JP4497823B2 - 新規なアルミニウム顔料ペーストの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車、家電製品に塗装されるメタリック顔料、あるいは印刷等の高級メタリックインキに利用されるアルミニウム顔料ペーストの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、フレーク状アルミニウム顔料の有機溶剤スラリーを濃縮し、アルミニウム顔料ケーキを回収する目的に従来使用されてきたフィルタープレスに代わる、新しいアルミニウム顔料の濃縮・回収方法を用いる、アルミニウム顔料ペーストの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フレーク状アルミニウム顔料は、他の顔料にない独特なメタリック感と、下地に対する優れた隠蔽力を併せ持つ顔料として、自動車ボディや部品の高級メタリック塗料、自動車補修用メタリック塗料、家電用メタリック塗料、工業用メタリック塗料等の高級メタリック塗料の分野、及び、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の高級メタリック印刷インキの分野等で多用されている。
【0003】
アルミニウム顔料ペーストは、通常、粉砕・研磨工程、分級(スクリーン)工程、ろ過・濃縮工程、混合工程を経て、製造される。(例えば、非特許文献1参照)
粉砕・研磨工程では、ボールミルや媒体撹拌ミルを用いて、有機溶剤および粉砕助剤ないしは潤滑剤の存在下で、原料である粒状アトマイズドアルミニウム粉やアルミ箔片を、非常に薄い扁平なフレーク形状の粒子に湿式粉砕・研磨する。これによって得られるフレーク状アルミニウム顔料は、次の分級(スクリーン)工程で粒度分布を整えられ、ろ過・濃縮工程において多量の有機溶剤から分離されることで、アルミニウム顔料ケークとして回収される。回収したケークに有機溶剤や添加剤を加えて均一に撹拌混合し、不揮発分濃度を調整したものがアルミニウム顔料ペーストである。
【0004】
これまで、ろ過・濃縮工程で用いられる固液分離方法として、主にフィルタープレスに代表されるケークろ過が用いられてきた。しかし近年、フィルタープレスを用いる濃縮工程の問題点が顕在化してきた。
第1の問題点として、ろ過効率の低下に伴う、生産性の低下が挙げられる。
ケークろ過では、フィルターを通過できない固形分(アルミニウム顔料粒子)がフィルター面上にろ過ケークとして堆積し、そのケークが以後のろ過に対してろ材として作用するため、ろ過が進むにつれてろ過速度は低下してゆく。
【0005】
近年、アルミニウム顔料の微粒子径化に伴い、ケークのろ過抵抗は増加している。このため、ろ過・濃縮にかかる時間が著しく延びている。また、濃縮度を更に上げるためには、圧搾等を併用することも考えられるが、生産性や作業性は一層低下することが予想される。また、アルミニウム顔料は、その扁平なフレーク状という形状特性のためにフィルターからの脱離性が悪く、ケーク回収時の作業性も著しく悪い。
【0006】
第2の問題点として挙げられる作業性の悪さは、フィルタープレスの構造に起因する点もある。
フィルタープレスでは、フィルターとろ液の流路となる溝をもつ板を交互に並べて端板の間で締め付けることで、フィルターに挟まれた隔室を構成し、この隔室にスラリーを圧入して、ろ過を行っている。そして、隔室にケークが充満したところで、一旦装置を分解し、隔室内のケークを回収した後、再び装置を組み立て、ろ過を再開する。この様にフィルタープレスからケークを回収するには、装置を分解し、隔室毎に回収作業を行う必要があり、時間と手間がかかる。また、装置分解時に隔室が外気に露出するため、露出面から有機溶剤が揮発し、これが臭気の発生源となり、作業現場の環境を汚染する。
【0007】
