JP4497786B2 - 用毛先端部の整列方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、用毛端部の整列方法及びに関わり、特にブラシの製造に好適な用毛端部の整列方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
所定長さに切断された所定本数の用毛の先端部を所定の立体的整列形態に整列させて植毛する歯ブラシの製造方法に関する従来技術としては、例えば、米国特許第5454626号に開示されている技術が知られている。
この技術は、貫通孔を有するキャリア内に用毛を導入し、該キャリアの一端側に用毛の先端部を整列させる整列孔を有する配列プレートを配し、該キャリアの他端側から空気を送り込んで用毛の先端部を整列孔の先端部に押し当てて用毛の先端部を整列させるものである。
【0003】
ところで、この技術では、貫通孔が多列に配されている場合、特に貫通孔の軸を異なる向きとして用毛束を異なる向きに植毛したい場合には、各貫通孔へ平均した空気量を供給することが困難となり、用毛がきれいに立体的に整列したブラシを製造することが困難であった。
【0004】
一方、特開平7−194433号公報に記載の技術では、所定長さの用毛を孔付きプレート内に導入し、該プレート内において所定の先端形状を有する搬送プランジャーとこれと対をなす対圧力プランジャーとの間で用毛の先端部を立体的な整列形態に整列させ、整列後に用毛を成形金型に移行し、射出成形して植毛するものである。
【0005】
しかし、この技術では、用毛束の先端部が付き当たって整列される部分にも搬送プランジャーと同じステップ状の形状が設けられ、且つその形状には角部が存在するため、搬送プランジャーの特定のステップに押されている用毛の対圧力プランジャー側の端部が、対圧力プランジャーの対応すべきステップに位置しなかった場合には、本来位置すべきステップへ用毛端が移動できずに、用毛が引掛って曲がったり、折れたりするおそれがあり、用毛の先端部が立体的にきれいに整列したブラシを製造することが困難である。
【0006】
従って、本発明の目的は、用毛の先端部が立体的にきれいに整列したブラシの製造に好適な用毛先端部の整列方法及び装置を提供することにある。
ここで、用毛束の配向性に優れるとは、用毛束を構成する個々の用毛が、ねじれたり折れ曲がったりせずに、その長さ方向に伸び、束としてきれいにまとまっている状態をいい、用毛がきれいに整列している状態とは、前記用毛束の配向性と合わせて、用毛束の先端部が所望の形状となるように個々の用毛の先端が所定の整列形態にきれいに整列していることをいう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定長さに切断された所定本数の用毛を導入部に導入した後、前記導入部に導入された前記用毛を送出部材で押し出して用毛保持治具の挿入部に挿入し、前記用毛の先端部を所定の立体的整列形態に整列させる用毛先端部の整列方法であって、前記挿入部の挿入方向先端部を前記用毛の前記整列形態に対応した形状に設ける一方で、前記送出部材の先端部を前記整列形態に対応した所定の形状に設けておき、前記送出部材で前記用毛の後端部を押して前記用毛の先端部を押し出し、前記挿入部に挿入してその挿入方向先端部に接触させ、前記用毛の先端部を前記挿入方向先端部の先端部の形状に整列させる用毛先端部の整列方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。なお、上記の「ずれ」とは、用毛を押し出したときに、押出方向と異なる方向に用毛が移動することを意味する。
【0008】
また、本発明は、所定長さに切断された所定本数の用毛の先端部を所定の立体的整列形態に整列させる装置であって、用毛が導入される導入部を有するスリーブと、前記スリーブ内に挿入された用毛を押し出す送出部材と、押し出された用毛の挿入部を有する用毛束保持治具とを備えており、前記送出部材の先端の周縁部に、前記用毛の押出方向に対して略直交する面が設けられているか、又は前記送出部材の先端に、前記用毛の押出方向に対して略直交する面で段差が設けられており、前記挿入部の挿入方向先端部が、前記用毛の前記整列形態に対応した形状に設けられている用毛先端部の整列装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0010】
また、本発明は、所定長さに切断された所定本数の用毛の先端部を所定の立体的整列形態に整列させる装置であって、用毛が導入される導入部を有するスリーブと、前記スリーブ内に挿入された用毛を押し出す送出部材と、押し出された用毛の挿入部を有する用毛束保持治具とを備えており、前記送出部材の先端部の少なくとも一部が、粗面に設けられているか又は弾性部材で設けられており、前記挿入部の挿入方向先端部が、前記用毛の前記整列形態に対応した形状に設けられている用毛先端部の整列装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、その好ましい実施形態として、歯ブラシの製造に適用した実施形態に基づいて、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1〜図5は、本発明の用毛先端部の整列装置(以下、単に整列装置ともいう。)をブラシの製造装置に適用した一実施形態を示すものである。これらの図において符号1は製造装置、10は整列装置、11は歯ブラシ本体、12は植毛基部、12aは植毛基部12に設けられた植毛孔を示している。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の整列装置は、後述する製造装置1における、用毛13が導入されて後述のように整列させられる導入部(以下、整列部ともいう。)60を有する挿入スリーブ(スリーブ)61と、挿入スリーブ61内に挿入された用毛を押し出す挿入ピン(送出部材)81と、押し出された用毛13の挿入孔(挿入部)90を有する用毛束保持治具91とから構成されている。
【0014】
