JP4505768B2 - ダイヤフラムバルブ - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、各種流体(水、純水、腐食性のある薬液など)の輸送配管ラインに使用されるダイヤフラムバルブに関し、さらに詳しくは、コンプレッサーとダイヤフラムとの接続が容易で、しかも接続作業及び弁座シールが確実に行えるダイヤフラムバルブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイヤフラムバルブは、図9、図10に示すように、入口流路35と出口流路36とこれら両流路の間に位置し、且つ、流路を湾曲させる仕切壁37とを有する弁本体38と、弁本体38に取りつけられたボンネット39と、ボンネット39の中央開口部に支承されたスリーブ40と、スリーブ40と螺合している銅合金製のステム41と、ステム41の下部に固定されたコンプレッサー42と、コンプレッサー42に固定されると共に弁本体38とボンネット39との間に挟持され仕切壁37の上端面に厚接及び離間されることにより流体の流れを遮断及び通過させるダイヤフラム43とを具備する構造であり、特に、コンプレッサー42とダイヤフラム43との接続構造は、ダイヤフラム43の中央より非接液面44側に突出して設けられた埋め込み金具45の突出部46に形成されている雄ねじ部47が、コンプレッサー42の中央に位置するステム嵌合凹部48の底面49に回動不能に嵌着固定されている埋め込みナット50に螺着される接続構造であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、前記構造のダイヤフラムバルブでは、ダイヤフラムをコンプレッサーにねじ込んで接続する方式のため、その組立が困難且つ時間を要するものとなっていた。
【0004】
また、ダイヤフラムバルブの弁座シールを行う際、ダイヤフラムの埋め込み金具がコンプレッサーの埋め込みナットに対してねじ込みが足りない場合には、正常の状態で仕切壁の上端面に圧接するダイヤフラムの接液面の範囲内において、埋め込み金具の鍔部に対応する部分である中央部のみしか仕切壁の上端面に圧接せず、弁座シールが不十分になるおそれがあった。
【0005】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、コンプレッサーとダイヤフラムとの接続を容易かつ迅速に行なうことができ、しかも接続作業や弁座シールが確実に行えるダイヤフラムバルブを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため本発明では、入口流路と出口流路とこれら両流路の間に位置し、且つ、流路を湾曲させる仕切壁とを有する弁本体と、該弁本体に取り付けられたボンネットと、該ボンネットに支承されたスピンドルのステムに連結固定されたコンプレッサーと、該コンプレッサーに固定されると共に弁本体とボンネットとの間に挟持され仕切壁の上端面に圧接及び離間されることにより流体の流れを遮断及び通過させるダイヤフラムバルブとを具備するダイヤフラムバルブにおいて、前記ダイヤフラムバルブには、非接液面側に突出して設けられた埋め込み金具と、該金具の突出部分に設けられた係止ピンとからなる第1係止金具が設けられ、前記コンプレッサーには、そのステム嵌合凹部に、円形孔とその直径方向に延出して設けられた少なくとも1対の切欠き溝からなる係止ピン係止孔が設けられた第2係止金具が装着されており、前記コンプレッサーのステム嵌合凹部に設けられた第1係止金具挿通孔が、円形孔とその直径方向に延出して設けられると共に略十文字状に配置された各溝長が相等しい2対の切欠き溝からなることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るダイヤフラムバルブの材質としては、金属製、磁器製、またはPVC、PVDF、PPなどの樹脂製などいずれでも良い。特に、薬液の配管ラインには耐食性に優れる樹脂製のダイヤフラムバルブが好適に使用される。また、コンプレッサーの材質も、樹脂製または金属製など特に限定されないが、PVDFなどの樹脂製が好ましい。また、第1係止金具及び第2係止金具の材質は、所期の強度を有する材質なら特に限定されないが、ステンレスなどの金属製が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の態様について図面に示す実施例を参照して説明するが、本発明が本実例に限定されないことは言うまでもない。
