JP4497251B2 - 半導体レーザの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射すべき光の波長の1/4の光学膜厚を有する2種類以上の薄膜を積層した多層膜構造の反射膜が知られている。この多層膜構造の反射膜を、レーザダイオードの光共振器の端面に形成することにより、低しきい値化、高出力化等を図ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一対の共振器端面を有する半導体レーザ装置のレーザ特性の指標となる基本的なパラメータとして、しきい値利得、外部微分量子効率、前後比、及びスロープ効率が挙げられる。しきい値利得gthは、
【0004】
【数40】
gth=αi+(1/L)ln(1/(RfRr)1/2)
と定義される。ここで、αiは、光共振器内の内部損失、Lは共振器長、Rf及びRrは、それぞれ前端面及び後端面の反射率である。
【0005】
外部微分量子効率ηdは、
【0006】
【数41】
ηd=ηi×ln(1/R)/(αiL+ln(1/R))
と定義される。ここで、ηiは、内部量子効率であり、R=Rf=Rrと仮定した。
【0007】
前後比rは、
【0008】
【数42】
r=((1−Rf)/(1−Rr))×(Rr/Rf)1/2
と定義される。
スロープ効率Sdは、
【0009】
【数43】
Sd=1.24×ηd/λ
と定義される。ここで、λは、発振波長である。
【0010】
上記定義式から分かるように、反射率Rf及びRrが低下すると、外部微分量子効率ηd及びスロープ効率Sdは向上するが、しきい値利得gthが増加する。すなわち、しきい値電流が増加してしまう。特に、高温動作環境においては、しきい値電流の増加により光出力特性が損なわれる場合がある。
【0011】
通常、レーザダイオードの特性評価は、大気もしくは不活性ガス雰囲気中で行われる。ところが、実際の動作時には、レーザダイオードを実装基板上に実装した後、樹脂等で被覆する。光共振器の反射端面を樹脂で被覆すると、反射率が低下し、しきい値利得gthが増加してしまう。このため、実際の使用環境下における光出力特性を評価することが困難である。
【0012】
本発明の目的は、実際の使用環境に近い条件で特性評価を行うことが可能な半導体レーザの製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によると、端面を有する等価屈折率n0のレーザダイオードを準備する工程と、反射すべき光の波長λを決定する工程と、 前記レーザダイオードを保護部材で覆う前の該レーザダイオードの周囲の屈折率ns1と、前記レーザオードを覆う保護部材の屈折率ns2とを決定する工程と、
前記レーザダイオードの前記端面に、屈折率n1の第1の層と屈折率n2の第2の層とを交互にk組(kは正の整数)成膜する工程であって、該第1の層の膜厚が、
【0014】
【数44】
(λ/4+(λ/2)×N1)/n1 (N1は0または正の整数)
となり、該第2の層の膜厚が、
【0015】
【数45】
(λ/4+(λ/2)×N2)/n2 (N2は0または正の整数)
となるように成膜する工程と、屈折率n1の第3の層の膜厚をd3としたとき、
【0016】
【数46】
d3=d+(λ/2n1)×N3 (N3は0または正の整数)
及び
【0017】
【数47】
【0018】
を満足するように該第3の層の膜厚d3を決定する工程と、最上の第2の層の表面上に、前記第3の層の膜厚d3を決定する工程で決定された膜厚を有する第3の層を成膜する工程とを有する半導体レーザの製造方法が提供される。
【0019】
この反射膜の、屈折率ns1の媒質中における反射率と、屈折率ns2の媒質中における反射率とは等しい。このため、屈折率ns1の媒質中で、この反射膜を適用した光学部材の光学特性を測定することにより、屈折率ns2の媒質中における光学特性を予測することができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施例による反射膜の断面図を示す。屈折率n0の光学媒質1の反射面上に、積層構造を有する反射膜5が形成されている。反射膜5は、屈折率n1の第1の層2と屈折率n2の第2の層3とが交互にk組積層され、最上の第2の層3の表面上に、屈折率n1の第3の層4が形成された積層構造を有する。ここで、kは、正の整数である。
【0051】