機械的な分離方法でスラリーを濃縮する装置としては、フィルタープレスの他にも、密閉型で連続的にろ過を行う装置(例、ドラムフィルターやベルトフィルター(ベルトプレス))や沈降法を用いるデカンタ型遠心分離機があるが、何れも、アルミニウム顔料ケーキの脱液性の悪さから、アルミニウム顔料ケークとなるまで濃縮度が上がらない、もしくは、ケークとして回収するためには巨大な装置が必要となる。
【0008】
また、一方で、スラリーを濃縮する方法として、加熱による有機溶剤の蒸発を利用することが考えられる。この方法は、加熱する熱量を制御することで濃縮度の調整を確実に行うことができる反面、過度の加熱条件下で低濃度のスラリーを濃縮する場合、一度に大量の溶剤回収が必要となる点で危険性が高く、装置の規模も大きくなる。また、伝熱効率を上げる目的で、撹拌混合を行いながら加熱した場合、長時間、アルミニウム顔料ケークにせん断応力がかかると、アルミニウム顔料粒子表面での化学反応を促進し、メタリック顔料としての意匠性に悪影響を与える懸念があった。
【0009】
【非特許文献1】
社団法人 軽金属協会 アルミニウムペースト委員会著、「アルミニウムペースト取扱い安全手引き」、(日本)、改訂版、社団法人 軽金属協会、1996年10月、p.1
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、メタリック顔料としての品質、意匠性を損なうことなく、生産性、作業性、安全性が改善された新規な濃縮工程を有するアルミニウム顔料ペーストの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するため、フレーク状アルミニウム顔料スラリーの基本物性と種々の装置による濃縮技術について検討を重ねた結果、減圧下における加熱を実施し、特定の運転条件範囲でスラリーから溶媒を蒸発させることで、アルミニウム顔料の品質を損なうことなく濃縮できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、フレーク状アルミニウム顔料と、脂肪性溶剤溶物を含む有機溶剤から成るアルミニウム顔料スラリーを、連続かつ機械的な固液分離を行う工程と、真空度100Torr以下、加熱温度120℃以下の条件で有機溶剤を蒸発させる濃縮工程とからなるアルミニウム顔料ペーストの製造方法において、前記スラリー中に含まれる脂肪性溶剤溶物の濃度を測定し、この測定結果に基づき、前記濃縮工程および/または連続かつ機械的な固液分離における濃縮度を決定し、最終濃縮物中に含まれる脂肪性の溶剤溶物の割合が2重量%以下であり、かつ、アルミニウムの含有量が50重量%より高く、95重量%以下の範囲まで濃縮することを特徴とするアルミニウム顔料ペーストの製造方法である。
また、本発明は、前記の濃縮を、セルフクリーニング機構を有するパドルを有する連続式撹拌型間接加熱乾燥機を用いて行う、アルミニウム顔料ペーストの製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明について具体的に説明する。
濃縮を行う、フレーク状アルミニウム顔料と有機溶剤から成るスラリーは、粉砕・研磨工程、分級(スクリーン)工程でスラリー中の有機溶剤量を調整し、更に必要に応じて、後述の予備処理を行うことにより、アルミニウムの含有量が60重量%以下の範囲で調製する。フレーク状アルミニウム顔料は、通常、ボールミル、又は、媒体撹拌ミルによって、原料となる粒状アトマイズドアルミニウム粉やアルミ箔片等を湿式粉砕・研磨することで得られる、非常に薄いフレーク形状の顔料である。有機溶剤としては、従来から使用されているミネラルスピリット、ソルベントナフサ、トルエン等の炭化水素系溶剤や、アルコール系、エーテル系、ケトン系、エステル系、グリコール系等の低粘度の溶剤が使用できるが、汎用性、安全性からミネラルスピリットの使用が好ましい。
【0015】
