JP6666176B2 - 気化性物質を系外排除できる水処理装置及び方法 - Google Patents
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Description
近年に至り、瀬戸内海環境保全特別措置法が立法化され(2015年)、従来の水質規制という視点から、水質の管理・制御という視点への転換が求められるようになった。海域の貧栄養化と富栄養化という両極端現象の課題を解消するためには、下水処理の固液分離方法・装置の抜本的対策が強く求められている。
この目詰り現象を軽減する趣旨で、図1に示す如く濾過面4を垂直配置にするのが一般的である。一方全く新たな視点から、コンパクトな設計の下で大きい濾過面積を確保できる中空糸膜を利用する膜分離生物化学反応(MBR)を利用する高度処理も展開されている。これらの技術革新に併せて、散気装置や自動洗浄装置等の自動制御面での工夫も施されているが、それら工夫の付加に応じて設備経費や運転経費が嵩み、近年では喫緊の課題として根本的な方式転換が求められるに至っている〔例えば、海域のヘルシープラン(海域の物質循環健全化計画)平成26年3月環境省、参照〕。
貯水槽1内に描いた竜巻状の渦流はポンプによる吸引圧を受けて生じる水の流れをやや誇張的に描いたものであって、貯水槽1内に存在する可視的/非可視的の如何を問わない浮遊物や濁質成分などが、この局所的な流れに添って濾過面4に強く吸い込まれることで局所的な目詰まりを起こし、順次これが波及して濾過面全体を閉塞することが観察される。しかも図1のように濾過分離装置3を貯水槽1の底部に配置すると、底部の沈降濁質など(所謂ヘドロ層)による目詰まりも著しいので、長期安定運転が実質的に不可能である。
そこで採水パイプ5からの採水を別の水域に誘導して何らかの浄化処理を施した上で貯水槽1に戻すようなシステムを組む場合もある。しかしこのようなシステムを採用する場合であっても、濁質を捕捉するための分離手段の清掃や交換は不可避の作業であり、上記したような布、網状シートなどの清掃・交換作業によって濁質の除去効果を得ている点では変わりがない。
図1では、貯水槽1の底域に生成した沈降濃縮泥層を機械的に排出するため、例えばスクリュー式排出機構7を設けるケースを示している。泥液層が淀んで嫌気性になり易く、ヘドロ化することが多い。この場合泥液が貯水槽内に舞い上がって著しい水質悪化を招き、貯水槽内の生物環境を却って悪化させるという問題があった。対症療法的な対策はなされているが、本質的と評価できるほどの対案の提示がみられない。
特許文献2では、膜ユニットの性能回復のための洗浄を効果的に行う技術が提案されている。しかしユニットの目詰まりを抜本的に解消するものではなく、却って複雑さを伴う点で電力使用の軽減に寄与しないと考えられる。
特許文献3は、浸漬型分離装置に複数個のカートリッジを使用するものであるが、目詰まりに至る時間が設置個数分に応じて短縮するメリットに止まり、且つ複雑な回路構成を必要とするので、電力使用量の軽減効果を得ることができないのではないか、との恐れがある。
特許文献4では、中空糸膜を使う場合における目詰まり防止のための散気装置を工夫する技術が示されているが、分離膜モジュールにおける中空糸膜の管径が数ミリと小さいため、送水の抵抗に基づく圧力損失に伴う電力消費への着眼は無く、中空糸膜利用の限界を露呈するものである。
特許文献5では、CODの低減を目指してオゾンガスの通気とその後処理という複雑な工程が提起されているが、CODを高める原因となる還元性気化物質を排除できるものではない点で、必らずしも合理的とは言い難い。
特許文献6では、目詰まり防止の為の簡単な構成が謳われているが、圧力濾過と目詰り現象の因果関係への配慮が足らず、目詰まりの解消にはならない。
特許文献7では、従来の平均的中空糸膜より太いもの、例えば管径3.6〜10mmという太い中空糸膜が実現できたとされているが、圧力濾過方式である点に変わりがなく、目詰りの根本的防止には寄与できない。
特許文献8では、リン酸塩化成処理で発生するスラッジ液の濃縮に限外濾過を用いることを特徴としているが、セットリングタンクの不備を補う、という域を出るものではない。
特許文献9は、沈降性スラッジを巻き込まないような上昇流路を設定したもので、考え方としての合理性は高いが、採水条件の定量的な設計が示されていない。
両端が解放されて略垂直姿勢で被処理水の水槽中に浸漬されるチューブを、その下方端側解放口を、前記筒体内腔部の任意高さ位置に臨ませるように配置して該内腔部に存在する被処理水を該チューブの下方端側解放口を通して該チューブ内に導入させると共に、該チューブの上方端側解放口を、被処理水の水槽の水面上へ突出させて、該チューブ内に前記下方端側解放口から浸入している被処理水を該上方端側解放口の内腔に至らせて大気圧に解放された状態の鼻〔以下鼻1という〕とすることを第2要素とし、
