JP4495918B2 - 液体濾過装置、液体処理装置、液体処理システム、及び液体処理方法 - Google Patents

液体濾過装置、液体処理装置、液体処理システム、及び液体処理方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体濾過装置に関し、さらに詳しくは、濾過材により被処理液体を濾過処理するに際し、濾過材の目詰まりが起こり難く、しかも濾過精度に優れた液体濾過装置に関する。また、本発明は、このような優れた性能を有する濾過装置を利用した液体処理装置、液体処理システム、及び液体処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
懸濁粒子などを含む液体の濾過は、一般に、濾布(織布、不織布)、金網、金属スクリーンなどの濾過材を用いて行われている。これらの濾過材は、多数の開孔を有する多孔体である。定常的な濾過操業では、実際の濾過作用は、濾過材の表面または多孔内に堆積した粒子層によって行われている。
【0003】
ところが、濾過材は、被処理液体中に存在する懸濁粒子やゴミなどが表面や多孔内に強固に付着し、濾過抵抗が大きくなり、目詰まりを起こして使用の継続が不可能になりやすい。そのため、濾過材を備えた濾過装置は、頻繁に洗浄を行って目詰まりを解消しなければならない。しかし、濾過装置の形態や配置場所などによっては、洗浄操作は、それ自体煩雑かつ困難であることに加えて、人手とコストがかかるため、濾過処理コストの増大を招いている。また、このような目詰まりの問題があるため、濾過装置は、例えば、湖沼やダムなどの水質を改善するために、大量かつ高精度の処理を必要とされる分野での用途展開が妨げられている。
【0004】
他方、濾過材の強固な目詰まりの解消に伴う問題を回避するために、濾過材や濾過装置の使い捨て方式が普及するに至っている。しかし、使い捨て方式は、多量の廃棄物による環境問題を引き起こす。
【0005】
従来、例えば、図4に断面を示すような円筒型の濾過装置406が知られている。原液供給ライン402から原液を処理槽401内に供給し、越流排水口403からオーバーフローさせ、オーバーフローした原液は、処理槽内に還流することができる。例えば、金網や金属スクリーンなどにより形成された円筒型の濾過装置406を処理槽401内に配置し、そして濾過装置406内には、水中ポンプ404などの排出手段を配置し、排出ライン405から濾液を採取するように構成している。図4に示す液体処理装置を用いることにより、懸濁粒子などを含む被処理液体を濾過して、懸濁粒子などを除去することができる。
【0006】
ところが、このような構造の液体処理装置を用いると、濾過装置の濾過面にかかる吸い込み圧が局部的に強くなって、そこから濾過材の目詰まりが起こりやすい。図4に示すような濾過装置の濾過面が液面上に露出している液体処理装置では、表層液からの濾過装置内への流入量が特に多くなり、表層液が流入する濾過装置上方部の濾過材に局所的な目詰まりを起こしやすい。濾過装置の濾過面が液面下に没していても、濾過材に局所的な目詰まりが生じ、そこから濾過材の全面に目詰まりが波及する。したがって、このような液体処理装置では、濾過装置の濾過材が早期に目詰まりを起こし、その目詰まりの程度も強固であるため、濾過材の洗浄処理も困難になる。また、濾過抵抗が増大するため、消費電力の増大や濾過効率の低下が引き起こされる。
【0007】
液体排水口などの上方を金網などの濾過材で覆って、懸濁粒子やゴミなどが混入しないようにすることも広く行われているが、濾過材が早期に目詰まりを起こして、濾過作用が損なわれることが多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、濾過材により被処理液体を濾過処理するに際し、濾過材の目詰まりが起こり難く、しかも濾過精度に優れた液体濾過装置を提供することにある。また、本発明の目的は、このような優れた性能を持つ濾過装置を用いた液体処理装置、液体処理システム、及び液体処理方法を提供することにある。
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントに、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体を配置することにより、濾過材の目詰まりが著しく抑制された液体濾過装置の得られることを見出した。
【0010】
本発明の液体濾過装置は、濾過エレメントを被処理液体中に浸漬して使用するものである。濾過エレメントの内部空間は、濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれて形成されたものであり、濾過処理などの液体処理中には被処理液体中に埋没している。本発明の液体濾過装置は、被処理液体を濾過面の外側から濾過材を通過させて濾過し、濾過エレメントの内部空間内に流入した濾液を採取するように構成されている。濾過エレメントの内部空間内に流入した濾液は、ポンプ手段や排出口により採取することができる。
【0011】
この濾過エレメントの内部空間を中空体により大気圧に開放すると、濾過材を通過して濾過エレメントの内部空間内に流入した濾液を採取する際に、濾過面の内外で圧力差が生じても、大気圧に開放されている中空体内の液面が低下することにより、圧力差が緩和される。そのため、濾過材に局所的な流入圧や流入量の増大が生じることがなく、目詰まりの発生と発達が効果的に抑制される。
【0012】
本発明の液体濾過装置では、濾液採取時(濾過処理時)に、濾過材の濾過面全体の内外での圧力差が緩和されるため、懸濁粒子などが強固に付着することがなく、懸濁粒子の緩い堆積層を形成することができる。また、予め繊維やパルプを解きほぐした分散液を用いて、繊維やパルプの緩やかな堆積層を形成することも容易である。これらの緩やかな堆積層は、振動や衝撃などを加えることにより、容易に除去することができ、それによって、洗浄処理の負荷が緩和される。
【0013】
本発明の液体濾過装置は、湖沼やダムなどの自然環境下で使用すると、落ち葉や藻類等水中成分が濾過面の外側に緩やかな堆積層を形成し、該堆積層を通して泉が湧き出すように清浄な濾過水の得られることが観察できる。また、本発明の液体濾過装置を処理槽内に配置することにより、各種化学反応や生物反応を伴う処理用途に適用可能な液体処理装置を構成することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、懸濁液を処理槽に供給して濾過処理するための液体処理装置であって、該処理槽内に、(A)濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置を配置すると共に、該処理槽に、(B)処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取するためのポンプ手段、(C)該ポンプ手段により採取した濾液を分岐装置に導くための導管、(D)該導管により導かれた濾液を上方向回路と下方向回路とに分岐するための分岐装置、(E)上方向回路に分岐した濾液を処理槽内に還流するための戻し回路、及び(F)処理槽の底周辺部に戻し回路の吐出口を配置し、戻し回路の吐出口より吐出される濾液の流れを駆動力として、処理槽内の懸濁液に液面から底部への短絡流が起らない旋回流を発生させ、下方向回路からは処理槽内に還流しなかった濾液を採取するように構成したことを特徴とする液体処理装置が提供される。
【0016】
