度は低下しておらず、高効率輻射が得られるプラズマ生成が出来る時間としたことを特徴とする。
(7)
上記(4)乃至(6)のいずれか1項記載のレーザープラズマ輻射光発生装置であって、
前記所定空間は隔壁を設けてプラズマ生成空間と輻射線利用空間に分離し、両空間を結ぶ開口は、プラズマが生成される場所に近接して、50mm以下で1mm以上の間の距離に設置され、5mm以下で0.1mm以上の間の口径の開口を有し、その開口を通してプラズマから発生する輻射線を輻射線利用空間に導くことができるように構成したことを特徴とする。
Cd・(1/2)・ρw・v2・(pd2/4) x (D/2v) = (pd3/6)ρpV
となる。この関係式から、突沸後の微粒子の速度Vは、
V= 3/8Cd・(ρw/ρp)(D/d)v
になる。
(D/d)<1,000
微粒子の拡散速度より十分に速い速度で溶媒蒸気が拡散する。例えば、液滴径が300μmで、内部に含まれる微粒子の径が10μmであれば、蒸気が300m/secで膨張するとき、その膨張に引きずられて微粒子も拡散運動を開始するが、拡散速度は1m/sec程度と遅い。
例えば、直径300μmの液滴の溶媒蒸気が300m/secの速度で膨張するとき、膨張開始から10μs後には半径3mmまで膨張することになる。すると、密度は1/203=1/8,000になり、蒸気によるレーザー光の減衰はなくなり微粒子への効率的なエネルギー吸収が行われるとともに、プラズマ化された微粒子からの輻射の蒸気による吸収も大きくなく、効率的な輻射線を得ることが出来る。一方、上述の例では、微粒子の拡散速度は1m/secであり、10μsの間の拡散距離は10μmに過ぎず、初期径300μmに比べて小さいので微粒子集団の密度に大きな変化はない。
微粒子径が小さいと拡散速度が大きくなるので、微粒子集団の密度低下速度が大きくなり、遅延時間は大きくできない。また、微粒子集団の数密度が低いと、僅かの拡散でも顕著なプラズマの発光強度の低下が生じるので、遅延時間は大きくできない。液滴径が小さく例えば10μmであれば、1μsの膨張で十分に低密度化するので、遅延時間は1μsにできる。微粒子の大きさが10−20nmであれば、その搬送に、直径1μmの液滴が利用できるので、その際は遅延時間を0.1μsにできる。
第一のレーザーの照射強度の下限は、発生できるパルス幅で決まる。水の気化熱は2.3kJ/gであるから、直径300μmの水液滴を全部気化させるには、2.3kJ x (p/6)x0.033 = 33mJ必要である。パルス幅が10nsにしか長くできない時は、照射強度は4.6E9 W/cm2 になり、微粒子表面がプラズマ化する。もしもパルス幅が1μsに出来れば、照射強度は33mJ/(1μs x (p/4)x(0.03cm)2 )=4.6E7 W/cm2 になる。この程度の低照射強度では、微粒子表面がプラズマ化することはなく、もっぱら表面に接する水の気化が生じる。
もしも、液滴の蒸発が穏やかで、内部に含まれる微粒子の拡散速度が十分遅く、加熱時間を100μsにしても微粒子の密度が低下しない場合は、第一のレーザーのパルス幅を100μsにすることも出来る。このときは、プラズマ生成用の第2のレーザーの照射は、第一のレーザーの立ち上がりから100μs以上遅らせることが出来る。液滴は5m/sec程度の速度で落下するので、100μsの加熱時間の間に0.5mm程度落下することになるので、液滴を追尾して第2のレーザー照射を行うことも必要になる。
