JP4501392B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、基材層と基材層上に印刷された印刷層との接着性に優れ、かつ、印刷層と印刷層上に押出ラミネートされた樹脂組成物層との接着性にも優れる積層体に関する。
包装用などで用いられる多層積層体においては、一部の共押出フィルムを除き、内面印刷が多用されている。この内面印刷された積層体の典型的な構成は、透明基材層/印刷層/接着剤層/ヒートシール層のように、印刷層が積層体の中間層として存在するものである。このように印刷層を積層体の外面に出さず、透明基材層の内面とすることによって、耐擦過性、耐傷付性、表面光沢等に優れた積層体を得ることができる。しかしながら、印刷インキが固化した後で積層される層(ヒートシール層)と印刷層との間の接着性は一般に低い。そのため、通常、上述のように、印刷層とヒートシール層との間に接着剤層が設けられる。
このような積層体を製造する方法としては、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ニーラムラミネート法、無溶剤ラミネート法などがある。中でも、ドライラミネート法とニーラムラミネート法は、主としてウレタン系の接着剤を危険物である有機溶剤で希釈して塗工するために、消防法による規制への対応、作業環境の悪化、製品への残留溶媒の増加等の問題点がある。一方、押出ラミネート法では、アンカーコート剤(以下AC剤と記す)と呼ばれる接着剤が用いられる。AC剤はドライラミネート法で用いられる接着剤より塗布量が少ないため、必要とされる有機溶剤も少ないが、消防法による規制への対応、作業環境の悪化、製品への残留溶媒の増加等といった問題点は程度の差こそあれドライラミネート法と同様に存在する。
これらの方法は、いずれも溶剤を使用することが共通の問題点である。この問題に対して、溶剤を使わない、あるいは溶剤の使用量を減らす試みがこれまでなされてきた。無溶剤ラミネート法は、これらの欠点を根本的に改善した方法で、加温して溶融状態となった接着剤を塗工するため有機溶剤を必要としない。しかしながら、塗工する接着剤の粘度が溶剤タイプに比べて高く、塗工むらなどのトラブルが起きやすいという問題点がある。また、接着剤のバインダー樹脂の分子量が小さいため、硬化不十分による接着トラブルの発生、耐熱性の不足などの問題点も存在する。
押出ラミネート法においては、酸成分を共重合させたエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることにより、AC剤を使用することなくアルミニウム箔と強固な接着性が得られることが知られている。また、ポリプロピレン(以下PPと記す)に不飽和カルボン酸をグラフト変性してなる変性PPを基材層に押出ラミネートし、後から熱処理して接着強度を向上させる方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、いずれの方法も接着できる基材はアルミニウム箔や一部の蒸着基材に限られ、印刷インキとの接着性は不十分なままであった。
また、特定条件でプラスチック基材に表面酸化処理を行い、かつ押出ラミネート時に溶融樹脂面にオゾン処理を行うことによって、AC剤なしに改良された接着強度を得る方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、本発明者らの検討では、本手法によると確かに接着強度は表面酸化処理やオゾン処理がない場合に比べて向上するものの、その向上効果は十分とは言えない。
基材に対する接着性が改良された印刷インキ、特にレトルトなど高温多湿の環境にさら
される用途での接着性が改良された印刷インキとしては、2液型インキが開発されている。これは通常の印刷インキでは接着性が不足する場合に、硬化剤を併用して接着性を向上させるものである。この方法では、硬化剤としてイソシアネート系の硬化剤が一般に用いられ、イソシアネートの硬化反応によって印刷インキ自体の皮膜強度を増すとともに、基材層と印刷層との接着性を改善する効果が得られる。しかしながら、基材層と印刷層との接着性の改善効果はいまだ不十分であった。また、通常、印刷終了後からラミネートされるまでの間にイソシアネートの硬化反応は終了してしまうため、押出ラミネートされる層と印刷層との間の接着性改良には効果がなかった。
これらの課題を解決するために、通常の溶剤系印刷インキに、ポリアミドとイソシアネート化合物とからなるインキ改質剤を添加し、さらに、この印刷インキと、押出ラミネート層にエポキシ化合物を含有するポリオレフィンを用いることにより、AC剤を使用せずに積層体を製造する手法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、層間の接着強度やヒートシール強度については、さらなる改良が必要であった。
また、別の解決法として、印刷インキのバインダー樹脂として、ポリウレタン変性塩素化PPを用いる方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。しかしながら、これらの方法において用いられている塩素化PPとポリウレタンとは相溶性が悪いため、白濁や二層分離を生じ、得られる印刷インキは経時安定性が劣るうえ、AC剤を使用しないいわゆるPPダイレクトラミネートが可能となる量の塩素化PPをポリウレタンと反応させた場合には、本来のポリウレタンが有している印刷性、耐ボイル性、耐レトルト性等の特徴が損なわれるといった欠点を有しており、印刷インキ用バインダーとして十分満足できるものではなかった。
また、改良方法として、印刷インキのバインダー樹脂にポリヒドロキシ炭化水素系重合体を併用する方法も提案されている(特許文献5参照)が、いまだ十分な改良効果は得られておらず、かつ、塩素化PPを必須成分とするという問題点を有していた。
一般に、塩素化PPを複合化したポリウレタンは、その原料である塩素化PPの性質に基づく多くの問題点を持っている。例えば、分子鎖中に存在する塩素原子と隣接炭素原子に結合する水素原子とから、熱あるいは紫外線による脱離反応によって塩化水素が発生し、この塩化水素が自己触媒的に作用し、分子鎖の切断、着色物質の生成、臭気物質の生成、金属に対する腐食等を引き起こす。したがって、バインダー製造時にバインダー樹脂やインキそのものの劣化が起きたり、印刷後もボイル・レトルト加工適性が十分でないという欠点を有する。また、発生する塩化水素を捕捉し、塩素化PPの安定性を保持するために、種々のエポキシ化合物を添加することが多いが、このようなエポキシ化合物は、ポリウレタン重合時に、その原料である活性水素含有化合物と反応し、不溶性の副生成物を生じ、印刷物の品質を著しく損なうという問題を有していた。さらに、塩素化PP中に含有される塩素は、印刷物を廃棄した後、毒性物質であるダイオキシンを発生させる塩素源となる可能性がある。
一方、印刷された紙面にフィルムを加熱圧着して表面保護を行うために使用されるフィルムとしては、光沢や透明性といった光学特性に優れる二軸延伸PP(以下、BOPPと称する)のフィルム基材に、低融点のエチレン系樹脂を積層した積層フィルムが多く用いられている。このような積層フィルムとしては、BOPPフィルム基材にエチレン・アルキルエステル共重合体とエチレン・酢酸ビニル共重合体の混合物よりなる樹脂組成物を溶融押出ラミネート法で積層した積層フィルム(例えば特許文献6参照)、あるいは、メタロセン化合物を触媒とした直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体にエチレン系樹脂を配合した樹脂接着層を積層したフィルムを加熱圧着のみで貼り合わせてプリントラミネ−ト製品を製造する方法(特許文献7参照)が提案されている。
BOPPフィルム基材にエチレン系樹脂を積層する場合、層間接着性を実用上問題の生じないレベルにするため、フィルム基材を酸化処理し、かつAC剤を介してエチレン系樹脂を積層する必要があった。
しかしながら、先に述べたように、AC剤を使用する方法では、溶剤の乾燥工程が必要となり、設備が大掛かりになる、乾燥時に発生する溶剤臭の拡散に伴い作業環境が悪化する、火災発生の危険性が大である、塗布または乾燥能力の限界で加工速度が上げられない等の問題がある。
また、現状では、AC剤を使用せずBOPP系フィルム基材に樹脂接着層を積層したフィルムでは、フィルム基材と樹脂接着層の層間接着力が弱く、印刷紙への加熱圧着後の印刷紙とフィルムとの間に気泡が残存して透明性の低い部分が生じるため、印刷情報の視認性が損なわれ外観(ツブレ)が悪くなる。また、BOPP系フィルムと樹脂接着層間で簡単に剥離するためラミネート接着強度が弱く製品として使用できないといった問題が生じる。
こうした問題を解決するため、融解ピーク温度が140℃以下の結晶性プロピレン系共重合体樹脂によって形成されたプロピレン系樹脂フィルム表面に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得た、密度0.870〜0.910g/cm3、M
FRが1〜100dg/minの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするエチレン系樹脂を、AC剤を介さずに溶融押出ラミネートした積層フィルムが提案されている(特許文献8)。本手法によると、確かにAC剤を使用しなくても高い接着強度ならびにヒートシール強度が得られるが、印刷層を含む積層体には本手法は適用できず、用途が限定されていた。
特開昭54−51690号公報 特開平7−314629号公報 特開2001−81384号公報 特開昭64−85226号公報 特開平7−82337号公報 特公平4−2431号公報 特開平7−117197号公報 特開2003−170552号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ドライラミネート用接着剤や押出ラミネート用AC剤を用いることなしに、また、塩素化PPを印刷インキのバインダー樹脂に使用することなしに、基材層ならびに基材層上に印刷された印刷層との接着性、および、印刷層ならびに印刷層上に押出ラミネートされた樹脂組成物層との接着性に優れた積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するための手段を鋭意研究した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、(A)基材層、(B)下記要件1を満たす印刷インキ組成物を用いて印刷された印刷層、(C)樹脂組成物層とを有する積層体に存する。
要件1:印刷インキ組成物が、少なくとも着色剤、バインダー樹脂および溶剤を含有する印刷インキ組成物であって、該バインダー樹脂が、極性官能基を有するプロピレン系重合体であって、主鎖におけるプロピレン連鎖部分が、アイソタクチックブロックと非晶性ブロックからなるステレオブロック構造を有しており、かつ融点を有さないことを特徴とするステレオブロックプロピレン系重合体(a)を含むこと。
要件1を満たすことにより、(B)印刷層を(A)基材層の全面に印刷した全面印刷を行う場合に接着性の高い積層体を得ることができる。
また、本発明の要旨は(C)樹脂組成物層が、下記要件2及び3のいずれかを満たす樹脂組成物を含む層である上記積層体に存する。
要件2:樹脂組成物が、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとを共重合して得たエチレン・α−オレフィン共重合体を含むエチレン系樹脂組成物であって、該エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.860g/cm3以上かつ0.935g/
cm3以下、MFRが0.1dg/min以上かつ100dg/min以下であること。
要件3:樹脂組成物がプロピレン単独重合体(d)または、プロピレンと炭素数2以上20以下のプロピレン以外のα−オレフィンとを共重合して得たプロピレン・α−オレフィン共重合体(e)を含むプロピレン系樹脂組成物であって、該プロピレン単独重合体(d)またはプロピレン・α−オレフィン共重合体(e)のMFRが、0.1dg/min以上かつ100dg/min以下であり、該プロピレン・α−オレフィン共重合体(e)中のα−オレフィン含量が40重量%以下であること。
また、本発明の要旨は(A)基材層が、下記要件4を満たす上記積層体に存する。
要件4:(A)基材層が、該基材層の少なくとも片面の表面に、融解ピーク温度140℃以下の結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)が積層されている基材層であり、該結晶性プロピレン系共重合体樹脂層の上に(B)印刷層および(C)樹脂組成物層が積層されていること。
上記要件1および4、好ましくは上記要件1、2又は3、ならびに4を満たす場合には、全面印刷のみならず、(B)印刷層を(A)基材層の一部に印刷した部分印刷する場合においても、接着性の高い積層体を得ることができる。
本発明を用いることにより、アンカーコート剤を塗布することなく、高い層間密着性ならびにヒートシール強度を有する積層体を形成することができる。よって、本発明は工業的に価値が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体は、(A)基材層、(B)印刷層、および(C)樹脂組成物層を有し、(A)基材層の少なくとも片面に(B)印刷層が形成され、(B)印刷層の表面が(C)樹脂組成物層と接するものである。
(A)基材層の少なくとも片面に形成された(B)印刷層は、必ずしも(A)基材層の全面を被覆していなくともよく、(A)基材層と(C)樹脂組成物層とが直接接してもよい。
以下、各層につき説明する。
1.(A) 基材層
本発明の積層体における(A)基材層は、積層体の骨格となるべきものである。弾性率が高いものが好ましく、通常、各種樹脂、金属箔および紙等が用いられる。
(A)基材層の材質としては、通常、積層体の基材として用いられているものであればよく、例えば、Ny系基材の材質として、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6・66、ポリアミド12等のポリアミド、ポリエステル系基材の材質として、PET、ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと記す)、ポリエチレンナフタレート(以下PENと記す)等、その他の基材の材質として、エチレン酢酸ビニル共重合体鹸化物(以下E
VOHと記す)、分岐状低密度ポリエチレン(以下LDPEと記す)、直鎖状低密度ポリエチレン(以下LLDPEと記す)、中・高密度ポリエチレン(以下HDPEと記す)、PP系重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(以下E(M)Aと記す)、ポリカーボネート(以下PCと記す)、ポリアクリロニトリル(以下PANと記す)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、アルミニウム(以下Alと記す)、鉄、銅、マグネシウム、錫等の金属箔、板紙、上質紙、コート紙、クラフト紙、薄葉紙等の紙基材なども挙げられる。これらのうち、後述の(B)印刷層との接着性に優れることから、PP系重合体、ポリエステル、ポリアミド、Alが好ましい。
(A)基材層には、各種の用途に応じて、Alや酸化Al、珪素酸化物等の蒸着処理、ポリビニリデンクロライド等のコーティング処理などが施されていてもよい。また、織布、不織布のような形状であってもよい。さらに、1軸または2軸延伸が施されてもよい。また、印刷される面の反対側の面に別の層が積層されていてもよい。また、印刷適性を向上させるために、コロナ処理、フレーム処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、低温プラズマ処理等の表面処理があらかじめ施されたものを使用してもよい。
(A)基材層は、下記要件3を満足している基材層であることが好ましい。
要件3:融解ピーク温度140℃以下の結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)が積層されている基材層であること
基材層の表面に積層された結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)は(B)印刷層および(C)樹脂組成物層との接着性を向上させることができる。
以下、基材層の積層に用いられる該結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)について詳細に説明する。
・結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)
本発明に使用する結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)は、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体である。該結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)において、プロピレンとランダム共重合するα−オレフィンとしては、炭素数2以上20以下のα−オレフィン(ただしプロピレンを除く)が挙げられる。具体的にはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等が例示できる。複数のα−オレフィンを共重合してもよい。これらのうちエチレンが最も好ましい。該結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)中のプロピレン含量は、好ましくは60重量%以上〜99重量%、より好ましくは65重量%以上98重量%以下であり、α−オレフィン含量は、好ましくは1重量%以上40重量%以下、より好ましくは2重量%以上35重量%以下である。
・溶解ピーク温度
該結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)は、示差走査型熱量計(以下、DSCと称する)によって求められる融解ピーク温度(以下、Tmと称する)が140℃以下のもの、好ましくは80℃以上140℃以下、特に好ましくは90℃以上135℃以下のものが使用される。Tmが140℃を超えるものは、印刷インクおよび押出ラミネートで積層するエチレン系樹脂との接着強度、ヒートシール強度が低下し、実用上十分な強度が得られない。
本発明において、Tmの測定は、以下の方法により行う。すなわち、セイコー社製示差走査型熱量計(DSC)を用い、サンプル約5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/minの降温スピードで冷却する。続いて10℃/minの昇温スピードで融解させた時に得られる融解熱量曲線からTmを得る。すなわち、融解熱量曲線の最大ピーク温度をTmとする。
該結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)は、全融解熱量(ΔHm)に対する130℃までの融解熱量(ΔHm130)の比(ΔHm130/ΔHm)が0.5以上のもの、好ましくは、0.6以上のものが好ましい。ΔHm130/ΔHmが0.5未満のものは、印刷インクおよび押出ラミネートで積層するエチレン系樹脂との接着強度、ヒートシール強度が低下し、実用上十分な強度が得られない。
ここで、ΔHmおよびΔHm130は示差走査型熱量計(DSC)により測定した値である。上記融解熱量曲線からΔHmおよびΔHm130を得る。すなわち、該融解熱量曲線において、最初の吸熱が開始した温度と全ての吸熱が終了した温度との間を、直線で結んで融解熱量を求めるためのベースラインとする。該融解熱量曲線とベースラインとに囲まれた部分に相当する融解熱量を全融解熱量(ΔHm)、低温側から起算した130℃までの融解熱量を130℃までの融解熱量(ΔHm130)とする。
・メルトフローレート
また、該結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)は、メルトフローレート(JIS−K6921に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定したもの)(以下MFRという)が好ましくは0.1dg/min以上50dg/min以下、より好ましくは0.5dg/min以上40dg/min以下である。MFRが上記範囲外であると、フィルムの加工性に劣りやすい。
・Mw/Mn
また、本発明で用いられる該結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)の重量平均分子量(以下、Mwと称する)と数平均分子量(以下、Mnと称する)との比Mw/Mnは、1.5以上4.5以下であるのが好ましく、より好ましくは1.8以上4.0以下、最も好ましくは2.0以上3.0以下である。Mw/Mnが上記範囲を超えると、層間接着性が低下する傾向があり、上記範囲未満では、フィルム加工性が悪化することがある。Mw/Mnを所定の範囲に調整する方法としては、適当なメタロセン触媒を選択することが挙げられる。なお、Mw/Mnの測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行う。測定条件は次の通りである。
装置: ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器: MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長:3.42μm)
カラム: 昭和電工社製 AD806M/S:3本
測定温度: 140℃
試料濃度: 20mg/10ml
試料注入量: 0.2ml
溶媒: オルトジクロロベンゼン
流速: 1.0ml/min
なお、カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288)の各0.5mg/ml溶液を使用し、これらの測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似することにより行う。また、試料の分子量はポリスチレンとポリプロピレンの粘度式を用いてポリプロピレンに換算した。なお、粘度式としては、[η]=K・Mαを使用し、ポリスチレンの場合、係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリプロピレンの場合、α=0.707、logK=−3.616である。
・結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)製造用触媒
結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)を製造する触媒について特に制限はないが、シングルサイト触媒が好ましい。シングルサイト触媒のなかでもメタロセン触媒が好ましい
。該メタロセン触媒については後述する。
上記結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)には、本発明の目的が損なわれない範囲で各種添加剤、例えば造核剤、滑剤、アンチブッロキング剤、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、低分子量ポリマーなどを必要に応じて添加することができる。
2.(B)印刷層
本発明の積層体における(B)印刷層は、下記要件1を満足する印刷インキ組成物を用いた印刷によって形成される層である。通常、前記(A)基材層の少なくとも片面に印刷して形成される。
要件1:印刷インキ組成物が、少なくとも着色剤、バインダー樹脂および溶剤を含有する印刷インキ組成物であって、該バインダー樹脂が、極性官能基を有するプロピレン系重合体であって、主鎖におけるプロピレン連鎖部分が、アイソタクチックブロックと非晶性ブロックからなるステレオブロック構造を有していることを特徴とするステレオブロックプロピレン系重合体(a)を含むこと。
以下、要件1について詳しく説明する。
(1)着色剤
着色材としては、染料、顔料などが好適に用いられるが、中でも不溶性アゾ、アゾレーキ等の有機顔料、二酸化チタン、カーボンブラック、カドミウムレッド、クロムイエロー等の無機顔料などが好適に用いられる。色材の配合量に特に制限はないが、組成物中の着色剤含量は通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上であって、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
(2)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、極性基を含有するステレオブロックプロピレン系重合体(a)を含む。極性基を含有するステレオブロックプロピレン系重合体(a)の合計が、バインダー樹脂中に占める比率は10重量%以上であることが好ましい。より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。上記比率が10重量%未満では印刷層に(A)基材層および(C)樹脂組成物層との接着性を付与する効果が不十分となる傾向となる。