さらに、本発明によれば、前記の液体処理装置を第一の液体処理装置とし、これを第二の液体処理装置と連結した液体処理システムであって、該第二の液体処理装置は、第二の処理槽内に、(a)濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置を配置すると共に、該第二の処理槽に、(b)処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取するためのポンプ手段、(c)該ポンプ手段により採取した濾液を処理槽内に還流するための戻し回路、(d)処理槽の底周辺部に戻し回路の吐出口、及び(e)処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過し、処理槽内に還流しなかった濾液を採取する回路を配置し、戻し回路の吐出口より吐出される濾液の流れを駆動力として、第二の処理槽内の懸濁液に旋回流を発生せしめるように構成したものであり、かつ、両装置が、第一の液体処理装置における分岐装置の下方向回路からの濾液を第二の処理槽内に供給する回路によって連結されていることを特徴とする液体処理システムが提供される。
【0017】
さらにまた、本発明によれば、被処理液体中に、濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置を浸漬して、被処理液体を濾過面の外側から濾過材を通過させて濾過し、濾過エレメントの内部空間内に流入した濾液を採取する液体処理方法が提供される。
【0018】
さらに、本発明によれば、濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置を配置した処理槽内に懸濁液を供給し、ポンプ手段により処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取して上方向回路と下方向回路とに分岐し、上方向回路に分岐した濾液を処理槽内の底周辺部に吐出することにより処理槽内の懸濁液に液面から底部への短絡流が起らない旋回流を発生せしめ、下方向回路からは処理槽内に還流しなかった濾液を採取することを特徴とする液体処理方法が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の液体濾過装置は、濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた装置である。本発明の液体濾過装置は、濾過エレメントを被処理液体中に浸漬して、被処理液体を濾過面の外側から濾過材を通過させて濾過し、濾過エレメントの内部空間内に流入した濾液を採取するように構成されている。
【0020】
濾過材(filter medium)としては、特に限定されず、一般に濾過処理に使用されているものであれば使用することが可能である。濾過材の具体例としては、金属スクリーン、金属網、膨張金属網、合成樹脂網、合成樹脂スクリーン、セラミックス多孔質体、竹網、よしずなどがあり、使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
本発明の液体濾過装置では、濾過材の材質や品質についての制約が小さく、比較的安価な材料や加工品を利用することができる。例えば、液体濾過装置の用途によっては、それを利用する地域で手軽に入手でき、地域産業で加工できる竹細工製品、葦細工製品でも利用することができる。他方、高機能の線材を用いた網などは、その開孔率を精密に算出できるので便利である。特殊な線材を溶接加工したスクリーンの場合、線材としてウエッジワイヤを用いると、溶接強度が高くなって、様々な形状に加工が可能で、化学工業、食品工業、土木事業にも使える精密にして強固な濾過装置を提供することができる。
【0022】
濾過材の目開き(孔径、メッシュともいう)は、使用目的に応じて適宜選択することができるが、濾過材としては、濾過面の全体にわたって均一な目開きを有するものが好ましい。
【0023】
濾過エレメントは、濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有するものである。内部空間の形状は、断面円形の円筒型が一般的であるが、断面が三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、台形などの多角筒型であってもよい。
【0024】
濾過エレメントは、濾過材の濾過面が縦方向に配置されている。ここで、縦方向とは、液体濾過装置を被処理液体中で稼動する際に、濾過材の濾過面が液面に対して垂直方向となることを意味している。濾過材の濾過面は、実質的に縦方向であれば、若干の傾斜や凹凸などの変形があってもよい。濾過エレメントの内部空間が濾過材の濾過面を縦方向に配置して構成されているため、懸濁粒子などの重力沈降による濾過面の強固な目詰まりを抑制することができる。
【0025】
濾過エレメントの内部空間の上方(上面部)には、中空体を装着した蓋体(蓋材)を配置する。蓋体の形状は、任意であり、特に限定されないが、蓋体の上面に懸濁粒子やゴミ等の堆積が起こり難い錐(コーン)型が望ましい。濾過エレメントは、被処理液体中に埋没して使用するため、内部空間の上方を蓋体や中空体などがない単なる開放口とすることはできない。
【0026】
他方、濾過エレメントの内部空間の下方(下面部)は、濾過材や底板が一体的に配置されていてもよいが、多くの場合、開放口とされる。濾過エレメントの内部空間の下方を開放口とする場合には、その開放口から内部空間内に被処理液体が進入したり、濾液の採取手段(排出手段)により濾過材を通過していない被処理液体が短絡して採取されないように、濾過エレメントを被処理液体中に配置する。そのため、濾過エレメントは、通常、内部空間の下方の開放口で処理槽などの底部に直接または独立した底板を介して設置される。該開放口は、処理槽などの底部または底板に密着するような形状とする。
【0027】
中空体は、液体不透過性の材料から形成されており、その一方の開口端が前記蓋材の貫通口に装着されることにより濾過エレメントの内部空間に接続され、その本体が被処理液体の液中から液面上方にまで延びており、その他方の開口端が大気圧に開放されている。中空体は、濾液の採取時、濾過エレメントの内部空間に接続された中空体内の液面が下降した場合に、その下降した液面が濾過エレメントの内部空間の上端部に達しないだけの十分な長さを有するものである。
【0028】
中空体は、金属、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴムなどにより形成された円筒、パイプ、ホースなどである。中空体は、使用条件下で、液圧によって破壊されたり、液圧によって変形して液体や気体の連通を阻害しないものであることが望ましく、そのため、使用条件下で液圧に耐えるだけの強度を有するものを選択することが望ましい。
【0029】
濾過材によって囲まれた内部空間は、濾過処理時に濾液を採取すると、濾過材の濾過面の内外で圧力差が生じるため、濾過面の外側の被処理液体の圧力に比べて減圧された状態となる。図4に示すような従来の濾過装置では、濾過面の内外での圧力差により、局所的に吸い込み圧が強くなる箇所が生じ易く、特に表層液からの流入量が多くなり、それによって、局所的な目詰まりが発生し、この目詰まりが次第に発達する。
【0030】
すなわち、濾過材の濾過面が完全に液体中に埋没していない場合、濾過面が液面に接する。この状態で濾液の採取(濾過処理)を行うと、液面に近いところが最も流れやすくなり、液流の落差に伴う大きな圧力差が局部的に発生する。この急流となる局部で懸濁粒子やゴミなどが濾過材の孔内に強く食い込んで強固な目詰まりが起こる。液面が移動すると、この目詰まりが順次拡大し、濾過面全体を強固に閉塞させる。