反射すべき光の波長をλとしたとき、第1の層2の膜厚d1は、
【0052】
【数65】
d1=(λ/4+(λ/2)×N1)/n1 (N1は0または正の整数)
である。第2の層3の膜厚d2は、
【0053】
【数66】
d2=(λ/4+(λ/2)×N2)/n2 (N2は0または正の整数)
である。
【0054】
外部の媒質(第3の層4に接している媒質)の屈折率がns1である場合とns2である場合との反射率が等しくなるように反射膜5を設計する方法について説明する。第3の層4の膜厚d3は、
【0055】
【数67】
d3=d+(λ/2n1)×N3 (N3は0または正の整数)
及び、
【0056】
【数68】
【0057】
を満足するように選択されている。
【0058】
波長λの光に対する反射膜5の反射率R[%]は、
【0059】
【数69】
【0060】
と表される。ここで、nsは、第3の層4に接触している外部媒質の屈折率である。
【0061】
式(68)を満足するように第3の層4の膜厚を設定しておくと、式(69)からわかるように、外部媒質の屈折率がns1の場合の反射率と、屈折率がns2の場合の反射率とが等しくなる。例えば、ns1=1とし、ns2を、反射膜5の実際の使用時における外部媒質の屈折率に等しくしておくと、大気中または不活性ガス中における反射膜5の反射率が、実際の使用時における反射率に等しくなる。
【0062】
このため、大気中で反射率の評価実験を行うことにより、実際の使用時における反射率を高精度で予測することができる。なお、第1の層2、第2の層3、及び第3の層4を、これらの膜厚が上述の計算で得られた理想膜厚と等しくなるように成膜することは困難である。現実的には、各層の膜厚が、理想膜厚から±20%程度相違している場合であっても、良好な効果が得られるであろう。従って、本明細書において、薄膜の「膜厚」は、計算式により与えられる理想膜厚から±20%増減した膜厚を含むものとする。
【0063】
図2は、上記第1の実施例による反射膜を用いた第2の実施例による半導体レーザ装置の断面図を示す。上部が開口した外枠10内にプラットホーム13が配置されている。プラットホーム13は、例えばシリコン基板により構成される。プラットホーム13の表面上に、レーザダイオード8及びフォトダイオード14が搭載されている。レーザダイオード8は、例えばInGaAsP/InP系の発振波長1.3μmのファブリペロー型レーザ装置である。この光共振器の等価屈折率n0は3.23である。
【0064】
レーザダイオード8の光共振器の両端面には、上記第1の実施例による反射膜5A及び5Bが成膜されている。図1における第1の層2及び第3の層4はSiO2で形成され、その屈折率n1は1.45であり、第2の層3はSiで形成され、その屈折率n2は3.8である。SiO2膜及びSi膜は、例えばイオンアシスト蒸着、プラズマ励起型化学気相成長、熱化学気相成長、またはスパッタリング等により形成することができる。
【0065】
反射膜5Bを透過して後方に放射されたレーザ光は、フォトダイオード14に入射する。フォトダイオード14の出力信号を測定することにより、レーザダイオード8の発振状況を監視することができる。
【0066】
反射膜5Aを透過して前方に放射されたレーザ光の一部は、光ファイバ12に入射する。光ファイバ12は、プラットフォーム13の表面上に載置され、押え板15により、その位置が固定されている。光ファイバ12は、外枠10の側面を貫通して、外枠10の外まで導出されている。光ファイバ12の、外枠10を貫通する部分は、ホルダ11で保護されている。
【0067】
フォトダイオード14、レーザダイオード8、及び光ファイバ12の端部を、封止樹脂16が覆う。封止樹脂16は、例えばシリコーン樹脂等で形成される。シリコーン樹脂の屈折率は、1.38である。外枠10の開口部は、蓋17で塞がれている。外枠10の底に、複数の信号入出力用端子18が取り付けられている。
【0068】
式(44)及び式(45)から、図1における第1の層2の膜厚d1は224nm、第2の層2の膜厚d2は86nmとなる。なお、ここでは、N1=N2=0とした。式(68)のns1=1、ns2=1.38とすると、cos2Δ=0.395になる。これから、第3の層4の膜厚d3は、一例として、127nmと求められる。このとき、式(69)から、反射率R[%]は、76.7%となる。
【0069】
