JP4511974B2 - 製版方法、版胴、印刷機およびその制御方法 - Google Patents
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Description
この円筒版胴には、レーザ等の書込み装置によって所望の印刷パターンに対応した書込みパターンが書き込まれる。この製版の工程を模式的に示したものが図7である。
同図に示すように、円筒版胴100は、その中心軸線L1周りにモータ104によって回転させられる。回転角度はモータ104に取り付けられたエンコーダ104aの出力によって制御される。この円筒版胴100の中心軸線L1と平行な水平方向L2に往復動するレーザヘッド101によって、書込みパターン103が書き込まれる。レーザヘッド101には、複数のレーザ出射口が水平方向に並べられて設けられている。
円筒版胴100の回転角θとレーザヘッド101の水平方向変位は、制御部105によって同期されている。円筒版胴100に書き込まれる書込みパターン103は、図示しないコンピュータから制御装置105に送られる設計パターンに基づいて形成される。
上記構成の書込み装置は、次のように動作する。
円筒版胴100を所定角速度で回転させる。レーザヘッド101を所定位置で停止させたまま、エンコーダ104aによって得られる円筒版胴100の角度位置に対応させて、レーザ出射口からレーザを出射させ書込みパターン103を書き込む。このときに、設計上書込む角度位置に対応したレーザ出射口のみからレーザが出射され、書き込む角度位置にないレーザ出射口からはレーザは出射されない。
次に、1周分の画像が書き込まれると、円筒版胴100を停止させずに回転させたまま、レーザヘッド101を、レーザ出射口が並べられた幅分だけ水平方向L2に移動させて停止させる。そして、上記と同様に、エンコーダ104aによって得られる円筒版胴100の角度位置に対応させて、設計上書き込む角度位置にあるレーザ出射口からレーザが出射され書込みパターン103が1周分書き込まれる。これが繰り返されて、円筒版胴100の画線部全体に対して書込みが行われる。
円筒版胴100は一定角速度で回転させられる。この一定角速度がエンコーダ104aにより正確に制御されたとしても、横断面が真円でない長円等の場合には中心から外周面までの距離(半径)が回転角θごとに異なるので、外周面上における周方向の単位時間あたりの移動量が異なることになる。したがって、書込みパターン103が円周方向にずれることになる。具体的には、円筒版胴100の半径が大きい角度では移動量が大きくなり、円周方向に間延びした書込みパターンが書き込まれ、半径が小さい角度では移動量が小さくなり、円周方向に縮まった書込みパターンが書き込まれることになる。このような問題は、円筒版胴100の回転中心が真の中心からずれている場合にも生じる。
一般に、液晶ディスプレイに用いられるガラス基板は大型化傾向にあり、その精度は例えば1m×1mのサイズで数μmが要求される。これは、直径1mの円筒版胴を用いたとすると、直径でμmオーダの誤差しか許されないことを意味する。
数μmの誤差に収まる直径1mの円筒版胴を製作することは極めて困難であり、コストのかかるものである。また、ミクロンオーダの直径の変化を計測しながら製版を行うことも現実的には困難であり、コストのかかるものである。
すなわち、本発明にかかる製版方法は、中心軸線周りに回転する略円筒状の版胴に対して、書き込み位置を移動させながらパターンの書込みを行う製版方法において、各角度位置に書き込まれた書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すスケールを前記版胴に書き込むことを特徴とする。
各角度位置に書き込まれた書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すスケールが書き込まれているので、印刷時に、書込みパターンが書き込まれた円筒状の版胴の送り量(回転量)を決定することができる。つまり、製版時に、書込みパターンに円周方向の誤差が含まれていても、この誤差はスケールに反映されている。したがって、印刷時に、スケールを読み取りながら版胴の送り量を調節すれば、書込みパターンの製版時における円周方向の誤差をキャンセルでき、設計通りの印刷パターンを得ることができる。
スケールは、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すものであればよく、その形式は問わない。例えば、一単位を、中心軸線方向に延びる短い線分とし、この線分を円周方向に多数設ける。線分の数は任意であり、数本といった少数であってもよい。ただし、版胴の円周方向における誤差が検出できる程度の数とするのが好ましい。