【0031】
これに対して、本発明では、濾過エレメントを構成する濾過材の濾過面を被処理液体中に浸漬し、かつ、濾過エレメントの内部空間を中空体と接続して、中空体を介して大気圧に開放する。そうすると、濾液の採取時に、濾過面の内外での圧力差が生じても、大気圧によって圧力差が低減される。大気圧による圧力差の補償の際に、濾過エレメントの内部空間と接続された中空体内にある濾液の液面が低下する。中空体は、濾液の採取時、その中の液面が下降した場合に、その下降した液面が濾過エレメントの内部空間の上端部に達しないだけの十分な長さを有することが特に望ましい。中空体の長さが短すぎると、濾液の採取時に中空体内の液面が下降しすぎて濾過面にまで達し、圧力差の低減効果が損なわれると共に、濾過面上部の濾過材からの被処理液体の流入量が増大し、局所的な目詰まりが発生しやすくなる。
【0032】
濾過エレメントの内部空間と中空体とを接続することにより、被処理液体中に埋没して稼動する濾過エレメントの濾過材の濾過面は、その置かれた水深の異なる上下方向の全面にわたって水圧が異なっても、濾過面の内外での圧力差が小さくほぼ均等になり、濾液の採取時(濾過処理時)に濾過面の内外に実質的に均等な圧力がかかるようになる。
【0033】
パスカルの原理は、密閉した容器の中で静止した流体内の1点の圧力をある大きさだけ増すと、流体内の全ての点の圧力は同じだけ増すというものである。濾過エレメントの内部空間は、密閉されておらず、濾液の採取も行われており静止もしていないが、一種の閉鎖空間を形成し、その内部の圧力が大気圧によって制御されているため、濾過面の全面にわたって実質的に均等な圧力がかかり、濾過面の内外の圧力差も低減されるものと推定される。濾過材の濾過面にかかる圧力は、濾過材の濾過面を縦方向(垂直方向)に配置しているので、液面からの深さ(例えば、水深)によっても変動するが、濾過面の内外での圧力差は、中空体を用いた大気圧での制御によって実質的に等しいものとすることができる。
【0034】
本発明の液体濾過装置では、濾過材の濾過面が被処理液体中に埋没し、かつ、濾過面の内外の圧力差が低減されているため、目詰まりを顕著に抑制することができる。また、濾過面の外側に懸濁粒子などによる緩やかな堆積層を形成することが可能である。
【0035】
濾過エレメントの内部空間への中空体の接続は、内部空間のいずれの箇所で行ってもよく、例えば、濾過材の濾過面を貫通して接続したり、あるいは、内部空間の底面に接続してもよい。中空体は、濾過エレメントの内部空間の上方部に接続することが、中空体の長さを短くすることができ、接続も容易で、しかも濾過面の内外の圧力差の低減効果が大きいことから特に望ましい。
【0036】
1に示すように、中空体7を、濾過材6により囲まれた内部空間9の上方開口部に連接して形成することができるが、図2に示すように、濾過エレメントが濾過材206により囲まれた内部空間209の上方に蓋材210が配置された構造を有し、かつ、中空体207が該蓋材210に設けた貫通口に装着したものであることが望ましい。蓋材と中空体とを一体成形してもよい。図2に示す蓋体は、その端部が折れ曲がって濾過材の濾過面の上端部を覆っていてもよい。
【0037】
空体がパイプ状やチューブ状の場合、その内径は、10〜1000mm程度とすることができる。中空体の長さは、濾過エレメントの高さや被処理液体の液面の高さ、処理量、液体処理装置の規模などとの関係で適宜選択することができる。前記した通り、濾液の採取時(濾過処理時)に中空体内の液面が低下しても、濾過面の上端部に到達しないだけの長さとすることが望ましい。
【0038】
本発明の液体濾過装置を用いて、濾過処理などの液体処理を行うには、被処理液体中に液体濾過装置を浸漬して、被処理液体を濾過面の外側から濾過材を通過させて濾過し、濾過エレメントの内部空間内に流入した濾液を採取する方法が採用される。
【0039】
本発明の液体濾過装置を用いた液体処理方法の具体的な原理について、図1を参照しながら説明する。処理槽1内に、濾過面を縦方向に配置した濾過材6により囲まれた内部空間9を有する濾過エレメントと該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体7とを備えた液体濾過装置を配置する。原液供給ライン2から被処理液体を処理槽1内に供給する。処理槽1内の被処理液体8は、越流排出口3から常にオーバーフローさせ、そして、オーバーフローした被処理液体は、原液供給ラインから処理槽内に環流させて、処理槽1内の液面を一定水準に保持することが望ましい。
【0040】
図1に示す濾過エレメントは、円筒状であり、その上部には、円筒状の中空体が連設されている。中空体7の上端部は、大気圧に開放されている。濾過エレメントの内部空間内には、水中ポンプ4が配置されており、排出ライン5から濾液を排出して採取する。この際、円筒状の中空体7の液面と処理槽内の被処理液体の液面との差aを直接または圧力差として監視して稼動条件を制御することができる。
【0041】
排出ライン5の先には、図示していないが、濾液の貯液槽を配置してもよい。その場合、濾液の貯液槽の越流を図1の処理槽1内の被処理液体に還流させて、繰り返し濾過処理を行うことができる。このようにして、懸濁粒子やゴミその他の懸濁質を除去した液体を採取することができる。他方、濾過面の外側に付着したり、処理槽の低部に堆積した懸濁質を採取することができる。
【0042】
被処理液体の種類は、特に限定されず、例えば、河川、湖、沼、池、ダムなどの水、雨水、地下水、海水、化学反応液、発酵液、醸造液などが挙げられる。懸濁質も、ゴミ、砂、砂利、化学反応の原料、化学反応生成物、添加剤など、被処理液体の種類に応じて多様である。例えば、本発明の液体濾過装置を湖沼やダムの水の浄化に使用することにより、環境改善やダム機能の改善などに寄与することができる。
【0043】
濾過エレメントの内部空間内に流入した濾液は、該内部空間内に配置した排出手段または該内部空間に液体連絡する排出手段により採取(排出)することができる。濾過エレメントの内部空間内に配置する排出手段としては、水中ポンプや処理槽の排出口などが挙げられる。濾過エレメントの内部空間に液体連絡する排出手段としては、外部ポンプに接続した排出ラインやサイホン式の排出管などが挙げられる。
【0044】
本発明の液体濾過装置は、濾過材によって囲まれた内部空間が完全に被処理液体中に埋没して使用され、かつ、中空体により圧力調整が行われるため、濾過面の内外での圧力差が殆んどなく、懸濁粒子やゴミなどが濾過材の孔内に強く食い込んで強固な閉塞を生じることがない。しかも、濾過面の外側に懸濁粒子やゴミなどが堆積しても、その堆積層は緩やかなものであり、濾過流量が低下したり、濾過抵抗が増大することは殆んどない。実際に、濾過面全体にゴミが大量に堆積しても、流量が殆んど減少せず、濾過面の内外の圧力差は、水面の高さの差で表して、せいぜい数10cm(0.001Mpa)程度までであり、バネ式計測器では殆んど検出し難い程度であることが確かめられた。
【0045】
したがって、本発明の液体濾過装置は、濾過面に自然産物の落ち葉や藻類等水中生物による緩やかな堆積層を自然に形成したり、濾過面に懸濁粒子や繊維、パルプなどの緩やかな堆積層を人為的に形成し、それによって、濾過精度を高めることができる。しかも、堆積層が増大して濾過面を更新する必要が生じても、単に濾過装置に振動や衝撃などの外力を加えるだけで、簡単に堆積層を剥離することができる。
【0046】
