JP4511688B2 - 自動二輪車用車体フレームのフレーム部材位置決め装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車用車体フレームの組立時に、該車体フレームの一部を構成するとともに該車体フレームの幅方向に延びる位置決め孔を有するフレーム部材を、前記位置決め孔を利用して位置決めするための位置決め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動二輪車用車体フレームを組立てるための方法が、たとえば特公平4−749号公報等で知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動二輪車の種類や用途により、さまざまな形状、大きさおよび材質の自動二輪車用車体フレームが存在しており、車体フレームの組立時に該車体フレームの一部を構成するフレーム部材を位置決めするために、該フレーム部材が備える位置決め孔を利用するにあたっても、車体フレームの種類が異なるのに応じて前記フレーム部材および位置決め孔の形状等も変化することになる。しかるに上記従来のものでは、フレーム部材を位置決めするための装置としては専用の位置決め装置が必要であり、複数種類の自動二輪車の車体フレームを組立てるためには、各種類に対応したフレーム部材位置決め装置を準備しなければならず、設備費が増大してしまう。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、複数種類の自動二輪車用車体フレームの組立に対応し得るように汎用性を持たせて、設備費の低減を図った自動二輪車用車体フレームのフレーム部材位置決め装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、自動二輪車用車体フレームの一部を構成するとともに該車体フレームの幅方向に延びる位置決め孔を有するフレーム部材を、前記車体フレームの組立時に前記位置決め孔を利用して位置決めするための位置決め装置であって、前記位置決め孔に対応するガイド孔を有するとともに該ガイド孔を前記位置決め孔に対応させる位置で前記フレーム部材の外側面に対向し得るガイド壁と、前記ガイド孔の軸線に対し同軸配置されて該ガイド孔に向けて突出するピストンロッドを有して、前記ガイド壁に関して前記フレーム部材とは反対側に配置されるシリンダと、前記ガイド孔の軸線と平行な軸線まわりの回動を可能として前記ガイド壁および前記シリンダ間に配置されるロッド支持板と、このロッド支持板の周方向に等間隔をあけた位置に前記ガイド孔の軸線と平行な方向への摺動を可能として保持され、前記ガイド孔に摺動可能且つ抜差可能に嵌合し得る複数の可動ロッドと、これらの可動ロッドの1つを前記シリンダおよびガイド孔間に択一的にもたらすことを可能として前記ロッド支持板を回動駆動するインデックスモータとを基台上に備え、前記ピストンロッドの先端には、該先端から突出する係合部が設けられる一方、各々の前記可動ロッドの、前記シリンダ側の一端部には、前記ロッド支持板の回動により該各々の可動ロッドが前記シリンダおよびガイド孔間に進入するのに応じて前記係合部に係合し且つ前記シリンダおよびガイド孔間より退出するのに応じて前記係合部から離脱する係合溝がそれぞれ設けられ、前記複数の可動ロッドの他端部には、複数種類の前記フレーム部材の位置決め孔にそれぞれ嵌合し得る形状に形成された複数種類の位置決めピンが個別に固定されることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、複数の可動ロッドのうち、位置決めすべきフレーム部材の種類に対応した位置決めピンを備える可動ロッドが、インデックスモータ及びロッド支持板により選択されてシリンダおよびガイド壁間にもたらされるとともに、シリンダのピストンロッドとの連結によりガイド孔内に挿脱可能に嵌合され、位置決めすべきフレーム部材の位置決め孔に対応して各可動ロッドに個別に固定された位置決めピンをガイド孔に適確に嵌合してフレーム部材を位置決めすることができ、複数種類の自動車用車体フレームの組立に対処可能な汎用性を得ることができ、設備費の低減を図ることができる。しかも、シリンダと、ロッド支持板と、複数種類の位置決めピンが個別に固定される可動ロッドと、インデックスモータとを備え、シリンダのピストンロッドの先端には、該先端から突出する係合部が設けられる一方、各々の可動ロッドの、シリンダ側の一端部には、ロッド支持板の回動により該各々の可動ロッドが前記シリンダおよびガイド孔間に進入するのに応じて前記係合部に係合し且つシリンダおよびガイド孔間より退出するのに応じて前記係合部から離脱する係合溝がそれぞれ設けられるので、複数種類の位置決めピンのうちの1つを位置決めすべきフレーム部材に対応させて選択し、ガイド孔に精度よく対応させる位置までもたらすようにした構成を、簡単な構造で得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1〜図19は本発明の一実施例を示すものであり、図1は自動二輪車用車体フレームの一例の斜視図、図2は組立装置の縦断側面図であって図3の2−2線に沿う断面図、図3は上半部を作動状態とするとともに下半部を非作動状態として示す図2の3矢視図、図4は図3の4−4線拡大断面図、図5は図3の5矢視拡大図、図6は図5の6−6線断面図、図7は図5の7−7線断面図、図8は図7の8−8線断面図、図9は図6の9−9線断面図、図10は図6の10−10線断面図、図11は図3の11−11線拡大断面図、図12は図11の12矢視図、図13は図11の13−13線断面図、図14は図11の14−14線拡大断面図、図15は図11の15−15線拡大断面図、図16は図3の16−16線矢視拡大図、図17は図16の17−17線断面図、図18は図16の18−18線断面図、図19は組立装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0009】
先ず図1において、この自動二輪車用車体フレームFは、ヘッドパイプ25と、ヘッドパイプ25から後方に延設される単一のメインパイプ26ならびに前端部がメインパイプ26の下方でヘッドパイプ25に連設される左右一対のダウンチューブ27,27を備える前部フレーム組立体FFと、前記メインパイプ26の後部に前端が溶接されるとともに前記両ダウンチューブ27,27の後端がそれぞれ溶接される左右一対のシートレール28,28を備える後部フレーム組立体FRとで構成される。
【0010】