固体ターゲットを用いてプラズマ生成を行うなどの従来技術に於いて、主パルス照射の前に前置パルスパルス照射を行うことで、輻射パワーが増大することが知られている。この従来技術に於ける前置パルスは、急峻な密度勾配のターゲットではプラズマ生成効率が低いので、予め、なだらかな密度分布のプラズマを生成することが目的である。前置パルスの照射でプラズマを生成すると、プラズマは1E7cm/sec程度の膨張をするので、プラズマ生成から数ns後にはプラズマの先頭は数百μm膨張し、大きく密度低下する。プラズマの膨張の間、元の固体表面から物質が供給され続けるので、元の固体表面近傍では、ターゲット材料が、固体密度の1/100から1/1000の比較的高密度で密度勾配が数十μmの分布になる。元の固体表面からの物質供給量は照射強度に大きく依存するので、十分に高い密度での緩やかな密度勾配を得るために、照射強度は主パルスの1/100から1/10程度にすることが一般的である。また、元の固体表面からの物質供給持続時間は長くはないので、遅延時間を長くすると、密度低下が大きくなる。このため、前置パルスの照射は、主パルス照射の数ns程度前に行われることが多い。
一方、本発明に於ける第一のレーザーは、微粒子を取り囲む液滴溶媒の除去が目的であり、微粒子表面をプラズマ化しないことが望ましく、照射強度は場合によって1E10 W/cm2程度になることもあるが好ましくは1E8 W/cm2以下で行い、また、蒸気の拡散を待つために、遅延時間は100ns以上、場合によっては数十μsと長くする。
液滴蒸発空間9を画成するケーシング(図示省略)に、ノズル1を備えた液滴発生装置21と、加熱用パルスレーザー発生装置22と、プラズマ生成用パルスレーザー照射装置23と、液滴発生装置21と加熱用パルスレーザー発生装置22とプラズマ生成用パルスレーザー照射装置23を制御する制御装置24を備える。
尚、図示の都合上パルスレーザー装置22と23が異なる場所2と7を照射する図になっているが、所定の遅延時間内での液滴の移動距離は大きくないので、殆どの場合は、ほぼ同一場所を照射することになる。
液滴蒸発空間9内に隔壁11を設け、輻射線利用空間10を形成する。プラズマ7は液滴蒸発空間9内で発生させ、プラズマ7からの輻射8が隔壁11の開口12を通過し、隔壁11内の輻射線利用空間10に及ぶ。
制御装置24は、以下に説明するように各装置21、22、23を制御し、レーザープラズマ輻射光発生装置を所期の機能を奏するように制御する。レーザープラズマ輻射光発生装置の以下の動作および機能の説明は、制御装置24の制御下で行われる。
図示されていないタンクから直径10μmの窒化ボロン(BN)微粒子を混入した水をノズル1から噴出させる。図示されていないピエゾ素子を用いてノズル1を上下に振動させると、比較的安定に液滴2が生成される。
(1)液滴2に、パルス幅10ns程度、パルスエネルギー20mJ程度の波長1μmのYAGレーザーパルス3を照射すると、
(2)溶媒である水が蒸気化4し、高速度で蒸発する。蒸気4が膨張する際の流体抵抗により液滴内の多数の微粒子5も拡散を始めるが、微粒子5の拡散速度は蒸気の拡散速度よりも小さいので、水蒸気は大きく膨張し、後に微粒子が残された状態になる。
膨張して密度が低くなった水蒸気4にはレーザー光6は吸収されず、後に残された密度が高いままの微粒子集団5が加熱されてプラズマ7が生成され、強力な輻射線8が放射される。遅延時間が長すぎると、拡散により微粒子集団5の密度も低下し、レーザー光6の微粒子生成プラズマによる吸収率が低下し、輻射線8の強度が低下する。
液滴を蒸発させることに依るEUV光の増倍率は、4倍程度を期待して実験を行った。図5に示した実験での増倍率が2に止まったのは、最初の期待が正しくなかった可能性もあるが、蒸発が不十分であった可能性もある。液滴蒸発用レーザー3にパルス幅10nsの単一パルスを用いたが、複数のパルス列あるいはマイクロ秒あるいはそれ以上の長パルス照射を行えばより十分な溶媒蒸発にできる。