本実施形態における挿入孔(挿入部)は、個々の用毛束を個別に保持するために、各用毛束に対応するように用毛束保持具に設けられている。用毛束を個別に保持することで、挿入工程における用毛先端部の整列を精度良く安定的に行うことができると同時に、溶融塊形成工程、射出成形工程等も含めた各工程での用毛束の乱れを抑制することができる、最終製品の配向状態と整列状態をより良くすることができる。
【0015】
また、導入部内の用毛密度は、50〜75%が好ましく、より好ましくは55〜70とする。導入部内用毛密度が低すぎると導入部内で用毛の配向状態が乱れるために整列を行いにくくなり、高すぎると押出し抵抗が大きくなるために整列形態に対応した形状にしにくくなる場合がある。ここで、導入部内用毛密度は、(挿入される用毛の長さ方向に直交する断面積の総和)/(導入部の直線部分における長さ方向に直交する断面積)をいう。
挿入部内の用毛密度は、植毛基部を用いずに用毛束保持具を成形金型として用いる場合は60〜80%とすることが好ましく、より好ましくは65〜75%とする。
【0016】
一方、植毛基部を用いる場合は、植毛基部の植毛孔内の用毛密度を、60〜80%とすることが好ましく、より好ましくは65〜75%とする。ここで、挿入部内又は植毛孔内の用毛密度は、(挿入される用毛の長さ方向に直交する断面積の総和)/(挿入部又は植毛孔内の挿入深さ方向に直交する断面積)をいう。
挿入部内又は植毛孔内の用毛密度を上記の範囲とすることで、適度な拘束状態と挿入部又は植毛孔内壁との摩擦抵抗を得ることができるため、用毛束の配向状態と整列状態を一層良好な状態にすることができる。
【0017】
挿入部内又は植毛孔内の用毛密度が高すぎる場合は、挿入部内または植毛孔内での用毛密度が過剰に高くなりやすく、発生する応力が過剰となるため用毛束の先端が開いてしまうなどの配向状態及び整列状態が悪くなりやすい。また、挿入時に各用毛が相対的にずれたりねじれたりすることで整列状態を乱したり、用毛が座屈して折れてしまうなどの挿入ミスが生じやすい。
【0018】
挿入部内又は植毛孔内の用毛密度が低すぎる場合は、溶融塊形成工程や射出成形工程等において、さらに配向状態と整列状態を乱したり、植毛孔または挿入部からの樹脂漏れが生じたりしやすい。
【0019】
また、植毛基部を用いる場合は、挿入部内の用毛密度を、植毛孔内の用毛密度よりもさらに5〜20%低くすることが好ましく、さらに好ましくは5〜10%低くする。挿入部内用毛密度が低すぎると、植毛基部の位置決め精度のふれによって実質的に挿入面積が狭くなりすぎてしまい、挿入ミスや毛立ちの不良が発生する。挿入部内用毛密度が高すぎると、用毛の挿入抵抗が高くなりすぎ、用毛束の整列状態を維持しにくくなると同時に、用毛先端部の整列形態が広がり易くなる。
【0020】
挿入スリーブ61は、スリーブ本体61bと、スリーブ本体61bの下端から突出するノズル部61cとを有している。挿入スリーブ61の内部には、スリーブ本体61bからノズル部61cに上下に貫通するように前記整列部60が設けられている。整列部60の導入口は、後述する送出手段8の挿入ピン(押出手段)81の挿入が行い易いように漸次拡径されている。
【0021】
挿入スリーブ61の周壁部には、外部から前記整列部60に通じるよう一対の通気路61aが形成されている。そして、図2に示すように、挿入ピン81の先端部81aを当該開口部から露呈させた状態で、この通気路61aを通じて挿入スリーブ61内を負圧吸引することによって、当該挿入ピン81で用毛13を押し出し始める前に、前記挿入ピン81の先端部に用毛13の後端部を当接させ、用毛13を予め揃えられるようになっている。
【0022】
通気路61aは、用毛13の送出方向(下方)に向けて斜めに設けられており、用毛13が整列部60内に導入されるときにその引っ掛かりを防止できるようになっている。また、これらの通気路61aを通じて整列部60内を負圧吸引することで、後述するように、挿入スリーブ61内から用毛13が落下することを防止できるようになっている。
【0023】
図2に示すように、通気路61aの開口部は、後述する挿入ピン81の先端部81aが露出する形状を有している。通気路61aの開口部の形状をこのような形状とすることで、後述するように挿入ピン81で用毛13を押し出して送り出すときに、挿入ピン81の先端部81aが通気路61aの開口部を通過すると、用毛13の上端部が挿入ピン81の先端部81aの形態に素早くに揃えられて押し出せるようになっている。これにより、用毛13を、その先端部を挿入孔90の先端部90aの形状に合わせて容易に挿入することができるようになっている。
【0024】
挿入ピン81は、先端部81aに用毛13の整列形態に近似的に対応するステップ状の形状を有する棒状の部材である。図2に示すように、挿入ピン81の先端部81aは、用毛13を挿入スリーブ61から押し出すときに用毛13の後端部がずれないような形状に設けられている。本実施形態では、後述の用毛束保持治具91の挿入孔90の先端形状と略対応した形状であり、用毛の押出方向に略直交する面で段差が形成されて階段状(ステップ状)に設けられている。
【0025】
図2に示すように、この段差における押し出し方向における幅wは、用毛の長さ方向に直交する断面の最小寸法をdとすると、0.3d〜4dであることが好ましく、0.5d〜2dであることがより好ましい。幅が広すぎると用毛の先端形状が滑らかな曲線を得られない(滑らかな曲線形状を得ようとしても、段差形状となる)ことがあり、幅が狭すぎると押し出す前から用毛が押出方向に対してずれた状態となってそのまま押し込まれるため所望の形状が得られないことがある。
【0026】
挿入ピン81は、前記整列部60内で整列された用毛13を押し込む過程で、前記通気路61aを通じた吸引を遮断する機能も有している。
挿入ピン81は、挿入ピン81の整列部60への噛み込み及び用毛13の挿入ピン81と整列部60との間への噛み込みを防止する一方で、用毛を押し出すときの通気路61aによる吸引の遮断性を妨げない範囲で、用毛13の直径より狭い所定のクリアランス(挿入ピン81の外周と整列部60の内周との間の最大隙間)を設けることが好ましい。該クリアランスは、0.03〜0.15mmであることが好ましい。