バインダー樹脂の一部として他のバインダー樹脂を混合してもよい。特に、本発明の印刷インキ組成物を調製時、必要に応じて、各種の樹脂を副成分として配合、使用することができる。それらの樹脂としては、例えば、未変性のステレオブロックプロピレン系重合体(a)、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、クロルスルホン化ポリオレフィン、硝化綿、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその塩素化物またはクロルスルホン化物、マレイン酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂およびポリウレタン樹脂等が挙げられる。
・極性基含有ステレオブロックプロピレン系重合体(a)
本発明の極性基含有ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、主鎖がステレオブロック構造となっていると同時に、極性基を含有するものであり、例えばステレオブロックプロピレン系重合体に極性基を導入させたり、ウレタン変性することにより得られる。
分子量に関する制限は特にない。しかしながら、印刷適性などを考慮して、一般的には、GPCで測定した重量平均分子量Mwとして、通常500以上、好ましくは1000以上であって、通常50万以下好ましくは30万以下である。GPCによるMwの測定法については、前記した通りである。なお、場合により、GPC測定前に試料を前処理し、極性基を適当な方法でマスクすることも行われる。
・ステレオブロックプロピレン系重合体(a)
ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、主鎖におけるプロピレン連鎖部分が、アイソタクチックブロックと非晶性ブロックからなるステレオブロック構造を有するプロピレン系重合体である。
ここで、プロピレン系重合体とは、プロピレンを主体とする重合体を意味し、コモノマーとして極性基を有するモノマー単位をその構造の一部に有していてもよい。なお、プロピレンと極性基を有するモノマー以外に、エチレンや、炭素数4以上20以下のα−オレフィンをコモノマーとして含んでいてもよい。この場合、エチレンや、炭素数4以上20以下のα−オレフィンの含量は、10mol%以下である。
・立体規則性
本発明のステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、13C−NMRスペクトルによって規定される次の(ア)および(イ)の要件を満たすものが好ましい。
(ア)13C−NMRスペクトルにて、頭−尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメチル基の炭素原子に由来するピークを観測し、mmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークのピークトップのケミカルシフトを21.8ppmとしたとき、19.8ppmから22.2ppmに現れるピークの総面積Sに対し、21.8ppmをピークトップとするピークの面積S5の比率S5/Sが10%以上、60%以下であること。
(イ)13C−NMRスペクトルにて、21.5〜21.6ppmをピークトップとするピークの面積をS6としたとき、4+2S5/S6>5であること。
なお、本発明における13C−NMRスペクトルの測定方法は、下記の通りである。
試料350〜500mgを、10mmφのNMR用サンプル管中で、約2.2mlのオルトジクロロベンゼンを用いて完全に溶解させる。次いで、ロック溶媒として約0.2mlの重水素化ベンゼンを加え、均一化させた後、130℃でプロトン完全デカップリング法により測定を行う。測定条件は、フリップアングル90゜、パルス間隔5T1以上(T1は、メチル基のスピン−格子緩和時間のうち最長の値)とする。プロピレン重合体において、メチレン基およびメチン基のスピン−格子緩和時間はメチル基のそれよりも短いので、この測定条件では、すべての炭素の磁化の回復は99%以上である。なお、定量精度を上げるため、13C核の共鳴周波数として125MHz以上のNMR装置を使用し、20時間以上の積算を行うのが好ましい。
ケミカルシフトは、頭−尾(head to tail)結合からなるプロピレン単位連鎖部の10種類のペンタッド(mmmm,mmmr,rmmr,mmrr,mmrm,rmrr,rmrm,rrrr,rrrm,mrrm)のうち、メチル分岐の絶対配置がすべて同一である、すなわち、mmmmで表されるプロピレン単位5連鎖の第3単位目のメチル基にもとづくピークのピークトップのケミカルシフトを21.8ppmとして設定し、これを基準として他の単位5連鎖の第3番単位目のメチル基にもとづくピークのピークトップのケミカルシフトを決定する。この基準では、例えば、その他のプロピレン単位5連鎖の場合、ピークトップのケミカルシフトはおおむね次のようになる。すなわち、mmmr:21.5〜21.7ppm、rmmr:21.3〜21.5ppm、mmrr:21.0〜21.1ppm、mmrmおよびrmrr:20.8〜21.0ppm、rmrm:20.6〜20.8ppm、rrrr:20.3〜20.5ppm、rrrm:20.1〜20.3ppm、mrrm:19.9〜20.1ppmである。なお、これらのペンタッドに由来するピークのケミカルシフトは、NMRの測定条件によって多少の変動があること、および、ピークは必ずしも単一ピーク(single peak)ではなく、微細構造にもとづく複雑な分裂パターン(split pattern)を示すことが多い点に注意して帰属を行う必要がある。
さて、上述のふたつの要件は、プロピレン重合体の主鎖中に結晶性の高いブロックと非晶性の高いブロックとがバランスよく共存し、かつ、結晶性の高いブロックがアイソタクティック性に富む構造となっていることを表す。重合体中に結晶性の高いブロックが多すぎると溶媒への溶解性が悪化するので、結晶性の高いブロックと非晶性の高いブロックとのバランスが重要であり、このバランスを表す指標のひとつとして、(ア)にて規定される要件が適用されるのである。
上述の要件(イ)において、4+2S5/S6>5という関係式は、Waymouthらによりアイソタクチックブロックインデックス(BI)と名づけられた指数(特表平9−510745号参照)と密接な関連がある。BIは、重合体のステレオブロック性を表す指標であり、BI=4+2[mmmm]/[mmmr]で定義される。より具体的には、BIは、4個以上のプロピレン単位を有するアイソタクチックブロックの平均連鎖長を表す(J.W.Collete et al.,Macromol.,22,3858(1989);J.C.Randall,J.Polym.Sci.Polym.Phys.Ed.,14,2083(1976))。統計的に完全なアタクチックポリプロピレンの場合、BI=5となる。したがって、BI=4+2[mmmm]/[mmmr]>5は、重合体中に含まれるアイソタクチックブロックの平均連鎖長が、アタクチックポリプロピレンのそれよりも長いことを意味する。
該4+2S5/S6は、上述のBIと完全には同一でないものの、おおむね対応していることから、4+2S5/S6>5という要件は、ステレオブロックプロピレン系重合体(a)が、アタクチックPPとは異なり、結晶化可能な連鎖長のアイソタクチックブロックを含有することを意味する。一方、要件(ア)は、ステレオブロックプロピレン系重合体(a)において、主鎖のアイソタクティシティが不完全であることを意味する。したがって、ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、アイソタクチックブロックと、立体特異性(stereospecificity)が乱れたシークエンスからなるブロック、すなわち、非晶性ブロックの両者が、主鎖に存在することを意味する。さらに、ステレオブロックプロピレン系重合体(a)が、プロピレンとα−オレフィンの共重合体である場合においては、α−オレフィンがコモノマーとして含まれているので、α−オレフィンによって結晶性が低下したブロックも同時に存在している。
5とS6を先に規定した範囲となるように制御する方法としては、重合触媒の構造によって制御する方法、重合温度によって制御する方法、モノマー濃度によって制御する方法;等を挙げることができる。S5,S6の温度依存性や、モノマー濃度依存性は、使用する触媒によって異なるので一概に言うことはできない。したがって、使用する触媒の性質にもとづいて、これらの条件を制御することが肝要である。
ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、さらに下記の(ウ)の要件を満たす場合、本発明の印刷インキ用バインダー樹脂として、より好ましく用いられる。
(ウ)プロピレン単量体の位置不規則単位に関する要件、すなわち、2,1−挿入したプロピレン単量体および/または1,3−挿入したプロピレン単量体に基づく位置不規則単位が鎖中に存在し、全プロピレン挿入に対する該2,1−挿入と1,3−挿入に基づく位置不規則単位のそれぞれの比率の和が0.05%以上であることである。
全プロピレン挿入に対する該2,1−挿入と1,3−挿入に基づく位置不規則単位のそれぞれの比率の和は、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.5%以上である。また、全プロピレン挿入に対する2,1−挿入と1,3−挿入に基づく位置不規則単位の比率の和は通常5%以下、好ましくは4.5%以下、さらに好ましくは4%以下である。
プロピレンの重合は、メチレン基が触媒の活性サイトと結合する1,2−挿入で進行するのが普通であるが、まれに、2,1−挿入あるいは1,3−挿入することがある。プロピレン連鎖において2,1−挿入されたプロピレン単量体は、下記部分構造(I)および(II)で表される位置不規則単位を形成する。このように、部分構造(I)および(II)の両者が主鎖中に存在するのは、本発明のプロピレン系重合体の好ましい様態のひとつである。また、プロピレン連鎖において1,3−挿入されたプロピレン単量体は、重合体主鎖中において、下記部分構造(III)で表される位置不規則単位を形成する。
また、ステレオブロックプロピレン系重合体(a)が、プロピレンとα−オレフィンの共重合体である場合には、プロピレンが2,1−挿入した後に、α−オレフィン、例えばエチレンが挿入し、ついでプロピレンが正常に1,2−挿入するという構造(部分構造IV)も、本発明のプロピレン系重合体の好ましい様態のひとつである。
Figure 0004501392
ここで、全プロピレン挿入に対する2,1−挿入したプロピレンの割合、および、1,3−挿入したプロピレンの割合は、下記式で計算される。
Figure 0004501392
(i)プロピレン単独重合体の場合
Figure 0004501392
式中、ΣI(x−y)は、13C−NMRスペクトルにおいて、xppmからyppmに現れる信号の積分強度和を表し、ΣI(CH3)は、末端を除く全メチル基に由来する信
号の積分強度和である。これは、次の式で求められる。
Figure 0004501392
なお、14.5〜18.0ppmに現れる信号は、2,1−挿入したプロピレンのメチル基の炭素に由来するものであり、19.5〜24.4ppmに現れる信号は、1,2−挿入したプロピレンのメチル基の炭素に由来するものである。また、27.5〜28.0ppmに現れる信号は、1,3−挿入したプロピレン中の2個のメチレン炭素に由来するものである。
(ii)プロピレン・エチレン共重合体の場合
Figure 0004501392
式中、ΣI(x−y)は、上記と同様、13C−NMRスペクトルにおいて、xppmからyppmに現れる信号の積分強度和を表す。なお、14.2〜18.0ppmに現れる信号は、2,1−挿入したプロピレンのメチル基の炭素に由来するものであり、33.5〜34.2ppmに現れる信号は、tPEPなる構造において、2,1−挿入したプロピ
レンのメチル基の炭素に由来する。ここで、Pはプロピレン、tPは2,1−挿入したプ
ロピレン、Eはエチレンを示す。14.2〜23.5ppmに現れる信号は、1,2−挿入および2,1−挿入したプロピレンのメチル基の炭素に由来するものであり、また、27.5〜28.0ppmに現れる信号は、1,3−挿入したプロピレン中の2個のメチレン炭素に由来するものである。
なお、厳密には他の構造、例えば、tPEtP、tPEE、EtPEに由来する2,1−挿入したプロピレンのメチル基の炭素のシグナルを考慮する必要があるが、本発明のステレ
オブロックプロピレン系重合体(a)においては、2,1−挿入量が1,2−挿入量に比べて相対的にかなり少ないことから、これらの構造に由来するシグナルは無視しうる。
このような位置不規則単位は、一般に重合体の結晶性を低下させるため、重合体の溶媒への溶解度を向上させる作用をしているものと考えられる。プロピレン系重合体の結晶性を低下させる別の手段として、メチル基の立体規則性を低下させる方法があるが、一般に、この手法でできたポリマーをインクのバインダーに用いて印刷層を形成させると、印刷層のべたつきが顕著になる傾向があり、応用上好ましくない。また、印刷層のべたつきを抑制しようとしてメチル基の立体規則性を上げると、今度は、溶媒への溶解性が低下し、印刷面の平滑性が損なわれる傾向があり、これも応用上好ましくない。このように、溶媒への溶解性ならびに印刷面の平滑性を考慮すると、位置不規則単位を適度に主鎖に持つ構造が、両者のバランス上好ましいと言える。
2,1−挿入したプロピレン単量体および1,3−挿入したプロピレン単量体の両者に基づく位置不規則単位が主鎖中に存在するものが、より効果的に結晶性を低下させ、溶媒への溶解度を向上させるうえで好ましい。また、1,3−挿入に基づく位置不規則単位の比率が2,1−挿入に基づく位置不規則単位の比率よりも多い方が、溶媒への溶解性や印刷層物性などを総合した性能において良好な物性となるため、より一層好ましい。
主鎖中における2,1−挿入および/または1,3−挿入の量を制御する方法については、(i)重合触媒の構造によって制御する方法、(ii)重合温度によって制御する方法、(iii)モノマー濃度によって制御する方法、および(iv)重合時の水素濃度によって制御する方法等を挙げることができる。2,1−挿入および/または1,3−挿入量の温度依存性や、モノマー濃度依存性、水素濃度依存性は、使用する触媒によって異なるので一概に言うことはできない。したがって、使用する触媒の性質にもとづいて、これらの条件を制御することが肝要である。なお、重合触媒の構造によって制御する方法については後述する。
ステレオブロックプロピレン系重合体(a)が、プロピレンとα−オレフィンの共重合体である場合、該共重合体は、13C−NMRスペクトルによって規定される次の(エ)要件を満たすことにより、溶媒への溶解性に一層すぐれ、かつ、べたつきのないものとなる。
(エ)13C−NMRスペクトルにて、頭−尾結合からなるプロピレン単位連鎖部のメチル基の炭素原子に由来するピークを観測し、mmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークのピークトップのケミカルシフトを21.8ppmとして、24.5ppmから25.0ppm、33.5ppmから34.2ppm、14.2ppmから23.5ppm、27.5から28.0ppmに現れるピークの積分強度をそれぞれS1、S2、S3、S4とした場合、0<(S1+S2)/(S1+S2+S3+0.5S4)<0.05であること。
(エ)の要件は、ステレオブロックプロピレン系重合体(a)中のオレフィン含量と密接な関係がある。以下、プロピレン・エチレン共重合体を例にとり説明する。ここで、プロピレンをP、2,1−挿入したプロピレンをtP、エチレンをEで表す。ステレオブロ
ックプロピレン系重合体(a)の主鎖において、大部分のエチレンが、PEP、tPEtP、PEtPの形で存在している場合、(S1+S2)/(S1+S2+S3+0.5S4)は、
共重合体中のエチレン分率に等しいと言ってよい。したがって、該要件は、ステレオブロックプロピレン系重合体(a)中のエチレン含量が比較的少ないことを意味する。特に、ステレオブロックプロピレン系重合体(a)の主鎖において、大部分のエチレンが、PEP、tPEtP、PEtPの形で存在しているという条件が満たされる場合は、エチレン含
量が5mol%未満であることを意味する。
なお、該共重合体においては、プロピレン単位をP、2,1−挿入したプロピレン単位
tP、エチレン単位をEで表したとき、PEE、tPEE、EEE、EPE、EtPEで
表される部分構造が存在しないか、または、該部分構造が、P、tP、Eからなる全トラ
イアッドの3%以下であることが好ましい。PEEまたはtPEEは、27.3ppmに
ピークを有し、EEEは30.0ppmにピークを有する。また、EPEまたはEtPE
は33.5ppmにピークを有するので、これらのピークの積分強度をもとに、該部分構造の存在比率を計算することができる。なお、13C−NMRのケミカルシフトは、測定条件によって微妙に変化することがあるので、この点については考慮が必要である。
ところで、PEE、tPEE、EEE、EPE、EtPEで表される部分構造が存在しないか、または、P、tP、Eからなる全トライアッドの3%以下であるという要件は、ス
テレオブロックプロピレン系重合体(a)において、エチレンが、PEP(またはtPEtP)、tPEPの形で存在し、エチレンが2個続けて挿入していないこと、言い換えれば
、エチレンのランダム性が高いことを示す。このように、エチレンのランダム性が高い場合には、より効果的に重合体の結晶性を低下させることができる。
1〜S4を、0<(S1+S2)/(S1+S2+S3+0.5S4)<0.05となるように制御する方法としては、たとえばプロピレン・エチレン共重合体の場合、重合時に使用するプロピレンとエチレンの比率を制御するのが最も実用的である。プロピレンとエチレンの具体的な比率は、使用する触媒によって異なるので一概には言えないが、所望の温度・圧力等の条件のもとで、重合に使用するプロピレン・エチレンの比率と、(S1+S2)/(S1+S2+S3+0.5S4)との関係をあらかじめ求めておくことにより、この関係を利用して、(S1+S2)/(S1+S2+S3+0.5S4)を所望の値に制御することができる。
なお、(S1+S2)/(S1+S2+S3+0.5S4)≧0.05となる場合には、樹脂の溶媒への溶解性は向上するものの、印刷層のべたつきが顕著になる傾向がある。本発明においては、0<(S1+S2)/(S1+S2+S3+0.5S4)<0.05が好ましく、さらに好ましくは、0<(S1+S2)/(S1+S2+S3+0.5S4)<0.03である。
・溶解性
ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、溶媒に溶解させることができる。溶媒の具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンのような炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類、n−エチルアセテート、n−ブチルアセテート、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、イソプロピルアルコール、n−ブタノールのような極性溶媒類を挙げることができる。これらのうち、炭化水素類、または炭化水素溶媒と極性溶媒の混合溶媒が溶媒として好ましい。
その溶解性は通常の高立体規則性アイソタクチックポリプロピレン変性体に比べ非常に優れており、なかでも下記の要件5を満たすものが好ましい。
要件5:プロピレン系重合体を25℃におけるトルエンに10重量%濃度で溶解した場合に、その不溶成分が該重合体全量の1重量%以下であること。
不溶性分の量はより好ましくは該重合体全量の0.1重量%以下であり、さらに好ましくは不溶成分が検出限界以下である。
本発明において、25℃のトルエンに対するプロピレン系重合体の溶解性の測定方法は、以下の通りである。トルエンに該プロピレン系重合体を濃度10重量%で攪拌翼付きセパラブルフラスコに仕込み、外温120℃に昇温し溶解する。内温が一定となった後2時
間攪拌を続ける。25℃まで自然冷却してから1時間静置し、SUS金網400番にてろ過する。金網に残ったものを不溶分、溶液として通ったものを可溶分とし、真空乾燥器で80℃、1mmHg以下、4時間乾燥させる。秤量し、不溶分の分率を計算する。
・融点
ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、融点を有さないものを使用する。その場合、上述のように非常に高い溶解性を示す。なお融点は、例えばデュポン(DuPont)社製熱分析システムTA2000を用いて、試料(約5〜100mg)を200℃で5分間融解後、10℃/minの速度で20℃まで降温し、5分間同温度で保持した後、10℃/minで200℃まで昇温して融解曲線を作成し、最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点とすることにより、測定できる。本発明における「融点を有さない」とは、このピークトップ温度を有さないことを意味する。なお、ベースラインの変動等により、一見ピークトップ温度に類似したDSC曲線が得られることがあるが、この場合には、上記した降温過程において対応する結晶化ピークの有無により、これがピークトップ温度か否かを判定する。すなわち、対応する結晶化ピークが認められない場合には、ピークトップ温度は存在しないものとする。
ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、上述のように溶媒に可溶なので、印刷インキ組成物のバインダー樹脂として使用することができる。該印刷インキ組成物で基材に印刷した際に形成される印刷層は、基材に対して良好な密着性を示す。
また、ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は溶媒に可溶であるため、後述するように、溶媒中で極性モノマーをグラフト共重合させ、グラフト変性プロピレン系重合体を製造することが可能である。
・製造方法
ステレオブロックプロピレン系重合体(a)の製法については、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば、いかなる製法であってもよい。好ましい製法としては、シングルサイト触媒による製造方法を挙げることができる。この理由としては、一般にシングルサイト触媒が、リガンドのデザインによりミクロタクティシティを制御できること、分子量分布や立体規則性分布がシャープであること、比較的分子量の低い重合体を容易に製造できることなどが挙げられる。シングルサイト触媒としては、メタロセン触媒や、いわゆるポストメタロセン触媒が該重合体を製造する触媒として使用できる。ここで、メタロセン触媒とは、シクロペンタジエニル配位子を有する遷移金属化合物を含む触媒であり、ポストメタロセン触媒とは、シクロペンタジエニル配位子を含有せず、窒素、酸素、リンなどのヘテロ原子を有する配位子を含有する遷移金属化合物を含む触媒を指す。これらの触媒は、一般に、共触媒と呼ばれる化合物であって、これらの遷移金属を活性化することのできる化合物と組み合わせて用いられるのが普通である。これらのなかでも、メタロセン触媒がミクロタクティシティを精密に制御できる点で、好適に用いられる。
・極性基の導入方法
極性基としては、任意の官能基が使用できるが、なかでも、カルボキシル基、カルボン酸基、エステル基、アミド基、イミド基、酸無水物基、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基が好適に使用され、特に好ましくは、酸無水物基、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基である。
極性基の導入方法に特に制限はなく、従来公知の方法が使用できる。すなわち、極性基を有するモノマーをプロピレンと共重合させる方法、有機溶媒の溶液中でプロピレン系重合体と極性基を有するモノマーを、有機過酸化物を開始剤としてグラフト反応させる溶液法、押出機等の溶融混練装置を用いて、極性基を有するモノマーをプロピレン系重合体にグラフト反応させる溶融混練法等を挙げることができる。なお、極性基の導入については、ここに挙げた手法を組み合わせたり、同一または異なる手法を複数回実施してもよい。
ステレオブロックプロピレン系重合体(a)に極性モノマーをグラフト共重合させる場合、極性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸およびその酸誘導体、ならびに、モノオレフィンジカルボン酸、その無水物およびそのエステル類が挙げられる。
具体的に例示するならば、(メタ)アクリル酸およびそのエステル誘導体としては、(メタ)アクリル酸、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等、炭素数6〜12のアリール基またはアリールアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
