JP4505112B2 - クラスター銃 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にクラスターを堆積させて薄膜を形成するために用いられ、レーザーアブレーションによる原子クラスター銃に関わる。
【0002】
【従来の技術】
従来のクラスター銃としては、図7に示されているように、一般に大出力パルスレーザー201と、ターゲット材料202と、ターゲットホルダー203と、ヘリウム等不活性ガス供給源204と、スキマー205とを備えており、これら全体は、真空チャンバー内に収められているものが知られている。
【0003】
パルスレーザーをターゲット材料202に照射することによってターゲット材料102を蒸発させる。蒸発原子は不活性ガス中でクラスターを形成し、不活性ガス源と真空との圧力差によって生ずる流れによって、クラスタービームとなる。下流に設置されたスキマー205は、軸方向速度を持つクラスターだけを取り出す機能を持っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のクラスター銃では、ターゲット202がパルスレーザーに照射される時間は有限であり、ターゲット202から蒸発する時刻の相違によって成長したクラスターサイズが異なるという欠点があった。質量分析実験によると、クラスターサイズ分布の広がりは観測時間の長さの影響を受け、観測時間が長いほどサイズ分布の広がりは大きくなる。したがって、レーザー照射後に、クラスターをサンプリングする時間を短く制限すればサイズの揃ったクラスターを得ることができるが、従来の装置のままでは、均一なクラスタービームの十分なフラックスが得られなかった(図7において、生成した大小の粒径のクラスターCが模式的に示されている)。
【0005】
図8は、クラスター粒子の滞留時間と生成粒子サイズ分布の関係を示すものである。これは、上記従来装置で実施した実験により得られたものである。図8によると、滞留時間が大きい範囲で、クラスター粒子分布はほぼ一定になることが分かる。一方、滞留時間が短い範囲では、滞留時間が短いほど粒子分布は小さくなる。したがって、粒子分布の小さなクラスター、すなわち、サイズの揃ったクラスターを得るためには、クラスターの生成過程を時間的に規定する必要が生じることが理解できる。
【0006】
したがって、十分なフラックスを持つ、サイズの揃ったクラスタービームを得るクラスター銃が必要となる。
【0007】
今、得ようとしているクラスターのサイズ、内部エネルギー及び電子状態は、クラスターが生成する場の初期熱力学状態及びその後のクラスターの成長過程における熱力学状態によって一意的に決まる。したがって、サイズの揃った大フラックスのクラスタービームを発生させるには、クラスターが生成する場の熱力学条件を均一にするとともに、そのような場を一定時間持続させることが必要となる。
【0008】
本発明の目的は、上述のように、時間的及び空間的に均一な熱力学条件を実現する具体的なクラスター銃を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によるクラスター銃は、クラスター生成室を有するクラスター生成本体と、クラスターターゲットをその蒸発面がクラスター生成室に臨ませられるように保持するターゲットホルダーと、蒸発面にレーザーを照射してターゲットを蒸発ガス化させるとともに、ターゲットの蒸発により衝撃波を発生させるレーザー光源と、蒸発面に対し相対させられかつ発生させられた衝撃波を反射させる反射面を有する反射手段と、蒸発ガスを不活性ガスの流れにのせて反射面に導くように蒸発面から反射面に向かう不活性ガスの流れを生じさせる不活性ガス手段とを備えており、蒸発面に対するレーザー入射方向が、不活性ガスの流れ方向に対し所定の角度に保持されているものである。
【0010】
本発明によれば、ターゲット材料にレーザを照射してターゲット材料を蒸発させ、この時に発生する衝撃波を反射面で反射させてターゲット生成空間内で停滞させ、これにより、クラスター発生に関わる熱力学的条件を時間的および空間的に均一化し、このような条件下でクラスターを発生させているから、サイズの揃ったクラスターを生成することができる。
【0011】
さらに、蒸発面に対するレーザー入射方向が、不活性ガスの流れ方向に対し所定の角度に保持されているから、レーザー光源を、ターゲット蒸発ガスのクラスタービーム出射方向と異なる方向に設置することができ、基板の設置自由度の大きい状態で薄膜生成ができる。
