ところで、バッテリは電解液と極板との化学反応により充放電されるが、減速時にその反応が活性化しやすい状態であることが、減速時のバッテリ充電量を増大させ、より一層エンジン燃費を向上させることにつながる。
そこで、本発明は、減速時におけるバッテリの充電を活性化させ、もってエンジン燃費を一層向上可能な車両用発電機の制御装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、バッテリを充電する発電機の発電電圧を減速時に所定量高める発電機制御手段を備えた車両用発電機の制御装置であって、車両前方の状況を検出するカメラと、該カメラの検出結果に基づいて、運転者が減速操作を行うと予測される状況であるか否かを判定する減速予測判定手段とを備え、前記発電機制御手段は、運転者が減速操作を行うと予測される状況と減速予測判定手段が判定したときは、発電機の発電電圧を、前記バッテリが放電することとなる電圧まで低下させることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両用発電機の制御装置において、前記減速予測判定手段は、前記カメラの検出結果に基づいて自車前方の速度規制表示板に表示された規制速度を検知可能に構成されていると共に、検知された規制速度よりも自車の走行速度が大きいときに、運転者が減速操作を行うと予測される状況と判定することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の車両用発電機の制御装置において、前記発電機制御手段は、前記減速予測判定手段によって検知された規制速度と自車の走行速度との差が大きいほど、発電電圧の低下量を大きくすることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両用発電機の制御装置において、前記減速予測判定手段は、前記カメラの検出結果に基づいて自車前方の車両のランプ点灯状態を検知可能に構成されていると共に、その点灯状態に基づいて、運転者が減速操作を行うと予測される状況であるか否かを判定することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の車両用発電機の制御装置において、前記減速予測判定手段は、自車の前方の車両のランプ点灯状態としてハザードランプ及びブレーキランプの点灯状態を検知可能に構成されており、前記発電機制御手段は、前記減速予測判定手段によってハザードランプ点灯と検知されたときは、ブレーキランプ点灯と検知されたときよりも、発電電圧の低下量を大きくすることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両用発電機の制御装置において、前記減速予測判定手段は、前記カメラの検出結果に基づいて自車前方の歩行者を検知可能に構成されていると共に、自車前方に歩行者を検知したときに、運転者が減速操作を行うと予測される状況であると判定することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項6に記載の車両用発電機の制御装置において、前記減速予測判定手段は、前記カメラの検出結果に基づいて自車前方の歩行者の所在場所をも検知可能に構成されており、前記発電機制御手段は、前記減速予測判定手段によって歩行者が道路上にいることが検知されたときは、発電電圧の低下量を大きくすることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の車両用発電機の制御装置において、前記減速予測判定手段は、前記カメラの検出結果に基づいて自車前方の対向車及びその所在場合をも検知可能に構成されており、前記発電機制御手段は、前記減速予測判定手段によって歩行者が道路上以外の場所で検知され、かつ対向車が横断歩道直前で停車していることが検知されたときは、発電電圧の低下量を大きくすることを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両用発電機の制御装置において、前記減速予測判定手段は、前記カメラの検出結果に基づいて自車の前方の交通信号機の点灯状態を検知可能に構成されていると共に、その点灯状態に基づいて、運転者が減速操作を行うと予測される状況であるか否かを判定することを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、前記請求項9に記載の車両用発電機の制御装置において、前記減速予測判定手段は、自車の前方の交通信号機の点灯状態として自車走行車線用の車両用信号機及び歩行者用信号機の点灯状態を検知可能に構成されており、前記発電機制御手段は、前記減速予測判定手段によって自車走行車線用の車両用信号機が青信号、歩行者用信号機が青点滅信号であることが検知されたときは、発電電圧の低下量を大きくすることを特徴とする。
次に、本発明の効果について説明する。
まず、請求項1に記載の発明によれば、車両前方の状況がカメラにより検出され、その検出結果に基づいて、運転者が減速操作を行うと予測される状況であるか否かが判定され、運転者が減速操作を行うと予測される状況と判定されたときは、発電機の発電電圧が、バッテリが放電することとなる電圧まで低下される。そして、実際に減速状態となったときに、発電機の発電電圧が所定量高められることとなる。つまり、減速状態となって発電電圧が所定量高められる前に、一旦、発電機の発電電圧が、バッテリが放電することとなる電圧まで低下されることとなる。