【0027】
前記用毛束保持具91の挿入部90の先端部90aは、用毛13の先端部の最終的な(歯ブラシ製品としての)立体的な整列形態である中央部が湾曲した形態に対応した形状を有している。
先端部90aの表面は、本実施形態では、平滑に設けられていて、用毛束が挿入された際に、個々の用毛が実質的に抵抗がない(引掛かることがない)。従って、用毛束が挿入されて、先端部90aに接触した際、個々の用毛が先端部90aの形状に沿うように個々の用毛の移動がスムーズに行われ、先端部90aの形状に沿って整列される。尚、先端部90aの表面は、前記用毛の移動を妨げない範囲で表面を粗面とすることもできる。先端部90aの表面は、算術平均粗さRa値(JISB0031/0601)が100以下であることが好ましい。
【0028】
図1に示すように、前記用毛束保持治具91は、歯ブラシ本体11の植毛基部12に対応した凹部91aを有する上板部91bと、その下方に配された中板部91cと、さらにその下方に固定された下板部91dとを有している。前記挿通孔90は、上板部91bから下板部91dに通じるように所定の向きに形成されている。中板部91cは、前後動自在に配されており、用毛13が挿入孔90内に挿入された状態で当該用毛13にせん断方向の力が働くようにスライドさせることで、用毛13の配向後に当該用毛束保持治具91を移動させる場合に、挿入孔90内に挿入された用毛13の配向にずれや乱れが生じないようになっている。また、下板部91dを取り替えるだけで、用毛の配向方向は同じでその先端の整列形態のみを変化させた種々の歯ブラシを製造できるようになっている。
【0029】
次に、前記整列装置を具備する前記製造装置1について説明する。
製造装置1は、図4及び図5に示すように、所定長さに切断された多数の用毛13を集積させる集毛手段2と、集毛手段2で集積された用毛13の集合から所定本数の用毛13を分離して所定位置に移送する分離移送手段3と、分離移送された用毛13を整列部40内で拘束せずにその長さ方向又は径方向に整列させる第1整列手段4と、分離移送された用毛13を整列部40に導く用毛導入手段5と、整列された用毛13を整列部(導入部)60内で拘束せずにさらにその長さ方向又は径方向に整列させる第2整列手段6と、整列部40で整列された用毛13を整列部60に導く用毛導入手段7と、整列部60で整列された用毛13を整列部60の外へ送り出す用毛の送出手段8と、送出手段8で送出された用毛13を所定方向に配向させる配向手段9とを備えている。
【0030】
前記集毛手段2は、ベーステーブル20上に設けられた溝状の集積部21内に、用毛13を起立状態で揃えて後方から前方に向けて(以下、この方向をx方向ともいう。)押圧し、用毛13を所定の集積密度で集積する装置である。
【0031】
前記分離移送手段3は、前記集毛手段2の前方において、x方向と直交する方向(以下、この方向をy方向ともいう。)に沿って配されており、鞘部30及びその内部に配されたピッキングブレード31をy方向に往復動させて前記集積部21内に集積された用毛13の集合から所定本数の用毛13を分離して所定位置に移送する装置である。
【0032】
前記第1整列手段4は、ローター42がインデックスユニット43aによって主軸42a周りに間欠的に水平回転する間に、当該ローター42に装着された整列スリーブ41の整列部40内に導入された用毛13を、整列スリーブ41に設けられた通気路41aを通じて整列部40内に吸引保持する一方で、用毛13の上端部をタップピン44、45、46でそれぞれタップするとともにエアブロワー48でエアーを吹き付けて、用毛13の先端部を底板42dで整列させ、用毛13をその長さ方向及び径方向に整列させる装置である。
【0033】
図4に示すように、整列部40は、上端開口部が上方に向けて拡開するテーパー状の形態を有しており、前記分離移送手段3で分離された用毛13が当該整列部40に確実に導入できるようになっている。
【0034】
整列部40の長さは、用毛13の端部の広がりを防ぐほか、整列部40内で気流を使用して効果的に用毛13を整列できる点から、前記拡開している部分を除いた直線部分の長さL1が用毛13の長さの100〜200%であることが好ましい。
【0035】
整列部40の前記直線部分におけるその軸方向に直交する断面形状は、前記植毛基部12の植毛孔(直線部分)12aの軸方向に直交する断面形状よりも大きく設けられている。また、整列部40の前記直線部分におけるその軸方向に直交する断面積は、用毛間を流れる気流によって用毛を拘束せずにその長さ方向又は径方向に整列させる点から、用毛が導入されたときの空隙率が40〜55%となるようにすることが好ましい。ここで、空隙率とは、(整列部40の前記直線部分におけるその軸方向に直交する断面積−(導入される用毛の軸方向に直交する総断面積))/(整列部40の前記直線部分におけるその軸方向に直交する断面積)の百分率である。導入される用毛の太さが同じである場合には、導入される用毛の軸方向に直交する総断面積は、(導入される用毛の総数)×(一本の用毛の軸方向に直交する断面積)である。
【0036】
整列部40は、前記空隙率を有する形態で、植毛孔12aの軸方向(挿入深さ方向)に直交する断面形態に相似形とすることが好ましいが、後述する挿入スリーブ61の変更のみで種々の断面形状の植毛孔12aや挿入孔90に用毛を挿入できるようにし、整列スリーブ41に汎用性を持たせる場合には、予想される植毛孔12aの軸方向(挿入深さ方向)に直交する断面積より大きな円形又は楕円形等の形状とすることが好ましい。
【0037】
