JP4509405B2 - 筒形ヒューズ及びヒューズホルダ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用の電気回路等に使用される筒形ヒューズ及びヒューズホルダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の筒形ヒューズとしては次のような構成が知られている。即ち、図9に示すように、筒形ヒューズ61は絶縁筒62、同絶縁筒62内に収納されたヒューズエレメント63、及び絶縁筒62の両端にそれぞれ被冠されたヒューズキャップ64を備えている。筒形ヒューズ61は例えば自動車内に配置されたヒューズホルダ71の両端子72, 72間に取着されている。
【0003】
図10に示すように、ヒューズエレメント63の両端部はヒューズキャップ64の外端面中央に形成された挿通孔64aに挿通されており、ヒューズキャップ64の外端面からの突出部分63aは、その基端部にて側方に折り曲げられている(図11参照)。突出部分63aは半田付けによりヒューズキャップ64の外端面に固定されている。半田65はヒューズキャップ64の外端面全体において半球状に盛られており、その外面は端子72との電気的な接触面66となっている。
【0004】
図9に示すように、筒形ヒューズ11の両外端面を挟圧保持する両端子72,72は、それぞれ導電性及び弾性を有する板状の金属材料の一端部が折り返されることにより形成されている。この折り返された部分はバネ部73となっており、同バネ部73の上部外面(筒形ヒューズ11側側面)には半球状の突部74が形成されている。両突部74,74の頂点間距離は筒形ヒューズ61の長さ(両接触面66,66の頂点間距離)よりも若干小さくされており、接触面66にはバネ部73の弾性力により突部74が所定の接触荷重にて点接触している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の筒形ヒューズ61及びそのヒューズホルダ71には次のような問題があった。即ち、筒形ヒューズ61が通電されると、ヒューズホルダ71の突部74と筒形ヒューズ61の接触面66との接触部分がジュール発熱し、これにより半田65が軟化する。そして、接触面66には端子72の突部74が所定の接触荷重にて接触していることから、この突部74が軟化した接触面66に徐々にめり込み、これに伴って突部74と接触面66との間の接触圧が低下する。
【0006】
これは、端子72は突部74と接触面66とが点接触したときに所定の接触圧が得られるように設計されており、突部74が接触面66にめり込むと両者74,66間の接触面積は増大するものの単位面積当たりの接触荷重は小さくなるからである。このため、筒形ヒューズ61の使用継続に伴って突部74の接触面66に対する接触荷重が徐々に低下し、接触不良となるおそれがあった。
【0007】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、筒形ヒューズの電気的な接触面とヒューズホルダの端子との間における接触不良を防止することができる筒形ヒューズ及びヒューズホルダを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ヒューズエレメントが収納された絶縁筒と、同絶縁筒の両端部に被冠されたヒューズキャップとを備え、同ヒューズキャップの外端面に凹部及び凹条の少なくとも一方を設け、同凹部及び凹条の少なくとも一方の内部をヒューズエレメントの外端部ヒューズキャップとの半田付け部位として半田をヒューズキャップの外端面から突出させないよう構成した筒形ヒューズを保持してなるヒューズホルダであって、前記ヒューズホルダは前記筒形ヒューズの両端部を保持する一対の端子を備え、前記ヒューズキャップの外端面に設けられた前記凹部及び凹条の少なくとも一方を除くヒューズキャップの外端面部分である外部に露出した部分を電気的接触面とし、前記端子を電気的接触面に対して接触可能に構成し、前記端子には前記筒形ヒューズの電気的接触面に対して直接接触可能な接点部を形成し、同接点部は、前記筒形ヒューズの電気的接触面に対して点接触する単数又は複数の突部、あるいは筒形ヒューズの電気的接触面に対して線接触する単数又は複数の凸条であることをその要旨とする。
【0014】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、ヒューズキャップの外端面に設けられた凹部及び凹条の少なくとも一方を除くヒューズキャップの外端面部分である外部に露出した部分が電気的接触面とされる。半田に覆われている部分を電気的な接触面とした場合と異なり、通電時において接触面が軟化することがなく、クリープ変形のおそれもない。このため、接触面のクリープ変形に起因する接触荷重の低下が防止される。
