JP4505056B2 - 抗トロンビン活性物質 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
【0002】
本発明は、抗トロンビン活性物質に関し、詳細には、血栓症等の阻害剤として有効な抗トロンビン活性物質に関する。
【0003】
【従来の技術】
【0004】
抗トロンビン活性物質としては、ヘパリンが最もよく知られている。
該ヘパリンは、哺乳類の組織、特に牛の肝、肺、豚や羊の腸粘膜から抽出し、分画法で精製することで製造されているが、製造工程において、不快な臭気が発生したり、残渣処理に手間がかかる等の問題を有していた。
そのため、製造上の問題がない抗トロンビン活性物質を見つけ出す多くの試みがなされている。
従来、製造上の問題がない抗トロンビン活性物質として、硫酸化多糖類が有効であることが知られており、例えば、褐藻類フコイダン由来の物質等が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、製造上の問題がない抗トロンビン活性物質として、従来より知られている褐藻類フコイダン由来の物質等とは、全く別の新規な物質を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、日本国の万田発酵株式会社製の万田酵素(商品名)から精製した成分中の硫酸化ヘテロ多糖体が、抗トロンビン活性物質であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
【0010】
第1に、硫酸基及びウロン酸残基を有する硫酸化ヘテロ多糖体であって、フコースと、フコース以外の中性糖の組成が、フコース:フコース以外の中性糖=1.0:0.6〜1.4の比率である、抗トロンビン活性物質。
第2に、硫酸基及びウロン酸残基を有する硫酸化ヘテロ多糖体であって、フコース:キシロース:マンノース:ガラクトース:グルコース=1.00:0.30〜0.40:0.23〜0.33:0.17〜0.27:0.10〜0.10の比率で含まれる、抗トロンビン活性物質。
第3に、硫酸基及びウロン酸残基を有する硫酸化ヘテロ多糖体であって、フコース:キシロース:マンノース:ガラクトース:グルコース=1.00:0.35:0.28:0.22:0.15の比率で含まれる、抗トロンビン活性物質。
第4に、硫酸基(18.0〜23.0%)及びウロン酸残基(5.6〜8.6%)を有する硫酸化ヘテロ多糖体であって、フコース:キシロース:マンノース:ガラクトース:グルコース=1.00:0.33〜0.37:0.26〜0.30:0.20〜0.24:0.13〜0.17の比率で含まれ、ゲル濾過クロマトグラフィーによって測定された平均分子量が190〜250kDaである、抗トロンビン活性物質。
第5に、硫酸基(20.5%)及びウロン酸残基(7.1%)を有する硫酸化ヘテロ多糖体であって、フコース:キシロース:マンノース:ガラクトース:グルコース=1.00:0.35:0.28:0.22:0.15の比率で含まれ、ゲル濾過クロマトグラフィーによって測定された平均分子量が222kDaである、抗トロンビン活性物質。
【0011】
【実施例】
【0012】
以下に、本発明の実施例及び試験例について説明する。
なお、実施例や試験例で用いたものは、以下のように入手した。
ブタ腸粘膜由来のヘパリン、Fucus vesiculosus(ヒバマタ目の褐藻類)由来のフコイダン、ヒトトロンビン、ウシフィブリノーゲンは、シグマケミカル社(セントルイス、ミズーリー州)より購入した。
クエン酸処理したヒト保存血漿、アクチン活性化セファロプラスチン試薬、トロンボプラスチンCプラスは、デイドインターナショナル社(マイアミ、フロリダ州)から入手した。
DEAE−セファロースCL−6B及びセファロースCL−6Bは、ファルマシアバイオテック社(ウップザラ、スウェーデン)から入手した。
クロモチームTH(トシル−グリシル−プロリル−アルギニル−パラニトロソアニリド)は、ベーリンガーマンハイム社(バスレ、スイス)から入手した。
セルロースアセテート膜は、ヘレナラボラトリーズ社(ビューモント、テキサス州)から入手した。
【0013】
(a)工程[抽出及びエタノール分画工程]
【0014】
日本国の万田発酵株式会社製の万田酵素(150g湿重量)を、300mlの蒸留水中に懸濁し、室温で2時間撹拌した後、3層からなる布地で濾過した。
濾過後の溶液を11000Gで20分間遠心した後に、上清に冷エタノールを加え、エタノール濃度が10%になるように調整した。