本発明の液体濾過装置を用いて、水質管理を数値で行うことができる。すなわち、濾過材の濾過面の見かけ面積をS(m2)、濾過材の開孔比(孔面積の比率)をα、濾過面を通過する単位時間当りの液量をQ(m3/h)、濾過材を通過する被処理液体の線速度をv(m/h)としたとき、下記式(1)
v=(α・S)/Q (1)
に従って、Q値に相当する濾液の採取量を調整し、線速度vを0.01〜100(m/h)の範囲内の所望の値となるように制御することができる。
【0047】
採取する水量の多少で水中の懸濁質の粒度が変動する。その理由は、水中での懸濁粒子の沈降速度がストークスの法則に従うためである。例えば、線速度vの値を0.01m/hに設定すると、これは比重2.60、半径相当1ミクロンの粘土微粒子の常温水中での沈降速度に相当する。この線速度の条件下では、このような微粒子は、濾過面を通過できなくなる。線速度v値が1m/hは、半径相当10ミクロンの微砂粒子に相当する。線速度v値が100m/hは、半径100ミクロン以下の細砂を吸い込む水量になる。したがって、濾過材の目開きを選択し、かつ、前記式(1)を用いて濾液の採取量を調製することにより、濾液の水質を数値で制御することができる。
【0048】
このとき必要な流量Q値の制御は、配管の太さ、長さ、バルブ操作、ポンプ出力調整などの通常の手段によって行うことができる。サイホン方式においては、汲み出し管の下部に設けた排出液貯留槽の液面との高さ、水頭差を調整する手段を採用することが望ましい。貯留槽にも本発明の濾過装置を設けて、液体の排出を行うことが望ましい。清浄な濾液を採取するには、濾過装置を多段に配置することが望ましい。
【0049】
サイホン方式では、流下する液体のエネルギーを発電に利用し、余剰電力でもって下部槽から被処理液体を上部槽に汲み上げて循環利用することが望ましい。本発明の濾過装置を用いて水質浄化を行う際に、風力発電、太陽光発電などの不安定な電力を利用して、高所の貯水槽に揚水し、位置エネルギーを確保することによって、エネルギーの需給の安定化に寄与することができる。
【0050】
本発明の液体濾過装置を用いた他の液体処理方法としては、液体濾過装置を配置した処理槽内に懸濁液を供給し、ポンプ手段により処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取して上方向回路と下方向回路とに分岐し、上方向回路に分岐した濾液を処理槽内の底周辺部に吐出することにより処理槽内の懸濁液に液面から底部への短絡流が起らない旋回流を発生せしめ、下方向回路からは処理槽内に還流しなかった濾液を採取する方法が挙げられる。
【0051】
処理槽内に懸濁液を供給して濾過処理するに先立って、繊維またはパルプを解きほぐした分散液を処理槽内に供給し、ポンプ手段により処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取して処理槽内に還流することにより、濾過材の濾過面外側に繊維またはパルプの緩やかな堆積層を形成しておき、該堆積層を介して懸濁液の濾過処理を行うことができる。この方法によれば、浄化機能と濾過精度を著しく高めることができる。
【0052】
このような循環処理を行うと、懸濁粒子などの1回の捕捉率にこだわらなくてもよい。したがって、濾過装置の利用範囲が飛躍的に広がる。循環処理を行う場合、縦方向に設けた濾過面に対して垂直の流れを与える旋回流が特に望ましい。旋回流中の懸濁粒子は、求心力で旋回の中心に集合するので、均一な堆積層が形成されやすく、濾過作用が効果的になり、旋回駆動に用いるポンプ手段の保護にも好適である。
【0053】
このような旋回流を利用する液体処理方法と装置については、本発明者は、既に特許第2814417号公報で提案している。しかし、該公報に開示されている方法と装置は、懸濁液を懸濁質濃度の高い重液と懸濁質濃度の低い軽液とに分離するための沈降分離方法と沈降分離装置であって、濾過装置を含むものではなく、当然のことながら、濾過処理により懸濁質を除去した液体を採取する方法や装置でもない。ただし、濾過装置を用いること以外は、旋回流の形成方法や装置の概要は、本発明の方法及び装置と類似しているので、該公報の記載を本発明の説明の一部として参照することとする。
【0054】
本発明の液体処理装置は、懸濁液を処理槽に供給して濾過処理するための液体処理装置であって、該処理槽内に、(A)濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置を配置すると共に、該処理槽に、(B)処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取するためのポンプ手段、(C)該ポンプ手段により採取した濾液を分岐装置に導くための導管、(D)該導管により導かれた濾液を上方向回路と下方向回路とに分岐するための分岐装置、(E)上方向回路に分岐した濾液を処理槽内に還流するための戻し回路、及び(F)処理槽の底周辺部に戻し回路の吐出口を配置し、戻し回路の吐出口より吐出される濾液の流れを駆動力として、処理槽内の懸濁液に液面から底部への短絡流が起らない旋回流を発生させ、下方向回路からは処理槽内に還流しなかった濾液を採取するように構成したものである。
【0055】
上記の液体処理装置の具体例について、図2を参照しながら説明する。図2には、濾過面を縦方向に配置した濾過材206により囲まれた内部空間209を有する濾過エレメントと該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体207とを備えた液体濾過装置が示されている。この濾過装置は、底板211上に載置され、内部空間内に水中ポンプ204が配置された状態で、処理槽201内に配置されている。
【0056】
原液供給ライン202から被処理液体として懸濁液を処理槽201内に供給する。処理槽内の被処理液体208は、越流排出口203から非定常時にはオーバーフローさせて、処理槽内の液面が一定水準に維持されるようにすることが望ましい。越流は、原液供給ラインを通じて処理槽内に還流することができる。濾過エレメントは、円筒状であり、その上方には蓋体210が配置され、その貫通には中空体207が装着されている。中空体の上端部は、大気圧に開放されている。
【0057】
水中ポンプ204を駆動させて、濾過エレメントの濾過材206を通過した濾液を排出ライン205から分岐装置212に送液する。分岐装置212は、サイクロン分級機やチーズと呼ばれる継ぎ手により構成されており、濾液を上方向回路214と下方向回路213とに分岐させる。上方向回路214からの濾液は、処理槽201の底周辺部に設けた戻し回路214の吐出口215より吐出させ、その濾液の流れを駆動力として、処理槽内の被処理液体に液面から底部への短絡流が起らない旋回流を発生させる。旋回流により液面から底部への短絡流が生じると、大気を巻き込んで気泡が発生し、懸濁粒子の沈降を阻害する。このような短絡流が生じないようにするには、ポンプの駆動力や戻し回路への濾液の流量などを調整すればよい。
【0058】
底部に吸い込み口(排出口)を設けた処理槽の場合、短絡流が生じないようにするには、特許第2814417号公報に示されているように、吸い込み口上に邪魔板を設ける方法が効果的であるが、吸い込み口上に本発明の濾過装置を配置することによって、邪魔板の機能を担わせることができる。濾過エレメントの下方に設けた底板を邪魔板として利用することもできる。また、邪魔板の上に、本発明の濾過装置を配置してもよい。邪魔板の下部に濾過材を配置した場合、濾過材が詰まりやすく、その清浄が困難であるが、本発明の濾過装置を用いると、濾過材の洗浄修復作業が簡単である。
【0059】