図3は、上記第2の実施例によるレーザダイオードの、樹脂封止前後のしきい値の変化を、動作温度の関数として示す。横軸は、動作温度を単位℃で表し、縦軸はシリコーン樹脂で封止する前後のしきい値の変動幅を単位%で表す。グラフ中の実線aは、上記第2の実施例によるレーザダイオードのしきい値変動幅を示し、実線bは、図1に示す第3の層4を設けない反射膜を用いたレーザダイオードのしきい値変動幅を示す。
【0070】
第1の実施例による反射膜を用いた場合には、しきい値変動幅が5%以下である。これに対し、第3の層を設けない場合には、しきい値変動幅が20〜45%程度になる。このように、第1の実施例の反射膜を用いることにより、樹脂封止前後のしきい値変動幅を少なくすることができる。特に、動作温度が高い場合に、その効果が高いことがわかる。
【0071】
これは、第1の実施例による反射膜の大気中における反射率と、樹脂封止後における反射率とがほぼ等しいためである。図1に示す第3の層4を用いない場合には、大気中における反射率と樹脂封止後における反射率とが異なるため、樹脂封止前後でしきい値が大きく変動する。第1の実施例による反射膜を用いると、大気中でレーザダイオードのしきい値を評価し、樹脂封止後のしきい値を高精度に予測することができる。
【0072】
上記第2の実施例では、図1の第1及び第2の層2及び3として、SiO2とSiを用いたが、その他の材料、例えばAl、Si、Ti、Zn、Mg、またはLiの酸化物、窒化物、または弗化物を用いてもよい。また、反射膜をレーザダイオードの光共振器端面に形成する場合には、端面に直接接する第1の層を絶縁材料で形成することが好ましい。
【0073】
上記第2の実施例では、ファブリペロー型レーザを例にとって説明したが、第1の実施例による反射膜は、その他のレーザダイオード、例えば分布帰還型レーザダイオード、分布ブラッグ反射型レーザダイオードに適用することも可能である。
【0074】
通常の材料の屈折率は1以上であるため、式(68)のns1及びns2は共に1以上である。また、一般的にレーザダイオードの発振波長域で使用され得る反射膜材料の屈折率は4以下である。このため、一般的には、
【0075】
【数70】
1≦(ns1×ns2)≦16
と考えられる。
【0076】
この条件と、式(68)から、
【0077】
【数71】
【0078】
及び
【0079】
【数72】
【0080】
が得られる。すなわち、図1の第3の層4の膜厚をd3とした時、膜厚d3は、式(67)、(71)、及び(72)を満足するように制約を受ける。例えば、k=1、n0=3.23、n1=1.45、n2=3.8の場合、
【0081】
【数73】
49nm≦d≦138nm、または、311nm≦d≦411nm
が得られる。
【0082】
上記第2の実施例では、レーザダイオードの反射端面に適用する反射膜について説明したが、第1の実施例による反射膜は、レーザダイオード以外の屈折率ns1の光学媒質の反射面上に形成してもよい。このとき、反射膜を屈折率ns2の光学媒質で覆う。反射膜がレーザダイオードに適用されている場合には、そのレーザダイオードの発振波長が、この反射膜の反射すべき光の波長に相当する。反射膜が、光学媒質の反射端面上に形成されている場合には、その反射膜の反射すべき光の波長は、下記の方法で特定することができる。
【0083】
図1に示す第1の層2及び第2の層3の光学膜厚は、共に、
【0084】
【数74】
λ/4+(λ/2)×N (Nは0または正の整数)
である。ここで、光学膜厚とは、実際の膜厚に、その膜の屈折率を乗じた膜厚を意味する。反射膜を構成する第1の層2と第2の層3の膜厚を測定し、光学膜厚を求める。この第1及び第2の層の光学膜厚に対し、式(74)のNを種々変化させて波長λを特定する。このとき、第1の層に関するNと第2の層に関するNとは、等しくなくてもよい。
【0085】
反射すべき波長が特定されると、ns1=1を代入した式(68)、及び式(67)から、図1に示す第3の層4の好適な膜厚d3を求めることができる。このように形成された反射膜においては、屈折率が1の雰囲気中、例えば大気中における反射率と、屈折率ns2の媒質中における反射率とが等しい。このため、大気中で反射率を評価することにより、屈折率ns2の媒質中における反射率を高精度に予測することができる。
【0086】