メインパイプ26は、ヘッドパイプ25から後下りに延びる後方傾斜部26aと、この後方傾斜部26aの後端に彎曲部26bを介して連設されて下方に延びる降下部26cとを一体に有するように形成される。ダウンチューブ27は、ヘッドパイプ25から後下がりに傾斜するとともに後端部が略水平に形成される第1筒部27aと、略水平である前端部が第1筒部27aの後端に溶接されるとともに後部が後上がりに傾斜するように形成される第2筒部27bとで、上方を開放した略U字状に構成される。また両ダウンチューブ27,27の第1筒部27a,27a間にはクロスメンバー29が設けられ、両ダウンチューブ27,27の第2筒部27b,27b間にはクロスメンバー30が設けられる。
【0011】
メインパイプ26の後端すなわち降下部26cの下端にはクロスメンバー31の中央部が連設されており、このクロスメンバー31の両端は、車体フレームFの一部を構成するフレーム部材としての左右一対の板状の前部支持部材32,32にそれぞれ連設されており、各前部支持部材32,32は両ダウンチューブ27,27における第2筒部27b,27bの中間部に固着される。これらの前部支持部材32,32には、後輪を支持するスイングアームの前端を揺動可能に支持するための支持筒33,33が同軸に固着されており、各支持筒33,33には、車体フレームFを組立てる際に前部支持部材32,32の位置を定めるための位置決め孔34,34として機能する透孔が両端を開放するようにして形成される。
【0012】
また両ダウンチューブ27,27の第1筒部27a,27aには、図示しないパワーユニット等を支持するための支持筒35,35がそれぞれ一対ずつ固着されており、それらの支持筒35,35…のうち、たとえば下方の支持筒35,35には、車体フレームFを組立てる際に、車体フレームFの一部を構成するフレーム部材としてのダウンチューブ27,27の位置を定めるための位置決め孔36,36として機能する透孔が両端を開放するようにして形成される。
【0013】
後部フレーム組立体FRにおいて両シートレール28,28間には、前方側から順にクロスメンバー37,38,39,40が設けられており、最後部のクロスメンバー40に隣接して両シートレール28,28には、テールランプやブレーキランプ等を支持するための板状の後部支持部材41,41が、車体フレームFの一部を構成するフレーム部材として固着される。しかも後部支持部材41,41には、車体フレームFを組立てる際に両シートレール28,28の後部位置を定めるための位置決め孔42,42として機能する透孔が両端を開放するようにして穿設される。
【0014】
このような後部フレーム組立体FRは、前部フレーム組立体FFのメインパイプ26における降下部26cの上部に両シートレール28,28の前端部を溶接するとともに、前部フレーム組立体FFの両ダウンチューブ27,27における第2筒部27b,27bの後端すなわち上端に両シートレール28,28の中間部を溶接するようにして、前部フレーム組立体FFに組付けられ、それにより自動二輪車用車体フレームFが構成される。
【0015】
図2および図3において、前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRを相互に溶接して前記車体フレームFを構成するための組立装置は、基台44を備えており、前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRは基台44上で相互に溶接される。
【0016】
基台44上には、前部フレーム組立体FFが前端に備えるヘッドパイプ25をクランプして保持するためのヘッドパイプ保持装置45と、前部フレーム組立体FFがその後部に備える前部支持部材32,32を位置決めするための左右一対の前部支持部材位置決め装置46,46と、前部フレーム組立体FFが備えるダウンチューブ27,27の前部を位置決めするための左右一対のダウンチューブ位置決め装置47,47と、後部フレーム組立体FRがその後端部に備える後部支持部材41,41を位置決めするための左右一対の後部支持部材位置決め装置48,48と、後部フレーム組立体FRが備えるシートレール28,28の前部をクランプして保持するための左右一対のシートレール保持装置49,49とが配設される。
【0017】
ヘッドパイプ保持装置45は、ヘッドパイプ25を上下からクランプ可能として可動支持枠62に配設される前部側クランプ手段50と、基台44上で組立てられる車体フレームFの前後方向であるX軸方向ならびに前記車体フレームFの上下方向であるZ軸方向に前部側クランプ手段50を移動させることを可能とするとともに前部側クランプ手段50を前後に傾動させ得る前部側クランプ用駆動手段51とで構成される。
【0018】
図4〜図8を併せて参照して、前部側クランプ用駆動手段51は、X軸方向に沿って延びるようにして基台44上に固定されるレール52と、そのレール52上を移動可能な台車53と、X軸方向に延びる軸線を有して基台44に固定配置される電動モータ54と、該電動モータ54の回転力を前記台車53のX軸方向への直線的な駆動力に変換するようにして電動モータ54および台車53間に設けられるねじ送り機構55と、Z軸方向すなわち上下方向に延びて台車53に設けられるレール56と、前部側クランプ手段50が配設される可動支持枠62を車体フレームFの幅方向であるY軸の軸線まわりに傾動可能として支承するブラケット57aを有するとともに前記レール56に沿って昇降可能な昇降台57と、Z軸に沿う軸線を有して台車53に固定配置される電動モータ58と、該電動モータ58の回転力を昇降台57のZ軸方向への直線的な駆動力に変換するようにして電動モータ58および昇降台57間に設けられるねじ送り機構(図示せず)と、前記昇降台57の下部に前記Y軸に沿う軸線まわりに回動可能として連結される回動枠59と、XY平面内に配置される軸線を有して回動枠59に固定配置される電動モータ60と、前記可動支持枠62から下方に延びるアーム63,63を該電動モータ60の回転力を一対のアーム63,63の往復回動力に変換するようにして電動モータ60およびアーム63,63の下端間に設けられるねじ送り機構61とを備える。
【0019】
このような前部側クランプ用駆動手段51によれば、前部側クランプ手段50の可動支持枠62を、車体フレームFの前後方向および上下方向に移動させることができ、しかもY軸の軸線まわりに傾動させることが可能であり、車体フレームFの種類が変化することにより、ヘッドパイプ25のX軸方向に沿う位置、基台44からのヘッドパイプ25の高さおよびヘッドパイプ25の傾斜角が変化するのに対処して、前部側クランプ手段50をヘッドパイプ25の位置に対応した任意の位置に移動させることができる。
【0020】
前記可動支持枠62は、上下に延びる前記アーム63,63の上部寄りの部分に直角に連設される枠板64と、前記両アーム63,63の上端部に連なる円形の回動板65,65とを備えており、回動板65,65の中央部がY軸方向に沿う支軸66,66を介して昇降台57のブラケット57aに支承される。
【0021】