分岐装置212の下方向回路213からの濾液は、図示していないが、濾液の貯液槽に供給することができる。その場合、濾液の貯液槽の越流を図2の処理槽201内の被処理液体に還流させて、繰り返し濾過処理を行うことができる。このようにして、懸濁粒子やゴミその他の懸濁質を除去した液体を採取することができる。他方、濾過面の外側に付着した懸濁質や、処理槽の底部に堆積した懸濁質を採取することができる。
【0060】
被処理液体を高度に精製したり、あるいは、懸濁質の回収率を上げるには、図2に示すような上記の液体処理装置を第一の液体処理装置とし、これを第二の液体処理装置と連結した液体処理システムとすることが好ましい。第二の液体処理装置は、第二の処理槽内に、(a)濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置を配置すると共に、該第二の処理槽に、(b)処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取するためのポンプ手段、(c)該ポンプ手段により採取した濾液を処理槽内に還流するための戻し回路、(d)処理槽の底周辺部に戻し回路の吐出口、(e)処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過し、処理槽内に還流しなかった濾液を採取する回路を配置し、さらに、必要に応じて、(f)濾液を採取する回路からの濾液を第一の液体処理装置における処理槽内の懸濁液に還流する還流回路を配置し、戻し回路の吐出口より吐出される濾液の流れを駆動力として、第二の処理槽内の懸濁液に旋回流を発生せしめるように構成したものである。両装置は、第一の液体処理装置における分岐装置の下方向回路からの濾液を第二の処理槽内に供給する回路によって連結されている。
【0061】
図3に、上記液体処理システムの具体例を示す。図3に示すように、第一の液体処理装置(左側の装置)は、濾過面を縦方向に配置した濾過材306により囲まれた内部空間309を有する濾過エレメントと該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体307とを備えた液体濾過装置が処理槽301内に配置されている。この濾過装置は、底板が省略され、内部空間内に水中ポンプ304が配置されている。原液供給ライン302から被処理液体として懸濁液を処理槽301内に供給する。処理槽内の被処理液体308は、越流排出口303から常時オーバーフローさせて、処理槽内の液面が一定水準に維持されるようにしている。越流は、原液供給ラインを通じて処理槽内に還流することができる。濾過エレメントは、円筒状であり、その上方には蓋体(蓋材)310が配置され、その貫通には中空体307が装着されている。中空体の上端部は、大気圧に開放されている。
【0062】
水中ポンプ304を駆動させて、濾過エレメントの濾過材306を通過した濾液を排出ライン305から分岐装置312に送液する。分岐装置312により、濾液を上方向回路314と下方向回路313とに分岐させる。上方向回路314からの濾液は、処理槽301の底周辺部に設けた戻し回路の吐出口より吐出させて、その濾液の流れを駆動力として、処理槽内の被処理液体に液面から底部への短絡流が起らない旋回流を発生させる。
【0063】
分岐装置312の下方向回路313からの濾液は、第二の液体処理装置(右側の装置)に送られる。第二の液体処理装置は、処理槽315内に液体濾過装置が配置されている。この液体濾過装置は、濾過材316により囲まれた内部空間320を有する濾過エレメントと、その上方に蓋体318と中空体317が設けられている。処理槽315は、底部がコーン型となっており、濾過エレメントの開口部がその底部に配置されている。
【0064】
処理槽315の底部には、ドレイン回路321が設けられており、第一の液体処理装置の分岐装置の下方向回路から送られた濾液319を更に濾過材316を通過させて濾過し、その濾液を排出する。濾液の一部は、ポンプ326を駆動してライン327を経て処理槽315の底周辺部の吐出口328から処理槽内に還流させ、それによって、処理槽315内の液体に旋回流を生じさせる。この旋回流は、液面から底部への短絡流が生じない程度にすることが望ましい。
【0065】
他方、ドレイン回路321からの濾液の一部をライン323からライン325を経て、第一の液体処理装置の被処理液体に環流させてもよい。さらに、ライン324により、清澄濾液として採取してもよい。これらのライン323、324及び325は、サイホン方式とすることが便利である。処理槽315上部には、越流排出口330を設け、液面を一定水準に維持するようにする。越流排出口330からの越流液は、第一の液体処理装置の処理槽301内に還流させることが望ましい。
【0066】
このような処理が終了したとき、処理槽315内の濾過装置を上方向に移動させると、濾過材の外側に付着した懸濁粒子などは、濾過装置に僅かな外力を加えることにより簡単に払い落とすことができ、底部に溜まった懸濁粒子などとともに、排出ライン322から排出することができる。ライン329からは、必要に応じて各種気体を注入することができる。なお、液体処理操作に使用する切り替え弁や流量計などは図示していない。
【0067】
このような液体濾過装置、液体処理装置、液体処理システムなどを利用することにより、高度に精製された水などの処理液体を採取することができる。また、化学反応や発酵反応、反応後の後処理操作などを行うことができる。
【0068】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。
【0069】
参考例1]
図1に示すような構成の液体処理装置を用いた実験例を示す。処理槽1として上部径φ1300mm、高さ1640mm、2000リットル容量のポリエチレン製タンクを使用した。処理槽1の底中央部に液体濾過装置を設置した。該液体濾過装置は、直径φ350mm、高さ600mmの円筒枠体の側面に1mmのステンレス鋼線材を0.5mm間隔で縦向きに溶接して形成した金属スクリーン6(濾過材)からなる円筒型濾過エレメントを備えている。濾過エレメントの上方には、ステンレス製円筒(中空体)7を水面上まで立ち上げて連接した。
【0070】
金属スクリーン6により囲まれた内部空間9内の処理槽1底部に、水中ポンプ(100V、50W)4を設置し、排出ライン5により濾液を外部に排出し採取するように構成した。被処理液体は、越流排出口3から排出して、処理槽1内の液面が一定水準となるように制御できるようにした。
【0071】
ステンレス製円筒内の水位変動は、水位検出器などを用いてモニターすることができる。ステンレス製円筒7に代えて、ガラスまたは合成樹脂製の透明な円筒を用いて、円筒内の水位変動を側面から観察できるようにすることもできる。処理槽1の底部が平坦でなく、濾過エレメントの下方と底面との隙間から処理槽1底部に沈殿した砂などの粒子を吸引し易い場合には、濾過エレメントの下方開口部に底板を設けて封鎖し、底板の上に水中ポンプを載置することが好ましい。
【0072】
被処理液体として、屋根面積が約50m2の屋根に設けた雨樋から採取した雨水を供給し、濾過処理し、過剰水を放流できるようにして、防火用水槽の水としての利用を図った。原液供給ライン2から処理槽1内に供給した雨水は、その中に含まれる塵埃により濁り水となって、水底を透視することができなかった。このような雨水は、夏季には腐敗して悪臭を放つ。
【0073】
処理槽1内に供給した雨水8は、水中ポンプ4を駆動して金属スクリーン6により濾過して、その濾液を排出ライン5から貯水槽(図示せず)に送液した。貯水槽の越流は、処理槽1内に還流させた。水中ポンプの駆動中、ステンレス製円筒7内の水位は、処理槽1の水位より低下していることが観察された。円筒7内の水位の低下の程度aが大きくなりすぎて、金属スクリーン6の濾過面の上端部にまで到達しないように、水中ポンプ4の駆動力を制御した。
