JP2003310354A - ブラシの製造方法 - Google Patents

ブラシの製造方法

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JP2003310354A
JP2003310354A JP2003048266A JP2003048266A JP2003310354A JP 2003310354 A JP2003310354 A JP 2003310354A JP 2003048266 A JP2003048266 A JP 2003048266A JP 2003048266 A JP2003048266 A JP 2003048266A JP 2003310354 A JP2003310354 A JP 2003310354A
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sleeve
hole
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bundle
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JP2003048266A
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Hirobumi Moriwaka
博文 森若
Sukenori Saito
祐紀 斎藤
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 用毛束の配向性に優れ、用毛がきれいに整列
したブラシを製造することができるブラシの製造方法を
提供すること。 【解決手段】 所定長さに切断された用毛をスリーブ内
に導入した後に、導入された前記用毛を前記スリーブ内
から送出して植毛基部の植毛孔又は金型の挿入部内に挿
入する工程を具備する。前記スリーブの軸方向に直交す
る断面積Asと該植毛孔又は該挿入部の軸方向に直交す
る断面積Aiとの比(As/Ai)が1.02〜1.3
であり、且つ該スリーブ内に47〜75%の用毛密度で
該用毛を導入した後に、導入された該用毛を該スリーブ
内から送出して該挿入部内に60〜80%の用毛密度で
挿入する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ブラシの製造方法
に関わり、特に、歯ブラシの製造に好適なブラシの製造
方法に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ブラシ
の製造方法として、従来より、所定の長さに切断された
用毛の集合からスリーブを用いて用毛束を取り出し、ス
リーブ内に納められた用毛束を金型等に設けられた孔に
挿入し、樹脂等で用毛束を固定する方法は知られてい
た。しかし、用毛のねじれ等の原因により、用毛束の先
端部が広がってしまったり、製造工程の中で用毛が折れ
てしまったり、用毛束の先端が揃わずに所望の性能や外
観が得られなかったりする課題があった。このため、リ
ール等に巻き取られた長尺の用毛を必要本数巻き出して
束ね、それを金型等の挿入口に束に揃えたまま挿入し、
必要な長さに切断するという方法が一般的に採用されて
いるのが現状である。 【0003】しかし、この方法では必要な用毛束の本数
を賄うために多数のリールを製造ラインに設ける必要が
あり、非常に大掛かりな設備を必要とするほか、トラブ
ルなどが生じた場合に復旧するための時間と材料ロスが
多く、生産性の低下とコストアップの原因となる。ま
た、使用する用毛の種類や植毛パターン等の変更に多く
の人手、時間、費用を必要とするため、一つの設備で多
品種の製品を生産したり、モデルチェンジを短期間で行
う製品の生産には向かない。 【0004】所定長さに切断された用毛の集合にスリー
ブを差し込んで該スリーブ内に導入した後に、該スリー
ブ内に導入された該用毛を送出して植毛する工程を具備
するブラシの製造方法に関する従来技術としては、例え
ば、下記特許文献1に記載の技術が知られている。この
技術は、用毛の集合からスリーブを用いて用毛束を取り