【0015】
また、ヒューズエレメントは半田付け部位にて半田付けされ、半田がヒューズキャップの外端面から突出することはない。
【0016】
また、ヒューズホルダの接点部は筒形ヒューズの外端面における外部に露出した部分(電気的接触面)に対して接触する。
【0017】
また、筒形ヒューズの電気的な接触面に対して単数又は複数の突部が点接触する。あるいは筒形ヒューズの電気的な接触面に対して単数又は複数の凸条が線接触する。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を筒形ヒューズ及びそのヒューズホルダに具体化した第1実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0021】
(全体)
図1に示すように、筒形ヒューズ11は例えば自動車内に配置されたヒューズホルダ21の両端子22,22間に配置されている。一方の端子22は各種電装品(図示略)に負荷側リード線を介して接続されており、他方の端子22は電源であるバッテリ(図示略)に電源側リード線を介して接続されている。
【0022】
(筒型ヒューズ)
図1に示すように、筒形ヒューズ11は絶縁筒12、同絶縁筒12内に収納されたヒューズエレメント13、及び絶縁筒12の両端にそれぞれ被冠されたヒューズキャップ14を備えている。絶縁筒12はガラス等の絶縁材料にて両端が開口した円筒状に形成されている。ヒューズエレメント13は亜鉛合金等のヒューズ用金属にて線状に形成されている。ヒューズキャップ14は導電性を有する金属材料にて一端が開口した円筒状に形成されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、ヒューズキャップ14の外端面中央には円筒状の凹部15が形成されている。凹部15の内底面には挿通孔15aが形成されており、同挿通孔15aの内径はヒューズエレメント13の外径(線径)よりも若干大きくなっている。また、ヒューズキャップ14の外端面には2つの凹条16a, 16bが凹部15を間に挟んで互いに反対方向に延びるように且つ凹部15と同じ深さとなるように形成されており、両凹条16a, 16bはそれぞれ凹部15に連通している。両凹条16a, 16bの幅はそれぞれヒューズエレメント13の外径よりも大きくされている。尚、凹部15及び両凹条16a, 16bは半田付け部位を構成する。
【0024】
図1に示すように、両挿通孔15a,15a間にはヒューズエレメント13が挿通されている。ヒューズエレメント13の凹部15内への突出部13aは、その基端部にて凹条16b側に折り曲げられている(図2参照)。この突出部13aは凹部15及び凹条16b内において半田付けされることによりヒューズキャップ14に対して固定されている。半田17はその外面が凹部15及び両凹条16a, 16bの内部に位置するように盛られている。即ち、半田17の外面はヒューズキャップ14の外端面から突出していない。そして、ヒューズキャップ14の外端面における凹部15及び両凹条16a, 16bを除く部分、即ち外部に露出した部分は、ヒューズホルダ21の端子22との電気的接触面Sとされている。
【0025】
(ヒューズホルダ)
図1に示すように、ヒューズホルダ21は、筒形ヒューズ11の両端部を挟圧保持する一対の端子22,22を備えている。両端子22, 22はそれぞれ導電性及び弾性を有する板状の金属材料の一端部が折り返されることにより形成されている。この端子22の折返し部分はヒューズキャップ14の外端面に対する所定の接触荷重を発生させるバネ部23とされている。
【0026】
図3に示すように、バネ部23は円形に形成されており、その中央には貫通孔24が形成されている。バネ部23の外面(筒形ヒューズ11接触側)における貫通孔24の周囲には、それぞれ円環状且つ断面円弧状(図1参照)の凸条25が形成されている。凸条25の外径はヒューズキャップ14の外径よりも小さく、且つ凹部15の内径よりも大きくされており、凸条25はヒューズキャップ14の外端面に対して直接接触可能となっている。両凸条25, 25間の距離は筒形ヒューズ11の長さ(両ヒューズキャップ14, 14の外端面間の距離)よりも若干小さくされており、両ヒューズキャップ14の外端面にはそれぞれバネ部23の弾性力により凸条25が所定の接触荷重にて接触している(図1参照)。
【0027】
従って、本実施形態によれば、以下の作用及び効果を得ることができる。