また、有機溶剤中には、脂肪性の溶剤溶物である、粉砕助剤ないしは潤滑剤およびその変成物が含まれていても良い。粉砕助剤としては、従来から使用されているオレイン酸やステアリン酸のような高級脂肪酸、ステアリルアミンのような高級脂肪族アミン、高級脂肪族アルコール等が挙げられる。その濃度は、有機溶剤の量を調整することで、脂肪性溶剤溶物としての含有量が4.0重量%以下となる様に調製する。なお、有機溶剤中の脂肪性溶剤溶物の含有量は、3.0重量%以下が好ましく、2.5重量%以下に調製されることが更に好ましい。
有機溶剤中の脂肪性溶剤溶物の含有量が4.0重量%を越える場合には、本発明の方法により得られる最終濃縮物中の脂肪性溶剤溶物の含有量を2.0重量%以下に制御することが困難となる場合がある。
【0016】
本発明では、前記のアルミニウム顔料スラリーを、真空度100Torr 以下、加熱温度120℃以下の条件において、スラリー中の有機溶剤を蒸発することで、アルミニウムの含有量が50重量%より高く、95重量%以下の範囲の、目的とする濃度になるまで濃縮を行う。真空度が100Torrを超えた場合、溶剤を蒸発するには加熱温度を120℃以上に設定する必要があり、この温度ではアルミニウム顔料の表面での化学反応が進行し、アルミニウム顔料の品質、特に意匠性に悪影響を与える懸念があり、好ましくない。蒸発条件である真空度と加熱温度は、製品品質と生産性の点から、50Torr以下、110℃以下がより好ましく、10Torr以上20Torr以下、75℃以上90℃以下の範囲で制御されることが、更に好ましい。また、濃縮物の濃度は、アルミニウムの含有量が60重量%以上、90重量%以下にすることが好ましく、75重量%以上、85重量%以下にすることが更に好ましい。
【0017】
前記の濃縮を行う装置としては、スラリーを減圧下で加熱できる機能を有していれば、特に限定されないが、装置内を減圧できる機能を有する伝熱伝導で加熱を行う乾燥機や混合機が使用できる。なお、アルミニウム顔料に熱やせん断応力がかかる時間を短くし、かつ、生産性良く濃縮を行うために、溝型伝導伝熱乾燥機の一つである、セルフクリーニング機構をもつパドルを有する連続式撹拌型間接加熱乾燥機を用いることが、好ましい。
【0018】
前記の減圧下での加熱を行う濃縮の前には、連続かつ機械的な固液分離を用いて、供給するスラリー濃度を上げておくことが好ましい。機械的な固液分離は、ある特定の場の下で、固体と液体の間に速度差を与えて固液分離を行う、速度差分離である。固液分散系から固体を分離する場としては、重力や遠心力に代表される力場と、フィルターに代表される障害物が挙げられる。この様な、機械的な固液分離を併用することで、前記濃縮を行う際にアルミニウム顔料にかかる熱量を減らすことができる。また、生産性向上の点から、機械的な固液分離は連続して行うことが好ましい。この様な、連続かつ機械的な固液分離を行うことができる装置例として、遠心分離機やベルトフィルター、ドラムフィルターを挙げることができる。好適には、遠心分離機が用いられる。こうした予備処理によりアルミニウム顔料スラリー中のアルミニウム顔料の含有量を35重量%以上60重量%以下に、より好ましくは、40重量%以上50重量%以下の範囲まで濃縮することができる。60重量%を越えて前記の予備処理を行うことは困難であり、また35重量%未満では引き続く減圧下での加熱濃縮工程での蒸発量が多くなる点、最終濃縮物中の脂肪性溶剤溶物の含有量を2.0重量%以下に制御することが困難となる場合がある点で好ましくない。
【0019】
また、アルミニウムの含有量が15重量%になるまでの濃縮は、アルミニウム顔料粒子の粒径より小さい細孔径に調製された膜を用いた、ケークレスろ過によって行うことが好ましい。ケークレスろ過は、ろ過操作中にケーク表面に到達する粒子を掃流して、ケークの成長を出来る限り阻止するろ過法であり、長期間、連続して安定的に濃縮を行うことができる。例として、クロスフローろ過が挙げられる。
【0020】