さらに、他の(メタ)アクリル酸誘導体としては、ヘテロ原子を含有する炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイドの付加物等、フッ素原子を含有する炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル等、(メタ)アクリルアミド系モノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド等が挙げられる。
モノオレフィンジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、3−メチル−2−ペンテン・二酸、2−メチル−2−ペンテン・二酸、2−ヘキセン・二酸等が挙げられる。
また、モノオレフィンジカルボン酸アルキルエステルとしては、炭素数1〜12のアルキルアルコールとこれらのジカルボン酸とのエステルが挙げられ、アルキルアルコールとしては、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、オクチルアルコール、シクロヘキシルアルコール等が挙げられる。グラフト共重合単位としてモノオレフィンジカルボン酸アルキルエステルを有する変性重合体は、例えば、モノオレフィンジカルボン酸アルキルエステルを重合体にグラフト共重合する方法、モノオレフィンジカルボン酸もしくはその無水物をプロピレン系重合体にグラフト共重合させた後に、アルキルアルコールによりカルボン酸基の少なくともひとつをエステル化する方法によって得ることができる。
アミド基、イミド基、水酸基を含有する極性基含有ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、上述の極性基含有変性ステレオブロックポリプロピレンを、さらにアミンなどで変性することによって製造できる。また、アミノ基と水酸基の両者を有する極性モノマーを用いて、上述の極性基含有変性ステレオブロックポリプロピレンを再度変性することによって、水酸基含有ステレオブロックプロピレン系重合体(a)を製造することができる。また、従来公知の有機化学的な官能基変換方法、例えば、エステル基の還元などを使用してもよい。
イソシアネート基を有する変性ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、例えば、ステレオブロックプロピレン系重合体にイソシアネート基を分子内に有するビニルモノ
マーをグラフト化することによって得られる。上記イソシアネート基を分子内に有するビニルモノマーとしては、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
エポキシ基を有する変性ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、例えばステレオブロックプロピレン系重合体に、エポキシ基を分子内に有するビニルモノマーをグラフト化することによって得られる。上記エポキシ基を分子内に有するビニルモノマーとしてはグリシジル(メタ)クリレート等が挙げられる。
上記グラフト共重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤から適宜選択して使用することができ、有機過酸化物、アゾニトリル等を挙げることができる。有機過酸化物としては、ジイソプロピルパーオキシド、ジ(t−ブチル)パーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、クミルヒドロパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカルボナート、ジシクロヘキシルパーオキシカルボナート等が挙げられる。アゾニトリルとしてはアゾビスブチロニトリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙げられる。これらの中で、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシドが好ましい。
上記グラフト共重合反応を有機溶媒を用いて行う場合、その有機溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、トリクロロエチレン、パークロルエチレン、クロルベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられ、これらの中でも、芳香族炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素が好ましく、特にトルエン、キシレン、クロルベンゼンが好ましい。
極性基含有ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、ステレオブロック構造を有しており、通常のアイソタクチックポリプロピレンと比較して結晶性が低いため、一般に、炭化水素溶媒への溶解度が高い。該極性基含有ステレオブロックプロピレン系重合体(a)を、ステレオブロックPPの変性によって製造する場合、原料に用いるステレオブロックPPとしては、25℃におけるトルエンに10重量%の濃度で溶解した際に、その不溶分が1重量%以下であるものが好ましい。なお、不溶分量の測定は、前記したとおりである。
・ポリウレタン変性
また、極性基含有ステレオブロックプロピレン系重合体として、ポリウレタン変性ステレオブロックプロピレン系重合体も用いることができる。
・ジオール
ポリウレタン変性ステレオブロックプロピレン系重合体(a)を製造するために用いる高分子ジオールとしては、ポリウレタン樹脂の製造に通常用いられているものを使用することができる。例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオールおよびこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
上記ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独または共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
上記ポリエステルジオールとしては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバ
シン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等のジカルボン酸またはそれらの無水物と、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香環を有するグリコール、炭素数1〜18アルキルジエタノールアミン等のアルキルジアルカノールアミン等のグリコールとを重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンプロピレンアジペート等、或いは前記グリコール類を開始剤として1種または2種以上のラクトン類を開環重合して得られるポリラクトンジオール、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリメチルバレロラクトンジオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールの単独もしくは他のグリコールとの混合物を前記ジカルボン酸またはそれらの無水物と反応させるか、またはポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート等が挙げられる。
上記ポリカーボネートジオールとしては、前記グリコールまたは各種高分子ジオール類とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等とから、脱アルコールまたは脱グリコール反応によって得られるもの、例えばポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
なお、上記グリコールの一部をグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールで置換することもできる。ただし、この場合、用いる3価以上の多価アルコールは、グリコールの20mol%以下とするのが望ましい。用いる3価以上の多価アルコールが20mol%を越える場合、得られるポリウレタンウレアの溶解性が低下する等の問題を生じる可能性がある。
上記高分子ジオールの数平均分子量Mnは通常500以上10,000以下、好ましくは1,000以上6,000以下、より好ましくは2,000以上4,000以下である。高分子ジオールの数平均分子量Mnが500未満の場合には、得られるポリウレタンの皮膜強度が低下する可能性がある。また、10,000を越える場合には、得られるポリウレタンの耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性が低下する可能性がある。
・有機ジイソシアネート
本発明において、ポリウレタン変性に用いる有機ジイソシアネートとしては2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート
、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート
、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水添TDI)、1−イソシアネート−3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、4,4'−ジ
シクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4'
−ジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。
・鎖延長剤
本発明において、ポリウレタン変性に用いる鎖延長剤としては、ポリエステルポリオールの原料として用いられる分子量500未満の低分子ジオール化合物、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族グリコールといったグリコール類や、低分子ジアミン化合物、例えば2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4'−ジフェニルメタンジアミン等の芳香族
ジアミン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDA)、4,4'−ジ
シクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4'−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シク
ロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
・末端停止剤
また、必要により使用される末端停止剤として、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のモノアルコール、モノエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン等のモノアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン等を用いることもできる。
・製造方法
本発明において、ポリウレタン変性ステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、次のような方法で製造することができる。例えば、(i)有機ジイソシアネートと、活性水素を有する変性ステレオブロックプロピレン系重合体、高分子ジオール、場合により鎖延長剤の一部とをイソシアネート基過剰のモル比で反応させて末端イソシアネート基のプレポリマーをつくり、溶剤で希釈し、次いで鎖延長剤で鎖延長するプレポリマー法、(ii)有機ジイソシアネート、活性水素を有する変性ステレオブロックプロピレン系重合体、高分子ジオールさらに鎖延長剤を溶剤溶液中で一段で反応させるワンショット法、(iii)高分子ジオール、場合により鎖延長剤の一部とをイソシアネートと反応させてウレタンプレポリマーをつくり、必要に応じて溶剤で希釈し、次いで鎖延長剤で鎖延長してもよいウレタンプレポリマーと変性ステレオブロックプロピレン系重合体を混合するブレンド法等が挙げられる。
なお、末端停止剤を用いる場合における末端停止剤の添加方法は、鎖延長反応前に添加してもよく、鎖延長剤と同時に添加してもよく、あるいは鎖延長反応終了後に添加してもよい。
上記の方法のなかでも、(i)プレポリマー法が好ましく用いられる。(i)プレポリマー法におけるプレポリマーの製造方法としては、有機ジイソシアネートと変性プロピレン系重合体、高分子ジオールとを一括して反応させる方法であってもよいし、それぞれの成分を別々に反応させた後、これらを混合し、プレポリマーを製造する方法であってもよ
い。なお、活性水素を有する変性ステレオブロックプロピレン系重合体は、例えば、活性水素を有する極性モノマーのグラフト反応によって得ることができる。
上記のポリウレタン変性の反応において、上記活性水素を有する変性ステレオブロックプロピレン系重合体と、ポリウレタン成分、すなわち、上記高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖延長剤の合計との重量比は、1/99から99/1の範囲にある必要がある。該重量比は、より好ましくは5/95〜90/10、さらに好ましくは10/90〜80/20である。変性ステレオブロックプロピレン系重合体の比率が小さすぎると、(A)基材が結晶性のポリプロピレン系重合体である場合、印刷層の基材に対する接着性が乏しく、逆にポリウレタン成分の比率が小さすぎると、(A)基材が極性樹脂である場合、該基材に対する親和性が不十分となる。
上記の反応において、変性プロピレン系重合体の末端活性水素基は有機ジイソシアネートのイソシアネート基と、また末端イソシアネート基、末端酸無水物基および末端エポキシ基は高分子ジオールおよび鎖延長剤の活性水素基とそれぞれ反応する。
上記プレポリマー法において、末端イソシアネート基のプレポリマー化反応時の構成成分の添加順序には特に制限はなく、必要に応じてプレポリマー化反応途中に適宜、有機ジイソシアネートモノマーを再添加することも可能である。プレポリマーを製造するにあたり、イソシアネート基と活性水素基との反応比は1.1/1〜10/1であることが好ましい。反応比が1.1/1より小さい場合には耐熱性、皮膜強度が低下する可能性があり、10/1より大きい場合にはポリオレフィン基材に対する接着性が低下する可能性がある。
また、鎖延長剤の水酸基の量は、プレポリマーのイソシアネート基1molに対して、通常0.95〜1.1モル、好ましくは0.98〜1.05molである。鎖延長剤の水酸基量が0.95molよりも小さい場合、ポリウレタンの分子量が低いため耐熱性、皮膜強度が低下する可能性がある。また、1.1molよりも過剰の場合には未反応の鎖延長剤が残存し物性低下や臭気の原因となる。
上記ポリウレタン変性の反応は溶剤中で行うことが好ましく、使用される溶剤としては、例えばエタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、クロルベンゼン、トリクレン、パークレン等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒およびそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記ポリウレタン変性の反応には触媒を用いることも可能である。ウレタン化反応を促進する触媒としては、例えばトリエチルアミン、ジメチルアニリン等の3級アミン系触媒または有機スズ、有機亜鉛等の有機金属系触媒が挙げられる。
ポリウレタン変性ステレオブロックプロピレン系重合体(a)の数平均分子量は5,000〜300,000の範囲とする。数平均分子量の下限として、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上である。数平均分子量の上限として好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下である。数平均分子量が5,000未満の場合には、これをバインダーとして用いた印刷インキの乾燥性、耐ブロッキング性、皮膜強度、耐油性等が低下する可能性がある。一方、数平均分子量が300,000を越える場合には、樹脂溶液の粘度が高いために取り扱いが困難になり、得られる印刷インキの光沢が低下し、また再溶解性等も低下する可能性がある。これらの場合の樹脂溶液の濃度は特に制限されないが、作業性を考慮して適宜決定されればよく、通常は15〜
60重量%、粘度は50〜100,000mPa・sが実用上好適である。
(3)溶剤
溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール類、セロソルブ、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトンなどのケトン類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類などが例示できるがこの限りではない。
(4)印刷インキ組成物の製造方法
本発明の印刷インキ組成物は、バインダー樹脂としての極性基を含有してもよいステレオブロックプロピレン系重合体(a)に対して、着色剤および溶剤を加えることによって調製される。
本発明の印刷インキには、さらに必要に応じて、印刷インキとして必要な特性を付与するために、ワックス類、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、耐ブロッキング剤、帯電防止剤、充填剤、溶剤等を適宜添加してもよい。また、本発明の印刷インキは、溶剤を加えて必要な濃度に希釈し、使用することができる。この場合の溶剤は、通常、印刷インキの希釈に用いられる溶剤がそのまま用いられる。
本発明の印刷インキ組成物は、上述の成分を、ディスパー、ボールミル、アトライター、サンドミル等の通常の製造装置を用いて混合・分散させることによって製造することができる。なお、必要に応じて、着色剤を使用しない構成も可能である。
なお、本発明の積層体の(B)印刷層には、接着性を向上させるために、コロナ処理、フレーム処理、オゾン処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、低温プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
(5)印刷層の形成
印刷によって(A)基材層の表面に(B)印刷層を形成する方法としては、各種公知の印刷方法が利用できる。すなわち、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷等が好適に用いられ、中でも特にグラビア印刷が好適に用いられるがその限りではない。印刷は単色でも数色の重ね印刷でもよく、また全面のベタ印刷でも無地部を残した部分印刷でもよい。(B)印刷層上には、そのまま後述の押出ラミネート法により(C)樹脂組成物層を積層することができるが、コロナ処理、フレーム処理、赤外線照射処理、電子線照射処理、低温プラズマ処理等の表面処理がなされていてもよい。3.(C)樹脂組成物層
本発明の樹脂組成物層を構成する樹脂組成物は、ラミネート適性があり、ヒートシール可能な樹脂組成物が好ましい。具体的にはエチレン系樹脂組成物またはプロピレン系樹脂組成物が好ましい。
(1)エチレン系樹脂組成物
エチレン系樹脂組成物としては、特に限定されないが、下記要件2を満たすものが好ましい。
要件2:樹脂組成物が、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとを共重合して得たエチレン・α−オレフィン共重合体(b)を含むエチレン系樹脂組成物であって、該エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.860g/cm3以上かつ0.93
5g/cm3以下、MFRが0.1dg/min以上かつ100dg/min以下である
こと。
エチレン系樹脂組成物中のエチレン・α−オレフィン共重合体(b)の割合は、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
・エチレン・α−オレフィン共重合体(b)
エチレン・α−オレフィン共重合体(b)の中でも、直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体(b)が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(b)は、エチレンと炭素数が3〜20のα−オレフィンとを共重合した、エチレンとα−オレフィンの共重合体である。エチレン・α−オレフィン共重合体(b)中のα−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィンを挙げることができる。具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を例示できる。これらのうち、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素数3〜8のα−オレフィンである。α−オレフィンは1種類でも2種類以上を用いてもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(b)中のエチレン含量は、本発明の要件2を満足する限り特に制限はないが、好ましくは60〜99重量%、より好ましくは65〜98重量%である。同様に、α−オレフィン含量についても、本発明の要件2を満足する限り特に制限はないが、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは2〜35重量%である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(b)は、密度が0.860〜0.935g/cm3、好ましくは0.870〜0.915g/cm3である。密度が0.860g/cm3
満では、成形性に劣り、ブロッキング性も悪くなる。密度が0.935g/cm3を越え
ると、印刷層との接着性に劣り、ヒートシール強度が低下し、実用上十分な強度が得られない。なお、密度は、JIS K6922に準拠し、MFR測定のストランドを用い密度勾配管法により測定した値である。
また、該エチレン・α−オレフィン共重合体(b)は、MFR(JIS−K6922、190℃、2.16kg荷重)が0.1〜100dg/min、好ましくは1〜90dg/min、さらに好ましくは、5〜80dg/minのものである。MFRが100dg/minを超えるものは、溶融粘度が低すぎるためにフィルム成形性に劣り、MFRが0.1dg/min未満のものは、溶融粘度が低すぎるためにフィルム成形性に劣る。
また、該エチレン・α−オレフィン共重合体(b)は、ラミネート適性の観点から、温度上昇溶離分別(Temperature Rising Elution Fractionation,以下、TREFと略す)測定による80℃における溶出量が、共重合体全量に対して70重量%以上、好ましくは80重量%以上であることが好ましい。なお、TREF測定は、「Journal of Applied Polymer Science,Vol.26,4217−4231(1981).」および「高分子論文集 2P1C09(1985年)」に記載されている原理に基づき、以下のようにして行われる。
すなわち、不活性担体を充填したカラムに、ポリマーを溶媒に完全溶解させて供給した後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を形成させる。続いて、温度を所定の条件で昇温して、その温度までに溶出したポリマー量を連続的に測定し、その溶出量と溶出温度との関係を表す曲線を得る。TREF測定においては、かかる曲線の形状によってポリマーの組成分布を見ることができる。
以下にTREF測定の詳細を説明する。測定装置としてクロス分別装置(ダイヤインストルメント製CFC T101)を使用した。このクロス分別装置は、試料を溶解温度の差を利用して分別する温度上昇溶離分別(TREF)機構と、分別された区分をさらに分子サイズで分別するサイズ排除クロマトグラフ(Size Exclusion Chromatography (SEC))をオンラインで接続したものである。まず、測定試料のo−ジクロロベンゼン溶液(濃度3mg/ml)を、不活性担体であるガラスビー
ズが充填された内径4mm、長さ150mmのステンレス製カラムに、0.4ml注入する。次にカラムを1℃/minの速度で140℃から0℃の温度まで冷却し、試料を不活性担体にコーティングする。カラムが0℃でさらに30分間保持された後、0℃の温度で溶解している成分2mlが、1ml/minの流速で、TREFカラムからSECカラム(昭和電工製 AD806MS:3本)へ注入される。SECで分子サイズの分別が行われている間に、TREFカラムは次の溶出温度にまで昇温され、その温度に約30分間保持される。SECでの各溶出区分の測定は39分間隔で行われた。溶出温度は以下の温度、すなわち、0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140℃で段階的に昇温される。