スケールの形式としては、短い線分に限らず、数字やバーコードとしてもよい。また、スケールは、インクリメンタル式であっても、アブソリュート式であってもよい。
スケールは、等間隔に目盛が付されたいわゆる定規とは異なり、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すものであり、その間隔は一定とは限らない。
なお、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すスケールは、典型的には、対応する書込みパターンと略同一の角度位置に形成されるが、これに限定されるものではない。例えば、書込みパターンに対して回転方向にオフセットされた位置にスケールが形成されていても良い。このオフセット量を別途把握しておけば補正できるからである。また、スケールは、典型的には、書込みパターンの書込み時に同時に形成されるが、これに限定されるものではない。書込みパターンの書込み時の角度位置の情報がスケールに反映されていれば、パターンの書込みと同時であっても同時でなくても良い。
スケールは、典型的には、書込みパターンが書き込まれる画線部とは異なる領域である非画線部に形成されているが、画線部に形成されていても良い。また、書込みパターン自身をスケールとしてもよく、特に碁盤目状やスリット等の規則的な書込みパターンの場合には好適である。
また、スケールは、好ましくは版胴の円周上に形成されるが、端面に形成しても良い。
版胴は略円筒状であればよく、その横断面が閉じた円形である必要はない。つまり、書込みパターンが形成される部分が円筒面とされていればよく、例えば版締め部となる位置を部分的に切り欠いた形状であっても良い。
このスケールは、一点のみでも良いし、複数点であっても良い。また、スケールは、好ましくは版胴の円周上に形成されるが、端面に形成しても良い。
スケールは、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すものであればよく、その形式は問わない。例えば、一単位を、中心軸線方向に延びる短い線分とし、この線分を円周方向に多数設ける。線分の数は任意であり、数本といった少数であってもよい。ただし、版胴の円周方向における誤差が検出できる程度の数とするのが好ましい。
スケールの形式としては、短い線分に限らず、数字やバーコードとしてもよい。また、スケールは、インクリメンタル式であっても、アブソリュート式であってもよい。
スケールは、等間隔に目盛が付されたいわゆる定規とは異なり、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すものであり、その間隔は一定とは限らない。
なお、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すスケールは、典型的には、対応する書込みパターンと略同一の角度位置に形成されるが、これに限定されるものではない。例えば、書込みパターンに対して回転方向にオフセットされた位置にスケールが形成されていても良い。このオフセット量を別途把握しておけば補正できるからである。また、スケールは、典型的には、書込みパターンの書込み時に同時に形成されるが、これに限定されるものではない。書込みパターンの書込み時の角度位置の情報がスケールに反映されていれば、パターンの書込みと同時であっても同時でなくても良い。
スケールは、典型的には、書込みパターンが書き込まれる画線部とは異なる領域である非画線部に形成されているが、画線部に形成されていても良い。また、書込みパターン自身をスケールとしてもよく、特に碁盤目状やスリット等の規則的な書込みパターンの場合には好適である。
スケールは、好ましくは版胴の円周上に形成されるが、端面に形成しても良い。
版胴は略円筒状であればよく、その横断面が閉じた円形である必要はない。つまり、書込みパターンが形成される部分が円筒面とされていればよく、例えば版締め部となる位置を部分的に切り欠いた形状であっても良い。
このスケールは、一点のみでも良いし、複数点であっても良い。また、スケールは、好ましくは版胴の円周上に形成されるが、端面に形成しても良い。
そこで、スケールを、版胴の軸線方向の異なる位置に複数設けることとし、版胴の軸線方向の各位置における回転方向の誤差をも検出できることとした。
スケールは、典型的には、版胴の両端部に設けることが好ましい。このようにスケールを設けることとすれば、両端の非画線部を使用できるからである。
版胴の送り量の調節としては、単位時間あたりの送り量すなわち送り速度を調節して行うこととしても良い。
