JP4498797B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
この種の燃料電池は発電に伴い水が生成されるが、液滴となった水を燃料電池内に滞留させたまま氷点下環境に放置すると、液滴が凍結して燃料電池の構成部材(特に膜電極構造体)を損傷する虞がある。
特に、アノード側の反応ガス流路が蛇行して形成されている場合には、流れの向きが反転する折り返し部の直後であって内側の部分に対応する膜電極構造体の内部に液滴が滞留し易く、ここに滞留した液滴は前述したパージ処理では除去することが難しく、膜電極構造体の内部に残留した液滴が氷点下環境で凍結して、膜電極構造体および固体高分子電解質膜を損傷させる場合がある。
そこで、この発明は、膜電極構造体および固体高分子電解質膜の凍結による損傷を防止することができる燃料電池を提供するものである。
この折り返し部よりも下流側の少なくとも一部の領域で、前記複数本の反応ガス流路の中で前記折り返し部にて最も内側に位置する反応ガス流路の流路断面積が前記折り返し部にて他に位置する反応ガス流路の流路断面積よりも小さいことを特徴とする。
このように構成することにより、前記折り返し部にて最も内側に位置する反応ガス流路のガス流速を、流路断面積を小さくした部位において速めることができ、該部位における液滴の排出を促進し、該部位に液滴が滞留するのを防止することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記領域以外では、前記折り返し部にて最も内側に位置する反応ガス流路の流路断面積が前記折り返し部にて他に位置する反応ガス流路の流路断面積よりも大きいことを特徴とする。
このように構成することにより、前記折り返し部にて最も内側に位置する反応ガス流路の流路抵抗を、前記折り返し部にて他に位置する反応ガス流路の流路抵抗よりも小さくすることができる。
このように構成することにより、アノード電極側の反応ガス流路の前記部位における液滴の排出を促進し、該部位に液滴が滞留するのを防止することができる。特に、カソード電極側から逆拡散によりアノード電極側に移動してくる液滴の排出を促進することができる。
このように構成することにより、当該反応ガス流路の流路長を長くすることができ、流路の圧力損失を大きくすることが可能となり、反応ガスの流速を速くすることができる。その結果、蛇行する反応ガス流路の前記部位における液滴の排出性が向上し、該部位に液滴が滞留するのを防止することができる。
このように構成することにより、重力により液滴の排出を付勢することができ、前記部位における液滴の排出を促進することができ、液滴の滞留を防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、前記折り返し部にて最も内側に位置する反応ガス流路の流路抵抗を、前記折り返し部にて他に位置する反応ガス流路の流路抵抗よりも小さくすることができるので、前記部位におけるガス流速を確実に速めることができる。
この燃料電池は固体高分子電解質膜型の燃料電池であり、図1に示すように、例えばフッ素系電解質材料等からなる固体高分子電解質膜51をアノード電極52とカソード電極53とで両側から挟み込んで膜電極構造体54を形成し、膜電極構造体54の両側にセパレータ55,56を密接して配置してセル(単位燃料電池)50が構成される。また、このセル50を複数積層して燃料電池スタックが構成される。
アノード電極52に面して配置されるアノード側セパレータ55は、アノード電極52に対向して配置される面に燃料流路溝55cを備え、反対側の面に冷媒流路溝55dを備えている。
一方、カソード電極53に面して配置されるカソード側セパレータ56は、カソード電極53に対向して配置される面に酸化剤流路溝56cを備え、反対側の面に冷媒流路溝56dを備えている。
また、セル50を複数積層したときに互いに隣接して配置された両セパレータ55,56の冷媒流路溝55d,56d間に形成される空間は、冷却液が流通する冷媒流路60とされている。
図1において、膜電極構造体54の非発電部には、左端部に3つの開口71,72,73が設けられ、右端部に3つの開口74,75、76が設けられている。また、セパレータ55,56の左右端部にも膜電極構造体54と同様に開口71〜76が設けられている。これら開口71〜76は膜電極構造体54とセパレータ55,56を積層した状態(すなわち、燃料電池スタックとして組み立てられた状態)においてシール材(図示略)を介して各開口毎にそれぞれ1本の管の如く連通し、分配流路もしくは集合流路として機能する。
そこで、この燃料電池スタックにおいては、燃料流路58gの流路抵抗を燃料流路58a〜58fの流路抵抗よりも小さくして燃料流路58gに水素ガスを流れ易くし、且つ、燃料流路58gの領域Aの流路断面積S1を、他の燃料流路58a〜58fの流路断面積S3よりも小さくして(S1<S3)、燃料流路58gにおける領域Aのガス流速を速めることにより、液滴の排出を促進させ、燃料流路58gの領域Aに液滴が滞留するのを防止している。これは、発電時だけでなく発電停止後に実施するパージ処理においても同様に作用する。
特に、この実施例では、燃料流路58gが蛇行しているので、燃料流路58gの流路長を長くすることができ、流路の圧力損失を大きくすることが可能となり、水素ガスの流速を速くすることができて、液滴の排出性がさらに向上する。また、水素ガスは蛇行しながら鉛直方向下方に向かって流れるので、重力が液滴の排出を支援し、排出性を向上させる。
また、空気流路59a〜59gはいずれもその全長に亘って同じ流路断面積にされている。
その結果、発電を停止して氷点下環境に放置しても、領域Aにおける燃料流路58g内および膜電極構造体54の内部で水が凍結することがなく、膜電極構造体54および固体高分子電解質膜51の損傷を防止することができる。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では、燃料流路に本発明を実施した例で説明したが、空気流路に本発明を実施してもよいし、あるいは、燃料流路と空気流路の両方に本発明を実施することも可能である。また、本発明を実施しない方の反応ガス流路(前述した実施例における空気流路)が折り返し部を有さない場合も、本発明は成立する。
また、前述した実施例において本発明が実施される反応ガス流路をS字状に蛇行する流路としたが、折り返し部を有している限り、迷路状やそのほか種々の形状に屈曲形成された流路でもよい。
また、反応ガス流路はカーボン製のセパレータに形成されたものであってもよい。
51 固体高分子電解質膜
52 アノード電極
53 カソード電極
54 膜電極構造体
58a〜58g 燃料流路(反応ガス流路)
59a〜59g 空気流路(反応ガス流路)
62 折り返し部
Claims (5)
- 固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟んでなる膜電極構造体を備え、アノード電極およびカソード電極に面してそれぞれ複数本の反応ガス流路が設けられた燃料電池において、
少なくともいずれか一方の前記電極に面して設けられた前記複数本の反応ガス流路は流れの向きを反転させる折り返し部を有し、この折り返し部よりも下流側の少なくとも一部の領域で、前記複数本の反応ガス流路の中で前記折り返し部にて最も内側に位置する反応ガス流路の流路断面積が前記折り返し部にて他に位置する反応ガス流路の流路断面積よりも小さいことを特徴とする燃料電池。 - 前記領域以外では、前記折り返し部にて最も内側に位置する反応ガス流路の流路断面積が前記折り返し部にて他に位置する反応ガス流路の流路断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記領域を有する反応ガス流路は、前記アノード電極に面して設けられた反応ガス流路であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池。
- 前記領域を有する反応ガス流路は、蛇行する流路であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池。
- 前記領域を有する反応ガス流路は、鉛直方向の上側を上流とし鉛直方向下側を下流としていることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池。
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