JP4509604B2 - 形状データ取得方法および形状測定装置 - Google Patents

形状データ取得方法および形状測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、形状データ取得方法および形状測定装置に関し、詳細には、形状データを得るためのサンプリング周波数や帯域制限する帯域処理の改良に関する。
従来より、光学レンズを始めとする被測定体の3次元輪郭形状を測定する形状測定装置が知られている。
この形状測定装置は、被測定体を所定のステージ上に配置し、プローブ(スタイラス等各種変位体を含む。以下、同じ。)と被測定体の表面との接触を維持しつつ、あるいはプローブと被測定体の表面との間の間隔を一定に維持しつつ、プローブが被測定体を相対的に2次元走査するように、プローブまたはステージを2次元変位させ、この2次元変位の各位置におけるプローブの変位量を検出することにより、被測定体の3次元表面形状を表す形状データを得るものである(特許文献1)。
ここで、特許文献1に記載のものは、スタイラスの3軸方向の各変位から求められる法線ベクトルの大きさが一定となるように、スタイラスの3次元倣い速度が設定されており、速い倣い速度のときは、得られた形状データである倣いデータを帯域処理するローパスフィルタの時定数を小さく(カットオフ周波数を高く)して、倣い速度の高速化による影響を低減し、所定の波長以上の形状データを取得するものである。
また、スタイラスの変位量が急激に変化するときは、予め設定された大きな時定数(低いカットオフ周波数)に切り替えて倣いデータを帯域処理することにより、高速倣い時に時定数一定の帯域処理を施すことによる倣いデータの鈍りを防止し、形状データの誤差を抑制するものである。
一方、検出された形状データに混入するノイズを軽減するため、デジタル演算による帯域処理を施すことにより、形状測定装置の機械共振周波数やノイズ等を低減する技術が提案されている(非特許文献1)。
なお、この非特許文献1には、帯域処理としてローパスフィルタ処理が用いられ、このローパスフィルタ処理のカットオフ周波数は50Hzに固定されている。
また、形状測定装置全体を統括制御する統括制御用演算部と、測長部によって検出されたプローブの変位データを取得するデータ取得用演算部とを備え、データ取得用演算部は、所定のサンプリング周期で、測長部によって検出された変位データを取得する形状測定装置が提案されている(特許文献2)。
特許第2902005号公報 根岸真人、外4名,「非球面光学素子の超平滑研磨技術に関する研究(第1報)〜オンマシン形状測定装置の開発〜」,平成7年,精密工学会誌Vol.61,No.12,1995,p.1725−p.1729 特開2003−28623号公報
ところで、形状測定における被測定体の種類や形状データの用途等に応じた測定条件は多様である。
すなわち、例えば温度ドリフト等の経時変化を抑えた測定を行う場合には、高速走査かつ高分解能(短い波長まで)で測定することが求められ、例えばプラスチック成形品自体の形状検査や形状データをチェッカー的に用いる場合には、高速走査かつ低分解能(長い波長)で測定すれば足り、例えばプラスチック成形品の金型のように非常に高精度に測定する必要がある場合には、形状測定装置自体の機械共振や外乱の影響を低く抑えるために低速で走査しつつ高分解能で測定することが求められる。
しかし、特許文献1に記載の技術は、単に倣い速度(走査速度)に応じてローパスフィルタ処理の時定数を変更するに止まるものであるため、上述した多様な測定条件下で適切な形状データを得ることはできない。
すなわち、短い波長成分まで測定すべく短いサンプリング間隔(高分解能)を設定しても、ローパスフィルタの帯域処理によって、所望とする空間周波数帯域が鈍り、精度のよい形状データを取得することができず、また、長い波長成分のみを測定すべく長いサンプリング間隔(低分解能)を設定しても、不必要に高い空間周波数帯域の形状データが混入して検出されるため、S/Nの低下やエリアシングの発生という問題が生じ、また得られる形状データのデータ量も無用に多くなるという問題が生じる。
また、非特許文献1に記載の技術は、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数が50Hzに固定されているため、多様な測定条件に適応することができない。
すなわち、例えば、被測定体の形状データとして所望とする周波数成分が50Hzを超える測定条件のときは、所望とする周波数成分の位相遅れが大きくなって、適切な形状データを得ることができない。
また、特許文献2に記載の技術は、形状データ(取得データ)に対するフィルタ処理(帯域処理)をサンプリングごとに行なうものの、データのサンプリングとともにフィルタ処理を行なう場合、実現可能なフィルタ帯域はナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2)に規定され、位相の遅れも大きくなる。
さらに、フィルタ処理によって高周波成分を効果的にカットするためには、帯域処理のカットオフ周波数をサンプリング周波数よりも十分低く設定する必要があり、フィルタ処理後のデータが、測定に要求される周波数成分を含むためには、サンプリング段階で、要求周波数の数倍から数十倍のデータを取得する必要があり、形状データの容量が増加し、この形状データを使用した形状評価の処理において演算処理時間の増加や使用メモリの増加等ハードウェア資源の消費増大を招く。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、取得されるデータ量を低減しつつ、所望とする分解能(波長成分)を満たす形状データを得ることができる形状データ取得方法および形状測定装置を提供することを目的とするものである。
本発明に係る形状データ取得方法および形状測定装置は、取得された形状データを帯域処理する際の帯域通過特性を、設定された走査速度およびサンプリング間隔に基づいて算出されるサンプリング周波数に応じて、自動的に変更することにより、所望とする周波数成分を含む形状データを取得するとともに、無用にデータ量が増大するのを防止したものである。
すなわち、本発明の請求項1に係る形状データ取得方法は、被測定体を所定の走査速度で2次元走査しつつ、所定のサンプリング間隔で、前記2次元走査の方向に略直交する方向における前記被測定体の輪郭位置を検出することにより、前記被測定体の3次元輪郭形状を表す形状データを取得し、この取得された形状データに対して、所定の帯域処理を施すことにより、帯域処理された形状データを取得する被測定体の形状データ取得方法において、前記帯域処理の帯域通過特性を、前記走査速度と前記サンプリング間隔とに基づいて算出されるサンプリング周波数に応じて変更し、前記変更される帯域通過特性はカットオフ周波数であり、前記帯域処理は前記形状データのうち前記カットオフ周波数を超える周波数成分の通過を制限するローパスフィルタ処理であり、前記サンプリング周波数が大きくなるにしたがって前記カットオフ周波数が大きくなるように、該カットオフ周波数を変更し、前記所定の走査速度と前記所定のサンプリング間隔とに基づいて算出されるサンプリング周波数である第1のサンプリング周波数に代えて、該第1のサンプリング周波数よりも大きく設定された第2のサンプリング周波数に基づいて前記形状データを中間的に取得するとともに、前記第1のサンプリング周波数に代えて前記第2のサンプリング周波数に応じて前記帯域通過特性を変更し、前記中間的に取得された形状データに対して、前記帯域通過特性が変更された帯域処理を施し、前記帯域処理して得られた形状データを、前記第1のサンプリング周波数によってサンプリング処理(例えば、間引き処理)し、前記帯域処理をデジタル演算処理により行い、該デジタル演算処理の処理間隔を、前記第2のサンプリング周波数の周期間隔とし、カットオフ周波数を規定する定数は、互いに異なる複数の定数のうちから択一的に選択されるとともに、前記定数の数は、前記第1のサンプリング周波数に対する前記第2のサンプリング周波数の比と同数であることを特徴とする。
ここで、被測定体の輪郭位置の検出は、プローブのように機械的な検出子の変位を検出するものであってもよいし、レーザビーム等光や超音波などを走査して、被測定体の表面からの反射波を検出するものであってもよい。
また、サンプリング周波数が大きくなるにしたがって、カットオフ周波数が大きくなるように、カットオフ周波数を変更するに際しては、カットオフ周波数をサンプリング周波数に正比例させるのが、帯域通過特性の変更処理として演算処理が簡易であり、好ましい。