【0012】
また、レーザー入射軸上に反射ミラーがその反射面を蒸発面に向けるように配置されており、レーザー光源からのレーザーが反射ミラーを介して蒸発面に照射されるようにレーザー光源が配置されていると、レーザー光源の設置自由度が大きくなる。
【0013】
また、レーザー光源から蒸発面までのレーザー軸上に少なくとも1つのレーザー収束レンズが配置されていると、レーザビームを面形状にして面形状のクラスタービームを出射し、生膜速度を向上させることができる。
【0014】
また、レーザー収束レンズが、シリンドリカルレンズであると、レーザビームの断面形状を矩形状にすることができる。
【0015】
また、レーザー収束レンズをレーザー軸方向に移動させる移動手段を備えていると、レーザー光源の焦点調整により、ターゲット蒸発エネルギーを調整可能となり、あらゆるターゲット材料に対応することができる。
【0016】
また、ターゲットを不活性ガスの流れ方向に移動させる移動手段を備えていると、ターゲットの損耗に対応してレーザー焦点を常に合わせることができる。
【0017】
また、ターゲットを不活性ガスの流れ方向を中心として回転させる回転手段を備えていると、ターゲツトの蒸発面全体に均一にレーザーを照射でき、ターゲット蒸発面の平滑性を長時間維持できる。
【0018】
また、ターゲットが、一端面を蒸発面とする不活性ガス流れ方向にのびた丸棒状のものであり、クラスター生成本体が、同流れ方向貫通状保持孔を有するボディと、保持孔に他方の側からはめ入れられたホルダ受けとを備えており、ホルダ受けが、球面を一方の側に向けた半球体よりなり、ホルダ受けに嵌合凹部が他方の側を向くように形成され、凹部の底から球面の頂点に達するようにターゲット挿入孔が同流れ方向貫通状に形成され、ターゲットホルダーが、凹部にはめ入れられている筒体と、筒体にはめ入れられかつ中空部を有する回転体と、中空部にはめ入れられている摺動体とを備えており、中空部の一端壁にターゲットが貫通させられ、摺動体にターゲットの他端部が連結され、ターゲット挿入孔にターゲットの一方側突出部が挿入されていると、簡単な機構でもって、ターゲットに移動運動および回転運動をさせることができる。
【0019】
また、凹部に対し筒体が着脱自在であると、ターゲットとともにターゲットホルダーをクラスター生成本体から取り外すことができ、ターゲットの交換を簡単にすることができる。
【0020】
また、クラスター生成本体が、保持孔に一方の側からはめ入れられた反射板ブロックを備えており、反射板ブロックが、クラスター生成室を他端開口有底孔とするように形成しており、ターゲット挿入孔の一端開口にクラスター生成室の他端開口が相対させられており、反射面が、クラスター生成室の底に形成されており、反射面を貫通するようにクラスター導出孔が形成されていると、クラスター生成本体内にクラスター生成室および反射面を簡単な構造でもって形成することができ、しかも、クラスター生成室から生成されたクラスターをスムースに導出することができる。
【0021】
また、保持孔に対し反射板ブロックが着脱自在であると、保持孔から反射板ブロックを取り外した状態で、クラスターの蒸発面の点検をすることができる。
【0022】
また、ボディに、レーザー光源から蒸発面に向かわせるレーザーを通過させるレーザー導入孔が保持孔周壁を内外に貫通するように形成され、不活性ガスの流れ方向に関して、レーザー導入孔と対称となるように覗き孔が形成されていると、レーザー軸の焦点およびアライメントをクラスター生成本体の外から確認することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図1〜図6を参照してつぎに説明する。
【0024】
以下の説明において、左右とは、図1を基準として、図1の左側を左、その右側を右というものとする。
【0025】
図1を参照すると、クラスター銃は、真空チャンバ11と、チャンバ11内に左から右にかけて順次収容されている水平円筒状サポート12、水平丸棒状クラスター生成本体13、水平円錐状スキマー14および右端開口垂直皿状クラスター生膜室15とを備えている。クラスター生膜室15内には基板Pが収容されている。
【0026】
チャンバ11は、水平円筒状外筒21と、外筒21の左右両端開口をそれぞれ閉鎖している左フランジ22および右フランジ23とを備えている。
【0027】
外筒21の頂部には右斜め上に立上がった枝管24が設けられている。枝管24には覗き窓25がはめられている。外筒21の底部にはポンピングポート26が設けられている。ポンピングポート26は、真空ポンプ27で塞がれている。