図9および図10を併せて参照して、前部側クランプ手段50は、複数たとえば4種類のヘッドパイプ25の下端部にそれぞれ嵌合し得る複数たとえば4個の支持ピン67A,67B,67C,67Dと、それらの支持ピン67A〜67Dの1つをヘッドパイプ25の下方位置に配置しつつ固定的に支持する円板状のピン支持板68と、前記支持ピン67A〜67Dの1つに下端部を嵌合せしめたヘッドパイプ25の上端部に該ヘッドパイプ25の種類にかかわらず係合し得る係合部69aを先端部に有するとともに前記支持ピン67A〜67Dの1つとの間で前記ヘッドパイプ29をクランプし得る押圧部材69と、ヘッドパイプ25を上方から押圧する押圧力を押圧部材69に付与するシリンダ70とを備える。
【0022】
前記係合部69aは、ヘッドパイプ25の上端部内径の変化にかかわらず該ヘッドパイプ25の上端部に差込み係合し得るようにテーパ状に形成されて押圧部材69の先端部外周面に形成されており、この押圧部材69はアーム71の一端に取付けられる。
【0023】
一方、シリンダ70は、可動支持枠62の枠板64をヘッドパイプ25の軸線と直交する姿勢としたときに該シリンダ70の軸線がヘッドパイプ25の軸線と平行になるようにして枠板64の下面に固定されており、このシリンダ70が備えるピストンロッド70aの先端に連結された連結部材72が、Y軸に沿う軸線を有する連結ピン73を介して前記アーム71の他端に連結される。
【0024】
前記アーム71の他端側は、一対のスペーサ74,74を相互間に介在させて枠板64上に固着される一対のカム板75,75間にスライド可能に嵌合されており、両カム板75,75には相互に対応したカム孔76,76がそれぞれ設けられる。
【0025】
カム孔76は、ヘッドパイプ25の軸線と平行に延びる第1孔部76aの上端に、上方に向かうにつれて前記ヘッドパイプ25から遠ざかる側に傾斜した第2孔部76bが連なって成るものであり、両カム孔76,76内を転動することを可能としたローラ77,77が前記連結ピン73の上方でアーム71の中間部に軸支される。前記ローラ77,77の下方には両カム孔76,76内を転動するローラ78,78が配置されており、それらのローラ78,78は連結ピン73の両端に軸支される。
【0026】
而してシリンダ70の伸縮作動により前記ローラ77,77;78,78がカム孔76,76内を転動するのに応じて、前記アーム71は図5の鎖線で示すように、連結ピン73とともに移動しつつ該連結ピン73を支点として回動する。これによりアーム71の一端に取付けられた押圧部材69が、各支持ピン67A〜67Dの1つとの間でヘッドパイプ25をクランプするように作動する。
【0027】
前記ピン支持板68は、ヘッドパイプ25の軸線と平行な軸線まわりに回動可能としてヘッドパイプ25の下方位置に配置されるものであり、複数種類のヘッドパイプ25にそれぞれ個別に対応するとともに前記ピン支持板68の周方向に等間隔をあけた複数箇所に固定された支持ピン67〜67Dの1つをヘッドパイプ25の下方位置に択一的にもたらすために、ピン支持板68にはインデックス機構80が連結される。
【0028】
インデックス機構80は、ピン支持板68に回動力を付与することを可能として枠板64に固定されるインデックスモータ81と、前記ピン支持板68を回動可能に支承してピン支持板68および枠板64間に配置される浮動支持台82とを備え、ピン支持板68および浮動支持台83間に軸受83が設けられる。
【0029】
インデックスモータ81の出力軸81aは浮動支持台82の中央部を貫通してピン支持板68の中央部にスプライン結合される。すなわちピン支持板68は、インデックスモータ81の出力軸81aにその軸線方向の相対移動を可能とするとともに軸線まわりの相対回転を不能として連結される。
【0030】
浮動支持台82および枠板64間には、前記出力軸81aを囲繞するコイル状のばね84が設けられており、このばね84のばね力により、前記浮動支持台82およびピン支持板68は、枠板64から遠ざかる側に付勢される。一方、浮動支持台82の周方向に間隔をあけた複数箇所(この実施例では2箇所)を相対摺動可能に貫通する規制軸85…の基端が枠板64に固定され、規制軸85…の先端には、浮動支持台82の枠板64とは反対側の面に当接、係合し得る規制鍔85aがそれぞれ一体に設けられる。これらの規制軸85…により浮動支持台82が前記出力軸81aの軸線まわりに回転することが阻止されるとともに、枠板64から遠ざかる方向への浮動支持台82およびピン支持板68の移動端が規制される。また枠板64には、出力軸81aの軸線と平行な方向での相対摺動を可能として浮動支持台82を貫通するストッパ86が固定されており、このストッパ86にピン支持板68が当接することにより、枠板64に近接する側へのピン支持板68および浮動支持台82の移動端が規制される。
【0031】
ピン支持板68には、該ピン支持板68に固定されている支持ピン67A〜67Dの個数と同数のガイド筒88…が、ピン支持板68の周方向に等間隔をあけて設けられ、それらのガイド筒88…に先端部をそれぞれ嵌合させ得るガイドピン87…の基端が枠板64に固定され、各ガイドピン87…は、浮動支持台82を軸方向の相対摺動可能に貫通する。
【0032】
しかも各ガイドピン87…の長さは、枠板64から遠ざかる方向に浮動支持台82およびピン支持板68が最大限移動した状態、すなわち各規制軸85…の規制鍔85a…が浮動支持台82に当接、係合した状態では、ピン支持板68の各ガイド筒88…から離脱するように設定される。
【0033】
このようなインデックス機構80では、ピン支持板68に上方から力が加わっておらず、ばね84のばね力により枠板64から遠ざかる側に浮動支持台82およびピン支持板68が最大限移動した状態では、インデックスモータ81の作動によりピン支持板68を回動させることができる。しかるにピン支持板68に上方から力が加わることにより、ピン支持板68の各ガイド筒88…にガイドピン87…の先端部がそれぞれ嵌合するまでピン支持板68および浮動支持台82が移動した状態では、ピン支持板68の回動は不能となり、各支持ピン67A〜67Dと、ヘッドパイプ25とのピン支持板68の周方向に沿う相対位置を保持することができる。
【0034】
図2および図3に注目して、後部支持部材位置決め装置48は、後部フレーム組立体FRが備える後部支持部材41をその位置決め孔42を利用して位置決めする後部側位置決め手段90と、X軸、Y軸およびZ軸方向に後部側位置決め手段90を移動させ得る後部側位置決め用駆動手段91とで構成される。
【0035】