なお、サンプリング周波数fsampは、走査速度Vscanとサンプリング間隔dsampとに基づいて、以下の式(1)により算出することができる。
fsamp=Vscan/dsamp (1)
また、本発明の請求項2に係る形状データ取得方法は、請求項1に係る形状データ取得方法において、該輪郭位置に追従するように前記略直交する方向に沿ってプローブを変位させ、前記プローブの変位量を検出することによって、前記輪郭位置を検出することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る形状データ取得方法は、請求項1または2に係る形状データ取得方法において、前記第2のサンプリング周波数は、前記第1のサンプリング周波数に応じて変更されることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係る形状データ取得方法は、請求項1から3のうちいずれか1項に係る形状データ取得方法において、前記第2のサンプリング周波数と同一または該第2のサンプリング周波数よりも大きい第3のサンプリング周波数(例えば、基準クロック等の周波数)に基づいて、前記第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数を生成することを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係る形状データ取得方法は、請求項4に係る形状データ取得方法において、前記第1のサンプリング周波数および前記第2のサンプリング周波数は、前記第3のサンプリング周波数に対する演算器のタイマー割込みによって生成されることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に係る形状データ取得方法は、請求項4または5に係る形状データ取得方法において、前記第3のサンプリング周波数を分周して生成された周波数のうち、前記第1のサンプリング周波数に最も近い周波数を、前記第1のサンプリング周波数として用いることを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係る形状データ取得方法は、請求項6に係る形状データ取得方法において、前記第2のサンプリング周波数が、前記第1のサンプリング周波数の略定数倍となるように設定される場合において、前記第1のサンプリング周波数に最も近い周波数が生成されたときの分周比を、前記第1のサンプリング周波数に対する前記第2のサンプリング周波数の比で除算し、該除算により得られた商の整数部分で前記第3のサンプリング周波数を除算することによって生成された周波数を、前記第2のサンプリング周波数として用いることを特徴とする。
また、本発明の請求項8に係る形状データ取得方法は、請求項1から7のうちいずれか1項に係る形状データ取得方法において、前記第2のサンプリング周波数が、前記第1のサンプリング周波数の略定数倍となるように設定される場合において、前記第1のサンプリング周波数に最も近い周波数が生成されたときの分周比を、前記第1のサンプリング周波数に対する前記第2のサンプリング周波数の比で除算し、該除算により得られた整数の商以外の余りの値に応じて、前記定数の選択を切り替えることを特徴とする。
本発明の請求項1に係る形状データ取得方法によれば、得られた形状データに対して施される帯域処理の帯域通過特性は、走査速度およびサンプリング間隔に基づいて算出されるサンプリング周波数に応じて自動的に変更されるため、常に、設定された走査速度およびサンプリング間隔に適した帯域通過特性の帯域処理を得ることができる。
そして、得られた形状データに対してその帯域処理が施されることにより、帯域処理された後の形状データは、設定された走査速度およびサンプリング間隔に適した帯域を有するものとなる。
すなわち、高速走査かつ高分解能(短い波長まで)で形状データを測定することが求められる場合には、帯域処理の帯域通過特性は、この要求に適した帯域通過特性に自動的に変更され、高速走査かつ低分解能(長い波長)で形状データを測定することが求められる場合には、帯域処理の帯域通過特性は、この要求に適した帯域通過特性に自動的に変更され、低速走査かつ高分解能で形状データを測定することが求められる場合には、帯域処理の帯域通過特性は、この要求に適した帯域通過特性に自動的に変更されるため、種々の測定条件に対応した測定結果を得ることができ、汎用性の高い形状データ取得方法を実現することができる。
しかも、その帯域処理された後の形状データは、設定された走査速度およびサンプリング間隔に適した帯域を有するため、形状データのデータ量が無用に増大することもない。したがって、帯域処理された後の形状データを記憶媒体に記憶させて一時的に、あるいは永久的に保管するに際して、記憶媒体の使用量を有効に抑制することができる。
また、サンプリング周波数が大きくなるにしたがって、取得された形状データにはより高い周波数成分まで含まれることになるが、本発明の請求項1に係る形状データ取得方法によれば、サンプリング周波数が大きくなるにしたがって、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数が自動的に大きく変更されるため、形状データに含まれる周波数成分をより高周波数成分まで帯域通過させることができ、走査速度およびサンプリング間隔の設定によって要求される高周波側の周波数成分を適切に帯域通過させた形状データを得ることができる。
一方、サンプリング周波数が小さくなると、カットオフ周波数も小さくなるため、形状データに含まれる周波数成分のうち要求周波数成分よりも高い周波数成分を効果的にカットすることができ、形状データのデータ量を低減することができる。
さらに、本発明の請求項1に係る形状データ取得方法によれば、走査速度とサンプリング間隔とに基づいて算出される要求サンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)よりも大きいサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)でオーバサンプリングした中間の形状データを得ることができる。
そして、このオーバサンプリングして得られた中間の形状データに対して、第2のサンプリング周波数に基づいて帯域通過特性が変更された帯域処理を施すことにより、要求サンプリング周波数よりも高い周波数成分を含む形状データを得ることができ、さらに、このより高い周波数成分を含む形状データに対して、第1のサンプリング周波数によってサンプリング処理することにより、要求サンプリング周波数に適した周波数成分を含む形状データを得ることができるとともに、そのデータ量を、要求サンプリング周波数に適したものに抑えることができる。
また、2つのサンプリング周波数によってサンプリングが行われるため、帯域処理による位相遅れの影響が低減された形状データを得ることができる。
なお、第2のサンプリング周波数は、第1のサンプリング周波数に応じて変更できるものであってもよいし、第1のサンプリング周波数に拘わらず固定的なものであってもよい。固定的な値として設定する場合には、第1のサンプリング周波数として想定される最大の値よりも大幅に大きい値(例えば、第1のサンプリング周波数として想定される最大の値の10倍程度)に設定するのが好ましい。
また、帯域処理をデジタル演算処理により行うため、帯域通過特性の変更は、この帯域通過特性を規定するデジタル演算処理の定数を変更するだけの簡単な操作で行うことができ、第1のサンプリング周波数や第2のサンプリング周波数に応じた帯域通過特性の変更を簡便に行うことができる。
しかも、デジタル演算処理の処理間隔を、第2のサンプリング周波数の周期間隔とする
ことにより、中間的に取得された形状データの位相遅れの影響を抑制することができる。
さらにまた、デジタル演算処理においてカットオフ周波数を規定する定数(定数組)が、互いに異なる複数の定数(定数組)のうちから択一的に選択されるとともに、定数(定数組)の数は、第1のサンプリング周波数に対する第2のサンプリング周波数の比と同数存在するため、この比に応じて、定数(定数組)の選択を切り替えてデジタル演算処理による帯域通過特性を変更させることにより、帯域通過特性を第1のサンプリング周波数に比例させることができる。
そして、第1のサンプリング周波数に比例する帯域通過特性を実現するうえで必要な定