濃縮運転を行うに当たっては、アルミニウム顔料の品質を保つために、前記の濃縮を行ったアルミニウム顔料スラリーの最終濃縮物中に含まれる、高級脂肪酸等の脂肪性溶剤溶物の割合が2重量%以下になる様に制御することが重要である。脂肪性溶剤溶物の割合が2重量%を超えた最終濃縮物を製品化し、メタリック塗料用顔料や印刷インキ用顔料として用いた場合、得られる塗膜や印刷物と基材との密着性等の物性と意匠性を含む品質が低下する。
【0021】
制御方法としては、スラリー中に含まれる脂肪性の溶剤溶物の濃度を適宜測定し、この測定結果に基づき、前記減圧下の加熱による濃縮工程および/または連続かつ機械的な固液分離における濃縮度を決定することが好ましい。本発明の条件範囲で行う減圧下での加熱操作では、脂肪性の溶剤溶物は蒸発しないため、これらは濃縮物中に残るが、一方で、機械的な固液分離では、液体であれば沸点の差によらず一律に分離できる。このことを利用し、スラリー中に含まれる脂肪性の溶剤溶物の濃度測定結果から、最終濃縮物中に含まれる脂肪性の溶剤溶物の割合を2重量%以下にするために除かなくてはならない脂肪性の溶剤溶物の量を算出し、連続かつ機械的な固液分離における濃縮度を決定し、および/または減圧下の加熱による濃縮度を決定することにより、最終濃縮物中の脂肪性溶剤溶物の濃度を制御することが出来る。
【0022】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明する。なお、実施例および比較例中で用いた各物性の測定方法は、以下のとおりである。
【0023】
▲1▼平均粒径:d50
レーザーミクロンサイザーLMS−24((株)セイシン企業製)により測定した。測定溶剤としては、ミネラルスピリットを使用した。試料となるアルミニウム顔料は、前処理として2分間の超音波分散を行った。
▲2▼加熱残分
JIS K 5906:1998に記載の加熱残分測定方法に従い、105℃の雰囲気で3時間加熱し、蒸発成分を除いた残留物の重量分率を測定した。
【0024】
▲3▼アセトン可溶分
JIS K 5906:1998に記載のアセトン可溶分測定方法に従い、測定した。
▲4▼溶剤中の脂肪性溶剤溶物濃度
試料となるアルミニウム顔料スラリーを、No.5Cろ紙を用いてろ過を行い、アルミニウム顔料と溶剤を分離する。分離した溶剤について、JIS K 5906:1998に記載の試料の加熱残分測定方法に従い、105℃の雰囲気で3時間加熱し、蒸発成分を除いた残留物の重量分率を測定した。
【0025】
▲5▼密着性評価
(1)塗料・塗膜の作製
アルミニウム顔料ペースト12gに混合シンナー90gとベースクリア50gを加え、ペイントシェーカーで5分間震蕩した。なお、混合シンナーは、トルエンと酢酸エチルとブチルセロソルブを、重量比で7:2:1で混合したものである。また、ベースクリアは、アクリディック47−712(大日本インキ化学工業(株)製)とスーパーベッカミンJ−820(大日本インキ化学工業(株)製)を、重量比で4:1で混合したものである。
このベースコート塗料を、エアスプレーを用いて塗装し、乾燥塗膜厚が10〜15μmの塗膜を作製した。続いて、塗膜上にクリアコートをwet−on−wet方式で塗装後、140℃で30分間焼き付けた。クリアコートの乾燥塗膜厚は25〜30μmとした。
【0026】
(2)評価
上記(1)で得られた塗膜を、JIS K 5400:1998に記載の塗膜の抵抗性に関する試験方法の付着性評価の碁盤目テープ法に従い、評価した。
密着性の評価は、下記の様に規定した。
◎ 切り傷1本ごとが、細くて両側が滑らかで、切り傷の交点と正方形の1目1目にはがれがない。
○ 正方形の1目1目にはがれがなく、欠損部の面積は全正方形面積の5%以内。
× 欠損部の面積は全正方形面積の5%以上。
【0027】
▲6▼着色力
(1)塗料・塗膜の作製