該SECカラムで分子サイズによって分別された溶液は、装置付属の赤外線分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度が測定され(波長3.42μm,メチレンの伸縮振動で検出)、各溶出温度区分のクロマトグラムが得られる。内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理される。各クロマトグラムの面積が積分され、積分溶出曲線が計算される。この積分溶出曲線上、溶出温度が80℃における溶出量を、温度上昇溶離分別測定による80℃における溶出量とした。
また、本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(b)の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnについては、特に制限はないが、本発明において、該Mw/Mnが比較的小さい値を取るときに良好な結果が得られやすい。具体的には、Mw/Mnとして1.5〜3.0、好ましくは1.6〜2.8、より好ましくは1.7〜2.5である。Mw/Mnが上記範囲を超えると、透明性が低下する可能性があり、上記範囲未満では、押出負荷が上昇したり、シャークスキンが発生する可能性がある。なお、Mw/Mnの値は、前記したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いる測定法で求めた。
該エチレン・α−オレフィン共重合体(b)を製造する触媒については、上述の要件2を満たす共重合体が製造可能である限り特に制限はないが、シングルサイト触媒、好ましくはメタロセン触媒を用いることにより好適に製造される。メタロセン触媒については後述する。
なお、(A)基材層に用いられる結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)、および(C)樹脂組成物層に用いられる該直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体(b)がいずれも重合触媒としてシングルサイト触媒、好ましくはメタロセン触媒を用いて重合されていると、(A)基材層と(C)樹脂組成物層が(B)印刷層を介さないで直接接触した場合に接着性に優れるため好ましい。
・その他成分
・ポリエチレン
ラミネート層を構成するエチレン系樹脂組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体(b)以外に低密度ポリエチレン(以下、LDPEと称する)、線状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと称する)、高密度ポリエチレン(以下、HDPEと称する)等のポリエチレンを有していても良い。包装材料として多用されているLDPEまたはLLDPEが好ましい。
中でも、MFR(JIS K6922、190℃、2.16kg荷重)が1〜50dg/minの高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)を混合させると押出ラミネート加工時の加工性(サージング現象、ネックイン)を改良するため、MFR(JIS K6922、190℃、2.16kg荷重)が1〜50dg/minの高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)を混合させてもよい。その際の配合比率は、エチレン・α−オレフィン共重合
体(b)が通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上であって、通常99重量%以下、好ましくは97重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)が通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上であって、50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)が1重量%未満であるとサージング現象を生じやすく、ネックインが大きくなり加工性に劣る可能性がある。一方、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)が50重量%を超過すると、印刷層との接着性に劣り、ヒートシール強度が低下し、実用上十分な強度が得られない。
LDPEは、一般に1,000〜3,500気圧の高圧下で、過酸化物等のラジカル発生剤の存在下で重合することで得られ、多くの長鎖分岐を有することを特徴のひとつとしている。LDPEは長鎖分岐を有する構造であるために、優れた押出特性を持っていることが知られており、押出ラミネート法には特に好適に用いられる。この時の重合に用いられる反応器は、オートクレーブタイプあるいはチューブラータイプのいずれであってもよい。
HDPEおよびLLDPEは、一般に、チーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒などと呼ばれる触媒を用いて、エチレンを単独重合させたり、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを共重合させることによって得られる。これらは一般に低圧・中圧・高圧法のいずれでも製造することができ、気相法、溶液法、スラリー法のいずれの方法でも製造される。
・オレフィン系樹脂
ラミネート層を構成するエチレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などのオレフィン系樹脂を含んでも良い。
特には、官能基を有するオレフィン系樹脂を含んでもよい。官能基としては、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸金属塩、酸無水物基、アミノ基、フェノール基、水酸基、チオール基、および、こららの官能基の誘導体などが挙げられる。
これらの官能基を有するオレフィン系樹脂を、エチレンと極性モノマーの共重合で製造する場合、共重合に用いる極性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム等のα,β−不飽和カルボン酸金属塩、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸無水物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール等の水酸基含有化合物、アリルアミン等の不飽和アミノ化合物等が例示できるがこの限りではない。さらに、これらの不飽和化合物に加えて、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルアルコールエステル等を共重合させて用いることもできる。これらの化合物は、エチレンとの共重合体において2種以上を混合して用いることができ、これらの化合物とエチレンとの共重合体は、2種以上を併用することもできる。
また、官能基を有するオレフィン系樹脂を、いわゆるグラフト変性によりよって製造することも可能である。グラフト変性の方法に特に制限はないが、本明細書中、<極性基含有ステレオブロックプロピレン系重合体>の項に記載したのと同様の手法にてグラフト変性を行うことができる。
・添加剤
さらに、所望により慣用の添加剤、例えば酸化防止剤、可塑剤、滑剤、各種安定剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、顔料、各種の無機・有機充填剤などが添加されていてもよい。
・製造方法
(C)樹脂組成物層に用いられる樹脂組成物を得るには、上記エチレン系樹脂、必要に応じて官能基を有するオレフィン系樹脂、その他所望に応じて各種添加剤を、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等により混合する方法、混合したものをさらにオープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機等を用いて混練する方法を適宜用いればよい。混練の温度は、通常、樹脂の融点以上〜350℃であり、好ましくは120〜300℃である。
(2)プロピレン系樹脂組成物
プロピレン系樹脂組成物としては、特に限定されないが、下記要件3を満たすプロピレン系樹脂組成物が好ましい。
要件3:樹脂組成物がプロピレン単独重合体(d)を含む樹脂組成物であるか、または、プロピレンと炭素数2以上20以下のプロピレン以外のα−オレフィンとを共重合して得たプロピレン・α−オレフィン共重合体(e)を含むプロピレン系樹脂組成物であって、該プロピレン単独重合体(d)またはプロピレン・α−オレフィン共重合体(e)のMFRが、0.1dg/min以上かつ100dg/min以下であり、該プロピレン・α−オレフィン共重合体(e)中のα−オレフィン含量が40重量%以下であること。
該プロピレン系樹脂組成物を構成するプロピレン系重合体(d)または(e)は、一般に、チーグラー触媒やメタロセン触媒と呼ばれる触媒を用いて、プロピレンを単独重合させたり、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンとを共重合させることによって得られる。これらは一般に低圧・中圧・高圧法のいずれでも製造することができ、気相法、溶液法、スラリー法のいずれの方法でも製造される。また、共重合体の場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。なお、該プロピレン・α−オレフィン共重合体(e)中のα−オレフィン含量は40重量%以下である。
該プロピレン系重合体(d)または(e)のMFR(JIS−K6921に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定したもの)は、0.1dg/min以上かつ100dg/min以下である。MFRが0.1dg/min未満では成形加工性が劣り、100dg/minを超えると機械的強度が劣る。
なお、該プロピレン系重合体(d)または(e)を構成成分とするプロピレン系樹脂組成物においては、(1)エチレン系樹脂組成物の項に記載したものと同様の他の樹脂や添加剤を混合してもよい。
(3)樹脂組成物層の形成
本発明において、(B)印刷層上に(C)樹脂組成物層を積層する方法については、(B)印刷層の表面が、(C)樹脂組成物層と接している限り特に制限はないが、一般にアンカーコート剤を介さずに押出ラミネートを行うダイレクト押出ラミネート法が好適に用いられる。以下、ダイレクト押出ラミネート法について詳しく説明する。
これは、Tダイより押出した溶融樹脂膜を、(B)印刷層上に連続的に成形・圧着する方法で、成形と接着を同時に行う加工法である。Tダイから押出された溶融樹脂は、(A)基材層と(B)印刷層とからなる基材といっしょに、2本の冷却ロールとプレッシャーロールの間に導かれ、圧着され、積層状態で冷却される。
押出ラミネート成形時の成形温度は、ポリエチレン系樹脂の場合、通常150℃以上、好ましくは200℃以上であって、通常400℃以下、好ましくは330℃以下、より好ましくは300℃以下である。必要に応じてオゾン処理、酸素処理、コロナ処理、フレーム処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、低温プラズマ処理等を併用しても良い。一般に、成形温度が150℃未満では、十分な接着強度が得られず、400℃以上では成形性が悪化するうえ、得られた積層体の臭気、ヒートシール性等の製品物性も悪化する。
同様に、ポリプロピレン系樹脂の成形温度は通常170℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは240℃以上であって、通常350℃以下、より好ましくは320℃以下である。
押出ラミネート法により、(B)印刷層に(C)樹脂組成物層を積層する際には、冷却ロール側より別の層を挿入するサンドイッチラミネート法、2種以上の樹脂を同時に押出す共押出ラミネート法などの方法により、3層以上の積層を行ってもよい。ただし、共押出ラミネート法で積層する際には(B)印刷層と接する層に、本発明の(C)樹脂組成物層を用いる必要がある。
4.積層体
本発明の積層体は、包材、特には食品包装用包材や、意匠性を付与するための化粧フィルムに好適に用いることができる。厚さは特に限定されないが、(A)基材層の厚みが1〜250μm、好ましくは3〜200μm、特に好ましくは5〜150μmであり、(B)印刷層の厚みが0.1〜50μm、好ましくは1〜20μmであり、(C)樹脂組成物層の厚みが1〜250μm、好ましくは5〜200μm、特に好ましくは7〜100μmである。このような積層体は、アンカーコート剤を用いていないにも関わらず、実用上充分な層間接着強度を示す。層間接着強度は100g/15mm以上、好ましくは120g/15mm以上、より好ましくは150g/15mmであることが望まれる。
本発明の積層体には、本発明の効果を損なわない範囲で、積層体フィルムへの各種機能付与を目的とする他の層、例えば、プラスチックフィルム、アルミ箔、紙等を積層することができる。さらに本発明の積層フィルムには、必要に応じて、金属蒸着加工、コロナ放電処理、印刷加工、電子線架橋などの各種フィルム加工処理を施すこともできる。
本発明の積層体は、(C)樹脂組成物層をヒートシール層として、ヒートシールフィルムなどに使用することができる。ヒートシール強度としては、0.5kgf/15mm以上、好ましくは0.8kgf/15mm以上、より好ましくは1.5kgf/15mm以上であることが望まれる。
本発明では、複数の実施形態が可能である。以下、好ましい実施形態のいくつかを例示するが、この例示はあくまでも本発明の理解を助けるものであり、該例示に制限されるものではない。
実施形態1:(A)基材層として、BOPP基材、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する)基材、ナイロン(以下、Nyと称する)基材のいずれかを用い、(B)印刷インキとして、(a)無水マレイン酸変性したステレオブロックPPをバインダー樹脂として含有する印刷インキを用い、(C)樹脂組成物層として、密度が0.860g/cm3以上かつ0.935g/cm3以下、MFRが0.1dg/min以上かつ100dg/min以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(b)を用いる形態。
実施形態2:実施形態1において、(C)樹脂組成物層として、メタロセン触媒で重合した直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体(b)を用いる形態。
実施形態3:(A)基材層として、融解ピーク温度140℃以下のメタロセン触媒で重合した結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)が積層されているBOPP基材を用い、(B)印刷インキとして、(a)無水マレイン酸変性したステレオブロックPPをバインダー樹脂として含有する印刷インキを用い、(C)樹脂組成物層として、密度が0.860g/cm3以上かつ0.935g/cm3以下、MFRが0.1dg/min以上かつ100dg/min以下のエチレン・α−オレフィン共重合体(b)を用いる形態。
実施形態4:実施形態3において、(C)樹脂組成物層として、メタロセン触媒で重合した直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体(b)を用いる形態。
実施形態5:(A)基材層として、融解ピーク温度140℃以下のメタロセン触媒で重
合した結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)が積層されているBOPP基材を用い、(B)印刷インキとして、(a)無水マレイン酸変性したステレオブロックPPをバインダー樹脂として含有する印刷インキを用い、(C)樹脂組成物層として、プロピレン単独重合体(d)、または、プロピレンと炭素数2以上20以下のプロピレン以外のα−オレフィンとを共重合して得たプロピレン・α−オレフィン共重合体(e)を用いる形態。
実施形態6:上述の実施形態1〜5において、(B)印刷インキとして、無水マレイン酸変性したステレオブロックPPをバインダー樹脂として含有する印刷インキを用いる代わりに、「無水マレイン酸変性したステレオブロックPP+ポリウレタン成分」(a)をバインダー樹脂として含有する印刷インキを用いる形態。
実施形態7:上述の実施形態1〜6において、(B)印刷インキとして、無水マレイン酸変性したステレオブロックPPをバインダー樹脂として含有する印刷インキを用いる代わりに、「無水マレイン酸変性したステレオブロックPPと(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体成分」(a)をバインダー樹脂として含有する印刷インキを用いる形態。
実施形態8:上述の実施形態1〜7において、(a)無水マレイン酸基以外の極性基を含有するステレオブロックPPをバインダー樹脂として含有する印刷インキを用いる形態。5.ステレオブロックプロピレン系重合体(a)製造用触媒
本発明において、前記(B)印刷層の印刷インキ組成物に用いられるステレオブロックプロピレン系重合体(a)は、シングルサイト触媒によって製造できる。シングルサイト触媒としてはメタロセン触媒が好ましい。以下、該メタロセン触媒について詳しく説明する。
メタロセン触媒としては、架橋基を有するC1−対称性アンサ−メタロセン(ansa
−metallocene)が好ましい。非架橋のメタロセンも本発明のプロピレン重合体の製造に適用可能であるが、一般に、架橋基を有するアンサ−メタロセンの方が熱安定性などに優れているため、特に工業的な見地から好ましい。
本発明において好適に用いられる架橋基を有するアンサ−メタロセンは、共役5員環配位子を有する架橋された4族遷移金属化合物のC1−対称性を有するメタロセンである。
このような遷移金属化合物は公知であり、それをα−オレフィン重合用触媒成分として使用することも知られている。
本発明の(B)印刷層に用いられる印刷インキ組成物用プロピレン系重合体の製造に好ましく用いられるメタロセンは、一般式:Q(C54-a2 a)(C54-b3 b)MXYで表され、かつ、C1−対称性を有する化合物である。また、該一般式で表される複数のメ
タロセンを混合して用いてもよい。
以下、該一般式を有するメタロセンについて、詳しく説明する。該一般式において、Qは2つの共役5員環配位子を架橋する結合性基を、Mは周期律表4族遷移金属を、XおよびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を、R2 およびR3はそ
れぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ケイ素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基またはホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のR2および/またはR3がそれぞれ結合して4〜10員環を形成していてもよい。aおよびbは、それぞれ独立して、0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。
2個の共役5員環配位子の間を架橋する結合性基Qとしては、具体的には下記のようなものが挙げられる。すなわち、メチレン基、エチレン基のようなアルキレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、フェニルメチリデン基、ジフェニルメチリ
デン基のようなアルキリデン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル−t−ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基のようなケイ素含有架橋基、ジメチルゲルミレン基、ジエチルゲルミレン基、ジフェニルゲルミレン基、メチルフェニルゲルミレン基のようなゲルマニウム含有架橋基、アルキルフォスフィン、アミン等である。これらのうち、アルキレン基、アルキリデン基、ケイ素含有架橋基、ゲルマニウム含有架橋基が特に好ましく用いられる。
上記一般式において、R2および/またはR3は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基等の置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロフェニル基、フルオロナフチル基、フルオロビフェニル基、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロフェニル基、クロロナフチル基、クロロビフェニル基等のハロゲンを含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基等のアリールオキシ基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基等のケイ素含有炭化水素基、または、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基である。
2が複数個存在するときは、それらは同一でも異なっていてもよい。また、2個のR2がシクロペンタジエニル環の隣接する炭素原子に存在する場合は、相互に結合して4〜10員環を形成し、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基、アズレニル基、ヘキサヒドロアズレニル基等となってもよい。同様に、R3が複数個存在するときは、それらは同一でも異なっていてもよい。また、2個のR3がシクロペンタジエニル環の隣接する炭素原子に存在する場合は、相互に結合して4〜10員環を形成し、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基、アズレニル基、ヘキサヒドロアズレニル基等となってもよい。
本発明においては、一般式:Q(C54-a2 a)(C54-b3 b)MXYで表されるメタロセンがC1−対称性を有していればよいので、C1−対称性が保持されるかぎり、R2
とR3は同じであっても良いし、異なっていてもよい。
Mは、周期律表4族遷移金属のチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、好ましくは、ジルコニウム、ハフニウムである。XおよびYは、それぞれ水素、ハロゲン、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アルキルアミド基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のケイ素含有炭化水素基等である。XとYは同一でも異なっていてもよい。これらのうちハロゲン、炭化水素基およびアルキルアミド基が好ましい。
Mがジルコニウムである場合、この遷移金属化合物の具体例としては、(1)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウム]、(2)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウム]、(3)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム]、(4)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピル−1−インデニル)ジルコニウム]、(5)ジクロロ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウム]、(6)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−1−インデニル)ジルコ