数(定数組)の数としては、最低限の数であるため、これら定数(定数組)を記憶させる
ハードウェア資源の消費を最小限に抑えることができる。
本発明の請求項2に係る形状データ取得方法によれば、接触式あるいは非接触式のプローブを用いて形状データを取得することができる。
本発明の請求項3に係る形状データ取得方法によれば、第2のサンプリング周波数が第1のサンプリング周波数に応じて変更されるため、帯域処理による位相遅れの影響を常に低減することができ、しかも、第2のサンプリング周波数が無用に高く設定されることがないため、演算負荷や記憶容量が無用に増大するのを抑制することができる。
本発明の請求項4に係る形状データ取得方法によれば、例えば基準クロック周波数等の非常に高い周波数である第3のサンプリング周波数を基準として、第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数を生成するため、この第3のサンプリング周波数を生成することで、他の周波数(第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数)を簡便に生成することができ、第1のサンプリング周波数と第2のサンプリング周波数とを新たに、かつ別個に生成するのに比べて、生成処理の負荷を軽減させることができる。
また、第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数はいずれも、第3のサンプリング周波数に基づいて生成されるため、互いに同期がとられた周波数として生成することができる。
本発明の請求項5に係る形状データ取得方法によれば、第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数は、第3のサンプリング周波数に対する演算器のタイマー割込みによって生成することができ、第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数を高精度に生成することができる。
本発明の請求項6に係る形状データ取得方法によれば、第3のサンプリング周波数f3を分周して生成された周波数のうち、走査速度とサンプリング間隔とから算出された第1のサンプリング周波数f1に最も近い周波数f1′(=f3/A;Aは分周比)を、第1のサンプリング周波数f1として用いることにより、第1のサンプリング周波数f1と完全に同一の周波数f1を生成する煩雑な処理を行う必要がなく、第1のサンプリング周波数の生成処理の負荷を軽減させることができる。しかもこの生成処理は、ソフトウェアの演算処理で行うことができるため、改変も容易である。
本発明の請求項7に係る形状データ取得方法によれば、第2のサンプリング周波数f2が、第1のサンプリング周波数f1の略定数Nn倍となるように設定される場合(f2=Nn・f1)において、第1のサンプリング周波数f1に最も近い周波数f1′(≒f1)が生成されたときの分周比A(=f3/f1′)を、第1のサンプリング周波数f1に対する第2のサンプリング周波数f2の比Nnで除算し、この除算により得られた商S(=A/Nn=A・f1/f2=f3・f1/f1′・f2≒f3/f2)の整数部分S1(≒S≒f3/f2)で第3のサンプリング周波数f3を除算することによって生成された周波数f2′(=f3/S1≒f2)を、第2のサンプリング周波数として用いることにより、第2のサンプリング周波数f2と完全に同一の周波数f2を生成する煩雑な処理を行う必要がなく、第2のサンプリング周波数の生成処理の負荷を軽減させることができる。しかもこの生成処理は、ソフトウェアの演算処理で行うことができるため、改変も容易である。
本発明の請求項8に係る形状データ取得方法によれば、第2のサンプリング周波数f2が、第1のサンプリング周波数f1の略定数Nn倍となるように設定される場合(Nn=f2/f1)において、第1のサンプリング周波数f1に最も近い周波数f1′が生成されたときの分周比Aを、第1のサンプリング周波数f1に対する第2のサンプリング周波数f2の比Nnで除算し、この除算により得られた整数の商S1以外の余りの値S2に応じて、定数(定数組)の選択を切り替えるため、単に第1のサンプリング周波数に対する第2のサンプリング周波数の比のみに応じて定数(定数組)を切り替える場合よりも、帯域通過特性と第1のサンプリング周波数との前述した比例関係の誤差を抑制することができる。
以下、本発明の形状データ取得方法および形状測定装置に係る最良の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の形状データ取得方法および形状測定装置の実施形態である形状測定装置100を示す要部構成図である。
図示の形状測定装置100は、取付治具9によって例えば光学レンズ等の被測定体8が載置され、紙面に直交する面(XY面)内で可動のXYステージ7と、XYステージ7に直交するZ軸方向に可動とされたZ軸ステージ6と、マイクロエアスライダ3を介してZ軸ステージ6に支持され、Z軸ステージ6に対して荷重調整用ばね4の弾性変形範囲内でZ軸方向に変位可能とされた触針式プローブ1と、Z軸ステージ6に対する触針式プローブ1のZ軸方向への微小変位を検出する変位計5と、XYステージ7のX軸方向およびY軸方向についての各変位を検出するX軸用レーザ測長器11およびY軸用レーザ測長器12と、Z軸ステージ6のZ軸方向の変位を検出するZ軸用レーザ測長器13とが備えられている。
なお、X軸用レーザ測長器11およびY軸用レーザ測長器12は、XYステージ7と一体的に変位し、Z軸用レーザ測長器13はZ軸ステージ6と一体的に変位する。
そして、X軸用レーザ測長器11は、X軸方向に変位しない位置に配設された基準ミラー14にレーザ光を照射し、この基準ミラー14によって反射されたレーザ光の往復時間を測定することにより、X軸用レーザ測長器11から基準ミラー14までの距離を測長して、XYステージ7のX軸方向への変位量を検出する。
同様に、Y軸用レーザ測長器12は、Y軸方向に変位しない位置に配設された基準ミラー15にレーザ光を照射して、XYステージ7のY軸方向への変位量を検出し、Z軸用レーザ測長器13は、Z軸方向に変位しない位置に配設された基準ミラー16にレーザ光を照射して、Z軸ステージ6のZ軸方向への変位量を検出する。
変位計5は、Z軸ステージ6に対する触針式プローブ1のZ軸方向への相対的な変位量を、荷重調整用ばね4の弾性変形量を光学的に検出することによって、検出する。
また、この形状測定装置100には、図2のブロック図に示すように、XYステージ7を、X軸、Y軸についてそれぞれ独立して変位させるX,Y軸ドライバ26と、XYステージ7のフィードバック制御に用いられるX,Y軸エンコーダ2a(リニアエンコーダまたはロータリエンコーダ)と、フィードバック制御用のX,Y軸コントローラ25とが備えられており、これらX,Y軸ドライバ26、X,Y軸エンコーダ2aおよびX,Y軸コントローラ25は、被測定体8を所定の走査速度で2次元走査する2次元走査手段として機能する。
さらにこの形状測定装置100には、同ブロック図に示すように、Z軸ステージ6を、Z軸について変位させるZ軸ドライバ28と、Z軸ステージ6のフィードバック制御に用いられるZ軸エンコーダ2b(リニアエンコーダ)と、荷重調整用ばね4の変形量が一定になるように変位計5によって検出された変位量を監視しつつZ軸エンコーダ2bの出力に応じたフィードバック制御によりZ軸ドライバ28を制御するZ軸コントローラ27とが備えられている。
一方、XYステージ7、X軸用レーザ測長器11およびY軸用レーザ測長器12は、触針式プローブ1の、XY面内におけるX軸方向位置およびY軸方向位置を特定する2次元位置検出手段として機能し、触針式プローブ1、Z軸ステージおよびZ軸用レーザ測長器13(変位検出手段)は、被測定体8のZ軸方向における輪郭位置を検出する輪郭位置検出手段として機能する。
なお、触針式プローブ1は、2次元走査されるXYステージ7上に載置された被測定体8の輪郭表面に当接し続けることによって、この輪郭表面に追従するものであるが、トンネル電流を利用したSTM(走査型トンネル顕微鏡)探針や、近接場光(エバネッセント光)を利用したPSTM(フォトン走査型トンネル顕微鏡)の光ファイバー探針等のように、被測定体8の輪郭表面に非接触で追従するプローブを適用することもできる。
