JP4495803B2 - 心内電気現象診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検者の心臓の活動に伴って発生する微弱磁場(磁界)又は電位の計測値(心電図(ECG:electrocardiogram)又は心磁図(MCG:magnetcardiogram)と呼ばれる)から心臓内の電気生理的現象を解析し、その解析結果を提示する心内電気現象診断装置に係り、とくに、それら計測値を検出するセンサと心室との位置関係を予め特定しておくことが不要な解析法、及び、センサの被検者胴体に対する正確且つ容易な位置合わせ法の提供に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生体磁界計測装置は、SQUID(superconducting quantum interference device:超伝導量子干渉計)を用いた超伝導システムの代表格として研究開発が進んでおり、被検者の脳から発生する微弱な脳磁界や心臓から発生する微弱な心磁界を計測・解析する装置である。この内、脳磁界を計測・解析する装置は脳磁図計測装置と、心磁界を計測・解析する装置は心磁図計測装置と呼ばれている。
【0003】
心磁図計測装置により計測される心磁図は、心臓の電気的活動に因って発生する磁場を胸面上で検出した波形情報である。この心磁図を収集するには、以前は、1ch又は7ch程度の少数チャンネルのSQUIDセンサを有するSQUID磁束計を用い、この磁束計全体の位置を少しずつ移動させながら胸前の測定範囲を多数回に分けて計測を行っていた。
【0004】
しかし、近年では、多チャンネルのSQUIDセンサを用いた心磁図計測装置が開発され、測定範囲全体を一度にカバーして計測できるようになっている。このように計測した心磁図は、心肥大や心筋症、狭心症などの検出に有効性を発揮することが分かっている。心磁図を用いてこれらの病気を診断するには、心磁図のその波形が胸面のどの位置で計測したものであるかが重要な情報になる。また、心磁図のパターンも診断に利用されるので、心磁図の被検者胸部に対する位置関係を再現性良く計測することが極めて重要である。
【0005】
<(1):磁気センサの胴体への位置合わせ法…その1>
この心磁図計測装置を用いて計測を行う場合、多チャンネルの磁気センサ(SQUIDセンサなど)を被検体胸部に位置合わせする準備作業が必要になる。すなわち、心磁図計測装置を被検者の胸部前面に配置する際、この位置合わせが必要になる。
【0006】
この位置合わせに関して、従来の簡易な手法としては、被検体胴体の特徴点(例えば胸骨柄中央くぼみや剣状突起:図25参照)の位置に磁気センサのセンサ容器に付した基準目印を目視で合わせるセッティング方法が採られている(図26,27参照)。この位置合わせ後、被検者には動かないように指示して心磁図が計測される。この位置合わせ法の場合、それほど高い精度が確保できないが、心磁図の時間波形やパターンから診断を行うときには使用可能な手法である。
【0007】
<(2):磁気センサの胴体への位置合わせ法…その2>
一方、近年の心磁図計測装置は、計測した心磁図をそのまま診断に供する機能のみならず、その心磁図を解析して心臓内電気現象を推定する機能を備えている。シングルダイポール法はその推定法を代表する古典的アルゴリズムであり、ある瞬間の胸面上の磁場分布に基づき、1点に限局して存在すると仮定した磁場の発生源(電流ダイポール)の位置を推定することができる。この電流ダイポールの推定位置をMRI(磁気共鳴イメージング)によって得られた胸部の画像に重ね合わせると、心筋の電気的活動の位置を特定することができる。
【0008】
この重ね合わせを行うには、電流ダイポールの推定位置がMRI画像上のどの位置に相当するのかを決めなければならない。これを決定するには、被検者の胴体の特定位置と磁気センサの位置関係を定めること、及び、胴体上の実際の特定位置がMRI画像上でどこの位置に相当するかを定めることが必要になる。このとき、磁気センサと被検者胴体との位置合わせにずれが在った場合、推定した電流ダイポールがMRI画像上で表示される位置もずれるため、磁気センサと胴体との位置関係の高精度な位置合わせが要求される。
【0009】
この高精度の位置合わせの従来法として、3次元デジタイザを用いる方法が知られている。つまり、図28に模式的に示す如く、被検者胸部上の特徴点(又はマーカ)の位置及び磁気センサに標された標識位置が3次元デジタイザで1個ずつ計測され、両者間の位置関係が正確に求められる。この位置関係が予め定めてある所定の位置関係に一致するように被検者又は磁気センサの位置が調整され、位置合わせが行われる。
【0010】
この位置合わせの後、被検者には動かないように指示して心磁図が計測される。推定した電流ダイポールをMRI画像に重ね合わせるには、通常、目視により、胸部の特徴点の位置がMRI画像上で指定され、電流ダイポール位置などの推定結果がその指定位置に重ね合わせられる。なお、胸部の特徴点の代わりに、体表の任意位置に付けた印を用いることもある。この場合には、かかる体表上の任意位置にMRIで描出されるマーカを付けてMRイメージングがなされる。これにより、体表上の任意位置の印とMRI画像上のマーカとを位置合わせすることができる。
【0011】
<(3):磁気センサと心室との位置関係の特定法>
さらに、本発明者らによる特願平9−135627号出願(特開平10−323335号公報)には、心磁図あるいは心電図の計測データを用いて心臓内の興奮伝播時刻の分布と心筋電気活動量(活動電位振幅、導電率、又はそれらの量の積)の分布を解析・表示する別の技術が提案されている。
【0012】
この方法は、計算機内に心室の形状を表すモデルを構築し、そのモデルに興奮到達時刻や活動電位振幅(あるいは導電率、電流ダイポール密度)の分布を設定し、それに基づいてQRS期間にわたる心電図あるいは心磁図の空間分布および波形を計算し、測定した心電図あるいは心磁図と計算した心電図あるいは心磁図との差がなるべく小さくなるように、心室モデルに設定する興奮到達時刻や活動電位振幅などの分布を変更していって、最終的に得られた興奮到達時刻や活動電位振幅の分布を最終的な解析結果とし、画面などに表示するものである。これにより、興奮伝播時刻や心筋電気活動量の分布を高速に推定することができ、不整脈や虚血性心疾患の診断に有用な手法を提供している。
【0013】
この推定解析を行うには、心室モデルを計算機内に構築するために、前もって、磁気センサ(例えばSQUIDセンサ)と心室との位置関係(すなわち、SQUIDセンサに対して心室がどこの位置に在るかの位置情報)をより正確に求めておく必要がある。
【0014】
この位置関係は、従来では、以下の手順を踏んで求められている。まず、心磁図計測装置の磁気センサを被検者の胸部に設置し、胸部上の特徴点(胸骨柄など)や胸部体表上に付したマーカの位置と磁気センサに付した標識の位置との位置関係を例えば3次元デジタイザで計測する(図29、ステップSa)。次いで、MRI(磁気共鳴イメージング)装置を用いてMR撮影を行い、被検者胴体とその心室との位置関係を特定する(ステップSb)。そして、上記2種類の位置関係の計測値から磁気センサと心室との位置関係を計算する(ステップSc)。この求めた位置に心室モデルは配置され、上述した如く、この心室モデルを使って、心室内の興奮時刻分布及び活動電位振幅などが解析され、表示される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来法に係る、磁気センサの胴体への位置合わせ法(その1及びその2)、及び、磁気センサと心室との位置関係の特定法にあっては、以下のような解決すべき課題があった。
