JP4503761B2 - 顕微鏡光学系 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像と瞳を同じ観察手段または撮像手段により観察または撮像し得る顕微鏡光学系に関するもので、特に対物光学系による中間像位置を視野絞り位置として対物光学系を通して標本を照明する場合にも適用でき、また対物光学系の交換に伴う対物光学系の瞳位置の変動や光学系の切換に伴う瞳投影位置の変動による影響を小さくすることも可能な顕微鏡光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体市場においてICパターンの微細化に伴いこれを観察するための顕微鏡の高解像化の要求が高まっている。これに対応するために波長の短い紫外域の光を用いた顕微鏡の開発が行なわれている。このような顕微鏡においては、当然紫外域の光を用いての最適な組立調整が行なわれなければならない。しかし、紫外線は目で見ることが出来ないために前記の紫外線による組立調整がこの種の顕微鏡における課題になっていた。
【0003】
顕微鏡の組立調整時に像だけを見て中心を出す場合、瞳が大きく偏芯していると光軸が傾いて調整されてしまうため、ひどい場合には像の中心は出ているものの像が傾いているために像の周辺がぼけるという欠点が生ずる。この欠点を防止するために瞳も観察して像の中心と瞳の中心が出るように調整しなければならない。
【0004】
また、顕微鏡の組立時以外で、顕微鏡使用時に、光源として水銀ランプ等を用いていて、このランプの交換時にも芯出し調整が必要になる。
【0005】
顕微鏡の照明は、一般にケーラー照明が採用され、ランプの像が瞳に投影されるように設計されている。したがって、瞳を観察することができるようにすれば、ランプの観察ができ、これによりランプの調整も可能になる。
【0006】
このように瞳の観察を可能にした顕微鏡の従来例として、特開昭60−258514号公報および特開平8−136811号公報に記載されているものがある。これら従来例のうち、前者の特開昭60−258514号公報には、偏光顕微鏡におけるコノスコープ観察を目的とし、対物光学系内の対物レンズと観察鏡筒の間に瞳観察用のレンズが配置されたものが記載されている。また後者の特開平8−136811号公報には、リレー光学系の瞳位置に位相観察等の瞳変調素子を配置し、これを最終像位置に投影して観察することにより瞳変調素子等の芯調整を可能にしたものが記載されている。
【0007】
さらに、近年半導体市場において用いられる顕微鏡には、共焦点観察が可能なものを用いることが一般的になって来ている。この共焦点観察は、対物光学系における中間像もしくはその共役位置と照明系の視野絞り位置とにピンホール又はピンホール列を照明と観察とにて共役となるように配置して、ピントが合った面からの光のみが主としてこのピンホールを透過出来るようにして、光軸方向の分解能や像のコントラスト等を向上させるようにした観察技術である。
【0008】
通常、半導体観察用顕微鏡は、対物光学系による中間像位置にピンホール又はピンホール列を配置し、このピンホール又はピンホール列を通して照明することにより、一つのピンホール又はピンホール列により共焦点観察ができるようにしている。この時、共焦点観察が可能な光学系では、調整のためにランプ像が観察できることが望ましく、また瞳を観察できるようにして芯調整ができることが重要である。
【0009】
また顕微鏡観察においては、観察用途に応じて、対物光学系の交換やリレー倍率の変更が行われるが、これに合わせて瞳を投影する光学系を光軸方向に移動させる必要があるが、この移動量は少ない方が望ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図8は、一般的な顕微鏡光学系で、像リレー光学系を備えた光学系を示す。この図8において、(A)は前記光学系における像追跡の図で、1は標本、2は対物レンズ、3は結像レンズ、4は対物レンズ2および結像レンズ3にて形成される中間像位置、5は像リレー光学系、6は像リレー光学系5による中間像4の再結像位置である。また、図8の(B)は前記光学系における瞳追跡の図であって、7は対物レンズ2の瞳(瞳位置)、8は結像レンズ3および像リレー光学系5のレンズ群5aにより投影された対物レンズ2の瞳7と共役な瞳(瞳共役位置)である。
【0011】