次に、本発明の第3の実施例による光学装置の構成について説明する。上記第1の実施例の反射膜は、基本的に、対象とする光の波長の1/4の厚さの膜の積層を含んでいる。第3の実施例による反射膜は3層構造を有し、各膜の厚さは波長の1/4にこだわることなく決定される。
【0087】
図4に、第3の実施例による光学装置の断面図を示す。光学媒質20の表面上に、第1の層21、第2の層22、及び第3の層23が積層されている。第1〜第3の層21〜23の3層により反射膜24が構成される。光学媒質20は、等価屈折率3.23、発振波長1.31μmのレーザダイオードであり、第1の層21及び第3の層23は、屈折率1.45のSiO2で形成され、第2の層22は、屈折率3.8のシリコンで形成されている。
【0088】
第1〜第3の層21〜23の膜厚を種々変化させて、上記3層構造の反射膜24を大気中に置いた場合の波長1.31μm及びその近傍の波長の光に対する反射率と、屈折率1.38の樹脂で被覆した場合のそれとを計算により求めた。
【0089】
図5は、大気中に配置した場合の反射率と樹脂封止した場合の反射率とがほぼ等しくなり、かつ対象とする光の波長が変動した場合の反射率の変動が比較的少ないという条件を満足する膜厚の組み合わせを、反射率R[%]の関数として示す。横軸は反射率Rを単位%で表し、縦軸は膜厚を単位nmで表す。図中の実線a1、a2、及びa3は、それぞれ第1、第2、及び第3の層21、22、及び23の膜厚を示す。
【0090】
一般的に、レーザダイオードの劈開面と空気との界面の反射率は30%程度である。通常、レーザダイオードに適用される反射膜は、劈開面と空気との界面の反射率以下とされる。このため、図5の反射率の上限を30%としている。また、反射率が15%以下となる領域では、所望の解が得られなかった。すなわち、3層構造の反射膜を用いる場合には、反射膜の設計値を15%以上とすることが好ましい。このため、図5の反射率の下限を15%としている。
【0091】
第1の層21の膜厚d1(曲線a1)を反射率R[%]の2次式で近似すると、
【0092】
【数75】
d1=(0.11−9.2×10-3R+2.2×10-4R2)λ0/n1
となる。ここで、λ0は対象とする光の波長、すなわち1.31μmであり、n1は第1の層21の屈折率、すなわち1.45である。なお、膜厚d1は波長λ0にほぼ比例すると考えられるため、膜厚d1を波長λ0の一次式として表した。
【0093】
同様に、第2の層22の膜厚d2(曲線a2)は、
【0094】
【数76】
d2=(−8.7×10-3+3.5×10-3R−1.2×10-5R2)
×(−3.6+17/n2)λ0
と近似される。ここで、n2は第2の層22の屈折率、すなわち3.8である。なお、(−3.6+17/n2)の項は、屈折率n2を3.6から3.85まで変化させて得られた図5と同様のグラフから導き出された項である。
【0095】
実際に、プラズマ励起型化学気相成長、スパッタリング等により形成したシリコン膜の屈折率は、成膜条件のばらつき等により、概ね3.6〜3.85の範囲内で変動する。従って、第2の層22の膜厚は、実際の成膜条件に適合した屈折率n2を式(76)に代入して決定することが好ましい。
【0096】
第3の層23の膜厚d3(曲線a3)は、
【0097】
【数77】
d3=(0.23−4.9×10-3R+7.7×10-5R2)λ0/n3
と近似される。ここで、n3は第3の層23の屈折率、すなわち1.45である。
【0098】
また、各膜厚d1〜d3が、式(75)〜(77)から求まる値を中心として±15nmの範囲(図5の破線の範囲)で増減した場合、計算結果によると、反射率は±3%程度の範囲内で変動する。例えば、反射率が25%となるように膜厚を設定した場合、膜厚の15nm程度の変動により反射率が22%と28%との間で変動する。この程度の反射率の変動は、許容範囲内である。
【0099】
また、各膜厚d1〜d3が、目標値から±15nm程度増減した場合、レーザダイオードを空気中に配置した場合の反射率と樹脂封止した場合の反射率との差は、高々2%程度であるという計算結果が得られた。これに対し、単層反射膜を用いた場合には、その差は10%にもなる。すなわち、各膜厚d1〜d3が±15nmの範囲で増減しても、空気中における反射率と樹脂封止後の反射率との差を小さくするという十分な効果が期待される。例えば、反射率を26%としたい場合の好適な膜厚d1、d2、及びd3は、それぞれ28.2nm以下、66.2〜96.2nm、及び121.2〜151.2nmとなる。