後部側位置決め用駆動手段91は、X軸方向に沿って延びるようにして基台44上に固定されるレール92と、そのレール92上を移動可能な台車93と、X軸方向に延びる軸線を有して基台44に固定配置される電動モータ94と、該電動モータ94の回転力を前記台車93のX軸方向への直線的な駆動力に変換するようにして電動モータ94および台車93間に設けられるねじ送り機構(図示せず)と、Z軸方向すなわち上下方向に延びて台車93に設けられるレール95と、該レール95に沿って昇降可能な昇降台96と、Z軸に沿う軸線を有してレール95に固定配置される電動モータ97と、該電動モータ97の回転力を昇降台96のZ軸方向への直線的な駆動力に変換するようにして電動モータ97および昇降台96間に設けられるねじ送り機構(図示せず)と、後部側位置決め手段90が配設される可動支持体100を案内するようにしてY軸方向に延びるとともに昇降台96に固定されるレール98と、Y軸に沿う軸線を有してレール98に固定される電動モータ99と、該電動モータ99および可動支持体100間に設けられるねじ送り機構(図示せず)とを備える。
【0036】
このような後部側位置決め用駆動手段91によれば、後部側位置決め手段90の可動支持体100をX軸、Y軸およびZ軸方向すなわち車体フレームFの前後方向、幅方向および上下方向に移動させることができ、車体フレームFの種類が変化するのに応じて後部支持部材41のX軸およびY軸方向に沿う位置および高さが変化するのに対処して、後部側位置決め手段90を後部支持部材41の位置に対応した任意の位置に移動させることができる。
【0037】
図11〜図13において、後部側位置決め手段90は、後部支持部材41の位置決め孔42に対応するガイド孔101を有するとともに該ガイド孔101を位置決め孔42に対応させる位置で後部支持部材41の外側面に対向し得るガイド壁102と、該ガイド壁102に関して後部支持部材41とは反対側に配置され、ガイド孔101の軸線に対し同軸配置されて該ガイド孔101に向けて突出するピストンロッド103aを有するシリンダ103と、該シリンダ103およびガイド壁101間への選択的な介入ならびに前記ガイド孔101への嵌合を可能とするとともに一端部に設けられた係合溝124が前記シリンダ103のピストンロッド103aの先端から突出する係合部123に着脱可能に連結される複数たとえば3個の可動ロッド104…と、複数たとえば3種類の前記後部支持部材41の位置決め孔42にそれぞれ嵌合し得る形状に形成されて前記各可動ロッド104…の他端部に個別に固定される複数たとえば3種類の位置決めピン105A,105B,105Cとを備える。
【0038】
可動支持枠100には、前記ガイド壁102と、該ガイド壁102との間に後部支持部材41を挟むように配置される支持壁106とを備える支持腕107がY軸方向に延びるようにして固着され、支持壁106には、位置決めピン105A〜105Cとの間で後部支持部材41を挟むことを可能とした受け部材108が固着され、該受け部材108には各位置決めピン105A〜105Cの先端部を受入れ可能な有底の受入れ孔109が設けられる。
【0039】
前記ガイド壁102およびシリンダ103間には、ガイド孔101の軸線と平行な軸線まわりに回動可能なロッド支持板110が配置されており、このロッド支持板110は、複数個たとえば3個の腕部110a…を周方向に等間隔をあけた複数たとえば3箇所に備えて、たとえば略Y字形に形成されており、各腕部110a…の先端にそれぞれ設けられたロッド保持部111…に、各可動ロッド104…が軸方向の摺動を可能として保持される。
【0040】
図14において、各ロッド保持部111…には、ガイド壁102のガイド孔101と平行な軸線を有する摺動孔112が各可動ロッド104…を摺動可能に嵌合せしめるべく設けられる。また各可動ロッド104…の外面には軸方向に延びる1条のガイド溝113がそれぞれ設けられており、そのガイド溝113に先端部を嵌合させるねじ部材114が各ロッド保持部111…にそれぞれ螺合される。これにより各可動ロッド104…は軸線まわりの回転を不能としつつ軸線方向での摺動を可能として各ロッド保持部111…に保持される。
【0041】
また各可動ロッド104…において他端部寄り外面すなわち位置決めピン105A〜105C寄り外面には、横断面形状をV字状とした環状溝115が設けられる。また各ロッド保持部111…には、各可動ロッド104…の一直径線上に軸線を配置した収納孔116,116が設けられており、可動ロッド104…の外面に接触する一対の球体117,117と、それらの球体117,117を可動ロッド104…側にばね付勢するばね118,118とが各収納孔116,116に収納され、各各収納孔116,116の外端はプラグ119,119で閉じられる。これにより可動ロッド104…が、その他端側に取付けられた位置決めピン105A〜105Cを受け部材108から遠ざける側に後退する際に、前記球体117,117が環状溝115に弾発係合することで、可動ロッド104…の後退限位置が節度的に保持されることになる。
【0042】
シリンダ103は、支持腕107に設けられた取付け板120に取付けられており、ガイド孔101と平行な軸線を有して取付け板120に固定支持されるインデックスモータ121が、該インデックスモータ121から各可動ロッド104…までの距離を等距離として前記ロッド支持板110の中央部に連結され、ロッド支持板110およびインデックスモータ121間には軸受122が介装される。すなわちロッド支持板110はインデックスモータ121で回動駆動されるとともに該インデックスモータ121で回動可能に支承され、インデックスモータ121の作動により、各可動ロッド104…の1つがシリンダ103およびガイド孔101間に択一的にもたらされることになる。
【0043】
シリンダ103が備える前記ピストンロッド103aの先端には、このピストンロッド103aの軸線を通る鉛直平面内で略T字状となる係合部123が該先端から突出して設けられており、各可動ロッド104…のシリンダ103側の一端には、図15で示すように、シリンダ103およびガイド孔101間に可動ロッド104が配置される方向への回動時に前記係合部123に係合するとともに、シリンダ103およびガイド孔101間から可動ロッド104が離脱する方向への回動時に前記係合部123との係合を解除するようにして、略T字状の係合溝124がそれぞれ設けられる。
【0044】
したがって各位置決めピン105A〜105Cを備える可動ロッド104…のうち、選択されてシリンダ103およびガイド壁102間にもたらされる可動ロッド104はシリンダ103に連結されることになり、シリンダ103の伸長作動に応じてガイド孔101内に挿脱可能に嵌合されることになる。
【0045】
図2および図3に注目して、前部支持部材位置決め装置46は、前部フレーム組立体FFが備える前部支持部材32をその位置決め孔34を利用して位置決めする第1前部側位置決め手段125と、第1前部側位置決め手段125を移動させ得る第1前部側位置決め用駆動手段126とから成るものであり、第1前部側位置決め手段125は、前記後部支持部材位置決め装置48の後部側位置決め手段90と基本的には同一に構成される。