前述の従来例の特開昭60−258514号公報に記載された光学系は、対物レンズと中間像位置との間にレンズを配置することにより対物レンズの瞳を中間像位置に投影して観察鏡筒により瞳を観察し得るようにしている。つまり対物レンズ2と観察鏡筒(結像レンズ3を含む)の間に正のパワーの瞳リレー光学系9を配置することにより、図9に示すように瞳リレー光学系9と結像レンズ3とにより、対物レンズの瞳7を中間像位置4に投影するようにしており、これによって観察鏡筒により瞳を観察し得るようにしたものである。また、像リレー光学系を有する場合には、像リレー光学系を通して最終像面で対物レンズの瞳を観察し得る。
【0012】
しかし、共焦点観察が可能な顕微鏡に、この従来例の顕微鏡の技術を適用する場合、中間像位置に視野絞りを配置した照明を行なうと、照明系中に瞳リレー光学系9が入るためにケーラー照明を行なうことが出来なくなる。このようにケーラー照明を行なうことができない場合、対物レンズの瞳に正しくランプを投影できないために、水銀ランプ等の芯調整を行なうことができなくなる。
【0013】
また、図9に示すような光学系においては、異なる対物レンズにも対応できるようにするために瞳リレー光学系9を光軸方向に移動できるようになっているが移動量が大になるという欠点がある。それは、図9において瞳リレー光学系9に入射する光束が有限光束であることが主たる原因である。
【0014】
一方、後者の従来例である特開平8−136811号公報に記載されている技術を用い、これと共焦点観察手段とを組合わせることが可能である。この従来例において共焦点観察を行なう場合、異なる対物レンズに対応できるように瞳リレー光学系を光軸上に移動できるようになっているが、この瞳リレー光学系の移動量が大になるという欠点がある。つまり、図10に示すように瞳共役位置8を対物レンズの瞳7、再結像位置6を中間像位置4と見なすことにより、図9に示すと同様に対物レンズの瞳7を像位置で観察することができる。しかし、像リレー光学系を介して対物レンズの瞳7を再結像位置6に投影するようにしているので、像リレー光学系が変わった時にそれに対応させ得るようにすると、瞳リレー光学系9を光軸方向へ移動させる量が大になる可能性がある。例えば、像リレー光学系により倍率を変え得るような構成にする場合、ズーム機構や変倍機構を組み合わせることが考えられるが、ズーム機構による倍率の変化に伴って瞳共役位置8が変動し、また変倍レンズを切り替えることにより倍率を変化させる場合も、瞳共役位置が変動する可能性がある。これらの変動のすべてに対応させようとすると、瞳リレー光学系9の光軸方向への移動量が大になることが考えられる。
また、瞳リレー光学系9が、像リレー光学系5の後群5bと最終像位置6の間にある場合も、像リレー光学系5の倍率を変化させた時少なくともレンズ群5a又は5bのいずれか一方が変化するが、いずれにしろ瞳リレー光学系9よりも標本側の光学系が変わるため、これに応じて瞳リレー光学系9を移動させる必要がある。
【0015】
本発明は、像と瞳とを観察する手段または撮像する手段により観察または撮像し得るもので、特に対物光学系による中間像位置を視野絞り位置とし、対物光学系を通して標本を照明する際にも適用でき、また対物光学系の交換に伴う対物光学系の瞳位置の変動や光学系の切り換えに伴う瞳投影位置の変動による影響を小さくすることができる顕微鏡光学系を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の顕微鏡光学系は、対物光学系により形成された標本の中間像を像リレー光学系により再結像させる顕微鏡光学系で、前記中間像位置と前記再結像位置との間に配置された瞳リレー光学系を有し、中間像位置と対物光学系の瞳と共役な前記瞳リレー光学系の瞳位置に対し、標本側から順に、中間像位置、瞳リレー光学系、像リレー光学系の瞳位置が位置し、前記瞳リレー光学系を構成するレンズ群が負の焦点距離を有するものである。
【0017】
本発明の顕微鏡光学系は、図1(A),(B)に示す通りで、4が対物光学系による中間像位置で、5がレンズ群5a,5bよりなる像リレー光学系で6が再結像位置である。中間像位置4と再結像位置6との間には瞳リレー光学系9が配置され、光路中に挿脱可能となっている。中間像位置4と対物レンズの瞳7と共役な瞳位置8に対して、標本側から中間像位置4、瞳リレー光学系9、瞳共役位置8の順に配置したもので、瞳リレー光学系9は全体として負の焦点距離を有する。そのうち図1(A)は、瞳リレー光学系9を像リレー光学系5又はその一部のレンズ群であるレンズ群5aと瞳共役位置8の間に配置した例であり、(B)は中間像位置4と像リレー光学系5のレンズ群5aとの間に瞳リレー光学系9を配置した例である。
【0018】