【0028】
左フランジ22の中央には水平取付ポート31が設けられている。取付ポート31の先端にはモータ32が右向きに着脱自在に搭載されている。モータ32の出力軸は、内外二重構造のもので、外中空回転軸33および内中実回転軸34よりなる(図2参照)。中空回転軸33および中実回転軸34は、ともに回転するが、中空回転軸33に対し中実回転軸34は、軸方向に進退自在となっている。左フランジ22の下端近くにはレーザー用ビューポート35が設けられている。レーザー用ビューポート35にはフラットガラス36がはめられている。レーザー用ビューポート35の近くには、詳しく図示しないレーザ発信器37が配備されている。レーザ発信器37は、XYZ軸の3方向に移動自在かつロール角およびピッチ角を調節自在である。レーザ発信器37からレーザビームがレーザー用ビューポート35を通じて水平右向きにチャンバ11内に導入されるようになつている。
【0029】
レーザー用ビューポート35と同レベルであって、クラスター生成本体13の右下に位置するように反射ミラー39が配置されている。反射ミラー39は、左斜め上向き反射面を有しかつホルダ38で受けられている。
【0030】
レーザー用ビューポート35のすぐ左側には上流側レンズ41が、反射ミラー39のすぐ左側には下流側レンズ42がそれぞれ配置されている。上流側レンズ41は、詳しく図示しない移動機構43によって左右方向に移動させられる。
【0031】
図2に、クラスター生成本体13およびその周辺部が詳細に示されている。
【0032】
クラスター生成本体13は、左右方向貫通状保持孔51を有するボディ52と、保持孔51に左側からはめ入れられているホルダ受け53と、保持孔51に右側からはめ入れられている反射板ブロック54とを備えている。
【0033】
ホルダ受け53には、シリコン製クラスターターゲットTを保持しているターゲットホルダー55が受けられている。ターゲットTは、右端面を蒸発面Vとする左右方向にのびた水平丸棒状のものである。
【0034】
保持孔51は、その長さの中程を挟んでその左側にクラスター生成領域51aおよびその右側にクラスター射出領域51bを形成している。
【0035】
クラスター生成領域51aには左から右にかけて、凹球面部61、ガス溜め壁面62およびガス室壁面63が順次形成されている。ガス室壁面63の左端には環状内方突出ガス路スキマ壁面64が設けられている。クラスター射出領域51bには右から左にかけて、ネジ部65、段付き円筒66およびガスシーリング内筒67が順次設けられている。
【0036】
ボディ52の頂部左端近くから下向きにクラスター生成領域51aのガス溜め壁面62に向かってガス導入孔71が形成されている。ボディ52の底部右端から左斜め上向きにレーザー導入孔72がクラスター射出領域51bのガスシーリング内筒67に向かって形成されるとともに、ボディ52の頂部右端から左斜め下向きに覗き孔73がクラスター射出領域51bのガスシーリング内筒67に向かって形成されている。レーザー導入孔72および覗き孔73は、保持孔51の軸線に関して、軸対称となっていて、保持孔51の軸線上で交差させられている。レーザー導入孔72および覗き孔73の外端開口にはビューポート74、75がそれぞれはめられている。また、覗き孔73は、枝管24と同一直線上に位置させられている。
【0037】
ホルダ受け53は、半球状のもので、その球面を右に向けてクラスター生成領域51aの凹球面部61に当接させかつ球面押え81によって固定されている。この状態で、ホルダ受け53の軸線は、保持孔51の軸線と同軸であり、その球面の頂点は、レーザー導入孔72および覗き孔73の交差点と一致させられている。そして、ガス溜め壁面62とホルダ受け53球面の間に環状ガス溜り82が形成されるとともに、ガス路スキマ壁面64とホルダ受け53球面の間に流量制限スキマ83が形成されている。
【0038】
ホルダ受け53の左側面には嵌合凹部91が形成されている。凹部91の周面には外拡がりのテーパ部92が形成されている。凹部91の底からホルダ受け球面の頂点に向かって水平ターゲット挿入孔93が保持孔51と同軸状に形成されている。
【0039】
反射板ブロック54は、クラスター射出領域51bのガスシーリング内筒67にはめ入れられた水平丸棒状のもので、外面右端部にフランジ101を有している。フランジ101は、円筒66の段に当接させられている。ねじ部65にねじ付押えリング102がねじ入れられ、これにより、反射板ブロック54が固定されている。レーザー導入孔72および覗き孔73の内端開口は、反射板ブロック54の外面によって塞がれている。