【0016】
(1):まず、磁気センサの胴体への位置合わせ法(その1)にあっては、あくまで目印同士の空間的位置関係を目視で判断しながら、磁気センサを被検者胸部のしかるべき所定位置にセッティングする手法であるため、位置合わせ精度が概して低く且つ不安定である。また、セッティング操作そのものに熟練を要するという問題がある。
【0017】
(2):また、磁気センサの胴体への位置合わせ法(その2)は、逆問題により心内電気現象(興奮時刻や活動電位振幅など)を推定するときの磁気センサと被検者胴体との間の位置計測にも適用できる手法ではあるが、手間が掛かるという問題がある。とくに、この3次元デジタイザを用いて高精度に位置合わせを行うには、センサ容器に多数の標識を付しておいて、それらの標識夫々について位置計測を行う必要があり、時間と手間が掛かる。また、標識位置を計測した後、被検者は動かないように指示されるが、呼吸などに因り完全に動かないということは不可能である。このため、この位置合わせ法にもまた、位置合わせ精度には限界があった。
【0018】
(3):一方、従来法に拠る磁気センサと心室との位置関係の特定法の場合、磁気共鳴イメージングを行うとき及び心磁図計測を行うときの両状態において、体の左右方向の湾曲やねじれを全く一致させることはできない等、被検者の体位を完全に一致させることもまた不可能であり、磁気センサと心室との位置関係の特定精度にも限界があった。また、前述と同様に、3次元デジタイザのプローブを、センサ容器の多数の標識及び胸部体表上の特徴点の夫々に当てて位置計測を行う必要があり、時間と手間が掛かるという問題もある。当然に、この位置関係の特定精度が低いと、逆問題として推定する心内電気現象の推定精度も低下を余儀なくされる。
【0019】
ところで、特開平8−289877号(特願平7−98791号)公報には、興奮伝播シミュレーション方法とそれを用いた逆問題の解法が提案されている。すなわち、心磁図或は心電図から、心室内の初期興奮部位と初期興奮時刻、刺激伝導系の分布、導電率分布、活動電位振幅分布、及び興奮伝播速度分布の内の1つ或は複数の項目を興奮伝播シミュレーションを介して推定する手法が示されている。とくに、それらの項目と心室の位置、向き及び形状のパラメータとを同時に推定する手法も提案されている。
【0020】
しかしながら、この公報提案の推定を行なうには、必ず興奮伝播シミュレーションを実行する必要があるので、推定の高速性に劣るという問題がある。
【0021】
本発明は、上述した従来技術に伴う様々な困難を打破すべくなされたもので、心室の形状や位置の情報を必要とする逆問題解析(すなわち、心臓内電気現象の推定)を行うときに、従来法で行っていた、磁気センサと心室との位置関係の特定に伴う事前の計測や演算を不要にし、準備作業の大幅な簡素化を図るとともに、心内電気現象を高精度で且つ高速に推定することができる心磁図計測装置などの心内電気現象診断装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本願発明によれば、被検者の心臓の電気的活動に伴って発生する磁場又は電位の分布を体外又は体表でセンサを有する測定手段を用いて測定した測定値からその心臓の電気生理的現象を解析する解析手段と、この解析手段の解析結果を提示する提示手段とを備えた心内電気現象診断装置において、前記解析手段は、前記心臓と前記センサ間の位置及び向きの関係を表現する特徴量の予め定められた典型値を表すベクトルおよび典型値を表すベクトルと異なるベクトルの各々に対応し、心筋電気活動量の分布ベクトルから磁場又は電位分布ベクトルを算出する行列を演算する演算手段と、前記行列を用いて、前記測定された磁場又は電位と、心臓の興奮到達時刻分布を表現する心臓モデルに基づき磁場又は電位評価関数を最小にする、前記電気生理的現象としての興奮到達時刻の分布および心筋電気活動量の分布を推定する推定手段とを有することを特徴とした。
【0025】
例えば、前記測定手段は前記磁場を測定する手段であり、前記解析手段は前記心臓モデルを用いる解析法を前記磁場の測定値に適用して心臓内の電気生理的現象を解析する手段である。
【0026】
好適には、前記解析手段は、前記磁場の測定値から1個の電流ダイポールを推定する手段と、この推定した電流ダイポールの位置に心臓モデルを配置する手段とを備える。また、前記解析手段は、前記磁場の測定値から心臓の位置及び向きと前記電気生理的現象を表す量とを同時に推定する手段を備えていてもよい。この場合、前記推定手段は、前記心臓の位置及び向きの内の一部の成分だけを推定する手段であることも好適な態様である。
【0027】
さらに、好適には、前記設定手段により設定される前記探索範囲は、前記心臓の初期位置からの所定距離の周辺部位に限定した範囲である。
【0028】
また、前記設定手段は、前記心臓の位置及び向き並びにそれらの探索範囲の初期値をオペレータが任意に変更可能な手段を備えることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る心内電気現象診断装置を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態やその変形形態にあっては、心内電気現象診断装置の一例として、心磁界を体表外で測定して心臓内の電気生理的現象を解析し表示する心磁図計測装置を説明するが、以下に述べる手法は、心臓の電気的活動に伴って発生する電位を体表で測定した測定値から心臓内の電気生理的現象を解析し表示する装置にも同様に適用できる。
【0034】
<第1の実施の形態>
第1の実施形態に係る心磁図計測装置を図1〜図5に基づき説明する。
【0035】
この心磁図計測装置は、測定した心磁図データから心室の位置を推定し、これにより、MRI装置などのモダリティを用いた心室位置の測定を省くことができるという特徴を有する。
【0036】
まず、心磁図計測装置の電気的な概略構成から説明する。この装置は、図1に示す如く、磁気センサとしてのSQUID磁束計11、解析及び制御用のコンピュータ装置12、心臓の画像を収集する画像収集装置13、画像転送装置14、及び呼吸モニタ装置15を備える。
【0037】
SQUID磁束計11は、SQUIDセンサ11a及び駆動回路11bを備え、高感度な磁気センサとしての、マルチチャンネルSQUID磁束計である。このSQUID磁束計11は胸面上の数点での心臓磁場波形をSQUIDセンサ11aで検出し、その波形信号を駆動回路11b内の回路で増幅及びフィルタリングし、コンピュータ装置12に送る。
【0038】
コンピュータ装置12は、その入力側に設けた信号収集回路12aと、この回路12aに接続された演算処理装置12bと、この装置に接続された入力装置12c、記憶装置12d、及び表示装置12eとを備える。SQUID磁束計11から送られてきた波形信号は、信号収集回路12aでA/D変換されてデジタルデータになり、演算処理装置12bに取り込まれる。
【0039】
画像収集装置13は、例えばMRI装置、X線CT装置、超音波診断装置などの3次元画像データを収集できるモダリティの一つ又は複数の装置で構成される。このため、画像収集装置13は、被検者の心臓を含む領域の複数枚の断層像データを収集することができ、これを画像転送装置14に送る。
【0040】