ニウム]、(7)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム]、(8)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウム]、(9)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウム]、(10)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム]、(11)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピル−1−インデニル)ジルコニウム]、(12)ジクロロ[エチレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウム]、(13)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−1−インデニル)ジルコニウム]、(14)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウム]、(15)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(16)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(17)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(18)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(19)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(20)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(21)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(22)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(23)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(24)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(25)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(26)ジクロロ[エチレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(27)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]、(28)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニルテトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウム]等が例示される。
また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物等の他の第4族遷移金属化合物についても、上記と同様の化合物が挙げられる。なお、これらの化合物については、複数の異なる構造を有する化合物の混合物を用いてもよい。またさらに、公知の三塩化チタンを主成分とする固体触媒やマグネシウム、チタン、ハロゲンを必須成分として含有する担体担持型触媒を補助的に用いることもできる。
特に好ましく用いられる遷移金属化合物は、下記の一般式(I)で表され、かつC1
対称性を有する化合物である。
Figure 0004501392
一般式(I)中、A1およびA2は、共役5員環配位子であって、A1およびA2の少なくとも一方は、共役5員環配位子上の隣接した置換基が結合し、5員環の2原子を含めて形成された7〜10員の縮合環を有し、Qは、2つの共役5員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基、Mは、周期律表4族から選ばれる遷移金属原子を示し、そして、XおよびYは、それぞれ独立して、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルキルアミド基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、硫黄含有基を示す。
上記の共役5員環配位子の典型例としては、例えば、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基を挙げることが出来る。該置換基の具体例としては、炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜15の炭化水素基を挙げることができる。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基、トリフェニルカルビル基などが挙げられる。
上記の炭化水素基以外の置換基としては、ケイ素、酸素、窒素、リン、ホウ素、硫黄などの原子を含有する炭化水素残基が挙げられる。その典型例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基、チエニル基などが挙げられる。
その他の置換基としては、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。その典型的例としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素、トリクロロメチル基、クロロフェニル基、クロロビフェニル基、クロロナフチル基、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、フルオロビフェニル基、フルオロナフチル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
また、前記したように、A1およびA2の少なくとも一方は、共役5員環配位子上の隣接した置換基が結合し、5員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を形成する。このような具体例としては、アズレン等の化合物やその誘導体を挙げることができる。さらに具体的には、ヒドロアズレニル基、メチルヒドロアズレニル基、エチルヒドロアズレニル基、ジメチルヒドロアズレニル基、メチルエチルヒドロアズレニル基、メチルイソプロピルヒドロアズレニル基、メチルフェニルイソプロピルヒドロアズレニル基、各種アズレニル基の水添体、ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、エチル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、フェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、エチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチルジフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、メチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、エチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、メチルイソプロピル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、ビシクロ−[7.3.0]−ドデカニル基およびその誘導体、ビシクロ−[7.3.0]−ドデカジエニル基およびその誘導体、ビシクロ−[8.3.0]−トリデカニル基およびその誘導体、ビシクロ−[8.3.0]−トリデカジエニル基およびその誘導体などが例示される。上記の各基の置換基としては、前述した炭化水素基、ケイ素、酸素、窒素、リン、ホウ素、硫黄などの原子を含有する炭化水素基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。
Qは、2つの共役5員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示す。すなわち、Qは、2価の結合性基であり、A1とA2とを架橋する。Qの種類に特に制限はないが、その具体例として、(a)炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の2価の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、具体的には、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン等の不飽和炭化水素基、ハロアルキレン基、ハロシクロアルキレン基、(b)シリレン基またはオリゴシリレン基、(c)炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはオリゴシリレン基、(d)ゲルミレン基、(e)炭素数が通常1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基などを挙げることができる。これらの中では、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはゲルミレン基が好ましい。
Mは、周期律表4族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは、ジルコニウムまたはハフニウムである。XおよびYは、それぞれ独立して、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルキルアミド基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、硫黄含有基を示す。上記の各炭化水素基における炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜12である。これらの中では、水素原子、塩素原子、メチル基、イソブチル基、フェニル基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、スルフィナト基が好ましい。
本発明における遷移金属化合物の具体例としては次の化合物が挙げられる。
(29)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(30)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(31)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(32)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(33)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(34)ジクロロ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(35)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(36)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(37)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(38)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(39)ジクロロ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(40)ジクロロ[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(41)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(42)ジクロロ[エチレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(43)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(44)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(45)ジクロロ[エチレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(46)ジクロロ[エチレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(47)ジクロロ[エチレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル
−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(48)ジクロロ[エチレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(49)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(50)ジクロロジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(51)ジクロロ[エチレン(9−フルオレニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(52)ジクロロ[エチレン(9−フルオレニル)(2−エチル−4−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(53)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(54)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−イソプロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(55)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−n−ブチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(56)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(57)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−イソプロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(58)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−n−ブチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(59)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,8−トリメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(60)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,6−トリメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(61)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(62)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−6−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(63)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−7−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(64)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−8−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(65)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−6−エチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(66)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−7−エチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(67)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−8−エチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(68)ジクロロ[[ジ(クロロメチル)シリレン](シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(69)ジクロロ[[ジ(4−クロロフェニル)シリレン](シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(70)ジクロロ[ジメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(71)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(72)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(73)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(74)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(75)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(76)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(77)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2−イソプロピル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(78)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2−n−ブチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(79)ジクロロ[ジメ
チルゲルミレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(80)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(81)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(9−フルオレニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(82)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(83)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(84)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(9−フルオレニル)(2−n−プロピル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(85)ジクロロ[ジメチルシリレン(3−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(86)ジクロロ[ジメチルシリレン(3−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(87)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(3−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(88)ジクロロ[ジメチルゲルミレン(3−トリメチルシリル−1−シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(89)ジブロモ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(90)ジブロモ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(91)ジブロモ[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(92)ジブロモ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(93)ジヨード[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(94)ジヨード[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(95)ジヨード[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(96)ジヨード[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(97)ジメチル[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(98)ジメチル[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(99)ジメチル[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(100)ジメチル[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(101)ジヒドリド[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(102)ジヒドリド[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(103)ジヒドリド[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(104)ジヒドリド[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(105)ビス(ジメチルアミド)[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(106)ビス(ジメチルアミド)[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(107)ビス(ジメチルアミド)[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(108)ビス(ジメチルアミド)[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(109)ビスフェノキシ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−
アズレニル)]ハフニウム、(110)ビスフェノキシ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(111)ビスフェノキシ[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(112)ビスフェノキシ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(113)ビスメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(114)ビスメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(115)ビスメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(116)ビスメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(117)ビストリフルオロメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(118)ビストリフルオロメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(119)ビストリフルオロメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(120)ビストリフルオロメタンスルフィナト[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(121)ビス−p−トルエンスルフィナト[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(122)ビス−p−トルエンスルフィナト[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(123)ビス−p−トルエンスルフィナト[ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(124)ビス−p−トルエンスルフィナト[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(125)ジクロロ[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(126)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(127)ジクロロ[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(128)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(129)ジブロモ[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(130)ジブロモ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(131)ジブロモ[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(132)ジブロモ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(133)ジヨード[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(134)ジヨード[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(135)ジヨード[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(136)ジヨード[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(137)ジメチル[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(138)ジメチル[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(139)ジメチル[ジメチルシリレン(1−インデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(140)ジメチル[ジメチルシリレン(2−メチル−1−イ
ンデニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(141)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム、(142)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム、(143)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム、(144)ジクロロ[ジメチルシリレン(9−フルオレニル)(2,4−ジメチル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム、(145)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−クロロメチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム、(146)ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−メチル−4−クロロメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム。
また、先に例示した化合物の中心金属Mがハフニウムの代わりに、チタン、ジルコニウムに代わった化合物も例示することが出来る。これらは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、多段重合、たとえば2段重合においては、重合の第1段階終了時や第2段階の重合開始前に、新たに遷移金属成分を追加してもよい。
本発明において、助触媒としては、(1)有機アルミニウムオキシ化合物、(2)遷移金属成分と反応して、該成分をカチオンに交換することが可能なイオン性化合物、(3)ルイス酸、(4)ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物または無機ケイ酸塩、からなる群より選択される一種以上の物質を用いるのが好ましい。(1)の有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には、次の一般式(II)、(III)、(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004501392
各一般式中、R4は、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に
好ましくは、炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のR4はそれぞれ同一でも
異なっていてもよい。またpは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式(II)および(III)で表される化合物は、アルミノキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類のトリアルキルアルミニウムまたは二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる。具体的には、(a)一種類のトリアルキルアルミニウムと水とから得られる、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、(b)二種類のトリアルキルアルミニウムと水とから得られる、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が挙げられる。これらの中では、メチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサ
ンは、複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
一般式(IV)で表される化合物は、1種類のトリアルキルアルミニウムまたは2種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(V)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式(V)中、R5は、炭
素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
Figure 0004501392
具体的には、以下の様な反応生成物、すなわち、(a)トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、(b)トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物、(c)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、(d)トリメチルアルミニウムとエチルボロン酸の2:1反応物、(e)トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物などを挙げることができる。
また、(2)遷移金属成分と反応して、該成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004501392
一般式(VI)中、Kはカチオン成分であって、例えば、カルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げられる。また、それ自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。上記のカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピリリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。
上記の一般式(VI)中、Zは、アニオン成分であり、遷移金属成分が変換されたカチオン種に対して対アニオンとなる成分(一般には非配位の成分)である。Zとしては、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられ、具体的には次の化合物が挙げられる。
すなわち、(a)テトラフェニルホウ素、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ素、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ素、テ
トラキス[3,5−ジ(t−ブチル)フェニル]ホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等、(b)テトラフェニルアルミニウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アルミニウム、テトラキス[3,5−ジ(t−ブチル)フェニル]アルミニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等、(c)テトラフェニルガリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウム、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ガリウム、テトラキス[3,5−ジ(t−ブチル)フェニル]ガリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム等、(d)テトラフェニルリン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リン等、(e)テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ヒ素等、(f)テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチモン等、(g)デカボレート、ウンデカボレート、カルバドデカボレート、デカクロロデカボレート等である。
また、(3)ルイス酸、特に遷移金属成分をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、金属ハロゲン化合物、固体酸などが例示され、その具体例としては次の化合物が挙げられる。すなわち、(a)トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物、(b)塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化臭化マグネシウム、塩化ヨウ化マグネシウム、臭化ヨウ化マグネシウム、塩化マグネシウムハイドライド、塩化マグネシウムハイドロオキシド、臭化マグネシウムハイドロオキシド、塩化マグネシウムアルコキシド、臭化マグネシウムアルコキシド等の金属ハロゲン化合物、(c)アルミナ、シリカ・アルミナ等の固体酸などを挙げることができる。
(4)ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものを言う。ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物等を例示することができる。具体的には、(α−Zr(HAsO42・H2O、(
α−Zr(HPO42、(α−Zr(KPO42・3H2O、(α−Ti(HPO42
(α−Ti(HAsO42・H2O、(α−Sn(HPO42・H2O、(γ−Zr(HPO42、(γ−Ti(HPO42、(γ−Ti(NH4PO42・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩があげられる。
また、無機ケイ酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。これら具体例のうち好ましくは、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロサイト、ハロサイト等のハロサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト
、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられる。
これら、ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物、または無機ケイ酸塩は、そのまま用いてもよいが、塩酸、硝酸、硫酸等による酸処理および/または、LiCl、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、Li2SO4、MgSO4、ZnSO4、Ti(SO42、Zr(SO42、Al2(SO43等の塩類処理を行ったほうが好ましい。なお、処理に
あたり、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行ってもよい。また、粉砕や造粒等の形状制御を行ってもよく、粒子流動性に優れた固体触媒成分を得るためには、造粒することが好ましい。また、上記成分は、通常脱水乾燥してから用いる。これら助触媒成分としては、重合活性等の触媒性能の面で、(4)のケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物または無機ケイ酸塩を用いることが好ましい。
本発明の重合においては、助触媒成分の任意成分として、有機アルミニウム化合物を用いてもよい。このような有機アルミニウム化合物は、AlR1 m3-m (式中、R1は、炭
素数1〜20の炭化水素基、Zは、水素、ハロゲン、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基、mは0<m≦3の数)で示される化合物である。具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、またはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムエトキシド等のハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウム、または、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素含有有機アルミニウム化合物である。またこの他、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン等も使用できる。これらのうち、特に好ましいのはトリアルキルアルミニウムである。これら任意成分は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、重合開始後等に、新たに該任意成分を追加してもよい。
本発明の触媒は、遷移金属成分、助触媒成分、任意に有機アルミニウム化合物成分の接触によって得られるが、その接触方法については特に限定がない。この接触は、触媒調製時だけでなく、プロピレンによる予備重合時または重合時に行ってもよい。触媒各成分の接触時、または接触後にポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、アルミナ等の無機酸化物の固体を共存させるか、もしくは接触させてもよい。
接触は窒素等の不活性ガス中で行ってもよいし、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。これらの溶媒は、水や硫黄化合物などの被毒物質を除去する操作を施したものを使用するのが好ましい。接触温度は、−20℃ないし、使用する溶媒の沸点の間で行い、特には、室温から使用する溶媒の沸点の間で行うのが好ましい。
触媒各成分の使用量に特に制限はないが、助触媒成分として、ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物、または無機ケイ酸塩を用いる場合は、助触媒成分1gあたり、遷移金属成分が0.0001〜10mmol、好ましくは0.001〜5mmolであり、任意成分である有機アルミニウム化合物が0〜10,000mmol、好ましくは0.01〜100mmolとなるように設定することにより、重合活性などの点で好適な結果が得られる。また、遷移金属成分中の遷移金属と任意成分である有機アルミニウム化合物中のアルミニウムの原子比が1:0〜1,000,000、好ましくは、0.1〜100,000となるように制御することが、同様に重合活性などの点で好ましい。
このようにして得られた触媒は、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒で洗浄して使用してもよいし、洗浄せずに用いてもよい。洗浄の際に、必要に応じて、新たに上述の有機アルミニウム化合物を組合せて用いてもよい。この際に用いられる有機アルミニウム化合物の量は、遷移金属成分中の遷移金属に対する有機アルミニウム化合物中のアルミニウムの原子比で1:0〜10,000になるようにするのが好ましい。
触媒として、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のα−オレフィンを予備的に重合し、必要に応じて洗浄したものを使用することもできる。この予備重合は窒素等の不活性ガス中、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。
・ステレオブロックプロピレン系重合体製造用メタロセン触媒を用いた重合
重合反応は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の液体の存在下あるいは不在下に行われる。これらのうち、上述の不活性炭化水素存在下で重合を行うのが好ましい。また、ここで記載した化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。
具体的には、遷移金属成分と助触媒成分、もしくは、遷移金属成分、助触媒成分および任意成分としての有機アルミニウム化合物の存在下に、プロピレン系重合体を製造するのが好ましい。重合温度、重合圧力および重合時間に特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。すなわち、重合温度は通常−20℃から150℃、好ましくは0℃から100℃、重合圧力は、0.1MPaから100MPa、好ましくは、0.3MPaから10MPa、さらに好ましくは、0.5MPaから4MPa、重合時間は、0.1時間から10時間、好ましくは、0.3時間から7時間、さらに好ましくは0.5時間から6時間の範囲から選ぶことができる。
重合体の分子量調節には、従来公知の方法を使用することができる。すなわち、重合温度を制御して分子量を調節する方法、モノマー濃度を制御して分子量を調節する方法、連鎖移動剤を使用して分子量を制御する方法等が挙げられる。連鎖移動剤を使用する場合には、水素が好ましい。また、触媒の構造によって分子量を制御することもできる。特に、架橋メタロセンを用いる場合には、架橋基の橋頭を基点としてα−位の構造が重要である。一般的に、α−位が水素原子である場合には、重合時に成長ポリマー鎖からのβ−水素脱離が起きやすいため、生成する重合体は低分子量になりやすい。これに対して、α−位になんらかの置換基(たとえば、メチル基など)がある場合には、成長ポリマー鎖からのβ−水素脱離が抑制されるので、高分子量の重合体が生成しやすい。
本発明においては、head to tail結合からなるプロピレン単位連鎖部の立体選択性を制御して、13C−NMRにて、head to tail結合からなるプロピレン単位連鎖部のメチル基の炭素原子に由来するピークを観測し、mmmmで表されるペンタッドに帰属されるピークのピークトップのケミカルシフトを21.8ppmとした際に、19.8ppmから22.2ppmに現れるピークの総面積Sに対し、21.8ppmをピークトップとするピークの面積S5の比率(S5/S)が10%以上かつ60%以下であり、かつ、21.5〜21.6ppmをピークトップとするピークの面積をS6とし
たとき、4+2S5/S6>5を満足させる必要がある。
立体選択性の制御方法に特に制限はないが、一般的には、先に述べたように、触媒の構造で制御する方法、重合条件を制御して制御する方法等が挙げられる。触媒の構造で制御
する場合には、遷移金属成分を構成する配位子の構造が重要である。特に、架橋メタロセンを用いる場合には、架橋基の橋頭を基点としてα−位の置換基が重要である。一般的には、α−位にある程度かさだかい置換基がある場合に、立体選択性が向上しやすい。さらに、インデニル基やアズレニル基などの縮合環を有する配位子を含む架橋メタロセンを用いる場合には、4−位の置換基の構造も立体選択性に大きな影響を与える。一般的には、4−位にある程度かさだかい置換基がある場合に、立体選択性が向上しやすい。逆に、4−位に、立体的に比較的小さい置換基を導入することにより、効果的に立体選択性を低下させ、生成重合体の結晶性を低下させるという制御が可能となる。
さらに、本発明においては、プロピレン挿入における位置不規則単位の量を制御することによって、好ましい結果が得られる。位置不規則単位量の制御因子としては、(a)メタロセンの構造、(b)共触媒の種類、(c)重合温度、(d)重合圧力、(e)水素などの連鎖移動剤の種類と使用量などを挙げることができる。これらの因子が異種結合量におよぼす影響については、用いる化合物の種類によって異なるので一概には言えないが、一般的には、遷移金属としてハフニウムを使用することにより、比較的位置不規則単位量の多いプロピレン系重合体が得られる傾向にある。また、ハフニウムを使用すると、2,1−挿入よりも1,3−挿入が多くなりやすく、この点に関しても、ハフニウムの使用が有利といえる。
6.エチレン・α−オレフィン共重合体(b)および結晶性プロピレン重合体(c)製造用触媒
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(b)および結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)を製造するための触媒としてはシングルサイト触媒が好ましい。シングルサイト触媒としてはメタロセン触媒が好ましい。
メタロセン触媒は公知のものを使用できるが、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第4〜6族の遷移金属化合物と、助触媒、必要により有機アルミニウム化合物と、担体とからなる触媒を挙げることができる。
ここで、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第4〜6族の遷移金属化合物において、そのシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基の置換基としては、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基またはホウ素含有炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも1種の置換基が挙げられる。その置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、またかかる置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。置換基同士が互いに結合し形成された環がさらに置換基を有していてもよい。
上記炭素数1〜20の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、ネオフィル基等のアラルキル基等が例示される。
置換基同士すなわち炭化水素同士が互いに結合して1または2以上の環を形成する場合の置換シクロペンタジエニル基としては、インデニル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換インデニル基、ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換ナフチル基、フルオレニル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換フル
オレニル基、アズレニル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換アズレニル基等が挙げられる。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第4〜6族の遷移金属化合物について、その遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウム、ハフニウムが好ましい。該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常1〜3個を有し、また2個以上有する場合は架橋基により互いに結合していてもよい。なお、かかる架橋基としてはアルキレン基、アルキリデン基、シリレン基、ゲルミレン基等が挙げられる。これらは水素原子がアルキル基、ハロゲン等で置換されたものであってもよい。