出し、スリーブ内に納められた用毛束を金型に設けられ
た孔に挿入するものである。 【0005】ところで、この技術では、スリーブに導入
された用毛束をその状態のまま金型内に挿入し、用毛束
の一方の端部を加熱溶融して連続したベースを形成し、
次いで成形材料を充填して用毛束を固定しているため、
スリーブに用毛を導入する工程、加熱溶融でベースを形
成する工程、成形材料を充填する工程の各工程におい
て、用毛束の配向状態と整列状態に大きな乱れが生じて
しまう課題を有していた。また、この技術では、金型の
孔に挿入される用毛束の密度を高くすることができない
ので、成形金型のキャビティー内に樹脂を充填したとき
に、金型に設けられた孔から樹脂が漏れ出してしまう問
題があった。 【0006】一方、下記特許文献2には、用毛の供給体
にスリーブを差し込んで用毛束を取り出し、スリーブ内
の用毛をバイスに移動させ、次いでバイスからブラシ本
体のヘッド(ベース部材)に形成された複数の孔に用毛
束を挿入するブラシの製造方法が開示されている。 【0007】しかしながら、この技術では、スリーブ内
の用毛束の配向状態と整列状態が不十分になるほか、用
毛束の一部しかバイスで把持していないために、下記1
〜4のような問題があった。 1.スリーブからバイスへの移し替えを行うときに、用
毛束が乱れる。 2.用毛束の一部だけしか把持していないため、把持部
を除く用毛束の両端が開いてしまう。 3.ダイにより用毛束の両端を整形する工程で用毛束が
乱れる。 4.ベース部材に設けられた孔に用毛束を挿入する際
に、用毛が折れたり、用毛束のねじれが生じて挿入自体
が困難であり、挿入できたとしても用毛束の乱れが著し
くなる。 このため、得られるブラシにおいて、植毛された用毛束
の配向状態と整列状態は十分な品質を満たすものにはな
らない。またこの技術では、用毛束の先端形状を形成す
ることも困難である。 【0008】 【特許文献1】特表平9−510642号公報 【特許文献2】特許第3226276号公報 【0009】従って、本発明の目的は、用毛束の配向性
に優れ、用毛がきれいに整列したブラシを製造すること
ができるブラシの製造方法を提供することにある。ここ
で、用毛束の配向性に優れるとは、用毛束を構成する個
々の用毛が、ねじれたり折れ曲がったりせずに、その長
さ方向に伸び、束としてきれいにまとまっている状態を
いい、用毛がきれいに整列している状態とは、前記用毛
束の配向性と合わせて、用毛束の先端部が所望の形状と
なるように個々の用毛の先端が所定の整列形態にきれい
に整列していることをいう。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、スリーブ
の軸方向に直交する断面積Asと該植毛孔又は該挿入部
の軸方向に直交する断面積Aiとの比(As/Ai)を
特定範囲とし、且つスリーブ内に導入する用毛の密度
と、植毛基部の植毛孔又は金型の挿入部に挿入する用毛
の密度を所定の範囲とすることにより、用毛がきれいに
整列し、且つ用毛束の配向性にも優れるブラシを安定的
に製造し得ることを知見した。 【0011】本発明は、前記知見に基づきなされたもの
であり、所定長さに切断された用毛をスリーブ内に導入
した後に、導入された前記用毛を前記スリーブ内から送
出して植毛基部の植毛孔又は金型の挿入部内に挿入する
工程を具備するブラシの製造方法であって、前記スリー
ブの軸方向に直交する断面積Asと前記植毛孔又は前記
挿入部の軸方向に直交する断面積Aiとの比(As/A
i)が1.02〜1.3であり、且つ該スリーブ内に4
7〜75%の用毛密度で該用毛を導入した後に、導入さ
れた該用毛を該スリーブ内から送出して前記植毛孔又は
前記挿入部内に60〜80%の用毛密度で挿入するブラ
シの製造方法を提供するものである。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明を、その好ましい実
施形態として、歯ブラシの製造に適用した実施形態に基
づいて、図面を参照しながら説明する。 【0013】先ず、所定長さに切断された多数の用毛が
縦に揃えられた集合に、スリーブを差し込んで該スリー