・凹部15及び凹条16a, 16bの内部でヒューズエレメント13の突出部13aを半田付けすると共に、この半田17の外面がヒューズキャップ14の外端面から突出しないようにした。また、端子22のバネ部23に円環状の凸条25を形成した。このため、端子22の凸条25は半田17を介することなくヒューズキャップの外端面に対して直接接触する。従って、従来と異なり、半田17のクリープに起因する接触不良が防止され、凸条25とヒューズキャップ14外端面との電気的接続を良好に確保できる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図4(a), (b)に従って説明する。本実施形態は前記ヒューズホルダ21の端子22の構成において前記第1実施形態と異なる。従って、前記第1実施形態と同一の部材構成については同一の符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0029】
図4(a), (b)に示すように、前記端子22において、バネ部23に対向する面とバネ部23との間には、単一の圧縮コイルバネ31が介装されている。バネ部23は圧縮コイルバネ31の弾性力により外方に付勢されている。圧縮コイルバネ31は付勢手段を構成する。
【0030】
従って、本実施形態によれば、以下の作用及び効果を得ることができる。
・圧縮コイルバネ31の弾性力により凸条25のヒューズキャップ14外端面に対する接触荷重が増大する。また、仮に、バネ部23の弾性力が経時的に低減しても、凸条25のヒューズキャップ14外端面に対する接触荷重は圧縮コイルバネ31の弾性力にて補われる。このため、凸条25とヒューズキャップ14外端面との間の良好な電気的接続状態を維持することができる。
【0031】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図5及び図6に従って説明する。本実施形態は前記突部74の形状において前記従来の技術と異なる。従って、前記従来技術と同一の部材構成については同一の符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0032】
図5及び図6に示すように、端子72のバネ部73の上部外面には円錐状の突部41が形成されている。このため、筒形ヒューズ61をヒューズホルダ71(図9参照)の両端子72, 72間に取着した状態において、バネ部73の弾性力よる荷重は突部41の先端部に集中し、これにより突部41が積極的に半田65(接触面66)へ食い込む。そして、突部41が半田65に食い込んだとき、同突部41の接触面66(筒形ヒューズ61の両端面)に対する所定の接触荷重が得られるように、突部41のバネ部73外面からの突出高さ及び円錐の頂角等が設定されている。従って、本実施形態によれば、より簡単な構成で突部41とヒューズキャップ外端面との接触荷重を確保し、接触不良を防止することができる。
【0033】
尚、前記各実施形態は次のように変更して実施してもよい。
・第1実施形態においては、バネ部23の外面に円環状の凸条25を形成したが、この凸条25を図7及び図8に示すように、複数(図7では6個)の球面状の突部51に置き換えてもよい。図8に示すように、各突部51は貫通孔24の周囲に且つ同心円上に配置されている。尚、両端子22,22間に筒形ヒューズ11を装着したとき、凹条16a, 16bに対応する部分には、突部51は設けられていない。また、突部51の数は適宜変更してもよい。さらに、円環状の凸条25を例えば複数の円弧状の凸条に置き換えてもよい。このようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
・第1実施形態では、筒形ヒューズ11の両端面(ヒューズキャップ14の外端面)に凹部15及び凹条16a, 16bを形成すると共に、端子22のバネ部23外面に凸条25を形成したが、いずれか一方のみ形成するようにしてもよい。このようにしても、半田17がヒューズキャップ14の外端面から突出していないことから、凸条25をヒューズキャップ14外端面に対して直接接触させることができる。
【0035】
・第1実施形態においては、ヒューズキャップ14の外端面に凹部15及び凹条16a, 16bを形成したが、いずれか一方のみを形成するようにしてもよい。凹部15のみとする場合は、凹部15の内径をヒューズエレメント13の突出部13aが配置可能な程度に、即ち凹部15の内径を少なくとも突出部13aの長さ以上とする。半田17はヒューズキャップ14の外端面から突出しないようにする。このようにしても、凸条25をヒューズキャップ14外端面に対して直接接触させることができる。
【0036】