【0074】
水中ポンプ4を5月から4ヶ月間連続駆動させて濾過処理を行ったところ、貯液槽には、塵埃のない透明な水が蓄えられていた。水中ポンプの駆動の初期段階では濾過面に落ち葉や藁くずなどが捕捉されるが、塵埃は通過するので、貯留水は濁っていた。濾過面の外側に落ち葉などが緩やかに堆積するにつれて、落ち葉の表面に藻類が繁茂し、それによって、次第に塵埃も捕捉されるようになり、貯留水は清澄化した。この間、強固な目詰まりもなく、濾過抵抗の増大も観察されなかった。水中ポンプ4の駆動を停止して、金属スクリーン6を振動させると、金属スクリーン6の外側に付着していたゴミや粒子などの堆積層は、簡単に脱落し、金属スクリーンの素地が露出した。
【0075】
[比較例1]
図1に示す液体処理装置に代えて、図4に示す液体処理装置を用いたこと以外は、参考例1と同様に操作した。すなわち、処理槽401として上部径φ1300mm、高さ1640mm、2000リットル容量のポリエチレン製タンクを使用した。処理槽401の底中央部に液体濾過装置を設置した。この液体濾過装置は、直径φ350mm、高さ1640mmの円筒枠体の側面に1mmのステンレス鋼線材を0.5mm間隔で縦向きに溶接して形成した金属スクリーン406からなる円筒型濾過エレメントである。
【0076】
この円筒型濾過エレメントの内部空間内では、処理槽401底部に水中ポンプ(100V、50W)404を設置し、排出ライン405により濾液を外部に排出し採取するように構成した。被処理液体は、越流排出口403から排出して、処理槽401内の液面が一定水準となるように制御できるようにした。円筒型濾過装置の上方部は、液面上に一部露出している。
【0077】
被処理液体として、前記と同じ面積の屋根に設けた雨樋から採取した雨水を供給し、濾過処理し、過剰水を放流できるようにして、防火用水槽の水としての利用を図った。原液供給ライン402から処理槽401内に供給した雨水は、その中に含まれる塵埃により濁り水となって、水底を透視することができなかった。
【0078】
処理槽401内に供給した雨水は、水中ポンプ404を駆動して濾過エレメントにより濾過して、その濾液を排出ライン405から貯水槽(図示せず)に送液した。貯水槽の越流は、処理槽401内に還流させた。水中ポンプ404を実施例1と同様に4ヶ月間連続駆動させて濾過処理を行った。
【0079】
水中ポンプ404の駆動の初期から処理槽401内の雨水の表層から、濾過エレメント内へ落ち葉やゴミを伴う流入量が多く見られた。また、落ち葉やゴミが濾過エレメント上方の濾過面に強く付着し、それが次第に全面に成長していくのが観察された。次第に濾過流量が減少し、4ヶ月後に完全に閉塞し、水中ポンプはから運転状態に陥って停止せざるを得なかった。
【0080】
処理槽401の底部には汚れた雨水が滞留して腐敗しており、濾過処理を効率的かつ均一に行うことができなかった。金属スクリーン406の外側に付着していたゴミや粒子などの堆積層は、強固に付着しており、剥離するのが極めて困難であった。
【0081】
[実施例
図2に示すような構成の液体処理装置を用いた実験例を示す。処理槽201として上部径φ1300mm、高さ1640mm、2000リットル容量のポリエチレン製タンクを使用した。処理槽201の底中央部に、液体濾過装置を設置した。該液体濾過装置は、直径φ350mm、高さ600mmの円筒枠体の側面に1mmのステンレス鋼線材を0.5mm間隔で縦向きに溶接して形成した金属スクリーン6(濾過材)からなる円筒型濾過エレメントを備えている。濾過エレメントの上方には、蓋体(蓋材)210を配置し、その貫通に直径25mmの通気管(中空体)207を装着し、その上部開口端を大気圧に開放するようにした。
【0082】
金属スクリーン206により囲まれた内部空間209の下方開口部を底板211で封鎖した。底板211の上には水中ポンプ(100V、50W)204を設置しており、排出ライン205により濾液を外部に送液するように構成した。濾過装置は、底板211により処理槽201の底部に配置した。被処理液体は、越流排出口203から越流させて、処理槽201内の液面が一定水準となるようにした。
【0083】
水中ポンプ204を駆動させて、濾過エレメントの濾過材206を通過した濾液を排出ライン205から分岐装置212に送液する。分岐装置212では、濾液を上方向回路214と下方向回路213とに分岐させる。上方向回路214からの濾液は、処理槽201の底周辺部に設けた戻し回路214の吐出口215より吐出させ、その濾液の流れを駆動力として、円筒型の処理槽201内の被処理液体に液面から底部への短絡流が起らない旋回流を発生させる。
【0084】
処理槽201内に原液供給ライン202から水道水を供給し、水中ポンプ204を駆動させ、分岐装置212の上方向回路からの水をライン214から吐出口215を通して処理槽201の底周辺部の吐出口から接線方向に吐出させた。処理槽201内の水は、緩やかに旋回した。
【0085】
この状態での旋回水流を観察するため、トイレットペーパー1個を解砕して調製したパルプ懸濁液を処理槽201内に注入した。パルプ繊維の動きで旋回流が明瞭に観察された。パルプ繊維は、金属スクリーン206の外面に緩やかに堆積して厚い堆積層を形成する様子が観察された。堆積層の成長につれて、パルプによる濁りが順次減少し、数時間循環した後には、底まで透視できる水道水と同じ透明状態になった。
【0086】
この状態で、新たに濁った原水として、カオリンクレーを用いて調製した泥水を原液供給ライン202から供給して、処理を継続した。分岐装置212の下方向回路213の取水口から水を採取し、その水質を観察したところ、水道水同様の透明な水が安定して得られた。この透明状態は春から夏にかけても維持することができた。
【0087】
夏季に水中ポンプを10日間停止したところ、処理槽201内の水は、臭気の強い腐敗状態となって濁った。そこで、水中ポンプ204を再駆動させると、分解しなかったパルプは金属スクリーン206の外面に堆積し、濁り水は数時間で清澄化した。ただし、水には、着色が残り、分解有機物が溶存していると判定されたが、1週間後に清水に復元した。
【0088】
金属スクリーン206により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントの濾過面には、外側にパルプやゴミなどが堆積するが、濾過面の全体に均等かつ緩やかに堆積し、その厚みが増しても、濾過抵抗が急激に増大することがなく、通気管207内の水位が若干低下するだけである。水中ポンプ304の運転を間欠的に行うと、運転を停止した時に濾過面の堆積層が自然に落下して、濾過面が更新された。
【0089】
[実施例
図3に示すような構成の液体処理システムを用いた実験例を示す。図3の左側の第一の液体処理装置としては、図2に示したのと同様の構成を有するものを用いた。ただし、この濾過装置は、底板が省略され、濾過エレメントの内部空間内の処理槽底部に水中ポンプ304が配置されている。右側の第二の液体処理装置として、直径φ1620mm、有効高さ1580mm、容量3000リットルのポリエチレン製タンクを使用した。タンク底部は、コーン型になって、排出の際に泥などがたまりにくい構造となっている。
【0090】