前記透水機構部は筒体の外周面に前記透水面を有すると共に筒軸方向に連結・解除自在に構成された筒状透水体を単位エレメントとし、被処理水の水槽状況に対応して該単位エレメントの連結数を最適化することにより、必要最適深度域をカバーし得る長さの透水機構部を形成して使用するものであり、且つ各単位エレメントにおける透水面は、可視大きさの水通過孔を筒壁貫通方向に備えて構成されることを第3要素とするものであり、
前記透水機構部の内腔に移動している被処理水および前記微細濁質(気化性物質を含む)は、該内腔を臨んで連結された採水パイプを経由して、採水ポンプの使用に基づく吸引力によるか、または前記被処理水の水槽の水位に基づく位置エネルギーによって抜き出されるように構成されている。
なお前記透水機構部の透水面の外周側に、定常的に用いる訳ではないが必要に応じて任意の織・編・網状分離手段を着脱自在に添設して使用することもできる。このようにすれば、比較的大きい可視的浮遊物や可視的濁質を織・編・網状分離手段で捕捉することが可能であり、他方非可視的微細濁質はこのように捕捉された状態の可視的浮遊物や可視的濁質に更に付加的に付着乃至吸着して捕捉されるので、このような捕捉状態にある浮遊物や濁質の全てを織・編・網状分離手段と共に系外に取り出して清掃することが極めて容易となる。
更には、前記採水パイプの配管行程に沿って、該採水パイプから上向き姿勢に分岐させた任意数の分岐パイプを被処理水の水面より高い位置の大気中に突出させて、該採水パイプ内を流れる被処理水の上面を大気圧に解放された鼻〔以下鼻2という〕とすることができる。
なお鼻2から系外に放出される気化性物質は、元々気泡としての存在を識別できる否かを問わず、ナノサイズからミクロンサイズに属する程の極めて微細で識別困難な物質はほぼ全て対象とする。この微細な物質が「水」という液相の中で気相を呈して存在するか、或いは分子サイズで溶解しているかを問わず、減圧あるいは温度上昇の環境下で気化性を示すと共に、ボイルシャルルの法則に従って、体積を大きく成長させることが期待されるのである。本発明はこれらの現象を利用して気化性物質を気化させて大気に放出せしめることに成功したものである。
本発明の方法は処理の必要な貯水槽を個々に対象とする場合に留まらず、諸産業における総合的な処理システムとして展開することもできる。
例えば複数の水源水域(以下、下池ということがある)から水位の高い別の活用水域(以下、上池ということがある)に、前記採水ポンプを用いて排出される被処理水を揚水し、上池から下池には、本発明装置を用いて自然流下させるといった構成を採用して、下池と上池を相関連させるように本発明を実施すれば、複数の貯水槽を組み込んだ循環系を総合的に浄化処理することも可能となる。
例えば底部に厚いヘドロ層が生成している湖・沼・池・ダム湖などに対して、そしてそれが相当な深さを有するものであっても、任意深さの汚染度を状況判断して、その都度簡単に対応して貯水域の全域浄化を図ることができるようになった。本発明の上記装置は吸引圧が透水機構部の極所に集中しない構成(透水機構部の全域に均等・分散的にかかる構成)であるから、透水機構部がヘドロ層に挿入されても目詰まりを生じない。
ところで前記したような可視的浮遊物或いは目詰まりを生じるような大きさの可視的濁質は、本発明の透水機構部の透水面を通過しないが、前記した採水ポンプや位置エネルギー差による吸引力を受け続けるので、透水面の前面に緩やかに捕捉された状態を呈し、その状態で保たれる。そこでこの状態の前記可視的浮遊物或いは可視的濁質を適宜拾い上げる(或いは何らかの道具を使って掬い上げる)ようにすれば、これら浮遊物や濁質に付着している非可視的微細濁質も一緒に拾い上げ或いは掬い上げによって系外に取り除くことが可能であり、このことによって被処理水の濁度が次第に改善されていくのである。
それゆえ、上方端側解放口を採水ポンプや位置エネルギー差によって上記の被処理水槽から抜き出された水は汚濁度が改善されたものとなっており、この水槽の被処理水中に循環させるように返戻することも可能であり、或いはこれを更に別の水域に誘導して更なる浄化処理を施しても良く、若しくは該浄化処理後に再び元の被処理水槽に戻すことでも良い。従って浄化処理の対象となる被処理水の性状などを総合的に判断して種々の総合的水処理システムを組むことが可能となったのである。
これらの成分は気泡としては認識できないほどに微細なものであり、多くは非可視的微細濁質に吸着された状態で被処理水中にチンダル現象を生じる。これらが前記採水パイプを流れつつ一部が分岐パイプ(鼻2)から大気中に放散され、或いは鼻2の周縁部に付着する。そしてこの様な状況を経てチンダル現象が解消されることを見出した。このことで貯水槽内の水は極めてスッキリした清澄感を与えるに至る。なお上記付着物は適宜拭き取れば良く、或いは点火して燃焼させることでも取り除くことができる。
これに対し、本発明者の研究によれば、鼻2を用いない(従って鼻1のみを用いる)実施であって、且つ透水機構部・採水パイプを経て当該貯水槽に返戻する場合においても気化性物質を排除できることを確認しており、これによって透視度の向上効果を達成し得ている。もっとも透視できる深さ(透視度)が100cmを超える程までの高い透視度になったときでも、鼻2を用いたとき程のスッキリした清澄感を得るにはやや不充分で、チンダル現象を解消し得たと言うほどの効果は得られなかった。本発明における鼻2による効果の顕著性は後記実施例によって更に明らかにしていく。