版胴の送り量は相対的に調節されるものであればよく、典型的には版胴の送り量(回転量)を調節するが、版胴に相対するオフセット胴の送り量や、ガラス基板等の被印刷物を送るための定盤の送り量を調節することとしても良い。
読取り手段としては、例えばCCDカメラ等による光学的手段が用いられる。また、スケールの書込みパターンによっては干渉走査原理を用いた光学的手段やインダクトシンを用いた電磁的手段としてもよい。
スケールは、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示す物であれば良く、その形式は問わない。例えば、一単位を、中心軸線方向に延びる短い線分とし、この線分を円周方向に多数設ける。線分の数は任意であり、数本といった少数であってもよい。ただし、版胴の円周方向における誤差が検出できる程度の数とするのが好ましい。
スケールの形式としては、短い線分に限らず、数字やバーコードとしてもよい。また、スケールは、インクリメンタル式であっても、アブソリュート式であってもよい。
スケールは、等間隔に目盛が付されたいわゆる定規とは異なり、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すものであり、その間隔は一定とは限らない。
なお、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すスケールは、典型的には、対応する書込みパターンと略同一の角度位置に形成されるが、これに限定されるものではない。例えば、書込みパターンに対して回転方向にオフセットされた位置にスケールが形成されていても良い。このオフセット量を別途把握しておけば補正できるからである。また、スケールは、典型的には、書込みパターンの書込み時に同時に形成されるが、これに限定されるものではない。書込みパターンの書込み時の角度位置の情報がスケールに反映されていれば、パターンの書込みと同時であっても同時でなくても良い。
スケールは、典型的には非画線部に形成されているが、画線部に形成されていても良いし、あるいは、書込みパターン自身をスケールとしてもよい。書込みパターン自身をスケールとする場合には、碁盤目状等の規則的な書込みパターンの場合に特に好ましい。
スケールは、好ましくは版胴の円周上に形成されるが、端面に形成しても良い。
版胴は略円筒状であればよく、その横断面が閉じた円形である必要はない。つまり、書込みパターンが形成される部分が円筒面とされていればよく、例えば版締め部となる位置を部分的に切り欠いた形状であっても良い。
また、印刷前に補正量を把握することができるので、印刷によって版胴の円周面がインキで汚れスケール読み取れないという事態を回避できる。また、非印刷時にスケールが読み取るようにすれば、読み取り手段の位置が制限されることがない。
そこで、読取り手段によって、版胴の軸線方向の異なる位置に複数設けられたスケールを読み取り、版胴の軸線方向の各位置における回転方向の誤差をも検出できることとした。制御部によって、読取り手段で得られた信号に基づいて版胴の送り量を相対的に調整して、版胴の軸線方向の各位置における回転方向の誤差をもキャンセルすることとした。
スケールは、典型的には、版胴の両端の非画線部を使用できるので、版胴の両端部に設けられていることが好ましい。
しかし、円筒版胴の直径が設計値と異なる場合には、同じ回転角度だけ回転させても異なる移動量となる。つまり、所定距離移動した後の位置に対応したスケールは読取り手段の読み取り位置からずれることになる。このすれ量は、変換パラメータが異なることに由来する。したがって、このずれ量に基づいて変換パラメータを補正することにより、円筒版胴の直径の誤差を吸収することができる。
版胴の送り量は相対的に調節されるものであればよく、典型的には版胴の送り量を調節するが、版胴に相対するオフセット胴の送り量や、ガラス基板等の被印刷物を送るための定盤の送り量を調節することとしても良い。
スケールは、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すものであれば良く、その形式は問わない。例えば、一単位を、中心軸線方向に延びる短い線分とし、この線分を円周方向に多数設ける。線分の数は任意であり、数本といった少数であってもよい。ただし、版胴の円周方向における誤差が検出できる程度の数とするのが好ましい。
スケールは、等間隔に目盛が付されたいわゆる定規とは異なり、書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すものであり、その間隔は一定とは限らない。
版胴は略円筒状であればよく、その横断面が閉じた円形である必要はない。つまり、書込みパターンが形成される部分が円筒面とされていればよく、例えば版締め部となる位置を部分的に切り欠いた形状であっても良い。