調整後の溶液を、室温で20分間撹拌した後に、11000Gで20分間遠心し沈殿物を除いた後に、上清に冷エタノールを加え、エタノール濃度が55%になるように調整した。
調整後の溶液を、更に、11000Gで20分間遠心し、今度は沈殿物を採取した。
該沈殿物を窒素気流中で乾燥させ、0.3M塩化ナトリウムを含む50mMトリス緩衝液(pH7.5)400ml中に溶解させた。
その溶液を、11000Gで20分間遠心し、沈殿物を取り除き、窒素気流中で乾燥させ可溶性の多糖体を得た。
【0015】
(b)工程[DEAE−セファロースCL−6Bクロマトグラフィー]
【0016】
0.3M塩化ナトリウムを含む50mMトリス緩衝液(pH7.5)で平衡化したDEAE−セファロースカラム(6.7cm×2.5cm)に、可溶性の多糖体(1.5g)を充填した。
充填後、0.3M塩化ナトリウムを含む50mMトリス緩衝液(pH7.5)を400ml流した。
ここで、50mMトリス緩衝液(pH7.5)中の塩化ナトリウムの濃度(0.3M〜2.0M)を直線的に変化させ、60ml/hの流速で溶出した。
溶出した画分について、フィブリン凝集時間の延長によって、抗トロンビン活性を評価し、図1に示した。
図1によると、抗トロンビン活性物質は二つの画分に分かれ、少ない方の画分は活性も非常に弱かったので、抗トロンビン活性が多い画分(フラクション番号40〜70)を集めて部分精製し、水で透析した後、凍結乾燥により、多糖体標品を得た。
【0017】
(c)工程[セファロースCL−6Bゲル濾過クロマトグラフィー]
【0018】
部分精製した多糖体標品(61mg)を、セファロースCL−6Bカラム(115cm×1.28cm)に重層した。
重層後、0.5M塩化ナトリウムを含む50mMトリス緩衝液(pH7.5)により、30ml/hの流速で溶出した。
溶出した画分について、フィブリン凝集時間の延長によって、抗トロンビン活性を評価し、図2に示した。ここで、糖含量はフェノール硫酸法によって測定した。
なお、図2で「○−○」は抗トロンビン活性を示し、「●−●」は糖含量を示す。
図2に示す、抗トロンビン活性が多い画分(0.39〜0.62)を集めて、水で透析した後、凍結乾燥し、本発明に係る抗トロンビン活性物質(24mg)を得た。
図2のグラフを考察すると、本発明に係る抗トロンビン活性物質は、クロマトグラム上で実質的に単一で対照的なピークを与える抗トロンビン活性を持つ多糖体であることが確認できる。
【0019】
【試験例1】
[電気泳動]
【0020】
上記実施例で得た抗トロンビン活性物質について、精製純度を確認するために、電気泳動を行った。
電気泳動は、Nardellaらの方法[Nardella,A.,Chaubet,F.,Boisson−Vidal,C.,Blondin,C.,Durand,P.,and Jozefonvicz,J.,Anticoagulant low molecular weight fucans produced by radical process and ion exchange chromatography of high molecular weight fucans extract from the brown seaweed Ascophyllum nodosum.Carbohydr.Res.,289,201−208(1996)]と同様の方法によりセルロースアセテート膜上で行った。
すなわち、0.3Mの酢酸カルシウム(pH7.5)中で、1.5時間、1.5mA/cmの条件で電気泳動を行った後、膜を0.1%トルイジンブルーを含む3%酢酸で染色し、3%酢酸で脱染色し、図3中にレーン2として示した。
ここで、市販のFucus vesiculosus(ヒバマタ目の褐藻類)由来のフコイダンを標準物質として用い、図3中にレーン1として示した。
図3の結果を考察すると、本発明の抗トロンビン活性物質は、セルロースアセテート膜電気泳動で単一のバンドを示すことが確認できた。
【0021】
【試験例2】
[サイズ排除HPLC]
【0022】
上記実施例で得た抗トロンビン活性物質について、精製純度を確認するために、電気泳動に加え、サイズ排除HPLCを行った。
サイズ排除HPLCは、約10から2000kDaの分子量のデキストランを分離するShodex OHpack KB−805(昭和電工製)を用い、0.2M塩化ナトリウムにより1.0mlの流速で行ない、示差屈折計により検出した。その結果を図4に示した。