ブ内に所定の用毛密度(以下、スリーブ内用毛密度とも
いう。)で該用毛を導入する。 【0014】前記用毛の集積密度は、用毛の太さ、用毛
の材質、用毛の長さに応じて適宜設定することができる
が、用毛を分離し易くする観点から50〜75%である
ことが好ましく、55〜70%であることがより好まし
い。ここで用毛の集積密度とは、単位面積当たりの集積
した用毛の総断面積の割合(百分率)である。用毛の集
積密度を上記の範囲にすることで、スリーブ内に用毛を
挿入する際に、スリーブ内での用毛の密度を適切な範囲
に制御しやすくなり、毛束の配向状態と整列状態をより
良くすることができる。集積密度が低すぎると、スリー
ブ内に挿入される用毛本数が取り出す毎に不安定になる
ため、本数が少なくスリーブ内の用毛密度が低下した場
合に、スリーブ内の用毛束の一部にがねじれが生じるな
どの問題が生じやすくなる。集積密度が高すぎると、ス
リーブを差し込んだ際に、用毛集合の用毛の一部を押し
込んでしまうなどして集合内の用毛の整列状態を乱して
しまい、スリーブ内に挿入される用毛束の整列状態を悪
くすることになりやすい。また、スリーブ内の用毛密度
が高くなりすぎるおそれがあり、その場合にはスリーブ
内で用毛束を再整列しようとしても不可能となる。用毛
の集積密度を変更するためには、用毛の径方向から用毛
の集合に加える力を加減したり、用毛の集合を収容する
容器等の体積を増減させるなどの手段を用いることがで
きる。 【0015】前記用毛には、従来から歯ブラシの用毛に
用いられている通常の材質、形態を特に制限なく用いる
ことができる。前記用毛の材質としては、ナイロン等の
ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメ
チレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられる。
前記用毛の長さは、5〜15mmであることが好まし
く、8〜13mmであることがより好ましい。用毛13
の太さは、5〜10mil(127〜254μm)であ
ることが好ましく、7〜9mil(178〜229μ
m)であることがより好ましい。 【0016】前記用毛は、略水平な整列面に当該用毛の
長さ方向が垂直となるように整列させることが好まし
い。 【0017】前記スリーブには、図1に示すように、前
記用毛の集合内に差し込まれるノズル部21、及び上下
に貫通し用毛が導入される用毛の導入孔22を有するも
のを用いることが好ましい。導入孔22の上方部は、後
述する押出ピン61の挿入が行い易いように拡径されて
いる。 【0018】スリーブ2における前記導入孔の軸方向に
直交する断面積(As)は、用毛を挿入する植毛孔の断
面積との比で後述する植毛孔の軸方向に直交する断面積
(Ai:植毛孔の挿入口にテーパーを設けた場合はその
部分を除いた直線部分の断面積)との比(As/Ai)
が1.02〜1.3となるように設定する。特に、1.
05〜1.2となるように設定することが好ましい。前
記比(As/Ai)が小さすぎると植毛孔または挿入部
での用毛密度を最適な範囲に収めることが難しくなり、
スリーブ内の用毛の配向状態と整列状態がより悪い状態
で植毛孔または挿入部に用毛束が挿入される場合があ
る。また、植毛孔または挿入部における用毛密度を最適
な範囲まで高くすることができなかった場合には、用毛
束の一方の端部を加熱溶融工程や樹脂充填等により用毛
を固定する工程において、さらに配向状態と整列状態を
乱したり、植毛孔または挿入部からの樹脂漏れが生じ
る。前記比(As/Ai)が大きすぎると植毛孔または
挿入部の中での用毛密度が過剰に高くなりやすく、発生
する応力が過剰となるため用毛束の先端が開いてしまう
などの整列状態が悪くなる。また、挿入時に各用毛が相
対的にずれたりねじれたりすることで配向状態を乱した
り、用毛が座屈して折れてしまうなどの挿入ミスが生じ
る。 【0019】ノズル部21は、用毛の集合に差し込んで
導入孔22内に用毛を導入した後スリーブを引き上げて
用毛を分離するときに、ノズル部21の周りの用毛がつ
られて引き上げられるのを抑えることができるように、