図1は本発明の一実施例を示すダイヤフラムバルブの全開状態を示す縦断面図、図2は図1に示すダイヤフラムバルブの全閉状態を示す縦断面図、図3は図1の要部拡大断面図、図4は図3の構成要素の分解斜視図、図5は第2係止金具の平面図、図8はコンプレッサーの一実施例の裏面を示す斜視図、図9は従来のダイヤフラムバルブの全開状態を示す縦断面図、図10は図9の要部拡大断面図である。
【0009】
【実施例】
図において、1はPVC製の弁本体であり、内部に入口流路2、出口流路3及び両流路の中間に位置し、流路を湾曲させている仕切壁4が設けられている。5は弁本体1の上部にボルト・ナット(図示せず)で固定されているPVC製のボンネットで、その中央開口部には銅合金製のスリーブ6が支承されている。7はスリーブ6の内部に設けられた雌ネジ部8と螺合している銅合金製のステムである。
【0010】
9はPVDF製のコンプレッサーであり、中央にはステム嵌合凹部10が設けられ、その底部11には円形孔12とその直径方向に延出して設けられた1対の切欠き溝13からなる第1係止金具挿入孔14が貫通して設けられている。また、ステム嵌合凹部10の上部にはステム7の下部が嵌合されステンレス製のピン15で固定されている(図4参照)。
【0011】
16はステンレス製の第2係止金具であり、略小判状で、中央に円形孔17とその直径方向に延出して設けられた1対の切欠き溝18からなる係止ピン係止孔19が設けられ、コンプレッサー9のステム嵌合凹部10の底面20に回動不能に嵌着されている(図5参照)。
【0012】
21は後記ダイヤフラム22の中央より非接液面23側に突出して設けられたステンレス製の第1係止金具であり、埋め込み金具24と係止ピン26とから形成されている。埋め込み金具24の突出部25にはステンレス製の係止ピン26が設けられている。埋め込み金具24の下部には、略円盤状の鍔部27が設けられ、その中央部には円柱状の突出部25が立設されていて、鍔部27及び円柱状の突出部25の下部は後記ダイヤフラム22に埋設されている。
【0013】
22はEPDMなどのゴム性弾性体製のダイヤフラムであり、第1係止金具21、第2係止金具16を介してコンプレッサー9に係合固定され、また、周縁部は弁本体1とボンネット5の間に挟持され、ステム7の上下運動により前記仕切壁4の上端面に接離する。28はPP製のハンドルであり、スリーブ6の上部外周部に嵌合され、ボンネット5の上端部に配置されている。
【0014】
次に、本発明におけるコンプレッサー9とダイヤフラム22との接続方法について説明する。まず、第2係止金具16をコンプレッサー9のステム嵌合凹部10の底部11に挿入し、回動不能に嵌着させてから、ステム7の下部をステム嵌合凹部10の上部に挿入し、コンプレッサー9上部の横から水平方向にピン15を圧挿し、ステム7下部にコンプレッサー9を固定する。次いで、ステム7が固定されたコンプレッサー9の底部11から、ダイヤフラム22を回動させて係止ピン26が切欠き溝13に挿入可能な位置にして、第1係止金具21の突出部25を、円形孔17とその直径方向に延出して設けられた1対の切欠き溝18からなるコンプレッサー9の第1係止金具挿入孔31及び第2係止金具16の係止ピン係止孔19に挿通させた後、ダイヤフラム22を90度回転させることにより係止ピン26を第2係止金具16に掛止させる。これでコンプレッサー9とダイヤフラム22との接続が完了する。
【0015】
次に、本発明に係るダイヤフラムバルブの作用を図1及び図2に基づいて説明する。入口流路2、出口流路3を閉鎖する場合、すなわち弁座シールをする場合には、まず、図1の状態からハンドル28を閉方向に回転する。すると、このハンドル28の回転に従ってステム7が下降し、これに伴ってコンプレッサー9が下降しダイヤフラム22を押圧する。ハンドル28を回し続けるとダイヤフラム22は次第に下方に湾曲して行き、終には弁本体1の仕切壁4の上端面に圧接して入口流路2及び出口流路3が閉鎖されダイヤフラムバルブは閉状態となる。
【0016】
ここで、コンプレッサー9とダイヤフラム22とは、第1係止金具21と第2係止金具16とを係合するだけで極めて簡単かつ迅速に接続することができる。また、弁座シール時にはコンプレッサー9下部全体でダイヤフラム22を確実に押圧することができるので、従来のようなダイヤフラムの埋め込み金具とコンプレッサーの埋め込みナットとのねじ込み不足に起因する弁座シール不足を解消し、常に確実な弁座シールを行なうことができる。
【0017】
図8は、コンプレッサー9の一実施例を示すもので、第2係止金具16のステム嵌合凹部10への非装着を防止することを目的としたものであり、コンプレッサー9の嵌合凹部10の第1係止金具挿入孔31を、円形孔29とその直径方向に延出して略十文字状に配置された2対の切欠き溝30とから構成している。