【0046】
また第1前部側位置決め用駆動手段126は、X軸、Y軸およびZ軸方向のうち少なくともY軸方向に第1前部側位置決め手段125を移動させるように構成されるものであり、この実施例で第1前部側位置決め用駆動手段126は、X軸およびY軸方向に第1前部側位置決め手段125を移動させ得るように構成される。
【0047】
このように第1前部側位置決め手段125をX軸方向およびZ軸方向に移動させなくても済むのは、車体フレームFの組立時に最初のステップとして前部支持部材位置決め装置46により前部フレーム組立体FFが備える前部支持部材32,32の位置決めをするからであり、前部支持部材32,32が基準位置となって車体フレームFが組立てられることに基づくものである。
【0048】
ダウンチューブ位置決め装置47は、前部フレーム組立体FFが備えるダウンチューブ27をその位置決め孔36を利用して位置決めする第2前部側位置決め手段127と、第2前部側位置決め手段127を移動させ得る第2前部側位置決め用駆動手段128とから成るものであり、第2前部側位置決め手段127は、前記後部支持部材位置決め装置48の後部側位置決め手段90および前部支持部材位置決め装置46の第1前部側位置決め手段125と基本的には同一に構成され、第2前部側位置決め用駆動手段128は、X軸、Y軸およびZ軸方向に第2前部側位置決め手段127を移動させるように構成される。
【0049】
シートレール保持装置49は、後部フレーム組立体FRが備えるシートレール28の前部を上下からクランプする後部側クランプ手段130と、X軸、Y軸およびZ軸方向に後部側クランプ手段130を移動させ得る後部側クランプ用駆動手段131とで構成される。
【0050】
後部側クランプ用駆動手段131は、X軸方向に沿って延びるようにして基台44上に固定されるレール132と、そのレール132上を移動可能な台車133と、X軸方向に延びる軸線を有して基台44に固定配置される電動モータ134と、該電動モータ134の回転力を前記台車133のX軸方向への直線的な駆動力に変換するようにして電動モータ134および台車133間に設けられるねじ送り機構(図示せず)と、Z軸方向すなわち上下方向に延びて台車133に設けられるレール135と、該レール135に沿って昇降可能な昇降台136と、Z軸に沿う軸線を有してレール135に固定配置される電動モータ137と、該電動モータ137の回転力を昇降台136のZ軸方向への直線的な駆動力に変換するようにして電動モータ137および昇降台136間に設けられるねじ送り機構(図示せず)と、後部側クランプ手段130が配設される可動支持体140を案内するようにしてY軸方向に延びるとともに昇降台136に固定されるレール138と、Y軸に沿う軸線を有してレール138に固定される電動モータ139と、該電動モータ139および可動支持体140間に設けられるねじ送り機構(図示せず)とを備える。
【0051】
このような後部側クランプ用駆動手段131によれば、後部側クランプ手段130の可動支持体140をX軸、Y軸およびZ軸方向すなわち車体フレームFの前後方向、幅方向および上下方向に移動させることができ、車体フレームFの種類が変化するのに応じてシートレール28のX軸およびY軸方向に沿う位置および高さが変化するのに対処して、後部側クランプ手段130をシートレール28の位置に対応した任意の位置に移動させることができる。
【0052】
図16〜図18において、後部側クランプ手段130は、後部側クランプ用駆動手段131によって車体フレームFの前後、幅および上下方向に移動可能であるとともに任意の位置で静止可能な可動支持体140と、シートレール28の長手方向と交差する平面内で上方に開いた略V字状に形成されるとともにシートレール28の下方に配置されるようにして可動支持体140に固定される受け部材141と、該受け部材141との間にシートレール28を挟むようにして前記平面内で揺動することを可能として可動支持体140に支持される押圧部材142と、該押圧部材142を揺動駆動するようにして可動支持体140および押圧部材142間に設けられる駆動機構143とを備える。
【0053】
押圧部材142は、X軸に沿う軸線を有する支軸144を介して可動支持体140に回動可能に支承される。この押圧部材142の前記シートレール28への対向面142aは、シートレール28に球面接触する形状に形成される。また受け部材141の前記シートレール28への対向面141aは、シートレール28に球面接触する形状に形成される。
【0054】
駆動機構143は、前記支軸144と平行なピン145で可動支持体140に揺動可能に支承されたシリンダ146のピストンロッド146aが、前記支軸144およびピン145と平行な連結ピン147を介して押圧部材142に連結されて成るものであり、シリンダ146の伸縮作動に応じて押圧部材142が支軸144の軸線まわりに回動することになる。
【0055】
図19において、ヘッドパイプ保持装置45における前部側クランプ用駆動手段51、左右一対の前部支持部材位置決め装置46,46における第1前部側位置決め用駆動手段126,126と、左右一対のダウンチューブ位置決め装置47,47における第2前部側位置決め用駆動手段128,128と、左右一対の後部支持部材位置決め装置48,48における後部位置決め用駆動手段91,91と、左右一対のシートレール保持装置49,49における後部クランプ用駆動手段131,131とは、制御ユニット150により作動制御される。
【0056】
而して制御ユニット150は、ヘッドパイプ保持装置45における前部側クランプ手段50、両前部支持部材位置決め装置46,46における第1前部側位置決め手段125,125、両ダウンチューブ位置決め装置47,47における第2前部側位置決め手段127,127、両後部支持部材位置決め装置48,48における後部位置決め手段90,90、ならびに両シートレール保持装置49,49における後部クランプ手段130,130の位置が、組み立てるべき自動二輪車用車体フレームFの種類に応じて予め設定された位置となるように前記各駆動手段51,91,91,126,126,128,128,131,131の作動を制御する。このため、制御ユニット150が備える記憶部には、組立予定の各車体フレームFの各部位置座標が機種に対応させて予め設定されており、組み立てるべき車体フレームFの機種に応じて前記記憶部から読みだした各部位置座標に基づいて前記各駆動手段51,91,91,126,126,128,128,131,131の作動が制御される。
【0057】
次にこの実施例の作用について説明すると、前端にヘッドパイプ25を有する前部フレーム組立体FFと、後部フレーム組立体FRとを溶接して自動二輪車用車体フレームFを基台44上で組立てるにあたっては、次の第1〜第5のステップを実行する。