なお上記採水パイプを被処理水中に返戻する場合において、該パイプの先端を、被処理水中に大きく緩やかな旋回流を形成するような方向に設定すれば、被処理水中の非可視的微細濁質がその旋回流の求心力に巻き込まれて凝集し易くなり、この凝集状態で沈降分離堆積し、長期運転後には水底に安定層を形成する。そしてこれらが分離して再び巻き上がることのない清浄な水辺になる。
本図では、採水ポンプ8の吸引側(採水ポンプ8の下側)に3つの単位エレメント9a、9b、9cが上下方向に連結されている。単位エレメントを包括的に言うときは「9」で代表する。これらの連結数nは本発明を限定するものではなく、貯水槽1の深さ、被処理水の濁度などに応じて分離・分級を定量的に行うのに最適の連結数nが決定される。採水パイプ5は採水ポンプ8の上側に接続したものを示したが、採水ポンプ8の構造・構成に応じて、水平方向に接続される場合もある。採水パイプの出側は貯水槽1内への返戻方向としても良く、或いは貯水槽1外へ向けても良い。
例えば図10は、高さ方向に細幅の縦リブ(縦格子)25を適宜間隔に設けてそれらの間を広幅の、例えば1〜10mm幅のスリット(貫通路)26としてこれを貫通路として形成したものである。これらの貫通路は縦向き、水平向き、螺旋状、格子状などの如何を問わない。以下では「スリット」の用語で代表する。
つまり本発明ではミリサイズの粗大なスリットを用いるにもかかわらず、透水機構部の内腔部の吸引圧力が大気圧近傍に緩和され且つ均整化されているのでミクロンサイズの微粒子でも、その沈降速度vが1時間当たり僅か数cmであるから、粘土鉱物の真球換算径での数ミクロンより大きな粒子は吸入されず、目詰まりを起こすに至らない。つまり貯水槽中のゴミは、ミクロンサイズ、ミリサイズの如何を問わず多くは濾過面の前面に集まるのみであり、スリットを通過できない。後述するように、所定の沈降速度以下の浮遊物、非可視的微細濁質が選択的(分級効果)に水と共にスリットを通過して透水機構部の内腔部に吸い込まれる。
被処理水中に分散浮遊している粒子の形状が真球から著しく変異しているとき、例えば紙屑や雲母等の鱗片状のものである場合は、沈降方向に見て大きな平断面を示すことで沈降速度が小さくなる。そのため透水面4の役割は、このように大きな平断面を示すものを幾何学的に篩い分けることにあり、それ故、比較的大きい開孔面積からなる水通過孔(前記スリットなど)を筒壁貫通方向に備えたものを使用する。
微細な濁質の除去は、透水面4を通して透水機構部の内腔部に入った被処理水Bを採水パイプ5経由で系外に放出することで進行するだけでなく、透水面4の前面で捕捉された可視的浮遊物や可視的濁質に吸着乃至付着することでも捕捉される。そしてこれら可視的浮遊物や可視的濁質を掬い上げなどの手段で取除くことに伴って並行的に除去されることは前記したとおりである。
上記したように鼻1を設けておけば、透水面の前後における圧力差が高さ方向に均一且つ微小化されるので、前記可視的浮遊物や所定の沈降速度以上の濁質は透水面の全面に穏やかな(従って内部空間を多く残した非圧密状態での)集積状況を呈し、被処理水A中の水そのものや所定の沈降速度以下の濁質の通過を損なわないから、透水面の目詰り状態を伴わずに濁質成分の除去が可能となる。
鼻2の数が複数個であるときは、それぞれの鼻2内の水面は、図示する如く採水ポンプ8から見て遠位になるほど低くなるので、送り配管の径を適切に、例えば順次細くなるように設計することも可能である。上向き姿勢部を透明管で構成しておけば管壁を通して内部を透視できるので、汚れの進行をチェックして清掃・更新でき、保守・管理面で有利である。
更に公共下水道処理施設のように大量の負荷を有する被処理水は窒素資源及び炭化水素資源としての利用可能性があり、また糖質資源の嫌気発酵の場合のメタンガスについても利用可能性があることを考えると、本発明装置を例えば発酵槽における適切な撹拌とガス分離に応用することで、ゼロエミッション社会の構築に役立つとの期待が持てる。
運転制御に際しては、系外からの流入水量の変化に対応するように採水ポンプ8を停止⇔低速運転⇔高速運転(図4⇔図5⇔図6)で切り替えながら、樋14からの排水量を調節バルブ6によって少量⇔中量⇔多量と調節するものである。
給水量がゼロになれば調節バルブ6を完全封鎖し、装置全体を停止する。この時点ではチューブ11内の鼻1の水位と採水パイプ5の鼻2の水位は等しくなり、連通管構成であることが示される。つまり鼻1と鼻2がこの連通管構成を形成する上で必須である。従ってここで用いるポンプとしては、吸引圧力が脈動するピストン方式は却って不都合であり、簡単な構造の羽根車方式が望ましい。なおこれらの実施例において、採水パイプ5を分岐させること、採水パイプ5を複数設けること、それらに設けるバルブ6を複数個とすること、などは全て本発明の変形実施例となることは言うまでもない。