周期律表第4〜6族の遷移金属化合物において、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基などが挙げられる。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第4〜6族の遷移金属化合物の非限定的な例として、次の化合物を挙げることができる。ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン−1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲ
ルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド。
また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物等の他の第4、5、6族遷移金属化合物についても上記と同様の化合物が挙げられる。シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第4〜6族の遷移金属化合物は、1種または2種以上の混合物として用いることができる。
助触媒としては、前記周期律表第4〜6族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衝させうるものをいう。本発明において用いられる助触媒としては、アルモキサン等の有機アルミニウムオキシ化合物、ルイス酸、イオン交換性層状珪酸塩、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。
必要に応じ用いることができる有機アルミニウム化合物は、一般式AlRp3-pで示される化合物である。本発明では、この式で表される化合物を単独で、複数種混合してあるいは併用して使用することができることはいうまでもない。また、この使用は触媒調製時だけでなく、予備重合あるいは重合時にも可能である。この式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。pは0〜3までの数である。Rとしてはアルキル基が好ましく、またXは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が好ましい。これらのうち、好ましくは、p=3、q=1のトリアルキルアルミニウムおよびp=2、q=1のジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
必要に応じ用いることができる担体としては、無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましい。具体的には、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、Ca
O、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al23、SiO2−V25、SiO2−TiO2、SiO2−MgO、SiO2−Cr23等の混合酸
化物も使用することができる。特に好ましい例としては、担体の機能と助触媒の機能とを兼ねたイオン交換性層状ケイ酸塩を使用することが好ましい。このイオン交換性層状ケイ酸塩については、5.ステレオブロックプロピレン系重合体(a)製造用メタロセン触媒に詳述したとおりである。
・エチレン・α−オレフィン共重合体(b)および結晶性プロピレン重合体(c)製造用メタロセン触媒を用いた重合
本発明における重合反応は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の液体の存在下あるいは不在下に行われる。また、ここで記載した化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。これらのうち、上述の不活性炭化水素不在下で重合を行うのが好ましい。より具体的には、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、または、高温高圧で液化したモノマーに生成ポリマーの少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが好ましく用いられる。
具体的には、遷移金属成分と助触媒成分、もしくは、遷移金属成分、助触媒成分および任意成分としての有機アルミニウム化合物の存在下に、プロピレン系重合体を製造するのが好ましい。重合温度、重合圧力および重合時間に特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。すなわち、重合温度は通常−20℃から290℃、好ましくは0℃から250℃、重合圧力は、0.1MPaから100MPa、好ましくは、0.3MPaから90MPa、重合時間は、0.1分から10時間、好ましくは、0.5分から7時間、さらに好ましくは1分から6時間の範囲から選ぶことができる。
重合体の組成の制御に関しては、複数のモノマーを同時に反応器に供給し、その供給比率を変えることによって制御できる。
重合体の分子量調節には、従来公知の方法を使用することができる。すなわち、重合温度を制御して分子量を調節する方法、モノマー濃度を制御して分子量を調節する方法、連鎖移動剤を使用して分子量を制御する方法等が挙げられる。連鎖移動剤を使用する場合には、水素が好ましい。また、触媒の構造によって分子量を制御することもできる。特に、架橋メタロセンを用いる場合には、架橋基の橋頭を基点としてα−位の構造が重要である。一般的に、α−位が水素原子である場合には、重合時に成長ポリマー鎖からのβ−水素脱離が起きやすいため、生成する重合体は低分子量になりやすい。これに対して、α−位になんらかの置換基(たとえば、メチル基など)がある場合には、成長ポリマー鎖からのβ−水素脱離が抑制されるので、高分子量の重合体が生成しやすい。
立体選択性の制御方法に特に制限はないが、一般的には、先に述べたように、触媒の構造で制御する方法、重合条件を制御して制御する方法等が挙げられる。触媒の構造で制御する場合には、遷移金属成分を構成する配位子の構造が重要である。特に、架橋メタロセンを用いる場合には、架橋基の橋頭を基点としてα−位の置換基が重要である。一般的には、α−位にある程度かさだかい置換基がある場合に、立体選択性が向上しやすい。さらに、インデニル基やアズレニル基などの縮合環を有する配位子を含む架橋メタロセンを用いる場合には、4−位の置換基の構造も立体選択性に大きな影響を与える。一般的には、4−位にある程度かさだかい置換基がある場合に、立体選択性が向上しやすい。
次に実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。
プロピレン重合体の分子量および融点の測定については、本明細書記載の方法で行った。また、以下の諸例において、触媒合成工程および重合工程は、全て精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は、モレキュラーシーブ(MS−4A)で脱水した後に、精製窒素でバブリングして脱気して使用した。NCI−MSは、ネガティブ化学イオン化法によるマススペクトロメトリーである。
[実施例1]
(1)配位子合成
2−エチルアズレン(5.08g,0.0325mol)をテトラヒドロフラン(70ml)に溶解し、アイスバスにて5℃に冷却した後、同温度でメチルリチウムのジエチルエーテル溶液(1.20mol/l,27.8ml,0.0334mol)を滴下した。滴下終了後、アイスバスを外して2時間攪拌した。
この溶液を、アイスバスにて5℃に冷却したジメチルシリルジクロリド(14ml,0.115mol)のテトラヒドロフラン溶液(120ml)にゆっくり滴下した。滴下終了後、アイスバスを外して3時間攪拌した後、減圧下に溶媒および未反応のジメチルシリルジクロリドを留去した。テトラヒドロフラン(150ml)を加えて0℃まで冷却し、シクロペンタジエニルナトリウム(2.45mol/l,26.5ml,0.065mol)を徐々に滴下し、滴下終了後、室温で昼夜撹拌した。攪拌終了後、水を加え、ジエチルエーテルで目的とする化合物を抽出した。抽出溶液を硫酸マグネシウムで脱水した後、乾固することにより目的配位子の未精製品を得た。
(2)錯体合成:ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウムの合成
実施例1(1)で得られた配位子(9.21g,0.0313mol)をテトラヒドロフラン(60ml)に溶解し、アイスバスにて5℃に冷却した。ここに同温度で、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.59mol/l,39ml,0.062mol)を
、ゆっくり滴下した。滴下終了後、アイスバスをはずして2時間攪拌し、減圧下に溶媒を留去した。留去後得られた残渣にトルエン(150ml)とテトラヒドロフラン(5ml)を加えた後、粉末のハフニウムテトラクロリド(10.03g,0.313mol)をゆっくり添加した。その後、冷却浴をはずして終夜攪拌した。攪拌終了後、反応液をG3フリットで濾過した。フリット上の固体をさらにトルエンで洗浄し、濾液を濃縮することにより、褐色の粉末が得られた。この褐色の粉末から、トルエン+n−ヘキサン(100ml+200ml)で目的錯体を抽出した。抽出溶液を乾固させた後、得られた固体をさらにn−ヘキサン(40ml)で抽出および乾固した。得られた固体をさらにエーテル(20ml)で抽出および乾固した後、さらにn−ペンタン(50ml)で洗浄した。最後にエーテル+n−ヘキサン(5ml+25ml)で抽出・溶媒除去後、減圧下で乾燥することにより、目的とするジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−エチル−4−メチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム(0.5g)を得た(収率3%)。
1H−NMR(CDCl3):δ0.86(s,3H),0.88(s,3H),1.18(t,J=7.5Hz,3H),1.46(d,J=7.1Hz,3H),2.56(q,J=7.5Hz,2H),3.45−3.60(m,1H),5.45(dd,J=4.1,10.1Hz,1H),5.75−5.82(m,2H),5.89−5.92(m,1H),6.10−6.20(m,2H),6.64(d,J=11.4,1H),6.83−6.87(m,1H),7.00−7.02(m,1H)。
NCI−MS:M=542。
(3)粘土鉱物の化学処理
1,000ml丸底フラスコに、脱塩水(93.6ml)、硫酸リチウム・1水和物(14.5g)および硫酸(22.1g)を採取し、攪拌下に溶解させた。この溶液に、モンモリロナイト(水澤化学製水澤スメクタイト)29.4gを添加し、昇温して還流下に120分間処理した。処理後、脱塩水400mlを加えて遠心分離後、上澄み液を除去した。さらに脱塩水400mlを加え、遠心分離ならびに上澄み液の除去を2回繰り返し、最後に残留物を濾過した。得られた固体を100℃で予備乾燥した。次に、ここで得られた乾燥固体を、さらに、減圧下200℃で2時間加熱乾燥させ、化学処理モンモリロナイトを得た。
(4)ステレオブロックポリプロピレンの重合
実施例1(3)で得られた化学処理モンモリロナイト(1.34g)に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.4mmol/ml,6.7ml)を加え、室温で1時間攪拌した。この懸濁液にトルエン(8ml)を加え、攪拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返した後、トルエンを加えて、粘土スラリーを得た。
別のフラスコに、東ソー・アクゾ社製トリイソブチルアルミニウム(0.114mmol)を採取し、ここで得られた粘土スラリーおよび実施例1(2)で得られた錯体(20mg)のトルエン希釈液を加え、室温で10分間撹拌し、触媒スラリーを得た。
次いで、内容積2リッターの誘導攪拌式オートクレーブ内に、トルエン(1,200ml)、トリイソブチルアルミニウム(1.9mmol)および液体プロピレン(132g)を導入した。室温で、上記触媒スラリーを全量導入し、65℃まで昇温させ、同温度で1時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパージして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を一部回収し、溶媒ならびに粘土残渣を除去したところ、204gのステレオブロックポリプロピレンが得られた。
得られたステレオブロックポリプロピレンを分析したところ、以下の結果が得られた。GPCによるMw=100,000、Mn=18,000、13C−NMRによるS5/S
:25%、4+2S5/S6=7.6、2,1−挿入:0.61%、1,3−挿入:0.76%であった。DSCを測定したところ、明確な融点ピークは観測されなかった。
(5)ステレオブロックポリプロピレンの無水マレイン酸変性温度計、攪拌機のついたス
テンレス耐圧反応容器中に、トルエン(200ml)および実施例1(4)で得られたステレオブロックポリプロピレン(50g)を加え、容器内を窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。昇温後、無水マレイン酸25g、および、過酸化物としてBis(4−t−butylcyclohexyl)peroxydicarbonate(商品名:パーロイルTCP)15gのトルエン溶液(0.5g/ml)を、別々の導管から2時間供給し、同一温度にて2時間熟成させた。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿・濾別を繰り返し、最終的に得られたポリマーをアセトンで洗浄した。洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥することにより、ガム状の変性樹脂が得られた。この変性樹脂の赤外線吸収スペクトル測定および中和滴定等を行った結果、無水マレイン酸基の含量は、2.7wt%であった。
(6)インキの調製
200mlフラスコに、実施例1(5)で得られた無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレン6gおよびトルエン54gを加え、外温120℃に昇温し、2時間かけて溶解させた。得られた溶液を25℃まで冷却した後1時間静置し、#400のSUS金網を通して濾過し、無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレンの10wt%トルエン溶液を調製した。#400の金網上に残る不溶物はなかった。
ここで得られた無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレンのトルエン溶液を、以下の配合でペイントシェーカーにて混練し、無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレンインキを調製した。
配合:無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレン(固形分):6部、酸化チタン:22部、トルエン:50部、メチルエチルケトン:15部、イソプロピルアルコール:7部。
(7)印刷層の形成
実施例1(6)で得られたインキを、コロナ放電処理ナイロン(以下処理Nyと称する)にバーコター(8番)を用いて、縦幅20cm、横幅10cmで塗布し、室温にて1日乾燥した。乾燥後、インキ層の基材への接着性試験を、以下の方法にて行った。
すなわち、塗布されたインキ層に、ニチバン社製セロテープを貼り、これを15mm幅に切断し、長さ方向に50mmを手で剥離させ、引張試験の試料とした。引張試験機(テンシロンRTC−1210A,オリエンテック社製)にて90゜方向に500mm/minの引張速度でセロテープを剥離させ、剥離強度を測定した。剥離強度=280gf/15mmであり、十分な接着強度を有していた。
(8)PEダイレクトラミネーション
口径が90mmの押出機に装着したTダイから、日本ポリケム(株)社製カーネルKC574(LLDPE:エチレン・1−ヘキセン共重合体樹脂,MFR=9dg/min,密度=0.911g/cm3)を、樹脂温度290℃、幅500mm、肉厚20μmにな
るようにフィルム状に溶融押出しした。次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より、実施例1(7)で得られた印刷フィルムを繰り出し、該印刷フィルムの印刷層面に、Tダイからフィルム状に溶融押出されたKC574を、オゾン処理を併用しながら、表面をマット仕上げした冷却ロールと圧縮ゴムロールで圧着ラミネートした。ライン速度は、100m/minとした。
(8)−1:印刷層と基材層の接着性試験:実施例1(8)で得られた積層フィルムを幅15mm、長さ100mmに切断して試験片とし、長さ方向50mmを手で剥離した後、島津製作所引張試験機で90゜方向に300mm/minの引張速度で剥離した引張強度の値を測定した。引張強度=300gf/15mmであり、十分な接着性を有していた。
(8)−2:ヒートシール強度試験:実施例1(8)で得られた積層フィルムを、KC574層どうしが接するように貼り合わせ、温度=120℃,圧力=2kgf/cm2,時
間=1secでヒートシールした。ヒートシール後、実施例1(8)−1と同様にして、ヒートシール強度を測定した。ヒートシール強度=2.9kgf/15mmであり、アンカーコート剤を使用しなかったにもかかわらず、十分なヒートシール強度を有していた。[実施例2]
(1)結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂の製造
はじめに、助触媒を以下の手法により調製した。セパラブルフラスコに、蒸留水(1130g)に96%硫酸(750g)を加え、その後スメクタイト族ケイ酸塩(水沢化学社製ベンクレイSL,平均粒径27μm,300g)を30℃で加えた。このスラリーを1.0℃/minで1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で300分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水でpH=3まで洗浄した。得られた固体を、窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を分級にて除去し、さらに200℃で2時間減圧乾燥することにより、硫酸処理スメクタイト208.3gを得た。次いで、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム1水和物(211g)に、蒸留水521gを加えて溶液とした後、上記硫酸処理スメクタイトを加えた。このスラリーを室温で240分攪拌した後、ヌッチェで濾過して粘土ケーキを得た。このケーキに蒸留水3,000gを加えてスラリーとし、10分攪拌後、再び濾過してケーキを得た。この操作を3回繰り返し(最終濾液のpHは6であった)、得られたケーキを窒素気流下130℃で1日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を分級にて除去し、さらに200℃で2時間減圧乾燥することにより、化学処理スメクタイト80gを得た。
次に、固体触媒成分の調製を行った。内容積1リッターの3つ口フラスコに、上記で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、ヘプタン(73ml)を加えてスラリーとし、これにトリノルマルオクチルアルミニウム(50mmol,濃度=145.2mg/mlのn−ヘプタン溶液として126.3ml)を加えて1時間攪拌後、n−ヘプタンで1/100まで洗浄し、全容積が200mlとなるようにn−ヘプタンを加えた。また別のフラスコ(内容積200ml)中で、トルエンを3重量%含有するn−ヘプタン(87ml)にrac−ジクロロ[1,1'−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−ク
ロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム(0.3mmol)を加えてスラリーとした後、トリイソブチルアルミニウム(1.5mmol,濃度=140mg/mlのn−ヘプタン溶液として2.13ml)を加えて60分室温で攪拌し反応させた。この溶液を、上記のトリノルマルオクチルアルミニウムと反応させた化学処理スメクタイトが入った1リッターフラスコに加えて、室温で60分攪拌した。その後、ヘプタンを213ml追加し、このスラリーを内容積1リッターのオートクレーブに導入した。オートクレーブの内温を40℃にした後、プロピレンを10kg/hの速度で2時間、内温40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンのフィードを止めて、内温40℃のまま1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去し、この固体を3時間減圧乾燥することにより乾燥予備重合触媒72.9gを得た。
次いで、結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体の製造を以下の手法にて行った。内容積400リッターの反応器に、液状プロピレン、エチレン、水素およびトリイソブチルアルミニウムのn−ヘキサン希釈溶液を連続的に供給し、内温を60℃に保持した。プロピレンの供給量は、123kg/hであり、エチレンの供給量は、3.5kg/hであり、水素の供給量は、0.21g/hであり、トリイソブチルアルミニウムの供給量は、25g/hであった。前記予備重合触媒を、流動パラフィン(東燃社製:ホワイトレックス335)に、濃度が20wt%となるよう調製し、3.0g/hでフィードして連続重合を行った。その結果、結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体を19.0kg/hで得た。
得られた結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体を分析したところ、以下のような結果が得られた。エチレン含量=3.8wt%、Tm=125.2℃、MFR=9.4
dg/min、ΔHm=60.4J/g、ΔHm130=59.8J/g、ΔHm130/ΔHm=0.99。
(2)結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体を積層したBOPP基材の調製
実施例2(1)で得られた結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体のパウダー100重量部に、酸化防止剤としてチバガイギー社製イルガノックス1010を0.1重量部、チバガイギー社製イルガフォス168を0.1重量部、ステアリン酸カルシウムを0.05重量部配合し、ヘルシンキミキサーにて攪拌した後、押出機にて溶融・ペレット化し、表面層用樹脂組成物を得た。中間層用として日本ポリケム(株)製結晶性プロピレン単独重合体ノバテックPP(FL6CK)を、表面層用として前記表面層用樹脂組成物を各々個別に2台の押出機に投入し、2層の全厚15μmの延伸フィルムにしたときのスキン層厚みが2μmとなるようにTダイから共押出しし、冷却ロールで急冷することにより厚さ0.6mmのシートを得、このシートをテンター式遂次二軸延伸装置にて110℃で縦方向に5倍、引き続きテンター炉内で160℃に予熱をかけた後、158℃で横方向に9倍の延伸倍率で延伸し、5%緩和させつつ158℃で熱セットをかけて、フィルム全厚15μm、表面層厚みが2μmの2種2層二軸延伸ポリプロピレン系フィルム(以下、WOPPと称する)を得た。
(3)ステレオブロックポリプロピレンの重合
実施例1(3)で得られた化学処理モンモリロナイト(1.34g)に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.4mmol/ml,6.7ml)を加え、室温で1時間攪拌した。この懸濁液にトルエン(8ml)を加え、攪拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返した後、トルエンを加えて、粘土スラリーを得た。
別のフラスコに、東ソー・アクゾ社製トリイソブチルアルミニウム(0.114mmol)を採取し、ここで得られた粘土スラリーおよび実施例1(2)で得られた錯体(20mg)のトルエン希釈液を加え、室温で10分間撹拌し、触媒スラリーを得た。
次いで、内容積2リッターの誘導攪拌式オートクレーブ内に、トルエン(1,200ml)、トリイソブチルアルミニウム(1.9mmol)および液体プロピレン(132g)を導入した。室温で、上記触媒スラリーを全量導入し、53℃まで昇温させ、同温度で1時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパージして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を一部回収し、溶媒ならびに粘土残渣を除去したところ、220gのステレオブロックポリプロピレンが得られた。