【0058】
第1のステップでは、車体フレームFの幅方向であるY軸方向に少なくとも移動可能であり、この実施例では、車体フレームFの前後方向であるX軸方向および前記Y軸方向に移動可能である一対の第1前部側位置決め手段125,125により前部フレーム組立体FFの左右後部である前部支持部材32,32を位置決めするとともに、前記X軸およびY軸方向に移動可能であるとともに車体フレームFの上下方向であるZ軸方向にも移動可能である一対の第2前部側位置決め手段127,127により前部フレーム組立体FFのダウンチューブ27,27を位置決めする。この際、Z軸およびX軸方向の移動を可能とするとともにY軸に沿う軸線まわりの傾動を可能とした前部側クランプ手段50もヘッドパイプ25に対応する位置に配置しておき、前部側クランプ手段50が備える支持ピン67A〜67Dの1つをヘッドパイプ25の下端部に嵌合させておく。これにより前部側クランプ手段50にあっては、ピン支持板68に荷重が作用してガイドピン87…がガイド筒88…に嵌合し、ピン支持板68の回動位置は一定に定まっている。
【0059】
第2のステップでは、前部側クランプ手段50によりヘッドパイプ25を上下からクランプして保持するものであり、このような第1および第2のステップにより、前部フレーム組立体FFが位置決め支持されることになる。
【0060】
しかも前部フレーム組立体FFの左右後部を位置決めする一対の第1前部側位置決め手段125,125を、自動二輪車用車体フレームFの少なくとも幅方向に移動可能とし、前部フレーム組立体FFの前端のヘッドパイプ25をクランプする前部側クランプ手段50を、自動二輪車用車体フレームFFの前後および上下方向に移動可能とするとともに前後方向に傾動可能としたので、前部フレーム組立体FFの左右後部を第1前部側位置決め手段125,125で位置決めした状態で、前部フレーム組立体FFの種類が変化するのに伴なうヘッドパイプ25の位置および姿勢変化を、前部側クランプ手段50の前後および上下方向の移動およびY軸まわりの傾動によりカバーし、前部フレーム組立体FFを精度よく位置決め支持することができる。またX軸、Y軸およびZ軸方向に移動可能である一対の第2前部側位置決め手段127,127で前部フレーム組立体FFのダウンチューブ27,27を位置決めしているので、前部フレーム組立体FFの位置決め支持精度をより一層向上することができる。
【0061】
第3のステップでは、X軸、Y軸およびZ軸方向に移動することを可能とした一対の後部側位置決め手段90,90により後部フレーム組立体FRの左右後部を位置決めし、第4のステップでは、X軸、Y軸およびZ軸方向に移動することを可能とした一対の後部側クランプ手段130,130で後部フレーム組立体FRの左右前部をクランプする。
【0062】
このように後部フレーム組立体FRの左右後部を位置決めする一対の後部側位置決め手段90,90を、自動二輪車用車体フレームFの前後、幅および上下方向に移動可能とし、後部フレーム組立体FRの左右前部をクランプする一対の後部側クランプ手段130,130を、自動二輪車用車体フレームFの前後、幅および上下方向に移動可能としたことにより、後部フレーム組立体FRの種類が変化しても前部フレーム組立体FFに対して後部フレーム組立体FRを精度よく位置決め支持することができ、複数種類の自動二輪車用車体フレームFの組立に対応し得るような汎用性を得るようにして設備費を低減することができる。
【0063】
第5のステップでは、相対位置を定めた前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRを相互に溶接して車体フレームFを組立てる。この際、相対位置を精度良く定めた前部フレーム組立体FFおよび後部フレーム組立体FRを相互に溶接することで溶接精度の安定した車体フレームFを組立てることができる。また一対の後部側位置決め手段90,90および一対の後部側クランプ手段130,130により、前部フレーム組立体FFに対する位置を精度よく定めつつ後部フレーム組立体FRを拘束するので、後部フレーム組立体FR側で溶接歪みが生じていたとしてもその歪みを矯正して自動二輪車用車体フレームFを精度よく組立てることができる。
【0064】
ところで、上記一対の第1前部側位置決め手段125,125をX軸およびY軸方向に移動せしめる一対の第1前部側位置決め用駆動手段126,126の作動と、一対の第2前部側位置決め手段127,127をX軸、Y軸およびZ軸方向に移動せしめる一対の第2前部側位置決め用駆動手段128,128の作動と、前部側クランプ手段50をZ軸およびX軸方向に移動させるとともにY軸に沿う軸線まわりに傾動させる前部側クランプ用駆動手段51の作動と、一対の後部側位置決め手段90,90をX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させる一対の後部側位置決め用駆動手段91,91の作動と、一対の後部側クランプ手段130,130をX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させる一対の後部側クランプ用駆動手段131,131の作動とは、第1前部側位置決め手段125,125、第2前部側位置決め手段128,128、前部側クランプ手段130、後部側位置決め手段90,90および後部側クランプ手段130,130の位置が組み立てるべき自動二輪車用車体フレームFの種類に応じて予め設定された位置となるように、制御ユニット150で制御されものである。
【0065】
したがって組立てるべき自動二輪車用車体フレームFの種類が変化するのに応じて、第1前部側位置決め手段125,125、第2前部側位置決め手段128,128、前部側クランプ手段130、後部側位置決め手段90,90および後部側クランプ手段130,130が、車体フレームFに対応した位置に自動的に移動することになり、自動二輪車用車体フレームFの組立効率を向上させることができる。
【0066】
前部フレーム組立体FFが前端に備えるヘッドパイプ25をクランプして保持するためのヘッドパイプ保持装置45は、複数種類のヘッドパイプ25の下端部にそれぞれ嵌合し得る複数の支持ピン67A〜67Dと、それらの支持ピン67A〜67Dの1つをヘッドパイプ25の下方位置に配置しつつ固定的に支持するピン支持板68と、各支持ピン67A〜67Dの1つに下端部を嵌合せしめたヘッドパイプ25の上端部に該ヘッドパイプ25の種類にかかわらず係合することを可能として前記支持ピン67A〜67Dの1つとの間で前記ヘッドパイプ25をクランプし得る押圧部材69と、ヘッドパイプ25を上方から押圧する押圧力を押圧部材69に付与するシリンダ70とを備えている。