整列スリーブ41の周壁部の下方部には、内部から外部に通じる複数の通気路41aが等間隔で放射状に設けられている。そして、これらの通気路41aを通じて整列部40内を負圧吸引することで、導入時の自由落下による用毛13の跳ね返りを防止できるようになっている。また、この通気路41aを通じて整列部40内を吸引することで、用毛13の一部が整列部40の外側即ち整列スリーブ41の内面側に移動し、整列部40内における用毛13どうしに間隔を作りやすくして用毛13の整列がスムーズに行われるようになっている。さらに、この通気路41aを通じて整列部40内を吸引し続けることで、整列部40内で用毛13を吸引保持し、ローター42が回転している間にも用毛13を安定的に移送できるようになっている。
【0038】
通気路41aは、整列部40の挿入先端部で負圧吸引によって保持し、整列部60に移送する際に、用毛13を移送完了近くまで確実に保持する点から整列スリーブ41の下端から3〜10mmの位置に設けることが好ましい。一つの通気路41aの断面積は、用毛13の引掛かりを防止して、整列部40内に十分な負圧吸引力を与えて用毛13を保持できる点から7×10−3〜3×10−2mmであることが好ましい。通気路41aは、放射状に略均等に4〜16本形成することが好ましい。通気路41aは、導入部40に導入するときの用毛の引っ掛かりを防ぐ点から用毛13の導入方向(下方)に向けて斜めに設けられていることが好ましい。
【0039】
本実施形態では、ローター42を平面視したときの9時の位置を0度とすると、0度の位置で整列スリーブ41内へ用毛が導入され、0度から反時計回りに、45度、90度及び135度の位置でそれぞれ前記タップピン44、45及び46によって用毛の上端部がタップされ、180度の位置で後述の挿入スリーブ61への移送が行われるようになっている。なお、同315度の位置では、クリーニング用のエアブロワー(図示せず)で整列スリーブ41内のクリーニングが行われるようになっている。
【0040】
前記用毛導入手段5は、前記0度の位置にある前記整列スリーブ41の下方に配された吸引管路50を通じた整列部40内の下向き気流による吸引、及び押圧ロッド51による強制的なタッピングによって、前記分離移送手段3で所定位置に移送された用毛13を整列部40内に導入する装置である。
【0041】
前記第2整列手段6は、前記整列部60を内部に有する8本の挿入スリーブ61を所定の周回軌道で移送する間に、整列部60内に導入された用毛13を挿入スリーブ61に設けられた通気路61aを通じて吸引保持する一方で、用毛13の上端部をタップピン64、65、66でそれぞれタップするとともにエアブロワー68でエアーを吹き付けて用毛13の先端部を底板62dで整列させ、用毛13をその長さ方向及び径方向に整列させる装置である。
【0042】
整列部60の長さは、挿入ピン81で用毛13の端面を確実に捕らえて挿入できるようにする点から、前記拡開している上端開口部を除いた直線部分の長さL2が用毛13の長さの100〜150%であることが好ましい。
【0043】
また、整列部60の直線部分におけるその軸方向に直交する断面の面積は、用毛間を流れる気流によって用毛を拘束せずにその長さ方向又は径方向に整列させ、且つ整列部40より低い空隙率にして植毛孔12aに安定して導入する点から用毛が導入されたときの前記空隙率が32%〜40%となるようにその断面積を設けることが好ましい。
【0044】
図5に示すように、製造装置1は、ローター62を平面視したときの9時の位置を0度とすると、0度の位置で整列スリーブ41から挿入スリーブ61へ用毛が移送され、0度から時計回りに、45度、90度及び135度の位置でそれぞれタップピン64、65及び66によって用毛の上端部がタップされ、180度の位置で後述のxyステージユニット92に固定された前記用毛束保治具91の挿入孔90への用毛13の挿入が行われるようになっている。なお、同270度の位置では、クリーニング用のエアブロワー(図示せず)で挿入スリーブ61内のクリーニングが行われるようになっている。
【0045】
ノズル部61cの送出方向に直交する断面積Asと、植毛孔12a及び挿入部の挿入深さ方向に直交する断面積Aiとの比(As/Ai)は、植毛後の毛立ちを保持したり、植毛基部の背面に溶融樹脂を充填する際の植毛孔12aへの樹脂のもれを防止したりする点から1.0〜1.3であることが好ましい。
【0046】
図4に示すように、前記用毛導入手段7は、前記0度の位置にある前記挿入スリーブ61の下方に配された吸引管路70を通じて整列部60内の下向きの気流を生じさせて吸引する一方で、押し込みピン73で前記整列部40内で整列された用毛13を下方に押し込んで整列部60内に導入し、受取ピン71の上端部でその先端部を揃える装置である。
【0047】
押し込みピン73は、整列部40内で整列された用毛13を押し込む過程で、前記通気路41aを通じた吸引を遮断する機能も有している。押し込みピン73は、押し込みピン73の整列部40への噛み込み及び用毛13の押し込みピン73と整列部40との間への噛み込みを防止する一方で、用毛を押し込むときの通気路41aによる吸引の遮断性を妨げない範囲で、用毛13の直径より狭い所定のクリアランス(押し込みピン73の外周と整列部40の内周との間の最大隙間)を設けることが好ましい。該クリアランスは、0.03〜0.15mmであることが好ましい。
【0048】
前記用毛の送出手段8は、前記挿入スリーブ61をその上下動機構(図示せず)で上下動させ、前記整列部60内で整列された用毛13を、挿入ピン81で押し出して後述の用毛束保持治具91の挿入孔90に挿入する装置である。
【0049】
前記配向手段9のxyステージユニット92は、前記用毛束保持治具91を水平面に沿って二次元移動させる装置であり、用毛束保持治具91上に固定された前記歯ブラシ本体11の基板部12の植毛孔12aが、前記挿入ピン81の昇降位置に位置決めされるように、用毛束保持治具91を移動させる。
【0050】
前記植毛部12の植毛孔12aの一部は、その挿入深さ方向が、図1に示すように、一部が前記用毛の押出方向(z方向)に対して所定角度を有して設けられている。この範囲は、歯間到達速度及び歯垢除去効果を確保する点から−20〜20°であることが好ましい。