【0040】
反射板ブロック54の軸中心には左端開口クラスター生成室111が形成されている。クラスター生成室111は、左端の一部を欠いた回転楕円面状の周面および底面をもつ有底孔のような形をしている。クラスター生成室111の壁面の底は、衝撃波反射面112を形成している。衝撃波反射面112の中心を貫通するようにクラスター導出孔113が形成されている。クラスター生成室111の周壁には、レーザー導入孔72の軸線と一致させられたレーザー連通孔114が形成されている。
【0041】
ターゲットホルダー55は、嵌合凹部91にはめ入れられている筒体121と、筒体121にはめ入れられかつ中空部122を有する回転体123と、中空部122に左右動自在にはめ入れられている摺動体124とを備えている。
【0042】
筒体121の外面には、凹部91のテーパ部92と合致させられたテーパ部131が形成されている。筒体121内面の左縁部には雌ねじ132が形成されている。筒体121と回転体123の間には軸受133が介在させられている。軸受133の左側にはパッキン134が挿入され、これを雌ねじ132にねじ入れられたネジリング135が押さえている。摺動体124の右側面には凹状嵌合部136が設けられている。
【0043】
ターゲットTは、その長さの中程で中空部122の右端壁に貫通させられている。ターゲットTの左半分は、中空部122内に進入させられ、その右半分は、中空部122内から突出させられている。ターゲットTの左端部は、摺動体124の嵌合部136にきつくはめ込まれている。摺動体124と中空部122の右端壁の間には、ターゲットTを取り囲んだ圧縮コイルばね137が介在させられている。ターゲットTの右方突出部は、ターゲット挿入孔93に挿入されている。ターゲットTの蒸発面Vは、ホルダ受け53球面とほぼ面一となっていて、レーザー導入孔72および覗き孔73の交差点に位置させられている。
【0044】
回転体123にはモータ32の中空回転軸33右端部が連結固定され、摺動体124にはモータ32の中実回転軸34右端部が連結固定されている。
【0045】
クラスターを生成するに際し、クラスター生成室111にはガス導入孔71を通じて不活性ガスが供給される。不活性ガスをクラスター生成室111に供給するにあたって、不活性ガスの流入量と流出量を等しくすることによって、同チャンバ111内の状態を乱さないようにし、均一な熱力学条件を維持する必要がある。この目的は、流量制限スキマ83によって達成される。クラスター生成室111内には、不活性ガスが定常的に流入することにより、その内部は1〜10Torr程度の圧力に保持されている。クラスター生成室111外は真空が維持されている。
【0046】
一方、モータ32によってターゲットTは、回転体123とともに一定速度で回転させられる。
【0047】
レーザ発信器37からレーザが照射される。レーザーの照射はパルス状であり、照射時間は数ナノ秒から数十ナノ秒のオーダーである。照射されたレーザは、レーザー用ビューポート35を通じて真空チャンバ11内に導入される。導入されたレーザは、反射ミラー39によってその向きを変えられ、レーザー導入孔72および連通孔114を通じてターゲットTの蒸発面Vに照射される。
【0048】
図3に詳細に示すように、上流側レンズ41および下流側レンズ42は、ともに、シリンドリカルレンズである。上流側レンズ41は縦に置かれ、下流側レンズ42は、横に置かれている。レーザ発信器37から発信された円形のレーザ光束は、これを上流側レンズ41によって幅方向に収束して下流側レンズ42上にこれを縦に横断するように縦長の細い帯状のレーザ光束を結び、これを下流側レンズ42が縦に収束して蒸発面V上に方形状のレーザ光束を結ぶ。
【0049】
レーザーが照射されると、ターゲット材料が急激に蒸発・膨張し、クラスタービームが発生し、かつ、クラスター生成室111内に衝撃波が発生する。衝撃波は、蒸発直後では球面の一部として広がるが、反射面の近くまで達すると、ほぼ垂直な平面となる。この衝撃波は反射面112で反射して反射衝撃波となり、進行方向を反転させる。衝撃波の後方には、ターゲット材料の蒸発ガスと不活性ガスの境界である接触面が続いているが、この接触面は反射衝撃波と干渉して一定時間定在する。この時、接触面近傍で蒸発ガスと不活性ガスの混合領域が形成され、この領域で蒸発ガスは急冷却を受けて結晶化しクラスターとなる。しかも、この混合領域は高速気流によって作られているため拡散現象に支配されず、均一な熱力学条件を持つ閉じ込め領域となっている。したがって、この領域からは均一サイズの結晶核が生成され、さらに膨張過程を経過する間にも均一なクラスター成長をする。