全体として先細る形態とすることが好ましい。この角度
θ1は、0.5〜5°であることが好ましい。また、ノ
ズル部21の肉厚t1は、用毛の集合に挿入しやすくす
る点から0.1〜1mmであることが好ましい。ノズル
部21の長さL1は、用毛の長さに応じて適宜設定する
ことができるが、ノズル部の剛性、耐久性を確保するこ
と、ノズル部の作成の難易度、コストを下げる点から用
毛長さの100〜150%であることが好ましい。 【0020】ノズル部21は、先端部にさらに先細るテ
ーパー部21aを有している。テーパー部21aの先端
の肉厚t2は、用毛1本の直径よりも薄くすることが好
ましい。このように、テーパー部21aの先端の肉厚
を、用毛1本の直径よりも薄くすることで、テーパー部
21aの先端部が3本の用毛に跨る(当該肉厚内に用毛
1本が収まる)ことがなく、ノズル部21が用毛の間に
スムーズに挿入される。このテーパー部21aの先端部
の肉厚t2は、0.05〜0.3mmであることが好ま
しい。テーパー部21aの先端は、丸め加工を施しても
良い。また、テーパー部21aの角度θ2は、ノズル部
の剛性、耐久性を確保すること、ノズル部の製作の難易
度、コストを下げる、用毛の集合に挿入し易くする点か
ら5〜45度であることが好ましい。 【0021】スリーブ2は、前記導入孔22の直線部分
(前記拡径部分を除く長さ方向に直交する断面が一定な
部分)の長さL3が前記用毛の長さの110〜300%
とすることが好ましい。該直線部分が短すぎると、押出
ピン60がスリーブ2内で後退した時に、先端部60a
の一部が導入孔22拡径部分にかかってしまい挿入を不
安定にしたり、用毛の長さの変更に対応できなくなる場
合があり、該直線部分が長すぎると、押出ピン60のL
4が長くなると曲がりやすくなり、スリーブ2の導入孔
22と接触する可能性がある。 【0022】スリーブ2は、加工精度、耐久性、剛性、
コスト等の点から炭素工具鋼、合金工具鋼、ハイス等の
金属製とすることが好ましい。 【0023】また、ノズル部21の外表面は、当該ノズ
ル部21を用毛の集合に差し込む際の抵抗を抑える点か
ら、無電解メッキを施したり、テフロン(登録商標)樹
脂等で表面加工を施す等することによって、表面を潤滑
に仕上げることが好ましい。 【0024】前記スリーブ内用毛密度は、47〜75%
であり、好ましくは55〜70%、さらに好ましくは6
0〜65%とする。該スリーブ内用毛密度が低すぎると
用毛の集合から取り出した時の整列状態をスリーブ内で
維持できない場合があり、高すぎると押出し抵抗が大き
くなり、押出ピンと導入孔との間に用毛が噛み込んでし
まったり、各用毛間のずれの抵抗が大きくなり、用毛の
先端部を所定の整列形態に整列させる時に、当該整列形
態に対応した形状とならない場合がある。ここで、スリ
ーブ内用毛密度は、(挿入される用毛の長さ方向に直交
する断面積の総和)/(スリーブの直線部分における軸
方向に直交する断面積)をいう。スリーブ内用毛密度を
変更するためには、用毛の集合内の集積密度を増減させ
る、スリーブの先端開口部の面積、形状を変更するなど
の手段を用いることができる。 【0025】次に、前記スリーブ内用毛密度で前記スリ
ーブ内に導入された前記用毛を、該スリーブ内から送出
する。前記スリーブ内からの前記用毛の送出には、図2
に示すような、前記スリーブ内に挿入可能な押出ピン6
0が用いられる。 【0026】押出ピン60は、前記スリーブ内に導入さ
れた前記用毛が前記導入孔の送出口から全て送出できる
ように、その先端部から所定長さ(L4)の部分が、前
記導入孔における前記直線部分の長さ方向に直交する断
面に対応する断面形態を有している。この所定長さの部
分は、前記導入部の内面との間に用毛の太さより狭い所
定のクリアランスに設けることが好ましい。このクリア
ランスは、0.02〜0.15mmであることが好まし
い。このクリアランスが狭すぎると押出ピンが導入孔に
接触する可能性があり、広すぎると押出ピンと導入孔と
の間に用毛が噛み込んでしまう場合がある。 【0027】押出ピン60の先端部60aは、用毛の先
端部を所定の整列形態に整列させる場合には、当該整列
形態に対応した形状とすることが好ましい。例えば、図