ここで、バッテリの充放電は、電解液と極板との化学反応により行われるが、放電時においては、極板に電解液中の硫酸成分が取り込まれていくので、電解液の濃度(比重)が低下する。特に極板近傍においては、他の部分よりも硫酸成分が取り込まれやすいので、当該他の部分よりも低下する。一方、充電時においては、極板から電解液中に硫酸成分が放出されるので、放電時とは逆に、電解液の濃度が高くなる。特に極板近傍においては、放出された硫酸成分が十分に撹拌されるまでの間、他の部分よりも高くなる。
また、この極板近傍の電解液の濃度は、発電電圧の高低の影響も受ける。例えば、放電時においては発電電圧が低いほど放電量が多くなり、その結果、極板近傍の硫酸成分が多く取り込まれ、この極板近傍の電解液の濃度がさらに低くなる。
ここで、バッテリの化学反応の特性として、極板近傍の電解液の濃度が低い状態で発電電圧が高くなると、極板から電解液中に硫酸成分が放出されやすくなるというものがある。つまり、放電状態から充電状態に変化したときに、充電時における電解液と極板との化学反応が活性化しやすくなるというものである。そして、この特性は、極板近傍の電解液の濃度が低いほど顕著となる。
一方、バッテリの化学反応の特性として、極板近傍の電解液の濃度が高い状態で発電電圧が低くなると、電解液中の硫酸成分が極板に取り込まれやすくなるというものがある。つまり、充電状態から放電状態に変化したときに、放電時における電解液と極板との化学反応が活性化しやすくなるというものである。そして、この特性は、極板近傍の電解液の濃度が高いほど顕著となる。
そこで、本発明者は、バッテリのこのような特性に着目し、減速前に一旦発電電圧を低下させることとしたものである。これによれば、発電電圧を低下させない場合よりも、減速前の(充電前の)極板近傍の電解液の濃度が低くなり、その結果、その後の減速時におけるバッテリ充電の化学反応が活発化することとなる。つまり、バッテリの減速回生充電を効果的に行うことができるようになる。また、このようにバッテリ充電の化学反応が活発化することにより、減速終了前の(放電前の)極板近傍の電解液の濃度が高くなり、その後、発電電圧を通常の電圧(一旦低下させたときの電圧でも、所定量高くされたときの電圧でもない電圧)に戻したときに、バッテリ放電の化学反応が活発化し、バッテリからより多くの電力を電気負荷に供給することができるようになる。つまり、電気負荷の消費電力が一定とすると、発電機からの電力供給量を少なくすることができる。
そして、前述のように(1)減速前に一旦発電電圧が低下されること、及び(2)発電電圧を前記通常の電圧に戻したときにおける発電機からの電力供給量を少なくできることことにより、エンジンに対する発電機負荷が減少し、その間、エンジン燃費が向上することとなる。なお、(1)、(2)により、バッテリからの放電電流が増加するので、その分を発電機からの電力により充電する必要があるが、その分は減速時における前述のように活性化した充電により十分充電することができ、その結果、全体としてもエンジン燃費が向上することとなる。
ところで、前述のような発電電圧制御を行おうとすると、減速を前もって予測する必要がある。そこで、本発明においては、前述のように、車両前方の状況をカメラにより検出し、その検出結果に基づいて、運転者が減速操作を行うと予測される状況であるか否かを判定するようにしたものである。これによれば、実際の運転状況に基づいて減速の予測を行うことができる。なお、カメラを用いた減速予測の具体手段については、請求項2以下において説明する。
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、カメラの検出結果に基づいて自車前方の速度規制表示板に表示された規制速度が検知され、検知された規制速度よりも自車の走行速度が大きいときに、運転者が減速操作を行うと予測される状況と判定される。つまり、速度規制表示板の規制速度に基づいて減速操作を予測することができる。
ここで、検知された規制速度と自車の走行速度との差が大きいほど、大きな減速度が見込まれる。そこで、請求項3に記載の発明においては、検知された規制速度と自車の走行速度との差が大きいほど、発電電圧の低下量を大きくしたものであり、これによれば、発電機の発電電圧が所定量高められたときに、バッテリの充電がより活発化し、減速回生電力が一層増加することとなる。
また、請求項4に記載の発明によれば、カメラの検出結果に基づいて自車前方の車両のランプ点灯状態が検知され、その点灯状態に基づいて、運転者が減速操作を行うと予測される状況であるか否かが判定される。つまり、車両のランプ点灯状態に基づいて減速操作を予測することができる。
ここで、車両のランプとしては、ハザードランプやブレーキランプがあるが、ハザードランプ点灯時は、緊急停車の可能性が高く、ブレーキランプ点灯時よりも大きな減速度が見込まれる。そこで、請求項5に記載の発明においては、ハザードランプ点灯と検知されたときは、ブレーキランプ点灯と検知されたときよりも、発電電圧の低下量を大きくしたものであり、これによれば、発電機の発電電圧が所定量高められた際、バッテリの充電がより活発化し、減速回生電力が一層増加することとなる。