画像転送装置14は、送られてきた被検者の断層像データをコンピュータ装置12に転送する。この画像転送装置14は好ましくは、ネットワークを経由して又は記憶媒体により断層像データをコンピュータ装置12に転送する構成を有する。つまり、前者の場合、画像転送装置14はネットワーク通信装置として構成され、後者の場合、外部記憶装置として構成される。また、必要に応じて、画像転送装置14は画像フォーマットの変換や3次元画像データへの再構成を行うように構成される。これらの変換や再構成の処理は、図示しないCPUが図示しないメモリに記憶させたソフトウェアプログラムを実行することによりなされる。
【0041】
コンピュータ装置12は、心臓内の興奮伝播過程を解析するための解析演算の機能を有し、この機能を前述した演算処理装置12b、記憶装置12c、入力装置12c、及び表示装置12dで実現する構成を採っている。演算処理装置12bは、図示しないCPUをその主要回路として備え、記憶装置12cに格納した興奮到達時刻及び活動電位振幅の解析プログラムや画像転送・解析結果の表示などを実行するプログラムを読み出して順次、処理するようになっている。
【0042】
呼吸モニタ装置15は、被検者の胸部に取り付けられる呼吸計測装置15aと、この装置15aを制御する制御回路15bとを備える。呼吸計測装置15aの概略構造の例を図2(a)〜(c)に例示する。これらの構造はいずれも公知のものであり、呼吸状態を計測することができるものであれば他の構造のものであってもよい。
【0043】
同図(a)の呼吸計測装置15aによれば、被検者に空気バッグABとベルトBTが取りつけられ、空気バッグAB内の圧力が呼吸に応じて変化するように構成されている。この変化する圧力が圧力センサPSにより検出され、制御回路15bに送られる。また、同図(b)の呼吸計測装置15aは、被検者に伸縮可能なベルトBTを取りつけるもので、このベルトBTは例えばゴムなどの伸縮可能素材に炭素粉末を混入させて構成される。このため、ベルトBTが伸縮すると、その抵抗値が変化するので、この抵抗値の変化を制御回路15bにより検出することで呼吸状態を計測するようになっている。このベルト構造に替えて、水銀を充填させたチューブを用い、呼吸に伴うチューブ内の水銀の抵抗値変化を検出する構造を採用してもよい。さらに、同図(c)の呼吸計測装置15aは、ベッドBDに複数の圧力センサPSを配設し、呼吸時の体動に因る圧力変化を計測する構造を有している。
【0044】
演算処理装置12bは、一例として、図3に示す手順にしたがって興奮到達時刻及び活動電位振幅の分布を推定解析する。
【0045】
これを説明すると、演算処理装置12bは、まず、SQUID磁束計11から供給された磁場波形データ及び呼吸モニタ装置15から供給された呼吸信号を信号収集回路12aを介して入力する(図3のステップS1及び図4(a)参照)。呼吸信号は、ここでは、被検者の動きを表す計測信号の一態様として扱われる。
【0046】
この磁場波形データ及び呼吸信号は次いで信号処理に付される(ステップS2)。この信号処理として、磁場波形データに対しては、雑音除去のためのフィルタ処理、各種の補正演算などが実行され、心磁図のQRS群及びT波が各心拍毎に抽出される(図4(b)参照)。また、呼吸信号に対しては、抽出した各心拍の心磁図波形と同じ時間帯の呼吸信号も同時に抽出され、記憶装置12dに記憶される(図4(b)参照)。各心拍に対応する磁場波形データ(心磁図データ)はB,Β,…,Βとして記憶装置12dに記憶される。Βはk番目の心拍に対するサンプリング時刻毎の磁場分布を縦に並べたベクトルを表す。また、対応する呼吸信号の波形をf,f,…,fとして記憶装置12dに記憶される。fはk番目の心拍に対する呼吸信号の値をサンプリング時刻毎に縦に並べたベクトルを表す。
【0047】
次いで、演算処理装置12bは画像転送装置14から複数枚の断層像データを入力し、この画像データを用いて心室形状および心室位置・向きを演算し、この演算結果から複数の6面体から成る心室形状モデルを構築する(ステップS3,S4)。このようにして構築した心室形状モデルの模式図を図5(a),(b)に示す。心室の位置は3次元の座標x,y,zにより表現され、記憶装置12dに記憶される。心室の向きはオイラーの角θ、φ、ψで表現され、同様に記憶装置12dに記憶される。
【0048】
次いで、演算処理装置12bは、画像収集装置13からの画像データから設定した心室の形状及び位置・向き、並びに、抽出した心磁図データに基づいて心室内の興奮到達時刻分布及び活動電位振幅分布の解析を行なう(ステップS5〜S12)。
【0049】
興奮到達時刻分布および活動電位振幅分布を解析するアルゴリズムとしては、例えば順ニュートン法、共役勾配法、コンジュゲートディレクション法、シミュレーテッドアニーリング法、遺伝的アルゴリズムなど各種の非線形最適化アルゴリズムを使用できる。
【0050】
これらの典型的なアルゴリズムには興奮到達時刻分布・活動電位振幅分布の初期値設定処理(ステップS5)、心臓内電流源分布の計算処理(ステップS6)、磁場計算処理(ステップS7)、誤差算出処理(ステップS1O)、及び、興奮到達時刻分布・活動電位振幅分布の変更処理(ステップS9)が含まれ、誤差算出結果が最も小さくなるように反復される(ステップS8,S11)。これらの処理ステップそれぞれをどのような順序で実行するかは、個々の非線形最適化アルゴリズムにおいて周知であり、採用するアルゴリズムにしたがってその順序が決められる。図3のフローチャートには多くのアルゴリズムに適用される順序を模式的に示してある。以下に各ステップの典型的な処理内容を説明する。
【0051】
ステップS5に係る興奮到達時刻分布・活動電位振幅分布の初期値設定処理では、心内膜・外膜興奮到達時刻の初期値及び活動電位振幅の初期値が設定される。心内膜・心外膜興奮到達時刻の初期値設定により、図5の心室モデルの心内膜側、あるいは心外膜側の全ての頂点に対して興奮到達時刻の初期値が設定される。これは予め定められた範囲内、例えばQRS開始時刻を基準として0〜80msの間でランダムに決定してもよいし、正常心臓の典型的な興奮開始時刻を設定してもよい。活動電位振幅の場合も同様に心室モデルの心内膜側、あるいは心外膜側の全ての頂点に対して心筋電気活動量の初期値が設定される。その範囲は、ランダムでもよく、あるいは正常の心筋電気活動量である約−90mVを全ての頂点に与えてもよい。
【0052】
ステップS6に係る心内電流源分布計算処理では、心室モデルの各6面体内部の興奮到達時刻や活動電位振幅を補間法により演算し、それら補間によって求めた興奮到達時刻と活動電位振幅の値を用いてQRS期間中のいくつかの時刻の興奮波面の形状と興奮波面上の電流源分布が計算される。補間法としては、有限要素法がよく用いられる,例えば(1)式のような補間多項式を用いればよい。補間方法は興奮到達時刻分布を例に説明するが、心筋電気活動量分布に対しても同様の方法が取られる。
【0053】
【数1】
Figure 0004495803
【外1】
Figure 0004495803
【0054】
【数2】
Figure 0004495803
ここで、σは導電率テンソル、Φは活動電位振幅、δ(x)はx≠0では0;δ(0)=∞であり、∫δ(x)dx=lとなる関数である。Ωeは対象とする6面体の領域を表す。6面体内の電流ダイポールの位置は、例えば6面体の重心位置であると仮定すればよい。
【0055】