しかし、円筒版胴の直径が設計値と異なる場合には、同じ回転角度だけ回転させても異なる移動量となる。つまり、所定距離移動した後の位置に対応したスケールは読取り手段の読み取り位置からずれることになる。このずれ量は、変換パラメータが異なることに由来する。したがって、このずれ量に基づいて変換パラメータを補正することにより、円筒版胴の直径の誤差を吸収することができる。
また、製版時にスケールを付すだけで良く、特別な精度を確保するための装置や制御を必要としないので、製版コストを下げることができる。
また、版胴を設置した後に版胴を回転させてスケールを読み取るだけで製版時の誤差をキャンセルできるので、版胴交換時の機械調整工数を大幅に低減できる。
図1には、本発明の実施形態にかかる円筒形状の版胴(以下「円筒版胴」という。)1の製版装置の概略が示されている。本実施形態で用いる製版は、グラビア印刷のための溝をレーザによって彫刻するレーザ製版である。
円筒版胴1は、直径D(例えば1m)とされた金属製の円筒体である。円筒版胴1は、Ag等の剥離層の上にメッキ処理された銅層を備えており、その表面は研磨仕上げが施されている。この円筒版胴1に対してフォトレジストを塗布し、以下に説明するレーザ3によって露光する。その後、現像することによりフォトレジストを除去し、必要に応じて、耐腐食性を付与するために硬質クロムメッキを施す。
なお、円筒版胴1は略円筒状であればよく、その横断面が閉じた円形である必要はない。つまり、画線部が円筒面とされていればよく、例えば版締め部となる位置を部分的に切り欠いた形状であっても良い。
円筒版胴1は、その中心軸線L1周りにモータ2によって回転させられる。モータ2の角速度は制御部7によって制御されており、後に説明するレーザー3のレーザヘッドの変位と同期している。
レーザ(書込み手段)3のレーザーヘッドは、円筒版胴1に対向して配置されており、円筒版胴1の中心軸線L1と平行な水平方向L2に往復動する。レーザヘッド3には、複数のレーザ出射口が水平方向に並べられて設けられている。レーザヘッド3の往復動は、制御部7によって制御される。
円筒版胴1の回転角度はモータ2に取り付けられたエンコーダ2aの出力によって制御される。
制御部7には、図示しないコンピュータから設計パターンが送られるようになっており、この設計パターンに基づいてパターンの書込みが行われる。
円筒版胴1を所定角速度で回転させる。レーザヘッドを所定位置で停止させたまま、エンコーダ2aによって得られる円筒版胴1の角度位置に対応させて、レーザ出射口からレーザを出射させ書込みパターン5及びスケール9を書き込む。このときに、設計上書込む角度位置に対応したレーザ出射口のみからレーザが出射され、書き込む角度位置にないレーザ出射口からはレーザは出射されない。なお、スケール9は、書込みパターン5が書き込まれる画線部とは異なる非画線部に書き込まれる。
そして、1周分の書込みパターンが書き込まれると、円筒版胴1を停止させずに回転させたまま、レーザヘッドを、レーザ出射口が並べられた幅分だけ水平方向L2に移動させて停止させる。そして、上記と同様に、エンコーダ2aによって得られる円筒版胴1の角度位置に対応させて、設計上書き込む角度位置とされたレーザ出射口からレーザが出射され書込みパターン5及びスケール9が書き込まれる。これが円筒版胴1の軸線方向に繰り返されて、円筒版胴1の画線部全体に対して書込みが行われる。
このように、書込みパターン5とスケール9とが同時に書き込まれる。すなわち、スケール9は同じ角度位置のパターン5と同様の角度位置情報を有している。このスケール9は、中心軸線L1方向に描かれた短い線分が円周方向に多数形成されることによって構成されている。
スケール9を構成する短い線分の数は任意であり、数本といった少数であってもよい。ただし、版胴の円周方向における誤差が検出できる程度の数とするのが好ましい。
このようにスケール9を書込みパターン5と同時に書き込むことによって製版した円筒版胴1は、次に説明する印刷機に設置される。
また、書込みパターン5の書込み時の角度位置情報を示すスケール9は、対応する書込みパターン5と略同一の角度位置に形成されることとしているが、これに限定されるものではない。例えば、書込みパターン5に対して回転方向にオフセットされた位置にスケール9が形成されていても良い。このオフセット量を別途把握しておけば補正できるからである。
また、スケール9は、書込みパターン5の書込み時に同時に形成されるが、これに限定されるものではない。書込みパターン5の書込み時の角度位置の情報がスケールに反映されていれば、パターンの書込みと同時でなくても良い。