アルミニウム顔料ペースト5gにアクリックNo.2000GLシンナー(関西ペイント(株)製)8gを加え、予備分散し、さらに、アクリックNo.2026GLクリアー(関西ペイント(株)製)97gを加えた後、ペイントシェーカーで10分間震蕩して、シルバーメタリック塗料を得た。更に、前記シルバーメタリック塗料45gに、アクリックNo.2365GLブルー顔料(関西ペイント(株)製)5gを加え、ペイントシェーカーで10分間震蕩して、ブルーメタリック塗料を得た。このブルーメタリック塗料を、アート紙上に、9milのアプリケーターを用いて塗膜を作製後、室温で乾燥した。
【0028】
(2)測色
上記(1)で得られた塗膜を、SMカラーコンピューターSM−7−CH(スガ試験機(株)製)を用いて、入射角−45度と45度から塗膜へ入射した光を受光角0度で受光し、ハンターLab表色系のL値を測定した。
(3)着色力
ブルーメタリック塗膜の着色力を下記式(1)で定義する。
(着色力)=100+10×(試料塗膜と基準の塗膜とのL値の差) (1)
着色力の評価は、下記の様に規定した。
○ 着色力が96以上104以下。
△ 着色力が94以上96未満、または104より大きく106以下。
× 着色力が94未満、または106より大きい。
【0029】
[実施例1]
内径1m、長さ1mのボールミル内に、アトマイズドアルミニウム粉(平均粒径8μm)20kg、ミネラルスピリット200kg、及び、オレイン酸2kgからなる配合物を充填し、直径3mmのガラスビーズ(比重2.6)600kgを用い、25rpmで14時間粉砕・研磨した。
粉砕・研磨終了後、ミル内のスラリーをミネラルスピリットで洗い出し、650メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーを回収した。
回収したアルミニウム顔料スラリーは総量で4000kg、アルミニウムの含有量が0.5重量%であった。また、スラリーを構成する溶剤中の脂肪性溶剤溶物濃度は、1.1重量%であった。
【0030】
このアルミニウム顔料スラリーを、クロスフローろ過システムで、スラリー中のアルミニウム含有量が10重量%になるまで濃縮し、続いてデカンタ型遠心分離機を用いて、アルミニウム含有量が50重量%になるまで濃縮した。クロスフローろ過システムには、モノリス形状をしたセラミック製の限外ろ過膜(細孔径0.2μm)を使用した。ろ過圧力0.1MPaで濃縮運転を行い、間欠的に逆洗を実施した。遠心分離機はデカンタ型のものを2台、カスケードに組み、遠心力を500G以上、1000G以下の範囲で作用させて、濃縮運転を行った。
【0031】
この様に、連続かつ機械的な固液分離によって50重量%まで濃縮を行ったアルミニウム顔料スラリーを、セルフクリーニング機能付き連続式攪拌型間接加熱乾燥機(株式会社 栗本鐵工所製 SCP−100)によって、アルミニウム含有量が85重量%になるまで濃縮し、最終濃縮物とした。この場合、最終濃縮物中の脂肪性の溶剤溶物は1.0重量%となる。なお、加熱乾燥機は、装置内の真空度を15Torr、加熱温度を80℃に調整し、滞留時間が10分間になる様に運転した。
【0032】
上記の濃縮運転を2時間実施し、最終濃縮物を11kg/Hrで回収した。
最終濃縮物は、所定量のソルベントナフサと添加剤を加えた後、混合攪拌機で15分間混合し、加熱残分74重量%のアルミニウム顔料ペーストとした。
顔料ペーストの物性測定結果は、平均粒径が20.0μm、アセトン可溶分が0.9重量%であった。
この顔料ペーストを評価した結果、密着性は◎の評価であった。また、着色力は、生産時から半年間○の評価であり、色調に関する貯蔵安定性についても問題はなかった。
【0033】
[実施例2]
減圧加熱による濃縮運転における真空度を40Torr、加熱温度を90℃に調整した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、アルミニウム顔料ペーストを得た。
この顔料ペーストの物性および評価結果を、表1に示す。
【0034】
[実施例3]
セルフクリーニング機能付き連続式攪拌型間接加熱乾燥機の代わりに、回分式の真空混合攪拌器で150分間かけて濃縮を実施した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、アルミニウム顔料ペーストを得た。