ステップS7における磁場計算処理では、計算された多数の電流ダイポールの位置、向き、大きさと、MRI装置などの画像収集装置13による収集された画像データから測定・設定した心室位置及び向きx,y,z,θ,φ,ψとに基づき、胸面上に設置された各磁場センサーで計測される磁場をQRS期間中の各時刻毎に計算する。被検者の胴体の導電率分布を無限一様媒質又は半無限平板と仮定してビオーサバールの法則に基づいて計算してもよいし、同心球状導電率球と仮定してサーバスの式を用いて計算してもよい。あるいは、境界要素法や有限要素法を用いて心筋、血液、肺、脂肪層、皮膚などの実形状を考慮して計算するようにしてもよい。このように、画像収集装置13が出力した画像データから求めた心室位置及び向きを用いて計算した磁場波形をCとして記憶装置12dに記憶される。Cはある時刻毎の磁場分布をサンプル時刻毎に縦に並べたベクトルである。同様に心室位置をx軸方向に少しだけ(例えば1cm)移動したときの磁場波形をC、y軸方向に移動したときの磁場分布をC、Z軸方向に移動したときの磁場波形をC、θ方向に心室の角度を少しだけ(例えば10度)回転したときの磁場波形をCθ、φ方向に回転したときの磁場波形をCφ、ψ方向に回転したときの磁場波形をCψとして記憶装置12dに記憶される。
【0056】
また、ステップS9の興奮到達時刻分布・心筋電気活動量分布の変更処理では、心室モデルに設定されている興奮到達時刻分布と心筋電気活動量分布が変更される。具体的にどのように変更するかは各種非線形最適化アルゴリズムにより異なる。
【0057】
さらに、ステップS10の誤差算出処理では、ステップS7で計算した心磁図データとステップS1,S2の処理を介して得た心磁図データとがどの位異なるのかを表す誤差eが計算される。このとき、呼吸に応じて心臓の位置や向きが変化することを考慮するため、k番目の心拍の磁場波形B(k=1,…,N)が近似的に次の(3)式のように表されると仮定する。これは、心臓(心室)の位置及び向きが呼吸信号の1次関数で変化し、かつ、心臓の位置及び向きと磁場分布とが線形関係にあるということを表している。
【0058】
【数3】
Figure 0004495803
ここで、α,α,α,αθ,αφ,αψ,β,β,β,βθ,βφ,βψは上記の関数形を具体的に決定する係数である。これらパラメータは、以降の演算により、磁場の測定値から決定される。
【0059】
上記(3)式を行列により表現すると、磁場の測定値Βを縦に並べたベクトル
【数4】
Figure 0004495803

【数5】
Figure 0004495803
のように表される。
【0060】
ただし
【数6】
Figure 0004495803
である。このとき、測定した磁場波形Bとの2乗誤差を最小にする磁場波形は
【数7】
Figure 0004495803
は、
【数8】
Figure 0004495803
のように求められる。ここでΑはΑのムーア・ぺンローズ一般逆行列である。測定した磁場波形と心臓の動きを考慮して計算した磁場波形の誤差の最小値は次の(9)式により計算する。
【0061】
【数9】
Figure 0004495803
【0062】
上述したステップS6〜S1Oを、採用した非線形最適化アルゴリズムにしたがって反復的に実行する(ステップS8,S11)。これにより、誤差eがなるべく小さくなるような興奮到達時刻と活動電位振幅の心室内の分布が求められる。
【0063】
このようにして推定した興奮到達時刻および活動電位振幅の分布データは心室モデルを使って表示装置12eに表示される(ステップSl2)。
【0064】
なお、構成面における上記実施形態と本発明との対応に関しては、SQUID磁束計11、信号収集回路12、演算処理装置12b、及び記憶装置12dが本発明の測定手段の要部を形成する。さらに、演算処理装置12b及び記憶装置12dが本発明の解析手段(推定手段)を機能的に構成する。
【0065】
(効果…その1)
このように、本実施形態の推定解析によれば、測定した呼吸信号と心臓の位置及び向きとの関係が予め定義付けられた状態で解析が行われるという効果がある。この効果を、従来法と対比させながら説明する。
【0066】
心内電気現象をより正確に解析するには、心室(心臓)モデルの位置及び向きは、解析に用いる心磁図を計測したときの心臓の位置及び向きと一致していることが望ましい。しかし、心臓の位置及び向きは被検者の呼吸に応じて大きく動くことが知られている。このため、従来のように呼吸に因る心臓の動きを何ら考慮せず、心磁図波形を無作為に抽出して解析を行うと、MRI装置などの画像収集装置で断層像を撮影したときの呼吸相(呼吸の位相)と心磁図を計測したときの呼吸相とが異なってしまうという状態が頻発する。そのような状態が発生すると、心臓モデルの位置及び向きと心磁図を計測したときの心臓の位置及び向きとが異なるので、正確な解析を行うことができなかった。
【0067】
これに対し、本実施形態の解析によれば、計測した呼吸信号と心臓モデルの位置及び向きとの関係が予め定められた関数形を採るとして、呼吸に因る心臓の動きを組み込んだ状態で解析される。つまり、呼吸に因る心臓の位置及び向きの変化が考慮されて解析される。加えて、かかる関数に含まれるパラメータは、測定磁場分布データから決定するように解析演算が実行されるので、具体的な関数形を予め知る必要が無く、呼吸信号に沿って心臓がどの位置及び向きに移動するかは測定磁場分布から決定される。したがって、MRI装置などで断層像を撮影したときと解析に用いる心磁図を測定したときとで、心臓の位置及び向きが呼吸相の違い等に因り異なっている場合であっても、常に安定且つ高精度で興奮到達時刻分布や活動電位振幅分布などの心内電気現象に関わる量を解析することができる。
【0068】
(効果…その2)
また、本実施形態の推定解析の処理における別の効果は、呼吸信号と心臓の位置及び向きの関係とを表す関数に含まれる少なくとも1個のパラメータを、測定した磁場分布データから決定することである。心臓内の電気現象の分布を推定する従来法の場合、通常、SQUIDセンサに対する心室位置や向きを前もって知っている必要がある。これに対し、本実施形態によれば、心室位置は、測定した心磁図パターンと逆問題モデルに基づいて算出した心磁図パターンの残差が小さくなるように定められる。これにより、心室の位置や向きが予め分かっていなくても推定できる。したがって、磁気センサと心室との位置関係の特定に伴う事前の測定が不要になり、診断コストおよび診断時間が低減される。また、従来の1つの推定法のように、興奮伝播シミュレーションを実行する必要が無いので、より高速に心内電気現象を推定することができる。
【0069】
とくに、従来法に拠る磁気センサと心室との位置関係の特定法の場合、磁気共鳴イメージングを行うとき及び心磁図計測を行うときの両状態において、被検者の体位を完全に一致させることが不可能であり、磁気センサと心室との位置関係の特定精度、強いては推定精度にも限界があったが、本実施形態によれば、事前に行う磁気センサと心室との位置関係の特定が不要になり、磁気センサと心室との位置の測定誤差に起因する推定精度の劣化を回避できるため、心内電気現象を高精度に推定することができる。また、3次元デジタイザのように時間と手間が掛かる事前位置計測が不要になるので、診断の準備時間や操作上の手間の面でも省力化が図られる。
【0070】
なお、上記パラメータの推定を、本実施形態では線形最小2乗法により行う例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限るものではない。例えば、非線形最適化アルゴリズムにより反復的に行って、かかるパラメータを推定するようにしてもよい。
【0071】
(効果…その3)