また、植毛孔12aの挿入口は、外方に向けて漸次拡開するようにテーパー状に設けられている。この角度αは、挿入スリーブ61と植毛孔12aの位置ずれを吸収して用毛が確実に植毛孔12aに挿入されるようにしたり、植毛孔12aの植毛密度を高くする場合に用毛がスムーズに植毛孔12a内に挿入されるようにしたり、用毛の挿入後に植毛基部の背面側に溶融樹脂を充填するときに植毛孔12aへの樹脂の漏れを防止したり、或いは当該拡開部分に樹脂が固まることによって植毛強度(用毛束の引き抜け強度)を高めたりする点から30〜50°であることが好ましい。角度が広すぎると、挿入時に用毛がテーパー部に当たった場合に用毛の長さ方向に曲折応力がかかり、毛折れ、その後の挿入ミス或いは毛立ちの乱れの原因となるほか、植毛孔12aどうしの間隔が広くなりすぎる場合がある。
【0051】
製造装置1は、前記各手段を所定のシーケンスに従って同期して作動させるシーケンサーを備えた制御部(図示せず)を有しており、用毛13の分離から挿入までの一連の動作は全て自動で行われるように構成されている。
【0052】
次に、本発明の用毛先端部の整列方法を、その好ましい実施形態として、前記製造装置1を用いたブラシの製造方法に適用した実施形態に基づいて説明する。
【0053】
本実施形態では、先ず、図4に示すように、前記集毛手段2の前記集積部21に所定長さの用毛13を縦に揃えた状態で所定の集積密度で集積させる。用毛13の集積密度は、用毛13の太さ、用毛の材質、用毛の長さに応じて適宜設定することができるが、用毛13を分離し易くする観点から50〜75%であることが好ましく、55〜70%であることがより好ましい。ここで用毛の集積密度とは、単位面積当たりの集積した用毛の総断面積の割合(百分率)である。
【0054】
用毛13には、従来から歯ブラシの用毛に用いられている通常の材質、形態のものを特に制限なく用いることができる。
用毛13の材質としては、ナイロン等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられる。
用毛13の長さは、5〜20mmであることが好ましく、8〜18mmであることがより好ましい。用毛13の太さは、6〜10mil(127〜254μm)であることが好ましく、7〜9mil(178〜229μm)であることがより好ましい。
【0055】
次に、用毛の分離工程で、所定長さに切断された用毛13の集合から所定本数の用毛13を分離する。
本実施形態では、前記分離移送手段3で集積部21に集積された用毛13の集合から所定本数の用毛13を分離する。そして、用毛13をy方向に移動し、前記ローター42を平面視したときの前記0度の位置にある前記整列スリーブ41の上方でその略同軸上において位置決めする。
【0056】
次に、用毛の整列工程で、分離された前記用毛13を、前記第1整列手段4における整列スリーブ41の整列部40に導いて、拘束せずにその長さ方向又は径方向に整列させる。ここで、拘束せずにとは、整列部40内において、支持(保持)がないと用毛13が容易に自由落下してしまう状態をいう。
【0057】
用毛の整列工程では、整列スリーブ41の前記通気路41aを通じた負圧吸引による気流によって整列部40内に導入された用毛13を保持する。この気流による保持によって、底板42cのない部分における用毛13の整列スリーブ41内からの落下が防止される。この状態で、前記ローター42が反時計回りに略45度刻みで180度回転する。この間に、前記タップピン44〜46が整列部40内の用毛13の上端部をそれぞれタップし、用毛13を長さ方向及び径方向に整列させる。また、前記エアブロワー48が整列部40内にエアーを吹き付け、用毛13を全て整列部40内に納め、各用毛13の先端を底板42cで整列させる。
【0058】
次に、用毛の導入工程において、第1整列手段4で整列された用毛13を前記挿入スリーブ61内の整列部60内に導いて拘束せずにその長さ方向及び径方向に整列させる。ここで、拘束せずにとは、整列部60内において、支持(保持)がないと用毛13が容易に自由落下してしまう状態をいう。
【0059】
本実施形態では、前記ローター42が前記0度の位置から180度回転すると、整列スリーブ41の下方でその同軸上に位置する挿入スリーブ61の整列部60内が、用毛導入手段7の前記吸気管路70を通じて前記負圧源によって負圧吸引される。その一方で、前記用毛導入手段7の前記押し込みピン73が降下し、整列部40内で整列された用毛13を当該整列部40内から下方に押し出し、用毛13の上端が整列スリーブ41の通気路41aを通過するまで用毛13を押し込んで負圧を解く。そして、吸気管路70を通じた負圧吸引による下向きの気流によって、用毛13を挿入スリーブ61の整列部60内に素早く導く。用毛13は前記受取ピン71の上端面で止められる。
【0060】
そして、挿入スリーブ61の前記通気路61aを通じた負圧吸引による気流によって整列部60内に形成された用毛13を保持する。この気流による保持によって、底板62dのない部分における用毛13の挿入スリーブ61内からの落下が防止される。この状態で、前記ローター62が時計回りに略45度刻みで180度回転する。この間に前記タップピン64〜66が用毛13の上端部をタップし、用毛13を長さ方向に整列させる。また、前記エアブロワー48が整列部60内にエアーを吹き付け、用毛13を全て整列部60内に納め、各用毛13の先端を底板62dで整列させる。整列部60内の用毛の密度は用毛間を流れる気流によって用毛を拘束せずにその長さ方向及び径方向に整列させ、整列された用毛を熾烈部60より高い密度にして植毛孔12aに安定的に挿入できるようにする点から60〜68%であることが好ましい。
【0061】
次に、用毛の配向工程(挿入工程)で、整列された前記用毛13を前記用毛束保持治具91の挿入孔90に挿入して所定方向に配向させる。
本実施形態では、前記植毛孔12aを有する植毛基部12を先端部に備えたブラシ本体11を予め成形しておき、ブラシ本体11を、植毛孔12aを挿入孔90に合わせて用毛束保持治具91上に固定しておく。そして、前記挿入スリーブ61で前記植毛孔12aを介して前記用毛13を前記挿入ピン81で前記挿入孔90に挿入する。
【0062】