第一の液体処理装置からの濾液は、分岐装置312に送られ、その下方向回路からの濾液をライン313を通して、第二の液体処理装置の処理槽315内に供給する。処理槽315の越流排出口330からのオーバーフロー水は、戻しライン(図示せず)により、処理槽301に戻す。したがって、処理槽315には、所定の水位の水が常時満たされる。処理槽315には、処理槽301で浄化された清水が常時保存され、清水の貯水槽として様々な用途に適用することができる。
【0091】
さらに高度の濾過を行うため、処理槽315の底部に、本発明の濾過装置を配置する。濾過エレメントの下方開口部は、処理槽315のコーン型底部に接触して設置する。処理槽315の底部に設けたドレイン回路321を分岐し、サイホンを利用して濾液を汲み出して、ライン323及び324から採取する。濾液を採取して利用しない場合も、ライン323及び325から処理槽301に戻す循環を継続する。長期の運転で処理槽315に集積した捕捉物は、濾過装置を持ち上げて、処理槽315の底のドレイン回路321及び322から排出することができる。ドレイン回路からの集積沈降物の排出は、活性炭等の吸着粒子やイオン交換樹脂粒子を投入して濾過処理を行った場合、それらの回収手段となる。
【0092】
さらに高度の機能を付与するために、ドレイン回路321を分岐して、濾液をポンプ手段326により、ライン327から328を通して処理槽315の底周辺部の吐出口から接線方向で注入し、旋回流を与えて処理槽315内の液体を攪拌する。この回路の途中で、気体注入口329より所定の気体を注入し、被処理液体319に気体を溶解させて化学反応を制御することができる。この旋回流による攪拌は、気泡が発生しにくく、発生しても浮上分離しやすいという特徴を有している。
【0093】
上記の特徴は、気体状態の化学物質が関わる化学反応、特に酵素のとの関係が重要な生物反応等で様々な効果を発揮することができる。その具体例を以下に示す。
【0094】
<醗酵、醸造槽>
微細な素材の堆積層では、素材と水との界面の大きさが膨大になり、気体との化学反応の触媒機能が顕著になる。また、微生物反応を促進する効果も顕著になり、バイオリアクターとしての機能を発揮することができる。この場合、濾過面に安定した緩やかな堆積層が厚く形成されることが望ましい。濾過材は、最終的な堆積層の脱離操作との兼ね合いで選択される。
【0095】
第二の液体処理装置の気体注入口329から、窒素ガスを注入すると、処理槽315内の脱酸素が効果的に進行し、嫌気状態になる。旋回流を利用すると、外気の影響を受けることなく、嫌気状態を維持しながら攪拌することができる。したがって、図3の液体処理システムは、嫌気醗酵、醸造槽として有効である。図2に示す液体処理装置も、同様に、嫌気醗酵、醸造槽として有効である。
【0096】
醸造工業では、殆んど圧力をかけずに自然に滴る現象を利用する「1番絞り」と呼ばれる濾過法が重宝されている。本発明の液体処理装置は、濾過処理において殆んど圧力がかからないので、醸造工程に図2または3に示した液体処理装置を設けると、圧力を殆んどかけない濾過処理が可能である。したがって、本発明の液体処理装置は、染み出した酒、酢、しょうゆの濾過採取に好適である。濾液を循環すると、さらに発酵、醸造反応が進むので、生産工程の大幅短縮を見込むことができる。したがって、本発明の液体処理装置は、バイオマス資源の活用にも好適である。
【0097】
<化学反応槽>
図2及び3に示す液体処理装置は、水中ポンプを、逆支弁を経て吸引する方式の外部ポンプにとり代えて、化学反応槽として利用することができる。例えば、重合反応において、触媒を失活させる酸素の混入を防ぐため、図3の第二の液体処理装置の気体注入口329から、窒素、アルゴンなどの不活性ガスを注入すれば、反応槽内の酸素を効果的に排除することができる。濾過装置がない場合は、重合反応生成物によりポンプ手段が閉塞することが多いが、本発明の液体処理装置では、濾過装置を配置しているため、ポンプ手段の閉塞問題が解消され、長期間にわたって安定運転をすることができる。
【0098】
他方、酸化反応には、気体注入口329から、酸素やオゾンはもとより、亜酸化窒素や過酸化水素などを化学量論的に正確に注入することができる。酸化反応生成物が固体粒子である場合でも、濾過装置を配置しているため、ポンプ手段の閉塞なく、酸化反応を安定して行うことができる。
【0099】
大気中の二酸化炭素は、地球温暖化をもたらす温室効果の元凶として注目されている。化学反応では、大気組成の変動が無視できない状況にあり、化学反応平衡に及ぼす二酸化炭素量を見直さねばならない。炭酸ガスを所定量注入すれば、炭酸塩の析出反応を効果的に抑制し、粒径を制御した粒子の合成とその採取に有効である。
【0100】
イオン交換は、イオン交換体粒子本体の固定イオンと対になる遊離イオンの交換反応であり、イオン交換体粒子を固定するカラム処理が汎用されている。カラム抵抗により、被処理液の通過速度いわゆる空間速度の設定に限界が生じる。カラムによるイオン交換は、あらゆるイオンをすべて交換するのに適するが、所望のイオンを選択交換することができない。図3に示す処理槽315に、OH型アニオン交換樹脂1モル相当を投入し、外部ポンプ326により処理槽315内で旋回させると、イオン交換樹脂粒子の浮遊流動層が形成する。この流動層を水が容易に通過するので、ここに1モルの塩化亜鉛と1モルの燐酸を投入する。全体が閉鎖系であるから化学収支が計算できる。アニオン交換樹脂に塩素イオンがりん酸イオンより優先的に交換されて、OHイオンが遊離しpHが高まる。析出する燐酸亜鉛の粒子状態は、添加条件で様々に変化するので、所望の粒度の製品を得ることができる。本発明の液体処理装置(液体処理システム)は、こうした選択的イオン交換操作にも適している。
【0101】
参考例2
堰堤で囲まれた湖沼の底域に水中ポンプを設置した場合、水底の土砂が汲み上げられるのは設置当初であって、しばらくすると表層の清水から短絡回路を形成して清水が採取されるようになる。しかし、湖沼の水位が変動するにつれて、ポンプ周囲に設けたスクリーンの水面近辺から優先的にゴミが強固に付着して、スクリーン全体に波及して、水中ポンプによる揚水ができなくなる。
【0102】
数メートルの水深の湖沼で、夏場に表層水温が上昇したままの状態が続くと、上下の対流が起こらないので、底域水は、滞留して酸素供給が途絶える。シジミのような底域生物は死滅し、その腐敗物ほか沈降物がヘドロ化し、生物を寄せ付けない死の世界になる。こうした嫌気状態では、分解が進み、りん、窒素の溶出物で表層水の水質が富栄養化し、アオコの発生、赤潮現象、かび臭の発生まで悪化する。
【0103】
浚渫事業で底泥をかき混ぜると、かえって水質を汚濁するので、厳重に仕切られた水域を機械的に浚渫せざるを得ない。採取した泥液の処分に多大の経費が使われている。本来はシジミが生息できる環境に必要な砂成分まで浚渫してしまうと、荒廃した底水域は、生物の生息に適さないので、別途新しい砂を散布する覆砂事業が必要とされて、ますます社会的負担が増大している。
【0104】
そこで、本発明者は、次のような実験を行った。水槽として、面積が約6平方メートル、水深0.5mの庭園池を用いた。手入れをしていない庭木の落ち葉が10年以上蓄積し、水底には厚さ20cmの堆積層が形成されており、かろうじて上部は濁らないものの青緑で汚かった。熊手で水底をかき混ぜると、腐敗臭が強く、先ず木屑等の粗いゴミを除去した。
【0105】
ここに、図1に示した濾過装置と同様の構造を有する濾過装置を配置した。すなわち、直径φ350mm、高さ300mmの円筒枠体の側面に1mmのステンレス鋼線材を0.5mm間隔で縦向きに溶接して金属スクリーンとした。円筒型スクリーンの上面と底面を平板で覆い封鎖した。上面の平板には、貫通孔を設けて通気管を装着した。通気管は、上方開口端が水面より上になる長さとした。底面の平板には、水中ポンプを載置した。この濾過装置に、水底ですべるようにソリを設けて、水底で容易に移動できるようにした。