また、請求項6に記載の発明によれば、カメラの検出結果に基づいて自車前方に歩行者が検知されたときに、運転者が減速操作を行うと予測される状況であると判定される。つまり、歩行者の存在に基づいて減速操作を予測することができる。
ここで、歩行者が道路上にいるときや、歩行者が道路上にいなくても対向車が横断歩道直前で停車しているときは、大きな減速度が見込まれる。そこで、請求項7に記載の発明においては、歩行者が道路上にいることが検知されたときは、発電電圧の低下量を大きくするものであり、これによれば、発電機の発電電圧が所定値高められた際、バッテリの充電がより活発化し、減速回生電力が一層増加することとなる。
また、歩行者が道路上にいなくても対向車が横断歩道直前で停車しているときは、歩行者が道路上に出てくる可能性があり、大きな減速度が見込まれる。そこで、請求項8に記載の発明においては、歩行者が道路上にいなくても、対向車が横断歩道直前で停車していることが検知されたときは、発電電圧の低下量を大きくするものであり、これによれば、発電機の発電電圧が所定値高められた際、バッテリの充電がより活発化し、減速回生電力が一層増加することとなる。
また、請求項9に記載の発明によれば、カメラの検出結果に基づいて自車前方の交通信号機の点灯状態が検知され、その点灯状態に基づいて、運転者が減速操作を行うと予測される状況であるか否かが判定される。つまり、交通信号機の点灯状態に基づいて減速操作を予測することができる。
ここで、自車走行車線用の車両用信号機が青信号、歩行者用信号機が青点滅信号であるときは、大きな減速度が見込まれる。そこで、請求項10に記載の発明においては、自車走行車線用の車両用信号機が青信号、歩行者用信号機が青点滅信号であることが検知されたときは、発電電圧の低下量を大きくするものであり、これによれば、発電機の発電電圧が所定値高められた際、バッテリの充電がより活発化し、減速回生電力が一層増加することとなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る車両用発電機の制御装置について説明する。
図1は、この車両用発電機の制御装置1の構成を示している。この車両には、エアコン、ヘッドランプ、デフォッガ等の車両用電気負荷2に電力を供給するバッテリ3と、車両用電気負荷2に電力を供給すると共にバッテリ3を充電する発電機4とが備えられている。
バッテリ3は、車両用蓄電池として一般的に用いられる定格12Vの鉛蓄電池であり、周知のように、二酸化鉛を主電極材とする陽極板と、鉛を主電極材とする負極板と、これらを収容するケースと、該ケース内に満たされた希硫酸でなる電解液とを有している。
発電機4は、エンジン5により駆動されるオルタネータ及び発電電圧調整用のレギュレータで構成されている。このレギュレータは、発電電圧(レギュレート電圧)を、後述するコントロールユニットからの制御信号により数段階に切替可能に構成されている。
また、この制御装置1は、コントロールユニット10を有し、バッテリ3の充放電電流を検出する電流センサ11からの信号、車速Sを検出する車速センサ12からの信号、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ13からの信号、カメラ14からの画像(映像)信号等が入力されるようになっている。
カメラ14は、CCDやCMOS等により光を電気信号に変換するビデオカメラによって構成されており、自車前方の景色を撮像可能に車両の前部に配設されている。
また、コントロールユニット10は、カメラ14からの映像(画像)信号を一定周期でサンプリングして静止画像として取り込み、この取り込んだ画像に所定の処理を施すことにより、画像中の所定の対象物及びその状態等を検知可能に構成されている。なお、画像中に含まれる対象物を認識して検知する技術としては公知のものが利用可能であり、具体的な説明は省略する。
そして、コントロールユニット10は、車速センサ12及びアクセル開度センサ13からの信号に基づいて車両の減速状態を検出したときは、発電機4の発電電圧がバッテリ3の充電が促進される電圧VHとなるように、発電機4に制御信号を出力する。一方、車両の減速が検出されないときは、カメラ14で撮影された画像中に検知された所定の対象物の存在及びその状態に基づいて、自車が減速状態となる可能性があるかどうかについて予測及び判定を行い、発電機4の発電電圧が判定結果に対応する電圧となるように、発電機4に制御信号を出力する。具体的には、自車が減速状態となると予測されないときは、発電機4の発電電圧がバッテリ3が放電気味となる電圧V0となるように、発電機4に制御信号を出力する。一方、自車が減速状態となると予測されるときは、発電機4の発電電圧がバッテリ3が通常(電圧V0のとき)よりも放電することとなる電圧VL1またはVL2となるように、発電機4に制御信号を出力する。
以下、このコントロールユニット10による制御について図2のフローチャート等を用いて詳細に説明する。なお、このフローチャートによる制御は所定周期で繰り返し実行される。
まず、コントロールユニット10は、ステップS1で、電流センサ11、車速センサ12、アクセル開度センサ13、カメラ14からの信号を入力すると共に、ステップS2で、車両が減速状態にあるか否かを判定する。ここで、車両が減速状態にあるか否かは、車速センサ12で検出された車速及びアクセル開度センサ13で検出されたアクセル開度に基づいて判定され、車速Sが低下しかつアクセル開度がゼロの状態(アクセルペダルが踏み込まれていない状態)のときに車両が減速状態にあると判定される。なお、電流センサ11で検出された充放電電流は、例えばコントロールユニット10によるバッテリ3の現在の状態の把握等(バッテリ残存容量の積算等)に用いられるが、本発明において必須ではない。