【0067】
したがって保持すべきヘッドパイプ25に応じて選択された支持ピン67A〜67Dの1つと、複数種類のヘッドパイプ25に対応し得る押圧部材69との間にヘッドパイプ25をクランプすることが可能であり、複数種類の自動車用車体フレームFの組立に対処可能な汎用性をヘッドパイプ保持装置45に付与することができ、設備費の低減を図ることができる。
【0068】
また一端に押圧部材69が取付けられるアーム71の他端に、ヘッドパイプ25の軸線と平行な軸線を有して固定位置に配置されるシリンダ70のピストンロッド70aが連結ピン73を介して連結され、ヘッドパイプ25の軸線と平行に延びる第1孔部76aの上端に上方に向かうにつれてヘッドパイプ25から遠ざかる側に傾斜した第2孔部76bが連なって成るカム孔76,76を有するカム板75,75が、シリンダ70との相対位置を一定にして可動支持枠62に固定配置され、カム孔76,76内を転動することを可能としたローラ77,77がアーム71の中間部に軸支されている。
【0069】
このため、シリンダ70の伸縮作動に応じてローラ77,77がカム孔76,76内を転動するのに応じて、アーム71が連結ピン73とともに移動しつつ連結ピン73を支点として回動する。この際、カム孔76の下部はヘッドパイプ25の軸線と平行に延びる第1孔部76aとして形成されており、ローラ77が第1孔部76a内を転動する際にはアーム70すなわち押圧部材69もヘッドパイプ25の軸線と平行に移動することになる。したがってヘッドパイプ25の上端部を押圧部材69で押すときには該押圧部材69の移動方向をヘッドパイプ25の軸線に沿う方向とすることができ、ヘッドパイプ25の長さの変化にかかわらず、ヘッドパイプ25を支持ピン67A〜67Dの1つおよび押圧部材69間で安定して確実にクランプすることができる。
【0070】
しかもヘッドパイプ25の軸線と平行な軸線まわりに回動可能としてヘッドパイプ25の下方位置に配置されるピン支持板68に、複数種類のヘッドパイプ25にそれぞれ個別に対応した支持ピン67A〜67Dが前記ピン支持板68の周方向に等間隔をあけた複数箇所に配置されるようにしてそれぞれ固定されるとともに、前記複数の支持ピン67A〜67Dの1つをヘッドパイプ25の下方位置に択一的にもたらすインデックス機構80が連結されている。したがって組立てるべき自動二輪車用車体フレームFの種類が変化するのに応じて、ヘッドパイプ25に対応した支持ピン67A〜67Dの1つを自動的に選択してヘッドパイプ25の下方にもたらすことができ、組立効率を向上することができる。
【0071】
自動二輪車用車体フレームFの一部を構成して該車体フレームFの略前後方向に延びるパイプ状のシートレール28をクランプして保持するためのシートレール保持装置49は、車体フレームFの前後、幅および上下方向に移動可能であるとともに任意の位置で静止可能な可動支持体140と、シートレール28の長手方向と交差する平面内で上方に開いた略V字状に形成されるとともにシートレール28の下方に配置されるようにして可動支持体140に固定される受け部材141と、該受け部材141との間にシートレール28を挟むようにして前記平面内で揺動することを可能として可動支持体140に支持される押圧部材142と、該押圧部材142を揺動駆動するようにして可動支持体140および押圧部材142間に設けられる駆動機構143とを備えるものである。
【0072】
したがってクランプすべきシートレール28の種類に対応した位置でシートレール28の下方に受け部材141を固定配置し、その受け部材141との間でシートレール28を挟むように押圧部材142を揺動させることにより、シートレール28をその外径の変化にかかわらずクランプすることができる。
【0073】
また受け部材141および押圧部材142のシートレール28への対向面は、シートレール28に球面接触する形状に形成されているので、シートレール28の長手方向と、受け部材141および押圧部材142が配置される平面とのなす角度が多少変化しても、受け部材141および押圧部材142間でシートレール28を確実にクランプすることができる。
【0074】
したがって複数種類の自動車用車体フレームFの組立に対処可能な汎用性をシートレール保持装置49に付与することができ、設備費の低減を図ることができる。
【0075】
自動二輪車用車体フレームFの一部を構成するとともに該車体フレームFの幅方向に延びる位置決め孔42を有する後部支持部材41を、位置決め孔42を利用して位置決めするための後部支持部材位置決め装置48は、ガイド孔101を有するとともに該ガイド孔101を位置決め孔42に対応させる位置で後部支持部材41の外側面に対向し得るガイド壁102と、ガイド孔101の軸線に対し同軸配置されて該ガイド孔101に向けて突出するピストンロッド103aを有して、ガイド壁102に関して後部支持部材41とは反対側に配置されるシリンダ103と、ガイド孔101の軸線と平行な軸線まわりの回動を可能としてガイド壁102およびシリンダ103間に配置されるロッド支持板110と、このロッド支持板110の周方向に等間隔をあけた位置にガイド孔101の軸線と平行な方向への摺動を可能として保持され、ガイド孔101に摺動可能且つ抜差可能に嵌合し得る複数の可動ロッド104…と、これらの可動ロッド104…の1つをシリンダ103およびガイド孔101間に択一的にもたらすことを可能としてロッド支持板110を回動駆動するインデックスモータ121とを基台44上に備え、ピストンロッド103aの先端には、該先端から突出する係合部123が設けられる一方、各々の前記可動ロッド104…の、シリンダ103側の一端部には、ロッド支持板110の回動により該各々の可動ロッド104…がシリンダ103よびガイド孔101間に進入するのに応じて係合部123に係合し且つシリンダ103およびガイド孔101間より退出するのに応じて係合部123から離脱する係合溝124がそれぞれ設けられ、複数の可動ロッド104…の他端部には、複数種類の後部支持部材41の位置決め孔42にそれぞれ嵌合し得る形状に形成された複数種類の位置決めピン105A〜105Cが個別に固定されている。
【0076】