高所に汲み上げて滝状に落下させること、せせらぎとして流下させること、噴水として大気に噴霧すること、といった従来の汎用技術では、曝気効果によって大気中からの酸素供給を大きくすることが意図されてきたが、溶存酸素を更に積極的に増やすという視点に固執した従来法では、空気曝気より酸素濃度を一層高めた通気、更には酸素より酸化力の強いオゾンや過酸化水素の通気を行って被処理水のCOD(化学的要求酸素濃度)やBOD(生物的要求酸素濃度)の負荷低減を目指していた。これらに対して、発想を根本的に変え、より合理的な方法として被処理水中のこれらの負荷物質を水中で酸化するのではなく、簡単な仕組みで水の外に放出できることを提起する技術として提供されたのが本発明である。
気化性物質を大気に放出することに関して、二次公害が懸念されかも知れないが、アンモニアやアミン類を水中曝気によって酸化し亜硝酸や硝酸を生成させることに伴う弊害よりも、むしろこれらが大気中で酸化された場合には、アンモニア合成の逆反応に従って、窒素ガスと水に分解されるので却って好都合である。例えば大阪湾における土砂採取後の大きな窪地に見られる酸欠状態の底域の改善対策として、深層に空気を送る曝気方式が行われているが、弊害が多く、その抜本対策として、本発明によって酸欠の原因物質を排除することのできる技術への発展を見込み得る状態が提示されたのである。
本発明装置を複数組み合わせた総合システムの一例を図9に例示する。図9は2つの貯水槽1X,1Yの間で被処理水の往復(循環)を行いながら、それぞれの槽内における処理効率を補完し合い、全体としての処理効率を向上させるための実施態様を説明するものである。図9中に示された記号の内、数字1〜12及びローマ小文字a,b,cは図1,2,3で説明したのと同旨の意味を示し、ローマ大文字X,Yは貯水槽1X,1Yに関連するものとして仕分けた。
貯水槽1Xは貯水槽1Yより高い位置に設けられており、図の左上から給水を受けつつ(調節バルブ6Xqを閉状態とする)、貯水槽1Xと貯水槽1Yの水位差を利用して(特別の排水ポンプを使用しないで)採水パイプ5Xを通して貯水槽1Yへ向けて被処理水Bを流し入れる。なお貯水槽1Xには、給水が過剰になった場合に備えて、その高い位置に安全路15を形成しておき、非常時には被処理水1Aを水位差によって貯水槽1Yに逃がすように構成されている。いずれの給水も、高所から低所に給水する場合、噴出先を対岸の垂直方向になるのを避けることで、位置エネルギーの集中的解放による乱流の形成を防ぐことができ、対岸に向けて斜め方向(上下・左右は問わない)に向ければ、給水を受ける側の貯水槽内には旋回流が形成される。要はその水槽の形状に合わせて工夫することが望ましい。
図10の採水ポンプ8は、図2と違って最下段の単位エレメント9cに結合された底板24上に設置され、該ポンプ8の上面に連結される採水パイプ5が、単位エレメント9c⇒9b⇒9a内を通して上方へ引き出されていくような構成を示している。
各単位エレメントの左方に示す3つの円盤状部品を、上から順に説明すると、23は最上方の単位エレメント9aの上面にボルト連結される蓋相当の円板であって、中央には採水パイプ5を上下方向に創通するための孔23’が形成され、周縁に沿って4つのボルト連結孔27が穿設されている。各フランジ22にも上記と同様のボルト連結孔が穿設され、中央部は被処理水が単位エレメント間を自由に移動できる空間部22’である。24は最下方の単位エレメント9cに取付けられた底板であり、採水ポンプ8をその上面に固定できるように構成されている。
なお(有)プテイオ社等の直流ポンプは、直流電圧の調整で流量調整できるので、例えば10V程度の低い電圧で駆動させれば屋外での使用においても安全である。なお渇水時用として自動停止向けのセンサーを取り付けることができる点でも便利である。何よりもソーラーパネルに直結で駆動できるという実績があり、小規模実験用として便利である。またポンプは圧力が一定となる羽根車方式が望ましく、本発明ではこれらの既製品を少し改造して使用できる。
単位エレメント(φ300mm×h300mmの東洋スクリーン(株)製)を利用し、(株)寺田ポンプ製の50Wの水中ポンプと組合わせた。そして貯水量40万トンの溜池での試運転した結果では、3年にわたって目詰まりすることなく、ポンプが損傷することなく揚水が継続でき、土木農業用水に便利な大きさである。
中間的な大きさとしては、三栄水栓(株)社の台所シンクの排水孔のゴミ取り網も重宝である。また(株)サナダ化成社のプラスチック製の網、各種厨房用の金網、竹籠も使用でき、身近な水辺と諸産業の化学反応槽に便利である。
D2=400・v(本発明者が設定した式:ファインクレイの沈降式)、
例えばD=2μmのときは、v=1cm/h=24cm/日
D=20μmのときは、v=1m/h=24m/日
D=200μmのときは、v=100m/h(1.6m/分)
ここでD(μm)は、懸濁粒子を、真球に想定した精製粘土鉱物の直径を表す。
この式は、分離・分級・精製を濾過面の面積Sで調整するに際して、ろ過面積Sのエレメントの接続個数nでもって調整するための設計式である。