また、本実施形態によれば、前述したように、呼吸に拠る心臓の位置変化が考慮されて推定解析が行われるので、運動負荷時などに見られるように、呼吸に拠る心臓の動きが大きい場合でもそのことに起因した解析精度の低下を防止できる。したがって、運動負荷時の心磁図データも高精度に解析でき、虚血性心疾患などに対する高い診断精度を確保できる。さらに、運動負荷時に体動抑制するように指令しなければならないといった、被検者にとって殆ど無理な注文を出さなくて済むので、検査が受け易く、また行い易くなる。
【0072】
なお、本実施形態では、呼吸信号と心臓の位置及び向きとの関係は1次関数で表されると仮定したが、本発明はこれに限るものではない。例えば呼吸信号の非線形関数値と心臓の位置及び向きの関係が1次関数で表されると仮定してもよいし、1次関数の代わりに2次関数やスプライン関数など、他の多項式で近似するようにしてもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、呼吸に対応して変化するのは心臓の位置及び向きのみであるとし、心臓の位置及び向きの表現法として3次元座標による位置及びオイラー角を用いたが、本発明は必ずしもこれに限るものではない。例えば、呼吸に応じて変化する変数として、心臓の位置及び向きのほか、例えば心室の長軸長さなど、心臓の形状を表現できる特徴量が含まれていてもよいし、心臓の位置、向き及び大きさを表現するのに、3次元空間の座標変換行列である4×4のアフィン変換行列の各要素の値を用いてもよい。
【0074】
さらに、心臓の位置及び向きの6個のパラメータの内、いくつかのパラメータは呼吸に応じて変化しないものと設定してもよい。
【0075】
さらにまた、本実施形態では、心臓の位置、向きが呼吸信号に対して予め定められた関数形を採るものとしたが、センサの位置、向きと呼吸信号とが予め定められた関数形である、としても全く同等の効果が得られる。
【0076】
<第1の実施形態の変形例>
この変形例は、磁場分布のコンターマップ上で残差が最小になるように心室位置をフィッティングする手法である。
【0077】
前述した第1の実施形態では、呼吸に伴って動く心臓の位置ずれを考慮して推定を行っているが、この心臓の動きを無視した、簡略化した推定を行うことができる。
【0078】
【外2】
Figure 0004495803
【0079】
なお、この変形例においても同様に、心臓の位置及び向きの代わりに磁気センサの位置及び向きを決定するように構成してもよい。
【0080】
なお、前記第1の実施形態では複数の心拍の測定データを測定値として用いているが、この簡略化した推定を行うに際して、運動負荷中など、体動が特に大きい場合、1心拍のみをデータとして推定し、推定結果の分布を心拍毎に加算平均することが望ましい。
【0081】
<第2の実施の形態>
第2の実施形態に係る心磁図計測装置(心内電気現象診断装置)を図6〜図10に基づき説明する。なお、この心磁図計測装置は前述した図1の装置と同じハードウエア構成を有するか、又は、同図記載の装置から呼吸モニタ装置15を取り外した状態のハードウエア構成を有して構成されている。
【0082】
この心磁図計測装置は、心室と磁気センサとの間の位置関係をシングルダイポール法に基づき決定することに特徴を有する。
【0083】
これを達成するため、コンピュータ装置12の演算処理装置12bは以下の解析処理を行う。
【0084】
まず、演算処理装置12bは測定した心磁図時間波形のPQセグメントを指定する(図6、ステップS21)。図7に、測定した心磁図時間波形を表示装置12eの画面に表示した様子を示す。この画面にはまた、ある時刻を指し示す時刻カーソルTCが重畳表示されている。この時刻カーソルTCは、オペレータの指示により画面上で左右の時間軸方向に移動し、カーソルTCがPQセグメント後部を示すようにする。このカーソルTCが指し示す時刻がダイポール解析時刻として記憶装置12dに記録される。
【0085】
なお、ダイポール解析時刻を指定する手法としては、この時刻カーソルTCを用いる手法に代わる様々な例を挙げることができる。その1つの例は、従来周知の手法でR波のピークを検出し、このピークよりもある時間(例えば50ms)だけ前の時刻を算出し、これをダイポール解析時刻として記憶装置12dに記録してもよい。また他の例によれば、Q波を自動検出し、このQ波のピークからある時間だけ後の時刻を算出し、この時刻をダイポール解析時刻として記憶装置12dに記録するようにしてもよい。さらに他の例によれば、Q波とR波のピーク時刻間の時間を一定の比率で分割する時刻を算出し、この時刻をダイポール解析時刻として記憶装置12dに記録するようにしてもよい。さらに他の例として、例えばQ波とR波のピーク時刻(又は、2本の時刻カーソルで指定した2つの時刻)の間の時間を所定の比率で分割した複数の時刻を算出し、この複数の時刻を複数のダイポール解析時刻として記憶装置12dに記録する構成にしてもよい。
【0086】
次いで、演算処理装置12bは、PQセグメントの時刻のダイポール位置を推定する(ステップS22:図10参照)。すなわち、従来周知の手法を使って、記憶装置12bに記録されているダイポール解析時刻(PQセグメント上の時刻)における電流ダイポールの位置及びそのモーメントを推定し、その推定結果を記憶装置12bに記録する。
【0087】
この推定及び記録処理に際し、複数の時刻がダイポール解析時刻として記録されている場合、その全時刻における電流ダイポールの位置及びそのモーメントが推定され、記録される。これにより、複数のダイポール位置及びモーメントが得られた場合、ダイポールの移動速度やモーメントの大きさの変化率に基づいて、それまでとは異なる複数の電流ダイポールの位置及びモーメントを演算し、この演算値でそれまでの複数の電流ダイポールの位置及びモーメントを置き換えるようにしてもよい。例えば、図8で示す如く、電流ダイポールのモーメントの変化率が小さく且つ移動速度が遅い範囲に属する、ある1つの時刻における電流ダイポールの位置及びモーメントを演算し、それまでの複数の電流ダイポールの位置及びモーメントをこの演算値に置換する。また、図9に示す如く、電流ダイポールの移動距離を等分(或は、所定の比率に基づいた分割)した複数の電流ダイポールの位置を演算し、それまでの複数の電流ダイポールの位置及びモーメントをその演算値で置き換えてもよい。
【0088】
次いで、演算処理装置12bにより、推定した電流ダイポールの位置に心室モデルを配置する(ステップS23:図10参照)。なお、この一連の解析に際し、前記実施形態と同様に心室モデルが予め作成・記憶されており、この心室モデルには前もって1個或は複数個の電流ダイポールの位置とモーメント(これを「心室モデルダイポールの位置及びモーメント」と呼ぶ)が記録されている。
【0089】
すなわち、演算処理装置12bは、推定した1個又は複数個の電流ダイポールの位置及びモーメントに、上述の予め記録した「心室モデルダイポールの位置及びモーメント」が一致するように、心室モデルを移動、回転、変形させる。これにより、推定した電流ダイポールの位置に心室モデルが配置され、心室モデルの磁気センサに対する最終的な位置、向き及び形状が決定される(図10参照)。電流ダイポールの位置が複数個のときは、周知の最適化手法を用いて心室モデルが配置される。なお、心室モデルを移動及び回転させる代わりに、磁気センサを移動及び回転させる構成であってもよく、これによっても同様に配置できる。
【0090】