図1の(A)に示した光学系の場合、負の焦点距離を有する瞳リレー光学系9を配置することにより、像リレー光学系5と瞳リレー光学系9との合成の屈折力もしくは像リレー光学系の一部のレンズ群5aと瞳リレー光学系9との合成の屈折力が像リレー光学系5又はその一部のレンズ群5aの屈折力よりも緩くなるようになっているので、瞳共役位置8に投影されていた対物光学系の瞳7が再結像位置6に近い位置に投影されるようになる。
【0019】
これによって中間像位置4と瞳リレー光学系9の間のいずれかより照明光を入射させることができるので、共焦点観察のように中間像位置を視野絞り位置として対物光学系を通して標本を照明することが可能になる。この場合、瞳リレー光学系9が有限光束中に入ることになり、対物レンズ2の交換に伴って瞳位置変動する。そのため、この変動に応じて瞳リレー光学系9を光軸方向に移動させねばならないが、像リレー光学系5の一部のレンズ群5aを変えることなく、5bのレンズ群の部分の構成を変えることによりリレー倍率を変更し、少なくとも像リレー光学系5の変更に伴う影響は全く関係ないようにすることが可能である。
【0020】
また、図1の(B)に示す構成の場合、瞳リレー光学系9によって対物レンズの瞳7の虚像を中間像位置4に投影することにより、この虚像が像リレー光学系5を通して再結像位置6に再結像される。この光学系は、像リレー光学系5をそのまま使用して瞳リレーを行なうので、像リレー光学系5が変倍などにより変わっても全く問題がなく収差補正の面でも極めて有利である。それは、像リレー光学系5として収差が良好に補正された光学系を瞳リレーにも使用しているためであり、瞳追跡時に発生する余計な収差の補正を行なうことが軽減できるためである。また瞳追跡時、中間像位置4と像リレー光学系5との間の光束は、顕微鏡において通常平行光束に近いため、対物レンズの交換に伴って瞳位置に変動が生じても平行光束の平行の度合いが若干変わるだけで、これに伴う瞳リレー光学系9の光軸方向の移動量は極めて少なくてすむ。
【0021】
また、本発明の顕微鏡光学系は図2に示すように、光源13から発した照明光が照明光学系11、12、光路結合手段10、対物光学系2、3を通して標本を照明する構成であり、光路結合手段10は中間像位置4と像リレー光学系5との間に配置され、瞳リレー光学系9が光路結合手段10と像リレー光学系5の間の光路中に挿脱可能に配置されていて少なくとも1枚の凹レンズを含んでいて、全体として負の焦点距離を有している。つまり、中間像位置4と像リレー光学系5の間に光路結合手段10を配置し、この光路結合手段10を通して照明光を光学系中に導入することにより中間像位置4を視野絞り位置にして対物光学系を通して標本を照明するようにしている。また中間像位置4に共焦点ディスク(ピンホール又はピンホール列を有するディスク)を配置して瞳リレー光学系9が光路結合手段10と像リレー光学系5の間に配置されるので、共焦点観察に対応しながら瞳観察に対応できる。
【0022】
また、本発明の顕微鏡光学系において像リレー光学系によりリレーされる像位置と瞳リレー光学系と像リレー光学系とにより投影される対物レンズの瞳位置がほぼ等しくなるように瞳リレー光学系を配置することが望ましい。このように構成すれば像の観察と瞳の観察とにおいて撮像手段等の位置を変える必要がなく、光学系の調整と光源ランプの芯出しの作業をより簡単に行なうことができる。
【0023】
また、本発明の顕微鏡光学系は、瞳リレー光学系が光軸方向に移動可能であることが望ましい。本発明の顕微鏡光学系は、像リレー光学系の変更に伴う瞳投影位置の変動に対する影響は少なくなるが、対物光学系の交換に伴う瞳投影位置の変動を若干調整する必要性が生ずる。但し、これは瞳リレー光学系を光軸方向に移動可能にすることによって完全に対応できる。
【0024】
また、本発明の顕微鏡光学系は、使用波長が紫外域に限定されるものではなく、可視領域でも赤外領域でもよい。
【0025】
また、像リレー光学系は、1回リレーに限ることなく、複数回リレーを行なう光学系でも本発明の顕微鏡のリレー光学系として適用し得る。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に本発明の顕微鏡光学系の実施の形態を各実施例にもとづき説明する。
【0027】
本発明の実施例1は、図3(A)、(B)に示す通りの構成で、(A)は中間像位置4から最終像位置6までの像追跡を示し、(B)は同じ中間像位置4から最終像位置6までの瞳追跡を示す。この実施例1は、図3(B)のように瞳リレー光学系9が1枚の凹レンズにて構成されていて、光路結合部材10と像リレー光学系5、詳しくは光学結合部材10と像リレー光学系5の前群5aとの間に配置されている。この光学系において中間像位置4に共焦点観察用のディスク(ニポウディスク等)を配置した場合も照明光学系に影響を与えることなく瞳観察を行なうことができる。また瞳リレー光学系9は光路から挿脱可能な構成であり、また標本の像が最終的に形成される最終像位置と対物レンズの瞳が最終的に投影される位置がほぼ等しくなるように構成されているために瞳リレー光学系9を挿脱するのみで像観察と瞳観察の切り換えを行なうことができる。