空間10とは別の空間14を設け、プラズマ光源7からの輻射線8が透過する厚さ100nmの窒化シリコンなどの極薄膜窓13を用いて両空間の間を真空シールすれば、超高真空空間14での輻射線8の利用が可能になる。EUV光に対する高い透過率を確保するために極薄膜窓13は極めて薄くて脆弱であるので、数百Paの低真空の空間9との分離に極薄膜窓13を利用すると頻繁な破損が予想されるが、1Pa以下の空間10との真空分離用に使用する場合には、極薄膜窓13が破損される確率をほぼゼロにできる。
2 微粒子を含む液滴
3 溶媒蒸発用レーザー
4 高速で拡散する水蒸気
5 ゆっくりと拡散する微粒子集団
6 プラズマ生成用レーザー
7 生成されたプラズマ
8 プラズマから発生する輻射
9 低真空の液滴蒸発空間
10 EUV利用空間
11 液滴蒸発空間とEUV利用空間を分離する壁
12 EUV透過のための開口
13 EUVを透過する極薄膜窓
14 極薄膜窓で真空シールされた超高真空空間
21 液滴発生装置
22 加熱用パルスレーザー照射装置
23 プラズマ生成用パルスレーザー照射装置
24 制御装置
Claims (7)
- 微粒子を含む溶液をノズルから噴出させて液体ジェットあるいは液滴を発生させ、その液体ジェットあるいは液滴にパルスレーザーを所定照射強度で照射して溶媒を加熱蒸発し、続けて0.1μs以上で1ms以下の間の遅延時間後に前記加熱された液体ジェットあるいは液滴に別のパルスレーザーを照射しプラズマを発生させることを特徴とするレーザープラズマから輻射光を発生させる方法。
- 前記所定照射強度は、液滴を蒸発させるが、微粒子を分解しない強度としたことを特徴とする請求項1記載のレーザープラズマから輻射光を発生させる方法。
- 前記遅延時間は、溶媒蒸気は十分に低密度になっているが微粒子集団の密度は低下しておらず、高効率輻射が得られるプラズマ生成が出来る時間としたことを特徴とする請求項1又は2記載のレーザープラズマから輻射光を発生させる方法。
- 所定空間内にノズルから微粒子を含む溶液を噴出させる液滴発生装置と、ノズルから噴出される液体ジェットあるいは液滴を所定照射強度で照射して加熱する加熱用パルスレーザー照射装置と、加熱用パルスレーザー照射から0.1μs以上で1ms以下の間の遅延時間後に前記加熱された液体ジェットあるいは液滴を照射しプラズマ化するプラズマ生成用パルスレーザー照射装置と、それらの装置を制御する制御装置から構成されることを特徴とするレーザープラズマ輻射光発生装置。
- 前記所定照射強度は、液滴を蒸発させるが、微粒子を分解しない強度としたことを特徴とする請求項4記載のレーザープラズマ輻射光発生装置。
- 前記遅延時間は、溶媒蒸気は十分に低密度になっているが微粒子集団の密度は低下しておらず、高効率輻射が得られるプラズマ生成が出来る時間としたことを特徴とする請求項4又は5記載のレーザープラズマ輻射光発生装置。
- 上記請求項4乃至6のいずれか1項記載のレーザープラズマ輻射光発生装置であって、前記所定空間は隔壁を設けてプラズマ生成空間と輻射線利用空間に分離し、両空間を結ぶ開口は、プラズマが生成される場所に近接して、50mm以下で1mm以上の間の距離に設置され、5mm以下で0.1mm以上の間の口径の開口を有し、その開口を通してプラズマから発生する輻射線を輻射線利用空間に導くことができるように構成したことを特徴とするレーザープラズマ輻射光発生装置。
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