3及び図4に示すように用毛保持治具8の挿入孔80の
先端を曲面状の形態とし、用毛の先端をこれに対応させ
て曲面状に整列させた形態とする場合には、押出ピン6
0の先端60aを、図2に示すように、その曲率に応じ
て送出方向に直交する面で段を設けたり、当該形態に対
応するように曲面状に設けておき、スリーブ2内の用毛
10を予め最終的な曲面状の形態に対応した形態とする
ことが好ましい。押出ピンの先端を曲面状に設ける場合
には、押出ピンの先端の外縁から内側に所定幅に、送出
方向に直交する面を設けることが好ましい。 【0028】そして、前記植毛基部の植毛孔内に所定の
用毛密度(植毛孔内用毛密度:以下、単に植毛密度とも
いう。)で前記用毛を挿入する。 【0029】前記植毛密度は、60〜80%とすること
が好ましく、より好ましくは65〜75、さらに好まし
くは70〜75。ここで、植毛密度は、(挿入される用
毛の長さ方向に直交する断面積の総和)/(植毛孔の軸
方向に直交する断面積)をいう。植毛密度を上記の範囲
とすることで、ブラシ用毛束の配向状態と整列状態を一
層良好な状態にすることができる。植毛密度が高すぎる
場合は、植毛孔内または挿入部内での用毛密度が過剰に
高くなりやすく、発生する応力が過剰となるため用毛束
の先端が開いてしまうなどの配向状態が悪くなる。ま
た、挿入時に各用毛が相対的にずれたりねじれたりする
ことで整列状態を乱したり、用毛が座屈して折れてしま
うなどの挿入ミスが生じやすい。植毛密度が低すぎる場
合は、用毛束の一方の端部を加熱溶融工程や樹脂充填等
により用毛を固定する工程において、さらに配向状態と
整列状態を乱したり、植毛孔または挿入部からの樹脂漏
れが生じたりしやすい。植毛密度を変更するためには、
前記スリーブ内用毛密度を変更したり、面積比(As/
Ai)を変更するなどの手段を用いることができる。 【0030】植毛孔の軸方向に直交する断面積Asは、
スリーブの軸方向に直交する断面積Asに応じて適宜設
定することができる。植毛孔の挿入口には外方に向けて
テーパー状に漸次拡径する拡径部を設けることが好まし
い。テーパーを設けることで用毛束の挿入が容易になる
と同時に、スリーブ内の用毛束の整列状態と配向状態を
挿入後も維持しやすくなる。また、用毛の挿入方向に対
して、植毛孔または挿入部の深さ方向が傾斜している場
合であっても、整列状態と配向状態とを維持したまま挿
入することができる。さらに、挿入口にテーパーを設け
ずに、複数の植毛孔に対応した孔を有し且つその一方に
テーパーを設けた補助部材を植毛基部または金型とスリ
ーブの間に配置し、補助部材を通して用毛束を挿入する
方法も好ましく用いることができる。該拡径部の角度θ
3(図4参照)は、20〜120°であることが好まし
い。 【0031】植毛基部の好ましい寸法設定としては、用
毛束の整列状態と配向状態を考慮し、図4に示す如く、
植毛基部の肉厚a2を1mm〜3mm、植毛孔12aの
有効孔部の長さ(直線部分)a1を0.5mm〜2.5
mmに設定することが好ましい。また、植毛基部の植毛
孔12aの孔径に対し、用毛束保持具8の挿入孔80の
孔径については、同一径が基本であるが、用毛束の挿入
性を考慮し、挿入孔80の孔径の方を植毛孔12aの孔
径よりも0.05mm〜0.2mm程度大きく設定する
ことが好ましい。 【0032】本実施形態の方法は、例えば、図5に示す
ような装置1で行うことができる。装置1は、所定長さ
に切断された用毛の集合から所定本数の該用毛を分離し
て移送する装置であり、前記用毛の集合にスリーブ2を
差し込むようにz軸方向に移動させる移動手段3と、前
記用毛の集合にスリーブ2を支持する支持手段4と、押
出ピン60を用毛の送出方向に移動させる用毛の送出手
段6とを備えている。 【0033】前記用毛の送出手段6は、押出ピン60を
上下動させる上下動機構61とを備えている。 【0034】次に、図6(a)に示すように、上述のよ
うにして集積された用毛の集合の上方に、前記スリーブ
2を移動させる。そして、図6(b)に示すように、前
記移動手段3によってスリーブ2を降下させてノズル部
21を用毛10内に差し込み、当該スリーブ2の導入孔