したがって複数の可動ロッド104…のうち、位置決めすべき後部支持部材41に対応した位置決めピン105A〜105Cを備える可動ロッド104が、インデックスモータ121及びロッド支持板110により選択されてシリンダ103およびガイド壁102間にもたらされるとともに、シリンダ103のピストンロッド103aとの連結によりガイド孔101内に挿脱可能に嵌合され、位置決めすべき後部支持部材41の位置決め孔42に対応して各可動ロッド104に個別に固定された位置決めピンをガイド孔101に適確に嵌合して後部支持部材41を位置決めすることができ、複数種類の自動車用車体フレームFの組立に対処可能な汎用性を後部支持部材位置決め装置48に付与することができ、設備費の低減を図ることができる。しかも、シリンダ103と、ロッド支持板110と、複数種類の位置決めピン105A〜105Cが個別に固定される可動ロッド104…と、インデックスモータ121とを備え、シリンダ103のピストンロッド103aの先端には、該先端から突出する係合部123が設けられる一方、各々の可動ロッド104…の、シリンダ側の一端部には、ロッド支持板110の回動により該各々の可動ロッド104…が前記シリンダ103およびガイド孔101間に進入するのに応じて係合部123に係合し且つシリンダ103およびガイド孔101間より退出するのに応じて係合部123から離脱する係合溝124がそれぞれ設けられるので、複数種類の位置決めピン105A〜105Cのうちの1つを位置決めすべき後部支持部材41に対応させて選択し、ガイド孔101に精度よく対応させる位置までもたらすようにした構成を、簡単な構造で得ることができる。
【0077】
さらに自動二輪車用車体フレームFの一部を構成するとともに該車体フレームFの幅方向に延びる位置決め孔34を有する前部支持部材32を、位置決め孔34を利用して位置決めするための前部支持部材位置決め装置46、ならびに自動二輪車用車体フレームFの一部を構成するとともに該車体フレームFの幅方向に延びる位置決め孔36を有するダウンチューブ27を、位置決め孔36を利用して位置決めするためのダウンチューブ位置決め装置47も、後部支持部材位置決め装置48と同様に構成されており、複数種類の自動車用車体フレームFの組立に対処可能な汎用性を前部支持部材位置決め装置46およびダウンチューブ位置決め装置47に付与して設備費の低減を図ることができる。
【0078】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0079】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、位置決めすべきフレーム部材の位置決め孔に対応した位置決めピンをガイド孔に適確に嵌合してフレーム部材を位置決めすることができ、複数種類の自動車用車体フレームの組立に対処可能な汎用性を得ることができ、設備費の低減を図ることができる。しかもこのような、複数種類の位置決めピンのうちの1つを位置決めすべきフレーム部材に対応させて選択し、ガイド孔に精度よく対応させる位置までもたらすようにした構成を、簡単な構造で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動二輪車用車体フレームの一例の斜視図である。
【図2】 組立装置の縦断側面図であって図3の2−2線に沿う断面図である。
【図3】 上半部を作動状態とするとともに下半部を非作動状態として示す図2の3矢視図である。
【図4】 図3の4−4線拡大断面図である。
【図5】 図3の5矢視拡大図である。
【図6】 図5の6−6線断面図である。
【図7】 図5の7−7線断面図である。
【図8】 図7の8−8線断面図である。
【図9】 図6の9−9線断面図である。
【図10】 図6の10−10線断面図である。
【図11】 図3の11−11線拡大断面図である。
【図12】 図11の12矢視図である。
【図13】 図11の13−13線断面図である。
【図14】 図11の14−14線拡大断面図である。
【図15】 図11の15−15線拡大断面図である。
【図16】 図3の16−16線矢視拡大図である。
【図17】 図16の17−17線断面図である。
【図18】 図16の18−18線断面図である。
【図19】 組立装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
27・・・フレーム部材としてのダウンチューブ
32・・・フレーム部材としての前部支持部材
34,36,42・・・位置決め孔
41・・・フレーム部材としての後部支持部材
44・・・基台
101・・・ガイド孔
102・・・ガイド壁
103・・・シリンダ
103a・・・ピストンロッド
104・・・可動ロッド
105A,105B,105C・・・位置決めピン
110・・・ロッド支持板
121・・・インデックスモータ
123・・・係合部
124・・・係合溝
F・・・自動二輪車用車体フレーム
Claims (1)
- 自動二輪車用車体フレーム(F)の一部を構成するとともに該車体フレーム(F)の幅方向に延びる位置決め孔(34,36,42)を有するフレーム部材(32,27,41)を、前記車体フレーム(F)の組立時に前記位置決め孔(34,36,42)を利用して位置決めするための位置決め装置であって、
前記位置決め孔(34,36,42)に対応するガイド孔(101)を有するとともに該ガイド孔(101)を前記位置決め孔(34,36,42)に対応させる位置で前記フレーム部材(32,27,41)の外側面に対向し得るガイド壁(102)と、
前記ガイド孔(101)の軸線に対し同軸配置されて該ガイド孔(101)に向けて突出するピストンロッド(103a)を有して、前記ガイド壁(102)に関して前記フレーム部材(32,27,41)とは反対側に配置されるシリンダ(103)と、
前記ガイド孔(101)の軸線と平行な軸線まわりの回動を可能として前記ガイド壁(102)および前記シリンダ(103)間に配置されるロッド支持板(110)と、
このロッド支持板(110)の周方向に等間隔をあけた位置に前記ガイド孔(101)の軸線と平行な方向への摺動を可能として保持され、前記ガイド孔(101)に摺動可能且つ抜差可能に嵌合し得る複数の可動ロッド(104)と、
これらの可動ロッド(104)の1つを前記シリンダ(103)およびガイド孔(101)間に択一的にもたらすことを可能として前記ロッド支持板(110)を回動駆動するインデックスモータ(121)とを基台(44)上に備え、
前記ピストンロッド(103a)の先端には、該先端から突出する係合部(123)が設けられる一方、各々の前記可動ロッド(104)の、前記シリンダ(103)側の一端部には、前記ロッド支持板(110)の回動により該各々の可動ロッド(104)が前記シリンダ(103)およびガイド孔(101)間に進入するのに応じて前記係合部(123)に係合し且つ前記シリンダ(103)およびガイド孔(101)間より退出するのに応じて前記係合部(123)から離脱する係合溝(124)がそれぞれ設けられ、
前記複数の可動ロッド(104)の他端部には、複数種類の前記フレーム部材(32,27,41)の位置決め孔(34,36,42)にそれぞれ嵌合し得る形状に形成された複数種類の位置決めピン(105A〜105C)が個別に固定されることを特徴とする自動二輪車用車体フレームのフレーム部材位置決め装置。
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