そして、ステップS2の判定がNOのとき、すなわち車両が非減速状態のときは、ステップS3で、減速予測判定を行う。ここで、減速予測判定は、図3に示すサブルーチンに基づいて行われる。
すなわち、このサブルーチンのステップS21では、カメラ14からの画像信号により構成される画像の解析を行う。第1の実施の形態においては、画像中に含まれる速度規制表示板及び該表示板に表示された規制速度を検知可能に構成されており、ステップS21では、画像中に速度規制表示板が存在するか否かを判断する。そして、図4に示すように、速度規制表示板が存在する場合には、該表示板に表示された規制速度を認識する。ここで、速度規制表示板まで100m程度に接近すれば、速度規制表示板を検知して規制速度を認識することができる。なお、カメラ14を高解像度のものとすることにより、より離れた位置からでも認識することができる。これに対し、歩行者の場合は、100m程度よりも更に接近しないと、規制速度を認識するのは困難である。
そして、ステップS22では、速度規制表示板が検知されたか否かを判定し、検知されないときは(NO)、ステップS23で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ0(ゼロ)を設定する。ここで、減速予測フラグは、減速可能性を示すフラグであり、該フラグが1であることは減速が生じると予測されることを意味し、0(ゼロ)であることは減速が生じるとは予測されないことを意味する。また、急減速予測フラグは、前記減速よりも減速度の大きな急減速の可能性を示すフラグであり、該フラグが1であることは急減速が生じると予測されることを意味し、0(ゼロ)であることは急減速が生じるとは予測されないことを意味する。なお、減速予測フラグが1であるが、急減速予測フラグが0(ゼロ)であることは、減速が生じると予測されるが、急減速が生じるとは予測されないことを意味する。また、減速予測フラグ及び急減速予測フラグの両方が1であることは、急減速が生じると予測されることを意味する。なお、以後の実施の形態においても同様のフラグを利用するが、意味するところは同じである。
ここで、ステップS23において、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ0(ゼロ)を設定するのは、速度規制表示板が検知されないときは速度規制に基づいて乗員が減速操作を行うとは考えられないからである。
一方、ステップS22で速度規制表示板が検知されたときは(YES)、ステップS24において、車速センサ12で検出された実車速から、認識された規制速度を減算した値が、所定値αよりも大きいか否かを判定する。ここで、所定値αは例えば10(km/h)程度の値である。そして、大きくないとき(NO)は、前述のステップS23で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ0(ゼロ)を設定する。これは、減算した値が、所定値αよりも大きくないときは、乗員が減速操作を行う可能性が少ないからである。一方、大きいときは(YES)、ステップS25において、車速センサ12で検出された実車速から、認識された規制速度を減算した値が、所定値βよりも大きいか否かを判定する。ここで、所定値βは例えば20(km/h)程度の値であり、所定値β>所定値αである。
そして、ステップS25において、所定値βよりも大きくないときは(NO)、ステップS26で、減速予測フラグとして1を設定すると共に、急減速予測フラグとして0(ゼロ)を設定する。これは、実車速が規制速度を若干超えているので、乗員が速度規制表示板を目視したときに減速操作を行う可能性が高いからである。
一方、ステップS25において、所定値βよりも大きいときは(YES)、ステップS27で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ1を設定する。これは、実車速が規制速度を大きく超えているので、乗員が速度規制表示板を目視したときに急減速操作を行う可能性が高いからである。
そして、ステップS23,S26,S27のいずれかの実行後は、メインルーチンのステップS4に戻り、減速予測フラグが1であるか否かを判定する。そして、減速予測フラグが1でないときは(NO)、ステップS5で、発電電圧としてV0を設定する。ここで、このV0は例えば12.5V程度の電圧で、バッテリ3が所定の残存容量以上を有している状態のときのバッテリ電圧(起電力)よりも低く、バッテリ3から電気負荷2に電力が供給されることとなる電圧である。
一方、ステップS4で、減速予測フラグが1のときは(YES)、ステップS6で、急減速予測フラグが1か否かを判定する。そして、急減速予測フラグが1でないときは(NO)、ステップS7で、発電電圧としてVL1を設定する。ここで、このVL1は、前記V0よりも低い例えば12.3V程度の電圧で、V0のときよりも、バッテリ3が放電しやすく、バッテリ3からより多くの電力が電気負荷2に供給されることとなる電圧である。すなわち、減速が予測されると、発電機4の発電電圧が、バッテリ3が放電することとなる電圧まで低下されることとなる。