【0100】
なお、第1の層21の膜厚を目標値から−15nmだけ薄くすると、膜厚d1が0nmになってしまう場合がある。ただし、実際には第1の層21を成膜するため、現実には膜厚d1が0nmになることはなく、0nmよりも厚くなる。現実的には、少なくとも2nm以上の膜厚になるであろう。
【0101】
上記第3の実施例では、図5からわかるように、第1の層21の膜厚d1の取りうる範囲は40nm以下である。従来の多層反射膜では、各層の厚さが1/4波長を基準に決定されるため、一般的なレーザダイオードに用いられる反射膜の各層の膜厚は220nm以上である。光学媒体に接する第1の層の膜厚を40nm以下としていることは、第3の実施例の大きな特徴といえる。
【0102】
なお、第3の実施例では、光学媒質の実効屈折率を3.23とした場合について考察したが、光学媒質の屈折率が3.23±0.05の範囲内である場合に、好適な膜厚は、上述の式(75)〜(77)で近似することができる。
【0103】
上記第3の実施例では、光学媒質に接する第1の層21をSiO2で形成し、その上の第2の層22をシリコンで形成し、その上の第3の層23をSiO2で形成した。その他の材料についても、好ましい膜厚の組み合わせを計算により求めた。以下、他の材料を用いた場合の第1〜第3の変形例による光学装置の膜厚の組み合わせについて説明する。なお、第1〜第3の変形例で使用される光学媒質の屈折率は、第3の実施例の場合と同様である。
【0104】
まず、第3の実施例の第1の変形例について説明する。第1の変形例においては、図4の第1の層21及び第3の層23を酸化アルミニウムで形成し、第2の層22をシリコンで形成する。なお、酸化アルミニウムで形成された第1及び第3の層の屈折率n1及びn3を1.72とした。
【0105】
第1の層21の好適な膜厚d1、第2の層22の好適な膜厚d2、及び第3の層23の好適な膜厚d3は、それぞれ、
【0106】
【数78】
d1=(1.7×10-3+1.1×10-3R+3.1×10-5R2)λ0/n1
d2=(2.3×10-2+3.5×10-3R−5.6×10-5R2)
×(−1.4+8.9/n2)λ0
d3=(0.21−1.9×10-3R+2.1×10-5R2)λ0/n3
となる。
【0107】
この場合の、各膜厚の許容範囲は、上述の式から求められた目標膜厚d1〜d3の±15nmである。また、第1の層の膜厚の上限は60nmである。例えば、反射率を26%にするための好適な膜厚d1、d2、及びd3は、それぞれは、23.8〜53.8nm、75.8〜105.8nm、及び117.5〜147.5nmとなる。
【0108】
次に、第3の実施例の第2の変形例について説明する。第2の変形例においては、図4の第1の層21を酸化シリコンで形成し、第2の層22をシリコンで形成し、第3の層23を酸化アルミニウムで形成する。すなわち、n1=1.45、n2=3.6〜3.85、n3=1.72である。
【0109】
第1の層21の好適な膜厚d1、第2の層22の好適な膜厚d2、及び第3の層23の好適な膜厚d3は、それぞれ、
【0110】
【数79】
d1=(−3.1×10-5+3.6×10-3R−3.5×10-5R2)λ0/n1
d2=(3.5×10-2+2.5×10-3R−3.6×10-5R2)
×(−2.6+1.4/n2)λ0
d3=(0.21−1.9×10-3R+2.1×10-5R2)λ0/n3
となる。
【0111】
この場合の、各膜厚の許容範囲は、上述の式から求められた目標膜厚d1〜d3の±15nmである。また、第1の層の膜厚の上限は40nmである。例えば、反射率を26%にするための好適な膜厚d1、d2、及びd3は、それぞれは、20.4〜50.4nm、73.4〜103.4nm、及び117.5〜147.5nmとなる。
【0112】
次に、第3の実施例の第3の変形例について説明する。第3の変形例においては、図4の第1の層21を酸化アルミニウムで形成し、第2の層22をシリコンで形成し、第3の層23を酸化シリコンで形成する。すなわち、n1=1.72、n2=3.6〜3.85、n3=1.45である。
【0113】
第1の層21の好適な膜厚d1、第2の層22の好適な膜厚d2、及び第3の層23の好適な膜厚d3は、それぞれ、
【0114】
【数80】
d1=(0.12−1.2×10-2R+3.2×10-4R2)λ0/n1