【0028】
図3(A),(B)には対物光学系等を記載していないが、結像レンズ3の構成は図6に示す通りである。また実施例1の瞳追跡時のレンズデータは、下記の通りである。
実施例1
1 =∞(対物瞳) d1 =229.5
2 =76.38 d2 =5 n1 蛍石
3 =-33.99 d3 =3 n2 石英
4 =-826.66 d4 =174.4
5 =∞(中間像) d5 =12
6 =∞ d6 =10 n3 石英
7 =∞ d7 =10.8
8 =-29.4 d8 =1 n4 石英
9 =29.4 d9 =12
10=21.91 d10=3.5 n5 蛍石
11=-10.97 d11=2 n6 石英
12=-56.69 d12=90
13=76.41 d13=2.5 n7 石英
14=-259.36 d14=75.7
15=∞(最終像)
ただし、r1 ,r2 ,・・・は、各レンズ面の曲率半径、d1 ,d2 ,・・・は各レンズの肉厚およびレンズ間隔、n1 ,n2 ,・・・は各レンズの屈折率である。
【0029】
図3において、r1 は対物光学系の瞳位置、r2 〜r4 は図7に示す結像レンズ、r5 は中間像位置、r6 〜r7 は光路結合部材、r8 〜r9 は瞳リレー光学系である凹レンズ、r10〜r14は像リレー光学系、r15は最終像位置である。
【0030】
実施例2は図4に示す構成で、図3と同様に中間像位置4から最終像位置6までを示し、瞳追跡のみである。また像追跡は図3と同じであるので省略する。
【0031】
この実施例2は、瞳リレー光学系9が負の屈折力を有する接合レンズである点で実施例1と相違する。
【0032】
また実施例2は実施例1と同様に瞳リレー光学系9が光路より挿脱可能であり、標本の最終像位置と対物レンズの瞳の最終投影位置がほぼ等しく、瞳リレー光学系9を挿脱するのみで像の観察と瞳の観察を切り換えることが出来る。
【0033】
実施例2のデータは下記の通りである。
実施例2
1 =∞(対物瞳) d1 =229.5
2 =76.38 d2 =5 n1 蛍石
3 =33.99 d3 =3 n2 石英
4 =-826.66 d4 =174.4
5 =∞(中間像) d5 =12
6 =∞ d6 =10 n3 石英
7 =∞ d7 =10.9
8 =-187.65 d8 =1 n4 石英
9 =30.04 d9 =2 n5 蛍石
10=16.52 d10=9.9
11=21.91 d11=3.5 n6 蛍石
12=-10.97 d12=2 n7 石英
13=-56.69 d13=90
14=76.41 d14=2.5 n8 石英
15=-259.36 d15=75.7
16=∞(最終像)
【0034】
実施例3は図5に示す構成で、図5には実施例1と同様に中間像位置4から最終像位置6までの構成で、瞳追跡を示し、像追跡は実施例1と同じであるため省略する。
【0035】
この実施例3は、瞳リレー光学系が1枚の凹レンズよりなり、瞳リレー光学系9が像リレー光学系のレンズ群(前群)5aと像リレー光学系の瞳位置8との間に配置されている。
【0036】
実施例3も、瞳リレー光学系9が光路から挿脱可能であり、また標本の最終像位置と対物レンズの瞳の最終投影位置とがほぼ等しい位置になっているため、瞳リレー光学系9を挿脱するのみで像の観察と瞳の観察とを切り換えることができるようになっている。
【0037】
また、瞳リレー光学系9は光軸方向に移動可能であって対物光学系の交換に伴う瞳位置の変動に対応できるようになっている。
【0038】
この実施例3の瞳追跡時のデータは下記の通りである。
実施例3
1 =∞(対物瞳) d1 =229.5
2 =76.3841 d2 =5 n1 蛍石
3 =-33.9959 d3 =3 n2 石英
4 =-826.6658 d4 =174.4461
5 =∞(中間像) d5 =12
6 =∞ d6 =10 n3 石英
7 =∞ d7 =23.8933
8 =21.9182 d8 =3.5 n4 蛍石
9 =-10.9761 d9 =2 n5 石英
10=-56.6986 d10=4.9756
11=-31.2194 d11=1 n6 石英
12=31.2194 d12=84.0385
13=76.4126 d13=2.5 n7 石英
14=-259.3668 d14=75.7192
