JP4510406B2 - 地盤振動対策用土、地盤振動対策地中壁、地盤振動対策地中壁・底壁の施工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤振動対策用土、地盤振動対策地中壁、地盤振動対策地中壁・底壁の施工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設現場等において発生した残土の施工後の埋め戻し等の対策処理技術に関しては各種のものが提案されている。
【0003】
また、建設現場等において発生した残土を処理して得られた土を、道路、鉄道線路等、及びこれらに隣接する地盤に用いた場合、多くの車輛の走行に伴う振動が伝播され、この地盤上にビル、家屋等の建物がある場合、この建物へも当該振動が伝播される。この結果、固体音、地盤沈下、建物の傾き、損傷等の悪影響を及ぼすのが一般である。
【0004】
特許文献1には、建設現場等において発生した残土の施工後の埋め戻し等の対策処理技術が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1の建設現場等において発生した残土の施工後の埋め戻し等の対策処理技術は、施工後の埋め戻しのためのみの技術であり、これを振動低減用として処理された土として用いるような技術ではない。
【0006】
【特許文献1】
特公平8−26538号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来の実情に鑑み開発されたものであり、車輛等の走行に伴って道路等の地盤に発生する振動が、隣接する地盤へ伝播することを効果的に抑制することができ、しかも、低価格に構成できる地盤振動対策用土、地盤振動対策地中壁及び地盤振動対策地中壁・底壁の施工法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の地盤振動対策用土は、土砂を主材とし、水又は調整水、固化材、混和剤を加えて混練して形成したソイルモルタルに、添加物としてゴムチップ片か古タイヤのチップ片かのいずれかからなる弾性材及び/又は発泡スチロールか発泡ウレタンかのいずれかからなるプラスチックの発泡ビーズを混練し、バインダーとして、全固形分45(%)、pH10.0、比重約0.99、粘度20(mPa・s)、平均粒径200(nm)、Tg−15(℃)の合成ゴム製ラテックスを混練してなることを特徴とし、前記合成ゴム製ラテックスにより前記ソイルモルタルと弾性材及び/又はプラスチックの発泡ビーズとの分離を解消すると同時に、当該ラテックスの弾性作用によりソイルモルタルの極端な硬化又は固化による振動吸収機能の低減を解消しつつ、各混練材の接着作用を発揮しながら効率よく振動吸収できる種態としたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、バインダーとして、全固形分45(%)、pH10.0、比重約0.99、粘度20(mPa・s)、平均粒径200(nm)、Tg−15(℃)のラテックスを用いることにより、ゴムチップ片又は古タイヤのチップ片、発泡スチロール又は発泡ウレタンの弾性作用で優れた振動抑制作用を有し、しかも、廃材利用による低価格の地盤振動対策用土を提供できる。
【0010】
請求項2記載の地盤振動対策地中壁は、土砂を主材とし、水又は調整水、固化材、混和剤を加えて混練して形成したソイルモルタルに、添加物としてゴムチップ片か古タイヤのチップ片かのいずれかからなる弾性材及び/又は発泡スチロールか発泡ウレタンかのいずれかからなるプラスチックの発泡ビーズを混練し、バインダーとして、全固形分45(%)、pH10.0、比重約0.99、粘度20(mPa・s)、平均粒径200(nm)、Tg−15(℃)の合成ゴム製ラテックスを混練してなることを特徴とし、前記合成ゴム製ラテックスにより前記ソイルモルタルと弾性材及び/又はプラスチックの発泡ビーズとの分離を解消すると同時に、当該ラテックスの弾性作用によりソイルモルタルの極端な硬化又は固化による振動吸収機能の低減を解消しつつ、各混練材の接着作用を発揮しながら効率よく振動吸収できる種態とし、鉄道車輛、自動車車輛の走行に伴って発生する路線地盤の振動の隣接地盤への伝播を効果的に抑制することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の地盤振動対策地中壁・底壁の施工法は、土砂を主材とし、水又は調整水、固化材、混和剤を加えて混練して形成したソイルモルタルに、添加物としてゴムチップ片か古タイヤのチップ片かのいずれかからなる弾性材及び/又は発泡スチロールか発泡ウレタンかのいずれかからなるプラスチックの発泡ビーズを混練し、バインダーとして、全固形分45(%)、pH10.0、比重約0.99、粘度20(mPa・s)、平均粒径200(nm)、Tg−15(℃)の合成ゴム製ラテックスを混練してなることを特徴とし、前記合成ゴム製ラテックスにより前記ソイルモルタルと弾性材及び/又はプラスチックの発泡ビーズとの分離を解消すると同時に、当該ラテックスの弾性作用によりソイルモルタルの極端な硬化又は固化による振動吸収機能の低減を解消しつつ、各混練材の接着作用を発揮しながら効率よく振動吸収できる種態とし、鉄道車輛、自動車車輛の走行に伴って発生する路線地盤の振動の隣接地盤への伝播を効果的に抑制することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2、3記載の各発明によれば、前記請求項1記載の低価格の地盤振動対策用土を用いることによって、鉄道車輛(地下鉄を含む)、各種自動車の車輛等の走行に伴って線路(地下鉄を含む)、道路等の地盤に発生する振動が、隣接する地盤へ伝播することを効果的に抑制することができる地盤振動対策地中壁及び地盤振動対策地中壁・底壁の施工法を提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。
本実施の形態に係る地盤振動対策用土20は、土砂を主材とし、水(又は例えば調整水)、固化材としてのセメント、混和剤を加えて混練して形成したソイルモルタルに、添加物として弾性材(例えばゴムチップ片又は古タイヤのチップ片等)及び/又はプラスチックの発泡ビーズ(例えば発泡スチロール又は発泡ウレタン等)を混練し、バインダーとしてラテックス(例えば合成ゴム製等)を混練して構成している。
【0014】
一般的なソイルモルタルとは、建設現場で発生した土等に固化材を混合して建設資材として再利用する方法の用いるためのものであり、例えば単に土とセメントを混合したものをいう。
【0015】
主材である土砂は、主に公知の処理を施した土、土砂、或いは高含水比の粘土、シルト等を用いるが、これに限らず広く一般の発生土自体を用いることもできる。
【0016】
前記調整水とは、各材の分離を防止するために比重を調整した水である。また、この場合、主材である土が砂質土系の土の場合、各材の分離を防止するために比重を調整した水を添加し、一定量の細粒分を確保して処理したような比重を調整した水も使用できる。
【0017】
また、地盤振動対策用土20を構成する各材の配合比は、適用される地盤の地質や、発生する振動の想定値等によって種々に変更されるものである。
【0018】
バインダーとしてのラテックス(変成SB中スチレン)は、例えば液状のラテックス(合成ゴム微粒子を水中に分散したもの)を使用する。
このラテックスとしては、例えば、全固形分45(%)、pH10.0、比重約0.99、粘度20(mPa・s)、平均粒径200(nm)、Tg−15(℃)のものを用いる。
バインダーとしてのラテックスは、この他、粉状、エマルジョンのラテックスを用いることができる。
【0019】
ラテックスは、地盤振動対策用土20の各材を分離させることなく接着する性質を有し、且つ、当該各材の弾性作用を阻害しない機能やクラック発生を防止する機能等を発揮する。
【0020】
本実施の形態では、前記ソイルモルタルと弾性材(例えばゴムチップ片又は古タイヤのチップ片等)及び/又はプラスチックの発泡ビーズ(例えば発泡スチロール又は発泡ウレタン等)との分離をなくすためには、固化材としてのセメントだけでは不十分であることからラテックスを用い、しかも、ソイルモルタルを極端に硬化又は固化したのでは振動吸収作用を発揮させることができなくなるが、ラテックスの弾性作用でかかる不都合を無くし、各材の接着作用をも発揮しながら、効率よく振動吸収可能とするものである。
【0021】
そして、図1に示すように、例えば、線路6又は道路1とビル2との間において、地盤10に、線路6又は道路1に沿うようにして所定深さの充填穴3を掘削し、この充填穴3内に、本実施の形態に係る地盤振動対策用土20を打設し、固化させる。これにより、前記線路6又は道路1とビル2との間に地盤振動対策用土20からなる地盤振動対策地中壁11が構築される。
この場合、地盤振動対策地中壁11は、後記するように充填穴3の周囲の他底面にも用いることができる。
【0022】
上述のようにして構築した地盤振動対策地中壁11において、鉄道車輛7又は車輛4の走行に伴って道路1に発生した振動が地盤10へ伝播し、前記地盤振動対策地中壁11へ至り、更にビル2側へと伝播するが、地盤振動対策地中壁11を構成する地盤振動対策用土20中のバインダーとしてのラテックスにより本来の機能を保持されたゴムのチップ片や古タイヤのチップ片、発泡スチロール又は発泡ウレタン等の弾性作用で、前記振動が効果的に吸収されることにより、前記振動がビル2側へ伝播することが抑制される。
【0023】
また、古タイヤのチップ片、廃材からなる発泡スチロールを用いて地盤振動対策用土20を構成した場合、地盤振動対策用土20を廃材を利用して低価格で構成できる利点がある。
【0024】
本実施の形態において示した各構成材の諸形状や寸法等は用途等に基づき種々変更可能である。
本発明では、本実施の形態に係る地盤振動対策用土の適用対象としては、図1に示す他、図2に示すように、例えば、ビル2の地下周囲の地盤10に、所定深さの充填穴3を掘削し、この充填穴3内に、本実施の形態に係る地盤振動対策用土20を打設し、固化させることにより、例えば地下鉄5が惹起する振動に対処するためのものとして地盤振動対策用土20からなる地盤振動対策地中壁・底壁31が構築される。
【0025】
