JP4495806B2 - クリーニングシ―ト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種装置をクリーニングするシートに関し、例えば、半導体、フラットパネルディスプレイ、プリント基板などの製造装置や検査装置など、異物を嫌う基板処理装置のクリーニングシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種基板処理装置は、各搬送系と基板とを物理的に接触させながら搬送する。その際、基板や搬送系に異物が付着していると、後続の基板を次々に汚染することになり、定期的に装置を停止させ、洗浄処理をする必要があった。このため、稼働率低下や多大な労力が必要になるという問題があった。これらの問題を解決するため、粘着性の物質を固着した基板を搬送することにより基板処理装置内の付着した異物をクリーニング除去する方法が提案されている(例えば特開平10−154686号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
粘着性の物質を固着した基板を搬送することにより基板処理装置内の付着した異物をクリーニング除去する方法は、前述の課題を克服する有効な方法である。しかしこの方法では粘着性物質と装置接触部とが強く接着しすぎて剥れない恐れがあり、基板を確実に搬送できなくなる恐れがあった。 さらに、基板に基板形状より大きいクリーニングシートを貼り付けた後、基板形状に沿ってクリーニングシートを切断する場合には、発生した切削屑が基板に付着するなどの恐れもある。
本発明は、このような事情に照らし、基板処理装置内に基板を確実に搬送できると共に、装置内に付着している異物を簡便かつさらに確実に除去できるクリーニングシートを提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、粘着性の物質を固着したシートあるいはこのシートを固着した基板を搬送することにより、基板処理装置内の付着した異物をクリーニング除去するにあたり、そのクリーニング層としての粘着剤層の表面抵抗率を特定値以上とすることにより、前記問題を生じることなく、さらに異物を簡便かつ確実に除去できることを見出し、本発明を完成するに至つた。
【0005】
即ち、本発明は、基板処理装置内に搬送して上記装置内に付着している異物を除去するためのクリーニングシートであって、支持体に、感圧接着性ポリマーであるアクリル系ポリマーと分子内に不飽和二重結合を1個以上有する化合物と重合開始剤とを含む粘着剤が活性エネルギーにより硬化されてなる、表面抵抗率が1×1013Ω/□以上で、かつシリコンウエハ(ミラー面)に対する180°引き剥がし粘着力が0.20N(20g)/10mm以下である粘着剤層がクリーニング層として設けられてなるクリーニングシート(請求項1)、基板処理装置内に搬送して上記装置内に付着している異物を除去するためのクリーニングシートであって、支持体の片面に、感圧接着性ポリマーであるアクリル系ポリマーと分子内に不飽和二重結合を1個以上有する化合物と重合開始剤とを含む粘着剤が活性エネルギーにより硬化されてなる、表面抵抗率が1×1013Ω/□以上で、かつシリコンウエハ(ミラー面)に対する180°引き剥がし粘着力が0.20N(20g)/10mm以下である粘着剤層がクリーニング層として設けられ、他面に通常の粘着剤層が設けられてなるクリーニングシート(請求項2)、通常の粘着剤層のシリコンウエハ(ミラー面)に対する180°引き剥がし粘着力が0.21〜0.98N/10mmであるクリーニングシート(請求項3)などに係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のクリーニングシートは、支持体の片面にクリーニング層が設けられ、該クリーニング層は、その表面抵抗率が1×1013Ω/□以上、好ましくは1×1014Ω/□以上である粘着剤層からなる。 本発明においては、クリーニング層の表面抵抗率をかかる特定値以上に設計して、クリーニング層をできるだけ絶縁体にすることにより、粘着によるのみならず静電気による異物の捕獲、吸着もできるという効果が得られる。 よって、表面抵抗率が1×1013Ω/□未満の場合は、かかる静電気による異物の捕獲、吸着効果が著しく低下する。
【0007】
かかる粘着剤層は、その表面抵抗率が前述の範囲である限り、その材質等は特に限定されないが、導電機能を有する添加剤などの導電性物質を含まないものが好ましい。 さらにかかる粘着剤層は、紫外線や熱などの活性エネルギー源によりより硬化して分子構造が三次元網状化してその粘着力が低下したものが好ましく、例えばシリコンウエハ(ミラー面)に対する180°引き剥がし粘着力が0.20N(20g)/10mm以下、好ましくは0.010〜0.10N(1〜10g)/10mm程度である。 この粘着力が、0.20N(20g)/mmを超えると、搬送時に装置内の被クリーニング部に接着して、搬送トラブルとなる恐れがある。