本実施形態では、ローター62の前記3時の位置における挿入スリーブ61と挿入ピン81の昇降のタイミングは、次にように行われるようになっている。
【0063】
先ず、図6(a)に示すように、挿入スリーブ61が、その先端部が前記用毛束保持治具91に固定された歯ブラシ本体の植毛基部12の上面に対して所定のギャップGを有するように降下する。このギャップGの範囲は、用毛13を安定的に挿入させること及び挿入スリーブ61の先端と植毛基部12の接触防止の点から0.1〜5mmであることが好ましい。
【0064】
次に、図6(b)及び(c)に示すように、挿入ピン81が整列部60内の用毛13の上方から最下点まで降下し、用毛13を下方に押し下げる。この際、挿入ピン81の先端部81aが通気路61aの開口部から露呈されると、用毛13の上端部が通気路61aを通じた負圧吸引によって挿入ピン81の先端部81aの形状に沿って確実に揃えられる。そして、さらに挿入ピン81の先端部が開口部を通過するまで降下すると、通気路61aを通じた吸引が遮断され、用毛の吸引も解かれる。
【0065】
本実施形態では、挿入ピン81の先端部81aが用毛束保持治具91の挿入孔90の先端部90aに対応した階段状の形態に設けられているため、前記通気路61を通じた吸引によって用毛13の先端部が挿入孔90に挿入される前に揃えられる。このため、全ての用毛13の上端部が挿入ピン81の先端部81aからずれることなくその軸方向にほぼ真っ直ぐに揃った状態で挿入孔91内に挿入される。これにより、植毛の最終形態である挿入孔90の先端部の形態に対応した用毛13の挿入が可能となる。
【0066】
図6(c)に示すように、挿入ピン81の先端部は、最下点まで降下したときでも挿入スリーブ61内に位置するように設定されている。植毛基部の上面から突出させる用毛の長さは、0.3〜1.5mmであることが好ましい。突出長さが長すぎると植毛孔12aの挿入口に密着した溶融塊の形成に時間を要する場合があり、短すぎると植毛強度(用毛束抜け強度)が弱くなる場合がある。
【0067】
挿入ピン81が最下点まで達して用毛13の挿入孔90への挿入が完了すると、図6(d)に示すように、挿入ピン81よりも挿入スリーブ61のほうが先に上昇を開始する。そして、挿入スリーブ61の先端部が全ての用毛13の上端部(挿入ピン81側の端部)より上に上昇して整列部60内から当該用毛13の上端部を露呈させた後に、図6(e)に示すように、挿入ピン81を所定位置まで上昇させ、用毛13から離間させる。そして、用毛13の挿入孔90への挿入動作が完了する。
【0068】
挿入ピン81の先端部が最下点まで降下した状態における挿入ピン81の先端部と挿入スリーブ61の先端部との距離は、挿入スリーブ61の先端から送出された用毛13が植毛孔12aに挿入されるまでにその端部が広がるのを抑えることができ、挿入ピン81で用毛13の端部の全てを安定して挿入できるようにする点から0.5〜5mmであることが好ましい。
【0069】
一つの挿入孔90についての挿入動作が完了した後、次に用毛13を挿入する挿入孔90が前記3時の位置に位置決めされるように前記xyステージユニット92が作動し、上記の手順で用毛13の配向が行われる。
【0070】
次に、ブラシ本体11を前記用毛束保持治具91とともに用毛13の突出端部の溶融ステーション(図示せず)に移送し、植毛基部12の背面側に突出した前記用毛13の端部を、レーザービーム、ヒーター、超音波等の各種溶融手段(図示せず)で溶融させ、前記植毛孔12aよりも断面の大きな溶融塊を形成するとともに、隣接する用毛13の溶融塊どうしを連結させる。
【0071】
本実施形態では、植毛基部12を用毛束保持具9に配設した上で、その突出端部を溶融させて溶融塊を形成するため、溶融した樹脂樹脂が仮に植毛孔12a側にもれだしても外観を損なうことがない。また、植毛孔12aを介して用毛13を挿入し、拘束した上で溶融塊の形成を行うため、当該溶融塊を形成する際に例えばプレスヒーター等で圧力が加えられても用毛の乱れが抑えられる。
また、本実施形態では、用毛束保持治具91に植毛基部12が位置決め固定され、用毛13が植毛孔12aに整列状態で拘束されて挿入孔90内に収められているため、後述のように、用毛束保持治具に位置決め固定したまま、用毛が植設された植毛基部を配向工程以後の工程に移行させることができる。従って、この後の工程における用毛の配向の乱れ(毛立ち)を抑えることができる。
【0072】
溶融塊の形成後、ブラシ本体11をそのまま前記用毛束保持治具91とともに植毛基部12の背面の成形ステーション(図示せず)に移送し、該ステーションにおいて、射出成形、背面板の接着、接着樹脂若しくは被覆基板による被覆等を行って植毛部を形成し、歯ブラシ1の製造を完了する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の用毛先端部の整列装置10及びこれを用いた用毛先端部の整列方法によれば、挿入ピン81の先端部81aの形状を、挿入孔90の先端部90aに対応した形状で、且つ押出方向に略直交する平面で段差を設けた階段状に設けたので、用毛(用毛束)の先端部がきれいに立体的な整列形態に整列した歯ブラシを安定的に製造することができる。
【0074】
本発明は前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0075】
前記実施形態では、用毛を押し出すときの挿入ピンの先端部からの用毛の後端部のずれを抑えるために、用毛の押出方向に略直交する平面で段差を設けるようにしたが、本発明において用いられる前記送出部材の先端部の形状は、導入部から用毛を送出するときに用毛の後端部のずれを抑える形状であれば、特に制限はない。例えば、図7(a)〜(d)に示す先端形状の挿入ピンを用いることもできる。なお、同図では、挿入ピンの先端部の形状に加えて、これらの挿入ピンで整列形態に整列された用毛の先端形状及び最終的なブラシ製品としての用毛先端部の整列形態に対応する形状を有する挿入部の先端部も合わせて示している。
【0076】