【0018】
これにより、万一、第2係止金具16をコンプレッサー9のステム嵌合凹部10に嵌着し忘れて、コンプレッサー9とダイヤフラム22と接続しようとしてもダイヤフラム22を90度回転させた時点で、第1係止金具21の係止ピン26がコンプレッサー9の第1係止金具挿入孔31の切欠き溝30より離脱してしまい、コンプレッサー9とダイヤフラム22との接続が不能になり、第2係止金具16の非装着を未然に防止できる。すなわち、各溝長が相等しい切欠き溝30のどちらか一方が、コンプレッサー9のステム嵌合凹部10に設けられた第1係止金具挿通孔31に、第2係止金具21が非装着状態の時、第1係止金具21の係止ピン26が係合不能となる係止ピン離脱溝として作用する。
【0019】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、以下の優れた効果が得られる。
(1).第1係止金具と第2係止金具とを係合するだけで接続することができるので、コンプレッサーとダイヤフラムとの接続が極めて容易になり、組み立て作業を迅速かつ確実に行うことができる。その結果、ダイヤフラム交換などのメンテナンスの作業能率が向上する。
(2).コンプレッサーのステム嵌合凹部の第1係止金具挿入孔を、円形孔とその直径方向に延出して略十文字状に配置された各溝長が相等しい2対の切欠き溝とから構成し、第1係止金具挿通孔に、第2係止金具が非装着状態の時、第1係止金具の係止ピンが係合不能となる係止ピン離脱溝として作用するようにしたので、ダイヤフラムバルブの組み立てにおいて、コンプレッサーとダイヤフラムとの未接続を防止することができる。
(3).弁座シール時にはコンプレッサー下部全体でダイヤフラムを確実に押圧することができるので、従来のようなダイヤフラムの埋め込み金具とコンプレッサーの埋め込みナットとのねじ込み不足に起因する弁座シール不足を解消し、常に確実な弁座シールを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示すダイヤフラムバルブの全開状態を示す縦断面図である。
【図2】 図1に示すダイヤフラムバルブの全閉状態を示す縦断面図である。
【図3】 図1の要部拡大断面図である。
【図4】 図3の構成要素の分解斜視図である。
【図5】 第2係止金具の平面図である。
【図6】 コンプレッサーの他の実施例の裏面を示す斜視図である。
【図7】 従来のダイヤフラムバルブの全開状態を示す縦断面図である。
【図8】 図7の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1…弁本体
2…入口流路
3…出口流路
4…仕切壁
5…ボンネット
6…スリーブ
7…ステム
8…雌ネジ部
9…コンプレッサー
10…ステム嵌合凹部
11…ステム嵌合凹部の底部
15…ステムの固定ピン
16…第2係止金具
17…第2係止金具の円形孔
18…第2係止金具の切欠き溝
19…係止ピン係止孔
20…ステム嵌合凹部の底面
21…第1係止金具
22…ダイヤフラム
23…ダイヤフラムの非接液面
24…埋め込み金具
25…埋め込み金具の突出部
26…埋め込み金具の係止ピン
27…埋め込み金具の鍔部
28…ハンドル
29…コンプレッサーの円形孔
30…コンプレッサーの切欠き溝
31…第1係止金具の挿入孔
Claims (1)
- 入口流路と出口流路とこれら両流路の間に位置し、且つ、流路を湾曲させる仕切壁とを有する弁本体と、該弁本体に取り付けられたボンネットと、該ボンネットに支承されたスピンドルのステムに連結固定されたコンプレッサーと、該コンプレッサーに固定されると共に弁本体とボンネットとの間に挟持され仕切壁の上端面に圧接及び離間されることにより流体の流れを遮断及び通過させるダイヤフラムバルブとを具備するダイヤフラムバルブにおいて、前記ダイヤフラムバルブには、非接液面側に突出して設けられた埋め込み金具と、該金具の突出部分に設けられた係止ピンとからなる第1係止金具が設けられ、前記コンプレッサーには、そのステム嵌合凹部に、円形孔とその直径方向に延出して設けられた少なくとも1対の切欠き溝からなる係止ピン係止孔が設けられた第2係止金具が装着されており、前記コンプレッサーのステム嵌合凹部に設けられた第1係止金具挿通孔が、円形孔とその直径方向に延出して設けられると共に略十文字状に配置された各溝長が相等しい2対の切欠き溝からなることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
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