【0008】
かかる粘着剤層の具体例としては、例えば感圧接着性ポリマーに分子内に不飽和二重結合を1個以上有する化合物を含有させてなるものが好ましい。
また、かかる感圧接着性ポリマーとしては、例えばアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルから選ばれる(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルを主モノマーとしたアクリル系ポリマーが挙げられる。このアクリル系ポリマーの合成にあたり、共重合モノマーとして分子内に不飽和二重結合を2個以上有する化合物を用いるか、あるいは合成後のアクリル系ポリマーに分子内に不飽和二重結合を有する化合物を官能基間の反応で化学結合させるなどして、アクリル系ポリマーの分子内に不飽和二重結合を導入しておくことにより、このポリマー自体も活性エネルギーにより重合硬化反応に関与させるようにすることもできる。
【0009】
ここで、分子内に不飽和二重結合を1個以上有する化合物(以下、重合性不飽和化合物という)としては、不揮発性でかつ重量平均分子量が10000以下の低分子量体であるのがよく、特に硬化時の粘着剤層の三次元網状化が効率よくなされるように、5000以下の分子量を有しているのが好ましい。
【0010】
また、粘着剤層に添加される重合開始剤は、特に限定されず公知のものを使用でき、例えば活性エネルギー源に熱を用いる場合は、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどの熱重合開始剤、また光を用いる場合は、ベンゾイル、ベンゾインエチルエーテル、シベンジル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトンクロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドルキシシクロヒキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシジメチルフェニルプロパン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの光重合開始剤が挙げられる。
また粘着剤層の厚さは特に限定されないが、通常5〜100μm程度である。
【0011】
本発明は、支持体の片面に、上記の特定の粘着剤層がクリーニング層として設けられ、他面に通常の粘着剤層が設けられたクリーニングシートも提供する。この他面側の粘着剤層は、粘着機能を満たす限りその材質などは特に限定されず、通常の粘着剤(例えばアクリル系、ゴム系など)を用いることができる。
かかる構成とすることにより、クリーニングシートを通常の粘着剤層により各種基板や他のテープ・シートなどの搬送部材に貼り付けて、クリーニング機能付き搬送部材(請求項4)として装置内に搬送して、被洗浄部位に接触させてクリーニングすること(請求項5)もできる。
【0012】
本発明において上記の基板などの搬送部材を再利用するために、クリーニング後に基板をかかる粘着剤層から剥がす場合は、かかる通常の粘着剤層の粘着力は、シリコンウエハ(ミラー面)に対する180°引き剥がし粘着力が0.21〜0.98N/10mm(請求項3)、特に0.40〜0.98N/10mm程度であれば、搬送中に剥離することなく、かつクリーニング後に容易に再剥離できるので好ましい。
【0013】
またクリーニング層の支持体としては特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミドなどのプラスチックフィルムなどが挙げられる。 その厚みは通常10〜100μm程度である。
【0014】
クリーニングシートが貼り付けられる搬送部材としては特に限定されないが、例えば半導体ウエハ、LCD、PDPなどのフラットパネルディスプレイ用基板、
その他コンパクトディスク、MRヘッドなどの基板などが挙げられる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 なお、以下、部とあるのは重量部を意味するものとする。
実施例
アクリル酸−2−エチルヘキシル75部、アクリル酸メチル20部、及びアクリル酸5部からなるモノマ―混合液から得たアクリル系ポリマー(重量平均分子量70万)100部に対して、ポリエチレングリコ―ルジメタクリレ―ト50部、ウレタンアクリレ―ト50部、ベンジルジメチルケタール3部、及びジフエニルメタンジイソシアネ―ト3部を均一に混合し、紫外線硬化型の粘着剤溶液とした。
一方、上記粘着剤からベンジルジメチルケタールを除いた以外は、上記と同様にして得た粘着剤溶液を、幅250mm、厚み25μmのポリエステル製支持フィルムの片面に、乾燥後の厚みが10μmになるように塗布して通常の粘着剤層を設け、その表面に厚さ38μmのポリエステル系剥離フィルムを貼った。 支持フィルムのもう一方の側に、前記の紫外線硬化型粘着剤溶液を乾燥後の厚みが40μmになるように塗布してクリーニング層としての粘着剤層を設け、その表面に同様の剥離フィルムを貼った。