図7(a)及び(b)に示す挿入ピンの先端部は、それぞれ断面が楔形及び山形に形成された挿入部90’の先端部の形状に対応した形状に設けられており、押出方向に略直交する平面で段差が設けられている。この場合の段差における押出方向の幅w’は、前記実施形態における幅wと同様に設定することができる。
【0077】
図7(c)に示す挿入ピンの先端部は、断面が3段の階段状に形成され且つその角部が面取りされた挿入部90’の先端部の形状に対応した算段の階段状の形状に設けられている。この場合の段差における押出方向の幅w’は、段差によるずれの防止効果を十分に得る点から、0.3d以上であることが好ましく、0.5d以上であることがより好ましい。幅w’の上限は所望のデザインに対応させることができ、特に制約はない。角部の面取り形状は、直線(傾斜面)で面取りを行ってもよいが、本実施形状のように曲面とした方が、階段状の形状を再現する上で好ましい。
【0078】
図7(d)に示す挿入ピンの先端部は、断面が半球面(凹面)状に形成された挿入部90’の先端部の形状に対応した略球面状に設けられている。このように湾曲面を有する形状の場合には、挿入スリーブの内壁面方向への用毛後端部のずれを規制する点から先端の周縁部に所定幅w’で押出方向に略直交する平面を設けることが好ましい。この場合の幅w’は、前記実施形態における幅wと同様に設定することができる。
【0079】
本発明において用いられる前記送出部材の先端は、用毛の後端部との摩擦抵抗を高めて用毛のずれを抑える点から、その一部又は全面を摩擦抵抗の高い形状に設けることもできる。この場合の形状としては、当該面を前記Ra値において12〜150の表面粗さの粗面に設ける等が挙げられる。摩擦抵抗の高い形状に設けることは、送出部材の先端に湾曲面を形成したり押出方向に対して斜面を形成したりする場合に有効である。
【0080】
本発明において用いられる前記送出部材の先端は、用毛の後端部との摩擦抵抗を高めて用毛のずれを抑える点から、その一部又は全面を摩擦抵抗の高い材質で設けることもできる。この場合の材質としては、シリコンゴム、ポリウレタンやブタジエン共重合体のような熱可塑性エラストマー等の弾性体、軟膏プラスチック等が挙げられる。摩擦抵抗の高い材質で設けることは、前記同様に、送出部材の先端に湾曲面を形成したり、押出方向に対して斜面を形成したりする場合に有効である。
この場合、挿入ピンにより押し出される際に押出方向以外の方向に用毛の後端部がずれるのが防止され、個々の用毛は押出方向に沿ってスムーズに押し出される。従って、挿入ピン及び挿入部の先端部の双方によって用毛の両端部が挟み込まれて精度良く整列させられるので、用毛の先端部が所望の整列形態に精度良く整列させられた用毛を得ることができ、特に、歯ブラシの用毛においてその先端部の整列形態が滑らかな曲率を有している場合に有効である。
【0081】
本発明は、所定長さに切断された所定本数の用毛を導入部に導入した後、前記導入部に導入された前記用毛を送出部材で押し出して前記用毛の先端部を所定の立体的整列形態に整列させ、整列させた前記用毛を用毛保持治具の挿入部に挿入する用毛先端部の整列方法であって、前記送出部材の先端部を前記用毛の前記整列形態に対応した所定の形状に設けておき、前記送出部材で前記用毛の後端部のずれを抑えて前記用毛の先端部を整列させて押し出すものを含むものである。
導入部内で前記用毛の先端部を所定の立体的整列形態に整列させておく場合には、用毛の挿入部の先端形状を前記用毛の整列形態に対応した形状とする必要はなく、前記挿入部を貫通孔としたり、挿入部の挿入深さを深くしておき、前記送出部材で押し出されて先端部が前記整列形態に整列された用毛を、そのまま該挿入部の先端部とは非接触の状態に挿入させることもできる。この場合には、挿入部または挿入部に植毛孔を連通させて配した植毛基部の該植毛孔内の用毛密度を適度な範囲に設定して用毛を拘束するか、又は、挿入方向を横方向にして挿入することが整列状態を維持する上で好ましい。この場合、必ずしも導入部内で用毛の先端部を所定の立体的整列形態に完全な状態で整列させておく必要はなく、やや不十分な状態であったとしても、挿入工程における拘束力や挿入孔との摩擦力によって、所定の整列形態にすることも可能である。
【0082】
また、前記実施形態の製造装置1では、用毛を整列させる第1整列手段4の整列部40及び第2整列手段6の整列部60を、それぞれローター42及びローター62で互いに独立して移動させるようにしたが、これらを同軸上で一体的に移動させる実施形態とすることもできる。
【0083】
また、整列スリーブ及び挿入スリーブの数、並びにインデックスユニットの割付角は、製造する歯ブラシに応じて適宜設定することができる。
【0084】
また、本発明は、前記実施形態におけるように、植毛孔を有する植毛基部を、挿入孔を有する用毛束保持治具上に固定し、植毛孔を介して用毛を挿入孔に挿入して配向させる工程を有するブラシの製造方法に特に好適であるが、植毛基部及び用毛束保持治具を用いずに、用毛を所定方向に配向させる挿入孔を有する金型を用いるブラシの製造方法にも適用することができる。この場合には、前記実施形態における植毛基部及び植毛孔に関する種々の製造条件を、該金型及び該挿入孔に関する条件に置き換えて適用することができる。
【0085】
また、本発明は、前記実施形態におけるように、前記整列スリーブと前記挿入スリーブとの間で整列部の整列空間を段階的に狭めることによって用毛を整列させることに加え、整列部内の用毛を整列させる手法として、前記整列スリーブ及び挿入スリーブの各通気路を通じた負圧吸引、前記各タップピンによるタッピング、及びエアブロワーによるエアブローにより用毛を整列させる手法を用いることが好ましいが、これらの負圧吸引、タッピング、エアブローは単独で又は二つを組み合わせることもできる。また、整列部内で用毛を整列させる手法として、各スリーブを所定の振動で振動させる手法を用いることができ、該手法を単独で又は前記各手法と組み合わせて用いることもできる。
【0086】