媒質と媒体の境界は界面電気化学的に見て有限の厚みがあり、この厚みは多様に変化する。つまり濁質の大きさや粒度を求めるにあたりこの厚みをどのように捉えて表現するかは界面化学の永遠の技術課題であり、沈降速度法による粒度が測定法ごとに異なって当然である。画像解析で再現性の良いデータが得られるのは、試料調製の再現性が良いことを示していることに他ならないが、粒子の断面積が真球換算表示されることによって、実在もしない真球径換算値が独り歩きすると、尽きることのない徒労に終わることが多い。
分級機器としてデカンター(商品名)と呼ばれる遠心分離機が挙げられるが、沈降の加速のために遠心力が使われる越流方式であって、分級の分画に際してはファインクレイの分級式が役立つ。これはシックナー装置の設置占有場所の縮小効果であって、本発明の自然沈降に基づく方法・装置が合理的である。
ファインクレイの式が示すように、沈降速度v=1cm/h以下の浮遊状態の微粒子の大きさは、粘土鉱物の真球換算粒径で2μmのもので、白濁状態でとなる。これより更に小さい0.2μm径の沈降速度は0.01cm/h、即ち、24cm/hと計算される。つまり1日の間に風の強弱があったりして24cmの変位があったり、太陽が上がって水温に上昇方向への変化があると、水中で舞い上がるので実質沈降し得ない。このレベルの粒子は濁りとして識別できないので透明に見えるが、チンダル現象として光路を遮る濁りを観察することができる。この粒子が単独ではなく、気泡を抱えることによって沈降できるようになることを提示できたことが本発明の特徴のひとつである。
卓上小型水槽での実験結果が、巨大な自然水域に、諸産業の諸々の貯水槽、化学反応槽、また危険極まりない対象にも同じ原理を応用できて、それぞれの固有の課題が解明され解決される。
実施例1.庭の池:鼻1の効果
水深0.9m、水面1×1.5mのコンクリート製。雨水が流入し、適宜越流により排出される構造からなる池の水の浄化実績を述べる。
図1示した貯水池は、当該地域の雨水が流入してその表層水が排出される構造で、17年に亘って庭木の下で放置されていた。落ち葉が入って、底域に約20cmのヘドロが堆積し、表層水も濁って底が透視できない。かき混ぜると泡立って悪臭が発生して環境不全である。この程度の大きさであれば全量排出による清掃は可能であるが、本実験では水を満たした状態のままとし、本発明方法での水質浄化処理を行うこととした。
この実験では2つの単位エレメントを上下方向に連結し、最下端の単位エレメントをヘドロ層に挿入した。準備作業中にヘドロの舞上がりがあったが、今回は3日間の静置時間を持たず、即ち透視度0のまま、直ちにポンプをONとしたが、上記したような閉塞を招かず、継続して揚水できた。数日間は濁っていたが、1週間後には80cmの底域がヘドロ状態であることを透視・確認できた。これは在来法に比べて画期的成果である。
しかし水質検査を行ったところ、CODの数値では、飽和溶存酸素濃度DO値がこの時の水温25℃に相当する10ppm以下になることがなかった。透明度はかなり改善されたが、夜間に懐中電灯で照らすと、チンダル現象に由来する光路が見える濁水であり、この状態は3週間継続しても改善できなかった。
この結果は透視度の向上が迅速に進み、水質検査COD値は5ppm以下に改善され、まずは好ましい水辺環境が創出できた。大小さまざまな態様の貯水槽やため池に適用するにはストレーナの適正な大きさの設定と設置に手間がかかる。ここで用いた大型のストレーナは、治山・治水・土木用に好適であるが、個人の庭池のような小さな池、各種産業用の貯水槽、反応槽全般に適用するには高価かつ重くて現実的でない。
水深が10mに及ぶ公共上下水道の貯水槽等、水深が数十mに及ぶ湖沼ダム湖にあっても、このエレメントを多数連結しても同じ様に詰まらない原理が適用できる。多数の単位エレメントを安全確実に、外れないように保全できる構造に工夫することは言うまでもない。
実施例1によって透視度が改善された池であったが、夜間に懐中電灯で照らすと、池内に懐中電灯の光路が白く浮き上がり、チンダル現象がみられる程度であったことは上述した。
そこで図3に示すように、採水パイプ5に「鼻2」を付けて更なる運転を続けた。鼻2の臭いを嗅ぐと、硫化水素臭、アミン系の悪臭が感ぜられ、他方池内の清澄化の更なる改善が実感できた。鼻2の出口部に悪臭を発する析出物が出たので、管を更新し、逐次新しい鼻2とした。
採水ポンプからの噴き出し方向を左右に振り分けて調整し、池全体に緩やかな旋回流が維持された。鼻2からの悪臭は漸次減少し、上記したような析出物も減少し、殆どなくなった。夜間に懐中電灯で照らすと,底まで透視できて、且つ光路にチンダル現象がほとんど見られない水質が確認できた。この状態が盛夏を超えて半年以上維持されている。
比較例として、試みに鼻2を閉じて、水槽内の金魚への給餌を多くすると、チンダル現象が再発し、さらには昼間も濁りが出るようになった。改めて鼻2を開放復活させると、再び浄化が始まることで、鼻2の意義を再確認した。