また、本実施形態の形状測定装置100は、測長用デジタル信号処理装置(DSP)29と、この形状測定装置100の全体を統括制御するパーソナルコンピュータ(PC)17と、測長用DSP29とPC17との間でデータ通信を行うデータ通信部30と、測定動作時の走査速度やサンプリング間隔などの測定条件等各種の設定データを入力するキーボード19(設定入力手段)と、キーボード19に入力された設定データや測定結果等を表示するディスプレイ18とを備えている。
ここで、測長用DSP29は、X軸レーザ測長器11およびY軸レーザ測長器12によって検出されたXY面に沿った2次元走査方向におけるサンプリング間隔による2次元位置(X,Y)と、Z軸レーザ測長器13によって検出された輪郭位置Zとに基づいて、被測定体8の3次元輪郭形状を表す形状データZ(X,Y)を取得し、この取得された形状データZ(X,Y)に対して、所定の帯域処理を施すことにより、帯域処理された形状データを取得する演算手段として機能する。
PC17は、演算装置であるCPU20、不揮発メモリROM21、揮発メモリRAM22、各種入出力系I/O23およびハードディスクHDD24から構成されており、PC17は、HDD24に格納されたOS(オペレーションシステム)によって制御されている。
そして、X,Y軸コントローラ25およびZ軸コントローラ27は、PC17のメモリアドレスもしくはI/Oアドレス上に配置され、PC17に記憶された駆動プログラムによって駆動制御されている。
すなわち、X,Y軸ドライバ26は、X,Y軸コントローラ25の出力に応じたモータ電流を図示しないモータに供給することによってモータを駆動させ、このモータの駆動によって、XYステージ7は2次元走査される。
ここで、XYステージ7の2次元位置(X,Y)は、X,Y軸エンコーダ2aによって検出され、この検出結果がX,Y軸コントローラ25にフィードバックされ、X,Y軸コントローラ25によるフィードバック制御により、XYステージ7は位置決め制御される。
一方、Z軸ドライバ28は、Z軸コントローラ27の出力に応じたモータ電流を図示しないモータに供給することによってモータを駆動させ、このモータの駆動によって、Z軸ステージ6は駆動される。
ここで、Z軸ステージ6の位置は、Z軸エンコーダ2bによって検出され、Z軸コントローラ27にフィードバックされ、Z軸コントローラ27によるフィードバック制御により、Z軸ステージ6は位置決め制御される。
そして、形状測定時は、変位計5によって検出された荷重調整用ばね4の弾性変形量がZ軸コントローラ27にフィードバックされ、この弾性変形量が一定となるように、Z軸コントローラ27がZ軸ステージ6をフィードバック制御することにより、Z軸ステージ6は被測定体8の輪郭表面に沿って追従制御される。
この追従制御の状態において、XYステージ7をXY面内で2次元走査させつつ、触針式プローブ1によって被測定体8の輪郭表面を倣い動作させ、XYステージ7の2次元位置(X,Y)は、X軸レーザ測長器11およびY軸レーザ測長器12によって検出され、各位置(X,Y)における被測定体8のZ軸方向の輪郭位置Zは、Z軸レーザ測長器13によって検出され、各位置(X,Y)ごとの輪郭位置Zによって規定されるデータZ(X,Y)が、被測定体8の3次元輪郭形状を表す形状データとして測長用DSP29に取得される。
測長用DSP29の処理は、測長用DSP29に接続された専用I/O(図示せず)による、各レーザ測長器11,12,13の設定、測長データの保持(ラッチ)、読込み等の動作を、各レーザ測長器11,12,13と相互通信(ハンドシェーク)することにより行われる。
このように、測長データを高速のサンプリング周期で取得する演算部を、測長用DSP29として、PC17から独立した構成としているのは、形状測定動作中におけるPC17の負荷を軽減させるためである。したがって、このような負荷がPC17の演算性能に対して大きな負荷とならない場合には、測長用DSP29をPC17の一部として構成することもできる。
データ通信部30は、所定の通信制御の手続きにしたがった通信によって、PC17と測長用DSP29との間で、測長データの転送や、レーザ測長器11,12,13の初期化命令等の各種データ通信を媒介する。
また、PC17は、キーボード19に入力された走査速度Vx,Vy(Vx;X軸方向に沿った走査速度、Vy;Y軸方向に沿った走査速度)にしたがって、XYステージ7を2次元走査させるように、X,Y軸コントローラ25を制御し、キーボード19から入力された走査速度Vx,Vyとサンプリング間隔Δx,Δy(Δx;X軸方向についてのサンプリング間隔、Δy;Y軸方向についてのサンプリング間隔)とに基づいて、下記式(2),(3)により、第1のサンプリング周波数f1x,f1y(f1x;X軸方向についての第1のサンプリング周波数、f1y;Y軸方向についての第1のサンプリング周波数)を算出する。
f1x=Vx/Δx (2)
f1y=Vy/Δy (3)
測長用DSP29は、このPC17によって算出された各軸方向についての第1のサンプリング周波数f1x,f1yを、データ通信部30を介してPC17から受け、この第1のサンプリング周波数f1x,f1yで、各レーザ測長器11,12,13による測長データを取得することにより、被測定体8の3次元輪郭形状を表す形状データを取得するとともに、取得された形状データに対して所定の帯域通過特性の帯域処理を施し、しかも、第1のサンプリング周波数f1x,f1yに応じて、この帯域処理の帯域通過特性を変更するプログラムが格納されており、特性変更手段としても機能する。
ここで、帯域処理としては例えばローパスフィルタ処理を適用した場合には、帯域通過特性としては、このローパスフィルタ処理のカットオフ周波数が適用される。
なお、本実施形態の形状測定装置100は、帯域処理された形状データを取得する演算手段として、ソフトウェアによる演算を行う測長用DSP29を適用したものであるが、このような測長用DSP29に代えて、ハードウェアによる構成を適用することもでき、また、統括制御用のPC17とは別個のデータ取得用PCを用いることも可能である。
次に、本実施形態に係る形状測定装置100の具体的な作用について説明する。
まず、XYステージ7に被測定体8が載置され、取付治具9によって被測定体8はXYステージ7上に固定される。
ここで、この形状測定装置100の使用者により、被測定体8の形状データの取得の目的に応じた走査速度および第1のサンプリング間隔が、キーボード19から入力される。ここで、入力されるサンプリング間隔は、被測定体の形状を評価するのに要求される測定分解能に応じて設定される。
入力された走査速度および第1のサンプリング間隔は、PC17に入力され、PC17は、これら走査速度およびサンプリング間隔に基づいて、第1のサンプリング周期を式(2),(3)にしたがって算出する。そして、この算出された第1のサンプリング周期は、データ通信部30を介して測長用DSP29に入力される。
測長用DSP29は、入力された第1のサンプリング周波数に応じて、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を変更する。具体的には、第1のサンプリング周波数が高くなるにしたがって、カットオフ周波数が高くなるように、かつ第1のサンプリング周波数が低くなるにしたがって、カットオフ周波数が低くなるように、カットオフ周波数を変更する。
一方、PC17は、キーボード19から入力された走査速度でXY面内で2次元走査を行うようにX,Y軸コントローラ25を制御し、触針式プローブ1が被測定体8のZ軸方向の輪郭表面に倣うように、Z軸コントローラ27を追従制御させる。
この、X,Y軸コントローラ25の制御によって、XYステージ7は2次元に走査され、触針式プローブ1が被測定体8のZ軸方向の輪郭表面を倣う。ここで、測長用DSP29が、レーザ測長器11,12,13による測長データを、第1のサンプリング周波数f1でサンプリングして取得することにより、被測定体8の3次元輪郭形状を表す形状データZ(X,Y)を取得する。
さらに測長用DSP29は、得られた形状データZ(X,Y)に対して、第1のサンプリング周波数f1に応じてカットオフ周波数が変更されたローパスフィルタ処理を施し、ローパスフィルタ処理された形状データZ(X′,Y′)を得る。
ここで、入力されたサンプリング間隔が小さいほど、すなわち要求される分解能が高いほど、第1のサンプリング周波数は高くなり、ローパスフィルタ処理前の形状データZ(X,Y)は、より高周波の空間周波数成分を含むものとなる。
そして、測長用DSP29は、第1のサンプリング周波数が高いほど、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を高周波側にシフトさせるため、ローパスフィルタ処理後の形状データZ(X′,Y′)は、要求される高い分解能に適応して、より高周波側の空間周波数成分が含まれたものとなる。