図4の結果を考察すると、本発明の抗トロンビン活性物質は、鋭く対称なピークを示し、図3の結果と併せて考慮すると、単一に近い状態で精製されたことが確認できた。
【0023】
【試験例3】
[分子量の決定]
【0024】
平均分子量は、Zhuangらの方法[Zhaung,C.,Itoh,H.,Mizuno,T.and Ito,H.,Antitumor acitve fucoidan from the brown seaweed,Umitoranoo(Sargassum thnbergii).Biosci.Biotech.Biochem.,59,563−567(1995)]により、0.3M塩化ナトリウムで平衡化したセファロースCL−6Bゲル濾過カラムにより測定した。
ここで、較正曲線は分子量マーカーとしてデキストラン(分子量67,148,282,464)を用いて作成した。
その結果に加え、後の試験例で測定した硫酸含量、中性糖の組成、活性の結果と共に、表1に示す。なお、表1では、他の起源の硫酸化多糖体についての測定結果も示した。
【0025】
【表1】
Figure 0004505056
【0026】
表1に示すように、本発明の抗トロンビン活性物質は、平均分子量が222kDaと推定され、褐藻類及びきのこの一種であるカワラタケからの活性な硫酸化多糖体のものとは異なることが確認された。
【0027】
【試験例4】
[化学分析]
【0028】
糖分の総量は、Dubiosらの方法[Dubios,M.K.A.,Hamilton,T.K.,Rebers,P.A.,and Sonisth,F.,Colorimetric method for determination of sugar and related substances.Anal.Chem.,28,350−358(1956)]により、フコースを標準としてフェノール−硫酸法で測定した。
ウロン酸含量は、BlumenkrantzとAsboe−Hansen[Blumenkrantz,N.and Asboe−Hansen,G.,New method for quantitative determination of uronic acids.Anal.Biochem.,54(2),484−489(1973)]のメタヒドロキシジフェニル硫酸法変法によりD−グルクロン酸を標準として用いて測定した。
硫酸含量は、DogsonとPriceの比濁法[Dogson,K.S.and Price,R.G.,A note on the determination of the ester sulphate content of sulphated polysaccharides.Biochem.J.,84,106−110(1962)]により、硫酸カリウムを標準として定量した。
赤外線スペクトルは、バイオラッドFTS−60スペクトロメーター(ヘラクレス、カリフォルニア州)により測定した。
中性糖は、以下に記述するJonesとAlbersheimの方法[Jones,T.M.and Albersheim,P.,A gas chromatographic method for the determination of aldose and uronic acid constituents of plant cell wall polysaccharides.Plant Physiol.,49,926−936(1972)]により分析した。
その結果を、上記の表1に示す。
表1に示すように、本発明の抗トロンビン活性物質の中性糖は、フコース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコースから構成されており、中でもフコースが最も多量に含まれ、全中性糖の中の50%を占めることが確認できた。
また、抗凝固及び抗トロンビン活性を持つフコース含有多糖体が種々の起源、特に褐藻類から単離されているが、本発明の抗トロンビン活性物質の硫酸含量と糖組成は、他のフコイダン硫酸と明らかに異なっていることが確認できた。
そして、本発明の抗トロンビン活性物質は、相当量の硫酸基(20.5%)を含む硫酸化ヘテロ多糖体であり、その他にウロン酸(7.1%)も含んでいた。
【0029】
上記実施例で得た抗トロンビン活性物質(2mg)を、2.0Mトリフルオロ酢酸により121℃で6時間加水分解し、ミオイノシトールを内部標準として生成した糖のアルジトールアセテート誘導体をスペルコSP−2380カラム(スペルコ社、ベルフォンテ、ペンシルベニア州)を備えたYoung Lin M600D型ガスクロマトグラフにて測定し、図5のBに赤外線スペクトルを示した。