三十数匹の金魚を飼育している60リットルのガラス製の水槽であって、真夏を含む半年を経過して水抜き清掃が必要になっていた。槽の底部に沈降汚泥物が堆積している状態のまま、上記実施例に倣って2つの単位EXエレメントを連結し、鼻1と鼻2を設けた本発明装置を浸漬して、最下位の単位EXエレメントを底に到達させて飼育を継続した。格段の清掃もなく給餌を続けたが、2週間後には水槽内の透視度が改善され、夜間にガラス越しに懐中電灯を照らしても水槽内には光路が見られなくなっていた。
試みに鼻2を閉じると、数日後白濁して魚が見えなくなったが、再び鼻2を開けると透視度が改善された。また鼻1を閉じると、水槽の隅に泥が堆積してヘドロ化したが、鼻1を開けるとヘドロが消滅した。この間水の入れ替掃除することなく、魚が死ぬことも無かった。
蛍の幼虫を飼育していた100リットルの水槽に実施例2と同じ構成の本発明装置を適用した。幼虫の餌になるカワニナを入れて、その餌として野菜を適宜与えた。水槽は濁ることなく、カワニナが繁殖し、ホタルの幼虫が成長した。この水槽のままではホタルが羽化できないので、羽化できる土手のある水辺に放流した。この結果から、本装置を蛍が羽化できる土手のある水辺に設置すれば蛍の自然繁殖が期待できることを確信した。因みに用いた水中ポンプは季節の変わり目3か月ごとに点検し、羽根等に付着した水垢を清掃しておくと、停止することがなかった。
図9の構成に従って、車庫の屋根上に設けた50リットルの角型水槽池と、φ30cm、高さ150cmのPVC製円筒水槽の地上池を連結して本発明方法を実施した。屋根上の角型水槽池からは樋を通して越流水が地上池に給水される。地上池からは10W直流ポンプを備えた本発明装置によって屋上池1に揚程2.5mで給水する。
降雨の無い日が続いて地上池の水がなくなると、水位センサーが働いてポンプが停止した。これによりポンプの損傷を防ぐことができた。水道栓を開いて給水が再開されると、地上池のポンプが駆動を回復した。屋上池の1つにクワイモの栽培ができた。直列に連結した別の池ではオニバスが自生し底域まで透視できる水辺が夏中維持できた。更に別の池に放流している金魚の飼育も順調であり、猛暑日も水温が35℃を超えることが無かった。季節の変わり目、3か月ごとにポンプとストレーナを清掃し、羽根車式のポンプは2年経過しても損耗しなかった。
試しに鼻1を塞ぐと、数日にして池水が濁るが、開放復帰すると清澄に戻った。また鼻2を塞ぐと、清澄度が損なわれ、夜間チンダル現象が観察されたが、鼻2を開放復帰するとスッキリした水辺に戻った。
このポンプで揚程2.5mまで揚水し、更にこれを中継して上方まで揚水する構成を採用すれば、幾らでも高いところの灌漑が可能になる。その為には大型ポンプを使うこともできる。小型ポンプで揚水し未使用の水が戻る循環システムを組んで、ここに本発明装置を使用すれば、COD負荷成分である気化物質も除かれるので、豊かな水循環が形成される。
空気曝気による弊害が活性酸素を悪役にして語られることがあるが、COD負荷成分の積極的排除が合理的なことが実証できた。また近年「脱気水」という概念の下、養鶏用水にこの「脱気水」を用いて「健康卵」を生産するという提案があるが、チンダル現象が起こらない清澄水は健康に適すると考えられるので、この提案にも、本発明方法を適用することが可能である。鶏に限らず人間の飲料水として、つまりは一般上水道水に高度の水が安価に供給できる道が開けた。
絶滅危惧種とされるドブ貝の飼育実験水槽について、従来の越流方式ではこの実験水槽内の底域が淀んでヘドロ化し、飼育を試みたドブ貝が全滅する、ということが経験されていた。そこで図9の構成を適用して、農業用ため池の水を供給し、かつ、この水槽の排水構造を従来の越流方式に代えて、本発明装置に変更した。ため池からは動植物プランクトン、無機塩を含む栄養豊かな水が実験水槽に供給されるが、水槽は淀まず、また底域がヘドロ化せず、ドブ貝が盛夏を超えて飼育できた。
図9の構成に従って、上池1Xとして60リットルの円筒型水槽、下池1Yとして同じ60リットルの円筒形水槽を連結した。水性絵具の洗浄排水を上池に給水した。洗浄着色水は一晩で着色水が底泥液となり、上方は比較的色の薄い水になった。翌日の作業で新たな洗浄着色排水を上池に給水した。底域からの比較的薄い着色水が採水パイプ5Xを経由して下池1Yに流下した。底泥液層を経由することで着色度は軽減されてほとんど透明な清水が下池に流下した。こうして下池が満杯になるとポンプを駆動して採水パイプ5Yを経由して上池に戻す。この結果放流しても許容できる清水が循環し、新たな給水がないときに採水パイプ6Xを経由して下池がほぼ空になるまで清水を放流した。この成績は各種の汚濁排水の処理でも好適に発揮されるであろうことを示唆している。
因みに鼻1を塞ぐと、ポンプが損傷して継続運転ができなかった。他方鼻2を塞ぐと、清水にはなるがチンダル現象の解消には至らなかった。これらの実験から、従来であれば、温度変化に伴う微細気泡の安定化に依って生じていたチンダル現象が、濁質とPACとの反応が良好に行われることによって解消されたと理解することができる。
公共浄水場では河川等から原水を採取後、沈砂池を経て浮遊、懸濁した状態のところへPAC等の凝集剤を添加して凝集沈澱させる。この上澄水が砂ろ過、オゾン処理、活性炭濾過等を経て市販の水道水になる。