22内に所定本数の用毛10を導入する。 【0035】次に、導入孔22内に用毛を導入した後、
前記移動手段3によって、図6(c)に示すように、導
入された前記用毛10を前記スリーブ2とともに引き上
げる。 【0036】次に、図3に示すように、内部に用毛10
が導入されたスリーブ2を用毛束保持治具8上に固定さ
れた歯ブラシ本体11の上方に移動させる。そして、用
毛の送出手段6の前記上下動機構61によって押出ピン
60を降下させて用毛10をその先端形状を用毛束保持
具8の用毛束挿入孔80の先端形状に対応させて整列さ
せながら、歯ブラシ本体11の植毛基部12の植毛孔1
2aを介して当該用毛束挿入孔80内に挿入する。そし
て、一つの用毛束の植毛工程が完了する。 【0037】全ての植毛孔についての植毛工程が終了し
た後、スリーブ2及び押出ピン60を退避させ、植毛孔
12aから突出する用毛束の溶融端部を、レーザービー
ム等の所定の溶融手段(図示せず)で溶融させて溶融塊
を形成する。そして、射出成形や、接着剤による被覆等
の常法によって、植毛部12の背面部を形成して歯ブラ
シの製造を終了する。 【0038】以上説明したように、本実施形態よれば、
用毛束の配向性に優れ、用毛がきれいに整列したブラシ
を製造することができる。 【0039】また、本実施形態によれば、用毛束保持具
8に植毛基部を位置決め固定した上で射出成形を行うの
で、射出成形用の金型に用毛の挿入部を形成して直接射
出成形を行う場合に比べて樹脂漏れが起こりにくい。ま
た、弾性変形が可能な樹脂製の植毛基部を用いること
で、スリーブでの用毛の集合から取り出す用毛の本数の
振れによる植毛孔内での用毛束の圧力の振れを小さくす
ることができ、用毛束の配向状態と整列状態の乱れを抑
えることができる。また、本数が多く振れた場合であっ
ても挿入抵抗を小さくできるので、用毛の折れや整列状
態の乱れを抑えることができる。 【0040】本発明は、前記実施形態に制限されるもの
ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更す
ることができる。 【0041】本発明は、予め用毛束に対応した本数に分
離された複数本の用毛を気流によりスリーブ内に導入し
た後に、導入された該用毛を該スリーブ内から送出して
前記植毛孔又は前記挿入部に前記所定の用毛密度で挿入
する場合にも適用することができる。この場合には、該
スリーブ内に47〜75%、特に50〜60%で該用毛
を導入することが好ましい。 【0042】前記実施形態では、植毛基部の植毛孔を介
して用毛を用毛束保持具の挿入孔に挿入するようにした
が、用毛束の挿入対象はこれに制限されるものではな
い。例えば、歯ブラシの植毛部のキャビティを構成する
金型に設けられた用毛束挿入孔、複数の用毛束を所定の
方向に配向させるキャリッジ等の複数の挿入孔を有する
治具の当該挿入孔等も用毛束の挿入対象とすることがで
きる。 【0043】本発明は、前記実施形態におけるように、
歯ブラシの製造に特に好適であるが、歯ブラシ以外のブ
ラシの製造、例えば、ヘアブラシ、マッサージブラシ、
洗浄ブラシその他の各種ブラシの製造にも適用すること
ができる。 【0044】 【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。 【0045】下記実施例1〜8及び下記比較例1〜12
のように用毛を植毛孔に挿入し、植毛孔から突出する端
部を下記のようにして溶融して溶融塊を形成し、下記の
ように射出成形によって当該溶融塊を被覆して植毛し、
所定の歯ブラシを得た。そして、その際の評価を下記の
ように行った。それらの結果を表1に示す。 【0046】〔実施例1〜8〕下記用毛を用い、表1に
示すように、前記スリーブの軸方向に直交する断面積A
sと該植毛孔又は該挿入部の軸方向に直交する断面積A
iとの比(As/Ai)、スリーブ内用毛密度及び植毛
孔内用毛密度を変化させて下記植毛孔に植毛した。 <用毛> 用毛:ナイロン製、長さ13mm、太さ0.203mm 用毛集積密度:60% 【0047】<スリーブ> 導入部:長さ(L3)29mm、断面形状0.9×2.