・第1及び第2実施形態においては、突出部13aを凹条16b側に折り曲げたが、凹条16a側に折り曲げるようにしてもよい。このようにしても、第1及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
・第2実施形態においては、端子22におけるバネ部23と同バネ部23に対向する面との間に圧縮コイルバネ31を介在させたが、この圧縮コイルバネ31を他の弾性体(例えばスポンジ、ゴム等)に置き換えてもよい。このようにしても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、弾性体(例えばスポンジ、ゴム等)は付勢手段を構成する。
【0038】
・第2実施形態においては、端子22におけるバネ部23と同バネ部23に対向する面との間に単一の圧縮コイルバネ31を介在させたが、複数(2つ、3つ及びそれ以上)の圧縮コイルバネ31を介在させてもよい。この場合、例えば圧縮コイルバネ31の内径を貫通孔24より大きくすると共に、圧縮コイルバネ31の外径をバネ部23の外径より小さくする。このようにしても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
・第3実施形態においては、突部51を円錐状に形成したが、例えば円錐台状に形成してもよい。このようにしても、筒形ヒューズをヒューズホルダの両端子間に装着したとき、突部41が積極的に半田部へ食い込む。
【0040】
・第1〜第3実施形態においては、ヒューズエレメント13,63の両端部をそれぞれヒューズキャップ14,64の外端面に対して半田付けするようにしたが、一方の端部をヒューズキャップ14,64の内端面にて半田付けするようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、筒形ヒューズの電気的な接触面とヒューズホルダの端子との間における接触不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態におけるヒューズホルダに装着した状態の筒形ヒューズの正断面図。
【図2】 第1実施形態における筒形ヒューズの側面図。
【図3】 第1実施形態におけるヒューズホルダの端子の要部正面図。
【図4】 (a)は第2実施形態におけるヒューズホルダに装着した状態の筒形ヒューズの要部正断面図、(b)は第2実施形態におけるヒューズホルダの端子の要部側断面図。
【図5】 第3実施形態におけるヒューズホルダに装着した状態の筒形ヒューズの要部正断面図。
【図6】 第3実施形態におけるヒューズホルダの端子の要部正面図。
【図7】 別の実施形態におけるヒューズホルダに装着した状態の筒形ヒューズの要部正断面図。
【図8】 別の実施形態におけるヒューズホルダの端子の要部正面図。
【図9】 従来のヒューズホルダに装着した状態の筒形ヒューズの正面図。
【図10】 従来のヒューズホルダに装着した状態の筒形ヒューズの要部正断面図。
【図11】 従来の筒形ヒューズの側面図。
【図12】 従来のヒューズホルダの端子の要部正面図。
【符号の説明】
11…筒形ヒューズ、12…絶縁筒、13…ヒューズエレメント、
14…ヒューズキャップ、15…半田付け部位を構成する凹部、
16a, 16b…半田付け部位を構成する凹条、21…ヒューズホルダ、
22…端子、25…接点部を構成する凸条、51…接点部を構成する突部、
31…付勢手段を構成する圧縮コイルバネ、41…突部、
65, S…電気的な接触面(露出部位)。

Claims (1)

  1. ヒューズエレメントが収納された絶縁筒と、同絶縁筒の両端部に被冠されたヒューズキャップとを備え、同ヒューズキャップの外端面に凹部及び凹条の少なくとも一方を設け、同凹部及び凹条の少なくとも一方の内部をヒューズエレメントの外端部ヒューズキャップとの半田付け部位として半田をヒューズキャップの外端面から突出させないよう構成した筒形ヒューズを保持してなるヒューズホルダであって、
    前記ヒューズホルダは前記筒形ヒューズの両端部を保持する一対の端子を備え、前記ヒューズキャップの外端面に設けられた前記凹部及び凹条の少なくとも一方を除くヒューズキャップの外端面部分である外部に露出した部分を電気的接触面とし、前記端子を電気的接触面に対して接触可能に構成し、
    前記端子には前記筒形ヒューズの電気的接触面に対して直接接触可能な接点部を形成し、同接点部は、前記筒形ヒューズの電気的接触面に対して点接触する単数又は複数の突部、あるいは筒形ヒューズの電気的接触面に対して線接触する単数又は複数の凸条であるヒューズホルダ
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