さらに、演算処理装置12bは、上述のように設定した心室モデルの位置、向き及び形状を用いて、心内の電気生理的現象としての、例えば活動電位振幅及び興奮時刻の分布を周知の手法で推定する(ステップ24)。この推定において、活動電位振幅及び興奮時刻の分布を心室モデルの位置、向き及び形状と同時に推定する場合、その初期値及び先見情報として、上述のステップS23で決定した心室モデルの位置、向き、及び形状の値(情報)が参照される。また、上述のステップS23において、心室モデルを移動、回転した場合、そのステップS23で決定した心室モデルの位置及び向きの値(情報)を用いて活動電位振幅及び興奮時刻の分布が推定される。
【0091】
そして、推定された活動電位振幅及び興奮時刻が心室モデルと伴に表示装置12eに表示される(ステップ25)。
【0092】
なお、上述の電流ダイポールの推定処理において、複数の心拍夫々に同期して電流ダイポールの位置及びモーメントを演算し、それを加算平均するように構成してもよい。これにより、電流ダイポールの位置をより高精度に演算できるので、活動電位振幅及び興奮時刻の分布の推定精度も向上する。一方、複数の心拍夫々に同期して、前述の如く推定して得た複数の活動電位振幅及び興奮時刻の分布データを加算平均するように構成してもよい。これにより、表示される活動電位振幅及び興奮時刻の分布精度が向上する。
【0093】
以上のように処理することで、本実施形態によれば、磁気センサ及び被検者胴体、及び、被検者胴体及び心室の位置関係を予め計測する必要が無いので、そのような計測を必要とする従来の手法に比べて、診断の準備作業が大幅に簡素化され、オペレータの操作の省力化及び診断の効率化が図られる。また、被検者にとっても診断を受け易い装置となる。
【0094】
また、活動電位振幅及び興奮時刻の分布を解析するときの心室モデルの位置、向き及び形状の自由度が小さくなる分、活動電位振幅及び興奮時刻の分布をより高精度に推定できる。
【0095】
<第3の実施の形態>
第3の実施形態に係る心磁図計測装置(心内電気現象診断装置)を図11〜12に基づき説明する。
【0096】
この心磁図計測装置は、磁気センサ及び心室の位置関係を特定する手法を特徴とし、とくに、心磁図から心筋電気活動量及び/又は興奮時刻の分布を求めるときに、それらの位置関係も同時に推定することを特徴とする。
【0097】
なお、以下の説明では、磁気センサ(SQUIDセンサ11a)の位置及び向きを同定することを前提にしているが、これは心室の位置及び向きを同定することと同等であり、同等の作用効果を得るものである。
【0098】
この心磁図計測装置では以下の手順により心内電気現象とSQUIDセンサ及び心室の位置関係とが同時に推定される。
【0099】
【外3】
Figure 0004495803
【0100】
【外4】
Figure 0004495803
【0101】
【外5】
Figure 0004495803
【0102】
しかし、オペレータがそれらの典型値以外の値Dtypを初期設定したいと欲した場合、オペレータの手動指示によってこれらの値を変更できるようになっている。つまり、図12に示す如く、変更の必要があるか否かの確認を容易にするため、予め格納されている典型値Dtypを用いて心室及びSQUIDセンサの配置状態が表示装置12eの画面に表示される(ステップS41,S42)。オペレータはこの画面を目視して変更の要があるか否かを判断する(ステップS43)。変更の必要がある旨の応答を入力装置12cを介して行なった場合、演算処理装置12bはオペレータとインターラクティブにセンサ位置及び向き、並びに、それらの探索範囲を変更する(ステップS44)。そして、最終的に決まったセンサ位置及び向き、並びに、それらの探索範囲を、センサ位置及び向き、並びに、それらの探索範囲として初期設定する(ステップS45)。
【0103】
【外6】
Figure 0004495803
【0104】
【数10】
Figure 0004495803
【外7】
Figure 0004495803
【0105】
【外8】
Figure 0004495803
【0106】
【外9】
Figure 0004495803
【0107】
なお、この画面表示の処理過程において、オペレータがこの表示画面を目視観察して更なる位置関係の変更が必要であると判断した場合、オペレータは画面上でインターラクティブにセンサの位置及び向きを変更するようにしてもよい。演算処理装置12bは、オペレータの指示により、この変更したセンサ位置及び向きを記憶装置12dに格納し、次回の推定時にセンサの位置及び向きの典型値として利用することができる。
【0108】
以上のように構成し機能させることで、心室と磁気センサの位置関係は心内電気現象と同時に推定することができる。したがって、従来の1つの手法のように、磁気センサ及び被検者胴体の位置関係、並びに、その胴体及び心室の位置関係を別の計測手段で予め計測しておく必要が無いことから、計測作業を含む診断準備作業を大幅に簡素化させることができる。これはオペレータの操作軽減の観点のみならず、被検者にとっても体力的、精神的負担を軽減でき、診断を受け易い装置を提供することができる。
【0109】
この実施形態にあっては、さらに、上述の第2の実施形態で行なった如く、心室モデル内の電流ダイポールの位置・向きの軌跡を予め仮定しておく必要が無い。このため、この仮定軌跡と実際の軌跡とが異なるために起こる心室の位置・向きの同定誤差にも影響されない。つまり、推定した心筋電気活動量及び興奮時刻の分布から発生する磁場と計測する磁場の差とが小さくなるように心室モデルの位置・向きを同定するため、その同定精度が向上し、心筋電気活動量及び興奮時刻の分布をより高精度に推定することができる。
【0110】
<第3の実施形態の変形例>
上述の第3の実施形態は以下のように変形して種々の態様で実施することができる。
【0111】
第1の変形例は、上述の図11のステップS34の処理において、心室の位置・向きの典型値(初期値)として、シングル電流ダイポールの位置演算を介して第2の実施形態で求めた心室の位置・向きの情報を用いることができる。
【0112】
【外10】
Figure 0004495803
【0113】
【外11】
Figure 0004495803
【0114】
【外12】
Figure 0004495803
【0115】
【数11】
Figure 0004495803
【外13】
Figure 0004495803
【0116】
【外14】
Figure 0004495803
【数12】
Figure 0004495803
【0117】
【外15】
Figure 0004495803
【0118】
【数13】
Figure 0004495803
【0119】
【外16】
Figure 0004495803
【0120】
【外17】
Figure 0004495803
【0121】
【外18】
Figure 0004495803
【数14】
Figure 0004495803
【外19】
Figure 0004495803
【0122】
【外20】
Figure 0004495803
【0123】
<第4の実施の形態>
次に、本発明に係る第4の実施形態を図13〜19に基づき説明する。
【0124】
この実施形態は、心磁図計測装置の磁気センサ(SQUIDセンサなど)を被検体の胸部体表面に位置合わせするときの操作を容易化できるとともに、MRイメージング時にも用いて心臓と磁気センサの相対的な位置関係を容易に特定できる位置合わせ補助治具を備える。
【0125】
具体的には、この位置合わせ補助治具は、MRIで写るマーカと、レーザや3次元デジタイザで用いる指標点(部位)とを備えるとともに、首掛けストラップで体軸方向に位置を固定できる