この顔料ペーストの物性および評価結果を、表1に示す。
【0035】
[実施例4]
減圧下での加熱を行うアルミニウム顔料スラリーのアルミニウム含有量を40重量%とし、加熱乾燥機内の滞留時間を14分間で運転した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、アルミニウム顔料ペーストとした。
このペースト物性および評価結果を、表1に示す。
【0036】
[比較例1]
振動篩を通過したアルミニウム顔料スラリーを、従来用いられてきた濃縮装置であるフィルタープレスによって、アルミニウム含有量が85重量%になるまで濃縮を実施し、最終濃縮物を得た。その他は実施例1と同様の操作を実施した。
得られた顔料ペーストの物性および評価結果を、表1に示す。
【0037】
[比較例2]
減圧加熱による濃縮運転における真空度を110Torr、加熱温度を140℃に調整し、装置内の滞留時間が9分間となる様に運転した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、アルミニウム顔料ペーストを得た。
この顔料ペーストの物性および評価結果を、表1に示す。
顔料ペーストの評価結果は、着色力について、生産時に△、生産から3ヵ月後と半年間では×の評価であり、色調に関する貯蔵安定性を満足することが出来なかった。
【0038】
[比較例3]
減圧下での加熱を行うアルミニウム顔料スラリーのアルミニウム含有量を30重量%とし、加熱乾燥機内の滞留時間を20分間で運転した以外は、実施例1と同様の操作を実施し、アルミニウム顔料ペーストを得た。この場合、最終濃縮物中の脂肪性の溶剤溶物は2.2重量%となり、本発明の範囲外なる。
この顔料ペーストの物性および評価結果を、表1に示す。
顔料ペーストの評価は、密着性について、×の評価であった。
なお、実施例では、連続かつ機械的な固液分離装置として、クロスフローろ過システムと遠心分離機を使用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ドラムフィルターやベルトフィルター等の装置を採用することが可能である。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本発明のアルミニウム顔料ペーストの製造方法を用いれば、メタリック顔料としての品質、意匠性を損なうことなく、生産性、作業性、安全性を向上することができる。
Claims (4)
- フレーク状アルミニウム顔料と、脂肪性溶剤溶物を含む有機溶剤から成るアルミニウム顔料スラリーを、連続かつ機械的な固液分離を行う工程と、真空度100Torr以下、加熱温度120℃以下の条件で有機溶剤を蒸発させる濃縮工程とからなるアルミニウム顔料ペーストの製造方法において、前記スラリー中に含まれる脂肪性溶剤溶物の濃度を測定し、この測定結果に基づき、前記濃縮工程および/または連続かつ機械的な固液分離における濃縮度を決定し、最終濃縮物中に含まれる脂肪性の溶剤溶物の割合が2重量%以下であり、かつ、アルミニウムの含有量が50重量%より高く、95重量%以下の範囲まで濃縮することを特徴とするアルミニウム顔料ペーストの製造方法。
- 前記濃縮工程を、セルフクリーニング機構をもつパドルを有する連続式撹拌型間接加熱乾燥機を用いて行う、請求項1に記載のアルミニウム顔料ペーストの製造方法。
- 前記固液分離に遠心分離機を用いる、請求項1に記載のアルミニウム顔料ペーストの製造方法。
- 前記固液分離について、アルミニウムの含有量が15重量%になるまでの濃縮を、アルミニウム顔料粒子の粒径より小さい細孔径に調製された膜を用いたケークレスろ過によって行う、請求項1に記載のアルミニウム顔料ペーストの製造方法。
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