なお、図5のAは、市販のFucus vesiculosus由来のフコイダンの測定結果を示す。
図5の結果を考察すると、本発明の抗トロンビン活性物質の赤外線スペクトルの吸収特性は、糖に結合した硫酸基に由来する少なくとも二つの吸収バンドを示している。
そして、図5に見られるようにS=O伸縮振動に基ずく1257cm−1の強い吸収に加え、847cm−1付近に現れるC−O−Sに基ずく吸収ピークは、C1配座のフコピラノースのアキシアルC−4位に結合する硫酸基の指標であることが知られている。
すなわち、本発明の抗トロンビン活性物質の赤外線スペクトルは、Fucusvesiculosus(ヒバマタ目の褐藻類)由来の抗凝固フコイダン硫酸のものと各ピークの位置や全体的な形状が酷似していることが確認できた。
【0030】
【試験例5】
[抗凝固活性の測定]
【0031】
活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、プロトロンビン時間(PT)、トロンビン時間(TT)は、血液凝固測定装置(型式:Coag−Stat、(株)京都第一科学製)を用いてFoxらの方法[Fox,I.,Dawson A.,Londs,P.,Eisner,J.,.Findlen,K.,Levin,E.,Hanson,D.,Mant,T.,Wagner,J.,and Maraganore,J.,Anticoagulant activity of HirulogTM,a direct thrombin inhibitor,in humans.Thromb.Hacmost.,69(2),157−163(1993).]に準じ、測定した。
すなわち、実施例で得た抗トロンビン活性物質を溶かした溶液(15μl)、クエン酸処理したヒト保存血漿(100μl)を37℃で3分間培養した。
培養後、それぞれ200μlのトロンボプラスチンC試薬を添加した後にPT及びTTを測定した。
また、培養後、それぞれ100μlのトロンビン溶液(5U/ml)添加した後にも、PT及びTTを測定した。
さらに、培養後、それぞれ20mM塩化カルシウムを100μl添加し、aPTTを測定した。
【0032】
【試験例6】
[抗トロンビン活性の検定]
【0033】
Cappielloらの方法[Cappiello,M.,Vilardo,P.G.,Lippi,A.,Criscuoli,M.,Corso,A.D.,and Mura,U.,Kinetics of human thrombin inhibition by two novel peptideinhibitors(Hirnorm IV and Hirunorm V).Biochem.Pharmacol.,52,1141−1146(1996)]により、フィブリノーゲン凝集活性及びアミド分解活性を測定した。
【0034】
(a)フィブリノーゲン凝集活性
【0035】
ヒト血漿トロンビン及びウシ血漿フィブリノーゲンは、100mM塩化ナトリウム、10mM塩化カルシウム、0.1%PEG6000を含む10mMのHEPES/10mMトリス緩衝液(pH 7.4)に溶解した。
実施例で得た抗トロンビン活性物質を、蒸留水に溶解して種々の濃度に調整し、各濃度の多糖体標品(10μl)と0.125%のフィブリノーゲン溶液(200μl)を混合し、37℃で3分間前培養した。
培養後の混合液に、トロンビン溶液(5U/ml,100μl)を加え、凝集塊の形成される時間を血液凝固測定装置(型式:Coag−Stat、(株)京都第一科学製)を用いて測定し、凝集時間の延長により抗凝固作用を調べた。
その結果を図6に示した。
なお、図6において、相対的抗凝固活性とは、対照の凝集時間に対する活性の%を示したもので、データーは平均値±標準偏差により表示し、「○−○」は活性化部分トロンボプラスチン時間を示し、「●−●」はプロトロンビン時間を示し、「□−□」はトロンビン時間を示す。
図6の結果を考察すると、本発明の抗トロンビン活性物質は、活性化部分トロンボプラスチン時間及びトロンビン時間において濃度依存的な抗凝固作用が認められたが、プロトロンビン時間においては認められなかった。
したがって、本発明の抗トロンビン活性物質の活性は、内因性の凝固作用及び血漿の凝固の第三相に関与していると考えられる。