この位置合わせ補助治具51の概念的な外観を図13に示す。この治具51は全て非磁性材料で形成されており、首掛け用のストラップ52、治具本体53、MRI用マーカとしての油を充填したパイプ54、54、及び固定部55を備える。固定部55はゴムひも56と板57とを有する。ストラップ部分を被検者の首に掛け、治具本体部分を胸部体表上に固定して使用される(図14参照)。
【0126】
首掛け用ストラップ52の全長は例えば50cm程度であり、その両端とも治具本体53の一方の端に取り付けられている。図17に拡大して示す如く、ストラップ52の内、一方の端は固定されるが、もう一端はフック(又はボタン)により着脱自在に形成されている。このストラップ52を被検者の首に掛けるときはフックを外し、首に掛けた後でフックを掛ける。
【0127】
治具本体53は、図15及び16に示す如く、所定厚さを有し且つ略短冊状に形成されており、その長手方向の一方の端部の表面側に上述したストラップ52が取付けられている。この治具本体53のストラップ側の所定位置には、その表面から指標点(標識点)としての窪み53Aが穿設されている。
【0128】
さらに、治具本体53の両側面から突出する状態で、2本のパイプ54,54がストラップ側に所定角度だけ傾斜して設けられている。このパイプ54,54は治具本体内部において前述した窪み53Aの位置で交差するように、又は、それらのパイプ延長線が窪み53Aの位置で交差するように治具本体内に埋設されている。パイプ54,54の内部に充填した油54Aは、MRイメージングによって映し出される液体であって、例えばひまし油、PVAゲルなどから成る。
【0129】
また、図16,18に示す如く、治具本体53のストラップ側の単面には延長部53Bが一体に設けられており、この延長部53Bには治具本体の裏面側に出っ張った突起部TKが形成されている。
【0130】
治具本体53のストラップ側とは反対側の他端部面にはゴムひも56が取り付けられ、このゴムひも56には板57が取り付けられている。この板57の裏面にはマジックテープ57Aが貼り付けられている。一方、被検者の腹部表面にも粘着テープによりマジックテープが固定されており、これら双方のマジックテープが係止される。この係止位置を適宜に調整することで、ゴムひも56に適度や張力を持たせ、その結果、治具本体53を胸部表面の所定位置に固定できる。
【0131】
治具本体53のストラップ側の突起部TKが胸骨柄中央の窪みに当たるようにストラップ52の長さが調節されている。このため、突起部TKが胸骨柄窪みに確実に収まるので、治具本体53に対する左右方向の位置ずれを防止又は抑制する効果が発揮される。
【0132】
この位置合わせ補助治具51は以上のように構成されているので、首掛け用ストラップ52により、治具全体の体軸方向の位置は固定され、この治具51を使って磁気センサを被検体の胸部体表に位置合わせできる。
【0133】
具体的には、磁気センサ(例えばSQUIDセンサ)のカバー体に固定されたレーザ距離計(レーザポインタ)からの光線を、指標点としての窪み53Aに合わせる。同時に、その窪み53Aまでの距離を計測する。この距離により、磁気センサの位置と指標点(窪み53A)の位置との間の相対的位置関係が得られる。
【0134】
また、この位置合わせ補助治具51を上述と同様にセットした状態でMRイメージングを行ない、MR像をも得る。図19に示す如く、撮像断面はMRマーカとしての油54A(パイプ54,54)を横切るように位置決めされるので、油の充填位置がその画像上に映し出される。これら左右の充填位置を左右から結んだ2本の直線はある点で交わる。この交点は、治具51の窪み53A(指標点)の位置と一定の相対的位置関係を有する(図示の場合は、「一致する」関係)。このため、MR像上のこの交点の位置からMR像上の指標点の位置が求められる。
【0135】
前述のようにレーザ距離計を介して求められた磁気センサの位置と指標点の位置との相対的位置関係を用いると、上述のようにMR画像で得られた指標点と磁気センサの位置との相対的位置関係により、MR画像上での磁気センサの位置が求められる。したがって、MR画像に写った心臓と磁気センサとの間の相対的な位置関係が決定される。
【0136】
このように位置合わせ及び位置関係の特定を行なえるので、磁気センサを精度良く被検体の胸部体表面に位置合わせできる。また、MR画像上の指標点の位置を精度良く求めることができる。さらに、位置の再現性が良いので、位置合わせ治具を自由に取り外しでき、被検者に配慮した検査、診断が可能になる。
【0137】
なお、上述した実施形態の位置合わせ補助治具51の場合、被検者の首部の角度が変化すると、治具そのものの位置(とくに体軸方向の位置)も動き易いので、被検者の首部の動きを抑制することが望ましい。それには例えば、被検者が寝る寝台の天板として、硬度の高いものを用い、磁気センサのレーザー距離計を合わせるときとMRイメージングを行なうときとにおいて、同じ高さの枕を使用すればよい。
【0138】
また、図20,21に示す姿勢固定治具61を併用してもよい。この治具61はその全体が非磁性材料で形成されており、寝台天板上に置いて使用される。この治具61には、被検者Pの背中部分から首部、後頭部に沿って滑らかに起伏する底面部61Aが形成されている。また、治具61の後頭部付近に相当する両側部61B,61Bは、被検者Pがその両腕AM、AMを頭HDの後ろで組んだ姿勢にフィットするようにせり上がっている。
【0139】
このように枕や姿勢固定治具を使用することで、首部の角度が固定又はその動きが抑制され、前述した位置合わせ治具の体軸方向の動き(ずれ)が禁止又は抑制される。したがって、かかる位置合わせ治具による位置合わせ、又は、この位置合わせ治具を用いた磁気センサ及びMR画像間の位置関係の特定を精度良く行なうことができる。
【0140】
<第4の実施形態の変形例>
図22〜24を参照して、上述した第4の実施形態で説明した位置合わせ補助治具の変形例を説明する。
【0141】
図22に示す位置合わせ補助治具71は、長片状の治具本体72を有し、その長手方向の両端部夫々に前述したように窪み等に拠る指標点(標識点)PT1,PT2が穿設されている。指標点PT1,PT2間の長手方向の距離は例えば18cmに形成される。この指標点PT1,PT2の夫々に対して、前述した如く、所定角度を持って2本ずつのMRIマーカ用のパイプ(PVAなどを充填)74,74および75,75が取り付けられている。さらに、治具本体72の一端には首掛け用ストラップ76が前述のように取り付けられるとともに、もう一端には前述の如く固定部77(ゴムひもとマジックテープを貼り付けた板とを有する)が取り付けられている。この位置合わせ補助治具71によれば、指標点及びMRIマーカが2組となるので、より精度の高い位置合わせ及び位置関係の特定ができる。
【0142】
図23,24に別の位置合わせ補助治具81を示す。この治具81は、2本の長片状のアーム82A,82Bを十字形に固定状態で組み合わせた治具本体82を有する。アーム82A,82B夫々の両端部には、前述した窪みなどによる指標点(標識点)PTa1,PTa2及びPTb1,PTb2が形成されている。この指標点の夫々に前述の如く所定角度で交差するように、MRIマーカ用のパイプ83A〜83Dが全体で4本、ひし形を成すように取り付けられている。
【0143】
これに加えて、2個の指標点が更に形成されている。つまり、上述した2本のアーム82A,82Bの一端にひも84,84が夫々取り付けられ、このひもの他端に略円形状の円盤体84が取り付けられている。この円盤体84の中央には前述した窪みなどに拠る指標点(標識点)PTc1が穿設され、この指標点PTc1に対して前述したと同様に4本のMRIマーカ用パイプ86、…、86が十字形を成すように取り付けられている。また、2本のアーム82A,82Bには、上述のひも84,84と左右対象を成す位置に別の1対のひも87,87が夫々取り付けられている。このひもの他端には、上述と同一構成の円盤体88及びMRIマーカ用パイプ89、…、89が取り付けられている。円盤体88には指標点(標識点)PTc2が穿設されている。