【0050】
生成されたクラスターは、クラスタービームとして、導出孔113を通じてクラスター生成室111外に導かれ、そこに待機させられている基板P上に堆積させられる。
【0051】
ここで、図4を参照して、クラスター生成室111の詳細形状について検討する。
【0052】
クラスター生成室111のなす楕円の一方の焦点Aは、ターゲット蒸発面V上にあり、その他方の焦点Bは、反射衝撃波の収束点にある。
【0053】
このように形成した反射面112は、レーザーアブレーションによって発生した衝撃波を反射させ、効率良く閉じ込め領域を形成するために、反射面112で反射した衝撃波は回転楕円体の焦点Bに収束しようとし、後方に続く接触面と干渉して三次元的な閉じ込め領域を作る。均一なサイズを持つクラスターはこの領域で集中的に作られる。
【0054】
回転楕円体の大きさは、つぎの観点から決定される。楕円は、二つの焦点間距離2a0と、焦点から楕円の頂点までの距離s0によって決まる。距離2a0とは、ターゲットT表面から反射衝撃波の収束点までの軸方向距離である。s0は、反射面112の導出孔113内端開口縁から反射衝撃波の収束点までの距離である。これらの数値を指定すると、軸と直角方向の大きさは自動的に決定される。s0が小さすぎると楕円の短軸が非常に小さくなり、クラスター生成に寄与する反射衝撃波の強度が小さくなる。
【0055】
基本的に回転楕円面は、平面波として入射してきた衝撃波を焦点に収束させるものである。したがって、楕円の短軸が長すぎると入射してくる衝撃波波面の曲率が無視できなくなり、結局反射衝撃波の収束は弱まってしまうことになる。
【0056】
ターゲットTにレーザを照射する前に、レーザの焦点およびアライメント等を確認する必要があるが、この手順が図5に示されている。
【0057】
チャンバ11から右フランジ23を取り外し、チャンバ11内からスキマー14およびクラスター生膜室15を取り去る。これらの部材は、詳しく説明しないが、ボルト等によつて簡単に着脱される。そして、保持孔51から押えリング102を抜き取り、つづいて、反射板ブロック54を抜き去る。このようしておいて、レーザを照射すれば、照射されたレーザは、ターゲット蒸発面Vでその向きを変え、覗き孔73および枝管24に導かれる。そうすると、これをチャンバ11の外から観察することができる。
【0058】
クラスター生成時間の経過とともに、ターゲットTの蒸発面Vは消耗していくが、これに応じて、モータ32の中実回転軸34を右動させることにより、ターゲットTを長期間使用することができる。
【0059】
ターゲットTが使用限度を超えて消耗すると、これを新品と交換する必要がある。この手順が図6に示されている。
【0060】
モータ32を取付ポート31から取外し、モータ32の軸を引き抜くようにすれば、ホルダ受け53の嵌合凹部91からターゲットホルダー55が引出される。そのまま、ターゲットホルダー55を取付ポート31を介してチャンバ11から引出せばよい。そして、摺動体124の嵌合部136からターゲットTを強制的に引抜き、別のターゲットTを嵌合部136にはめ込めばよい。
【0061】
上記において、クラスタービーム出射方向は、水平であるが、これに限定されることなく、その方向は、例えば、上下方向であってもよい。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、サイズの揃ったクラスターを生成することができる。
【0063】
さらに、レーザー光源を、ターゲット蒸発ガスのクラスタービーム出射方向と異なる方向に設置することができ、基板の設置自由度の大きい状態で薄膜生成ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるクラスター銃の垂直縦断面図である。
【図2】同装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】同装置のレーザ収束レンズの作用説明図である。
【図4】同装置のクラスター生成室の説明図である。
【図5】同装置のレーザーセッティング動作説明図である。
【図6】クラスターターゲットの交換動作説明図である。
【図7】従来のクラスター銃を示す構成図である。