これに対し、ステップS6で、急減速予測フラグが1のときは(YES)、ステップS8で、発電電圧としてVL2を設定する。ここで、このVL2は、前記VL1よりもさらに低い例えば12.0V程度の電圧で、V0のときよりも、バッテリ3が一層放電しやすく、バッテリ3からさらに多くの電力が電気負荷2に供給されることとなる電圧である。すなわち、急減速が予測されると、発電機4の発電電圧の低下量が大きくされることとなる。
他方、前述のステップS2において、減速状態にあると判定されたときは(YES)、ステップS9で、発電電圧としてVHを設定する。ここで、このVHは、前記V0よりも高い例えば14〜15V程度の電圧で、バッテリ3の充電が促進される電圧である。
そして、前記ステップS5,S7,S8,S9のいずれかが実行された後は、ステップ10において、これらのステップS5,S7,S8,S9で設定された発電電圧となるように、発電機4に対して制御信号を出力し、リターンする。
次に、図5のタイムチャートを参照しつつ、本実施の形態に係る車両用発電機の制御装置1による作用及び効果を説明する。
すなわち、車両が走行中において、カメラ14で取り込まれた画像情報から速度規制表示板が検知されておらず、減速状態でもない状態のときは、発電機4の発電電圧はV0に制御される。その場合に、この電圧V0は、バッテリ3が放電気味となる電圧であるので、バッテリ3から放電電流が流れることとなる。
ここで、バッテリ(鉛蓄電池)の充放電は、電解液と極板との下記式に示す化学反応により行われる。
充電 ←→ 放電
陽極側 Pb+SO4 2− ←→ PbSO4+2e−
陰極側 PbO2+4H++SO4 2−+2e− ←→ PbSO4+2H2O
全反応 PbO2+Pb+2H2SO4 ←→ 2PbSO4+2H2O
この化学反応式から分るように、放電時においては、陽極板及び陰極板に電解液中の硫酸成分(硫酸イオンSO4 2−)が取り込まれていくので、電解液の濃度(比重)が低下する。特に両極板近傍においては、他の部分よりも硫酸成分が極板に取り込まれやすいので、当該他の部分よりも低下する。一方、充電時においては、極板から電解液中に硫酸成分が放出されるので、放電時とは逆に、電解液の濃度が高くなる。特に極板近傍においては、放出された硫酸成分が十分に撹拌されるまでの間、他の部分よりも高くなる。
したがって、発電機4の発電電圧がV0に制御され、バッテリ3が放電気味となっている間は、図6(a)(図5にTaで示すときの状態)に示すように、両極板近傍(図6では陽極板近傍を示している)においては、他の部分よりも硫酸成分が極板に取り込まれやすく、当該他の部分よりも低下している。なお、このときは従来及び本発明においても電解液の濃度等に大きな差はない。
その場合に、車両が走行中に、図5に示すように、カメラ14で取り込まれた画像情報から速度規制表示板が検知されると(例えば速度規制表示板の手前100m程度の位置で)、該速度規制表示板に表示されている規制速度が認識される。そして、実車速がこの規制速度よりも所定量αまたはβ以上大きいか否か及びが判定される。そして、図5に実線で示すように、実車速が規制速度に対して所定量α以上大きいが、所定量β以上は大きくないときは、減速予測フラグのみ1が設定され、発電機の発電電圧がV0からVL1に低下される。その結果、バッテリ3の放電電流が増加すると共に、バッテリ3の電圧(起電力(電解液の濃度にほぼ比例する))の低下速度が大きくなる。また、このように発電電圧をVL1に低下させている間、エンジンに対するバッテリの充電のための負荷が軽減され、この間のエンジン燃費が向上することとなる。
そして、その後、乗員が速度規制表示板に気づき、自車の実車速が規制速度よりも大きいことから、減速操作(アクセルペダルの踏み込み解除)が行われて減速状態と判定されると、発電機の発電電圧がVL1からVH(バッテリの充電を促進する電圧)に高められ、その結果、バッテリが放電状態から充電状態に移行することとなる。
その場合に、本実施の形態においては、前述のように、発電電圧がVHに高められる前にVL1に低下させられているので、図6(b)(図5にTbで示すときの状態)に示すように、放電電流が従来よりも大きくなっており、その結果、陽極板近傍の硫酸成分がより多く極板に取り込まれ、従来と比較して陽極板近傍の電解液の濃度が小さくなっている。したがって、その後充電のために発電電圧がVHまで高くなったときに、極板から電解液中に硫酸成分が放出されやすくなって、電解液と極板との化学反応(電解液中の水と極板とが反応して、電解液中に硫酸が増加する反応)が活性化しやすくなる。つまり、バッテリ3の充電電流が、図5に示すように従来(減速前に発電電圧の低下を行わないとき)よりも増加すると共に、バッテリ3の電圧の上昇速度が大きくなる。すなわち、従来と同じ発電電圧VHで充電を行ったとしても、車両の減速エネルギーを減速回生により電気エネルギーとして効果的にバッテリ3に取り込むことが可能となる。
そして、その後、乗員が減速操作を終了すると、発電機4の発電電圧がVHからV0に低下され、その結果、バッテリ3が充電状態から放電状態に移行することとなる。