一方、入力されたサンプリング間隔が大きいほど、すなわち要求される分解能が低いほど、第1のサンプリング周波数は低くなり、ローパスフィルタ処理前の形状データZ(X,Y)は、より高周波の空間周波数成分が除去されたものとなる。
そして、測長用DSP29は、第1のサンプリング周波数が低いほど、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を低周波側にシフトさせるため、ローパスフィルタ処理後の形状データZ(X′,Y′)は、要求される低い分解能に適応して、高周波側の空間周波数成分が除去されたものとなる。
また、入力された走査速度が大きいほど第1のサンプリング周波数は高くなり、ローパスフィルタ処理前の形状データZ(X,Y)は、より高周波の空間周波数成分を含むものとなり、反対に、入力された走査速度が小さいほど第1のサンプリング周波数は低くなり、ローパスフィルタ処理前の形状データZ(X,Y)は、より高周波の空間周波数成分が除去されたものとなるが、このようの走査速度の大小に応じてサンプリング周波数も変化するため、走査速度に拘わらず、要求されるサンプリング間隔を確保することができ、要求される分解能の形状データZ(X′,Y′)を得ることができる。
このように、本実施形態に係る形状測定装置100およびこの形状測定装置100の作用である形状データ取得方法によれば、特性変更手段としての測長用DSP29が、得られた形状データZ(X,Y)に対して施すローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、走査速度およびサンプリング間隔に基づいて算出される第1のサンプリング周波数に応じて自動的に変更するため、入力された走査速度Vx,Vyおよびサンプリング間隔Δx,Δyに適したカットオフ周波数のローパスフィルタ処理を得ることができ、演算手段としての測長用DSP29が、得られた形状データZ(X,Y)に対してそのローパスフィルタ処理を施すことにより、ローパスフィルタ処理された後の形状データZ(X′,Y′)を、設定された走査速度Vx,Vyおよびサンプリング間隔Δx,Δyに適した帯域を有するものとすることができる。
したがって、種々の測定条件(走査速度およびサンプリング間隔)に対応した測定結果を得ることができ、汎用性の高い形状測定装置および形状データ取得方法を実現することができる。
さらに、本実施形態に係る形状測定装置100および形状データ取得方法によれば、ローパスフィルタ処理された後の形状データZ(X′,Y′)は、設定された走査速度およびサンプリング間隔に適した帯域を有するため、形状データZ(X′,Y′)のデータ量が無用に増大することもない。特に、設定されたサンプリング間隔が大きい場合に、データ量を大幅に減らすことができ、形状データZ(X′,Y′)をPC17のHDD24等に記憶させて一時的に、あるいは永久的に保管するに際して、HDD24等記憶媒体の使用量を有効に抑制することができる。
なお、測長用DSP29によるローパスフィルタ処理のカットオフ周波数の変更は、カットオフ周波数を第1のサンプリング周波数に正比例するように変更させるのが好ましい。カットオフ周波数を演算によって簡便に算出することができるからである。
また、形状測定装置100の有する機械共振周波数の影響が、形状データに対して大きく寄与する場合には、係る機械共振周波数付近の周波数成分をカットするノッチフィルタ処理を帯域処理として追加すればよい。この場合、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数については、第1のサンプリング周波数に応じて変更させるが、ノッチフィルタ処理の帯域通過特性については、第1のサンプリング周波数に拘わらず固定的に設定すればよい。
以下、測長用DSP29の詳細な動作について説明する。測長用DSP29は、一般的なDSPやCPUが内部に有している内部タイマ割込み処理や、外部クロック等トリガによるタイマ割込み処理を利用して、第1のサンプリング周期t1(第1のサンプリング周波数f1の逆数)で形状データを取得する。
このタイマ割込み処理は、図3のタイミングチャートに示すように、タイマ割込みの周期t1に設定された場合、測長用DSP29内のカウンタが内部の基準クロックのクロック数をカウントし、カウンタのカウント値がt1となった時点で割込みが発生し、割込みルーチンが実行され、処理が終了するとメインルーチンへ戻る。
割込みが発生するまでの期間中、DSP29はメインルーチンを実行する。本実施形態におけるメインルーチンは、PC17との形状データや各種フラグの授受の処理を行い、割込みルーチンは、レーザ測長器11,12,13から測長データ(形状データ)を取得する処理を行う。
割込みは、時間間隔t1ごとに発生することになるため、取得された測長データは確実に、時間間隔t1のサンプリング周期となる。
次に、測長用DSP29の動作を、図4に示したフローチャートおよび図3を用いて説明する。ここでは、PC17がDSP29から、1回に取得する測長データの組数を2組とし、サンプリング周期をt1とする。
測長DSP29は、図4(b)の主処理を行い、PC17の命令コードや測長データ等の授受を行う。この主処理において、測長の開始、測長の終了等の命令授受は、ステップ3,4(S3,S4)によって行われる。そして、命令コードをステップ5(S5)によって処理し、測長用DSP29は、同図(c)の割込み処理による測長を開始する。
1回目の割込み処理の測長ルーチン(S7)によって測長データDATA0が取得される。割込み処理終了後、主処理(同図(b))が処理されてPC17との通信が行われる。
そして、2回目の割込み処理によって測長データDATA1が取得され、割込み処理終了後、主処理において、PC17との命令授受が行われ(S3〜S5)、測長データ書込みルーチン(S6)によって、測長データDATA0およびDATA1からなる2組のDATAがPC17へ引き渡される。
フィルタ処理(帯域処理)ルーチン(S8)の例として、FIR(有限インパルス応答)フィルタとIIR(無限インパルス応答)フィルタによるローパスフィルタ処理を、以下に示す。
式(4)は、FIRフィルタの1つである平均化処理(平滑化処理)を表すものであり、具体的には、5回分の測長データDATA(i)の加重平均値を算出するものである。なお、G(i)は重み付け係数であり、本実施形態においては、例えばすべての重み付け係数G(i)を同一値(=1/5)として単純加算平均値を算出するものであってもよいし、各測長データDATA(i-2),DATA(i-1),DATA(i),DATA(i+1),DATA(i+2)ごとに重み付け係数G(i-2),G(i-1),G(i),G(i+1),G(i+2)を異なる値としてもよい。
そして、第1のサンプリング周波数に応じて、これら重み付け係数G(i-2),G(i-1),G(i),G(i+1),G(i+2)を変化させることにより、あるいは、加算するデータ数を増減することにより、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数は変更される。
Figure 0004509604
以上のようにして算出されたローパスフィルタ処理後の測長データ(形状データ)(式(4)の値)がPC17に送信される。
また、測長データの高域ノイズ除去のために、帯域処理として式(5)に示すカットオフ周波数ω(rad/s)の1次ローパスフィルタ(LPF)処理を適用することもできる。この1次ローパスフィルタ処理は、式(6)の離散状態空間方程式と式(7)の出力方程式とによって規定される演算により実現することができる。
Figure 0004509604
ここで、式(5)における、ωは周波数、sはラプラス演算子をそれぞれ表し、式(6),(7)における、x(n)はn番目の状態変数、u(n)は入力すなわち取得された測長データ、y(n)は出力すなわちローパスフィルタ処理後の測長データ、nはサンプリング数、P,Q,R,Sはローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を規定する定数であり、これら定数P,Q,R,Sを第1のサンプリング周波数に応じて変更することにより、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数が変更される。