また、上述の製版方法とは異なり、円筒版胴1の回転とレーザヘッドの水平移動とをエンコーダ2aの出力により同期させて、スパイラル状に描画する製版方法に対しても、本実施形態のスケール9を書き込むことができる。この場合には、エンコーダ2aにより書き込みパターン5の書込み時の角度位置を把握しておき、この角度位置に関連付けてスケール9を書き込むようにする。
円筒版胴1は、モータ(版胴駆動部)16によって、製版時と同じ中心軸線L1周りに回転駆動される。モータ16と円筒版胴1との間には減速ギア14が介挿されている。モータ16には、ロータリエンコーダ17が設けられており、モータ16の角度、回転数等が得られるようになっている。ロータリエンコーダ17の出力は、制御部10へと送られる。
図2に示には、ガラス基板30がオフセット胴21の下を通過して印刷パターン35が印刷された後の状態が示されている。
先ず、印刷機に円筒版胴1を設置する(S1)。このとき、円筒版胴1は、オフセット胴21と離間している。この状態でモータ16を駆動して、円筒版胴1を回転させる(S2)。
回転中に、CCDカメラ11によってスケール9を読み取る(S3)。スケール9は短い線分が回転方向に多数繰り返して形成されているので、読み取られたスケール9の検出信号は、パルス信号となる。このパルス信号の微少間隔△tにおけるパルス数が検出パルス数として制御部10へと送られ、演算部10aから出力される指令パルス数と比較される(S4)。指令パルス数は、スケール9が設計通りに形成されている場合(すなわち円筒版胴1の直径誤差がなく製版が行われている場合)を仮定した微少時間△tにおけるパルス数とされる。
指令パルス数に対する検出パルス数の差分が補正量となり、所定のゲインKを加えた後、モータ16に出力指令値を出す(S5,S6)。この出力指令値は、ロータリエンコーダ17から得られる円筒版胴1の角度θと対応づけられて、補正マップとして、制御部10の記憶部(図示せず)に格納される(S7)。
同図に示されているように、例えば、円筒版胴1の直径の誤差等の製版時の誤差がなく、スケール9が設計通りに形成されている場合、微少間隔△tにおける指令パルス数を10とする。すなわち、指令パルス数は設計値の送り量(回転量)に相当する。
このとき、図3に示すように、最初の△tでは検出パルス数が9となっているので、この差分(図の斜線)に対応した補正値を出力する。具体的には、パルス数が1だけ少ないので、円筒版胴1が設計値よりも遅く回っていると判断し、モータ16を早く回すように出力指令を出す(図4のS5参照)。次の△tでは、検出パルス数が8となっているので、差分である2に対応した量の補正値を出力し、モータ16をさらに早く回す。次の△tでは、検出パルス数が11となっているので、パルス数が設計値よりも1だけ多いことになり、円筒版胴1が設計値よりも早く回っていることを意味し、モータ16を遅く回すように出力指令を出す(図4のS6参照)。
以上のような処理を繰り返し、円筒版胴1の一回転分の出力指令値を、円筒版胴1の角度ごとに取得し、補正マップを形成する。
円筒版胴1には、各角度位置に書き込まれた書込みパターン5と略同一の角度位置を示すスケール9が書き込まれているので、製版時に、書込みパターン5に円周方向の誤差が含まれていても、この誤差をスケール9に反映されることができる。そして、スケール9をCCDカメラ11で読み取り、円筒版胴の送り量を調節する補正マップを得ることとしたので、印刷時に、書込みパターン5の製版時における円周方向の誤差をキャンセルでき、設計通りの印刷パターン35を得ることができる。
予め補正マップを求めて、この補正マップに基づいて印刷を行うこととしたので、補正マップを制御部10に記憶させておくだけで済み、後に行われる印刷は従来通りの制御に従って行えばよいので、簡便な制御を実現できる。
また、印刷前に補正量を把握することができるので、印刷によって円筒版胴1の円周面がインキで汚れスケール読み取れないという事態を回避できる。また、非印刷時にスケールを読み取ることとしたので、CCDカメラ11の位置が制限されることがない。
[リアルタイム制御]
印刷前に補正マップを作成せずに、円筒版胴1を印刷機に設置したら即座に印刷を行うこととしてもよい。この場合には、CCDカメラ11によって得られた検出パルス数と指令パルス数との差分に基づいた補正量を加えた出力指令値によってモータ16をリアルタイムに駆動する。
このようにリアルタイムに補正することとし、円筒版胴1を交換した際に予め補正マップを作る必要がないので、段取り時間を短縮することができる。
また、例えば円筒版胴1の熱伸びのように、製版時における誤差ではなく、印刷機に取り付けた後に生じる誤差に対しても対応することができる。