15=∞(最終像)
【0039】
図6は本発明の第4実施例の構成を示す。図6(A)において11は照明光学系、12はコレクタ光学系、13は光源でこれらで照明装置を構成する。この照明装置は光源13よりの照明光をコレクタ光学系12と照明光学系11を通し、顕微鏡光学系の中間像位置4と像リレー光学系5の間に配置された光路結合部材10を介して照明光を導入し、結像レンズ3、対物レンズ2とにより標本1を照明する。
【0040】
像観察時は、図6()のように標本面1からの光が対物レンズ2および結像レンズ3、像リレー光学系5により、標本の像を再結像位置6に形成する。また瞳観察時には、図6(B)のように光路結像部材10と像リレー光学系5の間に瞳リレー光学系9を挿入することにより、対物レンズの瞳位置7が最終像位置6に投影される。これにより瞳リレー光学系9を光路から出し入れするだけで像観察と瞳観察を切り換えることができる。
【0041】
また、瞳リレー光学系が光路に挿入された場合も、照明系には影響を与えないのでケーラー照明を保ったまま瞳観察を行なうことができる。
【0042】
この実施例において、レンズ系に実施例1等に示した光学系を採用してもよいことは云うまでもない。この場合、瞳追跡において瞳リレー光学系9に入射する光束はほぼ平行光束であるため対物レンズを交換した時に瞳リレー光学系9を光軸方向に移動させなくとも実用上問題がないように構成することが可能である。
【0043】
本発明の顕微鏡光学系は、以上述べた通りの構成であって、特許請求の範囲に記載するもののほか、次の各項に述べる光学系も本発明の目的を達成し得るものである。
【0044】
(1)特許請求の範囲の請求項1、2又は3に記載する顕微鏡光学系で、瞳リレー光学系を光路より出し入れ可能としたことを特徴とする顕微鏡光学系。
【0045】
(2)特許請求の範囲の請求項1、2又は3あるいは前記(1)の項に記載する顕微鏡光学系で、瞳リレー光学系を光軸方向に移動可能にしたことを特徴とする顕微鏡光学系。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、像と瞳とを切り換えて観察することが可能である。また対物光学系による中間像位置を視野絞り位置にして対物光学系を通して標本を照明する場合にも適用可能である。また対物光学系の交換に伴う対物光学系の瞳位置の変動や光学系の切り換えに伴う瞳位置の変動による影響の小さい顕微鏡光学系を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明顕微鏡光学系の瞳観察系の構成を示す図
【図2】共焦点観察可能な顕微鏡光学系の構成を示す図
【図3】本発明の実施例1の構成を示す図
【図4】本発明の実施例2の構成を示す図
【図5】本発明の実施例3の構成を示す図
【図6】本発明の実施例4の構成を示す図
【図7】本発明の実施例で用いる結像レンズを示す図
【図8】リレー光学系を有する顕微鏡光学系の一般的な構成を示す図
【図9】従来の瞳観察光学系の構成を示す図
【図10】他の従来の瞳観察光学系の構成を示す図

Claims (5)

  1. 対物光学系により形成された標本の中間像を像リレー光学系により再結像させる顕微鏡光学系で、前記中間像位置と前記再結像位置との間に配置された瞳リレー光学系を有し、中間像位置と対物光学系の瞳と共役な前記瞳リレー光学系の瞳位置に対し、標本側から順に、中間像位置、瞳リレー光学系、像リレー光学系の瞳位置が位置し、前記瞳リレー光学系を構成するレンズ群が負の焦点距離を有することを特徴とする顕微鏡光学系。
  2. 光源と、照明光学系と、光路結合手段とを有する照明装置を備え、前記光路結合手段が前記中間像と像リレー光学系との間に配置され、前記瞳リレー光学系が前記光路結合手段と前記像リレー光学系の間に配置され、前記瞳リレー光学系が少なくとも1枚の負レンズを含んでいて全体として負の焦点距離を有する請求項1の顕微鏡光学系。
  3. 前記像リレー光学系によりリレーされる像の位置と、瞳リレー光学系と像リレー光学系により投影される瞳像の位置がほぼ等しくなるようにし前記瞳リレー光学系を配置したことを特徴とする請求項1又は2の顕微鏡光学系。
  4. 前記瞳リレー光学系を光路より出し入れ可能としたことを特徴とする請求項1、2又は3の顕微鏡光学系。
  5. 前記瞳リレー光学系を光軸方向に移動可能にしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4の顕微鏡光学系。
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