なお、状態変数は、1次元のローパスフィルタ処理ではスカラーとなるが、多次元のローパスフィルタ処理ではベクトルとなる。また、カットオフ周波数を規定する定数P,Q,R,Sは、1次元のローパスフィルタ処理ではスカラーとなるが、多次元のローパスフィルタ処理では行列となる。
このようなローパスフィルタ処理の場合、カットオフ周波数は測長データのサンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)よりも十分に低い必要がある。また、位相遅れの影響を低減するために、被測定体8の表面の要求分解能に対応する空間周波数よりも広くデータを取得すると取得される測長データの容量が大きくなる。
そこで、測長用DSP29は、PC17から入力されたサンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)に代えて、この第1のサンプリング周波数よりも大きいサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)で、レーザ測長器11,12,13からの測長データをサンプリングし、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数の変更を、第2のサンプリング周波数に応じて行い、第2のサンプリング周波数でサンプリングされた測長データに対して、第2のサンプリング周波数に応じてカットオフ周波数が変更されたローパスフィルタ処理を施す演算を行なうようにすればよい。
そして、測長用DSP29が、このローパスフィルタ処理により得られた測長データを、PC17から入力された第1のサンプリング周波数で間引き処理し、間引き処理後の測長データをPC17に送信することにより、所望の分解能を確保しつつ、最終的な測長データの容量を低減することができる。
例えば、走査速度1mm/secで走査し、空間周波数1/mmの波長成分を含む測長データを取得する要求の場合、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を10Hzとすると、十分な帯域処理の効果を得るためには、カットオフ周波数の10倍、すなわち100Hz以上のサンプリング周波数でサンプリングすることが望ましく、このサンプリング周波数でサンプリングして得られる測長データの数は100個/secとなり、サンプリング間隔は0.01mm/pitchとなる。
その後、10Hzのカットオフ周波数のローパスフィルタ処理により、高周波成分がカットされるため、高周波数成分が低周波数成分として出現するエリアシングの影響が低減された測長データが取得される。そして、このローパスフィルタ処理後の測長データを、20Hzのサンプリング周波数で間引き処理することにより、高周波成分がカットされた20個/sec(0.05mm/pitch)の測長データを得ることができ、データ量を低減することができる。
なお、第2のサンプリング周波数は、測長用DSP29によって、第1のサンプリング周波数に応じて変化させるのが好ましく、例えば、測長用DSP29のプログラムによって、あるいは適当な回路等によって、PC17から入力された第1のサンプリング周波数を例えば5倍(好ましくは10倍)して第2のサンプリング周波数を生成すればよい。
第2のサンプリング周波数を第1のサンプリング周波数に応じて変化させることにより、第2のサンプリング周波数が無用に高く設定されることがないため、演算負荷や記憶容量が無用に増大するのを抑制することができる。
ここで、測長用DSP29の内部回路の構成によっては、PC17から入力された第1のサンプリング周波数や、この第1のサンプリング周波数に基づいて生成されるべき第2のサンプリング周波数を、その周波数で正確に生成することができない場合もある。すなわち、第1のサンプリング周波数は、使用者によって指示入力された走査速度とサンプリング間隔との演算によって規定される連続したアナログ値であるところ、測長用DSP29がサンプリング周波数を離散的なデジタル値で生成する際に、算出されたアナログ値のサンプリング周波数と完全に一致するデジタル値のサンプリング周波数を、測長用DSP29が準備できない場合があり得る。
同様に、第1のサンプリング周波数に基づいて第2のサンプリング周波数を生成する場合にも、演算によって得られた第2のサンプリング周波数の値と完全に一致するデジタル値を測長用DSP29が準備できないこともある。
このような場合は、測長用DSP29が準備することのできるサンプリング周波数のうち、第1のサンプリング周波数や第2のサンプリング周波数にそれぞれ最も近い値の周波数を、各サンプリング周波数として割り付けてもよい。このような近似的に設定されたサンプリング周波数によってサンプリングを行った場合であっても、最終的に取得された形状データ(測長データ)の精度が大きく低下することはなく、サンプリング周波数を簡便に生成することができる点で好ましい。なお、近似値として割り付けられたサンプリング周波数は離散値であるため、階段状に変化するものとなる。
また、本実施形態に係る形状測定装置100および形状データ取得方法は、第1のサンプリング周波数や第2のサンプリング周波数を、第2のサンプリング周波数よりも周波数の大きい基準クロック(第3のサンプリング周波数)に基づいて生成しているため、基準クロックさえ存在し、あるいは基準クロックさえ生成すれば、他のサンプリング周波数(第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数)を、別個独立に生成する必要がないため、サンプリング周波数を生成する処理の負荷を軽減させることができる。
また、第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数はいずれも、基準クロックである第3のサンプリング周波数に基づいて生成されるため、互いに同期がとられた周波数として生成することができ、その後の処理のタイミング(主処理と割込み処理の切替えタイミング等)を行い易く、処理の効率化を図ることもできる。
さらに、第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数は、基準クロックのタイマー割込みによって生成されるため、高精度の周波数として生成することができる。
しかも、測長専用のハードウェアを用意せずPC17によって測長データを取得する場合は、OSのもつソフトウェア割込み処理によって生じる所定の周期によって第1のサンプリング周波数と第2のサンプリング周波数を管理することができる。
ところで、測長用DSP29によりサンプリングを行う場合、例えば、使用者によって設定された走査速度が3mm/sec、サンプリング間隔が0.1mm/pitchのとき、式(2),(3)にしたがって算出される第1のサンプリング周波数は30Hzとなる。
しかし、測長用DSP29が有する基準クロック(第3のサンプリング周波数=割込み処理の周波数)が1kHzであるときは、この基準クロックをカウントすることによって第1のサンプリング周波数である30Hzを生成するためには、基準クロックを33.333…カウントする必要があり、正確に30Hzを生成するには煩雑な処理を行う必要がある。
そこで、基準クロック周波数を整数で除算して(分周して)生成された周波数のうち、第1のサンプリング周波数に最も近い周波数を第1のサンプリング周波数として用いればよい。
すなわち、本例では、基準クロック周波数1kHzを第1のサンプリング周波数30Hzで除算(分周)してカウント数33.333…を得、このカウント数を整数値33または34に置換して、基準クロック周波数1kHzをこの33または34で除算すると、30.303Hzと29.412Hzを得る。そしてこれら2つの周波数のうち、第1のサンプリング周波数30Hzに近い方の値30.303Hzを選択して、この選択された周波数30.303Hzを、第1のサンプリング周波数として適用すればよい。
なお、カウント数33.333…を四捨五入して、予めカウント数を33の1つに絞った上で、基準クロック周波数1kHzをこの33で除算し、第1のサンプリング周波数として適用される周波数30.303Hzを得るようにしてもよい。この場合の処理を、図5のフローチャートに示す。