浮遊した微粒子と凝集剤を化学反応させるためには撹拌が不可欠であるが、凝集体が撹拌力を受けて崩壊し浮遊し易い。浄水場のような巨大施設では、往々にして凝集剤が過剰になって、水道水に過剰のアルミニウムが漏洩する。つまり凝集物を沈降させた泥液層がしっかり凝集しているならば、凝集泥からの浸出水は清澄で、泥液が崩れない限り、泥液が漏洩しない。
反対に凝集不全で、粘土鉱物粒子、腐葉土フミン質、フミン酸はカチオン交換体としてアンモニア、アルカリ金属(Li、Na、K、Cs等)で分散が安定化して漏洩し易くなる。PACとの化学反応で凝集する際、揮発性の塩化水素が複製するが、本発明装置を用いると、鼻2の効果としてこれを系外に排除できて高度に清澄化され、チンダル現象が起こらない。
図10に示す仕様の品名EXストレーナ、φ60mm、接続部を含む高さ60mmを40個連結し長さ2mの中空管相当を5セット準備した。岸壁でこれらを更に接続して10mの中空管にした。これは中空糸カートリッジの5倍拡大を想定しての実験である。これらをすべて海水面以下に沈めて、岸壁足場まで2mと余裕を見て5mのビニールホースで岸壁まで導き、自動車用鉛蓄電池12Vを電源としてポンプを駆動し、10mに及ぶ広範囲から揚水できた。新鮮かつ清澄な水が揚水で気、釣り上げた鯵のイケスとして好適であった。なお必ずしも5セットが必要でなく、1セットでも十分清澄な海水を揚水でき、蓄電池容量がある限り一定流量の揚水ができた。
約40リットルの会所枡に直流10Wの本発明装置を設けた。チンダル現象の無い清澄水が蓄えられて、底域には清浄な砂礫が溜まり、これは土木資材に利用できた。
家庭菜園でも使用済の土壌の処分に困っている。そこで実施例7の装置・構成からなる本発明装置を用いて土嬢を水洗し、生じた濁水から、例えば沈降速度v=1cm/hに設定すると、粘土質の微細土壌が確実に分別できて、清浄な砂礫が槽の底に残り、園芸用に戻せた。採取した濁液は適宜凝集剤を用いて沈降濃縮、分離分別して粘土資源になった。
沈降速度v=1cm/h(2μm相当)以下に設定するにはストレーナを大きく、ポンプ採水量を小さくすれば、v=0.01cm/h(0.2μm相当)が可能で、実際にはEXストレーナ2個に対してEXTRA社の2Wのポンプを組み合わせると、濁水から清澄水が採取できた。更に出力の小さなポンプの開発提供に努める。
紙幣や切手の印刷、趣味として行われる銅版画などにおける、塩化第二鉄含有の腐食液には銅及び鉄の酸化物スラッジが増えて仕上がり不良になる。そこでこの腐食液をセットリングタンクにて一晩静置し、上澄水に試薬を補充して再利用されている。つまりこのセットリング分離操作の簡便確実化が工芸分野において要求される。本発明装置ではこのスラッジの分離除去が精密確実で、仕上がりが向上した。趣味で行う銅版画では小型機器として2Wの小型水中ポンプが便利であった。
自動車の車体、建築用鋼材に施される電着塗装の際、この前段処理にリン酸によるエッチング操作(リン酸塩被覆処理)が行われる。エッチングされた鉄のスラッジ除去が必要で、大きなセットリングタンクが設けられる。本発明装置によると正確簡便により分離分別が行われた。産業装置としては(有)プテイオ社の4Wの交流ポンプが便利であった。
アルミニウム資材の表面処理に際しては、苛性ソーダ液等でのエッチング処理が行われる。このエッチング液にはアルミナ泥が発生するが、沈降分離除去した上澄液はアルカリ液として繰り返し利用できる。この分離分別に本発明装置が好適である。エッチング操作で生じる水素ガスの気泡の分離が効果的に行われる効果で、分離回収されたスラッジはアルミニウムに再生される。
小型機器としては2Wの水中ポンプが便利であり、加熱を伴う出汁取、煎じ、抽出操作に提供した。加熱段階で溶存空気が気泡となる過程で、効果的な気化性物質の除去により、スッキリした出汁、コーヒー、煎茶が得られた。活性酸素、活性水素と称されている物質とは気化性物質と推定される。
また電池、電気分解等の電極反応における隔膜室内液の制御において、気化性物質を系外に取除く操作を組み込めたことは、電極反応におけるガス分極を確実に制御でき、優れた電池の実現、合理的な電気分解への道を開くとの期待が持てる。
図1に示すような竜巻状の水流形成を防止することは、イオン交換反応、活性炭吸着塔に好都合である。φ150mm、H1500mm縦長のPVC管に図2の構成で、管内に園芸用の鹿沼土を充填しこれを200リットルドラム缶に沈めて雨水貯留槽とした。鹿沼土層からは常に清澄な水が採取でき、これは数年を経ても目詰まりしていない。天然の湧水を再現したものと考えることができる。この塔では鹿沼土に含まれるゼオライト鉱物のイオン交換反応が関与したとみている。
住宅の雨樋を水源として雨水貯留槽が設けられている一例として、φ300mmのPVC製円筒管を貯水槽として雨水を溜めたところ、黄砂などの無機微粒子、花粉等の有機微粒子、PM2.5等、様々な汚染物が流入して蓄積し、夏場なら1か月もすると黒く淀んで、ボウフラの温床となり、用水として役立たない。図1に示すように流入水の上水が流出し、貯留水が淀むためである。また図1に示すように底域から採水しても、竜巻状態の下で形成された表層からの採取水では、これを静置しても底域が淀んで腐敗して、この腐敗水では利用価値に乏しい。図示していないが、採水パイプ5の位置を水面近くに移設し、降雨で流入した水に相当する量の水を底域から排出させ、図2のような鼻1を設けたところ、竜巻状にはならず、降雨に応じて生じる水頭差によって、底域からは所望量の水が排出されて槽内が淀まなかった。