また、前記実施形態では、用毛を一束ずつ植毛基部12の植毛孔12aを介して用毛束保持治具91の挿入孔90に挿入するようにしたが、整列された用毛を複数の挿入孔を有する挿入治具(キャリア)に一旦移送した後、該挿入治具から前記植毛基部の植毛孔又は前記金型の挿入孔に、まとめて又は個々に挿入することもできる。
【0087】
本発明は、前記実施形態におけるように、歯ブラシの製造に特に好適であるが、歯ブラシ以外のブラシの製造、例えば、ヘアブラシ、マッサージブラシ、洗浄ブラシその他の各種ブラシの製造にも適用することができる。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、用毛の先端部が立体的な整列形態に整列したブラシを安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の用毛端部の整列装置において、送出部材で用毛を押し出して挿入部に挿入している状態を模式的に示す要部断面図である。
【図2】スリーブの通気路の開口形状を模式的に示す図である。
【図3】図1の部分的に拡大して断面視した図である。
【図4】本発明の用毛端部の整列方法を歯ブラシの製造に適用した一実施形態における手順を模式的に示す図である。
【図5】本発明の用毛端部の整列方法を歯ブラシの製造に適用した一実施形態を示す概略平面図である。
【図6】前記歯ブラシの製造方法における用毛束の挿入工程を模式的に示す図であり、(a)スリーブが最下点に達した状態を示す図、(b)は送出部材による用毛束の挿入状態を示す図、(c)は送出部材による用毛束の挿入完了状態を示す図、(d)はスリーブのみが上昇している状態を示す図、(e)は送出部材が上昇している状態を示す図である。
【図7】本発明の用毛先端部の整列方法における用毛の他の整列形態、該整列形態の形成に用いられる送出部材の先端形状及び挿入部の先端部の形状を模式的に示す要部断面図であり、(a)は用毛先端部が斜めに整列した形態とする場合の図、(b)は用毛先端部が山形に整列した形態とする図、(c)は用毛先端部が階段状に整列した形態とする図、(d)は用毛先端部が半球面状に整列した形態とする図である。
【符号の説明】
1 歯ブラシの製造装置
2 集毛手段
3 分離移送手段
4 第1整列手段
40 整列部
41 整列スリーブ
5 用毛導入手段
6 第2整列手段
60 整列部
61 挿入スリーブ
7 用毛導入手段
8 用毛の送出手段
9 用毛の配向手段
90 挿入孔(挿入部)
91 用毛束保持治具
10 歯ブラシ
11 歯ブラシ本体
12 植毛基部
12a 植毛孔
13 用毛
14 用毛束

Claims (11)

  1. 所定長さに切断された所定本数の用毛を挿入スリーブの導入部に導入した後、前記導入部に導入された前記用毛を送出部材で押し出して、前記挿入スリーブの導入部に導入された用毛の押し出し方向に配置された用毛保持治具の挿入部に挿入し、前記用毛の先端部を所定の立体的整列形態に整列させる用毛先端部の整列方法であって、
    前記挿入部の挿入方向先端部を前記用毛の前記整列形態に対応した形状に設ける一方で、前記送出部材の先端部を前記整列形態に対応した所定の形状に設けておき、前記送出部材の先端部で前記用毛の後端部を押して前記用毛の先端部を押し出し、前記挿入部に挿入してその挿入方向先端部に接触させるまで押し続けることにより、前記用毛の先端部を前記挿入方向先端部の先端部の形状に整列させる用毛先端部の整列方法。
  2. 前記送出部材の先端の一部に、前記用毛の押出方向に対して略直交する面を設けた送出部材で用毛を送出する請求項1記載の用毛先端部の整列方法。
  3. 前記送出部材の先端の周縁部に、前記用毛の押出方向に対して略直交する面を設けておく請求項1又は2記載の用毛先端部の整列方法。
  4. 前記送出部材の先端に、前記用毛の押出方向に対して略直交する面で段差を設けておく請求項1又は2記載の用毛先端部の整列方法。
  5. 前記送出部材の先端部の少なくとも一部を、前記用毛の後端部との摩擦抵抗を高める形状に設けるか又は前記用毛の後端部との摩擦抵抗を高める材質で設けておく請求項1〜4の何れかに記載の用毛先端部の整列方法。
  6. 前記送出部材の先端の少なくとも一部を、粗面に設けるか又は弾性部材で設けておく請求項5記載の用毛先端部の整列方法。
  7. 前記送出手段で前記用毛を押し出し始める前に、前記送出部材の先端部に前記用毛の後端部を当接させて予め揃えておく請求項1〜6の何れかに記載の用毛先端部の整列方法。
  8. 前記導入部に外部に通じる通気路を設けておき、該通気路を通じた負圧吸引によって前記送出部材の先端部に前記用毛の後端部を当接させる請求項7記載の用毛先端部の整列方法。
  9. 請求項1に記載の用毛先端部の整列方法の実施の用いるための装置であって、
    用毛が導入される導入部を有するスリーブと、前記スリーブ内に挿入された用毛を押し出す送出部材と、押し出された用毛の挿入部を有する用毛束保持治具とを備えており、
    前記送出部材の先端の周縁部に、前記用毛の押出方向に対して略直交する面が設けられているか、又は前記送出部材の先端に、前記用毛の押出方向に対して略直交する面で段差が設けられており、
    前記挿入部の挿入方向先端部が、前記用毛の前記整列形態に対応した形状に設けられている用毛先端部の整列装置。
  10. 請求項1に記載の用毛先端部の整列方法の実施の用いるための装置であって、
    用毛が導入される導入部を有するスリーブと、前記スリーブ内に挿入された用毛を押し出す送出部材と、押し出された用毛の挿入部を有する用毛束保持治具とを備えており、
    前記送出部材の先端部の少なくとも一部が、粗面に設けられているか又は弾性部材で設けられており、
    前記挿入部の挿入方向先端部が、前記用毛の前記整列形態に対応した形状に設けられている用毛先端部の整列装置。
  11. 前記スリーブに前記導入部に通じる通気路が設けられており、前記通気路を通じた負圧吸引によって、前記送出部材の先端部に前記用毛の後端部を当接させるようになしてある請求項9又は10記載の用毛先端部の整列装置。
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