すなわち、基準クロック周波数(第3のサンプリング周波数)をfref、形状データのサンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)をfdata、カウント数をnとすると、基準クロック周波数frefを第1のサンプリング周波数fdataで除算し、そのときの値nを求める(S9)。そして、nの小数点以下を四捨五入して整数n*(記号*は、近似値等補正後の値であることを示す。)を求め(S10)、基準クロック周波数frefを値n*で除算して、第1のサンプリング周波数fdataの近似値fdata*を算出し(S11)、この近似値fdata*を第1のサンプリング周波数fdataとして適用する(S12)。
また、第2のサンプリング周波数については、図6のフローチャートに示す処理によって求めればよい。
すなわち、第2のサンプリング周波数fmeasが、第1のサンプリング周波数fdataの定数p倍となるように設定される場合において、第1のサンプリング周波数fdataに最も近い周波数fdata*が生成されたときの分周比n*を、第1のサンプリング周波数fdataに対する第2のサンプリング周波数fmeasの比pで除算して商mを求め(S13)、この商mの小数点以下を切り捨てて整数部分m*を求め(S14)、この値m*で基準クロック周波数frefを除算することによって第2のサンプリング周波数fmeasに近似する周波数fmeas*を求め(S15)、この近似する周波数fmeas*を第2のサンプリング周波数fmeasとして適用する(S16)。
なお、図6におけるステップ9(S9)からステップ12(S12)までの処理は、図5に示したステップ9(S9)からステップ12(S12)までの処理と同じであるため、説明を省略した。
上述した帯域(ローパスフィルタ処理)処理は、例えば、前述した式(4)、または式(6)および式(7)で示すデジタル演算処理によって行うようにしてもよい。この場合、デジタル演算処理の処理間隔を、第2のサンプリング周波数fmeasの周期間隔で行えばよい。
このように、帯域処理をデジタル演算処理により行う場合、帯域通過特性(カットオフ周波数)の変更を、この帯域通過特性を規定するデジタル演算処理の定数を変更するだけの簡単な処理で行うことができ、第1のサンプリング周波数や第2のサンプリング周波数に応じた帯域通過特性の変更を簡便に行うことができる。
しかも、デジタル演算処理の処理間隔を、第2のサンプリング周波数の周期間隔とすることにより、中間的に取得された形状データの位相遅れの影響を抑制することができる。
なお、式(6),(7)は離散化した状態方程式であるが、離散化前の連続系の状態方程式は、下記式(8),(9)で表される。
Figure 0004509604
ここで、式(8)のx′(t)(=d(x(t))/dt;x(t)の一階微分)は状態変数、A,B,C,Dは、カットオフ周波数を規定する定数であり、これら定数を変更することによって、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を変更することができる。
なお、u(t)は入力、y(t)は出力、をそれぞれ表す。
また、状態変数は、1次元のローパスフィルタ処理においてはスカラー量であるが、多次元のローパスフィルタ処理においてはベクトル量となる。そして、カットオフ周波数を規定する定数は、1次元のローパスフィルタ処理においてはスカラー量であるが、多次元のローパスフィルタ処理においては行列によって表現される。
連続系で設計されたローパスフィルタ処理の定数を離散化する方法としては、オイラー近似や双一次変換等、種々の方法があるが、本実施形態においては、演算の簡単化のため、D=0としオイラー近似を用いて説明する。オイラー近似は、時間刻み(サンプリング周期)をTとすると、定数は、下記式(10),(11),(12),(13)によって算出される。
Figure 0004509604
ここで、式(10),(11)から解されるように、定数P,Qを固定値とし、式(8),(9)のデジタル演算処理を行なうとき、サンプリング周期Tが変化することは、アナログのフィルタ定数A,Bが変化することと等価となる。よって、デジタル演算処理を行なう測長データのサンプリング周波数fmeasを変更するだけで、フィルタの定数を変更することなくローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を変化させることができる。
このように、デジタル演算処理においてカットオフ周波数を規定する定数を一定値に固定することによって、定数を変更する場合に要する定数の記憶領域(測長用DSP29)の容量を低減することができ、ハードウェア資源の消費を抑制することができる。
ここでは連続系のIIRフィルタを離散系とする形態について詳細な説明をしたが、FIRフィルタの場合は、式(8),(9)の状態方程式で直接表すことができ、測長データのサンプリング周波数fmeasの変更に対応する帯域通過特性の変化もIIRフィルタの場合と同様である。
また、IIRフィルタの場合、非線形の位相遅れがあるため、取得しようとする形状データの分解能に対応した要求周波数よりもカットオフ周波数を十分に大きくとる必要があるが、FIRフィルタの場合はデータ出力が遅れるのみであるため、位相遅れを考慮する必要はない。ただし、全ての座標軸X,Y,Zについてのデータの遅れ量を同一に設定する必要がある。
また、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を規定する定数を固定値とした場合、第2のサンプリング周波数fmeasが滑らかに変化するような設定であるときは、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数も滑らかに変化するが、図6のフローチャートで示した処理によって求められた第2のサンプリング周波数fmeasは滑らかに変化しない。
例えば、基準クロック周波数frefを5kHz、第2のサンプリング周波数fmeasと第1のサンプリング周波数fdataとの比を5、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、第1のサンプリング周波数fdataの1/2としたとき、第2のサンプリング周波数fmeasは、図7に示すように階段状に変化し、カットオフ周波数を規定する定数が固定値のとき、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数flpf1は、同じく階段状に変化する。
ここで、第2のサンプリング周波数fmeasが、基準クロック周波数fref(=5kHz)に近いとき、すなわちカウント値n*が小さいとき、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数flpf1は、要求された値(第1のサンプリング周波数fdataの1/2)に対して大きな誤差を有する値となる場合がある。
そこで、第2のサンプリング周波数fmeasと第1のサンプリング周波数fdataとの比と同数となる組数の定数組を予め準備し、これらの定数組のうちから、1つを選択して適用することにより、カットオフ周波数flpf1を滑らかに変化させる(flpf5)とともに、要求された値(第1のサンプリング周波数fdataの1/2)に精度よく一致させることができる。
すなわち、第2のサンプリング周波数fmeasと第1のサンプリング周波数fdataとの比は5であるため、n*=5,6,7,8,9(値5で除算したときの余りが0,1,2,3,4となるn*)となる5組の定数組を求める。ここでは、第2のサンプリング周波数fmeasを5kHz、第1のサンプリング周波数fdataを1000,833.33,714.29,625,555.56Hz、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を第1のサンプリング周波数fdataの1/2としたとき、5組の定数組{(P(i),Q(i),R(i),S(i));i=0,1,2,3,4}を求める。
そして、これら5つの定数組を適宜切り替えてカットオフ周波数を変更し、そのカットオフ周波数が変更されたローパスフィルタ処理を施すことにより、要求された値(第1のサンプリング周波数fdataの1/2)に精度よく一致させることができる。
この定数組の選択方法の一例を図8に示したフローチャートにしたがって説明する。なお、ステップ9(S9)からステップ13(S13)までの処理は、図6に示したステップ9(S9)からステップ13(S13)までの処理と同じであるため、説明を省略する。
第2のサンプリング周波数をfmeas、第1のサンプリング周波数をfdata、これらの比をpとすると、基準クロック周波数frefを、第1のサンプリング周波数fdataで除算し四捨五入した値n*を、両サンプリング周波数の比pで除算し、整数の商m*以外の余りの値rを求める(S14′)。