この場合の地盤振動対策地中壁・底壁31は、ビル2の地下部分の周囲及び底面全体を含むものである。
【0026】
この場合においても前記したと同様に、振動が効果的に吸収されることにより、この振動がビル2側へ伝播することが抑制される。
【0027】
本実施の形態に係る適用対象としては、上下水道、ガス管、電力ケーブル、通信ケーブル等のライフラインの共同溝、地下駐車場、地下構造物、トンネル等を挙げることができる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1記載の各発明によれば、バインダーとして、全固形分45(%)、pH10.0、比重約0.99、粘度20(mPa・s)、平均粒径200(nm)、Tg−15(℃)のラテックスを用いることにより、ゴムチップ片又は古タイヤのチップ片、廃材からなる発泡スチロール又は発泡ウレタンの弾性作用で優れた振動抑制作用を有し、しかも、廃材利用による低価格の地盤振動対策用土を得ることができる。
【0029】
請求項2、3記載の各発明によれば、前記請求項1記載の低価格の地盤振動対策用土を用いることによって、車輛等の走行に伴って道路等の地盤に発生する振動が、隣接する地盤へ伝播することを効果的に抑制することができる地盤振動対策地中壁及び地盤振動対策地中壁・底壁の施工法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る地盤振動対策用土を用いて構築した地盤振動対策地中壁の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る地盤振動対策用土を用いて構築した地盤振動対策地中壁・底壁の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 道路
2 ビル
3 充填穴
4 車輛
5 地下鉄
6 線路
7 鉄道車輛
10 地盤
11 地盤振動対策地中壁
20 地盤振動対策用土
31 地盤振動対策地中壁・底壁
Claims (3)
- 土砂を主材とし、水又は調整水、固化材、混和剤を加えて混練して形成したソイルモルタルに、添加物としてゴムチップ片か古タイヤのチップ片かのいずれかからなる弾性材及び/又は発泡スチロールか発泡ウレタンかのいずれかからなるプラスチックの発泡ビーズを混練し、バインダーとして、全固形分45(%)、pH10.0、比重約0.99、粘度20(mPa・s)、平均粒径200(nm)、Tg−15(℃)の合成ゴム製ラテックスを混練してなることを特徴とし、
前記合成ゴム製ラテックスにより前記ソイルモルタルと弾性材及び/又はプラスチックの発泡ビーズとの分離を解消すると同時に、当該ラテックスの弾性作用によりソイルモルタルの極端な硬化又は固化による振動吸収機能の低減を解消しつつ、各混練材の接着作用を発揮しながら効率よく振動吸収できる種態としたことを特徴とする地盤振動対策用土。 - 土砂を主材とし、水又は調整水、固化材、混和剤を加えて混練して形成したソイルモルタルに、添加物としてゴムチップ片か古タイヤのチップ片かのいずれかからなる弾性材及び/又は発泡スチロールか発泡ウレタンかのいずれかからなるプラスチックの発泡ビーズを混練し、バインダーとして、全固形分45(%)、pH10.0、比重約0.99、粘度20(mPa・s)、平均粒径200(nm)、Tg−15(℃)の合成ゴム製ラテックスを混練し地盤振動対策用土により構築したことを特徴とし、
前記合成ゴム製ラテックスにより前記ソイルモルタルと弾性材及び/又はプラスチックの発泡ビーズとの分離を解消すると同時に、当該ラテックスの弾性作用によりソイルモルタルの極端な硬化又は固化による振動吸収機能の低減を解消しつつ、各混練材の接着作用を発揮しながら効率よく振動吸収できる種態とし、鉄道車輛、自動車車輛の走行に伴って発生する路線地盤の振動の隣接地盤への伝播を効果的に抑制することができるようにしたことを特徴とする地盤振動対策地中壁。 - 地中に充填穴を堀削する工程と、
当該充填穴に、土砂を主材とし、水又は調整水、固化材、混和剤を加えて混練して形成したソイルモルタルに、添加物としてゴムチップ片か古タイヤのチップ片かのいずれかからなる弾性材及び/又は発泡スチロールか発泡ウレタンかのいずれかからなるプラスチックの発泡ビーズを混練し、バインダーとして、全固形分45(%)、pH10.0、比重約0.99、粘度20(mPa・s)、平均粒径200(nm)、Tg−15(℃)の合成ゴム製ラテックスを混練してなる地盤振動対策用土を充填し、これを固化させる工程と、
を含むことを特徴とし、
前記合成ゴム製ラテックスにより前記ソイルモルタルと弾性材及び/又はプラスチックの発泡ビーズとの分離を解消すると同時に、当該ラテックスの弾性作用によりソイルモルタルの極端な硬化又は固化による振動吸収機能の低減を解消しつつ、各混練材の接着作用を発揮しながら効率よく振動吸収できる種態とし、鉄道車輛、自動車車輛の走行に伴って発生する路線地盤の振動の隣接地盤への伝播を効果的に抑制することができるようにしたことを特徴とする地盤振動対策地中壁・底壁の施工法。
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