d2=(−2.7×10-2+3.4×10-3R+2.4×10-5R2)
×(−3.8+2.8/n2)λ0
d3=(0.23−4.9×10-3R+7.7×10-5R2)λ0/n3
となる。
【0115】
この場合の、各膜厚の許容範囲は、上述の式から求められた目標膜厚d1〜d3の±15nmである。また、第1の層の膜厚の上限は50nmである。例えば、反射率を26%にするための好適な膜厚d1、d2、及びd3は、それぞれは、0.9〜30.9nm、69.6〜99.6nm、及び121.2〜151.2nmとなる。
【0116】
上述のように、第1〜第3の層の材料の組み合わせを変えると、各層の好適な膜厚も変わる。種々の材料の組み合わせについて、図5と同様のグラフを求めることにより、樹脂封止前の反射率と樹脂封止後の反射率との差の小さな3層反射膜を得ることが可能になる。
【0117】
図6は、第3の実施例(第1〜第3の変形例を含む)による反射膜を図2に示すレーザダイオードに適用した場合の、樹脂封止前と樹脂封止後とのしきい値の変動量を、樹脂封止前のしきい値に対する比率で示す。横軸及び縦軸は、図3のそれらと同様である。
【0118】
図6中の折れ線群cが、第3の実施例による3層反射膜を用いた場合のしきい値の変動幅を示し、折れ線群dが、従来の単層反射膜を用いた場合のしきい値の変動幅を示す。従来の場合には、樹脂封止することによりしきい値が20%以上上昇している。これに対し、第3の実施例による3層反射膜を用いた場合には、しきい値変動率が±5%以下である。このように、第3の実施例による3層反射膜を用いることにより、樹脂封止することによって生ずるしきい値の変動を抑制することができる。
【0119】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0120】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、反射膜の外部媒質が取り替えられた場合でも、特定の波長の光に対する反射率の変動幅を少なくすることができる。この反射膜をレーザダイオードの光共振器の端面に適用すると、大気中でしきい値を測定することにより、樹脂封止後のしきい値を高精度に予測することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例による光学装置の断面図である。
【図2】第2の実施例による半導体レーザ装置の断面図である。
【図3】第2の実施例及び比較例による半導体レーザ装置の、樹脂封止前後のしきい値の変動幅の温度特性を示すグラフである。
【図4】第3の実施例による光学装置の断面図である。
【図5】第3の実施例による光学装置の反射膜に用いられる多層膜の膜厚を示すグラフである。
【図6】第3の実施例及び比較例による反射膜を適用した半導体レーザ装置の、樹脂封止前後のしきい値の変動幅の温度特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1、20 光学媒質
2、21 第1の層
3、22 第2の層
4、23 第3の層
5、24 反射膜
10 外枠
11 ホルダ
12 光ファイバ
13 プラットホーム
14 フォトダイオード
15 押え板
16 封止樹脂
17 蓋
18 信号入出力用端子
Claims (1)
- 端面を有する等価屈折率n0のレーザダイオードを準備する工程と、
反射すべき光の波長λを決定する工程と、
前記レーザダイオードを保護部材で覆う前の該レーザダイオードの周囲の屈折率ns1と、前記レーザオードを覆う保護部材の屈折率ns2とを決定する工程と、
前記レーザダイオードの前記端面に、屈折率n1の第1の層と屈折率n2の第2の層とを交互にk組(kは正の整数)成膜する工程であって、該第1の層の膜厚が、
【数1】
(λ/4+(λ/2)×N1)/n1 (N1は0または正の整数)
となり、該第2の層の膜厚が、
【数2】
(λ/4+(λ/2)×N2)/n2 (N2は0または正の整数)
となるように成膜する工程と、
屈折率n1の第3の層の膜厚をd3としたとき、
【数3】
d3=d+(λ/2n1)×N3 (N3は0または正の整数)
及び
最上の第2の層の表面上に、前記第3の層の膜厚d3を決定する工程で決定された膜厚を有する第3の層を成膜する工程と
を有する半導体レーザの製造方法。
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