そして、整数の商m*で基準クロック周波数frefを除算して得られた周波数fmeas*(S15)を第2のサンプリング周波数fmeasとして適用し(S16)、ステップ14′(S14′)で得られた余りrの値に応じて、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を規定する定数組(P(i),Q(i),R(i),S(i))を選択する(S17)。この選択された定数組(P(i),Q(i),R(i),S(i))によって規定されたカットオフ周波数が、図7におけるカットオフ周波数flpf5である。
このように、前述した余りrの値に応じて、定数組の選択を切り替えることにより、単に第1のサンプリング周波数に対する第2のサンプリング周波数の比pのみに応じて定数組を切り替える場合よりも、カットオフ周波数と第1のサンプリング周波数との比例関係の誤差を抑制することができ、カットオフ周波数を滑らかに変化させることができる。
なお、最終的に得られる形状データ(第1のサンプリング周波数以下の周波数成分)に、第1のサンプリング周波数以上の周波数成分が混入するエリアシングを防止する観点からは、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数を、第1のサンプリング周波数fdataよりも低い周波数に設定するのが好ましい。
また、本実施形態に係る形状データ取得方法および形状測定装置は、使用者がキーボードに、任意の走査速度およびサンプリング間隔を入力可能としたものであるが、本発明の形状データ取得方法および形状測定装置は必ずしもこの形態に限定されるものではなく、例えば、予め設定された互いに異なる複数の走査速度および予め設定された互いに異なる複数のサンプリング間隔のうちから、形状データとして要求される分解能に適したサンプリング間隔と走査速度を、使用者が選択するものとしてもよい。
この場合、予め設定された走査速度やサンプリング間隔は、PC17のHDD24等に記憶させておき、使用の際にこれら記憶された複数の走査速度および複数のサンプリング間隔をディスプレイ18に一覧表示するなどし、使用者がその表示された走査速度およびサンプリング間隔のうちから選択して、その選択をキーボード19に入力するようにしてもよい。
本発明の形状データ取得方法および形状測定装置の実施形態である形状測定装置を示す要部構成図である。 図1に示した形状測定装置の制御系を示すブロック図である。 タイマ割込み処理を示すタイミングチャートである。 PCおよび測長用DSPの動作を示すフローチャートであり、(a)はPCの動作、(b)はDSPの主処理、(c)はDSPの割込み処理をそれぞれ示す。 基準クロック周波数に基づいて、第1のサンプリング周波数を生成する処理を示すフローチャートである。 基準クロック周波数および第1のサンプリング周波数に基づいて、第2のサンプリング周波数を生成する処理を示すフローチャートである。 第2のサンプリング周波数とカットオフ周波数との関係を示すグラフである。 基準クロック周波数、第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数に基づいて、帯域処理の帯域通過特性を規定する定数を選択する処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 触針式プローブ
2a,2b エンコーダ
3 マイクロエアスライダ
4 荷重調整用ばね
5 変位計
6 Z軸ステージ
7 XYステージ
8 被測定体
9 取付治具
10
11,12,13 レーザ測長器
14,15,16 基準ミラー
17 PC
18 ディスプレイ
19 キーボード
20 CPU
21 ROM
22 RAM
23 I/O
24 HDD
25,27 コントローラ
26,28 ドライバ
29 測長用DSP
30 データ通信部
100 形状測定装置

Claims (8)

  1. 被測定体を所定の走査速度で2次元走査しつつ、所定のサンプリング間隔で、前記2次元走査の方向に略直交する方向における前記被測定体の輪郭位置を検出することにより、前記被測定体の3次元輪郭形状を表す形状データを取得し、この取得された形状データに対して、所定の帯域処理を施すことにより、帯域処理された形状データを取得する被測定体の形状データ取得方法において、
    前記帯域処理の帯域通過特性を、前記走査速度と前記サンプリング間隔とに基づいて算出されるサンプリング周波数に応じて変更し、
    前記変更される帯域通過特性はカットオフ周波数であり、前記帯域処理は前記形状データのうち前記カットオフ周波数を超える周波数成分の通過を制限するローパスフィルタ処理であり、前記サンプリング周波数が大きくなるにしたがって前記カットオフ周波数が大きくなるように、該カットオフ周波数を変更し、
    前記所定の走査速度と前記所定のサンプリング間隔とに基づいて算出されるサンプリング周波数である第1のサンプリング周波数に代えて、該第1のサンプリング周波数よりも大きく設定された第2のサンプリング周波数に基づいて前記形状データを中間的に取得するとともに、前記第1のサンプリング周波数に代えて前記第2のサンプリング周波数に応じて前記帯域通過特性を変更し、前記中間的に取得された形状データに対して、前記帯域通過特性が変更された帯域処理を施し、前記帯域処理して得られた形状データを、前記第1のサンプリング周波数によってサンプリング処理し、
    前記帯域処理をデジタル演算処理により行い、
    該デジタル演算処理の処理間隔を、前記第2のサンプリング周波数の周期間隔とし、カットオフ周波数を規定する定数は、互いに異なる複数の定数のうちから択一的に選択されるとともに、前記定数の数は、前記第1のサンプリング周波数に対する前記第2のサンプリング周波数の比と同数であることを特徴とする形状データ取得方法。
  2. 前記輪郭位置に追従するように前記略直交する方向に沿ってプローブを変位させ、前記プローブの変位量を検出することによって、前記輪郭位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の形状データ取得方法。
  3. 前記第2のサンプリング周波数は、前記第1のサンプリング周波数に応じて変更されることを特徴とする請求項1または2に記載の形状データ取得方法。
  4. 前記第2のサンプリング周波数と同一または該第2のサンプリング周波数よりも大きい第3のサンプリング周波数に基づいて、前記第1のサンプリング周波数および第2のサンプリング周波数を生成することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の形状データ取得方法。
  5. 前記第1のサンプリング周波数および前記第2のサンプリング周波数は、前記第3のサンプリング周波数に対する演算器のタイマー割込みによって生成されることを特徴とする請求項4に記載の形状データ取得方法。
  6. 前記第3のサンプリング周波数を分周して生成された周波数のうち、前記第1のサンプリング周波数に最も近い周波数を、前記第1のサンプリング周波数として用いることを特徴とする請求項4または5に記載の形状データ取得方法。
  7. 前記第2のサンプリング周波数が、前記第1のサンプリング周波数の略定数倍となるように設定される場合において、前記第1のサンプリング周波数に最も近い周波数が生成されたときの分周比を、前記第1のサンプリング周波数に対する前記第2のサンプリング周波数の比で除算し、該除算により得られた商の整数部分で前記第3のサンプリング周波数を除算することによって生成された周波数を、前記第2のサンプリング周波数として用いることを特徴とする請求項6に記載の形状データ取得方法。
  8. 前記第2のサンプリング周波数が、前記第1のサンプリング周波数の略定数倍となるように設定される場合において、前記第1のサンプリング周波数に最も近い周波数が生成されたときの分周比を、前記第1のサンプリング周波数に対する前記第2のサンプリング周波数の比で除算し、該除算により得られた整数の商以外の余りの値に応じて、前記定数の選択を切り替えることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の形状データ取得方法。
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