32mm、トラック円断面積1.914mm2 ノズル部:長さ(L1)16mm 【0048】<植毛孔> 植毛基部:ポリプロピレン 植毛孔:深さ(直線部分)1.0mm、断面形状0.8
×2.2mmトラック円、断面積1.623平方ミリメ
ートル 【0049】<送出条件> 押出ピンの断面形状:スリーブ断面形状に対して−20
μmオフセットした。 送出速度:100mm/sec 【0050】<溶融塊形成条件>炭酸ガスレーザー出力
13w、スポット径0.15mm、スキャニング速度1
50mm。 【0051】<射出成形条件(植毛基部背面充填)> 樹脂温度:220℃、射出圧力(樹脂圧):300kg
/cm2 【0052】〔植毛後の用毛束のねじれ〕植毛後の用毛
束のねじれを下記三段階で評価した。 ○:植毛された用毛束先端の用毛軸方向に投影された用
毛束形状が、植毛孔形状とほぼ相似形状と認識でき、用
毛の軸方向がほぼ揃っている。 △:用毛の軸方向が植毛孔形状周方向へ傾いているが、
植毛孔形状とほぼ相似形状と認識できる。 ×:用毛の軸方向が植毛孔形状周方向に大きく傾き、用
毛束が花びら状に広がり、植毛孔形状が認識できない。 【0053】〔植毛後の用毛束の整列性〕植毛後の用毛
束の整列性を下記三段階で評価した。 ○:植毛された用毛束先端の用毛軸方向に投影された用
毛束形状が、植毛孔形状とほぼ相似形状と認識でき、用
毛の軸方向がほぼ揃っている。 △:植毛された用毛束のうち数本が用毛束軸方向に対し
傾き、隣接する用毛束に接触するまたは基部の幅を超え
ない範囲にある。 ×:植毛された用毛束のうち数本または多数が用毛束軸
方向に対し傾き、隣接する用毛束内に入り込むまたは基
部の幅を超える。 【0054】〔集合内の毛折れ〕用毛の集合内における
毛折れを下記三段階で評価した。 ○:スリーブで取り出された用毛束内に折れた用毛がほ
とんど混入しない。 △:定期的に用毛の集合内より折れた毛を除去しない
と、スリーブで取り出された用毛束に折れた用毛が混入
する。 ×:スリーブで取り出された用毛束内に折れた用毛が混
入し、連続して植毛できない。 【0055】〔植毛後の毛立ち〕植毛後における用毛の
毛立ちを下記三段階で評価した。 ○:植毛された用毛束先端の用毛軸方向に投影された用
毛束形状が、植毛孔形状とほぼ相似形状と認識でき、用
毛の軸方向がほぼ揃っている。 △:用毛の軸方向が植毛孔形状周方向と略直交する方向
へ傾いているが、植毛孔形状とほぼ相似形状と認識でき
る。広がりが植毛孔寸法の1.2倍以下。 ×:用毛の軸方向が植毛孔形状周方向と略直交する方向
へ大きく傾き、広がりが植毛孔寸法の1.2倍を超え
る、または植毛孔形状が認識できない。 【0056】〔樹脂漏れ〕射出成形後における樹脂漏れ
を下記三段階で評価した。 ○:後充填された樹脂が、植毛基部より植毛面側に突出
していない。 △:後充填された樹脂が、植毛面側への突出が0.5m
m以下であり、一部の用毛束にのみ確認される。 ×:後充填された樹脂が、植毛面側への突出が0.5m
mを超える、または用毛束全体にわったて突出が確認さ
れる。 【0057】〔植毛ミス〕植毛ミスを下記三段階で評価
した。 ○:植毛装置で連続的に植毛できる。 △:植毛装置で連続的に植毛できるが、植毛基部への挿
入量が不十分なものが発生する、または植毛基部周辺に
用毛が脱落する。 ×:用毛束を基部に挿入できない、または植毛基部周辺