【図8】クラスター粒子の大きさと滞留時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
13 クラスター生成本体
37 レーザー発生器
55 ターゲットホルダー
71 ガス導入孔
111 クラスター生成室
112 反射面
T ターゲット
V 蒸発面

Claims (12)

  1. クラスター生成室111を有するクラスター生成本体13と、クラスターターゲットTをその蒸発面Vがクラスター生成室111に臨ませられるように保持するターゲットホルダー55と、蒸発面Vにレーザを照射してターゲットTを蒸発ガス化させるとともに、ターゲットTの蒸発により衝撃波を発生させるレーザー光源37とを備えており、クラスター生成室111は、長軸を回転軸とする回転楕円面によって形成されており、蒸発面Vは、クラスター生成室111の回転楕円面の一方の焦点A上においてその他方の焦点Bに向けられており、クラスター生成室111の同他方の焦点B側端部において、クラスタ導出孔113がクラスター生成室111を内外に貫通するように形成されており、不活性ガス手段によって、蒸発面Vからクラスタ導出孔113に向かう不活性ガスの流れが生じさせられるようになされているクラスター銃。
  2. クラスタ導出孔113とは別のところから蒸発面Vに向けられたレーザー導入孔72がクラスター生成室111を内外に貫通するように形成されており、クラスター生成室111外におけるレーザー入射軸上に反射ミラー39がその反射面を蒸発面Vに向けるように配置されており、レーザー光源37からのレーザーが反射ミラー39を介して蒸発面Vに照射されるようにレーザー光源37が配置されている請求項1に記載のクラスター銃。
  3. レーザー光源39から蒸発面Vまでのレーザー軸上に少なくとも1つのレーザー収束レンズ41、42が配置されている請求項1または2に記載のクラスター銃。
  4. レーザー収束レンズ41、42が、シリンドリカルレンズである請求項3に記載のクラスター銃。
  5. レーザー収束レンズ41、42をレーザー軸方向に移動させる移動手段43を備えている請求項3または4に記載のクラスター銃。
  6. ターゲットTを不活性ガスの流れ方向に移動させる移動手段32を備えている請求項1〜5のいずれか1つに記載のクラスター銃。
  7. ターゲットTを不活性ガスの流れ方向を中心として回転させる回転手段32を備えている請求項1〜6のいずれか1つに記載のクラスター銃。
  8. ターゲットTが、一端面を蒸発面Vとする不活性ガス流れ方向にのびた丸棒状のものであり、
    クラスター生成本体13が、同流れ方向貫通状保持孔51を有するボディ52と、保持孔51に他方の側からはめ入れられたホルダ受け53とを備えており、
    ホルダ受け53が、球面を一方の側に向けた半球体よりなり、ホルダ受け53に嵌合凹部91が他方の側を向くように形成され、凹部91の底から球面の頂点に達するようにターゲット挿入孔93が同流れ方向貫通状に形成され、
    ターゲットホルダー55が、凹部91にはめ入れられている筒体121と、筒体121にはめ入れられかつ中空部122を有する回転体123と、中空部122にはめ入れられている摺動体124とを備えており、中空部122の一端壁にターゲットTが貫通させられ、摺動体124にターゲットTの他端部が連結され、ターゲット挿入孔93にターゲットTの一方側突出部が挿入されている、請求項1〜7のいずれか1つに記載のクラスター銃。
  9. 凹部91に対し筒体121が着脱自在である請求項8に記載のクラスター銃。
  10. クラスター生成本体13が、保持孔51に一方の側からはめ入れられた反射板ブロック54を備えており、
    反射板ブロック54が、クラスター生成室111を他端開口有底孔とするように形成しており、ターゲット挿入孔93の一端開口にクラスター生成室111の他端開口が相対させられており、反射板ブロック54の反射面112が、クラスター生成室111の底に形成されており、クラスター導出孔113が、反射面112に貫通させられている請求項8または9に記載のクラスター銃。
  11. 保持孔51に対し反射板ブロック54が着脱自在である請求項10に記載のクラスター銃。
  12. 不活性ガスの流れ方向に関して、レーザー導入孔72と対称となるように覗き孔73が形成されている請求項8〜11のいずれか1つに記載のクラスター銃。
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