その場合に、図6(c)((図5にTcで示すときの状態)に示すように、充電状態から放電状態に移行する前においては、従来よりも充電電流が大きくなっているので、極板近傍の電解液(希硫酸)の濃度(比重)が従来と比較して大きく(濃く)なっている。したがって、その後の放電に伴う極板と電解液との化学反応(電解液中の水と極板とが反応して、電解液中に水が増加する反応)が活発化しやすくなり、バッテリ3の放電電流が、図5に示すように従来(減速前に発電電圧の低下を行わないとき)よりも増加する。また、図6(d)((図5にTdで示すときの状態)に示すように、極板近傍の電解液(希硫酸)の濃度(比重)が従来と比較して大きい(濃い)状態がしばらく続き、その結果、バッテリ3の電圧が発電電圧V0に低下するまでの時間が長くなる。つまり、従来と同じ発電電圧V0で放電を行ったとしても、より多くの放電電流をより長い間電気負荷2に対して供給することができるようになる。つまり、電気負荷2の消費電力が一定とした場合、電気負荷2に電力を供給するためのエンジン負荷が軽減され、この間のエンジン燃費が向上することとなる。
なお、減速前に一旦発電電圧がVL1に低下されること、及び発電電圧をVHから通常の電圧V0に戻したときにおける発電機4からの電力供給量が少なくなることにより、バッテリ3からの放電電流が増加することとなり、その分を発電機4からの電力により充電する必要があるが、その分は減速時における前述のように活性化した回生充電により十分充電することができ、その結果、全体としてもエンジン燃費が向上することとなる。エンジン燃費が向上することとなる。
なお、前記説明においては、実車速が規制速度よりも所定量α以上速いが、所定量β以上速い速度とはなっていないものとして説明したが、実車速が規制速度よりも所定量β以上速い速度の場合、発電機4の発電電圧は、図5に二点鎖線で示すように、VL1よりも低いVL2に制御されることとなる。その結果、VL2に制御されたときのバッテリ4の放電電流は、VL1に制御されたときよりも大きくなると共に、発電機4の発電量は少なくなる。そして、極板近傍の電解液の濃度(比重)の変化がVL1のときよりもより大きくなり、その後発電電圧がVHに高められたときに、同じ発電電圧VHでもバッテリ4への充電電流がさらに大きくなる。つまり、減速回生エネルギーをより効果的に電気エネルギーとしてバッテリ3に取り込むことができる。また、その後発電電圧がV0に戻ったときには、バッテリ3からの放電量が、VL1に制御されたときよりも大きくなる。つまり、発電機4の発電電圧は、図5に二点鎖線で示すように、VL1よりも低いVL2に制御されることにより、VL1に制御されたときよりも前述の効果がより顕著に得られることとなる。
なお、本実施の形態においては、速度規制表示板及び規制速度が検知され、この規制速度と実車速との差が所定量α又はβ以上のときは、直ちに減速予測フラグ(急減速予測フラグ)に1を設定して、発電電圧を低下させるようにしたが、所定量α又はβ以上であることが検知されてから所定時間経過した後、減速予測フラグ(急減速予測フラグ)に1を設定して、発電電圧を低下させるようにしてもよい。
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、全体構成及びメインルーチンのフローチャートは、第1の実施の形態の図1及び図2に示すものと同一であり、これらの説明は省略し、図7に示すサブルーチンのフローチャートを中心に説明する。
すなわち、サブルーチンのステップS31では、カメラ14からの画像信号により構成される画像の解析を行う。この第2の実施の形態においては、コントロールユニット10は、画像中に含まれる自車前方の車両のブレーキランプ及びハザードランプ、並びにそれらの点灯状態を検知可能に構成されている。図8はこの画像の一例を示しており、ステップS31では、画像中にブレーキランプ及びハザードランプが存在するか否かを判断し、存在する場合には、その点灯状態を認識する。なお、自車前方の車両に対して100m程度の距離にまで接近すれば、ブレーキランプ及びハザードランプの点灯状態を認識可能である。
そして、ステップS32では、ブレーキランプの点灯が検知されたか否かを判定し、検知されないときは(NO)、ステップS33で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ0(ゼロ)を設定する。これは、ブレーキランプの点灯が検知されないときは、ブレーキランプの点灯に基づいて減速操作が行われることは考えられないからである。
一方、ステップS32でブレーキランプの点灯が検知されたときは(YES)、ステップS34において、ハザードランプの点灯が検知されたか否かを判定する。そして、ハザードランプの点灯が検知されないときは(NO)、ステップS35で、減速予測フラグとして1を設定すると共に、急減速予測フラグとして0(ゼロ)を設定する。これは、ハザードランプは点灯しないものの、自車前方の車両のブレーキランプが点灯したときは、乗員がその後同様に減速操作を行う可能性が高いからである。
一方、ステップS34において、ハザードランプの点灯が検知されたときは(YES)、ステップS36で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ1を設定する。これは、自車前方の車両がブレーキランプだけでなくハザードランプを点灯させたときは、例えば渋滞や緊急車両等の通過により乗員がその後同様に急減速操作を行う可能性が高いからである。