【0144】
さらに、治具本体82のうちの1本のアーム82Aの一端部には首掛け用ストラップ90が取り付けられるとともに、もう一端部には固定部91が取り付けられている。
【0145】
このように構成することで、合計6個の指標点(標識点)PTa1,PTa2,PTb1,PTb2,PTc1,PTc2を得ることができる。この内、固定状態で十字形の四隅に位置する4個の指標点PTa1,PTa2,PTb1,PTb2は被検者の胸部前面に配置され、ひも84,87で取り付けた残りの2個の指標点PTc1,PTc2は図33に示す如く、胸部の体側両面に位置させることができる。この位置合わせ補助治具81によれば、比較的コンパクトな構成でありながら、指標点及びMRIマーカが6組となるので、より精度の高い位置合わせ及び位置関係の特定ができる。
【0146】
以上説明した実施形態及び変形例は、特許請求の範囲に記載の発明を例示的に述べたものであって、本発明の範囲の限定を意図するものではなく、当業者であれば、当然に、特許請求の範囲に記載の発明の趣旨に基づいて更に様々な態様に変更して実施可能である。
【0147】
【発明の効果】
以上のように、本願発明によれば、心室の形状や位置の情報を必要とする逆問題解析(すなわち、心臓内電気現象の推定)を行うときに、従来法で行っていた、磁気センサと心室との位置関係の特定に伴う事前の計測や演算を不要にでき、準備作業の大幅な簡素化を図るとともに、心内電気現象を高精度で且つ高速に推定することができる心磁図計測装置などの心内電気現象診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る心磁図計測装置の構成を示す概略ブロック図。
【図2】(a)〜(c)は心磁図計測装置に用いた呼吸モニタ装置の概要を各々説明する説明図。
【図3】心磁図計測装置の演算処理装置で実施される興奮到達時刻分布及び活動電位振幅分布の解析手順の概略を示すフローチャート。
【図4】心磁図波形と呼吸信号、及び、それらの心拍毎の抽出を説明する図。
【図5】心室形状モデルの一例を示すモデル図。
【図6】第2の実施形態のシングルダイポール法に拠る心室配置と心内電気現象の推定に関わる処理手順の概要を示すフローチャート。
【図7】心磁図の時間波形を示す図。
【図8】電流ダイポールの移動速度とそのモーメント変化率を例示するグラフ。
【図9】複数のダイポール位置の算出法を例示する図。
【図10】第2の実施形態の処理の流れを模式的に説明する図。
【図11】第3の実施形態における、磁気センサの位置及び向きを心内電気現象の量と同時に推定するときの処理を示す概略フローチャート。
【図12】オペレータにより変更可能な、磁気センサの位置及び向き並びにそれらの探索範囲の初期設定を示す概略フローチャート。
【図13】第4の実施形態に係る位置合わせ補助治具の構成を説明する概念図。
【図14】位置合わせ補助治具の装着状態を説明する図。
【図15】位置合わせ補助治具の詳細構造を示す一部判断した平面図。
【図16】図23の位置合わせ補助治具の側面図。
【図17】位置合わせ補助治具のストラップの取付け状態を説明する図。
【図18】治具本体からの突起部の形状を説明する図。
【図19】MRIマーカ用パイプの機能を説明する図。
【図20】第4の実施形態の位置合わせ補助治具に併用可能な姿勢固定治具を示す一部破断した断面図であって、図21中のA−A線に沿って破断した状態を示す図。
【図21】第4の実施形態の位置合わせ補助治具に併用可能な姿勢固定治具を示す長手方向から見た側面図。
【図22】第4の実施形態に係る位置合わせ補助治具の1つの変形例の構成を示す概念図。
【図23】第4の実施形態に係る位置合わせ補助治具の別の変形例の構成を示す概念図。
【図24】図32の位置合わせ補助治具の装着状態を説明する図。
【図25】被検者胸部の特徴点を示す図。
【図26】SQUIDセンサの胸部特徴点への位置合わせを説明する図。
【図27】SQUIDセンサの計測領域と胸部特徴点との位置合わせを説明する図。
【図28】3次元デジタイザを用いた被検者の特徴点、マーカ及びSQUIDセンサの標識点の位置計測を説明する図。
【図29】従来法による、磁気センサとMRI画像との位置関係の特定手順を説明する図。
【符号の説明】
11 SQUID磁束計
11a SQUIDセンサ
12 コンピュータ装置
12a 信号収集回路
12b 演算処理装置
12d 記憶装置
13 画像収集装置
14 画像転送装置
51、71,81 位置合わせ補助治具(位置合わせ手段)
52、76,90 ストラップ
53A 窪み(指標点)
53B 延長部
54、74,75、83,86,89 MRIマーカ用パイプ(マーカ体)
55、77、91 固定部
PT 指標点

Claims (8)

  1. 被検者の心臓の電気的活動に伴って発生する磁場又は電位の分布を体外又は体表でセンサを有する測定手段を用いて測定した測定値からその心臓の電気生理的現象を解析する解析手段と、この解析手段の解析結果を提示する提示手段とを備えた心内電気現象診断装置において、
    前記解析手段は、
    前記心臓と前記センサ間の位置及び向きの関係を表現する特徴量の予め定められた典型値を表すベクトルおよび典型値を表すベクトルと異なるベクトルの各々に対応し、心筋電気活動量の分布ベクトルから磁場又は電位分布ベクトルを算出する行列を演算する演算手段と、
    前記行列を用いて、前記測定された磁場又は電位と、心臓の興奮到達時刻分布を表現する心臓モデルに基づき磁場又は電位評価関数を最小にする、前記電気生理的現象としての興奮到達時刻の分布および心筋電気活動量の分布を推定する推定手段と、
    を有することを特徴とした心内電気現象診断装置。
  2. 請求項1記載の装置において、前記測定手段は前記磁場を測定する手段であり、前記解析手段は前記心臓モデルを用いる解析法を前記磁場の測定値に適用して心臓内の電気生理的現象を解析する手段である心内電気現象診断装置。
  3. 請求項2記載の装置において、前記解析手段は、前記磁場の測定値から1個の電流ダイポールを推定する手段と、この推定した電流ダイポールの位置に心臓モデルを配置する手段とを備えた心内電気現象診断装置。
  4. 請求項2記載の装置において、前記解析手段は、前記磁場の測定値から心臓の位置及び向きと前記電気生理的現象を表す量とを同時に推定する手段を備えた心内電気現象診断装置。
  5. 請求項4記載の装置において、前記推定手段は、前記心臓の位置及び向きの内の一部の成分だけを推定する手段である心内電気現象診断装置。
  6. 請求項4記載の装置において、前記推定手段は、前記心臓の位置及び向き並びにそれらの探索範囲の初期値を設定する手段を備える心内電気現象診断装置。
  7. 請求項6記載の装置において、前記設定手段により設定される前記探索範囲は、前記心臓の初期位置からの所定距離の周辺部位に限定した範囲である心内電気現象診断装置。
  8. 請求項6記載の装置において、前記設定手段は、前記心臓の位置及び向き並びにそれらの探索範囲の初期値をオペレータが任意に変更可能な手段を備えている心内電気現象診断装置。
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