このシートに中心波長365nmの紫外線を積算光量1000mJ/cm2照射して、本発明のクリーニングシートを得た。 このクリーニングシートのクリーニング層側の剥離フィルムを剥がし、温度23℃、湿度60%RHの条件下でクリーニング層上から表面抵抗率を表面抵抗測定計(三菱化学社製、型式MCP−UP450)にて測定したところ、9.99×1013Ω/□以上で測定不能であった。
また、クリーニング層側の粘着剤層をシリコンウエハのミラー面に幅10mmで貼り付け、JISZ0237に準じてシリコンウエハに対する180°引き剥がし粘着力を測定した結果、0.078N(8g)/10mmであった。
また、他面側の通常の粘着剤層のシリコンウエハ(ミラー面)に対する180°引き剥がし粘着力を上記と同様に測定した結果、0.25N/10mmであった。
【0016】
このクリーニングシートの通常の粘着剤層側の剥離フィルムを剥がし、8inchのシリコンウエハの裏面(ミラー面)にハンドローラで貼り付け、クリーニング機能付き搬送用クリーニングウエハを作製した。
【0017】
一方、基板処理装置のウエハステージを2つ取り外し、レーザー式異物測定装置で、0.3μm以上の異物を測定したところ、8inchウエハサイズのエリア内で1つは25000個、もう一つは22000個であった。
【0018】
次いで前記で得た搬送用クリーニングウエハのクリーニング層側の剥離フィルムを剥がし、上記の25000個の異物が付着していたウエハステージを持つ基板処理装置内に搬送したところ、支障なく搬送できた。 その後にウエハステージを取り外し、レーザー式異物測定装置で0.3μm以上の異物を測定したところ、8inchウエハサイズ内で6200個であり、クリーニング前に付着していた異物数の3/4以上を除去することができた。
【0019】
比較例
実施例において、クリーニング層の粘着剤層に導電機能を有する4級アンモニウム塩を側鎖に持つ添加剤(三菱化学社製、品名V−SQ−S6)を5部加えた以外は、実施例と同様にクリーニングシートを作製し、同様にクリーニング層の表面抵抗率を測定したところ、5.5×1011Ω/□であった。 またクリーニング層の粘着剤層の対シリコンウエハ粘着力を測定したところ、0.33N(34)g/10mmであった。
このクリーニングシートから実施例と同じ方法で作製した搬送用クリーニングウエハを、22000個の異物が付着しているウエハステージを持つ基板処理装置内を搬送したところ、支障なく搬送できた。 その後にウエハステージを取り外し、レーザー式異物測定装置で0.3μm以上の異物を測定したところ、8inchウエハサイズ内で20000個であり、クリーニング前に付着していた異物数の1/11程度しか除去できなかった。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明のクリーニングシートによれば、基板処理装置内を確実に搬送できると共に、装置内に付着している異物を簡便かつ確実に除去できる。
Claims (5)
- 基板処理装置内に搬送して上記装置内に付着している異物を除去するためのクリーニングシートであって、支持体に、感圧接着性ポリマーであるアクリル系ポリマーと分子内に不飽和二重結合を1個以上有する化合物と重合開始剤とを含む粘着剤が活性エネルギーにより硬化されてなる、表面抵抗率が1×1013Ω/□以上で、かつシリコンウエハ(ミラー面)に対する180°引き剥がし粘着力が0.20N(20g)/10mm以下である粘着剤層がクリーニング層として設けられてなるクリーニングシート。
- 基板処理装置内に搬送して上記装置内に付着している異物を除去するためのクリーニングシートであって、支持体の片面に、感圧接着性ポリマーであるアクリル系ポリマーと分子内に不飽和二重結合を1個以上有する化合物と重合開始剤とを含む粘着剤が活性エネルギーにより硬化されてなる、表面抵抗率が1×1013Ω/□以上で、かつシリコンウエハ(ミラー面)に対する180°引き剥がし粘着力が0.20N(20g)/10mm以下である粘着剤層がクリーニング層として設けられ、他面に通常の粘着剤層が設けられてなるクリーニングシート。
- 通常の粘着剤層のシリコンウエハ(ミラー面)に対する180°引き剥がし粘着力が0.21〜0.98N/10mmである請求項2記載のクリーニングシート。
- 搬送部材に、請求項2又は3記載のクリーニングシートが、通常の粘着剤層により設けられたクリーニング機能付き搬送部材。
- 基板処理装置内に、請求項1記載のクリーニングシート又は請求項4記載のクリーニング機能付き搬送部材を、搬送して、上記装置内の被洗浄部位に接触させることにより、上記部位に付着している異物を除去することを特徴とするクリーニング方法。
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