【0106】
水中ポンプを駆動させ、懸濁水を採取し、別途用意した細かい網袋で濾過し、清澄水を元の池に戻した。このようにして、庭園池の泥を浚渫したが、金属スクリーンは閉塞することがなく、長期間の使用に耐えることができ、しかも、金属スクリーン上に緩やかに堆積した落ち葉等の細かいゴミに、藻類が生育して、ポンプからの採取液そのままで清澄になった。緩やかな堆積層に微生物が棲息し、水質浄化に寄与したものと考えられる。
【0107】
広い池の場合、本発明の濾過装置を複数個配置することが有効であるが、その他の手段として、濾過装置の底板に移動手段を設けることも有効である。移動手段は、耕運機の機構を備えさせると、底泥をかき混ぜて浄化する効果が期待できる。水質浄化施設を積み込んだ船から濾過装置を牽引する方式もある。浚渫泥液には砂が含まれないので、水田等に導いて農業用肥料にすることができる。汚泥の除かれた清浄な砂質底は、水中生物の生息に適し、漁業振興に寄与する。
【0108】
【発明の効果】
本発明によれば、濾過材により被処理液体を濾過処理するに際し、濾過材の目詰まりが起こり難く、濾過精度に優れた液体濾過装置を用いた液体処理装置、液体処理システム、及び液体処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例の濾過装置とそれを用いた液体処理装置の一例を示す断面略図である。
【図2】 本発明の濾過装置とそれを用いた液体処理装置の他の一例を示す断面略図である。
【図3】 本発明の濾過装置とそれを用いた液体処理装置の他の一例を示す断面略図である。
【図4】 従来の濾過装置とそれを用いた液体処理装置の一例を示す断面略図である。

Claims (11)

  1. 濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置。
  2. 該濾過エレメントを被処理液体中に浸漬して、被処理液体を濾過面の外側から濾過材を通過させて濾過し、濾過エレメントの内部空間内に流入した濾液を採取するように構成した請求項1記載の液体濾過装置。
  3. 該中空体が、その一方の開口端が前記蓋材の貫通口に装着されることにより濾過エレメントの内部空間に接続され、その本体が被処理液体の液中から液面上方にまで延びており、その他方の開口端が大気圧に開放されており、かつ、濾液の採取時、濾過エレメントの内部空間に接続された中空体内の液面が下降した場合に、その下降した液面が濾過エレメントの内部空間の上端部に達しないだけの十分な長さを有するものである請求項2記載の液体濾過装置。
  4. 懸濁液を処理槽に供給して濾過処理するための液体処理装置であって、該処理槽内に、(A)濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置を配置すると共に、該処理槽に、(B)処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取するためのポンプ手段、(C)該ポンプ手段により採取した濾液を分岐装置に導くための導管、(D)該導管により導かれた濾液を上方向回路と下方向回路とに分岐するための分岐装置、(E)上方向回路に分岐した濾液を処理槽内に還流するための戻し回路、及び(F)処理槽の底周辺部に戻し回路の吐出口を配置し、戻し回路の吐出口より吐出される濾液の流れを駆動力として、処理槽内の懸濁液に液面から底部への短絡流が起らない旋回流を発生させ、下方向回路からは処理槽内に還流しなかった濾液を採取するように構成したことを特徴とする液体処理装置。
  5. 請求項4記載の液体処理装置を第一の液体処理装置とし、これを第二の液体処理装置と連結した液体処理システムであって、該第二の液体処理装置は、第二の処理槽内に、(a)濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置を配置すると共に、該第二の処理槽に、(b)処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取するためのポンプ手段、(c)該ポンプ手段により採取した濾液を処理槽内に還流するための戻し回路、(d)処理槽の底周辺部に戻し回路の吐出口、及び(e)処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過し、処理槽内に還流しなかった濾液を採取する回路を配置し、戻し回路の吐出口より吐出される濾液の流れを駆動力として、第二の処理槽内の懸濁液に旋回流を発生せしめるように構成したものであり、かつ、両装置が、第一の液体処理装置における分岐装置の下方向回路からの濾液を第二の処理槽内に供給する回路によって連結されていることを特徴とする液体処理システム。
  6. 被処理液体中に、濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置を浸漬して、被処理液体を濾過面の外側から濾過材を通過させて濾過し、濾過エレメントの内部空間内に流入した濾液を採取する液体処理方法。
  7. 該中空体が、その一方の開口端が前記蓋材の貫通口に装着されることにより濾過エレメントの内部空間に接続され、その本体が被処理液体の液中から液面上方にまで延びており、その他方の開口端が大気圧に開放されており、かつ、濾液の採取時、濾過エレメントの内部空間に接続された中空体内の液面が下降した場合に、その下降した液面が濾過エレメントの内部空間の上端部に達しないだけの十分な長さを有するものである請求項6記載の液体処理方法。
  8. 濾過エレメントの内部空間内に流入した濾液の採取を、該内部空間内に配置した排出手段または該内部空間に液体連絡する排出手段により行う請求項7記載の液体処理方法。
  9. 濾過材の濾過面の見かけ面積をS(m)、濾過材の開孔比をα、濾過面を通過する単位時間当りの液量をQ(m/h)、濾過材を通過する被処理液体の線速度をv(m/h)としたとき、下記式(1)
    v=(α・S)/Q (1)
    に従って、Q値に相当する濾液の採取量を調整し、線速度vを0.01〜100(m/h)の範囲内の所望の値となるように制御する請求項6乃至8のいずれか1項に記載の液体処理方法。
  10. 濾過面を縦方向に配置した濾過材により囲まれた内部空間を有する濾過エレメントと、該濾過エレメントの内部空間の上方に配置された蓋材と、該蓋材の貫通口に装着され、該濾過エレメントの内部空間を大気圧に開放するための液体不透過性の中空体とを備えた液体濾過装置を配置した処理槽内に懸濁液を供給し、ポンプ手段により処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取して上方向回路と下方向回路とに分岐し、上方向回路に分岐した濾液を処理槽内の底周辺部に吐出することにより処理槽内の懸濁液に液面から底部への短絡流が起らない旋回流を発生せしめ、下方向回路からは処理槽内に還流しなかった濾液を採取することを特徴とする液体処理方法。
  11. 処理槽内に懸濁液を供給して濾過処理するに先立って、繊維またはパルプを解きほぐした分散液を処理槽内に供給し、ポンプ手段により処理槽の底部から濾過装置の濾過材を通過した濾液を採取して処理槽内に還流することにより、濾過材の濾過面外側に繊維またはパルプの堆積層を形成しておき、該堆積層を介して懸濁液の濾過処理を行う請求項10記載の液体処理方法。
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