に用毛が脱落し、植毛装置で連続的に植毛できない。 【0058】〔用毛先端整列性〕植毛後における用毛の
先端の整列性を下記三段階で評価した。 ○:所定の整列形態が形成されている。 △:所定の整列形態が形成されているが、修正を要する
用毛の飛び出しが見うけられる。 ×:整列形態に一部欠損がある。 【0059】〔比較例1〜12〕前記面積比(As/A
i)、スリーブ内用毛密度及び植毛孔内用毛密度を本発
明の範囲外となるようにした以外は、実施例と同様にし
て植毛を行った。 【0060】 【表1】 【0061】表1に示すように、前記面積比(As/A
i)、スリーブ内用毛密度及び植毛密度が本発明の範囲
内にある実施例の歯ブラシは、比較例の歯ブラシに比
べ、用毛束の配向性に優れ、用毛がきれいに整列してい
ることが確認された。 【0062】 【発明の効果】本発明によれば、用毛束の配向性に優
れ、用毛がきれいに整列したブラシを製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のブラシの製造方法に用いられるスリー
ブの一形態を模式的に示す図であり、(a)は半断面
図、(b)は(a)のAの部分の要部拡大断面図であ
る。 【図2】本発明のブラシの製造方法に用いられる押圧ピ
ンの一形態を模式的に示す図であり、(a)は側面図、
(b)は正面図である。 【図3】スリーブ内に導入された用毛を押出ピンで押し
出して植毛孔に挿入している状態を模式的に示す要部断
面図である。 【図4】図3の要部を拡大した図である。 【図5】本発明のブラシの製造方法に用いられる装置の
一形態を模式的に示す図である。 【図6】用毛の集合にスリーブを挿入して用毛を導入し
ている状態を模式的に示す図であり、(a)はスリーブ
を用毛に差し込む前の状態を示す図、(b)はスリーブ
のノズル部を用毛に差し込んだ状態を示す図、(c)は
スリーブを用毛から引き抜いた状態を示す図である。 【符号の説明】 1 用毛の分離移送装置 2 スリーブ 3 移送手段 4 支持手段 6 用毛の送出手段 60 押出ピン

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 所定長さに切断された用毛をスリーブ内
    に導入した後に、導入された前記用毛を前記スリーブ内
    から送出して植毛基部の植毛孔又は金型の挿入部内に挿
    入する工程を具備するブラシの製造方法であって、 前記スリーブの軸方向に直交する断面積Asと前記植毛
    孔又は前記挿入部の軸方向に直交する断面積Aiとの比
    (As/Ai)が1.02〜1.3であり、且つ該スリ
    ーブ内に47〜75%の用毛密度で該用毛を導入した後
    に、導入された該用毛を該スリーブ内から送出して前記
    植毛孔又は前記挿入部内に60〜80%の用毛密度で挿
    入するブラシの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006018927A1 (ja) * 2004-08-20 2006-02-23 Lion Corporation 歯ブラシ
JP2008036300A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Kao Corp 用毛供給装置

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