ここで、トロンビン時間の著しい上昇は、トロンビンによるフィブリンの形成が関わる凝固の第三相が強力に阻害されているということを示している。
また、活性化部分トロンボプラスチン時間及びトロンビン時間における凝集時間を2倍に延長するのに要する本発明の抗トロンビン活性物質の濃度は、それぞれ14.3及び2.4μg/mlであったが、その濃度は生体内での作用に匹敵するものである。
【0036】
(b)アミド分解活性
【0037】
上述のフィブリノーゲン凝集活性の測定の場合と同様に、緩衝液に溶解したヒト血漿トロンビンと種々の濃度の多糖体標品とを混合し、25℃で3分間前培養した。
培養後の混合液に、クロモチームTH(1.9mM)を添加し、アミド分解反応を開始し、405nmの吸光度の分光光学的測光によりパラニトロアニリンの遊離を測り、トロンビンによるクロモチームTHの加水分解を測定した。
その結果を図7に示した。
なお、図7は、各濃度の抗トロンビン活性物質について、「○−○」は抗トロンビン活性をフィブリン凝集時間の延長を示し、「●−●」はパラニトロソアニリンの遊離を示す。
本発明の抗トロンビン活性物質は、ヘパリンコファクターII及び抗トロンビンIIIのようなプロテアーゼ阻害剤の非存在下にトロンビンによるフィブリノーゲンの分解を有意に阻害するものである。
凝集を50%阻害する本発明の抗トロンビン活性物質の濃度は、0.29μg/mlであった。
しかしながら、本発明の抗トロンビン活性物質は、5μg/mlの濃度までトロンビンのアミド分解活性を阻害しなかった。
より高濃度(50μg/ml)でさえ、本発明の抗トロンビン活性物質によるアミド分解活性はほんのわずかで7%までであった。
同様の効果がヒルジン様合成ペプチドでも報告されており、トロビンのフィブリノーゲン凝集活性は阻害するが、クロモチームTHのアミド分解活性には何ら影響しない。抗トロンビンのフィブリノーゲン−トロンビン相互作用に対して二つの有力な説明がなされている。
即ち、抗トロンビン物質がトロンビンの触媒部位の近傍に結合し、フィブリノーゲンのトロンビンへの接触を阻害するという説と、もう一つは、抗トロンビン物質がフィブリノーゲン側のトロンビン結合部位の近傍に結合し、トロンビンのフィブリノーゲンへの接触を阻害するという説である。
フコイダンのフィブリノーゲン−トロンビン相互作用に対する阻害活性は、後者の説によりこの多糖体がフィブリノーゲンへ結合することによって生じる立体障害によるものとされ、本発明の抗トロンビン活性物質も抗トロンビン物質がフィブリノーゲン側のトロンビン結合部位の近傍に結合し、トロンビンのフィブリノーゲンへの接触を阻害するものであることが確認できた。
結論として、本発明の抗トロンビン活性物質は、これまで報告されているその他の活性なフコイダン硫酸と分子量及び糖組成の点で、はっきりとは異なる抗凝固及び抗トロンビン活性をもつ新規多糖体であることが確認できた。
【0038】
【発明の効果】
【0039】
本発明の抗トロンビン活性物質は、製造上の問題がない抗トロンビン活性物質として従来より知られている褐藻類フコイダン由来の物質等とは、全く別の新規な物質であり、優れた抗トロンビン活性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】(B)工程のクロマトグラフィーにおける各画分の抗トロンビン活性をフィブリン凝集時間の延長によって評価したグラフ
【図2】(c)工程のゲル濾過クロマトグラフィーにおける各画分の抗トロンビン活性をフィブリン凝集時間の延長によって評価したグラフ
【図3】電気泳動の結果を示す写真
【図4】サイズ排除HPLCの結果を示すグラフ
【図5】本発明の抗トロンビン活性物質及び市販のFucus vesiculosus由来のフコイダンの赤外線スペクトルを示すグラフ
【図6】各濃度の抗トロンビン活性物質について、凝集時間の延長により抗凝固作用を示すグラフ
【図7】各濃度の抗トロンビン活性物質について、凝集時間の延長により抗トロンビン活性を示すグラフ

Claims (1)

  1. 硫酸基(20.5%)及びウロン酸残基(7.1%)を有する硫酸化ヘテロ多糖体であって、フコース:キシロース:マンノース:ガラクトース:グルコース=1.00:0.35:0.28:0.22:0.15の比率で含まれ、ゲル濾過クロマトグラフィーによって測定された平均分子量が222kDaである、抗トロンビン活性物質。
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