得られた重合体を分析したところ、以下の結果が得られた。GPCによるMw=140,000、Mn=48,100、13C−NMRによるS5/S:31.4%、4+2S5/S6=7.7、2,1−挿入:0.76%、1,3−挿入:0.91%であった。DSC
を測定したところ、明確な融点ピークは観測されなかった。
(4)ステレオブロックポリプロピレンの無水マレイン酸変性
温度計、攪拌機のついた2リッターのステンレス耐圧反応容器中に、トルエン(200ml)および実施例2(3)で得られたステレオブロックポリプロピレン(50g)を加え、容器内を窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。昇温後、無水マレイン酸25gおよび過酸化物として、Bis(4−t−butylcyclohexyl)peroxydicarbonate(商品名:パーロイルTCP)15gのトルエン溶液(0.5g/ml)を、別々の導管から2時間供給し、同一温度にて2時間熟成させた。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿・濾別を繰り返し、最終的に得られたポリマーをアセトンで洗浄した。洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥することにより、ガム状の変性樹脂が得られた。この変性樹脂の赤外線吸収スペクトル測定および中和滴定等を行った結果、無水マレイン酸基の含量は、2.6wt%であった。
(5)インキの調製
200mlフラスコに、実施例1(5)で得られた無水マレイン酸変性ステレオブロッ
クポリプロピレン6gおよびトルエン54gを加え、外温120℃に昇温し、2時間かけて溶解させた。得られた溶液を25℃まで冷却した後1時間静置し、#400のSUS金網を通して濾過し、無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレンの10wt%トルエン溶液を調製した。#400の金網上に残る不溶物はなかった。
ここで得られた無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレンのトルエン溶液を、以下の配合でペイントシェーカーにて混練し、無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレンインキを調製した。
配合:無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレン(固形分):4部、酸化チタン:22部、トルエン:52部、メチルエチルケトン:15部、イソプロピルアルコール:7部。
(6)印刷層の形成
実施例2(5)で得られたインキを実施例2(2)で得られたWOPPに、縦幅20cm、横幅10cmで塗布し、室温にて乾燥した。乾燥後、実施例1(7)と同様にして、インキ層の基材への接着性試験を行った。引張試験の結果、剥離強度=190gf/15mmであり、該インキ層はWOPPに対して十分な接着強度を有していた。
(7)PEダイレクトラミネーション
印刷フィルムとして、実施例2(6)で得られたものを用いた以外は、実施例1(8)と同様にしてダイレクトラミネーションを行った。印刷層と基材層の接着性試験を行った結果、引張強度=350gf/15mmであり、十分な接着性を有していた。また、ヒートシール強度=3.4kgf/15mmであり、アンカーコート剤を使用しなかったにもかかわらず、十分なヒートシール強度を有していた。
[実施例3]
(1)配位子合成
2−メチルアズレン(12.10g,0.085mol)をテトラヒドロフラン(168ml)に溶解し、アイスバスにて5℃に冷却した後、同温度でメチルリチウムのジエチルエーテル溶液(1.04mol/l,83ml,0.086mol)を滴下した。滴下終了後、アイスバスを外して3時間攪拌した。この溶液を、アイスバスにて5℃に冷却したジメチルシリルジクロリド(22.5ml,0.185mol)のテトラヒドロフラン溶液(420ml)にゆっくり滴下した。滴下終了後、アイスバスを外して3時間攪拌した後、減圧下に溶媒および未反応のジメチルシリルジクロリドを留去した。テトラヒドロフラン(240ml)を加えて0℃まで冷却し、シクロペンタジエニルナトリウム(2.1mol/l,81ml,0.160mol)を徐々に滴下し、滴下終了後、室温で昼夜撹拌した。攪拌終了後、水を加え、ジエチルエーテルで目的とする化合物を抽出した。抽出溶液を硫酸マグネシウムで脱水した後、乾固することにより目的配位子の未精製品を得た。
(2)錯体:ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウムの合成
実施例3(1)で得られた配位子(23.54g)をテトラヒドロフラン(310ml)に溶解し、アイスバスにて5℃に冷却した。ここに同温度で、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.59mol/l,106ml,0.168mol)を、ゆっくり滴下した。滴下終了後、アイスバスをはずして3時間攪拌し、減圧下に溶媒を留去した。留去後得られた残渣にトルエン(280ml)とテトラヒドロフラン(15ml)を加えた後、−78℃に冷却した。ここに、−78℃に冷却したハフニウムテトラクロリド(26.90g,0.084mol)のトルエン(380ml)懸濁液をゆっくり添加した。その後、冷却浴をはずして終夜攪拌した。攪拌終了後、反応液をG3フリットで濾過した。フリット上の固体をさらにトルエンで洗浄し、濾液を濃縮することにより、褐色の粉末が得られた。この褐色の粉末から、トルエン+n−ヘキサン(100ml+200mlで1回,50ml+100mlで3回)で目的錯体を抽出した。抽出溶液を乾固させた後、得られた固体をn−ヘキサン(40ml×5回)で懸濁洗浄した後、エーテル(50ml×
3回)で懸濁洗浄し、減圧下で乾燥した。得られた粉末にトルエンを加え、沈殿物を濾別した後、濾液を濃縮した。得られた粉末をn−ヘキサン(25ml×3回)、ジエチルエーテル(25ml×3回)で洗浄ことにより、目的とするジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム(8.0g)を得た(収率18%)。
1H−NMR(CDCl3):δ0.85(s,3H),0.86(s,3H),1.47(d,J=7.1Hz,3H),2.25(s,3H),3.42−3.52(m,1H),5.42(dd,J=4.7,10.1Hz,1H),5.80−5.85(m,2H),5.90−5.95(m,1H),6.16−6.20(m,2H),6.65(d,J=11.4Hz,1H),6.80−6.85(m,1H),6.98−7.02(m,1H)。
NCI−MS:M=528。
(3)ステレオブロックポリプロピレンの重合
実施例1(3)で得られた化学処理モンモリロナイト(510mg)に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.4mmol/ml,3.3ml)を加え、室温で1時間攪拌した。この懸濁液にトルエン(8ml)を加え、攪拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返した後、トルエンを加えて、粘土スラリーを得た。
別のフラスコに、東ソー・アクゾ社製トリイソブチルアルミニウム(0.070mmol)を採取し、ここで得られた粘土スラリーおよび実施例3(2)で得られた錯体(17mg)のトルエン希釈液を加え、室温で10分間撹拌し、触媒スラリーを得た。
次いで、内容積2リッターの誘導攪拌式オートクレーブ内に、トルエン(1,200ml)、トリイソブチルアルミニウム(1.9mmol)および液体プロピレン(132g)を導入した。室温で、上記触媒スラリーを全量導入し、95℃まで昇温させ、同温度で1時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパージして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を一部回収し、溶媒ならびに粘土残渣を除去したところ、160gのステレオブロックポリプロピレンが得られた。
得られた重合体を分析したところ、以下の結果が得られた。GPCによるMw=35,000、Mn=9,800、13C−NMRによるS5/S:39.0%、4+2S5/S6
=7.5、2,1−挿入:0.34%、1,3−挿入:1.10%であった。DSCを測定したところ、明確な融点ピークは観測されなかった。
(4)ステレオブロックポリプロピレンの無水マレイン酸変性
温度計、攪拌機のついたステンレス耐圧反応容器中に、トルエン(200ml)および実施例3(3)で得られたプロピレン重合体(50g)を加え、容器内を窒素ガスで置換し、130℃に昇温した。昇温後、無水マレイン酸25gおよびt−Butyl peroxy isopropyl monocarbonate (商品名:パーブチルI)10gのトルエン溶液(0.5g/ml)を、別々の導管から2時間供給し、同一温度にて2時間熟成させた。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿・濾別を繰り返し、最終的に得られたポリマーをアセトンで洗浄した。洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥することにより、白色粉末の変性樹脂が得られた。この変性樹脂の赤外線吸収スペクトル測定および中和滴定等を行った結果、無水マレイン酸基の含量は、3.2wt%であった。
(5)インキの調製
200mlのフラスコに、実施例3(4)で得られた無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレン6gにトルエン54gを加え、外温120(Cに昇温し、2時間かけ
て溶解させた。得られた溶液を25℃まで冷却した後、#400のSUS金網を通して、無水マレイン酸変性プロピレン重合体の10wt%溶液を調製した。金網上に残った不溶物はなかった。
ここで得られた無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレン溶液を用いて、以下の配合でペイントシェーカーにて混練し、無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレンインキを調製した。
配合:無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレン(固形分):8部、酸化チタン:22部、トルエン:50部、メチルエチルケトン:15部、イソプロピルアルコール:5部。
(6)印刷層の形成
インキ組成物として、実施例3(5)で得られたものを用いた以外は、実施例2(6)と同様にして、基材:WOPPにインキの塗布を行い、室温にて乾燥した。乾燥後、実施例1(7)と同様にして、インキ層の基材への接着性試験を行った。引張試験の結果、剥離強度=280gf/15mmであり、印刷層はWOPPに対して十分な接着強度を有していた。
(7)PPダイレクトラミネーション
ラミネート用樹脂として、日本ポリケム(株)社製FL25RC(ラミネート用PP:MFR=23dg/min)を用いたこと、および、オゾン処理を行わなかったこと以外は、実施例1(8)と同様にしてダイレクトラミネーションを行った。実施例1(8)−1と同様にして、ヒートシール強度を測定したところ、ヒートシール強度=0.9kgf/15mmであり、アンカーコート剤を使用しなかったにもかかわらず、十分なヒートシール強度を有していた。
[実施例4]
(1)ステレオブロックポリプロピレンの重合
実施例1(3)で得られた化学処理モンモリロナイト(1.34g)に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.4mmol/ml,6.7ml)を加え、室温で1時間攪拌した。この懸濁液にトルエン(8ml)を加え、攪拌後、上澄みを除いた。この操作を2回繰り返した後、トルエンを加えて、粘土スラリーを得た。
別のフラスコに、東ソー・アクゾ社製トリイソブチルアルミニウム(0.114mmol)を採取し、上記で得られた粘土スラリーおよび実施例1(2)で得られた錯体(20mg)のトルエン希釈液を加え、室温で10分間撹拌し、触媒スラリーを得た。
次いで、内容積2リッターの誘導攪拌式オートクレーブ内に、トルエン(1,200ml)、トリイソブチルアルミニウム(1.9mmol)および液体プロピレン(132g)を導入した。室温で、上記触媒スラリーを全量導入し、100℃まで昇温させ、同温度で1時間攪拌を継続した。攪拌終了後、未反応プロピレンをパージして重合を停止した。オートクレーブを開放してポリマーのトルエン溶液を一部回収し、溶媒ならびに粘土残渣を除去したところ、177gのプロピレン重合体が得られた。
得られた重合体を分析したところ、以下の結果が得られた。GPCによるMw=32,000、Mn=9,400、13C−NMRによるS5/S:31.0%、4+2S5/S6
=7.6、2,1−挿入:0.45%、1,3−挿入:0.96%であった。DSCを測定したところ、明確な融点ピークは観測されなかった。
(2)ステレオブロックプロピレン重合体の無水マレイン酸変性
温度計、攪拌機のついたステンレス耐圧反応容器中に、トルエン(200ml)および実施例4(1)で得られたプロピレン重合体(50g)を加え、容器内を窒素ガスで置換し、100℃に昇温した。昇温後、無水マレイン酸25g、Bis(4−t−butylcyclohexyl)peroxy dicarbonate(商品名:パーロイルTCP)10gのトルエン溶液(0.5g/ml)を、別々の導管から2時間供給し、同一温度にて3時間熟成させた。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで沈殿・濾別を繰り返し、最終的に得られたポリマーをアセトンで洗浄した。洗浄後に得られたポリマーを減圧乾燥することにより、白色粉末状の変性樹脂が得られた。この変性樹脂の赤外線吸収スペクトル測定および中
和滴定等を行った結果、無水マレイン酸基の含量は、2.1wt%であった。
ここで得られた無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレンについて、別途、実施例1(6)と同様にしてトルエンへの溶解性試験を行った結果、不溶物は検出されなかった。
(3)ポリウレタンウレアの合成
攪拌機、温度計、還流冷却器および適下漏斗を備えた四つ口フラスコに、ポリ3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート(Mn=2,000):200g、イソホロンジイソシアネート(IPDI):49.7gを仕込み、100℃で3時間反応させ、遊離イソシアネート含有量4.0%のプレポリマーを得た。次いでトルエン61.8g、メチルエチルケトン246.4g、イソプロピルアルコール121.8gを加えて均一溶液とした後、イソホロンジアミン(IPDA):3.6g、ジブチルアミン2.3gを攪拌下に30℃で反応させ、ポリウレタンウレア溶液を得た。
(4)ポリウレタン変性ステレオブロックポリプロピレン溶液の調製
攪拌子入りの1口フラスコに、実施例4(2)で得られた無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレン6g、および、トルエン54gを加え、攪拌して溶解させ、無水マレイン酸変性ステレオブロックポリプロピレン溶液60gを調製した。次に、実施例4(3)で得られたポリウレタンウレア溶液6g(固形分=1.8g)を加え、3時間攪拌し、ポリウレタン変性ステレオブロックポリプロピレン溶液を得た。
(5)インキの調製
実施例4(4)で得られたウレタン変性ステレオブロックポリプロピレン溶液を用い、以下の配合でペイントシェーカーにて混練し、インキを調製した。
配合:ポリウレタン変性ステレオブロックポリプロピレン(固形分):8部、酸化チタン:22部、トルエン:50部、メチルエチルケトン:15部、イソプロピルアルコール:5部。
(6)印刷層の形成
実施例4(5)で得られたインキを、実施例2(2)で得られたWOPPに、縦幅20cm、横幅10cmで塗布し、室温にて乾燥した。乾燥後のインキ層はWOPPに対して十分な接着強度を有していた。
(7)PEダイレクトラミネーション
印刷フィルムとして、実施例4(6)で得られたものを用いたこと、また、オゾン処理を行わなかったこと以外は、実施例1(8)と同様にしてダイレクトラミネーションを行った。印刷層と基材層の接着性試験を行った結果、引張強度=200gf/15mmであり、十分な接着性を有していた。また、ヒートシール強度=0.9kgf/15mmであり、アンカーコート剤を使用しなかったにもかかわらず、十分なヒートシール強度を有していた。
[比較例1]
(1)ポリウレタン塩素化ポリプロピレンの合成
攪拌機、温度計、還流冷却器および滴下漏斗を備えた四つ口フラスコに、変性塩素化PPトルエン溶液(塩素含有量28%、Mn=12,000、水酸基価=14KOHmg/g、樹脂固形分30%)445.7重量部、分子末端に少なくとも1個の水酸基を有する水素添加型ポリブタジエン(三菱化学(株)製ポリテールHA,Mn=2,200、水酸基価=52KOHmg/g)44.6重量部、3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート(Mn=2,000)1000.0重量部、およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)255.5重量部を仕込み、100℃で10時間反応させ、遊離イソシアネート含有量2.81%のプレポリマーを得た。次いでトルエン2,185部、メチルエチルケトン535.1部、イソプロピルアルコール535.1部を加えて均一溶液とした後、イソホロンジアミン(IPDA)84.5部、モノエタノールアミン10.5部を、撹拌下に30℃で5時間反応させ、ポリウレタン変性塩素化ポリプロピレン溶液を得た。
(2)インキの調製
比較例1(1)で得られたウレタン変性塩素化ポリプロピレン溶液を用い、以下の配合でペイントシェーカーにて混練し、インキを調製した。
配合:ポリウレタン変性塩素化ポリプロピレン(固形分):8部、酸化チタン:22部、トルエン:50部、メチルエチルケトン:15部、イソプロピルアルコール:5部。
(3)印刷層の形成
比較例1(2)で得られたインキを、実施例2(2)で得られたWOPPに、縦幅20cm、横幅10cmで塗布し、室温にて乾燥した。
(4)PEダイレクトラミネーション
印刷フィルムとして、比較例1(3)で得られたものを用いたこと、また、オゾン処理を行わなかったこと以外は、実施例1(8)と同様にしてダイレクトラミネーションを行った。印刷層と基材層の接着性試験を行った結果、引張強度=80gf/15mmであり、接着性は不十分であった。また、ヒートシール後、ヒートシール強度を測定しようとしたが、層間剥離(デラミネーション)が発生し、ヒートシール強度は正確に測定できなかった。
[比較例2]
(1)PPダイレクトラミネーション
印刷フィルムとして、比較例1(3)で得られたものを用いたこと以外は、実施例3(7)と同様にしてダイレクトラミネーションを行った。実施例1(8)−1と同様にして、ヒートシール強度を測定したところ、ヒートシール強度=0.1kgf/15mmであり、ヒートシール強度は不十分であった。
[比較例3]
(1)変性ポリウレタンウレア溶液の合成
攪拌機、温度計、還流冷却器および滴下漏斗を備えた四つ口フラスコに、分子末端に少なくとも1個の水酸基を有する水素添加型ポリブタジエン(Mn=2200、水酸基価=52KOHmg/g)323.9部、ポリ1,4−ブチレンアジペート(Mn=2,000)1,000.0部、および、イソホロンジイソシアネート(IPDI)355.8部を仕込み、100℃で10時間反応させ、遊離イソシアネート含有量3.95%のプレポリマーを得た。次いでトルエン2,534.6部、メチルエチルケトン1,267.3部、イソプロピルアルコール422.4部を加えて均一溶液とした後、イソホロンジアミン(IPDA)107.6部、n−ブチルアミン23.1部を、撹拌下に30℃で5時間反応させ変性ポリウレタンウレア溶液を得た。
(2)インキの調製
比較例3(1)で得られた変性ポリウレタンウレア溶液を用い、以下の配合でペイントシェーカーにて混練し、インキを調製した。
配合:変性ポリウレタンウレア(固形分):8部、酸化チタン:22部、トルエン:50部、メチルエチルケトン:15部、イソプロピルアルコール:5部。
(3)印刷層の形成
比較例3(2)で得られたインキを、実施例2(2)で得られたWOPPに、縦幅20cm、横幅10cmで塗布し、室温にて乾燥した。
(4)PEダイレクトラミネーション
印刷フィルムとして、比較例3(3)で得られたものを用いたこと、また、オゾン処理を行わなかったこと以外は、実施例1(8)と同様にしてダイレクトラミネーションを行った。印刷層と基材層の接着性試験を行った結果、引張強度=30gf/15mmであり、接着性は不良であった。また、ヒートシール後、ヒートシール強度を測定しようとしたが、層間剥離(デラミネーション)が発生し、ヒートシール強度は正確に測定できなかった。

Claims (8)

  1. (A)基材層、(B)下記要件1を満たす印刷インキ組成物を用いて印刷された印刷層、および(C)樹脂組成物層を有する積層体。
    要件1:印刷インキ組成物が、少なくとも着色剤、バインダー樹脂および溶剤を含有する印刷インキ組成物であって、該バインダー樹脂が、極性官能基を有するプロピレン系重合体であって、主鎖におけるプロピレン連鎖部分が、アイソタクチックブロックと非晶性ブロックからなるステレオブロック構造を有しており、かつ融点を有さないことを特徴とするステレオブロックプロピレン系重合体(a)を含むこと。
  2. (C)樹脂組成物層が、下記要件2及び3のいずれかを満たす樹脂組成物を含む層であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
    要件2:樹脂組成物が、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとを共重合して得たエチレン・α−オレフィン共重合体(b)を含むエチレン系樹脂組成物であって、該エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.860g/cm3以上かつ0.93
    5g/cm3以下、MFRが0.1dg/min以上かつ100dg/min以下である
    こと。
    要件3:樹脂組成物がプロピレン単独重合体(d)または、プロピレンと炭素数2以上20以下のプロピレン以外のα−オレフィンとを共重合して得たプロピレン・α−オレフィン共重合体(e)を含むプロピレン系樹脂組成物であって、該プロピレン単独重合体(d)またはプロピレン・α−オレフィン共重合体(e)のMFRが、0.1dg/min以上かつ100dg/min以下であり、該プロピレン・α−オレフィン共重合体(e)中のα−オレフィン含量が40重量%以下であること。
  3. (A)基材層が、下記要件4を満足し、(B)印刷層および(C)樹脂組成物層が積層される側が結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)層となることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
    要件4:(A)基材層が、該基材層の少なくとも片面の表面に、融解ピーク温度140℃以下の結晶性プロピレン系共重合体樹脂(c)が積層されている基材層であること。
  4. 要件1に記載のステレオブロックプロピレン系重合体(a)が、下記要件5を満足するプロピレン系重合体の変性重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
    要件5:プロピレン系重合体を25℃におけるトルエンに10重量%の濃度で溶解した際に、その不溶分が該重合体全体の1重量%以下であること。
  5. 要件1に記載のステレオブロックプロピレン系重合体(a)が、シングルサイト触媒を用いて製造されたプロピレン系重合体の変性重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 要件2に記載のエチレン・α−オレフィン共重合体(b)が、シングルサイト触媒を用いて製造されたものであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 要件3に記載の結晶性プロピレン系共重合体(c)が、シングルサイト触媒を用いて製造されたものであることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. (C)樹脂組成物層がアンカーコート剤を介さずに、溶融押出ラミネートにて積層されたものであることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の積層体。
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