そして、ステップS33,S35,S36のいずれかの実行後は、図2に示すメインルーチンのステップS4に戻り、その後、第1の実施の形態同様、ステップS4,S6において、図7のサブルーチンで設定された減速予測フラグ及び急減速予測フラグに基づいて、判定を行った後、ステップS5,S7,S8のいずれかにおいて所定の発電電圧に設定され、ステップS10において該発電電圧となるように発電機4が制御されることとなる。なお、ステップS2においてYESのときは、ステップS9において発電電圧がVHに設定に設定され、ステップS10において該発電電圧となるように発電機4が制御されることとなる。
以上のように、第2の実施の形態においては、自車前方の車両のランプ点灯状態に基づいて減速操作を予測し、減速開始前に発電機4の発電電圧を低下制御することができる。したがって、第2の実施の形態においても、バッテリの充放電を活性化させて、エンジン燃費を向上させる等の第1の実施の形態で説明したのと同様の効果が得られることとなる。
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、全体構成及びメインルーチンのフローチャートは、第1の実施の形態の図1及び図2に示すものと同一であり、これらの説明は省略し、図9に示すサブルーチンのフローチャートを中心に説明する。
すなわち、サブルーチンのステップS41では、カメラ14からの画像信号により構成される画像の解析を行う。この第3の実施の形態においては、コントロールユニット10は、画像中に含まれる歩行者、対向車、及びこれらの存在位置を検知可能に構成されている。図10はこの画像の一例を示しており、ステップS41では、画像中に歩行者及び対向車が存在するか否かを判断し、存在する場合にはその存在位置を認識する。なお、自車前方の歩行者、対向車に対して100m程度の距離にまで接近すれば、これらを検知可能である。
そして、ステップS42では、前方に歩行者が検知されたか否かを判定し、検知されないときは(NO)、ステップS43で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ0(ゼロ)を設定する。これは、前方に歩行者が検知されないときは、歩行者の存在に基づいて乗員が減速操作を行うことは考えられないからである。
一方、ステップS42で前方に歩行者が検知されたときは(YES)、ステップS44において、この検知された歩行者の存在位置が路上(自動車用車線上)か否かを判定する。そして、存在位置が路上でないときは(NO)、ステップS45で、対向車が停車しているか否かを判定する。そして、対向車が停車していないときは(NO)、ステップS46で、減速予測フラグとして1を設定すると共に、急減速予測フラグとして0(ゼロ)を設定する。これは、対向車が停車していなくても自車前方に歩行者が検知されたときは、乗員がその後減速操作を行う可能性が高いからである。
これに対し、ステップS45において、対向車が停車しているときは(YES)、ステップS47で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ1を設定する。これは、自車前方において路上でない場所で歩行者が検知され、かつ対向車が停車しているときは、その後その歩行者が路上に出てくる可能性が高く、したがって、乗員がその後急減速操作を行う可能性が高いからである。
一方、ステップS44において、検知された歩行者の存在位置が路上であるときは(YES)、前記ステップS47で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ1を設定する。これは、自車前方において路上で歩行者が検知されたときは、乗員がその後急減速操作を行う可能性が高いからである。
そして、ステップS43,S46,S47のいずれかの実行後は、図2に示すメインルーチンのステップS4に戻り、その後、第1の実施の形態同様、ステップS4,S6において、図9のサブルーチンで設定された減速予測フラグ及び急減速予測フラグに基づいて、判定を行った後、ステップS5,S7,S8のいずれかにおいて所定の発電電圧に設定され、ステップS10において該発電電圧となるように発電機4が制御されることとなる。なお、ステップS2においてYESのときは、ステップS9において発電電圧がVHに設定に設定され、ステップS10において該発電電圧となるように発電機4が制御されることとなる。
以上のように、第3の実施の形態においては、自車前方の歩行者や対向車の存在及びその位置に基づいて減速操作を予測し、減速開始前に発電機4の発電電圧を低下制御することができる。したがって、第3の実施の形態においても、バッテリの充放電を活性化させて、エンジン燃費を向上させる等の第1の実施の形態で説明したのと同様の効果が得られることとなる。
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、全体構成及びメインルーチンのフローチャートは、第1の実施の形態の図1及び図2に示すものと同一であり、これらの説明は省略し、図11に示すサブルーチンのフローチャートを中心に説明する。