電磁的手法としてのインダクトシンは、例えば三菱重工業社製のMPスケールを用いることができる。具体的には、円筒版胴1に形成するスケール9を櫛形のコイルとし、このスケールに対向する検出側に同様の櫛形のコイルを配置する。各コイルに交流電流を流し、それぞれに電磁誘導作用による誘導電圧を発生させる。スケール9側と検出側との位置が相対的に変化すると、誘導電圧も変化し、この変化した電圧に対応づけてスケール9の位置を読み取る。
光学的手法としての干渉走査原理は、以下のように用いる。
例えば高さ0.2μmの反射ラインを平坦な反射表面に施したステップ格子をスケール9として形成する。このスケール9に対向する検出側に、スケール9と同じ格子間隔を有する透明位相格子として走査板を配置する。
光源からの光を照射して走査板を通過させると、ほぼ同等の光度を有する次数−1.0−.+1の部分波に回折される。これら回折された部分波は、スケール9によって殆どが次数+1と−1に回折される。これらの部分波は再び走査板で出会い、再び回折され、干渉し合う。これにより基本的に3つの波が形成され、これらが異なる角度で走査板から出射される。検出側に配置された受光素子により、これらの光の強さを電気信号に変換し、スケール9の位置を読み取る。
図5に示されているように、円筒版胴1の両端の非画線部にスケール9を設け、両端のスケール9に対してそれぞれCCDカメラ11を設けることとしても良い。
このようにすることにより、例えば円筒版胴1が円錐台形状となっていた場合、角度θが同じ位置であっても、中心軸線L1方向における位置が異なれば直径が異なることになる。このような場合には、中心軸線L1方向における直径の誤差を平均化するために、円筒版胴1の両端に設けたスケール9を用いる。すなわち、各CCDカメラ11によって得られる検出パルス数の平均値を出し、この平均値に基づいて制御する。
また、両端のスケール9を比較して、検出信号に位相差があれば、書込みパターン5が中心軸線L1周りに捩れていると判断できる。この場合には、円筒版胴1の両側にモータ16を設けて、これらのトルクを異ならせて円筒版胴1を捩ることにより、書込みパターン5の捩れの補正を行っても良い。
図5に示すように、スケール9の近傍に、原点用印40を設けることにより、ガラス基板30に対する印刷パターン35の原点位置決めを行っても良い。原点用印40は、ガラス基板30に印刷される印刷パターン35の開始位置である原点に対応するものであり、製版時に、対応する角度位置の書込みパターン5と略同一の角度位置に書き込まれている。すなわち、原点用印40は、印刷パターン35開始位置の書込み時の角度位置情報を示すものである。
図2に示したように円筒版胴1、オフセット胴21及びガラス基板30を組み付けた後は、制御部10によって、ガラス基板30に印刷される印刷パターン35に対する円筒版胴1の角度位置が決まる。したがって、CCDカメラ11によって原点用印40を検出した角度θが分かれば、ガラス基板30に対する原点用印40に対応する印刷位置が決定される。この印刷位置が所望の印刷位置と異なると制御部10が判断した場合には、所望の印刷位置に設定されるように、制御部10によって、円筒版胴1のモータ16および/または定盤31を駆動するモータ36の回転量を調節する。
原点用印40は、製版時に書込みパターン5と同時に書き込まれているので、書込みパターン5と同様の円周方向の誤差を含むものである。したがって、ガラス基板30に対する印刷パターン35の位置が設計通りに決定され、精度の高い印刷が可能となる。
円筒版胴1の直径が角度θごとに異なり、これを相対的に補正するには、図1〜4を用いて説明した上記方法が効果的である。しかし、実際に使用している円筒版胴1の直径を得るだけでも、十分に印刷精度を上げることができる。特に、円筒版胴1が真円の横断面を有していて、その直径の絶対値が設計値と異なる場合には、図2の方法では対応することができない。なぜなら、この場合には、CCDカメラ11で検出する検出パルス数と指令パルス数は一致するからである。このような印刷版胴1の直径の絶対値の補正は次のように行う。
印刷機の構成は、基本的には図2に示した構成を用いる。ただし、制御部10からモータ(版胴駆動部)16への出力の与え方が上記実施形態とは異なる。図6には、このブロック図が示されている。
制御部10からは、モータ16に対して、移動量(mm)の指令値を出力する。モータ16は、この移動量に応じた回転角度だけ回転する。モータ16に取り付けられたエンコーダ(回転角度検出器)17からは、パルス数が出力されるが、このパルス数は重み(変換パラメータ)Gを乗じて移動量(mm)に変換されて、比較演算される。
円筒版胴1の設計直径をR(mm)とし、エンコーダ17の一回転あたりのパルス数をP(pulse/rot)とする。この場合、1パルスあたりの移動距離を示す重みG(mm)は、下式によって算出される。