夕立のような激しい降雨の場合は、蒸留水のような純水が供給されることになるから、貯留水の電気伝導度が1μS/cm以下になり、優れた備蓄水源になった。この状態が3年以上維持されており、保安の視点から水抜き点検したところ、底域には清浄な砂状の無機質の蓄積しかなかった。
2 越流堰
3 浸漬型固液分離手段(濾過分離装置:本発明では透過装置)
4 透水面(濾過面)
5 採水パイプ
5a、5b、5c 分岐パイプ(鼻2)
6 流量調節バルブ
7 スクリュー式排出機構
8 採水ポンプ
9(9a、9b、9c、〜9n) 単位エレメント
10 ヘドロ(層)
11 チューブ
12 上方端側解放口(鼻1)
13 下方端側解放口
14 樋
15 安全路
22 フランジ
25 縦リブ(縦格子)
26 スリット(貫通路)
27 ボルト連結孔
A 透水面を透過する以前の被処理水を示す付記記号
B 透水面を透過した以降の被処理水を示す付記記号
X 第1の貯水槽に関連する部材を示す付記記号
Y 第2の貯水槽に関連する部材を示す付記記号
Claims (5)
- 被処理水の水槽中に略垂直姿勢で浸漬される筒状外観を備えると共に少なくとも筒軸方向上端が封鎖され、かつ筒体外周には筒壁を通して筒体の外部から内腔への水の通過移動が自在であるような貫通路によって構成される透水面を備えた透水機構部を備え、
両端が解放されて略垂直姿勢で被処理水の水槽中に浸漬されるチューブを、その下方端側解放口を、前記筒体内腔部の任意高さ位置に臨ませるように配置して該内腔部に存在する被処理水を該チューブの該下方端側解放口を通して該チューブ内に導入させると共に、該チューブの上方端側解放口を、被処理水の水槽の水面上へ突出させて、該チューブ内に前記下方端側解放口から浸入している被処理水を該上方端側解放口の内腔に至らせて大気圧に解放させた状態とする鼻〔以下鼻1という〕とし、
略垂直姿勢で前記透水機構部内の被処理水中に浸漬される採水パイプを設けると共に、該採水パイプの採水行程に沿って、該採水パイプから上向き方向に分岐させた任意数の分岐パイプを被処理水の水槽の被処理水面より高い位置の大気中に突出させて、該採水パイプ内を流れる被処理水の上面を大気圧に解放させた状態とする鼻〔以下鼻2という〕とし、
前記透水機構部は前記筒体の外周面に前記透水面を有すると共に筒軸方向に連結・解除自在に構成された筒状透水体を単位エレメントとし、被処理水の水槽状況に対応して該単位エレメントの連結数を最適化することにより、必要最適深度域をカバーし得る長さの透水機構部を形成して使用するものであり、
各単位エレメントにおける透水面は、可視大きさの水通過孔を筒壁貫通方向に備えて構成されるものであり、
前記透水機構部の前記内腔に移動している被処理水および該被処理水中の非可視的微細濁質並びに該非可視的微細濁質の一部を構成する気化性物質が、該内腔を臨んで連結された前記採水パイプを経由して、上方端側解放口を採水ポンプの使用に基づく吸引力によるか、または前記被処理水の水槽の水位に基づく位置エネルギーによって抜き出されるように構成すると共に前記気化性物質を鼻2から大気中に放散させるように構成されたものであることを特徴とする気化性物質を系外排除できる水処理装置。 - 前記透水機構部の透水面の外周側に、任意の織・編・網状分離手段を着脱自在に添設して使用できるものである請求項1に記載の水処理装置。
- 請求項1または2に記載された装置を用い、被処理水の水槽から前記採水パイプを介して排出される被処理水を当該水槽の被処理水中に注入するように返戻供給するか、若しくは請求項1または2に記載された構成からなる装置が配設された別水系の被処理水槽の被処理水中に注入するように供給して、それら返戻供給または供給された槽中の被処理水に緩やかな旋回流を形成することで、該被処理水槽中において非可視的微細濁質の凝集乃至微細気泡化を促進し、前記透水機構部を介して循環させることで、該気泡化された物質の鼻2からの排除を促進することを特徴とする気化性物質を系外排除できる水処理方法。
- 前記気泡化された物質を鼻2の出口で凝固析出せしめて、鼻2の出口部を更新して排除するか、または燃焼等で消滅させる請求項3に記載の水処理方法。
- 前記被処理水を貯留する水源水域(以下、下池という)と別の活用水域(以下、上池という)の間で被処理水を往復移動させることとし、上池から下池には、請求項1または2に記載された装置を用いて自然流下させ、下池から上池には、請求項1または2に記載された装置を用いて揚水することとし、上池と下池の間の循環系を複数段繰り返す請求項3または4に記載の水処理方法。
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