すなわち、サブルーチンのステップS51では、カメラ14からの画像信号により構成される画像の解析を行う。この第4の実施の形態においては、コントロールユニット10は、車両用交通信号機及び歩行者用交通信号機、並びにびこれらの点灯状態を検知可能に構成されている。図12はこの画像の一例を示しており、ステップS51では、画像中に車両用交通信号機及び歩行者用交通信号機が存在するか否かを判断し、存在する場合にはその点灯状態を認識する。なお、車両用交通信号機及び歩行者用交通信号機に対して100m程度の距離にまで接近すれば、その点灯状態を検知可能である。
そして、ステップS52では、自車の走行車線用の車両用交通信号機が「青」点灯か否かを判定し、「青」点灯のときは(YES)、ステップS53で、歩行者用交通信号機が「青」点滅か否かを判定する。そして、このステップS53で「青」点滅でないときは(NO)、ステップS54で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ0(ゼロ)を設定する。これは、車両用交通信号機が「青」点灯だが、歩行者用交通信号機が「青」点滅でないときは、交通信号機に基づいて乗員が減速操作を行う可能性が少ないからである。
一方、ステップS52で、車両用交通信号機が「青」点灯でないときは(NO)、ステップS55で、この車両用交通信号機が「赤」点灯か否かを判定する。そして、車両用交通信号機が「赤」点灯のときは(YES)、ステップS56において、自車が走行する車線に交差する車線の車両用交通信号機が「黄」点灯から「赤」点灯へ変わったか否かを判定する。なお、このステップS56の判定は、前サイクルにおいて検出された状態と今回検出された状態とを比較することにより行う。なお、本実施の形態においては、前サイクルの検出状態が記憶されるようになっている。
そして、このステップS56において、「黄」点灯から「赤」点灯へ変わった変わったときは(YES)、前記ステップS54で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ0(ゼロ)を設定する。これは、自車が走行する車線の交通信号機が「赤」点灯の状態において、交差する車線の車両用交通信号機が「黄」点灯から「赤」点灯に変化したときは、自車が走行する車線の交通信号機が近いうちに「青」点灯に変わり、乗員が減速操作を行う可能性が少ないからである。これに対し、このステップS56において、「黄」点灯から「赤」点灯へ変わっていないときは(NO)、ステップS57で、減速予測フラグとして1を設定すると共に、急減速予測フラグとして0(ゼロ)を設定する。これは、自車が走行する車線の交通信号機が「赤」点灯の状態において、交差する車線の車両用交通信号機が「黄」点灯の状態で継続しているときは、乗員がその後減速操作を行う可能性が高いからである。
一方、ステップS55において、「赤」点灯でないときは(NO)、前記ステップS57において、減速予測フラグとして1を設定すると共に、急減速予測フラグとして0(ゼロ)を設定する。これは、自車が走行する車線の交通信号機が「青」点灯でも「赤」点灯でもない状態は「黄」点灯の状態であり、乗員がその後減速操作を行う可能性が高いからである。
これに対し、ステップS53において、歩行者用交通信号機が「青」点滅のときは(YES)、ステップS58で、減速予測フラグ及び急減速予測フラグとしてそれぞれ1を設定する。これは、車両用交通信号機が「青」点灯で、歩行者用交通信号機が「青」点滅のときは、近いうちに両信号機とも「赤」点灯に変わり、乗員が急減速操作を行う可能性が高いからである。
そして、ステップS54,S57,S58のいずれかの実行後は、図2に示すメインルーチンのステップS4に戻り、その後、第1の実施の形態同様、ステップS4,S6において、図11のサブルーチンで設定された減速予測フラグ及び急減速予測フラグに基づいて、判定を行った後、ステップS5,S7,S8のいずれかにおいて所定の発電電圧に設定され、ステップS10において該発電電圧となるように発電機4が制御されることとなる。なお、ステップS2においてYESのときは、ステップS9において発電電圧がVHに設定に設定され、ステップS10において該発電電圧となるように発電機4が制御されることとなる。
以上のように、第4の実施の形態においては、車両用交通信号機及び歩行者用信号機の点灯状態に基づいて減速操作を予測し、減速開始前に発電機4の発電電圧を低下制御することができる。したがって、第4の実施の形態においても、バッテリ3の充放電を活性化させて、エンジン燃費を向上させる等の第1の実施の形態で説明したのと同様の効果が得られることとなる。
なお、前記各実施の形態においては、カメラ14としてビデオカメラを用いたが、デジタル式スチルカメラを用い、前記メインルーチンの各サイクル毎に撮像して画像信号をコントロールユニット10に出力するようにしてもよい。
また、前記各実施の形態においては、車両の走行速度、自車前方の車両のランプ点灯状態、自車前方の歩行者の存在、交通信号機の状態のいずれかのみに基づいて減速予測判定するようにしたが、これらのうちの2つ、または3つ、あるいは4つを組み合わせてもよい。すなわち、図2に示すメインルーチンのステップS3において、複数のサブルーチンを実行し、いずれかのサブルーチンにおいて減速予測判定フラグ及び急減速予測判定フラグが1に設定された場合、これに基づいて発電電圧の低下制御を行うものである。これによれば、減速前に電圧を低下可能な局面が増加することとなり、エンジン燃費をより一層向上させることができるようになる。