G=π×R/P (mm/pulse) ・・・(1)
実際の版胴直径をR’(mm)とすると、1パルスあたりの移動距離を示す重みG’は下式によって算出される。
G’=π×R’/P (mm/pulse) ・・・(2)
設計値である重みGに従って円筒版胴1を1回転させる。円筒版胴1の直径が設計値通りなら、回転開始時と同じ位置に1点マークの戻り位置が位置することをCCDカメラ11で確認できる。しかし、実際の円筒版胴1の直径が設計値と異なれば、1点マークの戻り位置は、回転開始時の位置からずれたものとなる。このずれ量△L(=π×R−π×R’)を計測すれば、実際の円筒版胴1の直径を補正することができる。すなわち、実際のパルス重みG’は、次のように補正することになる。
G’=(π×R−△L)/P (mm/pulse) ・・・(3)
設計直径R=1000/3.14(mm)、一回転あたりのパルス数P=360(pulse/rot)とする。
この場合、設計重みG=3.14×1000/3.14/360=1000/360(mm/pulse)となる。
実際の印刷版胴1の直径が設計値通りならば、制御部10から1000mm移動する指令を出すと、360パルスがフィードバックされた位置で円筒版胴1は停止する。このとき、円筒版胴1はちょうど1回転になり、1点マークの回転開始位置と戻り位置が一致する(すなわちCCDカメラ11の中央に1点マークが映される)。
この設計パラメータを用いて、別の円筒版胴1を印刷機に装着し、制御部10から1000mmの移動指令を与える。移動後に、例えば1点マークが1mm通り過ぎたところに映っていたとする。つまり、△L=+1mmとなり、π×R’=1000−1=999(mm)となる。この場合には、上式(3)より、G’=(1000−1)/360=999/360 (mm/pulse)となり、この値に重みを再設定することにより、補正する。
このように、円筒版胴1の直径の絶対値の補正を行うことができ、より精度の高い印刷が可能となる。
円筒版胴1を印刷機に設置した後、ガラス基板30(又はPETフィルム)に仮印刷を行う。ガラス基板30に印刷されたスケール9の転写像を読み取り、スケールピッチを計測する。この計測結果を設計値と比較する。例えば、計測結果が設計値に対して1%長い場合には、1%に対応する分だけ円筒版胴1を増速して回転させる制御パラメータに変更する。このような補正が行われた後に、量産印刷を開始する。
ガラス基板30に印刷されたスケール9の転写増は、印刷機に設置したCCDカメラ11によって測定しても良いし、別の測長機にガラス基板30を移動して測定しても良い。
また、ガラス基板30への転写像に代えて、オフセット胴21に転写された転写像を計測することとしても良い。
このように、ガラス基板30への転写像によって補正することとすれば、最終印刷物で評価することになるので、最終印刷物への反映が直接的となり、高精度な印刷が可能となる。
インクリメンタル式では、類似模様が繰り返され、相対移動量は検出できるが絶対位置が検出できない。このため、原点復帰動作を行い、座標を確定し、原点位置からの相対量を計測する。
アブソリュート式では、円周上のどの位置であるかを信号出力として得ることができる。絶対位置を得るためのスケールパターンとしては、バーコード、複数ビットコード化、キャリパ式が挙げられる。
キャリパ式は、ピッチの異なる2列のインクリメンタルパターンを形成する。各列の関係を、例えば1周(1回転)で1本だけ異なる数となるようにピッチを異ならせる。検出時には両パターンを検出し、各列からの検出信号の位相差を計測すれば、1周の内のどの位置であるかを把握できる。
また、円筒版胴1を駆動するモータ16の角速度を調整することによって円周方向の誤差を除去することとしたが、オフセット胴21の送り量(例えばモータ26の角速度)や、ガラス基板30を送るための定盤31の送り量(例えばモータ36の角速度)を調節することとしても良い。
また、オフセット胴21を介して印刷するオフセット印刷としたが、オフセット胴21を省略して、円筒版胴1からガラス基板30に直接印刷することとしても良い。
3 レーザ(書込み手段)
5 書込みパターン
9 スケール
10 制御部
11 CCDカメラ(読取り手段)
16 モータ(版胴駆動部)
30 ガラス基板(被印刷物)
Claims (15)
- 中心軸線周りに回転する略円筒状の版胴に対して、書き込み位置を移動させながらパターンの書込みを行う製版方法において、
各角度位置に書き込まれた書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すスケールを前記版胴に書き込むことを特徴とする製版方法。 - 中心軸線周りに回転する略円筒状の版胴に対して、書き込み位置を移動させながらパターンの書込みを行う製版方法において、
前記版胴の円周長さを計測するためのスケールを前記版胴に書き込むことを特徴とする製版方法。 - 前記パターンを書き込む際に、前記スケールを書き込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の製版方法。
- 略円筒状の形状を有し、
各角度位置に書き込まれた書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すスケールが書き込まれていることを特徴とする版胴。 - 被印刷物に印刷される印刷パターンの開始位置である原点に対応する原点用印が、対応する角度位置の書込みパターンの書込み時の角度位置情報を有して書き込まれていることを特徴とする請求項4記載の版胴。
- 前記スケールは、軸線方向における異なる位置に複数設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の版胴。
- 略円筒状の形状を有し、
円周方向長さを計測するためのスケールが書き込まれていることを特徴とする版胴。 - 各角度位置に書き込まれた書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すスケールが書き込まれた略円筒状の版胴を回転駆動させる版胴駆動部と、
前記スケールまたは該スケールの転写像を読み取る読取り手段と、
該読取り手段によって得られた信号に基づいて、前記版胴の送り量を相対的に調節する制御部と、
を備えていることを特徴とする印刷機。 - 前記制御部は、前記読取り手段によって得られた信号に基づいて、前記版胴の送り量を相対的に調節する補正量を予め求め、この補正量を用いて印刷を行うことを特徴とする請求項8記載の印刷機。
- 前記制御部は、前記読取り手段によって得られた信号をフィードバックすることにより、前記版胴の送り量を相対的に調節して印刷を行うことを特徴とする請求項9記載の印刷機。
- 前記読取り手段は、被印刷物に印刷される印刷パターンの開始位置である原点を示すとともに、対応する角度位置の書込みパターンの書込み時の角度位置情報を有して書き込まれた原点用印を検出し、
前記制御部は、前記読取り手段による前記原点用印の検出信号に基づいて、被印刷物の原点位置を定めることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の印刷機。 - 前記読取り手段は、前記版胴の軸線方向の異なる位置に複数形成された書込みパターンをそれぞれ読み取り、
前記制御部は、前記各書込みパターンから前記読取り手段によって得られた各検出信号に基づいて、前記版胴の送り量を相対的に調節することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の印刷機。 - 版胴の円周方向長さを計測するためのスケールが書き込まれた略円筒状の版胴を回転駆動させる版胴駆動部と、
前記スケールを読み取る読取り手段と、
前記版胴駆動部の回転角度を検出する回転角度検出器と、
該回転角度検出器の角度出力に変換パラメータを乗じて距離出力に変換し、該距離出力に基づいて前記版胴駆動部をフィードバック制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、所定距離移動させる指示を与えた後に前記読取り手段によって読み取られた前記スケールの位置信号に基づいて、前記変換パラメータを補正することを特徴とする印刷機。 - 各角度位置に書き込まれた書込みパターンの書込み時の角度位置情報を示すスケールが書き込まれた略円筒状の版胴を回転駆動させ、
前記スケールまたは該スケールの転写像を読み取り、
読み取られた前記スケールの検出信号に基づいて、前記版胴の送り量を相対的に調節することを特徴とする印刷機の制御方法。 - 版胴の円周方向長さを計測するためのスケールが書き込まれた略円筒状の版胴を回転駆動させる版胴駆動部と、
前記スケールを読み取る読取り手段と、
前記版胴駆動部の回転角度を検出する回転角度検出器と、
該回転角度検出器の角度出力に変換パラメータを乗じて距離出力に変換し、該距離出力に基づいて前記版胴駆動部をフィードバック制御する制御部と、を備えた印刷機の制御方法において、
前記制御部は、所定距離移動させる指示を与えた後に前記読取り手段によって読み取られた前記スケールの位置信号に基づいて、前記変換パラメータを補正することを特徴とする印刷機の制御方法。
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